JP2010133344A - 排気浄化装置及び排気浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルタの再生処理時間を短縮し得る装置を提供する。
【解決手段】排気通路に設けられ排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ(13)と、このフィルタ(13)の再生時期になった場合にフィルタ(13)の再生処理を実行するフィルタ再生処理実行手段とを備える排気浄化装置において、フィルタ(13)の再生時期になった場合にパティキュレートが燃焼する温度にまで排気温度を昇温させ(ステップ13、15)と、このパテキュレートの燃焼中に排気流量を絞る(図4のステップ12、16、17)。
【選択図】図4
【解決手段】排気通路に設けられ排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ(13)と、このフィルタ(13)の再生時期になった場合にフィルタ(13)の再生処理を実行するフィルタ再生処理実行手段とを備える排気浄化装置において、フィルタ(13)の再生時期になった場合にパティキュレートが燃焼する温度にまで排気温度を昇温させ(ステップ13、15)と、このパテキュレートの燃焼中に排気流量を絞る(図4のステップ12、16、17)。
【選択図】図4
Description
本発明は、排気浄化装置及び排気浄化方法、特にディーゼルエンジンの排気中のパティキュレートを捕集するフィルタの再生処理に関する。
排気通路にフィルタを備え、このフィルタに堆積したパティキュレート量が所定値を超えたとき、燃料噴射弁によるメイン噴射直後の膨張行程前半にポスト噴射を実行し、これによってフィルタの再生処理を行わせるものがある(特許文献1参照)。
特許第3671455号公報
ところで、高負荷状態で運転する機会が少ない場合に、パティキュレートを燃焼させるには、排気昇温処理が必要である。排気昇温処理として例えばポスト噴射を実行する場合に、フィルタの再生処理時間が長引けばそれに応じてポスト噴射を実行する時間が長引くため燃費が悪くなる。また、ポスト噴射時期を遅らせるほど排気通路での後燃えが生じてフィルタ温度の上昇に効果があるものの、ポスト噴射時期を遅らせるほどオイル希釈割合が大きくなってしまう。従って、燃費向上、オイル希釈の抑制のためには、フィルタの再生処理時間を短くすることである。
そこで本発明は、フィルタの再生処理時間を短縮し得る装置を提供することを目的とする。
本発明は、排気通路に設けられ排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、このフィルタの再生時期になった場合にフィルタの再生処理を実行するフィルタ再生処理実行手段とを備える排気浄化装置において、フィルタの再生時期になった場合にパティキュレートが燃焼する温度にまで排気温度を昇温させ、このパテキュレートの燃焼中に排気流量を絞るように構成する。
本発明によれば、排気通路に設けられ排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、このフィルタの再生時期になった場合にフィルタの再生処理を実行するフィルタ再生処理実行手段とを備える排気浄化装置において、フィルタの再生時期になった場合にパティキュレートが燃焼する温度にまで排気温度を昇温させ、このパテキュレートの燃焼中に排気流量を絞るので、フィルタに捕集されているパティキュレートを現状制御の場合よりも急速に燃やすことが可能であり、これによって短時間でフィルタの再生を終了させることができる。このため、排気昇温処理をポスト噴射で行う場合に、ポスト噴射を行う時間が現状制御の場合よりも短くなり、その短縮分だけ燃費を向上させることができ、オイル希釈の悪化を抑制できる。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態のディーゼルエンジン1の排気浄化装置を示す概略構成図である。ディーゼルエンジン1は車両に搭載されている。
図1において、ディーゼルエンジン1の吸気通路2には可変ノズル型のターボチャージャ3の吸気コンプレッサが備えられ、吸入空気は吸気コンプレッサによって過給され、インタークーラ4で冷却され、スロットルバルブ5(スロットルバルブ開度を調整可能なスロットル装置)を通過した後、コレクタ6を経て、各気筒の燃焼室内へ流入する。燃料は、コモンレール式燃料噴射装置により、すなわち、高圧燃料ポンプ7により高圧化されてコモンレール8に送られ、各気筒の燃料噴射弁9から燃焼室内へ直接噴射される。燃焼室内に流入した空気と燃料噴射弁9から噴射された燃料はここで圧縮着火により燃焼し、排気は排気通路10へ流出する。
排気通路10へ流出した排気の一部は、EGRガスとして、EGR通路11によりEGRバルブ12(EGR量を調整可能なEGR装置)を介して吸気側に還流される。排気の残りは、可変ノズル型のターボチャージャ3の排気タービンを通り、排気タービンを駆動する。
エンジンコントロールユニット21には、アクセルセンサ22からのアクセル開度(アクセルペダルの踏込量のこと)、クランク角センサ23からのエンジン回転速度の各信号が入力されている。そしてコントロールユニット21では、エンジン負荷(アクセル開度など)及びエンジン回転速度に基づいて、メイン噴射の燃料噴射時期及び燃料噴射量を算出し、これらに対応する開弁指令信号を燃料噴射弁9に出力する。また、エンジンコントロールユニット21では、目標EGR率と目標吸入空気量とが得られるようにEGR制御と過給圧制御を協調して行う。なお、エンジンコントロールユニット21は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成されている。
排気通路10の排気タービン下流には、排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ13(図では「DPF」で略記)を配置してある。フィルタ13のパティキュレート捕集量が後述する目標捕集量(閾値)に達すると、エンジンコントロールユニット21ではメイン噴射直後の膨張行程あるいは排気行程でポスト噴射を行うことにより、フィルタ13の再生処理を行い、フィルタ13に捕集されているパティキュレートを燃焼除去し、フィルタ13を再生する。すなわち、目標となる再生温度が得られるようにエンジンの負荷と回転速度と(運転条件)に応じてポスト噴射量とポスト噴射時期とを予め定めており、そのときのエンジンの負荷と回転速度とに応じたポスト噴射量とポスト噴射時期とが得られるようにポスト噴射を行う。
フィルタ13に捕集されているパティキュレートの全てが燃焼除去される完全再生を行わせるには再生処理時にフィルタ13の許容温度を超えない範囲で少しでもパティキュレートの燃焼温度を高めてやることが必要となる。このため本実施形態ではフィルタ13の上流に酸化触媒(貴金属)14を配置してある。この触媒14によりフィルタ13の再生処理のためのポスト噴射によって流入する排気成分(HC、CO)を燃焼させてフィルタ13の温度を高めフィルタ13内のパティキュレートの燃焼を促進させる。なお、触媒14をフィルタ13の手前に別体で設けるのでなくフィルタ13を構成する担体に酸化触媒をコーティングしてもよい。このときには、パティキュレートが燃焼する際の酸化反応を促進してその分フィルタ41の温度を実質的に上昇させ、フィルタ13内のパティキュレートの燃焼を促進させることとなる。
なお、触媒14は酸化触媒に限られない。酸化機能を備える触媒(例えば三元触媒)であれば、酸化触媒に代えることができる。
さて、車両を高負荷状態で運転する機会が少ない場合に、フィルタ13に捕集されているパティキュレートを燃焼させるには、排気昇温処理が必要である。排気昇温処理として上記のようにポスト噴射を実行する場合に、フィルタ13の再生処理時間が長引けばそれに応じてポスト噴射を実行する時間が長引くため、燃費が悪くなる。また、ポスト噴射時期を遅らせるほど排気通路10での後燃えが生じてフィルタ温度の上昇に効果があるものの、ポスト噴射時期を遅らせるほどオイル希釈割合が大きくなってしまう。従って、燃費向上、オイル希釈の抑制のためには、フィルタ13の再生処理時間を現状の制御の場合よりも短くすることである。なお、「オイル希釈」とは、ポスト噴射により燃料噴射弁9から噴かれた燃料がシリンダ壁に衝突して壁流となり、シリンダ壁に形成された壁流燃料がピストンリングとシリンダ壁の間をすり抜けてクランク室内に入り、クランク室内のオイルに混入していく現象のことである。
上記フィルタ13の再生処理時間を現状の制御の場合よりも短くすることについて、さらに説明すると、図2は車両の定常運転時に再生フラグ、フィルタ入口の排気温度(以下「フィルタ入口温度」という。)Tin、フィルタ温度Tbed、スロットルバルブ開度TVO、パティキュレート残存量PMxがどのように変化するのかをモデルで示している。
まず現状の制御から説明すると、t1のタイミングでパティキュレート捕集量が目標捕集量PMα以上になると再生フラグをゼロから1に切換える。この再生フラグの1への切換を受けて、排気昇温処理が行われる。排気昇温処理としてポスト噴射を行うと共に、スロットルバルブ開度TVOを第1スロットルバルブ開度TVO1として全開位置より少しだけ小さくして排気流量を絞っている。この排気昇温処理によってフィルタ入口温度Tinは、図2第2段目に細い一点鎖線で示したようにt1のタイミングより少し遅れて、目標温度(例えば580℃程度)へと上昇し収束する。
排気昇温処理によってフィルタ13に捕集されているパティキュレートが燃焼し始め、図2第5段目に細実線で示したように、パティキュレート残存量PMxが減少していく。パティキュレートは600℃程度になると盛んに燃焼する。盛んに燃焼する状態ではフィルタ温度Tbedが急上昇してフィルタ13の上限温度Tbedlimを超えかねないので、そうならないよう上記580℃程度を排気昇温処理の目標温度として定め、フィルタ温度Tbedがこの目標温度と一致するように第1スロットルバルブ開度TVO1とポスト噴射量、ポスト噴射時期とを定めている。ここで、「フィルタ温度」とは、フィルタ13に捕集されているパティキュレートの燃焼に伴う発熱をも考慮した温度のことである。例えば、パティキュレートが燃焼している状態ではフィルタ入口の排気温度よりもフィルタ出口の排気温度のほうが高くなる。このときのフィルタ温度は、入口温度と出口温度の中間の温度となる。簡単には入口温度と出口温度の平均値をフィルタ温度とすることができる。温度センサによりフィルタ温度を検出する場合には、パティキュレートの燃焼による発熱が考慮される位置に温度センサを取り付ける必要がある。
フィルタ温度Tbedは、図2第2段目に細実線で示したようにフィルタ入口温度Tinよりも遅れて上昇し始め、t2のタイミングでフィルタ入口温度Tinを横切って上昇する。フィルタ13の温度Tbedがフィルタ入口温度Tinよりも遅れて上昇するのは、排気の熱が所定の熱容量を有するフィルタ13の温度を上昇させるのに使われるためである。また、フィルタ温度Tbedがフィルタ入口温度Tinより高くなるのは、フィルタ13に捕集されているパティキュレートの燃焼に伴う発熱によってフィルタ温度が排気温度よりも上昇するためである。
パティキュレートの燃焼が開始した後に、パティキュレート残存量PMxがある値以下となれば、パティキュレートが燃焼していてもフィルタ温度を上昇させるほどにならない。つまり、パティキュレート残存量PMxがある値以下となるt6のタイミングでフィルタ温度Tbedは、フィルタ入口温度(=目標温度)と一致する。従って、フィルタ温度Tbedがフィルタ入口温度Tinを上回る図示のハッチング領域がフィルタ温度の上昇に寄与したパティキュレートの発熱量に相当する。
上記t6のタイミングではまだパティキュレートがフィルタ13に残存している。従って、パティキュレート残存量PMxが所定値PMx1(ゼロに近い値)となるt7のタイミングでフィルタ13の再生が終了したと判定し、再生フラグを1からゼロに切換える。再生フラグがゼロに戻され、排気昇温処理が中止されると、フィルタ入口温度Tinは、図2第2段目に細い一点鎖線で示したようにフィルタ再生処理前の温度へと戻って落ち着く。フィルタ温度Tbedは、図2第2段目に細実線で示したようにこの入口温度Tinの変化に遅れて低下し、フィルタ再生処理前の温度へと戻って落ち着く。
以上が現状制御でのフィルタ13の再生処理の概要である。フィルタ13に捕集されているパティキュレートをフィルタ13の上限温度Tbedlimを超えない範囲で一気に燃やし切ることができれば、現状制御の場合よりもフィルタ13の再生に要する時間を短縮でき、ポスト噴射を実行する時間が短くなり、燃費を向上できる。
そこで本発明では、フィルタ13に捕集されているパティキュレートが燃焼しているタイミングになると、排気昇温処理に代わって新たに急速昇温処理を行わせる。これについて図2をさらに参照して説明すると、図2に本発明による急速昇温処理を重ねて記載している。図2において、細線が現状制御の場合、太い線が本発明の場合である。
フィルタ温度Tbedがフィルタ入口温度Tinを超えていれば、フィルタ13に捕集されているパティキュレートが燃焼していると判定することができる。フィルタ入口温度Tinが目標温度となるように排気昇温処理を行っていても、実際にはフィルタ入口温度Tin(つまりフィルタ温度Tbed)にバラツキがあるため余裕代ΔTをとり、フィルタ入口温度Tinに余裕代ΔTを加算した値をフィルタ温度Tbedが超えるt3のタイミングで、フィルタ13に捕集されているパティキュレートが燃焼していると判定し、排気昇温処理を中止すると共に、スロットルバルブ開度を第2スロットルバルブ開度TVO2として排気流量を排気昇温処理時よりも絞ることにより急速昇温処理を行わせる。
この場合、排気流量を絞るといっても限度がある。排気流量を絞りすぎると、フィルタ13に捕集されているパテキュレートに酸素が供給されなくなり燃焼できなくなる。パティキュレートの自己着火には排気中に3%以上の酸素濃度があることが必要であるので、排気中に3%以上の酸素濃度が存在するように第2スロットルバルブ開度TVO2を設定する。
t3での排気昇温処理の中止によってポスト噴射が中止されるため、フィルタ入口温度Tinはt3のタイミングより低下し、ある値へと落ち着く。すなわち、フィルタ入口温度Tinの低下は、主にポスト噴射の中止に因るものである。一方、パテキュレートの燃焼に伴う発熱のうちの一部は排気によってフィルタ13の下流に持ち出される。この場合に、t3で排気流量を絞ると、排気によって下流に持ち出される熱量が減少する。その減少分の熱量がフィルタ13の昇温に使われフィルタ温度Tbedが上昇する。このフィルタ温度Tbedの上昇によってフィルタ13に捕集されているパティキュレートの燃焼が、現状制御の場合よりも活発となるため、パティキュレート残存量が、図2第5段目に太い実線で示したように現状制御の場合より急激に減少する。この結果、本発明のフィルタ温度Tbedは、図2第2段目に太い実線で示したように、現状制御の場合よりも急上昇する。一方、パティキュレート残存量は現状制御の場合より急激に減少するため、ピークを採った後にフィルタ温度Tbedは急激に低下し、t4のタイミングでフィルタ入口温度と一致している。
そして、本発明においてもパティキュレート残存量PMxが所定値PMx1となるt5のタイミングでフィルタ13の再生が終了したと判定し、再生フラグを、図2最上段に太い実線で示したように1からゼロに切換える。再生フラグがゼロに戻され、本発明の急速昇温処理が中止されると、フィルタ入口温度Tinは、図2第2段目に太い一点鎖線で示したようにフィルタ再生処理前の温度へと戻って落ち着く。フィルタ温度Tbedは、この入口温度Tinの変化に遅れて低下し、フィルタ再生処理前の温度へと戻って落ち着く。
このように、本発明によれば、フィルタ13に捕集されているパティキュレートを、現状制御の場合より急激に燃やすことができるため、再生終了のタイミングをt7よりt5へと早めることができる。
エンジンコントロールユニット21で実行されるこの制御を図3、図4のフローチャートにより詳述する。
図3は急速昇温フラグを設定するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ1〜5では、
〈1〉再生フラグ=1であること(フィルタの再生処理中であること)、
〈2〉車両の減速時でないこと、
〈3〉パティキュート残存量PMxが所定の範囲(上限値PMxmaxと下限値PMx minの間の範囲)にあること、
〈4〉フィルタ温度Tbedが所定の範囲(上限値Tbedmaxと下限値Tbedm inの間の範囲)にあること、
〈5〉フィルタ温度tbedがフィルタ入口温度Tinに余裕代ΔTを加算した値より 大きいこと
の条件が成立しているか否かみて、全ての条件を満たすときにステップ6に進んで急速昇温フラグ=1とし、いずれか一つの条件でも満たさないときにはステップ7に進んで急速昇温フラグ=0とする。
〈1〉再生フラグ=1であること(フィルタの再生処理中であること)、
〈2〉車両の減速時でないこと、
〈3〉パティキュート残存量PMxが所定の範囲(上限値PMxmaxと下限値PMx minの間の範囲)にあること、
〈4〉フィルタ温度Tbedが所定の範囲(上限値Tbedmaxと下限値Tbedm inの間の範囲)にあること、
〈5〉フィルタ温度tbedがフィルタ入口温度Tinに余裕代ΔTを加算した値より 大きいこと
の条件が成立しているか否かみて、全ての条件を満たすときにステップ6に進んで急速昇温フラグ=1とし、いずれか一つの条件でも満たさないときにはステップ7に進んで急速昇温フラグ=0とする。
上記〈1〉の再生フラグは、パティキュレート捕集量が目標捕集量PMα未満であるときにゼロであり、パティキュレート捕集量が目標捕集量PMα以上となったとき1となるフラグである。ここで、パティキュレート捕集量は差圧センサ26により検出されるフィルタ13の圧力損失に基づいて演算する。
上記〈2〉を満たすことを条件としているのは次の理由からである。すなわち、燃料カットが行われる車両の減速時には、この燃料カット制御との関係を考慮する必要があり、制御が複雑化するので、これを避けるためである。従って、定常時と加速時にだけ本発明のフィルタ再生処理が行われる。
上記〈3〉と〈4〉を満たすことを条件としているのは、フィルタ13に捕集されているパティキュレートの燃焼に伴う発熱により適度な温度上昇が得られる場合に限って急速昇温処理を行わせるためである。すなわち、パティキュレート残存量PMxが少ないと、燃焼しても発熱量が小さくフィルタ温度が上昇しないので、フィルタ13の温度上昇に寄与しないパティキュレート量の上限をパティキュレート残存量の下限値PMxminとして設定しておき、パティキュレート残存量PMxがこの下限値PMxminを超える場合に急速昇温処理を行わせ、パティキュレート残存量PMxが下限値PMxmin以下である場合には急速昇温処理を行わせない。また、何らかの原因により、フィルタ13の再生処理が不完全に終わる(つまりフィルタ13にパティキュレートの燃え残りが生じる)ことがあり、このときには次回のフィルタ再生処理時に目標捕集量PMαを超える量のパティキュレートがフィルタ内で燃焼し、これによってフィルタ13の上限温度Tbedlimを超えてしまうことが考えられる。そこで、目標捕集量PMαをパティキュレート残存量の上限値PMxmaxとして設定しておき、パティキュレート残存量PMxがこの上限値PMxmax未満である場合に急速昇温処理を行わせ、パティキュレート残存量PMxが上限値PMxmax以上である場合には急速昇温処理を行わせない。
ここで、パティキュレート残存量PMxを演算するには公知の手法(特開2005−201251号公報参照)を用いればよい。例えば、フィルタの再生中にフィルタ温度が目標フィルタ温度以上となっている期間を積算して有効再生期間を演算し、この有効再生期間に基づいてパティキュレート再生量PMrを推定し、再生処理の開始タイミングでのパティキュレート捕集量からこの推定されるパティキュレート再生量PMrを差し引いた値をパティキュレート残存量PMxとして演算する。
一方、パティキュレートが自己着火しない温度であるときにはパティキュレートは燃焼しないのであるから、パティキュレートが自己着火しない温度であるときに急速昇温処理を行わせることは無駄である。そこで、パティキュレートが自己着火する温度の下限値(例えば500℃程度)をフィルタ温度の下限値Tbedminとして設定しておき、フィルタ温度Tbedがこの下限値Tbedmin以下である場合には急速昇温処理を行わせない。また、急速昇温処理により、フィルタ13に捕集されているパティキュレートを燃焼させたときにフィルタ13の上限温度Tbedlimを超えることがないように、フィルタ温度の上限値Tbedmax(例えば650℃程度)を設定しておき、フィルタ温度Tbedがこの上限値Tbedmax以上である場合には急速昇温処理を行わせない。
上記〈5〉を満たすことを条件としているのは、フィルタ13に捕集されているパティキュレートが燃焼している場合に急速昇温処理を開始させるためである。すなわち、フィルタ入口温度Tinに余裕代ΔTを加算した値をフィルタ温度Tbedが超えている場合に、フィルタ13に捕集されているパティキュレートが燃焼していると判定して急速昇温処理を開始させ、フィルタ温度Tbedがフィルタ入口温度Tinに余裕代ΔTを加算した値以下である場合に、フィルタ13に捕集されているパティキュレートは燃焼していないと判定して急速昇温処理を行わせない。余裕代ΔTは適合により設定する。
ここで、上記〈4〉、〈5〉に用いるフィルタ温度Tbedは、入口温度センサ24により検出されるフィルタ入口温度tinと出口温度センサ27により検出されるフィルタ出口の排気温度Toutとに基づいて推定する。これは簡単にはフィルタ入口温度tinとフィルタ出口の排気温度Toutとの平均値をフィルタ温度として用いればよい。もちろん、温度センサにより直接的にフィルタ温度を検出するようにしてもかまわない。
図4はフィルタ13の再生処理を行うためのもので、図3に続けて一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。ここでは、スロットルバルブ開度とEGRバルブ開度とを設定すると共に、ポスト噴射を実行する否かの指示を出す。
ステップ11では再生フラグをみる。再生フラグ=0であるときにはそのまま今回の処理を終了する。
再生フラグ=1であるときにはステップ12に進み急速昇温フラグ(図3により設定済み)をみる。ここでは、再生フラグ=1となった直後に急速昇温フラグ=0であったとすると、ステップ13、14、15に進む。
ステップ13、15は排気昇温処理を行う部分である。ステップ13ではスロットルバルブ開度TVOに最大値TVOmax(スロットルバルブ5の全開位置に相当)から所定値ΔTVO1を差し引いた値である第1スロットルバルブ開度TVO1(=TVOmax−ΔTVO)を入れる。ステップ15ではポスト噴射の実行を指示する。なお、排気昇温処理はこの場合に限られない。排気昇温処理の態様には様々なものがあり、いずれの態様であってもかまわない。
ステップ14では再生処理の開始タイミングでEGR制御を中断するため、EGRバルブ開度θegrをゼロ(EGRバルブ12の全閉位置に相当)にする。
急速昇温フラグ=0である間は、ステップ13、14、15の操作を繰り返す。つまり排気昇温処理を継続して実行する。やがて急速昇温フラグ=1となると、このときにはステップ12よりステップ16に進んでフィルタ13の再生が終了したか否かをみる。例えば、フィルタのパティキュレート残存量PMxが所定値PMx1以下となった場合にフィルタ13の再生が終了したと、またパティキュレート残存量PMxが所定値PMx1を超えている場合にフィルタ13の再生は終了していないと判定する。なお、フィルタの再生終了判定方法はこの場合に限られない。フィルタの再生終了判定方法にも様々なものがあり、いずれの判定方法であってもかまわない。急速昇温フラグ=1となった直後にはパティキュレート残存量PMxが所定値PMx1を超えているので、ステップ16よりステップ17、18、19に進む。
ステップ17〜19は、ステップ13、15での排気昇温処理に代えて急速昇温処理を行う部分である。ステップ17では、排気流量を減少させてフィルタ温度を上昇させるため、スロットルバルブ開度TVOに第2スロットルバルブ開度TVO2を入れる。第2スロットルバルブ開度TVO2は、急速昇温処理に入ったとき排気中に3%以上の酸素濃度が存在するように予め定めておく。
ステップ18ではEGRバルブ開度θegrをゼロでない所定値θegr1とする(全閉位置より大きくする)。EGRバルブ開度θegrを所定値θegr1としてEGRバルブ12を全閉位置より開くのは次の理由からである。すなわち、スロットルバルブ開度TVOを第2スロットルバルブ開度TVO2としてスロットルバルブ5を絞るだけだと、ポンピングロスが増大しその増大分だけエンジン出力が減少するため運転性に影響する。そこで、ポンピングロスがスロットルバルブ5を絞る前と同じになるようにEGRバルブ12を全閉位置より開くことで、定常時や加速時の運転性を犠牲にすることなくフィルタ13を通過する排気流量を減少させる。
ステップ19ではポスト噴射を実行しないことを指示する。これは、排気流量を減少させることによってフィルタ温度を上昇させることができるため、ポスト噴射は必要ないためである。
パティキュレート残存量PMxが所定値PMx1を超えている場合にステップ17、18、19での急速昇温処理を継続して行うと、やがてパティキュレート残存量PMxが所定値PMx1以下となり、ステップ16でフィルタ13の再生が終了したと判定される。このときにはフィルタ13の再生処理を終了するため、ステップ16よりステップ20〜23、19に進んで後処理を行う。すなわち、ステップ20、21でスロットルバルブ開度TVOに最大値TVOmaxを入れ、EGRバルブ開度θegrにゼロ(あるいはEGR制御を再開するときにはEGR制御における制御量)を入れ、ステップ22、23で再生フラグ=0、急速昇温フラグ=0とした後、ステップ19の操作を実行する。
このようにして設定されるスロットルバルブ開度TVOは、制御信号に変換されてスロットルバルブ5に、EGRバルブ開度θegrは制御信号に変換されてEGRバルブ12に与えられる。ポスト噴射の実行、非実行の指示は燃料噴射弁9に与えられる。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、排気通路10に設けられ排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ13と、このフィルタ13の再生時期になった場合にフィルタ13の再生処理を実行するフィルタ再生処理実行手段とを備える排気浄化装置において、フィルタ13の再生時期になった場合にパティキュレートが燃焼する温度にまで排気温度を昇温させ(図4のステップ13、15参照)、このパテキュレートの燃焼中に排気流量を絞る(図4のステップ12、16、17参照)ので、フィルタ13に捕集されているパティキュレートを現状制御の場合よりも急速に燃やすことが可能であり、これによって短時間でフィルタ13の再生を終了させることができる。このため、排気昇温処理をポスト噴射で行う場合に、ポスト噴射を行う時間が現状制御の場合よりも短くなり、その短縮分だけ燃費を向上させることができ、オイル希釈の悪化を抑制できる。また、短時間でフィルタ13の再生を終了させることができるのであれば、その分だけフィルタ13をサイズダウンすることができる。
スロットルバルブ開度TVOを第2スロットルバルブ開度TVO2としてスロットルバルブ5を絞るだけだと、ポンピングロスが増大しその増大分だけエンジン出力が減少するため運転性に影響するのであるが、本実施形態(請求項2に記載の発明)によれば、排気絞り手段は、スロットルバルブ5(スロットル装置)と、EGRバルブ12(EGR装置)とを含み、スロットルバルブ開度TVOを第2スロットルバルブ開度TVO2としてスロットルバルブ5を絞り(全開位置より小さくすることによって排気流量を絞り)(図4のステップ17参照)、スロットルバルブ開度TVOを全開位置より小さくしてもポンピングロスが変化しないようにEGRバルブ開度θegrをゼロでない所定値θegr1とする(全閉位置より大きくする)(図4のステップ18参照)ので、運転性を犠牲にすることなくフィルタ13を通過する排気流量を減少させることができる。
排気流量を絞るといっても限度があり、排気流量を絞りすぎるとフィルタ13に捕集されているパテキュレートに酸素が供給されなくなり燃焼できなくなるのであるが、本実施形態(請求項3に記載の発明)によれば、スロットルバルブ開度を全開位置より小さくしたとき、排気中にパティキュレートが自己着火するのに必要な酸素濃度(3%以上)が存在するように全開位置より小さくするスロットルバルブ開度(第2スロットルバルブ開度TVO2)を設定するので、フィルタ13に捕集されているパティキュレートの燃焼を効率よく行わせることができる。
燃料カットが行われる車両の減速時には、この燃料カット制御との関係を考慮する必要があり、制御が複雑化するのであるが、本実施形態(請求項4に記載の発明)によれば、フィルタ13に捕集されているパテキュレートの燃焼中に排気流量を絞るのは、定常時または加速時であるので(図3のステップ2参照)、減速時の制御が複雑化するのを避けることができる。
請求項1において排気昇温手段の機能は図4のステップ13、15により、排気絞り手段の機能は図4のステップ12、16、17によりそれぞれ果たされている。
1 エンジン
5 スロットルバルブ(スロットル装置)
9 燃料噴射弁
12 EGRバルブ(EGR装置)
13 フィルタ
21 エンジンコントロールユニット
5 スロットルバルブ(スロットル装置)
9 燃料噴射弁
12 EGRバルブ(EGR装置)
13 フィルタ
21 エンジンコントロールユニット
Claims (4)
- 排気通路に設けられ排気中のパティキュレートを捕集するフィルタと、
このフィルタの再生時期になった場合にフィルタの再生処理を実行するフィルタ再生処理実行手段と
を備える排気浄化装置において、
前記フィルタの再生時期になった場合にパティキュレートが燃焼する温度にまで排気温度を昇温させる排気昇温手段と、
このパテキュレートの燃焼中に排気流量を絞る排気絞り手段と
を含むことを特徴とする排気浄化装置。 - 前記排気絞り手段は、スロットルバルブ開度を調整可能なスロットル装置と、EGR量を調整可能なEGR装置とを含み、
スロットルバルブ開度を全開位置より小さくすることによって排気流量を絞り、スロットルバルブ開度を全開位置より小さくしてもポンピングロスが変化しないようにEGRバルブ開度を全閉位置より大きくすることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。 - 前記スロットルバルブ開度を全開位置より小さくしたとき、排気中にパティキュレートが自己着火するのに必要な酸素濃度が存在するように前記全開位置より小さくするスロットルバルブ開度を設定することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
- 前記パテキュレートの燃焼中に排気流量を絞るのは、定常時または加速時であることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008310619A JP2010133344A (ja) | 2008-12-05 | 2008-12-05 | 排気浄化装置及び排気浄化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008310619A JP2010133344A (ja) | 2008-12-05 | 2008-12-05 | 排気浄化装置及び排気浄化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=42344852
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2010133344A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103184946A (zh) * | 2011-12-28 | 2013-07-03 | 马自达汽车株式会社 | 带有涡轮增压器的柴油发动机的控制装置及控制方法 |
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2008
- 2008-12-05 JP JP2008310619A patent/JP2010133344A/ja active Pending
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CN103184946A (zh) * | 2011-12-28 | 2013-07-03 | 马自达汽车株式会社 | 带有涡轮增压器的柴油发动机的控制装置及控制方法 |
JP2013136986A (ja) * | 2011-12-28 | 2013-07-11 | Mazda Motor Corp | ターボ過給機付ディーゼルエンジンの制御装置 |
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