JP2010130709A - アルミ線材接続体 - Google Patents
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Abstract
【課題】オルタネータ等のステータ用平角導体へ適用できる、溶接後の引き剥がし強度、振動耐久性、導電率に優れ、ブローホール等の欠陥の少ないアルミ線材接続体を提供する。
【解決手段】アルミ線材接続体1は、2本平行に配置されたアルミ合金の角線2(2A、2B)のそれぞれの端部が溶接されて松葉形状となされた溶接部3を有する。溶接部3は溶融部31と、溶接熱により再結晶した熱影響部32とを有する。溶融部31の面積は、角線2(2A、2B)の断面積の0.5倍以上2倍以下であり、熱影響部32(32A、32B)の表面積は、角線2(2A、2B)の断面積のそれぞれ2倍以下である。また、アルミ合金角線2の導電率は53%IACS以上、引張強度は100MPa以上、破断伸びは2%以上であり、アルミ合金角線2の原料中に結晶粒微細化材として添加されたTiとVの量の合計は0.0002mass%以上0.02mass%以下である。
【選択図】 図2
【解決手段】アルミ線材接続体1は、2本平行に配置されたアルミ合金の角線2(2A、2B)のそれぞれの端部が溶接されて松葉形状となされた溶接部3を有する。溶接部3は溶融部31と、溶接熱により再結晶した熱影響部32とを有する。溶融部31の面積は、角線2(2A、2B)の断面積の0.5倍以上2倍以下であり、熱影響部32(32A、32B)の表面積は、角線2(2A、2B)の断面積のそれぞれ2倍以下である。また、アルミ合金角線2の導電率は53%IACS以上、引張強度は100MPa以上、破断伸びは2%以上であり、アルミ合金角線2の原料中に結晶粒微細化材として添加されたTiとVの量の合計は0.0002mass%以上0.02mass%以下である。
【選択図】 図2
Description
本発明は、自動車等に使用されるオルタネータなどに用いるアルミ平角エナメル線ステータコイル部材などに好適に使用されるアルミ線材接続体に関するものである。
自動車等のオルタネータに用いられるステータコイルには小型化、高出力の観点で高密度に巻くことができる平角線が用いられる。オルタネータのさらなる軽量化のために、アルミ導電線が検討されている。
平角エナメル線では、長尺のコイル形成が難しいために、短尺コイルの端部を溶接してつなぎ合わせて長尺とすることが一般的である。エナメル線の端末を溶接する方法としては、TIG溶接、MIG溶接、あるいは抵抗溶接といった電気的な溶接を用いることが知られている(たとえば特許文献1〜2)。特許文献1はアルミ線、特許文献2は銅線に関するものである。
また、導電用のアルミ線の合金組成としては、主に架空送電線用の合金(たとえば特許文献3〜6)が知られている。
また、自動車用のワイヤーハーネスとしてアルミ合金による導体が知られている(たとえば、特許文献7、8)。
また、ブローホール耐久性を向上させるためにアルミ中の水素量を規定した発明(特許文献9)も知られている。
平角エナメル線では、長尺のコイル形成が難しいために、短尺コイルの端部を溶接してつなぎ合わせて長尺とすることが一般的である。エナメル線の端末を溶接する方法としては、TIG溶接、MIG溶接、あるいは抵抗溶接といった電気的な溶接を用いることが知られている(たとえば特許文献1〜2)。特許文献1はアルミ線、特許文献2は銅線に関するものである。
また、導電用のアルミ線の合金組成としては、主に架空送電線用の合金(たとえば特許文献3〜6)が知られている。
また、自動車用のワイヤーハーネスとしてアルミ合金による導体が知られている(たとえば、特許文献7、8)。
また、ブローホール耐久性を向上させるためにアルミ中の水素量を規定した発明(特許文献9)も知られている。
銅線にくらべてアルミ線は強度が低いために、溶接部強度を高く保つための方策が必要である。溶融部分の結晶を細かくするためには急速に冷却することが考えられるが、ブローホールや巻き込みが発生するため、かえって溶接部強度が低下し信頼性が低下する恐れがある。この観点から、特許文献2の技術事項をそのまま適用しても問題の解決には結びつかない。
また、特許文献3〜6に記載されたアルミ線は、架空線等に用いられるために、その線径は数mm以上と太く、例えば平角に成型する製品(具体的にはオルタネータ用のステータコイルなど)に適用することは難しい。
また、特許文献7、8は、ステータコイルのように導体と導体を溶接して使用するものではなく、溶接後の引き剥がし強度や溶接部の振動耐久性、溶接に伴うブローホールの形成など、ステータコイルに必要な特性とは異なるものである。さらに、自動車用では撚線として使用されるもので、同様の理由からステータ用平角導体に適用することは難しい。
また、特許文献9では、水素量をコントロールしているが、アルミ平角線の溶接後の強度や振動耐久性は、熱影響部や溶融凝固部の金属組織に大きく影響を受けるため、本技術のみをステータコイル用のアルミ平角線に適用することは難しい。
また、特許文献3〜6に記載されたアルミ線は、架空線等に用いられるために、その線径は数mm以上と太く、例えば平角に成型する製品(具体的にはオルタネータ用のステータコイルなど)に適用することは難しい。
また、特許文献7、8は、ステータコイルのように導体と導体を溶接して使用するものではなく、溶接後の引き剥がし強度や溶接部の振動耐久性、溶接に伴うブローホールの形成など、ステータコイルに必要な特性とは異なるものである。さらに、自動車用では撚線として使用されるもので、同様の理由からステータ用平角導体に適用することは難しい。
また、特許文献9では、水素量をコントロールしているが、アルミ平角線の溶接後の強度や振動耐久性は、熱影響部や溶融凝固部の金属組織に大きく影響を受けるため、本技術のみをステータコイル用のアルミ平角線に適用することは難しい。
前記課題を解決するための第1の解決手段は、導電率が53%IACS以上で、結晶粒微細化材をTi含有量とV含有量の合計で0.0002mass%以上0.02mass%以下含み、100MPa以上の引っ張り強度で、かつ破断伸びが2%以上のアルミ合金角線が2本平行に配置され、それぞれの端部が溶接された溶接部を有するアルミ線材接続体であって、前記溶接部は、溶融部と溶接熱により再結晶した熱影響部とを有し、前記溶融部の面積が角線の断面積の0.5倍以上2倍以下であり、前記熱影響部の表面積が前記角線の断面積の2倍以下であることを特徴とするアルミ線材接続体である。
また、第2の解決手段は、第1の解決手段において、Feの含有量が0.05mass%以上1.2mass%以下、Cuの含有量が0.5mass%以下、Mgの含有量0.3mass%以下、Zr含有量が0.001mass%以上0.4mass%以下、Cu含有量とMg含有量の合計0.6mass%以下、Mg:Cuの質量比は0.125:1〜1:1で、残部がアルミおよび不可避不純物であることを特徴とする。
また、第3の解決手段は、第1の解決手段において、Fe含有量が0.5mass%以下、Mg含有量が0.1mass%以上0.9mass%以下、Si含有量が0.2mass%以上0.9mass%以下、Cu含有量が0.01mass%以上0.1mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物であり、前記アルミ合金角線の熱間加工後の摂氏430度から170度までの冷却時間が15秒以下であることを特徴とする。
また、第4の解決手段は、第1の解決手段において、Fe含有量が0.15mass%以上0.3mass%以下、Zr含有量が0.25mass%以上0.45mass%以下、Si含有量が0.04mass%以上0.2mass%以下、Cu含有量が0.1mass%以上0.3mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物であることを特徴とする。
また、第5の解決手段は、第1の解決手段において、Fe含有量が0.2mass%以上0.4mass%以下、Zr含有量が0.2mass%以上0.4mass%以下、Si含有量が0.04mass%以上0.15mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物であることを特徴とする。
また、第6の解決手段は、第1〜第5のいずれかの解決手段において、前記溶融部の平均の結晶粒径が200μm以下であり、前記熱影響部の平均の結晶粒径が100μm以下であることを特徴とする。
また、第7の解決手段は、第1〜第6のいずれかの解決手段において、熱影響部における50μm以下の結晶粒径の面積が50%以上であり、角線の断面の1辺が0.5mm以上3mm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のアルミ線材接続体である。
また、第8の解決手段は、第1〜第7のいずれかの解決手段において、前記アルミ合金角線の断面積A(単位:mm2)と溶接電流B(単位:A)の比B/Aが5〜10であることを特徴とする。
また、第9の解決手段は、第1〜第8のいずれかの解決手段において、前記溶接部を2箇所以上有することを特徴とする。
本発明のアルミ線材接続体によれば、オルタネータ等に用いられるステータコイルをアルミ化することができ、軽量化が図られる。また本発明のアルミ線材接続体によれば、ステータコイル等の溶接後の引き剥がし強度、振動耐久性、導電率に優れ、ブローホール等の欠陥の発生もなくなる。さらに、本発明のアルミ線材接続体は、銅線に比べてリサイクルも大幅に容易であり、その際の環境に対する有害物質の発生もなくクリーンである。よって、産業上顕著な効果を有する。
以下に、本発明を実施形態ごとに具体的に説明する。
本発明の第1の実施形態に係るアルミ線材接続体の断面の一例を、図1に写真で、図2に説明図として示す。図2において、アルミ線材接続体1は、2本平行に配置されたアルミ合金角線2(2A、2B)のそれぞれの端部が溶接されて松葉形状となされた溶接部3を有する。溶接部3は、溶融部31と、溶接熱により再結晶した熱影響部32(32A、32B)とを有する。溶融部31の面積は、アルミ合金角線2(2A、2B)の断面積の0.5倍以上2倍以下であり、熱影響部32(32A、32B)の表面積は、アルミ合金角線2(2A、2B)の断面積のそれぞれ2倍以下である。また、アルミ合金角線2(2A、2B)について、導電率は53%IACS以上、引張強度は100MPa以上、破断伸びは2%以上であり、アルミ合金角線2の原料中に結晶粒微細化材として添加されたTiとVの量の合計は0.0002mass%以上0.02mass%以下である。
本発明の第1の実施形態において、導電率を53%IACS以上とする理由は、導電率が53%未満であると、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)に必要な電流を流すために線が太くなり、アルミ線材接続体のサイズが大きくなりすぎるためである。
また結晶粒微細化材をTi量とV量の合計で0.0002mass%以上0.02mass%以下とする理由は、Ti量とV量の合計が0.0002mass%未満では、アルミ線材接続体を溶接してコイル部材とする際に、柱状晶が発達して溶接部割れが発生し、コイルとして求められる振動耐久性を満足できないためである。
引張強度を100MPa以上とする理由は、この値を下回るとコイルとして求められる振動耐久性を満足できないためである。
破断伸びを2%以上とする理由は、伸びが小さいとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)を作成する際の、ねじり加工、曲げ加工において変形が不十分であるため溶接部に応力がかかり、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)に求められる振動耐久性が得られないためである。望ましくは10%以上の伸びである。
溶接部の溶融面積を角線の断面積の0.5倍以上2倍以下とする理由は、0.5倍未満では溶接面積が少なく、引き剥がし強度がステータコイルとして不十分なためであり、2倍を超えると溶融により軟化した部分が大きくなり振動耐久性がアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として不十分なためである。
非溶融部でありかつ溶接熱による再結晶部の面積を角線断面積の2倍以下とした理由は、2倍を超えると再結晶により軟化した部分が大きくなり振動耐久性がアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として不十分なためである。
また結晶粒微細化材をTi量とV量の合計で0.0002mass%以上0.02mass%以下とする理由は、Ti量とV量の合計が0.0002mass%未満では、アルミ線材接続体を溶接してコイル部材とする際に、柱状晶が発達して溶接部割れが発生し、コイルとして求められる振動耐久性を満足できないためである。
引張強度を100MPa以上とする理由は、この値を下回るとコイルとして求められる振動耐久性を満足できないためである。
破断伸びを2%以上とする理由は、伸びが小さいとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)を作成する際の、ねじり加工、曲げ加工において変形が不十分であるため溶接部に応力がかかり、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)に求められる振動耐久性が得られないためである。望ましくは10%以上の伸びである。
溶接部の溶融面積を角線の断面積の0.5倍以上2倍以下とする理由は、0.5倍未満では溶接面積が少なく、引き剥がし強度がステータコイルとして不十分なためであり、2倍を超えると溶融により軟化した部分が大きくなり振動耐久性がアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として不十分なためである。
非溶融部でありかつ溶接熱による再結晶部の面積を角線断面積の2倍以下とした理由は、2倍を超えると再結晶により軟化した部分が大きくなり振動耐久性がアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として不十分なためである。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態に加えて、Feの含有量が0.05mass%以上1.2mass%以下、Cuの含有量が0.5mass%以下、Mgの含有量0.3mass%以下、Zr含有量が0.001mass%以上0.4mass%以下、Cu含有量とMg含有量の合計0.6mass%以下、Mg:Cuの質量比は0.125:1〜1:1で、残部がアルミおよび不可避不純物である。
第2の実施形態において、Fe含有量を0.05mass%以上1.2mass%以下とする理由は、0.05mass%未満では結晶粒が粗大となりアルミ線材接続体(例えばステータコイル)用平角線として要求される強度が満足できないためである。また1.2mass%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が得られないばかりか、Al−Fe系化合物の晶出により耐熱性が低下する。この場合、溶接後の冷却速度を早くする事で、晶出物の生成を低減することが可能だが、逆に巻き込みによる気泡が過度に存在して溶接強度が低下する。好ましくは0.20〜0.8mass%である。
Cu含有量を0.5mass%以下とする理由は、0.5%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が得られないためである。好ましくは0.05〜0.4mass%である。
Mg含有量を0.3mass%以下とする理由は、0.3%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が得られないためである。好ましくは0.1〜0.25mass%である。
Cu含有量とMg含有量の合計を0.6mass%以下とする理由は、CuとMgの同時含有により振動に対する耐久性が向上するためである。0.6mass%を越えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率がえられない。好ましくは、0.2〜0.5mass%である。またMg:Cuの質量比は0.125:1〜1:1の質量比が好ましい。
不可避不純物は導電率を低下させるため少ないほうが良い。好ましくは、Mnが0.02mass%以下である。
TiとVの含有量合計は、0.005mass%以上0.02mass%以下としたのは、0.005%未満では、結晶粒微細化の効果が不十分であり、0.02%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)に求められる導電性が得られないためである。
Zr含有量は、Al−Zr系の析出物を析出させることにより耐熱性が向上するため、0.4mass%以下のZrを含有してもよい。
Cu含有量を0.5mass%以下とする理由は、0.5%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が得られないためである。好ましくは0.05〜0.4mass%である。
Mg含有量を0.3mass%以下とする理由は、0.3%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が得られないためである。好ましくは0.1〜0.25mass%である。
Cu含有量とMg含有量の合計を0.6mass%以下とする理由は、CuとMgの同時含有により振動に対する耐久性が向上するためである。0.6mass%を越えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率がえられない。好ましくは、0.2〜0.5mass%である。またMg:Cuの質量比は0.125:1〜1:1の質量比が好ましい。
不可避不純物は導電率を低下させるため少ないほうが良い。好ましくは、Mnが0.02mass%以下である。
TiとVの含有量合計は、0.005mass%以上0.02mass%以下としたのは、0.005%未満では、結晶粒微細化の効果が不十分であり、0.02%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)に求められる導電性が得られないためである。
Zr含有量は、Al−Zr系の析出物を析出させることにより耐熱性が向上するため、0.4mass%以下のZrを含有してもよい。
本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態に加えて、Fe含有量が0.5mass%以下、Mg含有量が0.1mass%以上0.9mass%以下、Si含有量が0.2mass%以上0.9mass%以下、Cu含有量が0.01mass%以上0.1mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物であり、アルミ合金線の熱間加工時の摂氏430度から170度までの冷却時間が15秒以下であることを特徴としている。
第3の実施形態において、Fe含有量を0.5mass%以下とする理由は、0.5mass%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が得られないためである。
Mg含有量を0.1mass%以上0.9mass%以下とする理由は、0.1mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.9%を超えると鋳造時に酸化され鋳塊品質が劣るためであり、好ましくは0.4〜0.7mass%である。
Si含有量を0.2mass%以上0.9mass%以下とする理由は、0.2mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.9%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.4〜0.7mass%である。
Cu含有量を0.1mass%以下とする理由は、0.1%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくはCu含有量0.01〜0.08mass%である。
不可避不純物は導電率を低下させるため少ないほうが良い。好ましくは、Mn含有量が0.02mass%以下である。
Mg含有量を0.1mass%以上0.9mass%以下とする理由は、0.1mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.9%を超えると鋳造時に酸化され鋳塊品質が劣るためであり、好ましくは0.4〜0.7mass%である。
Si含有量を0.2mass%以上0.9mass%以下とする理由は、0.2mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.9%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.4〜0.7mass%である。
Cu含有量を0.1mass%以下とする理由は、0.1%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくはCu含有量0.01〜0.08mass%である。
不可避不純物は導電率を低下させるため少ないほうが良い。好ましくは、Mn含有量が0.02mass%以下である。
また、第3の実施形態において、アルミ線の熱間加工後の冷却速度として、摂氏430度から摂氏170度までの冷却時間を15秒以下の急冷としたのは、15秒を超えるであると時効処理の際にMg−Siの析出が十分でなく、導電率や強度がアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として必要な特性を満足できないからである。
熱間加工時に急冷できない場合には、熱間加工後に、材料を摂氏430度以上に5秒以上保持してから焼き入れ、摂氏430度から摂氏170度までの冷却時間を15秒以下としてもよい。
熱間加工時に急冷できない場合には、熱間加工後に、材料を摂氏430度以上に5秒以上保持してから焼き入れ、摂氏430度から摂氏170度までの冷却時間を15秒以下としてもよい。
本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態に加えて、Fe含有量が0.15mass%以上0.3mass%以下、Zr含有量が0.25mass%以上0.45mass%以下、Si含有量が0.04mass%以上0.2mass%以下、Cu含有量が0.1mass%以上0.3mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物である。
第4の実施形態において、Fe含有量を0.15mass%以上0.3mass%以下とする理由は、0.15mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.3%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.2〜0.25mass%である。
Zr含有量を0.25mass%以上0.45mass%以下とする理由は、0.25mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.45%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.3〜0.4mass%である。
Si含有量を0.04mass%以上0.2mass%以下とする理由は、0.04mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.2%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。
Cu含有量が0.1mass%以上0.3mass%以下とする理由は、0.1mass%未満ではZrの析出が不十分となり耐熱性が不十分なために、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる長期における振動耐久性と機能を満足することができないためである。また0.3mass%以下としたのは、Cu含有量が0.3mass%を超えると強度が低下して鋳造時に割れが発生するためである。
また、Be含有量を0.01mass%以上0.05mass%以下とすることがのぞましい。Be含有量が0.01mass%未満ではZrの析出が不十分となって耐熱性が不十分となり、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる長期における振動耐久性と機能を満足することができないためである。また0.05mass%以下とする理由は、これ以上にBe含有量を多くしても耐熱性向上が認められないからである。
Zr含有量を0.25mass%以上0.45mass%以下とする理由は、0.25mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.45%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.3〜0.4mass%である。
Si含有量を0.04mass%以上0.2mass%以下とする理由は、0.04mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.2%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。
Cu含有量が0.1mass%以上0.3mass%以下とする理由は、0.1mass%未満ではZrの析出が不十分となり耐熱性が不十分なために、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる長期における振動耐久性と機能を満足することができないためである。また0.3mass%以下としたのは、Cu含有量が0.3mass%を超えると強度が低下して鋳造時に割れが発生するためである。
また、Be含有量を0.01mass%以上0.05mass%以下とすることがのぞましい。Be含有量が0.01mass%未満ではZrの析出が不十分となって耐熱性が不十分となり、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる長期における振動耐久性と機能を満足することができないためである。また0.05mass%以下とする理由は、これ以上にBe含有量を多くしても耐熱性向上が認められないからである。
本発明の第5の実施形態は、第1の実施形態に加えて、Fe含有量が0.15mass%以上0.3mass%以下、Zr含有量が0.25mass%以上0.45mass%以下、Si含有量が0.04mass%以上0.2mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物である。
第5の実施形態において、Fe含有量を0.15mass%以上0.3mass%以下とする理由は、0.15mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.3mass%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.2〜0.25mass%である。
Zr含有量を0.25mass%以上0.45mass%以下とする理由は、0.25mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.45%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.3〜0.4mass%である。
Si含有量を0.04mass%以上0.2mass%以下とする理由は、0.04mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.15%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。
Cu含有量を0.1mass%以上0.3mass%以下とする理由は、0.1mass%未満ではZrの析出が不十分となり耐熱性が不十分なために、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる長期における振動耐久性と機能を満足することができないためである。また0.3mass%以下としたのは、Cu含有量が0.3mass%を超えると強度が低下して鋳造時に割れが発生するためである。
また、Be含有量を0.01mass%以上0.05mass%以下とすることがのぞましい。Be含有量0.01mass%未満ではZrの析出が不十分となり耐熱性が不十分なために、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性と機能を、例えば5年以上の長期にわたって満足することができないためである。また0.05mass%以下である理由は、これ以上にBe含有量を多くしても耐熱性向上が認められないからである。
Zr含有量を0.25mass%以上0.45mass%以下とする理由は、0.25mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.45%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。好ましくは0.3〜0.4mass%である。
Si含有量を0.04mass%以上0.2mass%以下とする理由は、0.04mass%未満ではアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が得られないためである。また0.15%を超えるとアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる導電率が劣るためである。
Cu含有量を0.1mass%以上0.3mass%以下とする理由は、0.1mass%未満ではZrの析出が不十分となり耐熱性が不十分なために、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる長期における振動耐久性と機能を満足することができないためである。また0.3mass%以下としたのは、Cu含有量が0.3mass%を超えると強度が低下して鋳造時に割れが発生するためである。
また、Be含有量を0.01mass%以上0.05mass%以下とすることがのぞましい。Be含有量0.01mass%未満ではZrの析出が不十分となり耐熱性が不十分なために、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性と機能を、例えば5年以上の長期にわたって満足することができないためである。また0.05mass%以下である理由は、これ以上にBe含有量を多くしても耐熱性向上が認められないからである。
本発明の第6の実施形態は、第1〜第5のいずれかの実施形態に加えて、前記溶融部の平均の結晶粒径が200μm以下であり、前記熱影響部の平均の結晶粒径が100μm以下である。
第6の実施形態において、溶融部の平均の結晶粒径を200μm以下、溶接による熱影響部の平均の結晶粒径を100μm以下とした理由は、溶融部(例えばTIG溶接時に一度溶融して再度凝固した部分)の結晶粒径が200μmを超えると、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる溶接部の引き剥がし強度が不十分となるためである。
また、溶融部面積を、角線の断面積の0.5倍以上2倍以下とした理由は、0.5倍以下では溶接面積が少なく、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる溶接部の引き剥がし強度が不十分なためであり、2倍を超えると溶融により軟化した部分が大きくなり振動耐久性がアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として不十分なためである。
また、溶融部面積を、角線の断面積の0.5倍以上2倍以下とした理由は、0.5倍以下では溶接面積が少なく、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる溶接部の引き剥がし強度が不十分なためであり、2倍を超えると溶融により軟化した部分が大きくなり振動耐久性がアルミ線材接続体(例えばステータコイル)として不十分なためである。
本発明の第7の実施形態は、第1〜第6のいずれかの実施形態に加えて、熱影響部における50μm以下の結晶粒径の面積が50%以上であり、角線の断面の1辺が0.5mm以上3mm以下である。
第7の実施形態において、熱影響部における50μm以下の結晶粒径の面積が50%以上であるとした理由は、50μm以下の結晶粒径の面積が50%以上でないと、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる振動耐久性が低下する傾向があるためである。また、角線の断面の1辺が0.5mm以上3mm以下であるとした理由は、角線の断面サイズが0.5mm〜3mm×0.5mm〜3mmより大きいと、溶接される面積に対してアルミ線材接続体の質量が大きくなり耐久振動性に劣り、また小さいと溶接品質が安定せず、アルミ線材接続体(例えばステータコイル)として求められる引きはがし強度が低下する傾向があるためである。
本発明の第8の実施形態は、第1〜第7のいずれかの実施形態に加えて、前記アルミ合金角線の断面積A(単位:mm2)と溶接電流B(単位:A)の比B/Aが5〜10であることを特徴としている。両者の比がこの範囲にあることで、接続部の信頼性が向上する。
本発明の第9の実施形態は、第1〜第8のいずれかの実施形態に加えて、前記溶接部を2箇所以上有することを特徴としている。この実施形態は、溶接部を多数有することで、アルミ線材接続体をコイル状にすることができ、オルタネータ等に用いられるアルミ線材接続体(例えばステータコイル)などを容易に形成することができる。なお、具体例はコイル状には限られない。
ここで、その他の好ましい例について説明する。アルミ導体中のH2の溶存量は、耐ブローホールの面から少ないほうが好ましく3ppm、より望ましくは1.5ppm以下である。また、表面粗さは、特に規定しないが、振動耐久性の面からは平滑なほうが好ましく、Raで2μm以下、より好ましくは1μm以下がよい。
なお、溶接後に低温焼鈍を施すことで、溶接部および熱影響部の残留ひずみを低減させることができ、溶接部強度を維持しつつも振動耐久性、応力腐食耐久性を高めることが可能となる。その条件としては、温度80℃〜120℃、時間24〜120時間で熱処理するのがよい。
また、振動耐久性の向上には、表面の健全性は重要であり、気泡等が少ないことが望ましい。さらに、応力集中の観点からも、内部気泡は、平角線の断面積の0.2倍を越えないことが好ましい。
なお、溶接後に低温焼鈍を施すことで、溶接部および熱影響部の残留ひずみを低減させることができ、溶接部強度を維持しつつも振動耐久性、応力腐食耐久性を高めることが可能となる。その条件としては、温度80℃〜120℃、時間24〜120時間で熱処理するのがよい。
また、振動耐久性の向上には、表面の健全性は重要であり、気泡等が少ないことが望ましい。さらに、応力集中の観点からも、内部気泡は、平角線の断面積の0.2倍を越えないことが好ましい。
(実施例1)
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。表1は本発明に係るAl合金の成分組成を示したものである。
表1に示す成分組成(合金組成は第2の実施形態に相当)のAl合金を常法により溶解し、25.5mm角の鋳型に鋳込んで鋳塊を得た。次に400℃に1時間鋳塊を保持し、溝ロールで熱間圧延を行い線径9.5mmの荒引線に加工した。なお、この荒引き線への加工方法は、断面が角形の鋳塊の熱間圧延法に限定されるものではなく、連続鋳造圧延法や、押出法などの他の加工方法を用いてもよい。
Zrを0.2%以上含むものは、線径9.5mm荒引線に加工した段階で400℃で48時間の時効処理を行った。
次に、この荒引き線を伸線加工により1.5×2.5mmのアルミ合金平角線を作製した。この間、適宜350℃×2時間の焼鈍処理を行った。1.5×2.5mm角線の酸化被膜の厚さは6nmであった。
なお、本発明例はいずれも、100MPa以上の引っ張り強度で、破断伸びが2%以上であった。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。表1は本発明に係るAl合金の成分組成を示したものである。
表1に示す成分組成(合金組成は第2の実施形態に相当)のAl合金を常法により溶解し、25.5mm角の鋳型に鋳込んで鋳塊を得た。次に400℃に1時間鋳塊を保持し、溝ロールで熱間圧延を行い線径9.5mmの荒引線に加工した。なお、この荒引き線への加工方法は、断面が角形の鋳塊の熱間圧延法に限定されるものではなく、連続鋳造圧延法や、押出法などの他の加工方法を用いてもよい。
Zrを0.2%以上含むものは、線径9.5mm荒引線に加工した段階で400℃で48時間の時効処理を行った。
次に、この荒引き線を伸線加工により1.5×2.5mmのアルミ合金平角線を作製した。この間、適宜350℃×2時間の焼鈍処理を行った。1.5×2.5mm角線の酸化被膜の厚さは6nmであった。
なお、本発明例はいずれも、100MPa以上の引っ張り強度で、破断伸びが2%以上であった。
前記工程で作成されたアルミ線材接続体の特性調査方法とその結果を以下に述べる。
溶接部の結晶粒径は、平角線の溶接部を樹脂に埋め込み、研磨後に電解研磨でミクロ組織を出し光学顕微鏡の観察から求めた。溶接部は角線の長手方向に沿って長い結晶粒であるので、角線の長手方向とそれに垂直な方向で、JISH0501線分法に従って計測し、2つの方向の平均が、200μm以下のものを良と判定して「○」印を付し、200μmを超えるものを不良と判定して「×」を付した。
引張強度は、1.5×2.5mmのアルミ平角線でJIS Z2241に準じてn=3で測定し、その平均値を求めた。
導電率も前記の引張強度と同様に、1.5×2.5mmのアルミ平角線を20℃(±0.5℃)に保った恒温漕中で、四端子法を用い、その比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。53.0%IACS以上のものを良と判定して「○」印を付し、53.0%IACSに満たないものを不良と判定して「×」を付し、表1に示した。
引き剥がし強度は、30N以上のものを良と判定して「○」印を付し、30Nに満たないものを不良と判定して「×」を付し、表1に示した。
振動耐久性は、20Hzから200Hzまで、片道3分で周波数掃引した振動試験において、10G(Gは重力加速度)の負荷で3時間の試験後に溶接部強度低下が5N以下であるものを良と判定して「○」印を付し、5Nを超えるものを不良と判定して「×」を付し、表1に示した。
溶接部の結晶粒径は、平角線の溶接部を樹脂に埋め込み、研磨後に電解研磨でミクロ組織を出し光学顕微鏡の観察から求めた。溶接部は角線の長手方向に沿って長い結晶粒であるので、角線の長手方向とそれに垂直な方向で、JISH0501線分法に従って計測し、2つの方向の平均が、200μm以下のものを良と判定して「○」印を付し、200μmを超えるものを不良と判定して「×」を付した。
引張強度は、1.5×2.5mmのアルミ平角線でJIS Z2241に準じてn=3で測定し、その平均値を求めた。
導電率も前記の引張強度と同様に、1.5×2.5mmのアルミ平角線を20℃(±0.5℃)に保った恒温漕中で、四端子法を用い、その比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。53.0%IACS以上のものを良と判定して「○」印を付し、53.0%IACSに満たないものを不良と判定して「×」を付し、表1に示した。
引き剥がし強度は、30N以上のものを良と判定して「○」印を付し、30Nに満たないものを不良と判定して「×」を付し、表1に示した。
振動耐久性は、20Hzから200Hzまで、片道3分で周波数掃引した振動試験において、10G(Gは重力加速度)の負荷で3時間の試験後に溶接部強度低下が5N以下であるものを良と判定して「○」印を付し、5Nを超えるものを不良と判定して「×」を付し、表1に示した。
総合評価は、引き剥がし強度、振動耐久性、導電性の材料特性について総合的に評価した結果を示す。引き剥がし強度は30N以上、振動耐久性は引き剥がし強度の低下が5N以下、導電性は導電率53.0%IACS以上、これらの全てを満足する場合を良と判定して「○」印を付し、少なくとも一部を満足しないものを不良と判定して「×」を付した。
本発明に係わる実施例と比較例の測定結果を表1に示す。
本発明に係わる実施例と比較例の測定結果を表1に示す。
比較例1では、Ti含有量とV含有量の合計が大きいために、振動耐久性は問題ないものの、引き剥がし強度に問題が生じている。
比較例2では、溶接部の平均粒径が大きいために、所望の引き剥がし強度が得られていない。また、比較例3においては、Fe含有量が大きいために、導電率が所望の値を得られていない。
一方、本発明例1〜6では、いずれの特性においても、所望の値が得られており、総合評価として満足するものである。
比較例2では、溶接部の平均粒径が大きいために、所望の引き剥がし強度が得られていない。また、比較例3においては、Fe含有量が大きいために、導電率が所望の値を得られていない。
一方、本発明例1〜6では、いずれの特性においても、所望の値が得られており、総合評価として満足するものである。
本発明例1の合金組成で作成した1.5×2.5mmのアルミ平角線2本を用いて、条件を変えて溶接した際の溶融部の面積および熱影響部の面積を表2に示す。
溶融部の面積、熱影響部の面積、溶融部および熱影響部の結晶粒径は平角線の溶接部(溶融部および熱影響部)を樹脂に埋め込み、研磨後に電解研磨でミクロ組織を出し光学顕微鏡の観察から求めた。溶融部は角線の長手方向に沿って長い結晶粒であるので、角線の長手方向とそれに垂直な方向で、「JIS H 0501」の線分法に従って計測し、2つの方向の平均が、200μm以下のものを良と判定して「○」印を付し、200μmを超えるものを不良と判定して「×」を付し、表2にあわせて示した。溶接時間は0.2秒、AC/DC電源100Hzとした。
また、溶接電流B(単位:A)を先の断面積A(単位:mm2)で割った値B/Aも合わせて表2に示す。
溶融部の面積、熱影響部の面積、溶融部および熱影響部の結晶粒径は平角線の溶接部(溶融部および熱影響部)を樹脂に埋め込み、研磨後に電解研磨でミクロ組織を出し光学顕微鏡の観察から求めた。溶融部は角線の長手方向に沿って長い結晶粒であるので、角線の長手方向とそれに垂直な方向で、「JIS H 0501」の線分法に従って計測し、2つの方向の平均が、200μm以下のものを良と判定して「○」印を付し、200μmを超えるものを不良と判定して「×」を付し、表2にあわせて示した。溶接時間は0.2秒、AC/DC電源100Hzとした。
また、溶接電流B(単位:A)を先の断面積A(単位:mm2)で割った値B/Aも合わせて表2に示す。
溶接電流B(単位:A)を先の断面積A(単位:mm2)で割った値B/Aが5〜10である本発明例1A〜1Cでは良好な結果が得られることがわかり、この値が10より大きい値である比較例1D〜1Eでは、振動耐久性に問題があることがわかる。
溶接部に隣接する熱影響部の結晶粒径の大きさも、「JIS H 0501」に従って求めた。一例として、本発明例1Aの合金線を電流値20Aで溶接した断面の写真を図1に、その説明図を図2にそれぞれ示す。
表1および表2から明らかなように、本発明例では、引き剥がし強度、振動耐久性、導電性のいずれもが優れ、アルミ合金による軽量性およびリサイクル性を充分に利用できるものである。
本発明の第3の実施形態に係る実施例(本発明例)と比較例の測定結果を表3に示す。
比較例11では、Si含有量が少ないために、振動耐久性に問題が出ている。また、比較例12では、導電率が劣る傾向がある。比較例13では、Mg含有量が多いために、鋳造時に酸化される為に、鋳塊の品質が劣り、導電率に問題が出ている。
本発明の第4の実施形態に係る実施例と比較例の測定結果を表4に示す。
比較例7では、Si含有量が少ないために振動耐久性に問題が出ている。また、比較例8では、Fe含有量が多く、またZr含有量も多いために、導電率に問題が出ており、引き剥がし強度や、振動耐久性にも劣ることがわかる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上述した実施の形態に記載された具体例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、種々の変形例が実現可能であることはいうまでもない。
1 アルミ線材接続体
2(2A、2B) アルミ合金角線
3 溶接部
31 溶融部
32(32A、32B) 熱影響部
2(2A、2B) アルミ合金角線
3 溶接部
31 溶融部
32(32A、32B) 熱影響部
Claims (9)
- 導電率が53%IACS以上で、結晶粒微細化材をTi含有量とV含有量の合計で0.0002mass%以上0.02mass%以下含み、100MPa以上の引っ張り強度で、かつ破断伸びが2%以上のアルミ合金角線が2本平行に配置され、それぞれの端部が溶接された溶接部を有するアルミ線材接続体であって、
前記溶接部は、溶融部と溶接熱により再結晶した熱影響部とを有し、前記溶融部の面積が角線の断面積の0.5倍以上2倍以下であり、前記熱影響部の表面積が前記角線の断面積の2倍以下であることを特徴とするアルミ線材接続体。 - Fe含有量が0.05mass%以上1.2mass%以下、Cu含有量が0.5mass%以下、Mg含有量が0.3mass%以下、Zr含有量が0.001mass%以上0.4mass%以下、Cu含有量とMg含有量の合計0.6mass%以下、Mg:Cuの質量比は0.125:1〜1:1で、残部がアルミおよび不可避不純物であることを特徴とする、請求項1記載のアルミ線材接続体。
- Fe含有量が0.1mass%以上0.5mass%以下、Mg含有量が0.1mass%以上0.9mass%以下、Si含有量が0.2mass%以上0.9mass%以下、Cu含有量が0.01mass%以上0.1mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物であり、アルミ合金線の熱間加工後の摂氏430度から170度までの冷却時間が15秒以下であることを特徴とする、請求項1記載のアルミ線材接続体。
- Fe含有量が0.15mass%以上0.3mass%以下、Zr含有量が0.25mass%以上0.45mass%以下、Si含有量が0.04mass%以上0.2mass%以下、Cu含有量が0.1mass%以上0.3mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物であることを特徴とする、請求項1記載のアルミ線材接続体。
- Fe含有量が0.15mass%以上0.3mass%以下、Zr含有量が0.25mass%以上0.45mass%以下、Si含有量が0.04mass%以上0.2mass%以下、残部がアルミおよび不可避不純物であることを特徴とする、請求項1記載のアルミ線材接続体。
- 前記溶融部の平均の結晶粒径が200μm以下であり、前記熱影響部の平均の結晶粒径が100μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のアルミ線材接続体。
- 前記熱影響部における50μm以下の結晶粒径の面積が50%以上であり、角線の断面の1辺が0.5mm以上3mm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のアルミ線材接続体。
- 前記アルミ合金角線の断面積A(単位:mm2)と溶接電流B(単位:A)の比B/Aが5〜10であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のアルミ線材接続体。
- 前記溶接部を2箇所以上有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のアルミ線材接続体。
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