JP2010138257A - 重合反応の停止方法およびポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

重合反応の停止方法およびポリオレフィンの製造方法 Download PDF

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Masami Kanamaru
正実 金丸
Taketsune Fujimura
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Abstract

【課題】錯体系触媒を使用する重合反応における効果的な停止方法であって、停止剤が残存した状態で次の反応を行っても触媒活性への影響が小さい停止方法を提供すること。
【解決手段】錯体系触媒を使用する重合反応の停止方法であって、上記錯体系触媒が(A)遷移金属錯体、(B)該(A)成分とイオン対を形成する固体のホウ素化合物、または、アルミノキサン、(C)分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物を接触させてなる触媒であって、停止剤として分岐アルキル構造を有しない特定の有機アルミニウム化合物を使用する工程を含む、重合反応の停止方法。
【選択図】なし

Description

本発明は重合反応の停止方法およびポリオレフィンの製造方法に関し、詳しくは錯体系触媒を使用する重合反応の停止方法、当該停止方法を使用してポリオレフィンの重合反応を停止する工程を含むポリオレフィンの製造方法に関する。
ポリオレフィン等の重合体を製造する際の触媒としてはチーグラー触媒やメタロセン触媒が知られ、これまで高活性化等を目指して技術開発が行われてきた。また、近年の課題としてはより高性能の重合体の製造が挙げられ、重合反応を適切に制御し目的の特性を有する重合体の生成量を増やすことが重要になっている。重合反応の制御技術の中でも停止方法に関する技術は、近年の触媒活性の向上の結果ますます重要になっている。すなわち、重合反応を確実に停止することができなければ反応終了後においても活性を有する触媒が残存し、目的の特性を有しない重合体を生成させることになる。
一方、重合体の量産化を行う場合においては、重合反応を確実に停止すればよいというものでもない。例えば回分式重合においては、直前の重合反応における停止剤が残存すると触媒活性が大きく低下する場合が多い。この問題を解決する方法として、特許文献1は二酸化炭素ガスを停止剤として使用する方法を開示する。また、特許文献2はカルボニル基含有化合物を停止剤として使用する方法を開示する。しかしながら、これらの方法はチーグラー触媒を使用する場合の反応の停止方法としては優れているが、メタロセン触媒を使用する場合においては停止剤残存時の活性低下の問題があった。また二酸化炭素等のガス状物質を停止剤として使用する場合は、次の反応を開始する前にガス状物質を除去する必要があり、生産効率面で問題があった。
これまでに、メタロセン触媒等の錯体系触媒を使用する重合反応の停止剤として水やアルコール等の極性物質が知られている。しかしながら、十分な効果を得るためにはその添加量を増やす必要があり、結果として、次の重合反応への影響の問題や停止剤の除去の問題が生じていた。したがって、錯体系触媒を使用する重合反応における効果的な停止方法であって、停止剤が残存した状態で次の反応を行っても触媒活性への影響が小さい停止方法、および、量産化を容易にするポリオレフィンの製造方法が望まれていた。
特開平6−19947号公報 特開平7−206911号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、錯体系触媒を使用する重合反応における効果的な停止方法であって、停止剤が残存した状態で次の反応を行っても触媒活性への影響が小さい停止方法、および当該停止方法を使用するポリオレフィンの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の触媒系において特定のアルミニウム化合物を停止剤として使用することで、上記課題が解決されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
1. 錯体系触媒を使用する重合反応の停止方法であって、
上記錯体系触媒が(A)遷移金属錯体、(B)該(A)成分とイオン対を形成する固体のホウ素化合物、または、アルミノキサン、(C)分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物を接触させてなる触媒であって、
停止剤として一般式(XI)
Figure 2010138257
〔式中、R21〜R23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族含有基を示し、R21〜R23のいずれも分岐アルキル構造を含まない。〕
で表される、分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物を使用する工程を含む、重合反応の停止方法、
2. 重合反応がエチレンおよび炭素数3〜30のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種の単量体を重合する反応である、上記1に記載の重合反応の停止方法、
3. 前記分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物の使用量(モル)が、遷移金属錯体に対して0.1〜1000000倍の範囲である、上記1または2に記載の重合反応の停止方法、
4. 前記分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物が、一般式(XI)中のR21〜R23がそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状アルキル基またはハロゲン原子である有機アルミニウム化合物である、上記1〜3のいずれかに記載の重合反応の停止方法、
5.前記分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物が、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、またはエチルアルミニウムジクロリドである、上記1〜4のいずれかに記載の重合反応の停止方法、
6. (B)成分が前記(A)成分とイオン対を形成する固体のホウ素化合物である、上記1〜5のいずれかに記載の重合反応の停止方法、
7. 重合反応における温度が−100〜250℃、圧力が常圧〜20MPa(gauge)である、上記1〜6のいずれかに記載の重合反応の停止方法、
8. ポリオレフィンの製造方法であって、上記1〜7のいずれかに記載の重合反応の停止方法を使用してポリオレフィンの重合反応を停止する工程を含むポリオレフィンの製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、錯体系触媒を使用する重合反応における効果的な停止方法であって、停止剤が残存した状態で次の反応を行っても触媒活性への影響が小さい停止方法が提供される。当該停止方法を使用することで、コスト的に有利なポリオレフィンの製造方法が提供される。
本発明は錯体系触媒を使用する重合反応の停止方法であって、停止剤として特定の有機アルミニウム化合物を使用する工程を含む重合反応の停止方法である。
本発明で使用する錯体系触媒は、(A)遷移金属錯体、(B)該(A)成分とイオン対を形成する固体のホウ素化合物、または、アルミノキサン、(C)分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物を接触させてなる触媒である。
本発明で使用する錯体系触媒の(A)遷移金属錯体としては、キレート型錯体、架橋されていない配位子又は架橋された配位子を有するメタロセン錯体などが挙げられる。
キレート型錯体としては、例えば、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,2−ジメチルエチレンジイミノニッケルジブロマイド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,2−ジメチルエチレンジイミノパラジウムジブロマイドなどが挙げられる。
非架橋の配位子を有するメタロセン錯体としては、例えば、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビスインデニルジルコニウムジクロライドなどが挙げられる。
一架橋メタロセン錯体としては、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(tert−ブチルアミド)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビスインデニルジルコニウムジクロライド、ジクロロ[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4−ジメチル−4H−1−アズレニル)]ジルコニウム、2,2−プロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(10−(5−フェニル−5−ヒドロベンズ[a]アズレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
二架橋メタロセン錯体としては、一般式(I)
Figure 2010138257
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E1及びE2はそれぞれ置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、ヘテロシクロペンタジエニル基、置換ヘテロシクロペンタジエニル基、アミド基、ホスフィド基、炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1及びA2を介して架橋構造を形成しており、またそれらは互いに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX、E1、E2又はYと架橋していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY、E1、E2又はXと架橋していてもよく、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
で表される二架橋メタロセン錯体が挙げられる。
一般式(I)において、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、具体例としてはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、コバルト、パラジウム及びランタノイド系金属などが挙げられるが、これらの中ではオレフィン重合活性などの点からチタン、ジルコニウム及びハフニウムが好適である。
1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、ヘテロシクロペンタジエニル基、置換ヘテロシクロペンタジエニル基、アミド基(−N<)、ホスフィン基(−P<)、炭化水素基〔>CR−、>C<〕及び珪素含有基〔>SiR−、>Si<〕(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基又はヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。
また、E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。
このE1及びE2としては、重合活性がより高くなるため、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
また、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX、E1、E2又はYと架橋していてもよい。
該Xの具体例としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアミド基、炭素数1〜20の珪素含有基、炭素数1〜20のホスフィド基、炭素数1〜20のスルフィド基、炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。
一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE1、E2又はXと架橋していてもよい。該Yのルイス塩基の具体例としては、アミン類、エーテル類、ホスフィン類、チオエーテル類などを挙げることができる。
次に、A1及びA2は、二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
このような架橋基としては、例えば、一般式
Figure 2010138257
(Dは、炭素、ケイ素又はスズ、R2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
で表されるものが挙げられる。
その具体例としては、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、ビニリデン基(CH2=C=)、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、ジメチルゲルミレン基、ジメチルスタニレン基、テトラメチルジシリレン基、ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。
これらの中で、重合活性がより高くなるため、エチレン基、イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。
qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
このような一般式(I)で表される二架橋メタロセン錯体の中では、一般式(II)
Figure 2010138257
で表される二架橋ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とするメタロセン錯体が、重合活性がより高くなるため好ましい。
一般式(II)において、M、A1、A2、q及びrは前記と同じである。
1は、σ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。
このX1の具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
1は、ルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。
このY1の具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
4〜R9はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。
また、R4〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
なかでも、重合活性がより高くなるため、R6とR7は環を形成していること及びR8とR9は環を形成していることが好ましい。
4及びR5としては、酸素、ハロゲン、珪素などのヘテロ原子を含有する基が重合活性が高くなり好ましい。
この二架橋ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とするメタロセン錯体は、配位子間の架橋基にケイ素を含むものが好ましい。
一般式(I)で表される二架橋メタロセン錯体の具体例としては、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,7−ジ−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン) ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジフェニルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジフェニルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジイソプロピルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレンインデニル)(2,2’−ジイソプロピルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジフェニルシリレン−3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルメチルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジフェニルシリレン−3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジイソプロピルシリレン−3−トリメチルメチルシリルインデニル) ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレンインデニル)(2,2’−ジイソプロピルシリレン−3−トリメチルメチルシリルインデニル) ジルコニウムジクロリドなど及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。
もちろんこれらに限定されるものではない。
また、他の族又はランタノイド系列の金属元素の類似化合物であってもよい。
また、上記化合物において、(1,1’−)(2,2’−)が(1,2’−)(2,1’−)であってもよく、(1,2’−)(2,1’−)が(1,1’−)(2,2’−)であってもよい。
本発明で使用する錯体系触媒の(B)成分としては、前記(A)成分とイオン対を形成する固体のホウ素化合物、または、アルミノキサンが使用される。
前記ホウ素化合物としては、複数の基が金属に結合したアニオンとカチオンとからなる配位錯化合物を挙げることができる。
複数の基が金属に結合したアニオンとカチオンとからなる配位錯化合物としては様々なものがあるが、例えば、一般式(III)又は(IV)で表される化合物を好ましく用いることができる。
([L1−H]s+t([BZ1234-)1・・・(III)
([L2s+t([BZ1234-1・・・(IV)
〔式(III)又は(IV)中、L2は後述のM1、R10112又はR12 3Cであり、L1はルイス塩基、M1は周期律表の1族及び8族〜12族から選ばれる金属、M2は周期律表の8族〜10族から選ばれる金属、Z1〜Z4はそれぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基、有機メタロイド基又はハロゲン原子を示す。
10及びR11は、それぞれシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基又はフルオレニル基、R12はアルキル基を示す。
sはL1−H、L2のイオン価数で1〜7の整数、tは1以上の整数、l=t×sである。〕
1は周期律表の1族及び8族〜12族から選ばれる金属、具体例としてはAg、Cu、Na、Liなどの各原子、M2は周期律表の8族〜10族から選ばれる金属、具体例としては、Fe、Co、Niなどの各原子が挙げられる。
1〜Z4の具体例としては、例えば、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基など、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基など、アリールオキシ基としてフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基など、炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基など、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基、p−トリル基、ベンジル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基、4−ターシャリ−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、1,2−ジメチルフェニル基など、ハロゲンとしてF、Cl、Br、I、有機メタロイド基としてテトラメチルアンチモン基、トリメチルシリル基、トリメチルゲルミル基、ジフェニルアルシン基、ジシクロヘキシルアンチモン基、ジフェニル硼素基などが挙げられる。
10及びR11のそれぞれで表される置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基などが挙げられる。
本発明において、複数の基が金属に結合したアニオンとしては、具体的には、B(C654 -、B(C6HF44 -、B(C6234 -、B(C6324 -、B(C64F)4 -、B(C6CF344 -、B(C654 -、BF4 -などが挙げられる。
また、金属カチオンとしては、Cp2Fe+、(MeCp)2Fe+、(tBuCp)2Fe+、(Me2Cp)2Fe+、(Me3Cp)2Fe+、(Me4Cp)2Fe+、(Me5Cp)2Fe+、Ag+、Na+、Li+などが挙げられ、又、その他カチオンとしては、ピリジニウム、2,4−ジニトロ−N,N−ジエチルアニリニウム、ジフェニルアンモニウム、p−ニトロアニリニウム、2,5−ジクロロアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリニウム、キノリニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウムなどの窒素含有化合物、トリフェニルカルベニウム、トリ(4−メチルフェニル)カルベニウム、トリ(4−メトキシフェニル)カルベニウムなどのカルベニウム化合物、CH3PH3 +、C25PH3 +、C37PH3 +、(CH32PH2 +、(C252PH2 +、(C372PH2 +、(CH33PH+、(C253PH+、(C373PH+、(CF33PH+、(CH34+、(C254+、(C374+などのアルキルフォスフォニウムイオン、及びC65PH3 +、(C652PH2 +、(C653PH+、(C654+、(C252(C65)PH+、(CH3)(C65)PH2 +、(CH32(C65)PH+、(C252(C652+などのアリールフォスフォニウムイオンなどが挙げられる。
本発明においては、上記金属カチオンとアニオンの任意の組み合わせによる配位錯化合物が挙げられる。
一般式(III)及び(IV)の化合物の中で、具体的には、下記のものを特に好ましく用いることができる。
一般式(III)の化合物としては、例えば、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム、テトラフェニル硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ(n−ブチル)アンモニウム、ヘキサフルオロ砒素酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ピリジニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ピロリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸N,N−ジメチルアニリニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウムなどが挙げられる。
一方、一般式(IV)の化合物としては、例えば、テトラフェニル硼酸フェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルフェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸アセチルフェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ホルミルフェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸シアノフェロセニウム、テトラフェニル硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラフェニル硼酸トリチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル、テトラフルオロ硼酸銀などが挙げられる。
好ましい配位錯化合物としては、非配位性アニオンと置換トリアリールカルベニウムとからなるものであって、該非配位性アニオンとしては、例えば、一般式(V)
(BZ1234- ・・・(V)
[式中、Z1〜Z4はそれぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基(ハロゲン置換アリール基を含む)、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基及び有機メタロイド基又はハロゲン原子を示す。]
で表される化合物を挙げることができる。
一方、置換トリアリールカルベニウムとしては、例えば一般式(VI)
〔CR131415+・・・(VI)
で表わされる化合物を挙げることができる。
一般式(VI)におけるR13、R14及びR15は、それぞれフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基及びアントラセニル基などのアリール基であって、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよいが、その中の少なくとも一つは、置換フェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基である。
該置換フェニル基は、例えば、一般式(VII)
65-k16 k・・・(VII)
で表わすことができる。
一般式(VII)におけるR16は、炭素数1〜10のヒドロカルビル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、チオアルコキシ基、チオアリーロキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基及びハロゲン原子を示し、kは1〜5の整数である。
kが2以上の場合、複数のR16は同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(V)で表される非配位性アニオンの具体例としては、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トルイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、〔トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル〕ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどを挙げることができる。
また、一般式(VI)で表される置換トリアリールカルベニウムの具体例としては、トリ(トルイル)カルベニウム、トリ(メトキシフェニル)カルベニウム、トリ(クロロフェニル)カルベニウム、トリ(フルオロフェニル)カルベニウム、トリ(キシリル)カルベニウム、〔ジ(トルイル),フェニル〕カルベニウム、〔ジ(メトキシフェニル),フェニル〕カルベニウム、〔ジ(クロロフェニル),フェニル〕カルベニウム、〔トルイル,ジ(フェニル)〕カルベニウム、〔メトキシフェニル,ジ(フェニル)〕カルベニウム、〔クロロフェニル,ジ(フェニル)〕カルベニウムなどが挙げられる。
前記アルミノキサンとしては、一般式(VIII)
Figure 2010138257
(式中、R17は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基等の炭化水素基又はハロゲン原子を示し、wは平均重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。尚、各R17は同じでも異なっていてもよい。)
で表わされる鎖状アルミノキサン、及び一般式(IX)
Figure 2010138257
(式中、R17及びwは前記一般式(VIII)におけるものと同じである。)
で表わされる環状アルミノキサンを挙げることができる。
一般式(VIII)及び(IX)で表される化合物としては、直鎖状又は環状のテトラメチルジアルモキサン、テトライソブチルジアルモキサン、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサンなどのアルモキサンが挙げられる。
アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水等の縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。
これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用する錯体系触媒の(C)成分としては、分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物が使用される。分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物を使用しないと、十分な活性が発現しない可能性がある。当該観点から炭素数3〜20の分岐アルキル基が好ましく、炭素数3〜10の分岐アルキル基がより好ましい。
分岐アルキル基の具体例としては、イソプロピル基、イソブチル基、ネオペンチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソヘキシル基、イソデシル基、イソドデシル基等が挙げられる。
分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物としては、一般式(X)
Figure 2010138257
〔式中、R18〜R20はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族含有基を示し、R18〜R20の少なくとも一つは分岐アルキル基である。〕
で表わされる化合物が挙げられる。
一般式(X)で表わされる化合物の具体例としては、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、トリイソプロピルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド、ジイソブチルメトキシアルミニウム、ジイソブチルエトキシアルミニウムなどが挙げられる。この中で、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、トリイソプロピルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライドが好ましい。これらの化合物は極性原子がないため、活性を低下させる副反応の可能性が低いので好ましい。
これらの分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
上記有機アルミニウム化合物の中で、R18〜R20のいずれも炭素数1〜20のアルキル基の化合物が好ましく、いずれも炭素数3〜10のアルキル基の化合物がより好ましく、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
本発明で使用する錯体系触媒の調製法に特に制限はないが、例えば、炭化水素系溶媒に、上記(C)成分を加えた後、上記(A)成分及び上記(B)成分を加え接触させる方法や上記(A)成分及び上記(B)成分を加えた後、上記(C)成分を加える方法が挙げられる。
また、この際に0.005〜1.0MPaの水素を共存させることもできる。
接触時の温度は、通常、−20〜200℃、好ましくは−10〜150℃、より好ましくは0〜80℃である。
接触時間は、通常、10分〜30日、好ましくは1時間〜15日である。
(A)成分及び(B)成分は、溶媒に溶解しながら反応して活性点を形成する。このため、上記範囲内であることで十分な活性が発現する。
(A)成分/(B)成分の使用割合(モル比)は、好ましくは1/100〜1/1、より好ましくは1/10〜1/1である。(A)成分/(B)成分が上記範囲内であることで十分な活性が発現する。また、(A)成分/(C)成分の使用割合(モル比)は、好ましくは1〜40000、より好ましくは10〜20000である。(A)成分/(C)成分が上記範囲内であることで十分な活性が発現する。
本発明で使用する錯体系触媒を調製する際には、オレフィン系化合物を共存させて予備重合を行ってもよい。共存させるオレフィン系化合物としては、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィン化合物が挙げられる。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン及び1−オクタデセンなどが挙げられる。オレフィン系化合物の添加量は、触媒調製において使用する溶媒の0.5〜20質量%程度、好ましくは1〜15質量%である。
本発明においては、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。この該担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用いることができるが、特に無機酸化物担体あるいはそれ以外の無機担体が好ましい。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2,Al23,MgO,ZrO2,TiO2,Fe23,B23,CaO,ZnO,BaO,ThO2やこれらの混合物、例えば、シリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバー等が挙げられる。これらの中では、特に、SiO2,Al23が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩等を含有してもよい。
一方、上記以外の担体として、MgCl2,Mg(OC252等のマグネシウム化合物やその錯塩等を挙げることができる。また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレン,ポリアリレート等の重合体やスターチ,カーボン等を挙げることができる。
本発明の重合反応の停止方法において、重合反応の種類については上記触媒で反応が進む限り特に制限はない。本発明の重合反応において、重合温度は、通常、−100〜250℃、好ましくは、−50〜200℃、より好ましくは0〜130℃である。重合圧力は、好ましくは常圧〜20MPa(gauge)、より好ましくは常圧〜10MPa(gauge)である。重合時間は、通常5分〜15時間である。重合方法は特に制限されず、スラリー重合法、気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のいずれの方法であってもよい。
上記重合反応としては、例えばポリオレフィンの製造が挙げられる。ポリオレフィンの製造においては、通常、単量体としてエチレンおよび炭素数3〜30のα−オレフィンから選ばれる単量体が使用され、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。炭素数3〜30のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−エイコセンなどが挙げられる。
ポリオレフィンの製造において分子量の調節方法としては、各触媒成分の種類、使用量、重合温度の選択、さらには水素存在下での重合等がある。重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。また、α−オレフィン等のモノマーを溶媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶媒下で行うことができる。
本発明の重合反応の停止方法において、停止剤として、一般式(XI)
Figure 2010138257
〔式中、R21〜R23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族含有基を示し、R21〜R23のいずれも分岐アルキル構造を含まない。〕
で表わされる分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物が使用される。分岐アルキル構造を有する有機アルミニウム化合物を使用する場合、失活剤としての効果が十分でない場合があり好ましくない。ここで分岐アルキル構造を含まないとは、上記置換基が分岐アルキル基ではないこと、および上記置換基の一部としても分岐アルキル部位が含まれないことをさす。
一般式(XI)で表わされる化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、トリn−ブチルアルミニウム、トリn−ドデシルアルミニウムなどが挙げられる。
これらの分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
好ましい有機アルミニウム化合物としては、一般式(XI)中のR21〜R23がそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状アルキル基またはハロゲン原子である有機アルミニウム化合物が挙げられる。上記直鎖状アルキル基は炭素数が2〜8であることがより好ましい。またハロゲン原子は塩素原子がより好ましい。具体的には、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリドが挙げられる。
本発明の重合反応の停止方法においては、停止剤として上記分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物が使用される。停止剤の使用量は、(A)成分の遷移金属錯体の物質量(mol)に対して、通常0.1〜1000000倍であり、好ましくは1〜100000倍、より好ましくは1〜50000倍である。上記範囲内であることで、重合反応を停止することができ、さらに次の反応における触媒活性の低下を抑制できる。
本発明においては、分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物を停止剤として使用する。このような停止剤を一定量使用することで、遷移金属錯体に当該有機アルミニウム化合物が配位し、活性を低下させることができると考えられ、分岐アルキル構造を有するアルミニウム化合物においてはその嵩高さのために配位が起こりにくいことが推測される。また、上記のように有機アルミニウム化合物の配位によって反応を停止させる場合は、その配位反応が平衡反応であるため、有機アルミニウム化合物の残留量が少量であれば、その配位率が低下し失活反応が抑制されると考えられる。このため、回分式重合反応等において、残留物による次の反応への影響を抑えることができると考えられる。この点で本願発明の方法は、エタノール等の極性物質を停止剤として使用し、完全に失活させる停止方法とは相違する。
上記の効果が得られることから、本発明は回分式重合反応において特に好ましく用いられ、特に量産スケールのような反応において好ましく用いられる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
製造例1〔(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの合成〕
シュレンク瓶に(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩3.0g(6.97mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し−78℃に冷却した。ヨードメチルトリメチルシラン2.1ml(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間撹拌した。
溶媒を留去し、エーテル50mlを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.88mmol)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に上記で得られた(1,2'−ジメチルシリレン)(2,1'−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.88mmol)とエーテル50mlを入れた。−78℃に冷却し、n−ブチルチリウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.54mol/L、7.6ml(11.7mmol))を滴下した。室温に上げ12時間撹拌した後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40mlで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た(収率73%)。
1H−NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.04(s,18H,トリメチルシリル),0.48(s,12H,ジメチルシリレン),1.10(t,6H,メチル),2.59(s,4H,メチレン),3.38(q,4H,メチレン),6.2-7.7(m,8H,Ar-H)
製造例2
攪拌装置付5Lのシュレンク瓶に室温、窒素気流下、十分に窒素バブリングしたトルエン(4.0L)を加えた。その後、攪拌しながら、トリイソブチルアルミニウム(16mL、64mmol)、製造例1で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド(500mL、20μmol/mL)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのヘプタンスラリー(500mL、30μmol/mL)を順に加えた。その後、プロピレンを0.05MPa張り込み、30℃に昇温し、予備重合を開始した。15分後、プロピレン投入を停止し、さらにそのまま30分攪拌することにより、予備活性触媒溶液を得た(触媒濃度:2mmol/L)。
製造例3
窒素雰囲気下、20mLのシュレンク瓶に乾燥トルエン(5mL)、rac−エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリドのヘプタンスラリー(0.05mL、20μmol/mL)、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのヘプタンスラリー(0.1mL、20μmol/mL)を順に加え、5分間攪拌し、触媒前駆体を調製した。
実施例1
1Lのオートクレーブに、25℃で、窒素気流下、ヘプタン(400mL)を加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)を投入した。1分間攪拌した後、製造例2で得られた予備活性触媒溶液(0.1mL、0.2μmol)を投入した。次に、水素を0.04MPa、プロピレンを全圧0.7MPaになるように導入すると同時に攪拌しながら70℃まで3分程度かけて昇温した。プロピレン導入から10分後のプロピレン流量(反応しているプロピレンの量を表す)を測定した。その後、触媒投入管を用いて、停止剤としてトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)を投入した。この5分後にプロピレン流量を測定した。結果を第1表に示す。
実施例2
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液の投入量を0.2mmol(0.1mL)とした以外は実施例1と同様に重合を行った。
実施例3
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液の投入量を0.1mmol(0.05mL)とした以外は実施例1と同様に重合を行った。
実施例4
1Lのオートクレーブに、25℃で、窒素気流下、ヘプタン(400mL)を加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)を投入した。1分間攪拌した後、製造例3で調製した触媒前駆体を全量投入した。次に、水素を0.05MPa、プロピレンを全圧0.4MPaになるように導入すると同時に攪拌しながら80℃まで3分程度かけて昇温した。プロピレン導入から10分後のプロピレン流量(反応しているプロピレンの量を表す)を測定した。その後、触媒投入管を用いて、停止剤としてトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)を投入した。この5分後にプロピレン流量を測定した。結果を第1表に示す。
実施例5
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液の投入をトリノルマルブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.4mmol(0.2mL)の投入とした以外は実施例1と同様に重合を行った。
実施例6
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液の投入をトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液0.4mmol(0.2mL)の投入とした以外は実施例1と同様に重合を行った。
実施例7
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液の投入をジエチルアルミニウムクロリドのヘプタン溶液0.4mmol(0.2mL)の投入とした以外は実施例1と同様に重合を行った。
比較例1
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)に代えて、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)とした以外は実施例1と同様に重合を行った。結果を第1表に示す。
比較例2
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)に代えてエタノール(0.4mmol)とした以外は実施例1と同様に重合を行った。結果を第1表に示す。
比較例3
停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)に代えてエタノール(34mmol)とした以外は実施例1と同様に重合を行った。結果を第1表に示す。
Figure 2010138257
実施例8
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、出光興産(株)製α−オレフィン「リニアレン18」400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモル、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1マイクロモル、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート4マイクロモルを加え、さらに水素0.15MPa導入し、重合温度90℃にて120分間重合した。なお、重合開始から60分後に、触媒導入管を用いてトリノルマルブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.4mmol(0.2mL)を投入するとともに、重合溶液を1mLサンプリングした。さらに重合開始から120分後の重合溶液を1mLサンプリングした。得られたサンプルはいずれもエタノール(0.1mL)を加えて触媒を失活させた後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて転化率を測定した。
〔GC測定〕
(サンプルの前処理)
100mLの三角フラスコにサンプルを0.25g採取し、メチルシクロヘキサン2.5mlを投入し溶解させた。その溶液にメチルエチルケトン70mlを滴下し、ポリマーを析出させた。30分静置させた後、上澄み0.5μlを用いて以下の条件で測定を行った。
(測定条件)
測定装置:アジレント・テクノロジー株式会社製GC−6890
カラム:DB−1(15m×0.53mmφ;膜厚0.15μm)
カラム温度:50℃(0.1min)−20℃/min−340℃(30min)
注入法:クールオンカラム注入法(オーブントラック) コンスタントフローモード
検出(FID)温度:350℃
He流量:50cm/Sec
注入量:0.5μl
〔転換率の計算方法〕
4種類の標準液(10,100,500,1000μg/ml)を用いてGC測定し、ピーク面積を用いて最小二乗法によって検量線を作成した。検量線からサンプル希釈液のモノマー濃度(μg/ml)を求め、次式により転換率を求めた。
転換率(wt%)=
100−100×{モノマー濃度×72.5/(1000000×0.25)}
上記式において72.5は溶液量(メチルシクロヘキサン2.5ml+メチルエチルケトン70ml)であり、0.25はサンプル量(g)である。
比較例4
実施例8において、重合開始から60分後のトリノルマルブチルアルミニウムのヘプタン溶液の投入を省いた以外は同様に実施した。
Figure 2010138257
実施例9
回分式重合反応1
1Lのオートクレーブに、25℃で、窒素気流下、ヘプタン(400mL)を加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)を投入した。1分間攪拌した後、製造例2で得られた予備活性触媒溶液(0.1mL、0.2μmol)を投入した。次に、水素を0.05MPa、プロピレンを全圧0.4MPaになるように導入すると同時に攪拌しながら80℃まで3分程度かけて昇温した。プロピレン導入から10分後に、プロピレン流量を確認するとともに(1.6NL/min)、触媒投入管を用いて、停止剤としてトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)を投入した。その後、プロピレンを脱圧し、30℃程度に降温し、重合溶液(400mL)をシリンジを用いて窒素気流下で抜き出した。
引き続き、25℃で、窒素気流下、ヘプタン(400mL)を加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(2mol/L、0.4mmol、0.2mL)を投入した。1分間攪拌した後、製造例2で得られた予備活性触媒溶液(0.1mL、0.2μmol)を投入した。次に、水素を0.05MPa、プロピレンを全圧0.4MPaになるように導入すると同時に攪拌しながら80℃まで3分程度かけて昇温した。プロピレン導入から10分後のプロピレン流量は1.5NL/minであり、重合活性が十分あることが確認できた。
比較例5
回分式重合反応2
実施例9の1回目の重合反応において、停止剤のトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液に代えて、従来の停止剤であるエタノール(2mL)を使用した以外は実施例9と同様に重合を行った。その結果、2回目の重合反応の際、プロピレン導入から10分後のプロピレン流量は0.1NL/minであり、重合活性がほとんど発現しなかった。
本発明によれば、錯体系触媒を使用する重合反応における効果的な停止方法であって、停止剤が残存した状態で次の反応を行っても触媒活性への影響が小さい停止方法が提供される。当該停止方法を使用することで、コスト的に有利にポリオレフィンを製造することができるため、本発明の方法は特に回分式重合において好ましく利用される。

Claims (8)

  1. 錯体系触媒を使用する重合反応の停止方法であって、
    上記錯体系触媒が(A)遷移金属錯体、(B)該(A)成分とイオン対を形成する固体のホウ素化合物、または、アルミノキサン、(C)分岐アルキル基を含む有機アルミニウム化合物を接触させてなる触媒であって、
    停止剤として一般式(XI)
    Figure 2010138257
    〔式中、R21〜R23はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のフェノキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20の芳香族含有基を示し、R21〜R23のいずれも分岐アルキル構造を含まない。〕
    で表される、分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物を使用する工程を含む、重合反応の停止方法。
  2. 重合反応がエチレンおよび炭素数3〜30のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種の単量体を重合する反応である、請求項1に記載の重合反応の停止方法。
  3. 前記分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物の使用量(モル)が、遷移金属錯体に対して0.1〜1000000倍の範囲である、請求項1または2に記載の重合反応の停止方法。
  4. 前記分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物が、一般式(XI)中のR21〜R23がそれぞれ独立に炭素数1〜20の直鎖状アルキル基またはハロゲン原子である有機アルミニウム化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の重合反応の停止方法。
  5. 前記分岐アルキル構造を有しない有機アルミニウム化合物が、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、またはエチルアルミニウムジクロリドである、請求項1〜4のいずれかに記載の重合反応の停止方法。
  6. (B)成分が前記(A)成分とイオン対を形成する固体のホウ素化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の重合反応の停止方法。
  7. 重合反応における温度が−100〜250℃、圧力が常圧〜20MPa(gauge)である、請求項1〜6のいずれかに記載の重合反応の停止方法。
  8. ポリオレフィンの製造方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載の重合反応の停止方法を使用してポリオレフィンの重合反応を停止する工程を含むポリオレフィンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012035710A1 (ja) * 2010-09-16 2012-03-22 出光興産株式会社 高粘度高級アルファオレフィン重合体及びその製造方法

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