JP2010135101A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷却機構12は、燃料電池スタック11の前端側に接続され、燃料電池スタック11に冷媒を導入する冷媒供給流路47、および燃料電池スタック11から冷媒を導出する冷媒排出流路52と、燃料電池スタック11内において、冷媒供給流路47と冷媒排出流路52との間に連通する冷媒流路と、冷媒供給流路47と冷媒排出流路52との間で冷媒流路から分岐して設けられ、燃料電池スタック11内を流通して、燃料電池スタック11の後端側に冷媒を導く冷媒バイパス路55とを備え、熱交換器31は、燃料電池スタック11の後側に配置され、冷媒バイパス路55から熱交換器31に冷媒を導入することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
さらに、車両前部から補機まで流路を引き回す際、冷媒が流通する流路は、燃料電池スタックの外部に露出した状態で引き回されることになり、流路内を流通する冷媒は補機に到達するまでに熱量を奪われる。そのため、補機に到達した際には、冷媒の温度が低下しており、補機を効率的に加温することができないという問題がある。
また、熱交換器に導入される冷媒は、燃料電池スタックとの熱交換により熱量を受け取るとともに、燃料電池スタック内の中間冷媒導出部を流通した後に導入される。そのため、熱交換器への導入時における冷媒の熱量は、従来のように燃料電池スタックの外側から回り込んで熱交換器に導入される冷媒の熱量に比べて、高くなっている。これにより、熱交換器に導入されるアノードガスを効率的に加温することができ、燃料電池システムの起動時の暖気時間を短縮することができる。
(燃料電池システム)
図1は本発明の実施形態に係る燃料電池システムが搭載される燃料電池車両の概略側面図であり、図2は燃料電池システムを主体にした燃料電池車両の平面図である。なお、図中UPは上方、FRは前方、LHは左方を示している。
図1,2に示すように、燃料電池システム10は、燃料電池スタック11と、燃料電池スタック11を冷却するとともに、後述する補機を加温するための冷却機構12と、燃料電池スタック11に空気等の酸化剤ガス(カソードガス)を供給するためのカソードガス供給機構13と、燃料電池スタック11に水素ガス等の燃料ガス(アノードガス)を供給するためのアノードガス供給機構14とを備えている。
セル60は、例えばペルフルオロスルホン酸ポリマー(登録商標「ナフィオン」)等の固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んでなる膜電極構造体(MEA)を備え、このMEAの外側を一対のセパレータ(アノード側セパレータ及びカソード側セパレータ)61(図4参照)で挟持して形成されている。なお、セパレータ61は、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、あるいはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属板により構成されている。また、セル60の具体的な構成については後述する。
図1〜3に示すように、カソードガス供給機構13は、カソードガスである空気を所定圧力に加圧して燃料電池スタック11に向けて供給するエアポンプ(AP)20を備えている。このエアポンプ20は、燃料電池車両15の前側に配置されており、エアポンプ20と燃料電池スタック11との間には、エアポンプ20から送出される空気を燃料電池スタック11に供給するためのカソードガス供給路21が接続されている。このカソードガス供給路21は、エアポンプ20から後方に向けて延出し、燃料電池スタック11の後方に回り込んで燃料電池スタック11の後側から接続されている。
なお、ドレインバルブ41は、アノードガス供給機構14に滞留した生成水を排出するものである。また、パージバルブ42は、アノードガス循環路34を流通するアノードガス中の不純物(カソード電極から電解質膜を介してアノード電極に透過した空気に含まれる窒素等)の濃度が高くなったとき等、必要に応じて開弁してアノードオフガスを排出するものである。
次に、上述した燃料電池スタック11のセル60の構成について具体的に説明する。図4は、セルの平面図である。
セル60は、上述したようにMEA(不図示)の両側を一対のセパレータ61で挟持して形成され、長辺方向を燃料電池車両12の高さ方向と一致させた状態で配置された平面視長方形状のものである。セル60の高さ方向の上縁部には、セル60の厚さ方向(燃料電池車両12の前後方向)に連通して、カソードガスを供給するためのカソードガス入口連通孔62aと、アノードガスを供給するためのアノードガス入口連通孔63aとが形成されている。
次に、上述した本実施形態の燃料電池システム10の作動方法について説明する。
ところで、上述した燃料電池システム10では、低温域における補機類の凍結や、常温域におけるアノードガス供給機構14での結露水の発生を防止して発電の安定化を図るために、燃料電池システム10の起動直後に冷却機構12を流通する冷媒を用いて暖機を行っている。そこで、以下の説明では主として燃料電池システム10の起動時における補機の暖機方法について説明する。 まず図3,4に示すように、燃料電池システム10を起動すると、エアポンプ20からカソードガス供給路21を介してカソードガスが供給されるとともに、高圧タンク25からアノードガス供給路30を介してアノードガスが供給される。さらに、ウォータポンプ46が作動して冷却機構12中の冷媒が、燃料電池スタック11及び補機内を循環する。
その後、カソードに供給されたカソードオフガスは、カソードガス出口連通孔62bからカソードオフガス排出路22を流通し、希釈BOX23を通って車外へ排出される。同様に、アノードに供給されたアノードガスは、アノードガス出口連通孔63bからアノードオフガス排出路57を流通し、希釈BOX23を通って車外へ排出される。
なお、燃料電池システム10の起動時等、燃料電池スタック11の温度が比較的低い場合においては、燃料電池スタック11の温度を速やかに上昇させるために、サーモバルブ53を切り替えてラジエータ45に冷媒を循環させないようになっている。そのため、冷媒排出流路52から排出された冷媒は、サーモバルブ53を介して直接冷媒供給流路47に流通するようになっている。
この時、冷媒入口連通孔70aから導入された冷媒の温度をT1、冷媒バイパス路55に導入される冷媒の温度をT2、冷媒出口連通孔70bから排出される冷媒の温度T3とすると、T1<T2<T3となっている。すなわち、冷媒バイパス路55に導入される冷媒は、冷媒流路75への導入初期段階でMEAとの熱交換により加温された後、冷媒バイパス路55を通って第2出口部56から排出される。
この構成によれば、熱交換器31や、ドレインバルブ41、パージバルブ42、イオン交換器43等の補機を加温するための流路を燃料電池スタック11内に形成することで、燃料電池スタック11の後端側の第2出口部51と各補機との間に流路を引き回すのみで、各補機への冷媒の供給が可能になる。そのため、従来のように車両前方から燃料電池スタックの外側を回り込んで流路を引き回す構成に比べて、レイアウト性を向上させることができる。これに伴って、流路を設置するための部品点数を削減することができるとともに、流路に流通する冷媒量を短縮流路分だけ削減することが可能になり、製造コスト及びシステム重量を削減することができる。
また、燃料電池スタック11の外側に流路を引き回す構成に比べて、流路内の圧力損失を低減させることができるため、ウォータポンプ46の小型化が可能になり、燃料電池システム10のシステム重量を削減することができる。
この場合、補機への加温を促進するために冷媒に熱量を多く取り入れるには、第1出口部51近傍に流路を設け、この流路を熱交換器31に引き回す構成も考えられる。しかしながら、セル60内の圧力損失が大きいため、車両前方から熱交換器31まで、冷媒を引き回すだけの圧力を取り出すことができない。
これに対して、本実施形態のように燃料電池スタック11内における冷媒流路75の途中で分岐させることにより、冷媒の熱量と、冷媒を循環させるための圧力との双方を確実に確保した状態で、各補機へ冷媒を導入することが可能である。
一方、高圧タンク25から供給されたアノードガスは、熱交換器31に導入されて加温された後に、エゼクタ32を介して燃料電池スタック11に供給されるが、上述したように従来の構造では熱交換器31に導入される冷媒の熱量が低かった。そのため、燃料電池システム10の起動時における暖気中等において、熱交換器31によるアノードガスの加温が遅く、高圧タンク25から導入された低温のアノードガスと、一度燃料電池スタック11内を流通したアノードガスとでは、温度の差が大きく、アノードガス供給機構14内で結露水が発生していた。
これに対して、本実施形態では、上述したように熱交換器31に導入されるアノードガスを効率的に加温することができるため、一度燃料電池スタック11内を流通したアノードガスとの温度の差が縮まり、アノードガス供給機構14内での結露水の発生を抑制することが可能である。
図5は、燃料電池システムの他の構成を示す概略構成図である。なお、図5では補機周辺の構成のみを示しており、それ以外の構成については、上述した実施形態と同様である。
図5に示すように、加温流路157は、補機の前段で4つの分岐流路100〜102に分岐されている。各分岐流路100〜102は、各補機(熱交換器31、パージバルブ42、ドレインバルブ41)にそれぞれ接続された後、下流側において合流流路105に接続され、再び合流されている。そして、合流流路105には、イオン交換器43が接続されており、分岐流路100〜102から合流流路105に流入した冷媒は、イオン交換器43を流通して、冷媒中に存在するイオンが除去された後、再びその後冷媒排出流路52を流通するようになっている。また、各分岐流路100〜102と各補機との間には、それぞれバルブ110〜112が設けられ、燃料電池スタック11の冷媒バイパス路55から排出された冷媒は、バルブ110〜112を介して各補機に導入されるようになっている。
この場合、各分岐流路100〜102に流通する冷媒の流量を各バルブ110〜112や、流路径等によって調整し、各補機における熱交換量を設定することも可能である。
Claims (3)
- 反応ガスが供給され、発電を行う燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに供給する前記反応ガスを加温する熱交換器と、
冷媒を流通させて前記燃料電池スタックを冷却する冷却機構とを備えた燃料電池システムにおいて、
前記冷却機構は、前記燃料電池スタックの一端側に接続され、前記燃料電池スタックに冷媒を導入する冷媒導入部、および前記燃料電池スタックから冷媒を導出する冷媒導出部と、
前記燃料電池スタック内において、前記冷媒導入部と前記冷媒導出部との間に連通する冷媒流路と、
前記冷媒導入部と前記冷媒導出部との間で前記冷媒流路から分岐して設けられ、前記燃料電池スタック内を流通して、前記燃料電池スタックの他端側に冷媒を導く中間冷媒導出部とを備え、
前記熱交換器は、前記燃料電池スタックの他端側に配置され、前記中間冷媒導出部から前記熱交換器に冷媒を導入することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記中間冷媒導出部は、前記燃料電池スタック内における前記冷媒流路の上端部に位置することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池スタックは、前方にラジエータを配置する車両に搭載されるものであって、前記燃料電池スタックの一端側を前記車両の前方側に指向したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の燃料電池システム。
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