以下、図面を参照しながら、本発明に係る弾球遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る弾球遊技機の外観を示す正面側の斜視図、図2は本発明の一実施形態に係る弾球遊技機の遊技盤の正面側を示す図である。
<構成の概要:図1、図2>
図示の弾球遊技機1は、木製の外枠4の前面に額縁状の前面枠2を開閉可能に取り付け、前面枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前面枠2の開口部に臨ませた構成を有する。上記遊技領域3a(図2参照)は、遊技盤3の面上に配設した球誘導レール5で囲まれた領域からなる。この遊技領域3aの前側に、透明ガラスを支持したガラス扉枠6が設けられている。
また弾球遊技機1は、ガラス扉枠6の下側に配設された前面操作パネル7を有している。前面操作パネル7には上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。前面操作パネル7には、球貸しボタン11およびプリペイドカード排出釦12(カード返却釦12)が設けられている。また、上受け皿9の上皿表面部分には、内蔵ランプが点灯されて操作可能となり、その内蔵ランプ点灯時に押下することにより演出効果を変化させることができるプッシュボタン式の枠演出ボタン13が設けられている。この上受け皿9には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機の下方に抜くための球抜きボタン14が設けられている。
また、前面操作パネル7の右端部側には、発射ユニットを作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。また、前面枠2の上部の両側、発射操作ハンドル15の上側には、効果音を発生するスピーカ58が設けられている。またさらに、ガラス扉枠6の各所には、光の装飾により演出効果を現出する装飾ランプ45が設けられている。
次に、遊技盤3の遊技領域3aについて説明する。図2に示すように、遊技盤3の略中央部には、3つ(左、中、右)の表示エリアにおいて、独立して数字やキャラクタや記号等による図柄(装飾図柄)を変動表示可能である画像表示装置としての液晶表示装置36(LCD:Liquid Crystal Display)が設けられている。この液晶表示装置36の真下には第1の特別図柄始動口である第1特別図柄始動口34が、右側部近傍には第2の特別図柄始動口である第2特別図柄始動口35が設けられ、それぞれの内部には、入賞球を検出する第1特別図柄始動口センサ34a、第2特別図柄始動口35a(図3参照)が形成されている。上記普通変動入賞装置41は、いわゆる普通電動役物に相当する。
第2特別図柄始動口35には、左右一対の可動翼片(可動部材)41bが第2特別図柄始動口35を開閉可能に設けられ、いわゆるチューリップ型の電動役物(普通変動入賞装置41)を構成している。この左右の可動翼片41bの未作動時には、第2特別図柄始動口35への入賞が困難または不可能となるように閉じた状態(不利益状態)が保持され、その入賞が束縛されている。
第2特別図柄始動口35上方には、ゲートからなる普通図柄始動口33が設けられており、その内側には通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ33a(図3参照)が形成されている。
第2特別図柄始動口35下方には、第1大入賞口50を開閉する開放扉42bで開閉可能に構成した第1特別変動入賞装置42が設けられている。また第1特別図柄始動口34の下方には、第2大入賞口51を開閉する開放扉43bで開閉可能に構成した第2特別変動入賞装置43が設けられ、その両側には図示しない一般入賞口が複数設けられている。第1特別変動入賞装置42には、入賞球を検出する第1大入賞口センサ50aが、第2特別変動入賞装置43には、入賞球を検出する第2大入賞口センサ51aが形成されている(図3参照)。この第1特別変動入賞装置42と第2特別変動入賞装置43は、いわゆる特別電動役物に相当する。
また、遊技領域3aの右上縁付近には、7セグで構成される第1特別図柄表示装置37(第1の特別図柄表示装置に相当する)と第2特別図柄表示装置38(第2の特別図柄表示装置に相当する)、2個のLEDからなる普通図柄表示装置39が設けられている。さらに、遊技領域3aには、センター飾り70、遊技球の落下方向変換部材としての風車73や複数の遊技くぎ(図示せず)、複数の発光装置(ランプ、LED等:図示せず)等が配設されている。さらに遊技盤3の両側端部近傍にも、装飾ランプ45等のランプ表示装置やLED装置が配設されている。また上記センター飾り70の上面と球誘導レール5との間には第2特別図柄始動口35や普通図柄始動口33へ入賞可能とするように、遊技球が通過可能な遊動領域が形成されている。
遊技球が第1特別図柄始動口34または第2特別図柄始動口35に入賞したことに基づき、主制御基板27(図3参照)において乱数抽選による大当りに関する抽選(大当り抽選)が行なわれる。この抽選結果に応じ、第1特別図柄表示装置37または第2特別図柄表示装置38にて対応する特別図柄を変動表示させて、特別図柄変動表示ゲームを開始し、一定時間経過後に、その結果を各特別図柄表示装置37、38に表示するようになっている。
ここで、本実施形態では、第1特別図柄始動口34に入賞したことに基づく大当り抽選と第2特別図柄始動口35に入賞したことに基づく大当り抽選とは別個に行われる。つまり第1特別図柄始動口34に入賞したことに基づく大当り抽選に関しては、その抽選結果に応じた第1特別図柄を第1特別図柄表示装置37に変動表示させて、第1特別図柄変動表示ゲームを開始し、その結果を第1特別図柄表示装置37に表示する。同様に、第2特別図柄始動口35に入賞したことに基づく大当り抽選に関しては、その抽選結果に応じた第2特別図柄を第2特別図柄表示装置38に変動表示させて、第2特別図柄変動表示ゲームを開始し、その結果を第2特別図柄表示装置38に表示する。
このとき、上記各特別図柄変動表示ゲームに連動する形態で、装飾図柄を液晶表示装置36に変動表示させて、装飾図柄変動表示ゲームを開始し、上記一定時間経過後に、第1特別図柄表示装置37または第2特別図柄表示装置38に抽選結果が表示されると共に、液晶表示装置36にも装飾図柄によりその結果が表示される。
本実施形態では液晶表示装置36により画像表示装置を構成しているが、これに限らず、画像表示装置として、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、電子ペーパディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescent Display)等で構成しても良い。この液晶表示装置36は、後述する液晶制御基板25(図3参照)の制御の下で、種々の演出を画像で表示させる。すなわち、上記各特別図柄変動表示ゲームでの抽選結果を反映させた演出を生じさせ、特別図柄表示装置37、38における特別図柄の変動表示と連動するように図柄(装飾図柄)を3列に変動表示させて、上記装飾図柄変動表示ゲームを現出させる。
したがって、第1特別図柄表示装置37または第2特別図柄表示装置38での特別図柄変動表示ゲームの結果が「大当り」であった場合、この液晶表示装置36の装飾図柄変動表示ゲームの結果も「大当り」を反映させた演出が現出される。また第1特別図柄表示装置37の第1特別図柄または第2特別図柄表示装置38の第2特別図柄に関しては、抽選結果が大当りを示す所定の停止表示態様となり、液晶表示装置36の装飾図柄に関しては、左、中、右の各表示エリアにおいて、当り有効ライン上で上記抽選結果が大当りを示す所定の停止表示態様(たとえば、3個の装飾図柄が「7、7、7」表示状態)となる。
そして、上記「大当り」となった場合には、第1特別変動入賞装置ソレノイド42c(図3参照)が作動して開放扉42bが開き、これにより第1大入賞口50が所定パターンで開閉制御されるか、または第2特別変動入賞装置ソレノイド43c(図3参照)が作動して開放扉43bが開き、これにより第2大入賞口51が所定パターンで開閉制御されて、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態である「大当り状態」が発生する。
この大当り状態中では、開放扉42bまたは開放扉43bが所定時間(たとえば、29秒)開放して対応する大入賞口が開放されるか、または所定個数(たとえば、9個)の遊技球が入賞するまで大入賞口が開放され、その後、所定時間(たとえば、2秒)開放扉42bまたは開放扉43bが閉まって対応する大入賞口を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大15回(15ラウンド))繰り返されるようになっている。
詳細は後述するが、本実施形態では第1特別図柄または第2特別図柄の停止表示態様に応じてラウンド数が異なる複数種類の大当り状態が発生するようになっている。具体的には、第1特別図柄表示装置37での特別図柄変動表示ゲームの結果、第1の大当り状態が発生した場合には2ラウンド、第3の大当り状態が発生した場合には15ラウンドとなり、第2特別図柄表示装置38での特別図柄変動表示ゲームの結果、第2の大当り状態が発生した場合には3ラウンド、第4の大当り状態が発生した場合には15ラウンドとなる。このとき、ラウンド数が相対的に少ない上記第1の大当り状態と第2の大当り状態の場合は第1大入賞口50が開閉制御され、上記第3の大当り状態と第4の大当り状態の場合は第2大入賞口51が開閉制御されるようになっている。
また普通図柄始動口33に遊技球が通過したことに基づき普通図柄変動表示ゲームが開始され、普通図柄表示装置39が点滅等の変動表示を行い、一定時間経過後に、その普通図柄変動表示ゲームの結果を、LEDの点灯と非点灯の組み合わせまたは双方点灯の組み合わせにて停止表示する。すなわち、普通図柄始動口33に遊技球が通過したことに基づき乱数抽選が行われ、この抽選結果が当り(補助当り)であった場合には、普通図柄表示装置39の表示部を所定パターン(たとえば、2個のLED39が双方共に点灯状態)に表示させ、その後に、普通変動入賞装置41の可動翼片41bが開状態となって、第2特別図柄始動口35へ入賞し易い補助遊技状態(利益状態)が発生する。したがって、普通変動入賞装置41は、遊技球が入球し易い利益状態と遊技球が入球し難いまたは入球が不可能な不利益状態とに移行可能に構成され、第2の特別図柄始動口に対する遊技球の入球を束縛状態下に置く普通変動入賞装置に相当する。
この補助遊技状態下では、上記可動翼片41bにより所定時間(たとえば、最大1.7秒)第2特別図柄始動口35が開放されるか、または所定個数(たとえば、5個)の遊技球が入賞するまで第2特別図柄始動口35が開放され、その後、所定時間(たとえば、0.2秒)可動翼片41bが閉まり第2特別図柄始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返される。
また上記補助遊技状態中に遊技球が第2特別図柄始動口35に入賞した場合にも、同様に大当り抽選が行われ、上記特別図柄変動表示ゲームが行なわれ、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが行なわれる。なお、各入賞口に入賞しなかった遊技球はアウト口60を介して排出される。
上記各特別図柄表示装置37、38における特別図柄変動表示ゲームまたは上記普通図柄変動表示ゲームを行う最中に、さらに各特別図柄始動口センサ34a、35aまたは普通図柄始動口センサ33aからの検出信号の入力がある場合には、この検出信号に基づいて各変動表示ゲームを行わせるための始動権利に関するデータである始動記憶(作動保留球数)を、変動表示中にかかわるものを除き、上限の所定個数まで記憶する。そして、この始動記憶個数を遊技者に明らかにするため、遊技機の適所にまたは液晶表示装置36による画面中に画像として表示させる。本実施形態では、上記上限の所定個数として、各特別図柄および普通図柄に関する始動記憶をそれぞれ4個まで主制御基板27に設けられるRAMに記憶され、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留される。
<制御装置:図3>
図3は、上記のような遊技の進行状況に応じた遊技機制御を行う制御装置の構成の概要を示した制御ブロック図である。
この制御装置は、遊技動作全般の制御を司る主制御基板27と、主制御基板27から演出制御コマンドを受けて、光と音についての演出制御を行う演出制御基板24と、この演出制御基板24からの指示を受けて画像についての演出制御を行う液晶制御基板25と、を中心に構成される。そして、液晶制御基板25には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。
また、主制御基板27には払出制御基板28が接続され、これに発射装置32を制御する発射制御基板29および遊技球払出装置19が接続されている。符号80は電源基板であり、電源基板80は外部電源(図示せず)に接続され、変圧トランスから供給される交流電圧(AC24V:メイン電源)から所要の電源を生成し、各制御基板にそれぞれ供給する。なお、図3には電源供給ルートは省略してある。
主制御基板27は、CPU(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、一連の遊技機制御手順を記述した制御プログラムや制御データ等を格納したROMと、ワークエリアが形成されるRAMを搭載して、1チップマイクロコンピュータを構成している。また図示はしていないが、一定周期のパルス出力を作成する機能や時間計測の機能等を有するCTC(Counter Timer Circuit)やCPUに割り込み信号を付与する割り込みコントローラ回路が設けられている。
また主制御基板27には、第1特別図柄始動口34への入賞を検出する第1特別図柄始動口センサ34aと、第2特別図柄始動口35への入賞を検出する第2特別図柄始動口センサ35aと、普通図柄始動口33の通過を検出する普通図柄始動口センサ33aと、一般入賞口への入賞を検出する一般入賞口センサ(図示せず)とが接続され、主制御基板27はこれらの各検出信号を受信可能となっている。
また主制御基板27には、普通図柄表示装置37、第1特別図柄表示装置38、第2特別図柄表示装置39、普通変動入賞装置41の可動翼片41bを開閉制御するための普通変動入賞装置ソレノイド41c、第1大入賞口50の幅広な開放扉42bを開閉制御するための特別変動入賞装置ソレノイド42a、および第2大入賞口51の幅広な開放扉43bを開閉制御するための特別変動入賞装置ソレノイド43aが遊技中継基板55を介して接続され、主制御基板27は各装置を制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御基板27には外部集中端子基板26が接続され、所定の遊技情報、たとえば、大当り発生回数や特別図柄の変動回数情報や賞球数等に関する情報を管理用コンピュータHC(パチンコ店に設置されている遊技機全体を統括的に管理するホール専用コンピュータ)に送信可能となっている。また外部集中端子基板26からの情報の一部は、遊技機外部に接続されるデータ情報カウンタ(図示せず)が受け、所定の遊技情報が遊技者に報知される。
また主制御基板27には、演出I/F(インターフェース)基板56を介して、演出制御基板24が接続されている。主制御基板27は、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる「大当り状態」またはこの特別遊技状態を発生させない「ハズレ」のいずれであったかを抽選するとともに、その結果に応じて第1特別図柄や第2特別図柄の変動パターンを決定し、この抽選結果と変動パターンとに関する情報を含む演出制御コマンドを作成して演出制御基板24に送信する構成となっている。
主制御基板27からの演出制御コマンドは、一方向通信により演出制御基板24に送信される。これは、外部からのゴト行為による不正な信号が演出制御基板24を介して主制御基板27に入力されることを防止するためである。
演出制御基板24は、CPU(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載すると共に、演出制御手順を記述した制御プログラムや演出データ等を格納したROMと、ワークエリアが形成されるRAMと、を搭載していて、1チップマイクロコンピュータを構成している。また図示はしていないが、音源IC、CTC、および割り込みコントローラ回路等が設けられている。この演出制御基板24の主な役割は、主制御基板27からの演出制御コマンドの受信、遊技状況に伴い現出する演出パターンの抽選、液晶制御基板25への液晶制御コマンドの送信、盤面・枠ランプ・LEDの制御、各種エラーの報知等である。
演出制御基板24は、光と音についての演出処理を行うため、装飾ランプ45やLEDを含む光表示装置45a対する光表示制御部と、スピーカ58を含む音響発生装置58aに対する音響制御部とを備えている。
また、演出制御基板24は、演出制御コマンドを受けて、特別図柄の変動パターンに対応する演出パターンを抽選し、液晶表示装置36の画面に映像で演出表示をさせるべく、液晶制御基板25に対して演出パターンを指定する液晶制御コマンドを送信する構成となっている。
液晶制御基板25には、演出制御基板24から受信した液晶制御コマンドに基づいて表示制御を行うために必要な制御データを生成してVDP((Video Display Processor:図示せず)に出力するCPU(液晶制御CPU)、液晶制御CPUの動作手順を記述したプログラムを内蔵するROM、画像表示データを記憶した画像ROM、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAMやVRAM等が設けられている。
ここで主制御基板27より演出制御基板24に対して送信される各種の演出制御コマンドについて簡単に説明しておく。演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなり、主制御CPUは、コマンド変化時に自身が生成するストローブ信号の1つ目の立ち上がりを契機として、モード(MODE)情報を送信し、次いでストローブ信号の2つ目の立ち上がりを契機として、イベント(EVENT)情報を送信する。演出制御CPUは、ストローブ信号が送信されてくると、これに対応して割り込みを発生させ、この割り込み処理によってコマンドを受信してRAMに格納する。
上記演出制御コマンドが主制御基板27から演出制御基板24に送信されると、このコマンド受けた演出制御基板24側で、あらかじめ複数種類用意された演出パターン群の中から、演出制御コマンドに対応した演出パターンが決定され、この決定された演出パターンを実行指示する制御信号が演出制御基板24から音響発生装置58aおよび光表示装置45aに送られる。これにより、演出パターン対応する効果音の再生と、装飾ランプ45やLED等の点灯点滅駆動とが実現される。
また、上記決定された演出パターンに対応して、上記液晶制御コマンドが演出制御基板24から液晶制御基板25に対して送信され、これを受けた液晶制御基板25側でコマンドを解析し処理され液晶表示装置36に演出パターンに対応した画像が表示される。また、上記演出制御コマンドだけでなく、払出制御基板28に対して遊技球の払い出しに関する制御信号(払出制御コマンド)を送信したり、第1特別図柄表示装置37や第2特別図柄表示装置37や38や普通図柄表示装置39に対して表示制御信号を送信したりして、周辺装置の動作が実現される。
上述したように、演出制御基板24は、主制御基板27から送信される演出制御コマンドを受けて、これに関連付けられた液晶制御コマンドが液晶表示装置36に表示する画像の再生が必要なタイミングで液晶制御基板25に対し送信される。なお、演出制御基板24からの液晶制御コマンドは一方向通信で送信され、原則として、液晶制御基板25へのコマンド送信は、主制御基板27からのコマンドを受信した順序で行なわれる。
基本的には、主制御基板27から送信される演出制御コマンドに対応した液晶制御コマンドが液晶制御基板25に送信される。この液晶制御コマンドの送信に際し、演出制御基板24は割り込み用ストローブ信号を発生し、液晶制御基板25にMODE信号とEVENT信号とで構成される2バイト長の液晶制御コマンドを前後して送信する。これにより、液晶表示装置36の画面に映像による演出表示が実現される。なお、ここでも不正な行為に対する安全性を確保するため、液晶制御基板25から主制御基板27へは信号が流れないように構成されている。
<遊技動作制御処理:図4〜図18>
次に、図4〜図18を参照して、本実施形態に係る弾球遊技機の遊技動作処理内容について説明する。以下では、遊技動作全般制御を司る主制御基板27側における処理内容について説明する。
(主制御側メイン処理:図4)
まず、遊技機本体に電源が投入されると、主制御CPUが図4に示す主制御側メイン処理を開始する。
この主制御側メイン処理において、主制御CPUは、遊技動作開始前における必要な初期設定処理を実行する(ステップS101)。
次いで、入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチの出力信号の状態(オン、オフ)を確認し、RAMクリアスイッチがオンである場合(ステップS102:YES)にはステップS105の処理に進み、RAMの初期化処理として記憶エリアをクリアする。しかしRAMクリアスイッチがオンでない場合(ステップS102:NO)、電源断が発生した際にバックアップRAMに記憶されたバックアップ用データが有効であるか否かを判断する(ステップS103)。電源復旧の際には、上記チェックサムの比較を行うことにより、バックアップデータが有効であるか否かを確認している。
バックアップデータが有効である場合には(ステップS103:YES)、バックアップデータに基づき、電源遮断前におけるスタックポインタを復帰し、電源遮断時の処理状態から遊技を開始するために必要な遊技復旧処理を実行し(ステップS104)、ステップS107の処理に進む。バックアップデータが有効でない場合には(ステップS103:NO)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定し、RAMを初期化する(ステップS105)。そして、このRAMの初期化に伴い、RAMクリア情報を初期化コマンドとして各制御基板に送信する(ステップS106)。
次に、CPUに設けられているCTCの設定を行う(ステップS107)。本処理では、4msごとに定期的にタイマ割り込みがかかるように、初期値として4msに相当する値をCTCの時間定数レジスタに設定する。
ステップS101〜S107での電源初期投入後の処理を終えた後、正常動作時の処理(ステップS108〜S112)として、割込禁止状態(ステップS108)と割込許可状態(ステップS112)とを繰り返すとともに、その間に、各種乱数の更新処理を実行する(ステップS109〜S111)。
乱数の更新処理として、ステップS108の処理後、まず変動パターン用乱数値更新処理を実行する(ステップS109)。この変動パターン用乱数値更新処理では、主として、第1特別図柄と第2特別図柄の変動パターンの抽選に用いる変動パターン用乱数値を更新する。また大当りである場合に特別図柄表示装置に停止させるべき第1特別図柄や第2特別図柄を抽選する際に使用する特別図柄用停止図柄乱数値も更新される。
続いて、普通図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS110)と特別図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS111)を実行する。普通図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS110)では、普通図柄変動表示ゲームの当否抽選に使用する普通図柄当り判定用乱数の初期値変更に使用する乱数を更新し、特別図柄当り判定用初期値乱数更新処理(ステップS111)では、上記特別図柄変動表示ゲームの大当り抽選に使用する特別図柄当り判定用乱数の初期値変更に使用する乱数を更新する。
(主制御側タイマ割込処理:図5)
図5は、主制御側メイン処理において、一定時間(4ms)ごとの割り込みで起動される主制御側のタイマ割込処理を示すフローチャートである。
まず、主制御CPUは、レジスタを所定のスタック領域に退避させる退避処理(ステップS151)を実行する。
次いで、各変動表示ゲームに使用する乱数を定期的に更新する定期乱数更新処理を実行する(ステップS152)。定期乱数更新処理では、普通図柄変動表示ゲームや特別図柄変動表示ゲームの当否抽選に使用する各種乱数(普通図柄当り判定用初期値乱数、普通図柄当り判定用乱数、特別図柄当り判定用初期値乱数、特別図柄当り判定用乱数、特別図柄用停止図柄乱数等)を定期的に更新する。
次いで、タイマ管理処理を実行する(ステップS153)。このタイマ管理処理では、遊技動作に用いられるタイマが管理制御され、遊技機の動作制御に用いる各種タイマのタイマ値はここで更新される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS154)。この入力管理処理では、弾球遊技機1に設けられた各種センサによる検出情報を、遊技中継基板55を介して図示しない自身内のレジスタに読み込み格納する。各種センサによる検出情報とは、普通図柄始動口センサ33a、第1大入賞口センサ50a、第1大入賞口センサ51a、第1特別図柄始動口センサ34a、第2特別図柄始動口センサ35a、一般入賞口センサ等が検出した信号である。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS155)。このエラー管理処理では、上記入力管理処理で読み込み格納したデータを把握してスイッチのチェックを行い、不正入賞を監視したり、遊技動作状態を監視したりして、遊技機の異常を監視する。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS156)。この賞球管理処理では、遊技球払出装置19に払出し動作を行わせるための制御信号(賞球数を指定する賞球払出制御コマンド)を払出制御基板28に送信する。この賞球払出制御コマンドを受けた払出制御基板28は、遊技球払出装置19を駆動制御する。これにより、遊技球払出装置19から所定個数の遊技球が上受け皿9に排出される。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS157)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選を実行し、その抽選結果に基づいて普通図柄の変動パターンや普通図柄の停止表示態様を決定する。この普通図柄管理処理は、普通図柄抽選手段に相当する。なお、後述する時短遊技中では、上記普通図柄変動表示ゲームにおける補助当り抽選において、その当選確率が通常遊技状態よりも上昇した高確率状態下で抽選が行われるようになっている。
次いで、普通変動入賞装置管理処理を実行する(ステップS158)。この普通変動入賞装置管理処理では、普通図柄管理処理(ステップS157)における当否抽選の結果に基づいて普通変動入賞装置ソレノイド41cにソレノイド制御用の励磁制御信号を送信して、普通変動入賞装置41の可動翼片41bの一連の動作を制御する。この普通変動入賞装置管理処理は、状態移行手段に相当する。なお、後述する時短遊技中では、普通変動入賞装置41の可動翼片41bが作動している期間が通常遊技状態よりも延長されるように普通変動入賞装置ソレノイド41cにソレノイド制御用の励磁制御信号が送信されるようになっている。
次いで、特別図柄管理処理を実行する(ステップS159)。この特別図柄管理処理では、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り抽選(大当り判定処理)を実行し、その抽選結果に基づいて特別図柄の変動パターンや特別図柄の停止表示態様(特別図柄停止図柄)を決定する。この特別図柄管理処理は、第1の特別図柄抽選手段、第2の特別図柄抽選手段、第1の大当り移行手段、および第2の大当り移行手段に相当する。
(特別図柄管理処理:図6、図7)
次に、大当り抽選に係るステップS159の特別図柄管理処理について説明する。図6および図7は、特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。ここでは、第1特別図柄始動口34または第2特別図柄始動口35への入賞を検出したことを条件に、大当り判定処理、停止表示する特別図柄(特別図柄停止図柄)の設定、特別図柄の変動パターンの設定、特別図柄に関する演出制御コマンドの送信等の処理を実行する。
図6において、主制御基板(主制御CPU)27は、まず特別図柄始動口入賞管理処理(ステップS301)を実行する。
(特別図柄始動口入賞管理処理:図8)
特別図柄始動口入賞管理処理(ステップS301)の詳細を図8に示す。ここでは、まず第1特別図柄始動口34において入賞球を検出したか否かを確認する(ステップS331)。
第1特別図柄始動口34において入賞球を検出した場合(ステップS331:YES)、第1特別図柄の作動保留球数(以下、「第1特別図柄作動保留球数」と称する)が4以上であるか否か判断する(ステップS332)。第1特別図柄作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS332:NO)、第1特別図柄作動保留球数に1加算し(ステップS333)、第1特別図柄抽選用乱数値(第1特別図柄用の特別図柄当り判定用乱数値、第1特別図柄用の特別図柄用停止図柄乱数値、および第1特別図柄用の変動パターン用乱数値)のカウンタの現在値を取得して、RAMの取得数値記憶エリアに格納する(ステップS334)。
一方、ステップS331の処理において入賞球を検出していなかった場合(ステップS331:NO)、またステップS332の処理において特別図柄作動保留球数が4以上の場合(ステップS332:YES)には、ステップS333およびステップS334の処理は行わずに次のステップS335の処理に移行する。
続くステップS335の処理で、第2特別図柄始動口35において入賞球を検出したか否かを確認する(ステップS335)。
第2特別図柄始動口35において入賞球を検出した場合(ステップS335:YES)、第2特別図柄の作動保留球数(以下、「第2特別図柄作動保留球数」と称する)が4以上であるか否か判断する(ステップS336)。第2特別図柄作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS336:NO)、第2特別図柄作動保留球数を1加算し(ステップS337)、第2特別図柄抽選用乱数値(第2特別図柄用の特別図柄当り判定用乱数値、第2特別図柄用の特別図柄用停止図柄乱数値、および第2特別図柄用の変動パターン用乱数値)のカウンタの現在値を取得して、それぞれRAMの取得数値記憶エリアに格納する(ステップS338)。これにより特別図柄始動口入賞管理処理を終了して、図6のステップS302の処理に移行する。
一方、ステップS335の処理において入賞球を検出していなかった場合(ステップS335:NO)、またステップS336の処理において特別図柄作動保留球数が4以上の場合(ステップS336:YES)には、ステップS337およびステップS338の処理は行わずに図6のステップS302の処理に移行する。
ステップS302の処理に進むと、遊技状態が大当り状態である「大当り中」であるか否かを判断して、上記「大当り中」であれば(ステップS302:YES)、特別図柄を管理する必要がないので、これにより特別図柄管理処理を終了し、図5のステップS160の特別変動入賞装置管理処理(図5)に移行する。
一方、ステップS302の処理で「大当り中」でないと判断された場合(ステップS302:NO)、特別図柄の挙動を示す処理状態が「特別図柄待機中」「特別図柄変動中」「特別図柄停止中」のいずれであるかを順に判断し(ステップS303、ステップS308、ステップS314)、該当する場合はそれぞれの処理状態に属する処理を行う。なお、「特別図柄待機中」とは特別図柄の変動が行なわれておらず次回の変動のための待機状態であることを示し、「特別図柄変動中」とは特別図柄が現在変動中であることを示し、「特別図柄停止中」とは特別図柄の変動が終了して停止中であることを示している。
以下、上記処理状態が「特別図柄待機中」「特別図柄変動中」「特別図柄停止中」である場合の処理内容について順に説明していく。
特別図柄待機中の場合は(ステップS303:YES)、第2特別図柄作動保留球数がゼロかどうかを、第1特別図柄作動保留球数がゼロかどうかを順次判断する(ステップS304、ステップS305)。第2特別図柄作動保留球数がゼロでない場合(ステップS304:NO)、図7のフローに進み、第2特別図柄大当り判定処理(ステップS312)を実行し、第2特別図柄作動保留球数がゼロであって(ステップS304:YES)、第1特別図柄作動保留球数がゼロでない場合(ステップS305:NO)、第1特別図柄大当り判定処理(ステップS313)を実行する。これにより、第1特別図柄よりも第2特別図柄の方が優先的に作動することになる。
第2特別図柄作動保留球数および第1特別図柄作動保留球数がゼロの場合(ステップS304:YES、ステップS305:YES)、遊技が全く行われていない可能性がある。そこでデモ演出を行なうべきデモ表示条件が成立しているか否かを判断する(ステップS306)。本実施形態では、第1特別図柄始動口34または第2特別図柄下始動口35の検出信号入力が所定時間(たとえば60秒)経過しても、その入力がなかった場合に、上記デモ表示条件を満たしたと判断するようにしている。上記デモ表示条件が成立している場合は(ステップS307:YES)、デモ表示を指示する演出制御コマンドであるデモ表示コマンドを演出制御基板24に送信する(ステップS310)。これによりこの特別図柄管理処理を終了して、特別変動入賞装置管理処理(図5)に移行する。
(特別図柄大当り判定処理:図9、図10)
第1特別図柄大当り判定処理(ステップS312)の詳細を図9に、第2特別図柄大当り判定処理(ステップS312)の詳細を図10に示す。これら特別図柄大当り判定処理内容については、実質的に同じ処理内容であるので、重複記載を避けるため、ここでは図9の第1特別図柄大当り判定処理を代表して説明する。
まず、第1特別図柄大当り判定処理に入ると、第1特別図柄作動保留球数を1減算し(ステップS351)、図8のステップS334で取得した乱数値が大当り判定値に属するか否かの判定処理(第1特別図柄大当り判定処理)を実行する(ステップS352)。
次いで、ステップS352における大当りの判定結果とステップS334で取得した第1特別図柄用の停止図柄乱数値とに基づいて、第1特別図柄表示装置37に停止させる特別図柄の停止表示態様、つまり特別図柄停止図柄を抽選により選択する(ステップS353)。ステップS352における大当りの判定結果が「大当り」である場合、本処理で抽選される特別図柄停止図柄により、大当りの種別が決定されることになる。
上記ステップS352では、遊技状態に応じて図17に示す大当り抽選確率にて抽選を行い、ステップS353では図17に示す図柄振り分け率に従い、どの特別図柄を特別図柄表示装置に停止表示させるかを抽選により選択する。そして、後述するステップS160の特別変動入賞装置管理処理(図5)にて、停止表示した特別図柄に応じた大当り状態が実行制御され、この大当り状態の後に移行する遊技状態が決定される。
この大当り状態には、大当り状態中に実行されるラウンド数が異なり、大当り状態後に移行する遊技状態が異なる複数種類の大当りが設けられている。大当り状態後に移行する遊技状態には、大別して、確率変動遊技を含む遊技状態と時短遊技含む遊技状態とがあり、その移行先は大当り状態に移行する直前の遊技状態に応じて定まるようになっている(詳細は後述する)。
上記確率変動遊技と時短遊技について説明する。本実施形態では、主制御CPUがその機能部を担う、当選確率を変動させる確率変動機能、普通図柄や特別図柄の変動時間を短縮させる変動時間短縮機能、および可動翼片41bの開状態の期間を変動させる開放延長機能を備えており、これらの機能を作動(オン)させるか否か(オフ)で、確率変動遊技と時短遊技とを実現する。
上記確率変動遊技とは、特別図柄に関する確率変動機能により大当り当選確率を上昇させてその確率が高確率となる遊技状態である。
上記時短遊技とは、上記変動時間短縮機能、普通図柄に関する確率変動機能、開放延長機能を作動させた遊技状態であり、特殊遊技状態に相当する。これにより、特別図柄や普通図柄の変動時間が通常遊技状態中よりも短縮され、補助当り確率が上昇され高確率(たとえば、1/256(低確率)から255/256(高確率)に変動する)となり、さらにまた、通常遊技状態中よりも可動翼片41bの開状態の期間が延長される。これにより上記時短遊技が付加された遊技状態では、普通変動入賞装置41の可動翼片41bによる第2特別図柄始動口35への束縛状態が緩和されて入賞が著しく容易になり、第2特別図柄表示装置38における特別図柄変動表示ゲームの実行機会が増加する。
本実施形態では、次に述べる大当り状態中における利益状態の大小関係が定めてあり、第2特別図柄表示装置38における特別図柄変動表示ゲームの方が第1特別図柄表示装置37における特別図柄変動表示ゲームよりも遊技者が得られる利益が高くなるように構成している。したがって、この時短遊技が付加されるかどうかで、遊技者が得られる利益が大きく変動するようになっている。なお、上記時短遊技は、変動時間短縮機能、普通図柄に関する確率変動機能、および開放延長機能を作動させた遊技状態であることが好ましいがこれに限らず、普通図柄に関する確率変動機能および開放延長機能の少なくともいずれか一方を作動させた遊技状態であっても良い。また、この時短遊技の移行条件およびその終了条件についての詳細は後述する。
次に、図17および図18を参照して、上記大当りの種別について説明しておく。先ず、大当り状態について説明する。以下、説明の便宜上、上記確率変動遊技とするために作動させる機能を「確率変動機能」、上記時短遊技とするために作動させる機能を「時短機能」と称する。
本実施形態では、大当りとなる特別図柄停止図柄(大当り図柄)に応じて、ラウンド数が異なる複数種類の大当り状態が設けてある。図17には、第1特別図柄表示装置37における特別変動表示ゲームで第1特別図柄が「図柄1」「図柄2」で停止表示した場合と、第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームで第2特別図柄が「図柄1」「図柄2」で停止表示した場合の大当り状態中に実行されるラウンド数と、その大当り状態での特賞数の平均値(1回の大当りで遊技者が獲得できる平均的な遊技球数(T1Y値))が示してある。このT1Y値は、遊技機の特性(遊技くぎの配置構成、発射装置32の性能、大当り状態中のラウンド数や大入賞口の開放時間、1入賞当りに払い出される賞球数等)によりその概算値が定まる。なお、「図柄3」は、いわゆる「ハズレ」であり、大当り状態は発生しない。以下、本明細書中、特別図柄変動表示ゲームにて当選した特別図柄の停止図柄を表記する場合、「第1(または第2)特図−図柄1」、「第1(または第2)特図−図柄2」、「第1(または第2)特図−図柄3」と表記する場合がある。
各大当り状態における利益状態の大小関係は、第1の大当り状態である「第1特図−図柄2(T1Y値:約0)」<第2の大当り状態である「第2特図−図柄2(T1Y値:約300発)」<第3の大当り状態である「第1特図−図柄1(T1Y値:約1500発)」≒第4の大当り状態である「第2特図−図柄1(T1Y値:約1500発)」となっている。この大小関係は、T1Y値や後述するハマリ救済機能が発動した際にもたらされる利益やその発動条件、また大当り抽選確率等の兼ね合いにより、適宜変更することができるが、次に述べる大当り状態後に移行する遊技状態をも考慮すると、少なくとも「第1特図−図柄2」<「第2特図−図柄2」の関係を満たしていることが好ましい。
次に、大当り状態後に移行する遊技状態について説明する。本実施形態では、大当り後に移行する遊技状態として上記確率変動遊技と時短遊技とを組み合わせた遊技状態が設けてあり、図18に示すように、(1)「低確率非時短遊技」、(2)「低確率時短遊技」、(3)「高確率非時短遊技」、(4)「高確率時短遊技」の4種類が設けてある。以下、各遊技状態について説明する。
(1)「低確率非時短遊技」
この遊技状態は、特別図柄に関する確率変動機能が作動せず大当り当選確率が低確率、かつ時短機能が作動しない(非時短遊技)の遊技状態であり、通常遊技状態は、この「低確率非時短遊技」に相当する。上記通常遊技状態が遊技者にとって最も不利な遊技状態となる。
(2)「低確率時短遊技」
この遊技状態は、大当り当選確率が低確率、かつ時短遊技となる遊技状態である。
(3)「高確率非時短遊技」
この遊技状態は、確率変動遊技、かつ非時短遊技となる遊技状態である。
(4)「高確率時短遊技」
この遊技状態は、確率変動遊技、かつ時短遊技となる遊技状態である。
再び図9に戻り、ステップS353の処理に続いて、第1特別図柄の変動パターンを設定する(ステップS354)。この処理では、ステップS352の抽選結果とステップS334で取得した変動パターン用乱数値とに基づいて特別図柄の変動パターンが決定される。そして、処理状態を「特別図柄変動中」に切り替え(ステップS355)、特別図柄変動コマンドを演出制御基板24に送信する(ステップS319)。ここでいう「特別図柄変動コマンド」とは、特別図柄の変動開始条件が成立したことを条件に演出制御基板24に送信される特別図柄の挙動情報を含む制御コマンドであり、「特別図柄変動パターン」コマンドや「特別図柄指定」コマンドがその代表である。これらコマンドを受けて演出制御基板24は、今回の特別図柄変動表示ゲームにて現出する演出内容を決定する。これによりこの特別図柄管理処理を終了して、特別変動入賞装置管理処理(図5)に移行する。
図6に戻り、特別図柄変動中の場合は(ステップS308:YES)、特別図柄の変動時間が経過するのを待つ(ステップS309:NO)。特別図柄の変動時間が経過した場合(ステップS309:YES)、処理状態を「特別図柄停止中」に切り替え(ステップS310)、特別図柄の変動が終了し停止したことを示す「停止」コマンドを演出制御基板24に送信する(ステップS311)。演出制御基板24は、この「停止」コマンドにより特別図柄の変動が終了したことを認識し、現在現出中の演出の終了処理を行う。これによりこの特別図柄管理処理を終了して、特別変動入賞装置管理処理(図5)に移行する。
特別図柄停止中の場合は(ステップS314:YES)、ステップS312またはS313にて決定した特別図柄停止図柄を特別図柄表示装置に表示させるための一定時間が経過するのを待ち(ステップS315:NO)、一定時間(たとえば、0.5秒)が経過したならば(ステップS315:YES)、その停止図柄が大当り図柄であるか否かを判断する(ステップS316)。大当り図柄である場合は(ステップS316:YES)、大当り移行直前の遊技状態データ(大当り開始前状態データ)を記憶し(ステップS318)、処理状態を「大当り中」に設定して時短機能を未作動とし(ステップS319)、「特別図柄待機中」に切り替える(ステップS320)。
一方、上記特別図柄停止図柄が大当り図柄でない場合は(ステップS316:NO)、ステップS317の時短遊技管理処理に入る。
(時短遊技管理処理:図11)
時短遊技管理処理(ステップS317)の詳細を図11に示す。ここでは、時短遊技の終了条件が成立したか否かを確認し、その終了条件が成立したならば通常遊技状態(低確率非時短遊技)へと移行処理を実行する。この時短遊技管理処理は、特殊遊技終了手段に相当する。
図11おいて、主制御基板(主制御CPU)27は、まず現在の遊技状態が時短遊技中であるか否かを判断する(ステップS381)。ここで「時短遊技中」とは、時短機能が作動中の遊技状態であり、本実施形態では「低確率時短遊技」または「高確率時短遊技」が該当する。時短遊技中でない場合は(ステップS381:NO)何もせずに時短遊技管理処理を終了し、図7のステップS320処理に移行する。
時短遊技中である場合は(ステップS381:YES)、特別図柄の変動回数をカウントする特別図柄変動回数カウンタに1加算する(ステップSS382)。ここでは、第1特別図柄の変動回数と第2特別図柄の変動回数の合計がカウントされる。
次いで、上記特別図柄変動回数カウンタが所定値に達したか否か、つまり上記特別図柄の変動回数が所定回数に達したか否かを判断する(ステップS383)。本実施形態では、時短遊技の終了条件として、各特別図柄の変動回数の合計が100回に達したことを条件(以下、時短遊技終了条件となる特別図柄の変動回数を「時短終了変動回数」と称する)としている。なお、本実施形態では、上記ステップS382で特別図柄が変動する毎に特別図柄変動回数カウンタを1加算する加算処理を行い、ステップS383で上記特別図柄変動回数カウンタが「100」に達したか否かを判定しているがこれに限らず、後述する図15の時短遊技移行管理処理のステップS474またはS475で時短終了変動回数として上記特別図柄変動回数カウンタに「100」を設定し、ステップS382で特別図柄が変動する毎に特別図柄変動回数カウンタを1減算する減算処理を行い、ステップS383で上記特別図柄変動回数カウンタが「0」となったか否かを判定しても良い。
また大当り図柄の種別に応じて上記時短終了変動回数を変化させても良い。たとえば「特図1−図柄2」で時短遊技に移行した場合には上記時短終了変動回数を50回、「特図2−図柄2」で時短遊技に移行した場合には上記時短終了変動回数を100回、としても良い。
特別図柄変動回数カウンタの値が100でない場合、つまり100未満である場合には(ステップS383:NO)、何もせずに時短遊技管理処理を終了し、図7のステップS320処理に移行する。しかし特別図柄変動回数カウンタの値が100である場合には(ステップS383:YES)、通常遊技(低確率非時短遊技)に強制的に移行設定、つまり時短機能を未作動に設定する(ステップS384)。これにより、時短遊技管理処理を終了し、図7のステップS320に移行する。
(特別変動入賞装置管理処理:図12、図13)
図12および図13は、特別変動入賞装置管理処理(ステップS160)を示すフローチャートである。この特別変動入賞装置管理処理は大当り実行手段に、本処理中の時短遊技管理処理は特殊遊技移行手段および特殊遊技終了手段に、本処理中の大当り終了管理処理は計数手段に相当する。
この特別変動入賞装置管理処理が開始されると、図12において、主制御基板(主制御CPU)27は、まず上記の特別図柄管理処理のステップS319(図7)の処理により、特別図柄が停止したときの停止図柄が大当り図柄であって「大当り中」になっているか否かを判断する(ステップS401)。「大当り中」でなければ(ステップS401:NO)、大当り状態を管理する必要がないので、この特別変動入賞装置管理処理を終了してステップS161のLED管理処理(図5)に移行する。
一方、「大当り中」である場合は(ステップS401:YES)、特別図柄管理処理(ステップS159)で決定された大当り状態に応じた第1特別変動入賞装置42または第2特別変動入賞装置43の一連の動作を制御するために以下の処理を実行していく。ここでは、説明の便宜上、必要に応じて第1特別変動入賞装置42または第2特別変動入賞装置43を単に「特別変動入賞装置」と、また第1大入賞口50と第2大入賞口51を単に「大入賞口」と、その他、開放扉42bまたは開放扉43bを単に「開放扉」と、第1特別変動入賞装置ソレノイド42cまたは第2特別変動入賞装置ソレノイド43cを単に「特別変動入賞装置ソレノイド」と称して説明する。
「大当り中」である場合(ステップS401:YES)、特別変動入賞装置の大入賞口への入賞球が検出されたか否かを判断する(ステップS402)。大入賞口への入賞球が検出された場合は(ステップS402:YES)、大入賞口入賞コマンドを演出制御基板24に送信する(ステップS403)。この大入賞口入賞コマンドを受けて演出制御基板24は大入賞口に入賞した際に現出する演出内容を決定する。
次いで役物連続作動装置が「作動停止中」であるかを判断し(ステップS404)、作動停止中ならば(ステップS404:YES)、「役物連続作動装置作動中」に切り替える(ステップS409)。ここで、上記「役物連続作動装置」とは、特別変動入賞装置42の1ラウンド分の動作を所定回数連続して動作させるための機能部をいう。
役物連続作動装置がまだ「作動停止中」でない場合(ステップS404:NO)、すなわち役物連続作動装置が作動中である場合は、特別変動入賞装置が作動開始前なのか(ステップS405)、作動中なのか(ステップS406)、作動停止中なのか(ステップS412)、役物連続作動装置が作動終了中なのか(ステップS418)を順次確認し、該当する場合はそれぞれの処理状態に属する処理を行う。なお、「特別変動入賞装置作動開始前」とは大当りして特別変動入賞装置の動作が開始前状態であることを示し、「特別変動入賞装置作動中」とは特別変動入賞装置が現在作動中であることを示し、「特別変動入賞装置作動停止中」とは特別変動入賞装置が現在停止中であることを示している。
以下、「特別変動入賞装置作動開始前」「特別変動入賞装置作動中」「特別変動入賞装置作動停止中」の処理内容について順に説明していく。
「特別変動入賞装置作動開始前」である場合は(ステップS405:YES)、大入賞口50、51が開放される前の一定時間(開始前一定時間)が経過したか否か判断する(ステップS410)。なお、上記開始前一定時間は、ステップS315の特別図柄の停止表示時間が経過して「大当り」が確定した後、特別変動入賞装置の動作開始までのインターバル区間を定めた時間幅となる。
上記開始前一定時間が経過した場合は(ステップS410:YES)、「特別変動入賞装置作動中」に切り替え、特別変動入賞装置の動作パターン、つまり開閉扉の動作パターンを設定し、これに基づいてソレノイド制御用の励磁制御信号を特別変動入賞装置ソレノイドに送信し、開放扉を作動させて大入賞口を開放させる(ステップS411)。そして、この特別変動入賞装置管理処理を終了してステップS161のLED管理処理(図5)に移行する。上記「特別変動入賞装置作動開始前」でない場合は(ステップS405:NO)、特別変動入賞装置が作動中か否かを判断する(ステップS406)。
「特別変動入賞装置作動中」である場合は(ステップS406:YES)、特別変動入賞装置の大入賞口への入賞球が検出されたか否かを判断する(ステップS407)。
大入賞口への入賞球が検出された場合(ステップS407:YES)、「大入賞口入賞数」に1加算する(ステップS408)。そして、図13のステップS423に移行する。しかし大入賞口への入賞球が検出されなかった場合は(ステップS407:NO)、上記の1加算処理(ステップS408)を行わずにステップS423に移行する。
ステップS423に進むと、加算後の大入賞口入賞数が最大入賞数となったか否かを判断する(ステップS423)。大入賞口入賞数が最大入賞数に至っていなければ(ステップS423:NO)、あらかじめ設定した大入賞口40が開いている時間(大入賞開放時間)が経過したか否かを判断する(ステップS424)。そして、大入賞口入賞数が最大入賞数に至っておらず(ステップS423:NO)、かつ大入賞開放時間が経過していなければ(ステップS424:NO)、何もしないで、この特別変動入賞装置管理処理を終了してステップS161のLED管理処理(図5)に移行する。
大入賞口入賞数が最大入賞数に至った場合(ステップS423:YES)、大入賞口40を閉鎖し、「特別変動入賞装置作動開始中」に切り替える(ステップS425)。また大入賞口入賞数が最大入賞数に至る前であっても、大入賞開放時間が経過した場合は(ステップS424:YES)、その時点で大入賞口を閉鎖し、「特別変動入賞装置作動開始中」に切り替える(ステップS425)。これにより、この特別変動入賞装置管理処理を終了してステップS161のLED管理処理(図5)に移行する。
一方、上記ステップS406(図12)において特別変動入賞装置作動中ではないと判断された場合(ステップS406:NO)、処理状態が「特別変動入賞装置作動停止中」であるか否かを判断する(ステップS412)。
「特別変動入賞装置作動停止中」の場合は(ステップS412:YES)、大入賞口40が閉鎖されて一定時間(ラウンド間隔時間)が経過したか否かを判断する(ステップS413)。なお、ここでは大当り状態中の処理であるので、役物連続作動装置が作動中であるかも判断し、役物連続作動装置が作動中でなければ、ステップS412の判断はNOとなるようにしている。
ラウンド間隔時間が経過した場合(ステップS413:YES)、「特別変動入賞装置作動開始前」に切り替える(ステップS414)。そして、特別変動入賞装置の作動回数(ラウンド数)があらかじめ定めた最大回数(たとえば15ラウンド)に至ったか否かを判断する(ステップS415)。最大ラウンド数である15ラウンドに至るまでの間は(ステップS415:NO)、「特別変動入賞装置作動回数」に1加算して(ステップS416)、ラウンド数の現在値を更新して行く。最大ラウンド数に至ったときは(ステップS415:YES)、「役物連続作動装置作動終了中」に切り替える(ステップS417)。これにより、この特別変動入賞装置管理処理を終了してステップS161のLED管理処理(図5)に移行する。
一方、上記ステップS412でNOと判断された場合には、次いで役物連続作動装置が作動終了中か否かを判断する(ステップS418)。
そして「役物連続作動装置作動終了中」である場合は(ステップS418:YES)、上記最終ラウンドの特別変動入賞装置42の大入賞口40が閉鎖された後のインターバル区間を定める一定時間が経過したか否かを判断する(ステップS419)。そして、この一定時間が経過した場合は(ステップS419:YES)、「役物連続作動装置作動停止中」に切り替え(ステップS420)、大当り終了管理処理に入る(ステップS421)。
(大当り終了管理処理:図14)
大当り終了管理処理(ステップS421)の詳細を図14に示す。ここでは、大当り状態終了後に移行する遊技状態を決定する。
図14おいて、主制御基板(主制御CPU)27は、まず、大当り終了処理の一環として、図7のステップ319で設定された「大当り中」の設定を解除する(ステップS451)。
次いで、大当り状態に移行した移行回数(以下、「大当り移行回数」と称する)、つまり大当り回数をカウントするリミッター数に1加算する(ステップS452)。詳細は後述するが、本実施形態では、大当り移行回数が所定回数に達した場合、「ハマリ」を救済する機能として強制的に時短遊技を付加(時短機能作動)する、いわゆる「天井機能」が発動するようになっている。
次いで、時短遊技移行管理処理に入る(ステップS453)。
(時短遊技移行管理処理:図15)
時短遊技移行管理処理(ステップS453)の詳細を図15に示す。ここでは、上記天井機能を発動させるか否かの決定に関する処理を実行する。
図15おいて、主制御基板(主制御CPU)27は、まずリミッター数が所定値に達したか否かを判断する(ステップS471)。ここでは、リミッター数が10回、すなわち大当り移行回数が10回に達したか否かを判断する。本実施形態では、大当り移行回数をカウントする際、特別図柄表示装置37、38における各特別変動表示ゲームで当選した大当り状態への移行回数をすべてカウントすることとしているが、これに限らず、1または複数種類の特定の大当り状態への移行回数、たとえば「第1特図−図柄2」のみによる大当り移行回数や、「第1特図−図柄1」による大当り移行回数と「第1特図−図柄2」による大当り移行回数の合計回数をカウントしても良い。このように、すべての大当り移行回数をカウントするのではなく、特定の特別図柄による大当り移行回数をカウントすることで、「天井機能」の発動条件にバリエーションを持たせることができ、遊技性に富んだ遊技機を提供することができる。好ましくは、T1Y値や大当り当選確率や図柄振り分け率を考慮した「天井機能」の発動条件を設定する。
ここで、第1特別図柄表示装置37における特別変動表示ゲームでは、普通変動入賞装置41の可動翼片41bにより第2特別図柄始動口35への入賞が束縛状態下に置かれているため、この状態下では、第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームを行うことは困難である。つまり上記リミッター数が所定値に達しない限り、第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームを行うことはできないようになっている。
そこで、図17に示すように、第1特別図柄の「図柄1」と「図柄2」との図柄振り分け率を図柄1が3%、図柄2が97%とすることにより、わずかではあるが、上記リミッター数到達前に第1特別図柄表示装置37における特別変動表示ゲームで「図柄2」に当選したことを条件に、特別に時短遊技を付加して、第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームの実行機会を与えるようにしている。このようにすることで、第1特別図柄表示装置37における特別変動表示ゲームにおいて所定の条件が成立した場合に第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームの実行機会を与えることができ、必ずしもリミッター数に到達しなければ時短遊技が付加されないとする遊技機よりも、遊技が単調化されず、遊技者の遊技意欲を向上させることができるようになる。上記理由から、本実施形態では、リミッター数が所定値に達していなくとも「第1特図−図柄1」または「第2特図−図柄2」で当選した場合には時短遊技に移行するように設定してある。
再び説明に戻り、上記リミッター数が10回に達していない場合、つまり10回未満の場合(ステップS471:NO)、特別図柄管理処理(図7)のステップS318で記憶した「大当り開始前状態データ」を確認し、今回の大当り状態移行直前の遊技状態を把握する(ステップS472)。
次いで、ステップS472で取得した「大当り開始前状態データ」と図18に示す時短遊技移行テーブルとに基づいて大当り状態後に時短遊技を付加するか否かを決定する(ステップS473)。この時短遊技移行テーブルには、大当り開始前状態と特別図柄停止図柄とに応じて大当り状態後に時短遊技とするか否かが対応付けて設定してある。なお、後述する確変遊技移行管理処理(ステップS454)と本処理にて、最終的に大当り状態後に移行する遊技状態が確定する。
次いで、ステップS473で時短遊技に移行させるか否かに応じて、時短機能を作動しまたは未作動とする状態移行の設定を行い(ステップS474)、時短遊技への移行設定処理を終える。これにより時短遊技移行管理処理を終了し、確変遊技移行管理処理(ステップS454)に移行する。
一方、上記リミッター数が10回である場合(ステップS471:YES)、時短遊技への状態移行の設定を行う(ステップS475)。これによりリミッター数が所定値に達したことを条件として、大当り開始前状態がどのような遊技状態であっても強制的に時短遊技が付加されることになる。
本発明では強制的に時短遊技を付加するとはいえ、この処理状態下は、役物連続作動装置の作動が終了した状態下である(図13のステップS417〜ステップS420)。したがって、普通図柄に関する確率変動機能の作動を含む時短遊技に移行しても、現行規則である遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則第6条別表第4(1)ト(リ)、同規則第6条別表第4(1)ト(ハ)、および同規則第6条別表第4(1)ホ(ト)に適合した遊技機となる。なお、本実施形態では、低確率中の大当り当選確率(2999/65536」と高確率中の大当り当選確率(3000/65536)とをほぼ同じ値に定め、また大当り当選確率を比較的高めに設定し、上記リミッター数に到達するまで総遊技回数(特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の総変動回数)が現在主流の機種(大当り当選確率:約1/200〜1/300)で初当りするまでの総遊技回数と概ね同じとなるように定めて、遊技者が極度の「ハマリ」に遭遇した感覚に陥らないようにしている。なお、大当り当選確率については、高確率中の方が低確率中よりも若干上昇した値とし、遊技者が体感的に判別することが困難な上昇幅であることが好ましく、より好ましくは本例のように、ほぼ同じ値である。たとえば、現在主流の機種では、高確率中では低確率中よりも大当り確率が10倍程度上昇するので、高確率中が継続すれば遊技者は容易に高確率中であることが実感することができる。しかし、本実施形態ではこれを判別困難な上昇幅として、上記リミッター数と相まって遊技性のバランスを保つようにしている。しかし、その上昇幅は遊技機の特性(T1Y値や時短終了変動回数等)に応じて適宜設定しても良い。
上記時短遊技では既に説明したように、通常遊技状態よりも第2特別図柄始動口35への入賞が容易になり第2特別図柄表示装置38における特別図柄変動表示ゲームの実行機会が増加する。したがって、第2特別図柄表示装置38における特別図柄変動表示ゲームによる大当り抽選機会が増加するので、「第2特図−図柄1」や「第2特図−図柄2」に当選する可能性が高くなり、遊技者は第1特別図柄表示装置38における特別図柄変動表示ゲームよりも得られる利益が高い遊技状態下で遊技を行うことができるようになる。
この時短遊技の終了条件は、ステップS383で説明したように、特別図柄の変動回数が100回行なわれたことを以って終了する。ここで上記時短終了変動回数は、第2特別図柄表示装置38における特別図柄変動表示ゲームの大当り当選確率、つまり図17に示す大当り当選確率(「第2特図−図柄1」または「第2特図−図柄2」のいずれかに当選する当選確率)を「1/X」、上記時短終了変動回数を「N」とした場合、「X≦N」の関係式を満たすことが好ましい。この関係式を満たすことにより時短遊技が終了する前に、ある程度の大当りを連続して当選させることが可能となる。これにより、天井機能が有効に働き、ハマリに遭遇した遊技者であっても遊技意欲の減退を防ぐことができる。またT1Y値を考慮して一方の大当りを連続して当選させるために、たとえばT1Y値が相対的に小さい「第2特図−図柄2」に着目し、これの当選確率を「1/M」、上記時短終了変動回数を「N」とした場合、「M≦N」の関係式を満たすように定めても良い。
本実施形態では、第2特別図柄表示装置38における特別図柄変動表示ゲームにおいて、低確率中の大当り当選確率は「2999/65536」であり、高確率中の大当り当選確率は「3000/65536」である(上記「X」の値は約21.85となる)。詳細な計算は省略するが、この条件下では、上記時短終了変動回数の100回以内に「第2特図−図柄1」または「第2特図−図柄2」のいずれかに当選する可能性は約99%となる。
しかしながら、特賞数がある「第2特図−図柄1」または「第2特図−図柄2」のいずれかに当選する可能性が約99%であるとすれば、これらの大当りに過度に連続当選し、かえって遊技のバランスを崩してしまうことになる。
そこで、T1Y値に応じた遊技性のバランスを考慮し、図17に示す抽選テーブルには、たとえば「第2特図−図柄1」が5%(150/65536)で「第2特図−図柄2」が95%(低確率中:2850/65536、高確率中:2849/65536、上記「M」の値は約23.00となる)の図柄振り分け率でそれぞれが当選するように定め、さらに図18に示す時短遊技移行テーブルに示すように、「第2特図−図柄1」よりも相対的にT1Y値が小さい「第2特図−図柄2」で当選したことを条件に時短遊技が継続するように設定する一方、「第2特図−図柄1」で当選したことを条件に特賞数が多く得られる代償として時短遊技が強制的に終了するように設定してある。但し、時短遊技中に「第2特図−図柄1」で大当りをして上記リミッター数が10回に達した場合、天井機能が優先して機能するようになっており、当該時短遊技が終了されることなく次回大当りまで継続される。なお、リミッター数、大当り当選確率、大当り状態中のラウンド数、大当り時の図柄振り分率は、適宜設定可能である。
また上記時短終了変動回数を、たとえば「X≦N/2(X=21.85、N=100とした場合、時短終了変動回数50回以内に約90%で当選)」〜「X≦N/4(X=21.85、N=100とした場合、時短終了変動回数25回以内に約68%で当選)」、または「M≦N/2(M=23.00、N=100とした場合、時短終了変動回数の50回以内に約89%で当選)」〜「M≦N/4(M=23.00、N=100とした場合、時短終了変動回数25回以内に約67%で当選)」を満たすように関係式に設定し、過度に連続当選してしまうこと防ぐように定めても良い。このように、どのように遊技性のバランスを保つかは、試射試験に関する現行規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則第6条別表第4(1)ロ(ハ)および(ニ))の制限はあるが、上記図柄振り分け率や時短終了変動回数内で大当りが連続して当選する確率(いわゆる、「継続確率」)を上記のように定めることにより、遊技性に富んだ遊技機を提供することができる。
また、特に本発明では大当り移行回数による天井機能を備えているので、遊技者が大当り移行回数を予想し、天井機能が発動するリミッター数が迫っている遊技機を選別する、という技術介入性を有した弾球遊技機を提供することができる。
また、遊技中に遊技者自身が大当り移行回数をカウントすることにより、天井機能が発動するリミッター数までに必要な大当り移行回数を概ね把握することができる。このため、遊技者は、そのリミッター数に達するように大当り移行回数を増やそうと試みるので遊技意欲が増すことになる。この結果、「ハマリ」に遭遇した遊技者の苛立ち感を抑えて単調化した遊技を解消する弾球遊技機を提供することができる。
また、特別図柄変動中または大当り状態中における演出にて、装飾ランプ45による光演出またはスピーカ58による効果音若しくは液晶表示装置36に表示する演出画像を用いて、天井機能が発動するリミッター数までに必要な大当り移行回数やリミッター数のカウント回数(現在値)に応じ、これらを明示または暗示する特定の演出を現出するように構成しても良い。これにより、遊技者は、その演出を見れば天井機能が発動するリミッター数までの大当り移行回数を概ね把握することができるようになり、そのリミッター数に達するように大当り移行回数を増やそうと試みるので遊技意欲が増すことになる。この結果、「ハマリ」に遭遇した遊技者の苛立ち感を抑えて単調化した遊技を解消することができる弾球遊技機を提供することができる。
さらに本発明において、上記特定の演出を現出する演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることができる刺激伝達手段であれば、いずれも本発明における演出手段として採用することができる。装飾ランプ45や画像形成装置などの光発生手段ないし演出表示装置、スピーカ58などの音響発生装置、操作者の体に振動を伝える加振装置などはその代表例である。演出表示装置は、画像表示装置や液晶表示装置36と同じく、視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(7セグ表示器など)も含む点で画像表示装置と異なる。また液晶表示装置36は画像表示装置の代表例であるが、液晶表示装置と言った場合は主として画像で表示するタイプを指し、7セグメントの液晶表示器のように画像以外の表示により演出を表現するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
また、外部集中端子基板26を介して大当り移行回数(大当り回数)をデータ情報カウンタ(図示せず)に出力するように構成しても良く、この場合、そのデータ情報カウンタの出力情報を見れば、天井機能が発動するリミッター数までの大当り移行回数を把握することができる。このため、パチンコ店において遊技者は、天井機能が発動するリミッター数に極力近い遊技台を選別したり、そのリミッター数に達するように大当り移行回数を増やそうと試みたりする。この結果、技術介入性を有すると共に、「ハマリ」に遭遇した遊技者の苛立ち感を抑えて単調化した遊技を解消することができる弾球遊技機を提供することができる。
再び図14に戻り、上記時短遊技移行管理処理に続いて、確変遊技移行管理処理(ステップS454)を実行する。
(確変遊技移行管理処理:図16)
確変遊技移行管理処理(ステップS454)の詳細を図16に示す。ここでは、確率変動遊技に移行するか否かの決定を行う。この確変遊技移行管理処理は、確率変動状態移行手段に相当する。
図16おいて、主制御基板(主制御CPU)27は、特別図柄管理処理(図7)のステップS318で記憶した「大当り開始前状態データ」を確認し、今回の大当り状態移行直前の遊技状態を把握する(ステップS491)。
次いで、「大当り開始前状態データ」に基づいて今回の大当り状態移行直前の遊技状態が低確率中、すなわち確率変動遊技を含む遊技状態でなかったか否かを判断する(ステップS492)。確率変動遊技を含まない遊技状態は、「低確率非時短遊技(通常遊技状態)」または「低確率時短遊技」の場合であり、確率変動遊技であるか否かは、確率変動機能が作動しているか未作動であるかで判断する。
低確率中であった場合(ステップS492:YES)、高確率中に設定、つまり特別図柄に関する確率変動機能を作動させる(ステップS495)。しかし低確率中でなかった場合には(ステップS492:NO)、次いでリミッター数が10であるか否かを判断する(ステップS493)。リミッター数が10であった場合には(ステップS493:YES)低確率中に設定、つまり特別図柄に関する確率変動機能を未作動にし(ステップS494)、リミッター数が10未満の場合には(ステップS493:NO)、高確率中に設定する(ステップS495)。これにより確変遊技移行管理処理を終了して図14のステップS455に移行する。すなわち、ステップS492〜ステップS495の処理により、大当り状態終了後に大当り状態への当選確率を通常遊技状態(低確率)よりも上昇させた高確率中(確率変動状態)に移行し、リミッター数に達するまで(所定の上限回数まで)上記高確率中が継続することになる。
ここで上記確変遊技移行管理処理においては、大当りの当選確率については、その当選確率の値のうち低いものから高いものへの変動は、役物連続作動装置の作動が終了したときにのみ生じるものとしているので、この状態下での確率変動遊技への移行処理は、現行規則である遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則第6条別表第4(1)ト(リ)、同規則第6条別表第4(1)ト(ハ))に適合した遊技機となる。
図14に戻り、続いてステップS455に移行し、リミッター数が10であるか否かを判断し、リミッター数が10である場合には(ステップS455:YES)、リミッター数を0にクリアする(ステップS456)。これにより大当り終了管理処理を終了して図13のステップS422に移行する。
一方、リミッター数が10でない場合には(ステップS455:NO)、何もせずに大当り終了管理処理を終了して図13のステップS422に移行する。
なお以上では、図14の大当り終了管理処理中で行われる遊技状態の移行に関する処理は、最終ラウンドの特別変動入賞装置の作動が終了したことを条件に(大当り状態が終了したことを条件に)実行されるとして説明したがこれに限られない。遊技状態をどの状態に移行させるかどうかは、特別図柄変動表示ゲームの抽選結果に応じて定まる。したがって、特別図柄変動表示ゲームにおける大当り判定処理が終了したことを条件に遊技状態の移行に関する処理を実行しても良い。具体的には、図9のステップS352または図10のステップS362の特別図柄大当り判定処理で「大当り」と判定され、続くステップS353またはステップS363の処理で特別図柄停止図柄が決定された段階の後に、遊技状態の移行に関する処理を実行しても良い。この場合、図7のステップS318の処理の大当り開始前状態データの記憶処理は、特別図柄の変動開始段階から上記特別図柄停止図柄が決定されるまでに実行することが好ましい。
再び図13に戻り、ステップS422では次回移行先の遊技状態情報を指定する「遊技状態指定」コマンドを演出制御基板24に送信する(ステップS422)。演出制御基板24はこの遊技状態指定コマンドを受けて、大当り状態後に移行する遊技状態に対応した演出を現出する。これにより特別変動入賞装置管理処理を終了し、図5のステップS161に移行する。
図5に戻り、主制御CPUは、上記の特別変動入賞装置管理処理に次いで「LED管理処理」を実行する(ステップS161)。このLED管理処理は、処理の進行状態に応じて、普通図柄表示装置38や特別図柄表示装置39への出力データを作成したり、当該データに基づく制御信号を出力したりする処理である。
そして、上記のようにステップS152〜ステップS161の処理を実行した後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS162)、タイマ割込処理を終了する。
以上に説明した本実施形態に係る弾球遊技機について、本発明の内容の理解を容易なものとするために、本発明に係る弾球遊技機の遊技手順を時短遊技に着目して簡単に説明しておく。ここでは、初回当り(1回目)大当り直前の遊技状態を通常遊技状態であるとして説明する。また、遊技状態遷移の具体例として図19に示す過程で遊技状態が遷移するものとして説明する。なお、初回当り直前の遊技状態を低確率非時短遊技である「通常遊技状態」として説明する。
まず、時短遊技を含まない通常遊技状態下では普通変動入賞装置41の可動翼片41bにより第2特別図柄始動口35への入賞が束縛状態下に置かれているため、遊技者は、第1特別図柄始動口34に入賞させて第1特別図柄表示装置37における特別変動表示ゲームを行うことになる。この第1特別図柄表示装置37における特別変動表示ゲームで、第1特別図柄が「図柄2」で停止表示した場合には第1特別変動入賞装置42が作動し第1大入賞口50が開状態となり(第1の大当り状態)、「図柄1」で停止表示した場合には第2特別変動入賞装置43が作動し第2大入賞口51が開状態となる(第3の大当り状態)。そして、第1特別図柄が「図柄2」で大当りとなった場合にはほとんど特賞数が得られず(T1Y値=約0)、これに対し「図柄1」で大当りとなった場合には、多くの特賞数(T1Y値=約1500発)が得られるようになる。
ここで、10回目の大当りが「第1特図−図柄2(図では「第1特図2」と表記)」であっても、10回目の大当り状態に移行した場合には「天井機能」の発動条件が成立し(図15の時短遊技移行管理処理のステップS471、ステップS475参照)、強制的に時短遊技が付加される。これにより、補助当り確率が上昇し、普通変動入賞装置41の可動翼片41bが頻繁に作動し、第2特別図柄始動口35への入賞が容易になる。この状態下では、第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームを行うことが有利となるため、遊技者は第2特別図柄始動口35への入賞を試みることになる。この第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームで、第2特別図柄が「図柄2」で停止表示した場合には第1特別変動入賞装置42が作動して第1大入賞口50が開状態となり(第2の大当り状態)、「図柄1」で停止表示した場合には第2特別変動入賞装置43が作動して第2大入賞口51が開状態となる(第4の大当り状態)。そして、第2特別図柄が「図柄2」で大当りとなった場合には若干の特賞数が得られ(T1Y値=約300発)、これに対し図柄1」で大当りとなった場合には多くの特賞数(T1Y値=約1500発)が得られるようになる。
続いて11回目〜18回目まで上記時短遊技中に「第2特図−図柄2(図では「第2特図2」と表記)」で当選し時短遊技が継続して付加されている。この間、大当りに当選するごとに遊技者は約300発の特賞数が得られる(本例では連続当選8回で約2400発得られる)。ところが、19回目に「第2特図−図柄1(図では「第2特図1」と表記)」で当選した場合には、時短遊技中が終了し、この後のゲームでは、第1特別図柄表示装置37における特別変動表示ゲームを行うことになる。
しかし20回目の大当り状態に移行すると、再びリミッター数が10となり天井機能の発動条件が成立し、時短遊技が強制的に付加される。この後のゲームでは、再び第2特別図柄表示装置38における特別変動表示ゲームを行うことになる。
続いて、時短遊技中に入り21回〜22回目まで「第2特図−図柄2」で当選し、23回目に「第2特図−図柄1」で当選すると時短遊技が終了する。
しかし首尾よく27回目の大当りで、「第1特図−図柄1」に当選した場合には、リミッター数に到達していなくとも強制的に時短遊技が付加される。
そして、この後は、時短遊技が付加された遊技状態にて「第2特図−図柄1」で当選するか(但し、リミッター数が10となる「第2特図−図柄1」での当選時は除く)、時短終了変動回数に達するまで時短遊技を含む遊技状態が継続することになる。
以上、図面を参照しながら本発明の好ましい一実施の形態について説明したが、これは、本発明を単に例示したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。また、本発明を逸脱しない範囲において、弾球式遊技機を構成する要素、各種パラメータを適宜変更することができる。