JP2010133010A - めっき液供給機構およびめっき装置並びにめっき膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】充分な速度でめっき金属を溶解して、金属イオンをめっき槽に供給でき、かつスラッジの発生を防止できるめっき液供給機構を提供する。
【解決手段】めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9に供給するめっき液供給機構1、12、13として、めっき金属が光触媒とともに容器20に収容されて溶液に浸漬され、容器の周囲に酸化剤を供給する酸化剤供給機構21が備えられ、かつ光触媒に光を照射可能な光学窓22が形成されて、上記めっき槽に上記金属イオンを含む溶液を供給する供給手段19が備えられためっき液供給槽10を設けた。上記容器を、溶液、金属イオンおよび酸素が流通可能であって、めっき金属および光触媒が流通不能かつ光が透過可能に構成した。
【選択図】図1
【解決手段】めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9に供給するめっき液供給機構1、12、13として、めっき金属が光触媒とともに容器20に収容されて溶液に浸漬され、容器の周囲に酸化剤を供給する酸化剤供給機構21が備えられ、かつ光触媒に光を照射可能な光学窓22が形成されて、上記めっき槽に上記金属イオンを含む溶液を供給する供給手段19が備えられためっき液供給槽10を設けた。上記容器を、溶液、金属イオンおよび酸素が流通可能であって、めっき金属および光触媒が流通不能かつ光が透過可能に構成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、めっき金属を溶解させることにより上記めっき金属のイオンが溶出した溶液を、被めっき材にめっき処理を施すめっき槽に供給するめっき液供給機構およびこれを備えためっき装置並びにめっき膜の形成方法に関するものである。
このめっき液供給機構として、例えば、特許文献1に示すように、めっき金属を収容した導電籠とチタンより触媒活性の高い金属片とを電気的に接続して、これら導電籠および金属片を3価鉄イオンが溶解している電解液に浸漬させたものが知られている。
この触媒活性の高い金属片を用いためっき液供給機構によれば、めっき金属の溶解に伴って生じた電子が上記金属片に向けて移動する。そして、この金属片の表面において上記3価鉄イオンの還元反応が進行するため、電解液中の水分の分解によって酸素が発生することによるめっき金属の溶解速度の低下を防止でき、上記めっき金属の溶解による金属イオンの溶出を促進させることができる。
しかしながら、このめっき金属の溶解速度は、上記金属片表面の3価鉄イオンの還元反応の速度に依存するため、めっき液供給機構としてめっき金属を溶解して充分な金属イオンをめっき槽に供給するには不十分なものである。これに加えて、めっき金属のイオンが上記金属片の表面で還元されることによりスラッジなどが発生して、金属イオンの溶存する電解液中に浮遊してしまうという問題もある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、金属イオンをめっき槽に供給するに際して、充分な速度でめっき金属を溶解させて、金属イオンをめっき槽に供給でき、かつめっき金属の還元によるスラッジの発生を防止できるめっき液供給機構およびこれを備えためっき装置並びにめっき膜の形成方法を提供することを課題とするものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を、被メッキ材にめっき処理を施すめっき槽に供給するめっき液供給機構において、上記めっき金属が光触媒とともに容器に収容されて上記溶液に浸漬され、上記容器の周囲に酸化剤を供給する酸化剤供給機構が備えられ、かつ上記めっき槽に上記金属イオンを含む溶液を供給する供給手段が備えられためっき液供給槽が設けられており、上記容器は、上記溶液、上記金属イオンおよび上記酸化剤が流通可能であって、上記めっき金属および上記光触媒が流通不能かつ上記光触媒に光を照射可能に構成されていることを特徴としている。
ここで、上記酸化剤として、酸素、オゾンや過酸化水素などが用いられ、上記酸化剤供給機構とは、これらの酸化剤を供給可能な供給機構を意味するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のめっき液供給機構において、上記光触媒は、上記容器の少なくとも内壁面に担持されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を、被メッキ材にめっき処理を施すめっき槽に供給するめっき液供給機構において、上記めっき金属が容器に収容されて上記溶液に浸漬され、上記容器の外壁面に光触媒が担持されるとともに、上記容器の周囲に酸化剤を供給する酸化剤供給機構が備えられ、かつ上記めっき槽に上記金属イオンを含む溶液を供給する供給手段が備えられためっき液供給槽が設けられており、上記容器は、上記溶液、上記金属イオンおよび上記酸化剤が流通可能であって、上記めっき金属および上記光触媒が流通不能に構成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のめっき液供給機構において、上記めっき液供給槽は、隔膜を介して、上記容器が配置された溶解槽と、上記容器が配置されていない供給槽とに分離されており、上記隔膜は、上記金属イオンが透過可能であって、上記光触媒が透過不能であり、かつ上記供給槽に上記供給手段が備えられていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のめっき液供給機構において、上記めっき液供給槽には、負極が電解液としての上記溶液に浸漬されるとともに、上記めっき金属が正極として上記負極に電気的に接続されて電解液としての上記溶液に浸漬されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明に係るめっき装置は、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のめっき液供給機構と、このめっき液供給槽に接続された上記供給手段としての配管と、この配管から供給された上記金属イオンを含む溶液によって上記金属イオンの濃度が上昇することにより、繰り返し被メッキ材にめっき処理を施すことが可能な上記めっき槽とを有することを特徴としている。
さらに、請求項7に記載のめっき膜の形成方法は、請求項6に記載のめっき装置を用いて、上記めっき槽に、上記配管を介して上記めっき液供給機構のめっき液供給槽から上記金属イオンを含む溶液を供給しつつ、上記被めっき材に上記金属のめっき膜を形成することを特徴としている。
請求項1ないし5のいずれかに記載のめっき液供給機構によれば、太陽や光源からの光が、めっき液供給槽の容器内にめっき金属とともに収容された光触媒に照射されると、光触媒によって溶液中の水分からヒドロキシラジカル(OH・)が生成されて、このヒドロキシラジカルとめっき金属が反応して溶解することにより、金属イオンが生成される。このため、光量の調整によって、めっき金属の溶解速度を調整でき、めっき槽に供給するのに充分な速度でめっき金属を溶解することができる。
また、その際には、上記光触媒によって、上述のヒドロキシラジカルの生成とともに、酸化剤供給機構から供給される酸化剤が還元され、例えば、酸化剤として酸素が供給されるとスーパーオキサイドアニオン(O2 -)が生成される。このように、光触媒によって、金属イオンでなく、酸化剤が還元されるため、上記金属イオンが還元されることによるスラッジの発生を防止できる。
さらに、このスーパーオキサイドアニオンは、例えば、溶液中に含まれている硫酸との反応によってペルオキソラジカル(O2H・)を生成して、このペルオキソラジカルとめっき金属との反応により金属イオンを生成する。このため、光量の調整によって、ヒドロキシラジカルやペルオキソラジカルなどのラジカルによる強力な酸化反応によりめっき金属を溶解して、効率的に金属イオンを生成できる。
そして、このめっき液供給槽の容器内で生成された金属イオンは、光触媒の流通不能な容器から流出して、めっき液供給槽から供給手段によってめっき槽に供給される。従って、めっき槽への光触媒などの不純物の混入も防止できる。
さらに、めっき金属が有機物によって汚染されていても、この有機物を光触媒が分解するため、溶液汚染を防ぐことができ、その結果、めっき液供給槽から有機汚染のない溶液をめっき槽に供給することができる。
さらに、めっき金属が有機物によって汚染されていても、この有機物を光触媒が分解するため、溶液汚染を防ぐことができ、その結果、めっき液供給槽から有機汚染のない溶液をめっき槽に供給することができる。
その際、光触媒は、請求項2に記載のめっき液供給機構のように、内壁面に担持されることによって容器に収容されても、上述のように金属イオンを生成でき、さらには溶液中に分散してしまうこともない。従って、このように光触媒を担持することによっても光触媒が透過不能な容器は構成できる。
また、請求項3に記載のめっき液供給機構のように、光触媒を容器の外壁面に担持させることによっても金属イオンを生成することができ、光触媒がめっき液供給液供給槽内の溶液中に分散してしまうこともない。従って、めっき槽に光触媒などの不純物の混入を防止して、金属イオンを供給できる。
特に、請求項4に記載のめっき液供給機構によれば、溶解槽の容器内で生成された金属イオンが容器から流出して、さらに溶解槽から触媒の透過不能な隔膜を透過することにより、供給槽内の溶液の金属イオン濃度が上昇する。そして、この供給槽から供給手段を通じて、この金属イオンを含む溶液がめっき槽に供給される。このため、確実に光触媒の流出を防止することができる。
さらに、請求項5に記載のめっき液供給機構によれば、負極と正極としてのめっき金属とを電気的に接続したため、ヒドロキシラジカル、ペルオキソラジカルなどのラジカル種が負極にて電子を受け取る等して消滅する。従って、ラジカル種をそのままめっき槽に供給してしまうことを防止でき、さらには電子を負極に流通させるなどして有効に利用することによりめっき金属の溶解速度を上昇させることができる。
従って、請求項6に記載のめっき装置のように、めっき液供給機構から配管を通じてめっき槽に、不純物の混入の少ない金属イオンを含有するめっき溶液を供給することができる。
この結果、請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載のめっき装置を用いて、めっき槽に、配管を介してめっき液供給機構のめっき液供給槽から金属イオンの濃度の高い溶液を供給することにより、めっき槽における金属イオンの濃度の低下を防いで、繰り返し被めっき材に金属のめっき膜を形成することが可能になる。
以下、本発明に係るめっき液供給機構を用いためっき装置の第1実施形態〜第3実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態のめっき装置は、図1に示すように、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9と、このめっき槽9に、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を供給するめっき液供給機構1とを有している。
まず、第1実施形態のめっき装置は、図1に示すように、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9と、このめっき槽9に、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を供給するめっき液供給機構1とを有している。
この銅めっき槽9は、被めっき材wが陰極として硫酸銅めっき液に浸漬された陰極室91と、不溶性陽極93が電解液に浸漬された陽極室92とが金属イオンの透過不能な隔膜94を介して分離されている。
この被めっき材wとしては、例えば、ポリイミドフィルム表面に銅スパッタ膜を形成したものが用いられ、この不溶性陽極93としては、例えば、Ti、C、Pb、Pb合金或いはチタン材表面にルテニウムなどの白金族酸化物を被覆したものなどの酸性の電解液との反応性の低いものが用いられる。
そして、不溶性陽極93と陰極としての被めっき材Wに電気を流すと、下記(1)式に示すように、陽極室92において電解液中の水が酸化されて酸素が放出されるとともに、水素イオンが隔膜94を透過して陰極室91に流入する。それとともに、下記(2)式に示すように、電子が不溶性陽極93から被めっき材wに向けて移動するため、陰極室91内において硫酸銅の銅イオンが被めっき材wから電子を受け取って、銅となる。これにより、被めっき材wに銅めっきが施されるとともに、陰極室91において硫酸銅中の銅イオン濃度が低下する。
2H2O→O2+4H++4e- ・・・(1)
CuSO4+2e-→Cu+SO4 2- ・・・(2)
なお、陽極室92の電解液の界面の上方には、上記放出された酸素を吸引するブロア99が設けられている。
CuSO4+2e-→Cu+SO4 2- ・・・(2)
なお、陽極室92の電解液の界面の上方には、上記放出された酸素を吸引するブロア99が設けられている。
また、上記隔膜94として、酸素が透過不能なものが用いられており、この隔膜94は、上述の電解液中の水から生成された酸素が陰極室91に流入して硫酸銅めっき液に添加されている添加剤などと反応してしまうことを阻止する。
他方、上記めっき液供給機構1は、硫酸水溶液を貯留した平面視矩形状のめっき液供給槽10を有しており、このめっき液供給槽10内には、複数(本実施形態では3本)の容器20が配置されるとともに、各容器20に複数の銅ボール(めっき金属(図示を略す))が収容され、かつ各容器20が銅ボールを硫酸水溶液に浸漬させるように保持されている。
各容器20は、有底細長筒状に構成されるとともに、銅ボールが流出不能かつ銅イオン、硫酸水溶液や後述のノズル21から放出される酸素が流出入可能に構成されている。さらに、各容器20は、少なくとも液面の下方に位置する内壁面が光触媒を担持可能な素材であって、上記スーパーオキサイドアニオンやヒドロキシラジカルなどのラジカル種によって腐食されない耐ラジカル特性を有する素材によって形成されるとともに、その内壁面に光触媒が担持されている。
このような耐ラジカル特性を有する素材としては、例えば、チタンおよびジルコニウムならびにそれらの合金からなる耐食金属やPTFEなどのテフロン(登録商標)系樹脂などがある。従って、各容器20としては、これらの耐食金属によって構成された容器や内壁面がテフロン系樹脂で被覆された金属容器が用いられ、好ましくは内壁面がテフロン系樹脂によって被覆された金属容器が用いられる。これは、光触媒を担持する表面がテフロン系樹脂によって非導電性となることにより、光触媒から電子が流出して触媒反応が阻害されることを防止するためである。
また、このような耐食金属やテフロン系樹脂を用いた場合にはUV光の透過量が少ないため、各容器20は、光触媒にUV光を照射可能にするために格子状に構成するなど、UV光の透過可能な多数の穴を有するように構成されている。
そして、これら各容器20の少なくとも内壁面にRFスパッタ法、マグネトロンスパッタ法またはゾルゲル法によってTiO2膜を成膜することにより上述のように光触媒が担持されている。これにより、有機バインダーを用いてTiO2をディップ、焼結するなどして固定化する場合と異なり、TiO2粒子の硫酸水溶液への分散が防止される。従って、このように光触媒を担持することによって上記光触媒の流通不能な各容器20が構成されるため、各容器20の内壁面に加えて外壁面にTiO2膜を成膜しても光触媒がめっき液供給槽10内の硫酸水溶液に分散されることはない。このため、各容器20の外壁面にもテフロン系樹脂を被覆し、かつこのテフロン系樹脂が被覆された外壁面にTiO2膜を成膜してもよい。
また、容器20の他の実施形態として、図2に示すように、内壁面に光触媒を担持した有底細長筒状のガラス容器24内に、銅ボールを収容した有底細長筒状のケース25を挿入して用いてもよい。このケース25は、上記耐ラジカル特性を有するチタン棒材などが格子状に組まれてなるガラス容器24よりも径の小さいものであり、銅ボールが流出不能であって硫酸水溶液、ヒドロキシラジカルや銅イオンなどが流出入可能に構成され、ガラス容器24は、銅ボールが流出不能かつ銅イオン、硫酸水溶液や後述のノズル21から放出される酸素が流出入可能に構成されている。
さらに、めっき液供給槽10内には、ブロア99から吸引した酸素を容器20内の銅ボールに向けて放出する筒状のノズル(酸素供給機構)21が配設されており、このノズル21は、最もめっき槽9に近い容器20の側面に沿って硫酸水溶液に浸漬され、かつ容器20の底部とめっき液供給槽10の底部との間で屈曲して、容器20の底部に沿って延在するように逆L字状に形成されている。
また、めっき液供給槽10の壁面には、光学窓22が形成されており、光学窓22に臨む位置には、UV光源として光量を調整可能な高圧水銀ランプ(図示を略す)が設置されている。
このため、高圧水銀ランプからUV光を、光学窓22を介してめっき液供給槽10の容器20内の二酸化チタン(TiO2)膜に照射すると、二酸化チタンの電子(e-)が放出されて、二酸化チタンには正孔(h+)が生じる。このため、硫酸水溶液中の水酸化物イオン(OH-)から電子が奪われてヒドロキシラジカル(OH・)が生成されるとともに、ノズル21から放出される酸素(O2)に電子が授与されてスーパーオキサイドアニオン(O2 -)となって、下記(3)式のように、このスーパーオキサイドアニオンと硫酸との反応により、ペルオキオソラジカル(O2H・)が生成される。
2O2 -+H2SO4→2O2H・+SO4 2- ・・・(3)
2O2 -+H2SO4→2O2H・+SO4 2- ・・・(3)
そして、これらのヒドロキシラジカルやペルオキソラジカルが銅と反応することにより、下記(4)や(5)式のように硫酸銅などが生成される。すると、この二酸化チタンの触媒作用により生成された硫酸銅が容器20から流出することにより、めっき液供給槽10内の硫酸水溶液の銅濃度が上昇する。
Cu+2OH・+H2SO4→CuSO4+2H2O ・・・(4)
3Cu+2O2H・+3H2SO4→3CuSO4+4H2O ・・・(5)
Cu+2OH・+H2SO4→CuSO4+2H2O ・・・(4)
3Cu+2O2H・+3H2SO4→3CuSO4+4H2O ・・・(5)
この金属イオン供給槽3の隔膜23との対向壁面における下部には、めっき液供給槽10とめっき槽9の陰極室91とを接続する配管19が設けられており、この配管19は、めっき液供給槽10の銅イオン濃度が上昇した硫酸水溶液と陰極室91の硫酸銅めっき液とを循環させるようになっている。
なお、めっき液供給機構1の他の実施形態として、図3に示すように、高圧水銀ランプなどのUV光源41を収容したガラス製などの有底円筒状の光透過性容器4をめっき液供給槽10内の中央部に配置して、光透過性容器4の外壁面に光触媒を担持させ、かつ、この光透過性容器4の周囲に銅ボールを収容した有底細長筒状のケース26を複数本配置してもよい。
これらの複数本のケース26は、光透過性容器4の周囲に均等に、かつメッキ液供給槽10内に配設されたノズル21(図示を略す)から放出される酸素がケース26内の銅ボールに向けて放出されるように配置されている。また、各ケースは、上記耐ラジカル特性を有するチタン棒材などが格子状に組まれ、銅ボールが流出不能であって硫酸水溶液、ヒドロキシラジカルや銅イオンなどが流出入可能に構成されている。
[第2実施形態]
次いで、第2実施形態のめっき装置について、図4を用いて説明する。
本実施形態のめっき装置は、第1実施形態と同様に、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9と、このめっき槽9に、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を供給するめっき液供給機構12とを有している。なお、このめっき槽9は、第1実施形態と同一であるため説明を省略し、めっき液供給機構12については、第1実施形態と同様の構成について同一符号を用いることにより説明を省略する。
次いで、第2実施形態のめっき装置について、図4を用いて説明する。
本実施形態のめっき装置は、第1実施形態と同様に、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9と、このめっき槽9に、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を供給するめっき液供給機構12とを有している。なお、このめっき槽9は、第1実施形態と同一であるため説明を省略し、めっき液供給機構12については、第1実施形態と同様の構成について同一符号を用いることにより説明を省略する。
本実施形態のめっき装置は、めっき液供給槽10の容器20内の銅ボールに代えて通電可能な銅板(めっき金属)28を使用し、かつこの銅板28の対極を設けることにより、上述の光触媒反応に電気分解による銅板28の溶解を加えた点が第1実施形態と異っている。
すなわち、めっき液供給槽10内には、二酸化チタンが担持された容器20が銅板28を硫酸水溶液に浸漬させるようにして保持されており、この銅板28は、正極端子に接続されている。
さらに、めっき液供給槽10内には、銅板28の対極としての負極29が硫酸水溶液に浸漬されている。
さらに、めっき液供給槽10内には、銅板28の対極としての負極29が硫酸水溶液に浸漬されている。
これにより、光源からUV光を、光学窓22を介してめっき液供給槽10の容器20内の二酸化チタン(TiO2)膜に照射すると、二酸化チタンの触媒作用によって生成された硫酸銅が容器20から流出することにより、めっき液供給槽10内の硫酸水溶液の銅濃度が上昇する。
それとともに、銀−塩化銀参照極を使用して負極板29の電位を保つ定電位電解や銅が析出する電流値を予め測定して銅析出電流値よりも少ない電流を供給する定電流電解などにより、銅板28と負極29とに、負極29の表面に銅が析出しない程度の電位の電流を供給することによって、上述の光触媒作用に加えて電気分解によっても銅イオンの溶解が促進する。このため、硫酸水溶液の銅イオンの濃度の上昇速度が速くなる。
そして、銅イオン濃度が上昇しためっき液供給槽10の硫酸水溶液が、配管19を通じてめっき槽9の陰極室91に循環供給される。
そして、銅イオン濃度が上昇しためっき液供給槽10の硫酸水溶液が、配管19を通じてめっき槽9の陰極室91に循環供給される。
[第3実施形態]
次いで、第3実施形態のめっき装置について、図5を用いて説明する。
本実施形態のめっき装置は、第1実施形態と同様に、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9と、このめっき槽9に、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を供給するめっき液供給機構13とを有している。なお、このめっき槽9は、第1実施形態と同一であるため説明を省略し、めっき液供給機構13については、第1実施形態と同様の構成について同一符号を用いることにより説明を簡略する。
次いで、第3実施形態のめっき装置について、図5を用いて説明する。
本実施形態のめっき装置は、第1実施形態と同様に、被メッキ材wにめっき処理を施すめっき槽9と、このめっき槽9に、めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を供給するめっき液供給機構13とを有している。なお、このめっき槽9は、第1実施形態と同一であるため説明を省略し、めっき液供給機構13については、第1実施形態と同様の構成について同一符号を用いることにより説明を簡略する。
本実施形態のめっき装置は、めっき液供給槽10が、隔膜23を介して容器20が配置された溶解槽31と、容器20が配置されていない供給槽32とに分離されている点において第1実施形態と異なっている。
すなわち、めっき液供給槽10は、内部に硫酸水溶液が貯留され、かつ隔膜23によって分離された溶解槽31内に二酸化チタンが担持された複数本の容器20が配置されている。さらに、溶解槽31内には、ノズル21が最も隔膜23に近い容器20に沿って配設されており、この隔膜23としては、金属イオンが透過可能であって、光触媒が透過不能であるものが使用可能され、例えば、中性隔膜、カチオン交換膜やガラスフィルタなど、好ましくは浸透圧によって金属イオンが透過可能な中性隔膜が用いられている。さらに、溶解槽31の壁面には、光学窓22が形成されており、光学窓22に臨む位置には、UV光源(図示を略す)が設置されている。
これにより、光源からUV光を、光学窓22を介して溶解槽31の容器20内の二酸化チタン(TiO2)に照射すると、二酸化チタンの触媒作用によって生成された硫酸銅が容器20から流出することにより、溶解槽31内の硫酸水溶液の銅濃度が上昇する。そして、浸透圧によって銅イオンが隔膜23を透過して供給槽32に流入する。従って、供給槽32の硫酸水溶液の銅イオン濃度が上昇する。
そして、銅イオン濃度が上昇した金属イオン供給槽32の硫酸水溶液が、配管19を通じてめっき槽9の陰極室91に循環供給される。
上述の第1実施形態ないし第3実施形態のめっき装置によれば、光源からUV光が光学窓22を通じて容器20の内壁面に担持された二酸化チタンに照射されると、二酸化チタンの光触媒作用によって硫酸水溶液の水酸化物イオンから電子が奪われてヒドロキシラジカル(OH・)が生成される。それとともに触媒作用によってノズル21から放出される酸素が電子の授与によりスーパーオキサイドアニオン(O2 -)となって、このスーパーオキサイドアニオンと硫酸との反応によりペルオキソラジカルが生成される。そして、これらのヒドロキシラジカルやペルオキソラジカルが銅ボールあるいは銅板28と反応して硫酸水溶液中に銅イオン(Cu2+)が硫酸銅として溶解して、めっき液供給機構1、12、13内の銅イオン濃度が上昇する。
このように、光量の調整によって、銅イオンの溶解速度を調整でき、銅イオンをめっき槽に供給するのに十分な速度でめっき金属を溶解することができる。
このように、光量の調整によって、銅イオンの溶解速度を調整でき、銅イオンをめっき槽に供給するのに十分な速度でめっき金属を溶解することができる。
この結果、上記めっき装置を用いた銅めっき膜の形成方法によれば、銅イオン濃度が低下しためっき槽9に、配管19を介してめっき液供給槽1から銅イオン濃度が上昇した硫酸水溶液を供給することにより、めっき槽9における銅イオンの濃度を上昇させて、繰り返し被めっき材wに銅めっき膜を形成することができる。
その際、上記二酸化チタンによって、上述のようにヒドロキシラジカルが生成されるとともに、銅イオンでなく、ノズル21から放出される酸素が還元されてスーパーオキサイドアニオンとなるため、上記銅イオンが還元されて一価の銅イオン(Cu+)が生成されることによるスラッジの発生を防止できる。
これに加えて、第2実施形態のめっき液供給機構12によれば、正極としての銅板28と負極29との通電により、ヒドロキシラジカル、ペルオキソラジカルなどのラジカル種が負極29にて電子を受け取る等して消滅する。従って、ラジカル種をそのままめっき槽9に供給してしまうことを防止でき、さらには電子を負極29に流通させるなどして有効に利用することにより銅板28の溶解速度が上昇するため、すなわち、光触媒作用に電気分解による銅板28の溶解が加わるため、一段と銅の溶解を促進させることができる。
さらに、第3実施形態のめっき液供給機構13によれば、溶解槽31内の硫酸水溶液の銅濃度が上昇することにより、浸透圧によって銅イオンが隔膜23を透過して供給槽32に流入するため、供給槽32の銅イオン濃度が上昇する。このため、この供給槽32の銅イオンを含有する硫酸水溶液を配管19を通じてめっき槽9に循環供給することにより、確実にめっき槽9への二酸化チタンなどの不純物の混入も防止できる。
なお、本発明は、上述の第1実施形態〜第3実施形態のめっき装置に何ら限定されるものでなく、めっき液供給機構1、12、13だけを備えているものであってもよく、また、銅ボール以外の板状などの銅や、酸素よりも標準電位の低いAg、Pb、Sn、Mo、Ni、Coなどの金属が容器20に収容されていてもよいものである。
また、第2実施形態のめっき液供給機構12と第3実施形態のめっき液供給機構13とを組み合わせて、めっき液供給機構13の銅ボールに代えて銅板28を配置し、かつその対極としての負極29を溶解槽31または供給槽32に配置してもよい。
1、12、13 めっき液供給機構
9 めっき槽
10 めっき液供給槽
19 配管(供給手段)
20 容器
21 ノズル(酸化剤供給機構)
22 光学窓
99 ブロア
w 被メッキ材
9 めっき槽
10 めっき液供給槽
19 配管(供給手段)
20 容器
21 ノズル(酸化剤供給機構)
22 光学窓
99 ブロア
w 被メッキ材
Claims (7)
- めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を、被メッキ材にめっき処理を施すめっき槽に供給するめっき液供給機構において、
上記めっき金属が光触媒とともに容器に収容されて上記溶液に浸漬され、上記容器の周囲に酸化剤を供給する酸化剤供給機構が備えられ、かつ上記めっき槽に上記金属イオンを含む溶液を供給する供給手段が備えられためっき液供給槽が設けられており、
上記容器は、上記溶液、上記金属イオンおよび上記酸化剤が流通可能であって、上記めっき金属および上記光触媒が流通不能かつ上記光触媒に光を照射可能に構成されていることを特徴とするめっき液供給機構。 - 上記光触媒は、上記容器の少なくとも内壁面に担持されていることを特徴とする請求項1に記載のめっき液供給機構。
- めっき金属を溶解させることにより金属イオンを含む溶液を、被メッキ材にめっき処理を施すめっき槽に供給するめっき液供給機構において、
上記めっき金属が容器に収容されて上記溶液に浸漬され、上記容器の外壁面に光触媒が担持されるとともに、上記容器の周囲に酸化剤を供給する酸化剤供給機構が備えられ、かつ上記めっき槽に上記金属イオンを含む溶液を供給する供給手段が備えられためっき液供給槽が設けられており、
上記容器は、上記溶液、上記金属イオンおよび上記酸化剤が流通可能であって、上記めっき金属が流通不能に構成されていることを特徴とするめっき液供給機構。 - 上記めっき液供給槽は、隔膜を介して、上記容器が配置された溶解槽と、上記容器が配置されていない供給槽とに分離されており、
上記隔膜は、上記金属イオンが透過可能であって、上記光触媒が透過不能であり、かつ上記供給槽に上記供給手段が備えられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のめっき液供給機構。 - 上記めっき液供給槽には、負極が電解液としての上記溶液に浸漬されるとともに、上記めっき金属が正極として上記負極に電気的に接続されて電解液としての上記溶液に浸漬されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のめっき液供給機構。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載のめっき液供給機構と、
このめっき液供給槽に接続された上記供給手段としての配管と、
この配管から供給された上記金属イオンを含む溶液によって上記金属イオンの濃度が上昇することにより、繰り返し被メッキ材にめっき処理を施すことが可能な上記めっき槽とを有することを特徴とするめっき装置。 - 請求項6に記載のめっき装置を用いて、上記めっき槽に、上記配管を介して上記めっき液供給機構のめっき液供給槽から上記金属イオンを含む溶液を供給しつつ、上記被めっき材に上記金属のめっき膜を形成することを特徴とするめっき膜の形成方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009238871A JP2010133010A (ja) | 2008-10-31 | 2009-10-16 | めっき液供給機構およびめっき装置並びにめっき膜の形成方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012031472A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Mitsubishi Materials Corp | Sn合金めっき液への錫成分補給方法およびSn合金めっき装置 |
-
2009
- 2009-10-16 JP JP2009238871A patent/JP2010133010A/ja not_active Withdrawn
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