JP2010134346A - 光源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出射光の光軸のずれを効果的に抑制しつつ、発光波長域の選択性が向上された光源装置を提供すること。
【解決手段】この光源装置1は、光源3と、光源3から照射された光L1のうち、所定の波長範囲の光を選択的に透過させる波長選択素子7と、波長選択素子7によって透過された光L2を互いに直交する2つの直線偏光成分である偏光成分L3,L4に分離する偏光分離素子8と、それぞれの偏光成分L3,L4の光軸に対して所定の角度範囲を成すように配置され、その角度範囲に応じて偏光成分L3,L4の透過波長域が異なるように構成されたバンドパスフィルタ10a,10bとを備え、波長選択素子7は、所定の角度範囲に対するバンドパスフィルタ10a,10bの透過波長域の範囲を少なくとも含む光を、偏光分離素子8に向けて透過させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定波長域の光を出力する光源装置に関するものであり、特にバンドパスフィルタを内蔵する光源装置に関する。
従来から、屈折率の異なる誘電体薄膜を交互に積層し、その中間のキャビティ層を中間の屈折率を有する誘電体薄膜で形成される干渉フィルタを利用した分光装置が知られている(下記特許文献1参照。)。この分光装置は、回動自在に設けられた干渉フィルタを有し、平行光線を干渉フィルタに入射させる際に干渉フィルタに対する入射角を変化させることによって透過波長を連続的に変化させている。
同様な構成を有するものとして、誘電体多層膜フィルタが設けられた回転テーブルを回転させることによって誘電体多層膜フィルタに対する平行光の入射角度を制御することによって、入射角度に応じた波長可変性を実現する波長可変フィルタが知られている(下記特許文献2参照。)。
特開昭62−22034号公報 特開2004−184674号公報
ところで、上述した従来の構成においては、誘電体を積層したバンドパスフィルタによってより狭帯域の波長選択性を有する光源を実現しようとした場合には、バンドパスフィルタによって所望の波長域以外を遮断する必要がある。そのため、バンドパスフィルタの厚さが必然的に厚くなり、バンドパスフィルタへの平行光の入射角に応じて透過光の光軸がずれてしまう傾向にある。その結果、狭帯域で透過波長域を変化させようとした場合に光軸を調整する手段が必要になり装置が大型化してしまう。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、出射光の光軸のずれを効果的に抑制しつつ、発光波長域の選択性が向上された光源装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の光源装置は、所定の発光波長域を有する光源と、光源から照射された所定の発光波長域の光のうち、所定の波長範囲の光を選択的に反射もしくは透過させる波長選択素子と、波長選択素子によって反射もしくは透過された光を互いに直交する2つの直線偏光成分である第1及び第2の偏光成分に分離する偏光分離素子と、第1及び第2の偏光成分の少なくとも一方の光の光軸に対して所定の角度範囲を成すように配置され、角度範囲に応じて該光の透過波長域が異なるように構成されたバンドパスフィルタとを備え、波長選択素子は、所定の角度範囲に対応する透過波長域の範囲を少なくとも含む光を、偏光分離素子に向けて反射もしくは透過させる。
このような光源装置によれば、波長選択素子によって光源から照射された所定の発光波長域の光のうちの所定の波長範囲の光が反射もしくは透過され、その光が偏光分離素子によって互いに直交する偏光成分を有する第1及び第2の偏光成分に分離され、それらの2つの偏光成分の少なくとも一方が、その光の光軸に対して所定の角度範囲を成すように配置されたバンドパスフィルタに入射される。これにより、光軸に対するバンドパスフィルタの角度範囲に対応してバンドパスフィルタの透過波長域が設定され、この角度を適宜設定することで、広い波長範囲に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になる。ここで、バンドパスフィルタに入射する光は予め波長選択素子によって波長範囲が制限され、その波長範囲はバンドパスフィルタの透過波長域の範囲を少なくとも含むので、バンドパスフィルタの薄型化が可能になり、追加の補正機構を必要とすることなく出射光の光軸のずれを無くすことができる。
バンドパスフィルタは、第1の偏光成分がP偏光として入射され、かつ第1の偏光成分の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタと、第2の偏光成分がP偏光として入射され、かつ第2の偏光成分の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタとを有し、第1及び第2のバンドパスフィルタは、第1の角度に応じた透過波長域と第2の角度に応じた透過波長域とが一致するように配置され、第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を合波する、ことが好適である。
この場合、偏光分離素子によって分離された2つの偏光成分の一方が、その光の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタにP偏光として入射され、偏光分離素子によって分離された2つの偏光成分の他方が、その光の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタにP偏光として入射された後、2つのバンドパスフィルタを透過した光が合波されて出射される。ここで、2つのバンドパスフィルタにおける透過波長域が一致するように第1及び第2の角度が設定されている。これにより、第1及び第2の角度を適宜設定することで、広い波長範囲に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になるとともに、光源からの光を効率よく利用して出射させることができる。
また、バンドパスフィルタは、第1の偏光成分がS偏光として入射され、かつ第1の偏光成分の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタと、第2の偏光成分がS偏光として入射され、かつ第2の偏光成分の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタとを有し、第1及び第2のバンドパスフィルタは、第1の角度に応じた透過波長域と第2の角度に応じた透過波長域とが一致するように配置され、第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を合波する、ことも好適である。
この場合、偏光分離素子によって分離された2つの偏光成分の一方が、その光の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタにS偏光として入射され、偏光分離素子によって分離された2つの偏光成分の他方が、その光の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタにS偏光として入射された後、2つのバンドパスフィルタを透過した光が合波されて出射される。ここで、2つのバンドパスフィルタにおける透過波長域が一致するように第1及び第2の角度が設定されている。これにより、第1及び第2の角度を適宜設定することで、広い波長範囲に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になるとともに、光源からの光を効率よく利用して出射させることができる。
さらに、バンドパスフィルタは、第1の偏光成分がS偏光として入射され、かつ第1の偏光成分の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタと、第2の偏光成分がP偏光として入射され、かつ第2の偏光成分の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタとを有し、第1及び第2のバンドパスフィルタは、第1の角度に応じた透過波長域と第2の角度に応じた透過波長域とが一致するように配置され、第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を合波する、ことも好ましい。
この場合、偏光分離素子によって分離された2つの偏光成分の一方が、その光の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタにS偏光として入射され、偏光分離素子によって分離された2つの偏光成分の他方が、その光の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタにP偏光として入射された後、2つのバンドパスフィルタを透過した光が合波されて出射される。ここで、2つのバンドパスフィルタにおける透過波長域が一致するように第1及び第2の角度が設定されている。これにより、第1及び第2の角度を適宜設定することで、広い波長範囲に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になるとともに、光源からの光を効率よく利用して出射させることができる。
またさらに、偏光分離素子からの光の光軸に対するバンドパスフィルタの角度を変更する回動機構をさらに備える、ことも好ましい。かかる回動機構を備えれば、バンドパスフィルタを回動させることで、発光波長域を適宜変更することが可能になる。
さらにまた、偏光分離素子は、ダイクロイックミラーである、ことも好ましい。こうすれば、単一の素子でバンドパスフィルタに入射する光の波長範囲を制限することができるので、装置の簡略化が容易になる。
本発明の光源装置によれば、出射光の光軸のずれを効果的に抑制しつつ、発光波長域の選択性を向上させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る光源装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る光源装置の概略構成を示す平面図、図2は、図1の光源装置の主要な構成要素を概略的に示すブロック図である。
図1及び図2に示す光源装置1は、半導体検査装置等の各種検査装置において、特定の発光波長域(例えば、近赤外波長域)を有する光源として用いられる装置であり、放熱機構としてのヒートシンク2上に取り付けられた光源3と、その光源3から照射された光が入射されて、その光を変換して光ファイバ4を経由して外部出力する光変換光学系5と、光源3及び光変換光学系5を制御する制御系30とから構成されている。ここで、図1においては、紙面上において光源3の光軸に沿った方向にX軸をとり、紙面上においてX軸に垂直な方向に沿ってY軸、X軸及びY軸に垂直な方向に沿ってZ軸をとるものとする。
光源3は、発光波長域として可視光成分から赤外成分までの所定波長域を広く含むハロゲンランプ、白色LED等の光源装置であり、+X軸方向に位置する光変換光学系5に向けて非偏光状態の拡散光を出射する。
まず、光変換光学系5の構成について説明する。この光変換光学系5には、光源3の近傍から+X軸方向に沿って順に、コリメートレンズ6、波長選択素子7、及び偏光分離素子8が設けられている。
光源3からの拡散光はコリメートレンズ6によって平行光L1に変換され、波長選択素子7に入射する。波長選択素子7は、光源3の発光波長域を波長域として有する平行光L1のうち、所定の波長範囲(例えば、950nm〜1100nm)の光を選択するための素子であり、例えば、上記所定の波長範囲の光を透過し、その波長範囲以外の光を反射させるダイクロイックミラーである。この波長選択素子7はその反射面をX軸に対して傾斜させて配置されている。コリメートレンズ6から平行光L1が入射すると、波長選択素子7は、所定の波長範囲を有する光L2を偏光分離素子8に向けて+X軸方向に透過させ、それ以外の波長成分の光を不必要な光として+Y軸方向に反射させてビームダンパー9で消失させる。なお、波長選択素子7が選択する波長範囲は、光源装置1から最終的に出力される光の波長可変範囲(例えば、950nm〜1100nm。以下、「想定波長範囲」と呼ぶ。)を少なくとも含むように設定されている。
この波長選択素子7を透過する光L2を受ける偏光分離素子8は、光L2を互いに直交する2つの直線偏光成分に分離するための光学素子であり、例えば、キューブ状の偏光ビームスプリッタ(PBS)が用いられる。具体的には、この偏光分離素子8は、光L2からY軸に沿った偏光方向を有する偏光成分L3(以下、「水平偏光成分」とも言う。)を分離して+X軸方向に透過させると同時に、光L2からZ軸に沿った偏光方向を有する偏光成分L4(以下「垂直偏光成分」とも言う。)を分離して−Y軸方向に反射させる。
また、光変換光学系5には、波長選択素子7によって透過又は反射される偏光成分L3,L4の光軸上にそれぞれ、2つのバンドパスフィルタ10a,10bが設けられている。これらのバンドパスフィルタ10a,10bは、誘電体薄膜の積層構造を有するように形成されることで、試料面11a,11bに対する光の入射角に応じて透過波長域が異なるような性質を有し、2つのバンドパスフィルタ10a,10b間でP偏光及びS偏光のそれぞれの入射角に対する透過波長域の特性が同一にされている。例えば、試料面11a,11bに対する光の入射角が0度の場合は、中心波長が約1100nmで半値幅が3nmの透過波長域の特性を有し、入射角を大きくするに従って透過波長域が短波長側にシフトする。
バンドパスフィルタ10aは、Z軸に沿った回転軸を有するθステージ(回動機構)12a上にその試料面11aをZ軸に沿わせるように搭載され、水平偏光成分L3の光軸上に位置している。これにより、バンドパスフィルタ10aは、θステージ12aを回動させることにより、その試料面11aの法線と水平偏光成分L3の光軸との角度(入射角)を任意の角度に変更可能にされ、かつ、水平偏光成分L3はバンドパスフィルタ10aに対して常にP偏光の状態で入射することになる。
バンドパスフィルタ10bは、Y軸に沿った回転軸を有するθステージ(回動機構)12b上にその試料面11bをY軸に沿わせるように搭載され、垂直偏光成分L4の光軸上に位置している。具体的には、偏光分離素子8とバンドパスフィルタ10bとの間には想定波長範囲のS偏光を全反射するミラー13が配置され、−Y軸方向に出射された垂直偏光成分L4を+X軸方向に反射してバンドパスフィルタ10bに入射するようにされている。これにより、バンドパスフィルタ10bは、θステージ12bを回動させることにより、その試料面11bの法線と垂直偏光成分L4の光軸との角度(入射角)を任意の角度に変更可能にされ、かつ、垂直偏光成分L4はバンドパスフィルタ10bに対して常にP偏光の状態で入射することになる。
さらに、光変換光学系5には、バンドパスフィルタ10aによって透過された水平偏光成分L3の光軸に沿って、+X軸方向に順に、偏光合成素子14、ビームサンプラー15、シャッタ16、及び集光レンズ17が配置されている。また、この偏光合成素子14とバンドパスフィルタ10bとの間には想定波長範囲のS偏光を全反射するミラー18が設けられ、バンドパスフィルタ10bを透過した垂直偏光成分L4がミラー18によって反射されることにより、+Y軸方向に沿って偏光合成素子14に入射するようにされている。
この偏光合成素子14は、互いに直交する2つの偏光成分L3,L4を合波するための光学素子であり、例えば、キューブ状の偏光ビームスプリッタ(PBS)が用いられる。具体的には、この偏光合成素子14は、X軸に沿って入射する水平偏光成分L3と、Y軸に沿って入射する垂直偏光成分L4を合成して非偏光状態の合成光L5を生成して、+X軸方向に出射させる。偏光合成素子14によって合成された合成光L5は、その一部がビームサンプラー15によって反射されて、パワーモニタ19に導かれてその光強度がモニタされる。その一方で、合成光L5は、ビームサンプラー15、シャッタ16、集光レンズ17を介して光ファイバ4に導光されることにより、外部に照射される。
次に、制御系30の構成について説明すると、制御系30は、光源3を給電する光源用電源31と、θステージ12a,12bを回転駆動するステージ駆動回路32と、光源用電源31、ステージ駆動回路32、及びパワーモニタ19に接続された制御回路33とから構成されている。
この制御回路33にはコンピュータ端末34が接続され、コンピュータ端末34に対してパワーモニタ19によってモニタされた光強度値が出力可能にされるとともに、コンピュータ端末34からの制御信号に応じて光源用電源31の出力を調整することにより、光源3の光量調整も可能にされる。
また、制御回路33は、コンピュータ端末34からの制御信号に応じて、θステージ12a,12bの回転角を制御する機能も有する。このとき、制御回路33は、バンドパスフィルタ10aに対する水平偏光成分L3の入射角と、バンドパスフィルタ10bに対する垂直偏光成分L4の入射角とが同一となり、かつ、これらの入射角が所定の角度範囲(例えば、0度〜45度)になるようにθステージ12a,12bの回転角を変更制御する。この角度範囲は、光源装置1から最終的に出力される波長範囲である想定波長範囲に対応して定められる。このように、2つの偏光成分L3,L4の入射角を同一にすれば、バンドパスフィルタ10a,10bが、それぞれの入射角に応じた偏光成分L3,L4の透過波長域が一致するように配置されることになる。すなわち、バンドパスフィルタ10a,10bを透過後の光成分L3,L4は同じスペクトルプロファイルになる。
以上説明した光源装置1によれば、偏光分離素子8によって分離された水平偏光成分L3がバンドパスフィルタ10aにP偏光として入射され、偏光分離素子8によって分離された垂直偏光成分L4がバンドパスフィルタ10bに水平偏光成分L3と同じ入射角でP偏光として入射された後、2つのバンドパスフィルタ10a,10bを透過した光が合波されて外部に出射される。ここで、2つのバンドパスフィルタ10a,10bのP偏光に関する入射角に対する透過波長域の特性は同一にされているので、その入射角を適宜設定することで、想定波長範囲内に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になるとともに、光源からの光を効率よく利用して出射させることができる。
図3は、光源装置1におけるバンドパスフィルタ10a,10bに対する入射角θを変化させた場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。この結果より、垂直入射時(θ=0°)のピーク波長が約1100nmとなっており、入射角θを大きくするに従ってピーク波長が短波長側にシフトし、入射角θが45度で約975nmになっている。また、各入射角θにおいて安定した出力強度が得られており、想定波長範囲内に帯域幅の劣化も見られず、シングルピークでの狭帯域化が図られている。あわせて、波長可変範囲が100nm以上という良好な波長制御特性も実現されている。
さらに、バンドパスフィルタ10a,10bに入射する偏光成分L3,L4は予め波長選択素子7によって波長範囲が制限され、その波長範囲はバンドパスフィルタ10a,10bの透過波長域の範囲を少なくとも含むので、バンドパスフィルタ10a,10bの薄型化が可能になり、バンドパスフィルタ10a,10bを回動させても偏光成分L3,L4の光軸のずれを無くすことができる。
表1は、様々な基板厚t[mm]を有するバンドパスフィルタ10a,10bに関して、入射角θ[deg]毎の光軸のずれ量D[mm]を計算した結果を示している。表中、屈折角θ’[deg]はバンドパスフィルタ10a,10bの試料面での屈折角を示しており、光軸ずれ量Dは入射光と透過光の光軸間の距離を示しており、光軸のずれ量Dは下記式(1);
D=t×sin{1−cosθ/(n×cosθ’)} …(1)
によって計算される。ここで、nはバンドパスフィルタ10a,10bの材料の屈折率であり、波長1000nmに対する屈折率として1.508と仮定した。
Figure 2010134346


このように、基板厚t=0.5mmに比較して基板厚t=5mmの場合には光軸のずれ量Dが10倍程度の値になっていることが分かる。例えば、波長選択素子7が存在している場合は基板厚t=0.5mmとすることができるが、波長選択素子7が存在しない場合は基板厚t=5mmとする必要があり、この場合は入射角θが0〜45度の範囲で変化すると、光軸のずれ量Dの変化が10倍以上に増大してしまう。
ここで、本実施形態における利点を従来例及び比較例と比較しながらさらに説明する。
従来の特開昭62−22034号公報に開示された分光装置においては、光源からの光の偏光成分に分離せずにそのままバンドパスフィルタに入射させていた。図10は、この従来の分光装置におけるバンドパスフィルタに対する入射角θを変化した場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。このように、偏光成分を分離しない場合には、バンドパスフィルタへの入射角を大きくしていくと透過波長域のピークは短波長側にシフトしていくが、そのピーク値は低下し、帯域幅も拡大してしまっている。これは、図11の出力強度の波長特性を概念的に示すグラフに示すように、バンドパスフィルタに入射するP偏光成分の波長特性CPとS偏光成分の波長特性CSとの短波長側における差異によって生じる波長分離と呼ばれる現象が原因であることが分かった。
また、図12には、本発明の比較例である光源装置901の概略構成を示す平面図である。この光源装置901は、光源装置1の偏光分離素子8,偏光合成素子14、ミラー13,18、バンドパスフィルタ10b、及びθステージ12bを有さない点で光源装置1と異なる。つまり、光源装置901では、波長選択素子7を透過した光L2を非偏光状態のままでバンドパスフィルタ10aに入射させる。そして、制御回路33は、バンドパスフィルタ10aへの入射角を調整することで、光L2の透過波長域を所望の範囲に設定する。図13は、図12の電源装置901におけるバンドパスフィルタに対する入射角θを変化した場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。この場合も、バンドパスフィルタ10aへの入射角θを0度から45度まで大きくしていくと透過波長域のピークは100nmから970nm付近まで短波長側にシフトしていくが、そのピーク値は低下し、帯域幅も拡大してしまっている。
このような従来例及び比較例に対して、本実施形態の光源装置1では、2つの直線偏光成分を分離して、それぞれの偏光成分をバンドパスフィルタに対して同一の偏光状態及び同一の入射角で入射させることにより、100nm以上の波長範囲にわたって出力特性の安定化が実現された。
[実施形態2]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る光源装置101の概略構成を示す平面図である。この光源装置101の第1実施形態との相違点は、バンドパスフィルタ10a,10b及びθステージ12a,12bの設置方向が異なる点である。
すなわち、バンドパスフィルタ10aは、Y軸に沿った回転軸を有するθステージ12a上にその試料面11aをY軸に沿わせるように搭載され、水平偏光成分L3の光軸上に位置している。これにより、バンドパスフィルタ10aは、θステージ12aを回動させることにより、水平偏光成分L3の入射角を任意の角度に変更可能にされ、かつ、水平偏光成分L3はバンドパスフィルタ10aに対して常にS偏光の状態で入射することになる。
また、バンドパスフィルタ10bは、Z軸に沿った回転軸を有するθステージ12b上にその試料面11bをZ軸に沿わせるように搭載され、垂直偏光成分L4の光軸上に位置している。これにより、バンドパスフィルタ10bは、θステージ12bを回動させることにより、垂直偏光成分L4の入射角を任意の角度に変更可能にされ、かつ、垂直偏光成分L4はバンドパスフィルタ10bに対して常にS偏光の状態で入射することになる。
制御回路33は、コンピュータ端末34からの制御信号に応じて、バンドパスフィルタ10aに対する水平偏光成分L3の入射角と、バンドパスフィルタ10bに対する垂直偏光成分L4の入射角とが同一となり、かつ、これらの入射角が所定の角度範囲(例えば、0度〜45度)になるようにθステージ12a,12bの回転角を変更制御する。このように、同一の偏光状態で入射する2つの偏光成分L3,L4の入射角を同一にすれば、バンドパスフィルタ10a,10bが、それぞれの入射角に応じた偏光成分L3,L4の透過波長域が一致するように配置されることになる。
従って、このような光源装置101によっても、2つのバンドパスフィルタ10a,10bのS偏光に関する入射角に対する透過波長域の特性は同一にされているので、その入射角を適宜設定することで、想定波長範囲内に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になるとともに、光源からの光を効率よく利用して出射させることができる。
図5には、光源装置101におけるバンドパスフィルタ10a,10bに対する入射角θを変化させた場合の出力強度の波長特性を示す。この結果より、0度から45度までの入射角範囲において安定した出力強度が得られており、想定波長範囲内に帯域幅の劣化も見られず、シングルピークでの狭帯域化がより一層図られている。さらには、波長可変範囲が100nm以上という良好な波長制御特性も実現されている。
[実施形態3]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る光源装置201の概略構成を示す平面図である。この光源装置101の第1実施形態との相違点は、バンドパスフィルタ10b及びθステージ12bの設置方向が異なり、2つのバンドパスフィルタ10a,10bに異なる偏光状態で入射させる点である。
具体的には、バンドパスフィルタ10bは、Z軸に沿った回転軸を有するθステージ12b上にその試料面11bをZ軸に沿わせるように搭載され、垂直偏光成分L4の光軸上に位置している。これにより、バンドパスフィルタ10bは、θステージ12bを回動させることにより、垂直偏光成分L4の入射角を任意の角度に変更可能にされ、かつ、垂直偏光成分L4はバンドパスフィルタ10bに対して常にS偏光の状態で入射することになる。
制御回路33は、バンドパスフィルタ10aに対してP偏光で入射する水平偏光成分L3の入射角θPと、バンドパスフィルタ10bに対してS偏光で入射する垂直偏光成分L4の入射角θSとを、バンドパスフィルタ10a,10bの両者の透過波長域のピークが一致するように、かつ、これらの入射角θP,θSが所定の角度範囲(例えば、0度〜45度)になるように変更制御する。このように、バンドパスフィルタ10aとバンドパスフィルタ10b間での異なる偏光状態に起因する透過波長特性の差を考慮して制御すれば、バンドパスフィルタ10a,10bにおける入射角θP,θSに応じた偏光成分L3,L4の透過波長域が一致するようになり、出力における波長分離が回避される。
従って、このような光源装置201によっても、2つのバンドパスフィルタ10a,10bへの入射角θP,θSの組み合わせを適切に設定することで、想定波長範囲内に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になるとともに、光源からの光を効率よく利用して出射させることができる。
図7には、光源装置201におけるバンドパスフィルタ10a,10bに対するそれぞれの入射角θP,θSの組を変化させた場合の出力強度の波長特性を示す。この結果より、0度から45度までの入射角範囲において安定した出力強度が得られている。また、想定波長範囲内の帯域幅は光源装置1,101の場合に対して中間的な値になっており、同様にシングルピークでの狭帯域化が図られている。ここでも、波長可変範囲が100nm以上という良好な波長制御特性が実現されている。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、必ずしも2つの偏光成分を分離してそれらを合波する構成に限定されるものではない。
例えば、図8に示す本発明の変形例である光源装置301のような構成であってもよい。すなわち、偏光分離素子8によって分離された垂直偏光成分L4をビームダンパー302によって吸収し、水平偏光成分L3のみをバンドパスフィルタ10aを透過させることにより外部に照射させてもよい。同様に、垂直偏光成分L4のみを外部に照射させる構成であってもよい。この場合であっても、バンドパスフィルタ10aへの入射角を適宜設定することで出力における波長分離が回避され、想定波長範囲内に亘って発光特性の狭帯域化及び安定化が可能になる。
また、図9に示す本発明の変形例である光源装置401にように、波長選択素子407によって反射された光L2を偏光分離素子8に入射させるように構成されていてもよい。例えば、波長選択素子407を、想定波長範囲を含む所定の波長範囲の光を反射し、その波長範囲以外の光を透過させるダイクロイックミラーとし、そのダイクロイックミラーの反射面をY軸に対して傾斜させて配置してもよい。この場合、光源3から+Y軸方向に照射された所定の波長範囲を有する光L2が、偏光分離素子8に向けて+X軸方向に反射され、それ以外の波長成分の光が不必要な光として+Y軸方向に透過される。
本発明の第1実施形態に係る光源装置の概略構成を示す平面図である。 図2は、図1の光源装置の主要な構成要素を概略的に示すブロック図である。 図1の光源装置におけるバンドパスフィルタに対する入射角を変化させた場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る光源装置の概略構成を示す平面図である。 図4の光源装置におけるバンドパスフィルタに対する入射角を変化させた場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る光源装置の概略構成を示す平面図である。 図6の光源装置におけるバンドパスフィルタに対する入射角を変化させた場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。 本発明の変形例に係る光源装置の概略構成を示す平面図である。 本発明の別の変形例に係る光源装置の概略構成を示す平面図である。 従来例の分光装置におけるバンドパスフィルタに対する入射角を変化させた場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。 図10の出力強度の波長特性を概念的に示すグラフである。 本発明の比較例に係る光源装置の概略構成を示す平面図である。 図12の光源装置におけるバンドパスフィルタに対する入射角を変化させた場合の出力強度の波長特性を示すグラフである。
符号の説明
1,101,201,301,401…光源装置、3…光源、7,407…波長選択素子、8…偏光分離素子、10a,10b…バンドパスフィルタ、12a,12b…θステージ(回動機構)、L3…水平偏光成分、L4…垂直偏光成分。

Claims (6)

  1. 所定の発光波長域を有する光源と、
    前記光源から照射された前記所定の発光波長域の光のうち、所定の波長範囲の光を選択的に反射もしくは透過させる波長選択素子と、
    前記波長選択素子によって反射もしくは透過された光を互いに直交する2つの直線偏光成分である第1及び第2の偏光成分に分離する偏光分離素子と、
    前記第1及び第2の偏光成分の少なくとも一方の光の光軸に対して所定の角度範囲を成すように配置され、前記角度範囲に応じて該光の透過波長域が異なるように構成されたバンドパスフィルタとを備え、
    前記波長選択素子は、前記所定の角度範囲に対応する前記透過波長域の範囲を少なくとも含む光を、前記偏光分離素子に向けて反射もしくは透過させる、
    ことを特徴とする光源装置。
  2. 前記バンドパスフィルタは、前記第1の偏光成分がP偏光として入射され、かつ前記第1の偏光成分の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタと、前記第2の偏光成分がP偏光として入射され、かつ前記第2の偏光成分の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタとを有し、
    前記第1及び第2のバンドパスフィルタは、前記第1の角度に応じた透過波長域と前記第2の角度に応じた透過波長域とが一致するように配置され、
    前記第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を合波する、
    ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
  3. 前記バンドパスフィルタは、前記第1の偏光成分がS偏光として入射され、かつ前記第1の偏光成分の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタと、前記第2の偏光成分がS偏光として入射され、かつ前記第2の偏光成分の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタとを有し、
    前記第1及び第2のバンドパスフィルタは、前記第1の角度に応じた透過波長域と前記第2の角度に応じた透過波長域とが一致するように配置され、
    前記第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を合波する、
    ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
  4. 前記バンドパスフィルタは、前記第1の偏光成分がS偏光として入射され、かつ前記第1の偏光成分の光軸に対して第1の角度を成すように配置された第1のバンドパスフィルタと、前記第2の偏光成分がP偏光として入射され、かつ前記第2の偏光成分の光軸に対して第2の角度を成すように配置された第2のバンドパスフィルタとを有し、
    前記第1及び第2のバンドパスフィルタは、前記第1の角度に応じた透過波長域と前記第2の角度に応じた透過波長域とが一致するように配置され、
    前記第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を合波する、
    ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
  5. 前記偏光分離素子からの前記光の光軸に対する前記バンドパスフィルタの角度を変更する回動機構をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光源装置。
  6. 前記偏光分離素子は、ダイクロイックミラーである、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光源装置。
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