JP2010129466A - 線路開閉器における鳥害防止構造 - Google Patents

線路開閉器における鳥害防止構造 Download PDF

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【課題】送電線鉄塔上に設置される線路開閉器(LS)を構成する端子と、他の金属製部材間に、鳥類、或いは鳥類が運搬してきた営巣材が接触することにより発生する電気事故を有効に防止する。
【解決手段】架台2上に所定の間隔を隔てて立設された2個の固定碍子10、20と、各固定碍子の上部に夫々配置された固定端子11、21と、両固定碍子の中間位置において架台上に回動自在に支持された可動碍子30と、該可動碍子を回動させる回動機構40と、可動碍子の上部に中間部を固定され該可動碍子の回転に伴って両端部を両固定端子と断接させる可動端子31と、を備え、架台、及び回動機構よりも上方であって、且つ各端子よりも下方位置に絶縁性の鳥害防止板50を備え、鳥害防止板は、可動碍子の回転を許容しつつ、架台、及び回動機構を覆うように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、送電線鉄塔上に設置される線路開閉器(LS)の導体部分に、鳥類、或いは鳥類が運搬してきた営巣材が接触することにより発生する電気事故を有効に防止することができる線路開閉器における鳥害防止構造に関するものである。
送電線鉄塔上に設置される線路開閉器(LS)に止まった鳥類自体、或いは鳥類が運んでくる針金、木の枝、葉等の営巣材は、開閉器を構成する導体部分間を短絡させる事故をもたらすことが多々ある。
図4(a)は従来の線路開閉器の構成例を示す斜視図であり、線路開閉器100は、送電線鉄塔A上に固定された金属製の架台101上に、先端部に固定端子105a、106aを備えた二本の固定碍子105、106を所定の間隔を隔てて立設固定すると共に、先端部に各固定端子105a、106aとオンオフ可能な可動端子110aを備えた回転自在な可動碍子110を両固定碍子間の架台上に立設した構成を備えている。各固定端子105a、106aは、夫々図示しない給電線と接続されている。可動碍子110が回転することにより可動端子110aを両固定端子105a、106aと接続させたり、接続解除できるように構成されている。
可動碍子110は、架台101によって支持された金属製の回動機構115によって回動駆動される。回動機構115は、可動碍子の下部に配置された従動側ブラケット116の両端部に夫々アーム117の一端部を回動自在に軸支し、更に各アーム117の他端部を他の架台上に回動自在に軸支した駆動側ブラケット118により軸支した構成を備えている。駆動側ブラケット118を回動させることにより、各アーム117を介して従動側ブラケット116が回動するため、可動碍子は回動することができる。可動碍子上の可動端子110aが実線で示したオフ位置にあるときには、可動端子と各固定端子は非接触状態にあり、可動碍子上の可動端子が破線で示したオン位置にあるときには、可動端子と各固定端子は接触状態にある。
ところで、図4(b)の正面図に示すように、開閉器の上部、本例では固定端子105a、106aと接続された状態にある可動端子110a上に止まった鳥Bが嘴にくわえた針金120が架台、或いは回動機構、その他の金属部材と接触すると、可動端子と金属部材が短絡する電気事故が発生する。固定端子上に位置する鳥から延びる針金等が架台等と接触した場合にも同様の電気事故が発生する。
特許文献1には、送電線絶縁吊下部において発生するこのような鳥害に対処するために、鉄塔に腕金によって吊下げられた碍子の下部に碍子径より大径の絶縁遮蔽板を取付け、ジャンパー線の把持吊下部に絶縁被覆を施すとともに懸垂クランプ把持部分にジャンパー線露出部を設けることにより、碍子の上部に止まった鳥がくわえた営巣材が垂れ下って碍子下方の課電部に接触するのを防ぐ技術が開示されている。
このような碍子の下部に配置される大径の絶縁遮蔽板は、架台等の碍子下部の金属部材を遮蔽して営巣材の接触を防止することはできるが、この絶縁遮蔽板は常時固定状態にある金属部材を遮蔽することのみを目的としており、可動碍子を回転させる回動機構(可動部材)を有した開閉器に適用することは困難であった。可動部材としての回動機構を有した開閉器においては、可動碍子の回転を許容しつつ、可動碍子下方の回動機構に営巣材が接触しないように遮蔽する遮蔽板を配置することは困難である。また、既存の送電線絶縁吊下部にこの鳥害防止装置を後付けするためには一旦碍子を架台から取り外してからの作業が必要となり、施工性が悪く、工事の迅速性に欠けていた。特に、この後付けによる組付け作業は、停電状態で実施する必要があるため、工事に要する時間が長期化することは絶対に避ける必要があり、迅速性が求められている。
また、特許文献2には、光硬化性シートを導体部分に被覆一体化することにより後付け作業によって絶縁性を向上させるための技術が開示されている。しかし、この光硬化性シートを開閉器に装備される可動部材に被覆することは極めて困難である。
また、特許文献3には、野鳥が飛来することを妨害して長幹碍子の絶縁が破壊されることを防止する鳥害防止円盤が開示されているが、この鳥害防止円盤は長幹碍子専用の構成を備えているため、2個の固定碍子と一個の可動碍子を架台上に立設すると共に、可動碍子を駆動するための回動機構(可動部材)を有した開閉器に適用することは困難であった。即ち、開閉器は可動端子を開閉駆動させるための回動機構を有するため、各碍子上部に設けられた各端子と、回動機構との間をこの鳥害防止円盤を用いて遮断しようとしても、飛来した鳥、或いは鳥が保持する営巣材が両部材間を短絡させる事故を防止することは困難である。特に、回動機構を構成する可動部材を確実に遮蔽して営巣材の接触を防止する構造を実現することは困難である。また、鳥害防止円盤を停電状態で後付けする工事は施工性が悪く、迅速性に欠けるという問題を有している。
特開平5−12943号公報 特開平2−267821公報 特開2007−45368公報
以上のように従来の鳥害防止用の遮蔽部材は、可動部材を備えた線路開閉器に適用するには適さない構造を備えていた。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、送電線鉄塔上に設置される線路開閉器(LS)を構成する端子と、他の金属製部材間に、鳥類、或いは鳥類が運搬してきた営巣材が接触することにより発生する電気事故を有効に防止することができる線路開閉器における鳥害防止構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、金属製の架台上に所定の間隔を隔てて立設された2個の固定碍子と、各固定碍子の上部に夫々配置された固定端子と、両固定碍子の中間位置において前記架台上に回動自在に支持された可動碍子と、該可動碍子を回動させる回動機構と、前記可動碍子の上部に中間部を固定され該可動碍子の回転に伴って両端部を前記両固定端子と断接させる可動端子と、を備えた開閉器であって、前記架台、及び前記回動機構よりも上方であって、且つ前記各端子よりも下方位置に絶縁性の鳥害防止板を備え、前記鳥害防止板は、前記可動碍子の回転を許容しつつ、前記架台、及び前記回動機構を覆うように構成されていることを特徴とする。
金属製の架台上に立設された2つの固定碍子と、その中間位置に配置された可動碍子と、可動碍子の下部に配置された回動機構と、を備えた線路開閉器においては、各碍子上の端子と架台との間、各碍子上の端子と回動機構を構成する金属部材との間が、鳥や、鳥が運んできた営巣材により短絡される電気事故が発生することがある。本発明では、可動碍子の回転を許容しつつ架台、及び回動機構を上方に位置する端子から遮蔽(隠蔽)するように構成したので、開閉器の機能を損なうことなく鳥害を防止することができる。
請求項2の発明は、前記鳥害防止板には、前記各碍子を夫々挿通させるための穴が形成されていることを特徴とする。
鳥害防止板に形成した穴に各碍子を挿通するため、構成部品を分解することなく既存の開閉器に対する組み付けが可能となる。
請求項3の発明は、前記鳥害防止板は、前記各固定碍子周辺の前記架台部分を覆う2つの端部カバーと、前記回動機構を覆う中間カバーを連結した構成を備え、前記各端部カバー、及び中間カバーは、夫々前記各碍子を間に挟んで2分割されていることを特徴とする。
鳥害防止板は、3つの碍子に対応する3つのカバーから構成されると共に、各カバーは2分割されている。このため、既設の開閉器に対して鳥害防止板を後付けすることができる。また、回動機構等を修理する場合に、鳥害防止板を取り外すことも容易である。
請求項4の発明は、前記各端部カバー、及び中間カバーは、夫々前記各碍子間を結ぶ直線に沿って2分割されていることを特徴とする。
各端部カバー、及び中間カバーの内側端縁が直線状に構成されているため、各構成をシンプル化することができる。
本発明の線路開閉器における鳥害防止構造によれば、架台、及び回動機構よりも上方であって、且つ各碍子上に設けられた各端子よりも下方位置に絶縁性の鳥害防止板を備え、鳥害防止板は、可動碍子の回転を許容しつつ、架台、及び回動機構を覆うように構成したので、送電線鉄塔上に設置される線路開閉器(LS)を構成する端子と、他の金属製部材間に、鳥類、或いは鳥類が運搬してきた営巣材が接触することにより発生する電気事故を有効に防止することができる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る線路開閉器(LS)の構成を示す斜視図であり、図2(a)及び(b)は本発明の線路開閉器の全体構成を示す正面図、及び平面図であり、図3(a)及び(b)は鳥害防止板の組付け状態を示す正面図、及び平面図である。
この線路開閉器1は、送電線鉄塔を構成する水平機枠A上に固定された架台2上に所定の間隔を隔てて立設された2個の固定碍子10、20と、各固定碍子10、20の上部に夫々配置された固定端子(固定スイッチ片)11、21と、両固定碍子の中間位置において架台2上に回動自在に支持された可動碍子30と、可動碍子の上部に中間部を固定され該可動碍子の回転に伴って両端部を両固定端子11、21と断接させる可動端子31と、可動碍子を回動させる回動機構40と、架台2、及び回動機構40よりも上方であって、且つ各端子11、21、31よりも下方位置に配置された絶縁性の鳥害防止板50と、を備えている。
回動機構40は、可動碍子30の下部に配置された従動側ブラケット41の両端部に夫々アーム42の一端部を回動自在に軸支し、更に各アーム42の他端部を他の架台上に回動自在に軸支した駆動側ブラケット43により軸支した構成を備えている。駆動側ブラケット43を回動させることにより、各アーム42を介して従動側ブラケット41が回動するため、可動碍子は回動することができる。可動碍子上の可動端子31が実線で示したオフ位置にあるときには、可動端子と各固定端子は非接触状態にあり、可動碍子上の可動端子が破線で示したオン位置にあるときには、可動端子と各固定端子は接触状態にある。
鳥害防止板50は、可動碍子30の回動を許容しつつ、架台2、及び回動機構40を覆うように構成されている構成が特徴的である。鳥害防止板50は、絶縁性材料、例えば樹脂材料から構成され、各碍子10、20、30の下部を貫通させる穴51を有することにより、各碍子を鳥害防止板50よりも上方に位置させると共に、その下方に架台2、及び回動機構40を位置させることにより、上方に位置する端子11、21、31上に止まった鳥がくわえた針金等が架台や回動機構に接して電気事故を誘発することを防止している。
図2、図3に示すように、鳥害防止板50は、各固定碍子10、20周辺の架台2部分を覆う2つの端部カバー52、53と、回動機構40を覆う中間カバー54を連結した構成を備え、各端部カバー52、53、及び中間カバー54は、夫々各碍子10、20、30間を結ぶ直線Lに沿って2分割されている。
即ち、各端部カバー52、53は、夫々二個の端部カバー片52a、52a、53a、53aから構成されており、各端部カバー片52a、52a間、53a、53a間は、夫々樹脂製ボルト55によって連結固定されている。また、中間カバー54は二個の中間カバー片54a、54aから構成されており、各中間カバー片54a、54a間は樹脂製ボルト55によって連結固定されている。また、各カバー52、53、54と架台2との間も樹脂製ブラケット56、及び樹脂製ボルト55により連結固定されている。
各端部カバー片52a、52a、53a、53aと、各中間カバー片54a、54aには各碍子を挿通するための穴51を形成するための半穴51aが設けられている。
このように鳥害防止板50自体が3つの構成要素52、53、54から着脱可能に構成されているばかりでなく、各端部カバー52、53、54が2つに分割され且つ着脱可能に構成されているため、既設の開閉器に対する後付けと、修理などのための取外しを容易に行うことが可能となる。
各カバー52、53、54は、固定端子11、21、或いは可動端子31上に止まった鳥60が嘴にくわえた長尺の営巣材(針金等)61が架台2、及び回動機構40と接触することを防止することができるように、遮蔽対象物としての架台2、及び回動機構40を十分に隠蔽できるように広い面積に構成する必要がある。
なお、本例においては、架台上面よりも回動機構40を構成する部品類が上方に位置しているため、中間カバー54を他の端部カバー52よりも高い位置に配置したが、これは一例に過ぎず、開閉器側のレイアウトに応じて種々レイアウト変更が可能である。
また、鳥害防止板50を各碍子10、20、30を結ぶ直線に沿った中間位置にて2分割した構成としてもよい。
以上のように本発明では、可動碍子の回転を許容しつつ架台、及び回動機構を上方に位置する端子から遮蔽(隠蔽)するように構成したので、開閉器の機能を損なうことなく鳥害を防止することができる。
即ち、金属製の架台2上に立設された2つの固定碍子10、20と、その中間位置に配置された可動碍子30と、可動碍子の下部に配置された回動機構40と、を備えた線路開閉器においては、各碍子上の端子と架台との間、各碍子上の端子と回動機構を構成する金属部材との間が、鳥や、鳥が運んできた営巣材により短絡される電気事故が発生することがある。本発明では、このような不具合を解消することができる。
また、本発明の鳥害防止板50は、3つの碍子に対応する3つのカバーから構成すると共に、各カバーを2分割できるように構成してもよい。この場合には、既設の開閉器に対して鳥害防止板を後付けすることができる。また、回動機構等を修理する場合に、鳥害防止板を取り外すことも容易である。
特に、各碍子を結ぶ直線に沿って2分割可能に構成することにより、各端部カバー、及び中間カバーの内側端縁が直線状となり、各構成をシンプル化することができる。
本発明の一実施形態に係る線路開閉器(LS)の構成を示す斜視図である。 (a)及び(b)は本発明の線路開閉器の全体構成を示す正面図、及び平面図である。 (a)及び(b)は鳥害防止板の組付け状態を示す正面図、及び平面図である。 (a)及び(b)は従来例に係る線路開閉器の構成説明図である。
符号の説明
1…線路開閉器、2…架台、10、20…固定碍子、11、21…固定端子、31…可動端子、30…可動碍子、31…可動端子、40…回動機構、41…従動側ブラケット、42…アーム、43…駆動側ブラケット、50…鳥害防止板、51…穴、51a…半穴、52、53…端部カバー、54…中間カバー、55…樹脂製ボルト、56…樹脂製ブラケット、60…鳥

Claims (4)

  1. 金属製の架台上に所定の間隔を隔てて立設された2個の固定碍子と、各固定碍子の上部に夫々配置された固定端子と、両固定碍子の中間位置において前記架台上に回動自在に支持された可動碍子と、該可動碍子を回動させる回動機構と、前記可動碍子の上部に中間部を固定され該可動碍子の回転に伴って両端部を前記両固定端子と断接させる可動端子と、を備えた開閉器であって、
    前記架台、及び前記回動機構よりも上方であって、且つ前記各端子よりも下方位置に絶縁性の鳥害防止板を備え、
    前記鳥害防止板は、前記可動碍子の回転を許容しつつ、前記架台、及び前記回動機構を覆うように構成されていることを特徴とする線路開閉器における鳥害防止構造。
  2. 前記鳥害防止板には、前記各碍子を夫々挿通させるための穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の線路開閉器における鳥害防止構造。
  3. 前記鳥害防止板は、前記各固定碍子周辺の前記架台部分を覆う2つの端部カバーと、前記回動機構を覆う中間カバーを連結した構成を備え、
    前記各端部カバー、及び中間カバーは、夫々前記各碍子を間に挟んで2分割されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の線路開閉器における鳥害防止構造。
  4. 前記各端部カバー、及び中間カバーは、夫々前記各碍子間を結ぶ直線に沿って2分割されていることを特徴とする請求項3に記載の線路開閉器における鳥害防止構造。
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