JP2010134225A - 光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法、光学的反射率および帯電性を有する粒子、ならびに情報表示用パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】被覆工程および複合化工程のそれぞれにおいて好適な温度条件を設定することにより、母粒子表面への子粒子の埋込深度が均一な複合構造粒子を得る。
【解決手段】情報表示用パネルの基板間の空間に封入する表示媒体を構成する、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子は、該粒子が1個の母粒子の表面に複数の子粒子を配置した複合型粒子であって、樹脂を主成分とする母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態で埋没固定した複合構造粒子である場合に、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成する被覆工程の設定温度T1を、母粒子の樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度に設定する。
【選択図】図6
【解決手段】情報表示用パネルの基板間の空間に封入する表示媒体を構成する、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子は、該粒子が1個の母粒子の表面に複数の子粒子を配置した複合型粒子であって、樹脂を主成分とする母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態で埋没固定した複合構造粒子である場合に、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成する被覆工程の設定温度T1を、母粒子の樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度に設定する。
【選択図】図6
Description
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を封入し、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法、該製造方法によって作製した光学的反射率および帯電性を有する粒子、ならびに、該製造方法によって作製した光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を用いる情報表示用パネルに関するものである。
液晶表示装置(LCD)に代わる情報表示装置として、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を封入し、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている。この情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法としては、重合法や粉砕法で作製した母粒子の表面に微粒子(子粒子)を付着させて作製する方法(例えば特許文献1参照)がある。
一般に、表示媒体を構成する粒子は、粒子径が小さくなると凝集力や付着力が増大してしまい、ハンドリング性が悪化することが知られている。この問題の対策として、シリカなどの無機微粒子を添加することにより流動性を改善する方法が知られている。また、レーザービームプリンタやコピー機などに使用される電子写真用トナーは、表面処理にシリカ微粒子を用いることにより、流動性を改善するだけでなく、帯電性も付与している。
上記情報表示用パネルは、帯電した粒子を電磁気力により駆動して気相中で瞬時に移動させることにより、画像等の情報を表示するように構成されている。そのため、駆動していない間は、粒子の持つ電荷に起因した相互作用力によって粒子が基板面に付着しているため、外部エネルギーを付与しなくても表示状態を維持することができる。例えば電気泳動型ディスプレイのように、液相中に分散した顔料を駆動する方式を用いた場合には、相内拡散が生じるため、表示状態を維持するために電場をかけ続けていないと、時間が経過するにつれて表示が消えていってしまう。また、電気泳動型ディスプレイは、粒子移動速度が液相の粘性抵抗の影響を受けるため、応答速度の面で不利になる。
一方、上記情報表示用パネルは、粒子の駆動を気相中で行って粒子を移動させるため、液相中に比べて非常に大きな粒子間相互作用を断ち切れるだけの、大きな外部電場を付与する必要がある。この問題の対策として、粒子表面を微粒子(子粒子)で覆い、表面に微細な凹凸を付与し、相互作用を発現する有効接触面積を減少させることにより、粒子全体としての粒子間相互作用を低減して付着力や凝集力を抑制する手法が考えられる。しかしながら、この手法によって得た粒子の場合、長期に渡って表示状態の書換を行うと、表面を覆った微粒子(子粒子)が対向する粒子や透明電極などに移行してしまうことにより、付着力が大きくなったり、帯電特性が変化してしまい、結果的に、画像等の情報の表示特性が変化したり、最悪の場合には表示不良となってしまったりすることになる。
この問題を解決するためには、微粒子(子粒子)の移行を防止する必要がある。本願出願人は、母粒子表面に微粒子(子粒子)を埋没させることにより、微粒子(子粒子)を移動できないようにした複合構造粒子の製造方法(例えば特許文献1参照)を提案している。この複合構造粒子の製造方法では、母粒子および子粒子を適切な剪断力を掛けながら混合することにより、「剪断力による子粒子の解砕」、「母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態(OM状態:Ordered-Mixture 状態)の形成」、「剪断発熱による母粒子表面への子粒子の埋没」という一連の現象を同時進行させる方法が提案されている。
しかしながら、上記のような一連の現象を同時進行させようとしても、実際には、均質に表面処理された複合構造粒子を得ることは困難である。特に問題になるのは、母粒子表面の一部だけに子粒子が埋没して、処理されていない部分が残ってしまう不具合である。このような不具合のある粒子が含まれている場合には、未処理部分の相互作用が強くなるため、付着性を悪化させることとなり、結果的に情報表示用パネルとしての繰り返し表示性能も悪くなってしまう。
そこで、特許文献1に記載の複合構造粒子の製造方法によって複合構造粒子を作製することが考えられるが、その場合、均質に表面処理された複合構造粒子を得るためには、原材料系、処理装置、処理条件の諸設定を、当該複合構造粒子を設計する際にその都度実施するしかなった。しかも、材料種毎に設定条件が大きく異なり、以前の知見が殆ど活用出来ないという問題もあった。この問題は、開発効率上大きな障害となるものである。
以上より、材料種が多少変動しても、一義的な条件設定で均質処理された複合構造粒子を得る製造方法が求められていた。
そこで、特許文献1に記載の複合構造粒子の製造方法によって複合構造粒子を作製することが考えられるが、その場合、均質に表面処理された複合構造粒子を得るためには、原材料系、処理装置、処理条件の諸設定を、当該複合構造粒子を設計する際にその都度実施するしかなった。しかも、材料種毎に設定条件が大きく異なり、以前の知見が殆ど活用出来ないという問題もあった。この問題は、開発効率上大きな障害となるものである。
以上より、材料種が多少変動しても、一義的な条件設定で均質処理された複合構造粒子を得る製造方法が求められていた。
本発明は、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成する被覆工程および子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程のそれぞれにおいて好適な温度条件を設定することにより、情報表示用パネルに用いたときにその表示品質を良好にする所望の複合構造粒子を得る技術(光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法、光学的反射率および帯電性を有する粒子、ならびに情報表示用パネル)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を封入し、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する、光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法であって、前記光学的反射率および帯電性を有する粒子が1個の母粒子の表面に複数の子粒子を配置した複合型粒子であって、樹脂を主成分とする母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態で埋没固定した複合構造粒子である場合に、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成する被覆工程の設定温度T1を、母粒子の樹脂材料が軟化することのない温度に設定するとともに、子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料の軟化点より低い温度に設定することを特徴とする。
本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法の好適例としては、前記被覆工程において、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態が処理材料全体で均質に形成された後に、前記複合化工程に移行すること、がある。
本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子は、請求項1または2に記載の製造方法によって作製される。
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に、請求項3に記載の光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を封入し、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示するように構成される。
上記本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法によれば、前記光学的反射率および帯電性を有する粒子が1個の母粒子の表面に複数の子粒子を配置した複合型粒子であって、樹脂を主成分とする母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態で埋没固定した複合構造粒子である場合に、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成する被覆工程の設定温度T1を、母粒子の樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度に設定するから、後に説明する実施例によって立証されるように、被覆工程において母粒子表面を軟化させることなく母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成することができる。したがって、情報表示用パネルに用いたときにその表示品質を良好にする所望の複合構造粒子を得る光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
まず、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を用いる情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。この情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間の空間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子を表示媒体として用いる情報表示用パネルの例を、図1(a),(b)〜図4(a),(b)、図5(a)〜(d)に基づき説明する。
図1(a),(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(TFT付き画素用電極)と基板2に設けた電極6(共通電極)とで形成する対向電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。電極は、基板の内側に露出して設けても、露出しないように設けてもよい。
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる少なくとも2種類の表示媒体(ここでは帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(ライン電極)と基板2に設けた電極6(ライン電極)とが対向して形成する対向電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。電極は、基板の外側に設けても、基板の内側に設けても、基板内部に埋め込むように設けてもよい。
図3(a),(b)に示す例では、3個のセルで表示単位(1ドット)を構成するカラー表示の例を示している。図3(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはセル21−1〜21−3の全てに白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを充填し、第1のセル21−1の観察者側に赤色カラーフィルター22Rを設け、第2のセル21−2の観察者側に緑色カラーフィルター22Gを設け、第3のセル21−3の観察者側に青色カラーフィルター22Bを設け、第1のセル21−1、第2のセル21−2および第3のセル21−3の3個のセルで表示単位(1ドット)を構成している。本例では、図3(a)に示すように、観察者側に、第1セル21−1〜第3のセル21−3の全てにおいて白色表示媒体3Wを移動することで、観察者に対し白色ドット表示を行うか、あるいは、図3(b)に示すように、観察者側に、第1セル21−1〜第3のセル21−3の全てにおいて黒色表示媒体3Bを移動することで、観察者に対し黒色ドット表示を行っている。なお、図3(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。電極は、基板の外側に設けても、基板の内側に設けても、基板内部に埋め込むように設けてもよい。各セルにおいて表示媒体の移動のさせ方で多色カラー表示を行うことができる。
図4(a)〜(d)に示す例では、まず、図4(a)、(c)に示すように、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成される少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waとして構成した粒子群からなる白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baとして構成した粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1の外側に設けた外部電界形成手段11と基板2の外側に設けた外部電界形成手段12との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図4(b)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色表示を、あるいは、図4(d)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を、白黒のドットでマトリックス表示している。なお、図4(a)〜(d)において、手前にある隔壁は省略している。また、基板1の内側には導電部材13を設けるとともに、基板2の内側には導電部材14を設けている。これら導電部材は設けなくてもよい。
以下、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子およびその製造方法について説明する。本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子は、図1(a),(b)〜図3(a),(b)、図4(a)〜(d)の情報表示用パネルの表示媒体を構成する粒子として用いることができるものであり、上記情報表示用パネルの少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を構成して封入されるものである。本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子を作製する際には、該光学的反射率および帯電性を有する粒子が1個の母粒子の表面に複数の子粒子を配置した複合型粒子であって、樹脂を主成分とする母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態で埋没固定した複合構造粒子である場合に、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態(Ordered-Mixture 状態;OM状態)を形成する被覆工程を行った後に、子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程を行うが、被覆工程の設定温度T1を、母粒子樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度(子粒子を構成する材料の軟化点より低い温度)に設定することを特徴としている。その際、被覆工程において、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態(OM状態)が処理材料全体で均質に形成された後に、複合化工程に移行することが好ましい。
本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法を検討した結果、「複合化工程が進行する前に、予め綺麗なOM状態が形成されることが重要である」ということが判明した。その理由は、複合構造粒子を構成する母粒子や子粒子等が以下の様な挙動を示すためであると推察される。すなわち、複合化工程では、子粒子が強い相互作用で強固に凝集している状態を解きほぐすような剪断力が子粒子塊に最初に働くことが必要であり、さらに、子粒子塊の解砕が生じた直後に、子粒子近傍に母粒子が存在していなければならず、子粒子近傍に母粒子が存在していないと、子粒子同士が再度凝集して安定状態に戻ってしまう。子粒子近傍に母粒子が存在している場合、異種材料表面を減少させる方が安定な状態になると考えられるので、上記のようなOM状態が優先的に形成されるものと思われる。
「最終的にOM状態になる直前に、凝集を解砕された子粒子塊」に直接与えられる剪断力は、処理装置のブレード等から直接加わるものよりも、共存している母粒子を介して加わるものの方が主体的であると思われる。その理由は、上記の通り、子粒子塊の解粉直後に母粒子が近傍に存在しない場合には、子粒子は再凝集して安定状態に戻ると考えられるからである。したがって、子粒子塊の解砕が順調に進むためには、配合子粒子が全て一様に解砕されてからOM状態で再配置されるまで、母粒子経由で剪断力が加え続けられる必要がある。つまり、母粒子がメディアミルのメディアのように機能し続けることが重要である。
一方、母粒子は子粒子を表面に埋没固定することにより複合構造粒子になる。よって、複合化工程では、子粒子の埋没が可能な程度に母粒子表面が柔らかくなっている必要がある。母粒子表面を熱可塑性樹脂とした場合、剪断発熱、もしくは処理槽の温調により上述した状況を作り出す(あるいは、結果的にそのような状態を取る)ことができる。複合化工程の開始時点で母粒子表面に十分均質なOM状態が形成されていない場合には、上述した母粒子のメディア効果が減少してしまっているので、子粒子塊の解砕や母粒子表面の子粒子被覆未達成部位への子粒子配列を促す剪断応力が、母粒子への子粒子埋没の進行によって吸収されてしまう。それにより、子粒子塊が残存して、OM状態の形成が不十分な状態(OM状態の形成が十分になされた子粒子とOM状態の形成が不十分な子粒子とが混在した状態)のまま、子粒子が固定化されたものになってしまうと推察される。このことは上記検討でも確認されており、「OM状態を形成する被覆工程で母粒子表面が軟化しないこと」および「OM状態を形成する被覆工程で母粒子表面が軟化しない程度に処理中の温度上昇を抑制すること」が更なる重要項目として提示された。
以上に基づいて、原材料種に依存せず、均質に表面処理された複合化粒子を作製し得る製造方法とするためには、以下に示す改良点があることを見出した。
(1)均質なOM状態を形成する被覆工程と、OM状態の子粒子を母粒子表面に固定化する複合化工程との2工程に分けて、各工程での温度条件を異なるものに設定する。
(2)被覆工程で(複合化工程に移行する前に)、十分均質なOM状態を形成する。
(3)被覆工程で母粒子表面が軟化しないような温度条件に設定する。
(4)被覆工程で母粒子表面が軟化しない程度に処理中の温度上昇を抑制する。
これらの改良点(1)〜(4)の全てを満たすのが、上述した「被覆工程の設定温度T1を、母粒子樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度に設定する」という温度条件である。
(1)均質なOM状態を形成する被覆工程と、OM状態の子粒子を母粒子表面に固定化する複合化工程との2工程に分けて、各工程での温度条件を異なるものに設定する。
(2)被覆工程で(複合化工程に移行する前に)、十分均質なOM状態を形成する。
(3)被覆工程で母粒子表面が軟化しないような温度条件に設定する。
(4)被覆工程で母粒子表面が軟化しない程度に処理中の温度上昇を抑制する。
これらの改良点(1)〜(4)の全てを満たすのが、上述した「被覆工程の設定温度T1を、母粒子樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度に設定する」という温度条件である。
本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法によれば、光学的反射率および帯電性を有する粒子が1個の母粒子の表面に複数の子粒子を配置した複合型粒子であって、樹脂を主成分とする母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態で埋没固定した複合構造粒子である場合に、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成する被覆工程の設定温度T1を、母粒子の樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度に設定するから、後に説明する実施例によって立証されるように、被覆工程において母粒子表面を軟化させることなく母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成することができる。したがって、本発明の製造方法によって複合構造粒子として作製した本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子を用いて構成した表示媒体を封入した情報表示用パネルは、帯電特性の変動が極めて小さくなるので、表示品質が良好になる。
以下、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んで構成した粒子群を表示媒体として用いる本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の基板となる背面基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフィン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可撓性のあるもの、および、ガラス、石英などの可撓性のない無機シートが挙げられる。表示面側にはこのうち透明なものを用いる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
必要に応じて情報表示用パネルに電極を設ける場合の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、アンチモン錫酸化物(ATO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法や、金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmである。背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。
必要に応じて基板に設ける隔壁については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜適正設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは5〜500μm、好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは5〜100μm、特に好ましくは5〜50μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図5に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示装置に搭載する情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図5に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示装置に搭載する情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
次に、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子について説明する。光学的反射率および帯電性を有する粒子は、そのまま該光学的反射率および帯電性を有する粒子だけで粒子群を構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて粒子群を構成して表示媒体としたりして用いられる。
光学的反射率および帯電性を有する粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、光学的反射率および帯電性を有する粒子を構成する樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
光学的反射率および帯電性を有する粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、光学的反射率および帯電性を有する粒子を構成する樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することができる。特に、粉砕および球状化を行う観点から、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、アクリルフッ素樹脂、ポリスチレン樹脂が好適である。
正帯電性の荷電制御剤としては、ポリアミン樹脂、3級アミノ基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等の荷電制御樹脂、イミダゾール化合物、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、並びにトリアミノトリフェニルメタン化合物等を用いることができる。
負帯電性の荷電制御剤としては、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体、及びカルボン酸塩基含有共重合体等の荷電制御樹脂、並びにCr、Co、Al、及びFe等の元素記号で表される金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物、並びにアルキルサルチル酸金属酸化物等がある。
上記の荷電制御剤の中でも、荷電制御樹脂を用いることが好ましいし、荷電制御樹脂は、帯電性を付与する官能基の含有量が0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。上記着色剤を配合して所望の色の粒子を作製できる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。上記着色剤を配合して所望の色の粒子を作製できる。
子粒子の材料としては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂材料、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機材料などが挙げられる。
また、本発明の光学的反射率および帯電性を有する粒子は、平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
さらに本発明では、光学的反射率および帯電性を有する粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、光学的反射率および帯電性を有する粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、光学的反射率および帯電性を有する粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
さらにまた、複数の粒子群を表示媒体として使用する場合には、使用した粒子群の内、最大の平均粒子径d(0.5)を示す粒子群のd(0.5)に対する、最小の平均粒子径d(0.5)を示す粒子群のd(0.5)の比を10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる表示媒体粒子群が互いに反対方向に動くので、互いの表示媒体粒子群を構成する粒子のサイズが近く、互いの表示媒体が反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電量は、ほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電挙動の飽和量が支配因子となっているということが分かった。
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電量測定を行うことにより、光学的反射率および帯電性を有する粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電量は、ほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電挙動の飽和量が支配因子となっているということが分かった。
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、光学的反射率および帯電性を有する粒子の帯電量測定を行うことにより、光学的反射率および帯電性を有する粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
さらに、光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成する表示媒体を気体中空間で駆動させる方式の情報表示用パネルに適用する場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、例えば図1(a),(b)〜図3(a),(b)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体の占有部分、隔壁4の占有部分(隔壁を設けた場合)、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
この空隙部分とは、例えば図1(a),(b)〜図3(a),(b)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体の占有部分、隔壁4の占有部分(隔壁を設けた場合)、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の気体中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
対向する基板間の気体中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
以下、本発明の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[母粒子の準備]
まず、着色顔料として顔料用チタニア(タイペークCR90:石原産業製)を100重量部含有する、ポリシクロオレフィン樹脂(ゼオネックス330−R:日本ゼオン製)コンパウンドを二軸混練機にて作成し、これを気流式粉砕分級機(IDS−LJ/MDS2:日本ニューマチック工業製)を用いて平均粒子径9.0μmになるよう分級した。これを溶融球形化装置(MR−10:日本ニューマチック工業製)にて処理して、全粒子がほぼ球形な白色母粒子を得た。
[母粒子の準備]
まず、着色顔料として顔料用チタニア(タイペークCR90:石原産業製)を100重量部含有する、ポリシクロオレフィン樹脂(ゼオネックス330−R:日本ゼオン製)コンパウンドを二軸混練機にて作成し、これを気流式粉砕分級機(IDS−LJ/MDS2:日本ニューマチック工業製)を用いて平均粒子径9.0μmになるよう分級した。これを溶融球形化装置(MR−10:日本ニューマチック工業製)にて処理して、全粒子がほぼ球形な白色母粒子を得た。
[子粒子の準備]
平均粒子径0.3μmの球状アモルファスシリカ微粒子(シーホスターKE:日本触媒製)を用意した。
平均粒子径0.3μmの球状アモルファスシリカ微粒子(シーホスターKE:日本触媒製)を用意した。
[母粒子および子粒子の複合化]
高機能粉体処理装置NOB−130(ホソカワミクロン製)を用意した。チャンバー内循環水を温調し、処理中の飽和温度を観察した。熱電対は処理用攪拌部品内に装着し、処理対象とする母粒子および子粒子が実際に剪断負荷を受ける環境の実温相当の値を測定した。
高機能粉体処理装置NOB−130(ホソカワミクロン製)を用意した。チャンバー内循環水を温調し、処理中の飽和温度を観察した。熱電対は処理用攪拌部品内に装着し、処理対象とする母粒子および子粒子が実際に剪断負荷を受ける環境の実温相当の値を測定した。
[処理条件]
以下のA〜Cの温度条件で処理を行った。
(A)循環水温度を15℃に設定し、十分混合した母粒子280gと子粒子40gとを高機能粉体処理装置NOB−130にて処理した。10分毎にサンプリングしながら連続して60分まで処理を行った。最終到達温度は35℃になった。処理時間10分で母粒子表面を子粒子が均一被覆した状態(OM状態)が粒子全体でバラツキ無く形成されていることを確認したが、処理時間60分の試料でも、母粒子および子粒子が複合化する段階には到達していなかった。
(B)循環水温度を85℃に設定したこと以外は、(A)と同様にして処理を行った。最終到達温度は約110℃になった。処理時間10分で一部の粒子は複合化が始まっていたが、バラツキが大きく、粒子表面の一部のみ複合化しているものと、一様に複合化しているものとが混在していた。粒子を連続60分処理した場合、母粒子表面への子粒子の埋込深度は変化するものの、均一性の向上は認められなかった。
(C)(A)の条件で10分処理を行った後、一度投入試料を全量回収した。次に、循環水温度を(B)の条件に変更した。循環水温度が安定したのを確認した後、回収した試料を再度全量投入して処理を継続実施した。条件変更後10分後(継続時間20分)に、複合化が均一に進行していることを確認した。その後、処理時間の経過と共に埋込深度は大きくなっていき、継続60分処理したものでは、子粒子がほぼ完全に埋没した状態になった。その際、粒子間での埋込深度バラツキは特に認められなかった。
以下のA〜Cの温度条件で処理を行った。
(A)循環水温度を15℃に設定し、十分混合した母粒子280gと子粒子40gとを高機能粉体処理装置NOB−130にて処理した。10分毎にサンプリングしながら連続して60分まで処理を行った。最終到達温度は35℃になった。処理時間10分で母粒子表面を子粒子が均一被覆した状態(OM状態)が粒子全体でバラツキ無く形成されていることを確認したが、処理時間60分の試料でも、母粒子および子粒子が複合化する段階には到達していなかった。
(B)循環水温度を85℃に設定したこと以外は、(A)と同様にして処理を行った。最終到達温度は約110℃になった。処理時間10分で一部の粒子は複合化が始まっていたが、バラツキが大きく、粒子表面の一部のみ複合化しているものと、一様に複合化しているものとが混在していた。粒子を連続60分処理した場合、母粒子表面への子粒子の埋込深度は変化するものの、均一性の向上は認められなかった。
(C)(A)の条件で10分処理を行った後、一度投入試料を全量回収した。次に、循環水温度を(B)の条件に変更した。循環水温度が安定したのを確認した後、回収した試料を再度全量投入して処理を継続実施した。条件変更後10分後(継続時間20分)に、複合化が均一に進行していることを確認した。その後、処理時間の経過と共に埋込深度は大きくなっていき、継続60分処理したものでは、子粒子がほぼ完全に埋没した状態になった。その際、粒子間での埋込深度バラツキは特に認められなかった。
図6はA〜Cの温度条件によって作製した粒子(Type−A,Type−B,Type−C(母粒子:ゼオネックス330R(Tg=123℃、荷重たわみ温度103℃)/タイペークCR90;子粒子:シーホスターKE(10%重量減温度≧250℃))における処理時間と処理槽中温度との相関関係を示すグラフであり、この図6のグラフは60分連続運転時データに基づいている。
Type−Aの粒子は、被覆工程と複合化工程とを同一温度条件かつ低温(15℃)で進行させたため、OM状態は形成できたが、子粒子を母粒子表面に埋没固定された複合構造粒子とはならなかった。
Type−Bの粒子は、被覆工程と複合化工程とを同一温度条件で進行させたが、高温(85℃)で処理したため、複合構造粒子とはなったが、複合化のバラツキが大きくなり、母粒子表面への子粒子の埋込深度が不均一になった。
Type−Cの粒子は、被覆工程と複合化工程とを異なる温度条件で進行させる際に、被覆工程の設定温度T1を母粒子の樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、複合化工程の設定温度T2を設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料の軟化点より低い温度に設定したため、所望の通りの、母粒子表面への子粒子の埋込深度が均一な複合構造粒子となった。
Type−Aの粒子は、被覆工程と複合化工程とを同一温度条件かつ低温(15℃)で進行させたため、OM状態は形成できたが、子粒子を母粒子表面に埋没固定された複合構造粒子とはならなかった。
Type−Bの粒子は、被覆工程と複合化工程とを同一温度条件で進行させたが、高温(85℃)で処理したため、複合構造粒子とはなったが、複合化のバラツキが大きくなり、母粒子表面への子粒子の埋込深度が不均一になった。
Type−Cの粒子は、被覆工程と複合化工程とを異なる温度条件で進行させる際に、被覆工程の設定温度T1を母粒子の樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、複合化工程の設定温度T2を設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料の軟化点より低い温度に設定したため、所望の通りの、母粒子表面への子粒子の埋込深度が均一な複合構造粒子となった。
本発明の製造方法によって作製した粒子を表示媒体として用いる情報表示用パネルは、ノートパソコン、電子手帳、PDA(Personal Digital Assistants )と呼ばれる携帯型情報機器、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞、電子マニュアル(電子取扱説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板やホワイトボード等の掲示板、電子卓上計算機、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence 、Point Of Purchase advertising )、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、POS端末、カーナビゲーション装置、時計など様々な電子機器の表示部に好適に用いられる。他に、外部電界形成手段によって表示を書き換える表示部(いわゆるリライタブルペーパー)としても好適に用いられる。
なお、本発明の粒子を表示媒体として用いる情報表示用パネルは、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリックス駆動型表示用パネルやスタティック駆動型表示用パネル、また、薄膜トランジスタ(TFT)で代表される三端子スイッチング素子あるいは薄膜ダイオード(TFD)で代表される二端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動型表示用パネルなど、情報表示用パネルのパネル基板間に封入した粒子群を表示媒体として駆動させる種々のタイプの駆動方式の情報表示用パネルとすることができる。
なお、本発明の粒子を表示媒体として用いる情報表示用パネルは、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリックス駆動型表示用パネルやスタティック駆動型表示用パネル、また、薄膜トランジスタ(TFT)で代表される三端子スイッチング素子あるいは薄膜ダイオード(TFD)で代表される二端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリックス駆動型表示用パネルなど、情報表示用パネルのパネル基板間に封入した粒子群を表示媒体として駆動させる種々のタイプの駆動方式の情報表示用パネルとすることができる。
1、2 基板
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 負帯電性白色粒子
3Ba 正帯電性黒色粒子
4 隔壁
5、6 電極
11,12 外部電界形成手段
13,14 導電部材
21−1 第1のセル
21−2 第2のセル
21−3 第3のセル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22B 青色カラーフィルター
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 負帯電性白色粒子
3Ba 正帯電性黒色粒子
4 隔壁
5、6 電極
11,12 外部電界形成手段
13,14 導電部材
21−1 第1のセル
21−2 第2のセル
21−3 第3のセル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22B 青色カラーフィルター
Claims (4)
- 少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を封入し、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する、光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法であって、
前記光学的反射率および帯電性を有する粒子が1個の母粒子の表面に複数の子粒子を配置した複合型粒子であって、樹脂を主成分とする母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態で埋没固定した複合構造粒子である場合に、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態を形成する被覆工程の設定温度T1を、母粒子の樹脂材料の軟化点より低い温度に設定するとともに、子粒子を母粒子表面に埋没固定する複合化工程の設定温度T2を、前記設定温度T1より高く、かつ、子粒子を構成する材料が軟化することのない温度に設定することを特徴とする光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法。 - 前記被覆工程において、母粒子表面に子粒子を均一被覆した状態が処理材料全体で均質に形成された後に、前記複合化工程に移行することを特徴とする請求項1に記載の光学的反射率および帯電性を有する粒子の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法によって作製したことを特徴とする光学的反射率および帯電性を有する粒子。
- 少なくとも一方が透明な2枚の基板間の空間に、請求項3に記載の光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を封入し、表示媒体を移動させて情報画像を表示することを特徴とする情報表示用パネル。
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