JP2010129378A - ガス拡散電極及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 固体高分子型燃料電池の発電特性を向上させ得るガス拡散電極及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 ガス拡散電極22は、ガス拡散層基材8と、導電性被覆層6とを備える。ガス拡散層基材8と導電性被覆層6との界面の少なくとも一部に、親水部8aを有している。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池用のガス拡散電極及びその製造方法に係り、特に排水性を向上したガス拡散電極及びその製造方法に関する。
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化剤ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギーを直接取り出すものである。特に高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから移動体用の電源として注目されている。
固体高分子型燃料電池は、水素イオン伝導性の高分子電解質膜の両面にそれぞれ白金等を含有する触媒層を有し、この触媒層に接して電子伝導性及び通気性を有するガス拡散層を有している。この触媒層及びガス拡散層が、それぞれ燃料極(以下、「アノード」又は「負極」ともいう。)及び酸化剤極(以下、「カソード」又は「正極」ともいう。)を構成している。そして、燃料極、酸化剤極の外側に、ガス供給溝が形成されたセパレータを各々設けて、これらの燃料極及び酸化剤極へセパレータのガス供給溝からそれぞれ水素を含む燃料ガス及び酸素を含む酸化剤ガスを供給することにより、以下の(1)式及び(2)式の電気化学反応により発電を行っている。
[燃料極反応]: H2 → 2H+ + 2e- …(1)
[酸化剤極反応]: 2H+ + 2e- + 1/2O2 → H2O …(2)
固体高分子型燃料電池において、顕著な発電性能の低下の原因としてフラッディング(水溢れ)現象がよく知られている。フラッディング現象は、発電反応による生成水の排出能力が不足し、主にカソードの水分過剰によりガス供給が阻害されて発電性能が低下する現象である。
カソード触媒層の発電反応により生成した水は、流通ガス中に水蒸気として排出されたり、高分子電解質膜を透過してアノード側に排出されたりする。また、一部の生成水は液状でカソード側のガス拡散層を透過し、カソード側セパレータのガス供給溝内に排出される。したがって、フラッディング現象を防止するために、生成水が透過するガス拡散層について研究開発が行われている。
ガス拡散層に関して、ガス拡散層基材と、このガス拡散層基材上に形成された導電性被覆層とからなるガス拡散層が知られている。このような構造のガス拡散層では、気体状態及び液体状態の水ともに導電性被覆層を透過する際には、この導電性被覆層の厚みや空孔径分布等が関係する透過抵抗が発生する。通常は導電性被覆層が薄い方が透過抵抗は小さくなる。また、発電時は電子も導電性被覆層を透過するが、電子の透過抵抗は、導電性被覆層のバルク抵抗とガス拡散層基材や触媒層との界面接触抵抗によって形成される。通常は界面接触抵抗の影響が大きく、ガス拡散層基材とよりよく接触するために導電性被覆層は厚い方が抵抗は小さくなる。したがって、水の透過性等を勘案して優れた特性を有する導電性被覆層が求められている。
導電性被覆層を具備する従来技術のガス拡散電極に関し、生成水の排水性向上や低加湿。運転時の保湿特性向上のために、電極の厚み方向に特性の異なった第1ガス拡散層と第2ガス拡散層とを張り合わせた接合ガス拡散層や、これらの第1ガス拡散層と第2ガス拡散層との間に親水性の水溜め中間層を配設した接合ガス拡散層が知られている(特許文献1)。
特開2002−164056号公報
しかしながら、特許文献1に記載のガス拡散電極では、複数のガス拡散層が接合されてなるから、この接合界面が抵抗となって電池のセル特性の低下を招く。また、複数のガス拡散層を接合する際には、ホットプレスにより圧縮接合しているため、多孔質よりなる各ガス拡散層の空孔率が、この圧縮接合によって低下するので、ガス拡散性の低下を招く。更に、親水性の水溜め中間層を設けたときにはこの中間層での保持水がガス拡散層におけるガス通過パスを目詰まらせたり、中間層で水膜を形成したりして、ガス拡散性が低下する。このガス拡散性の低下を避けるために、中間層を空孔率の大きな中間層とした場合には、界面抵抗の増加やホットプレスでの圧縮接合で空孔が押しつぶされることによる空孔率の低下によるガス拡散性の低下を招いてしまう。
以上の問題点を解決するために、本発明のガス拡散電極は、ガス拡散層基材と、このガス拡散層基材に接して形成された導電性被覆層とを備え、ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面の少なくとも一部に、親水部を有することを要旨とする。
また、本発明のガス拡散電極の製造方法は、上記のガス拡散電極を製造する方法であって、親水部の形成及び導電性被覆層の形成の少なくとも一方の工程が、所定の膜厚に形成された材料液のガス拡散層基材表面に対する浸透処理又は塗布処理工程であることを要旨とする。
本発明のガス拡散電極によれば、水の排出性を向上させてフラッディング現象を抑制すると共に、過剰な水分排出も抑制して、ドライアウトも防止するガス拡散電極を提供することができる。
本発明のガス拡散電極の製造方法によれば、比較的簡単な工程で本発明に係るガス拡散電極を製造することができる。
図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るガス拡散電極を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガス拡散電極を備えた固体高分子型の燃料電池セル1の模式断面図である。燃料電池セル1は、中心部に水素イオン伝導性を有する高分子電解質膜2を備えている。この高分子電解質膜2の一方の表面には燃料極触媒層3が、他方の表面には酸化剤極触媒層4がそれぞれ形成されている。この燃料極触媒層3の外側及び酸化剤極触媒層4の外側にはそれぞれ導電性被覆層5,6が、これらの触媒層に接して設けられている。
燃料極側の導電性被覆層5の外側には燃料極のガス拡散層基材7が、酸化剤側の導電性被覆層6の外側には酸化剤極のガス拡散層基材8が、それぞれ設けられている。
燃料極側の導電性被覆層5とガス拡散層基材7とにより燃料極側のガス拡散層21が構成される。また、酸化剤側の導電性被覆層6と酸化剤極ガス拡散層基材8とにより酸化剤側のガス拡散層22が構成される。これらの燃料極側又は酸化剤側のガス拡散層21又はガス拡散層22が、本発明のガス拡散電極に相当する。また、上述した高分子電解質膜2の両面に触媒層3,4を形成したものは触媒塗布膜(CCM)30と呼ばれる。
燃料極のガス拡散層基材7の外側には燃料極セパレータ9が、酸化剤極のガス拡散層基材8の外側には酸化剤極セパレータ10が、それぞれ設けられている。この燃料極セパレータ9には、燃料ガス供給用のガス流路溝11が形成され、酸化剤極セパレータ10には、酸化剤ガス供給用のガス流路溝12が形成されている。
酸化剤極セパレータ10の正面図を図2(a)に示し、この酸化剤極セパレータ10のX−X線視の断面図を図2(b)に示し、酸化剤極セパレータ10のY−Y線視の断面図を図2(c)に示す。図2(a)〜(c)に示されるように、酸化剤極セパレータ10はガス入口13、ガス入口側マニホールド14、ガス出口15、ガス出口側マニホールド16を備え、このガス入口側マニホールド14とガス出口側マニホールド16とを接続してガス流路溝12が形成されている。
図1において、燃料極側のガス拡散層21は、ガス拡散層基材7に接して導電性被覆層5を形成してなる。同様に、酸化剤極側のガス拡散層22は、ガス拡散層基材8に接して、導電性被覆層6を形成してなる。
そして、本実施形態のガス拡散電極は、この導電性被覆層5、6とのガス拡散層基材7、8との界面の少なくとも一部に、親水部を有している。
図3は、図1に示した固体高分子型の燃料電池セル1の模式断面図(図3(a))と、この燃料電池セル1における酸化剤極側のガス拡散層22及びこれらの近傍を模式的に示す拡大断面図(図3(b))と、このガス拡散層22を構成する導電性被覆層6及びガス拡散層基材8の界面の模式的な拡大断面図(図3(c))である。なお、以下では、図3を用いて、代表的に酸化剤極側のガス拡散層22について説明するが、本発明のガス拡散電極は、燃料極側のガス拡散層21にも適用することもできる。
図3に示すガス拡散電極において本発明の第1の実施形態においては、導電性被覆層6とガス拡散層基材8とが互いに接している界面の一部に親水部8aを有している。この親水部8aは、具体的な一例としては、図3(c)にこの界面の親水部8aの拡大図を示すように、導電性被覆層6との界面におけるガス拡散層基材8を構成する導電性材料の繊維81に、親水性材料の粒子82が固着することにより形成されている。この界面及びその近傍に親水性材料の粒子82が配設されることにより、親水部は親水性を有している。
本発明に従い、ガス拡散層基材8と導電性被覆層6との界面の少なくとも一部に、親水部8aを有している本実施形態のガス拡散電極1では、導電性被覆層6を生成水は蒸気又は液滴状で透過する。そして、導電性被覆層6を透過直後のガス拡散層基材8と導電性被覆層6との界面部に、蒸気の凝集や液滴状で透過した生成水の微小液滴が発生する。この時に、本実施形態では、当該界面部に親水部を有しているから、この親水部に微小液滴が集約される。集約された微小液滴は導入ガス中に蒸発したり、ガス拡散層基材8の構成要素(導電性材料の繊維81)を伝いながらセパレータ10側に排出されていく。
本実施形態によれば、導電性被覆層6とガス拡散層基材8との間の界面部に微小液滴が集約されたとしても、この微小液滴や水滴による水膜の発生を防止できる。これにより、ガスの拡散経路を確保することができるので、耐フラッディング性を向上させることができる。
また、本実施形態では界面の一部のみに親水性を付与することができ、これにより、その他部分においてはガスの拡散性自体の変化を抑えながら液滴水の挙動を制御することができる。このため、耐ドライアウト性への悪影響も少なく、結果として耐フラッディング及び耐ドライアウト性の共に優れたガス拡散電極接合体を提供できる。
また、親水部や導電性被覆層6は接合によって形成するものではなく、ガス拡散層基材8の表面に親水性材料の粒子82や導電性粒子を塗着させた構造でも形成できるため、界面抵抗が低くでき、高性能なガス拡散電極接合体を提供できる。
本発明に従う親水部8aは、本発明の第2の実施形態おいては、ガス拡散層基材8を構成する導電性材料の繊維81に親水性材料が固着した固着部の少なくとも一部であるような構成とすることができる。ガス拡散層基材8は、例えばカーボンペーパーからなり、導電性材料の繊維81同士が接触していることによりガス拡散層基材8の骨格が形成され、繊維81以外の空間によりガス拡散層基材8の空孔が形成されている。そして、本実施形態に従い、図3(c)に示すように、親水部8aが、ガス拡散層基材8の表面における、当該ガス拡散層基材8を構成する導電性材料の繊維81同士が接触している箇所に親水性材料の粒子82などを固着させた固着部であることにより、ガス拡散層基材8の表面での空孔径は十分に確保され、よってガス拡散性への悪影響がほとんどない。また、親水部8aは従来技術のように接合により形成するものではないので、界面抵抗の増加を防止することができる。
本発明に従う親水部8aは、本発明の第3の実施形態においては、ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面において所定のパターンで選択的に形成されている構成とすることもできる。パターン形成は、例えば印刷法により行うことができる。このような構成により、ガス入口や出口、また、セパレータ流路下方やリブ下方などでは、生成水量・ガス加湿度・ガス濃度などが異なっている。そこで、このような生成水量などが異なるセル内の各所に対応して、親水部8aが所定のパターンで選択的に形成されていることにより、最適な親水部の設計が可能となる。
例えば、燃料電池セルのカソード側では、空気入口から空気出口にかけて空気が流れる。これに対して、発電面では一様に反応が進み、単位面積当たりの生成水量は、略一定と考えられる。生成水が凝縮するような運転状況では、カソードの空気の流れにより凝縮水が空気出口から排出される。従って、カソード側のガス拡散電極22は、上流側より下流側の方が単位面積当たりの液水量が増加する。このような液水分布を考慮すると、ガス拡散電極22は、その空気入口側の親水性を高くし、空気出口側の親水性を低くするような構成によって、液水の排出性能が向上する。このような親水性の制御に、本実施形態の親水部8aの選択的な形成が有効である。
また、親水部8aは、図2に示すセパレータのガス流路に対応したパターンで選択的に形成することもできる。
本発明の親水部8aは、本発明の第4の実施形態においては、ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面からガス拡散層基材の内部へ一定の距離まで形成されていることが好ましい。図3(b)に、親水部8aがガス拡散層基材8と導電性被覆層6との界面からガス拡散層基材8の内部へ一定の距離まで形成されているところを図示している。このように、親水部8aがガス拡散層基材の内部へ一定の距離まで形成されるようにすること、すなわち、親水部8aの面厚方向の形成距離を制御することにより、集約水のガス中への蒸発拡散や液滴水としての排出性が最適になるように制御できる。このような、親水部8aの面厚方向の距離制御は、後述するガス拡散電極の方法によって行うことができる。
本発明の親水部8aは、本発明の第5の実施形態においては、ガス拡散層基材8と導電性被覆層6との界面において所定の位置で、かつ、ガス拡散層基材8と導電性被覆層6との界面からガス拡散層基材8の内部へ一定の距離まで形成されていることが、より好ましい。上述した第4の実施形態の効果に加えて、ガス入口や出口、セパレータ流路下方やリブ下方など、生成水量・ガス加湿度・ガス濃度などが異なるセル内の各所に対して最適な親水部8aの設計が可能となる。
本発明に従う親水部を形成するには、所定の膜厚に形成された親水用液のガス拡散層基材表面に対する浸透処理又は塗布処理工程により行うことができる。なお、このような工程は、親水部の形成ばかりでなく、導電性被覆層の形成にも適用できる。この場合、所定の膜厚に形成された導電性被覆層用液のガス拡散層基材表面に対する浸透処理又は塗布処理を行う。
図4は、本発明に従う親水部8aを形成するための工程の一例の説明図である。まず、定盤41上に、撥水性膜42、例えばポリテトラフルオロエチレン膜を置き、この撥水性膜42上に親水部の材料である親水部インクの液膜43を形成する(図4(a))。撥水性膜42は、親水部8aを形成後、この親水部8aを撥水性膜42から容易に分離できるようにするために設けてある。仮に、撥水性膜42がなく、定盤41上に直接的に親水部インクの液膜43を形成して親水部8aの作製した場合には、定盤41表面にこの親水部8aが付着して剥がれ難い場合がある。
親水部インクの液膜43は、親水性を付与可能なものであれば、その材料は問わない。好ましくは、親水性材料の粒子82を含むインクとする。粒子状の親水性材料であれば、ガス拡散層基材8を構成する導電性材料の繊維81同士が接触している箇所に、この親水性材料の粒子82を容易に固着させることができるからである。また、親水部インクの液膜43の材料は、ガス拡散層22の導電性被覆層6の材料であるインクスラリーに、親水性材料の粒子82を含有させたものであってもよい。この場合、インクスラリーに含有させる親水性材料の粒子82としては、例えばコロイダルシリカがある。なお、インクスラリーには通常、導電性を付与するためのカーボン粒子と、撥水性を付与するためのフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)とを含んでいる。撥水性を付与するためのフッ素樹脂を含んでいるから親水性材料の粒子82を含有させたとしても、インクスラリー全体としては撥水性を有している。もっとも、その撥水性は、親水性材料の粒子82の含有によって低下している。したがって、本発明において親水部インクの液膜43は、親水性を有する液に限定されず、親水性材料の含有により撥水性が低下している液も含まれる。
親水部インクの液膜43の膜厚は、これから作製しようとする親水部8aの浸透厚さに合わせた膜厚にする。この膜厚制御は、例えばナイフコータを用いて材料液を撥水性膜42上に塗布することによって制御可能である。もっとも、膜厚制御は、ナイフコータに限定されるものではない。
次に、親水部インクの液膜43とは別途に多孔質のガス拡散層基材8、例えばカーボンペーパーを準備し、このガス拡散層基材8を、親水部インクの液膜43の上方から親水部インクの液膜43に向けて押圧する(図4(b))。親水部インクの液膜43は、ある程度の粘性があるため、ガス拡散層基材8を押圧することにより、所定の一定厚さを維持したままで親水部インクの液膜43がガス拡散層基材8内に浸透して親水部8aを形成する。その後、ガス拡散層基材8を持ち上げて撥水性膜42から分離する(図4(c))。このような工程を、ガス拡散電極の製造工程の過程で行うことにより、本発明で所期した、一定量の浸透厚さの親水部8aを有するガス拡散層基材8が得られる。
この後に、導電性被覆層6を親水部8a上に塗布形成することにより、ガス拡散層22が得られる。
なお、導電性被覆層6の親水部8aの作製要領は、図4に示したものに限定されない。たとえば、工業的生産工程においては、親水部の作製は、長尺のガス拡散層基材に対してロールコータによってスラリーインクを所定の厚さで浸透させることができる。
図4のガス拡散電極の導電性被覆層を形成するために用いられる親水部インクの液の調製法を、親水部インクの液の一例として親水性材料の粒子を含むインクスラリーの場合について、図5に示すフロー図を用いて説明する。まず界面活性剤水溶液を調合して準備する(ステップS11)。次に、この界面活性剤水溶液に、導電性粒子としてのカーボン粒子を混合する(ステップS12)。次に、混合後の液を粉砕してカーボン粒子を微細化する(ステップS13)。粉砕後に、撥水材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と共に、親水性材料の粒子を加えて混合する(ステップS14)。次に、希釈水及び増粘剤を添加して混合し、インクスラリーを得る(ステップS15)。
図5の各ステップを経て得られたインクスラリーを用いた、ガス拡散電極の製造工程の一例のフロー図を図6に示す。図6において、まず、ガス拡散層基材の材料から、ガス拡散層基材として必要なサイズに切り出し、洗浄してガス拡散層基材8を用意する(ステップS21)。次に、図4(a)に示すように、定盤41上に親水部用のインクスラリー液膜43を所定の厚さで形成する(塗工する)(ステップS21)。次に、親水部塗工インクを転写することにより、図4(b)に示すように、ガス拡散層基材8に、親水部用のインクスラリーを浸透させる(ステップS23)。次に、一次乾燥・焼成を行って親水部8aに浸透したインクスラリー中の親水性材料の粒子82をガス拡散層基材8のカーボン繊維81に付着させる(ステップS24)。次に、焼成して親水部8aが形成されたガス拡散層基材8の親水部8a上に、導電性被覆層6用のインクを塗工する(ステップS25)。この導電性被覆層6用のインクは、特に限定されず、公知の材料成分組成のものを用いることができる。導電性被覆層6用のインクの塗工は、従来公知の方法を用いて行うことができる。次に、導電性被覆層のインクが表面上に形成されたガス拡散層基材8を、二次乾燥・焼成して導電性被覆層のカーボン粒子を固着させる(ステップS26)。このようにして得られたガス拡散層(GDL)について、所定のサイズするための切断を行う(ステップS27)。以上の工程を経てガス拡散電極を完成させる。
以下、本発明に従うガス拡散電極の実施例を述べる。
1.ガス拡散層基材(カーボンペーパー)の作製(ステップS21)
(ガス拡散電極材料の準備)
東レ社製カーボンペーパーTGP-H-060を10cm角に切り出した後、エタノール中に浸漬し超音波洗浄装置に投入し、洗浄処理した。洗浄後、80℃の乾燥炉中に投入し、約10分乾燥した。
2.親水部用インクの調製(ステップS11〜15)
(インクスラリーの準備)
界面活性剤 ダウケミカル社製 Triton X-100 2gと、純水200gを混合し、プロペラ攪拌装置にて150rpm、30分の攪拌処理を行った後、上記界面活性剤分散水溶液にCabot社製Vulcan XC-72Rカーボンブラック 20gを投入混合し、プロペラ攪拌装置にて150rpm、30分の攪拌処理を行った。上記インクスラリーをジェットミルを用いて粉砕処理を行い、カーボン平均粒径が1μmとなった。上記インクスラリーに、ダイキン工業製Polyflon D-1E 8gと親水剤としてコロイダルシリカを15gを投入混合し、プロペラ攪拌装置にて150rpm、30分の攪拌処理を行った後、希釈用純水および増粘剤を適量投入攪拌し、塗着用インクスラリーAとした。
3.導電性被覆層用インクスラリーの調製
上記親水部インクの調製による塗着用インクスラリーAと対比して、親水剤のコロイダルシリカを添加しない以外は同様にしてインクスラリーを調製し、塗着用インクスラリーBとした。
4.ガス拡散電極の作製(ステップS22〜27)
(親水部インク塗着)
定盤上に置いたPTFEシート上に上記インクスラリーAを50μm厚となるよう塗工した後、上記ガス拡散電極材料の準備で得られたカーボンペーパーを塗工スラリー上にセットし加圧後乾燥させた。PTFEシートを取り除いた後、350℃、30分の焼成処理を行った。
(導電性被覆層インク塗着)
上記親水部インク塗着後のカーボンペーパーの親水部形成側に前述のインクスラリーBを50μm厚となるよう塗工した後、乾燥させ、再び350℃、30分の焼成処理を行った。
(ガス拡散電極の切断)
上記導電性被覆層インク塗着で得られたカーボン層付カーボンペーパーを所定のサイズに切り出し、ガス拡散電極とした。
[従来例]
従来例として、上記の実施例に対してカーボンペーパーと導電性被覆層の界面部全域に親水層を設けた。
1.ガス拡散層基材(カーボンペーパー)の作製(ステップS21)
実施例と同じ工程により作製した。
2.親水部用インクの調製(ステップS11〜15)
(インクスラリーAの準備)
実施例と同じ工程により準備した。
3.導電性被覆層用インクスラリーBの調製
実施例と同じ工程により調製した。
4.ガス拡散電極の作製(ステップS22〜27)
(親水部浸透層インク塗着)
定盤上に置いたPTFEシート上に上記インクスラリーAを50μm厚となるよう塗工した後、上記ガス拡散電極材料の準備で得られたカーボンペーパーを塗工スラリー上にセットし加圧後乾燥させた。PTFEシートを取り除いた後、350℃、30分の焼成処理を行った。
(親水部界面インク塗着)
上記親水部浸透層形成後のカーボンペーパーの親水部形成側に前述のインクスラリーAを50μm厚となるよう塗工した後、乾燥させ、再び350℃、30分の焼成処理を行った。
(導電性被覆層インク塗着)
上記親水部界面インク塗着後のカーボンペーパーの親水部形成側に前述のインクスラリーBを50μm厚となるよう塗工した後、乾燥させ、再び350℃、30分の焼成処理を行った。
(ガス拡散電極の切断)
実施例と同じにした。
5.CCMの試作
(触媒の試作)
ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製カーボンブラック ケッチェンブラックEC4gにジニトロジアンミン白金水溶液(Pt濃度1%)400gを加えて1時間攪拌した。さらに、還元剤としてメタノール50gを混合し、1時間攪拌した。その後、30分で80℃まで加温し、そのまま6時間攪拌した後、1時間で室温まで降温させた。沈殿物を濾過した後、得られた固形物を減圧下85℃において12時間乾燥し、乳鉢で粉砕し、電極触媒(Pt粒子の平均粒径2.6nm、Pt担持濃度50質量%)を得た。
(触媒層の作製準備)
得られた電極触媒の質量に対して、5倍量の精製水を加え、減圧脱泡操作を5分間加えた。これに、0.5倍量のn−プロピルアルコールを加え、DuPont社製 20%Nafionを加えた(電極触媒層中のカーボン質量に対するプロトン伝導性高分子電解質固形分質量比が0.9とした)。得られた混合スラリーを超音波ホモジナイザーでよく分散させ、減圧脱泡操作を加えることによって触媒スラリーを作製した。これをポリテトラフルオロエチレンシートの片面にスクリーン印刷法によって、所望の厚さに応じた量の触媒スラリーを印刷し、60℃で24時間乾燥させた。形成される触媒層のサイズは、5cm×5cmとした。また、ポリテトラフルオロエチレンシート上の塗布層は、Pt量が0.2mg/cm(アノード触媒層の平均厚みは6μm)となるように調整した。
(CCMの試作)
固体高分子電解質膜としてDuPont社製 Nafion NRE211(膜厚25μm)と、先に作製したポリテトラフルオロエチレンシート上に形成された電極触媒層とを重ね合わせた。その際には、アノード触媒層、固体高分子電解質膜、カソード触媒層を、この順序で積層させた。その後、130℃、2.0MPaで、10分間ホットプレスし、ポリテトラフルオロエチレンシートのみを剥がしてCCMを得た。
6.MEAの評価
(MEAの評価)
上記のガス拡散電極と上記のCCMとを接合したMEAを用いて燃料電池単セルを組立て、大気圧、アノード極に水素ガス/カソード極に空気を導入し、セル温度70℃、負荷電流密度1A/cm2で12時間エージング処理を行った後、セルの発電性能評価を行った。
セルの発電性能評価結果を図7に示す。図7では、比較のために本発明の親水部を界面の全面にわたって形成したものについての評価を併せて示している。この図7から、低加湿条件下では、差異はほとんどなかったが、高加湿条件下では、実施例が大幅に性能向上していた。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付加しておく。
本発明に係るガス拡散電極が適用される固体高分子型燃料電池の単位セルの模式断面図である。 酸化剤極セパレータの説明図である。 本発明の実施形態のガス拡散電極の説明図である。 本発明に従う親水部aを形成するための工程の一例の説明図である。 インクスラリーの製造工程の一例のフロー図である。 ガス拡散電極の製造工程の一例のフロー図である。 セルの発電性能評価結果を示すグラフである。
符号の説明
1 燃料電池セル
2 高分子電解質膜
3 燃料極触媒層
4 酸化剤極触媒層
5 導電性多孔質層
6 導電性多孔質層
7 燃料極ガス拡散層基材
8 酸化剤極ガス拡散層基材
8a 親水部
9 燃料極セパレータ
10 酸化剤極セパレータ

Claims (6)

  1. ガス拡散層基材と、このガス拡散層基材に接して形成された導電性被覆層とを備え、
    ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面の少なくとも一部に、親水部を有することを特徴とするガス拡散電極。
  2. 前記親水部が、ガス拡散層基材を構成する導電性材料の繊維に親水性材料が固着した固着部の少なくとも一部であることを特徴とする請求項1に記載のガス拡散電極。
  3. 前記親水部が、ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面において所定のパターンで選択的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガス拡散電極。
  4. 前記親水部が、ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面からガス拡散層基材の内部へ一定の距離まで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス拡散電極。
  5. 前記親水部が、ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面において所定の位置で、かつ、ガス拡散層基材と導電性被覆層との界面からガス拡散層基材の内部へ一定の距離まで形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス拡散電極。
  6. 請求項1に記載のガス拡散電極を製造する方法であって、
    親水部の形成及び導電性被覆層の形成の少なくとも一方の工程が、所定の膜厚に形成された材料液のガス拡散層基材表面に対する浸透処理又は塗布処理工程であることを特徴とするガス拡散電極の製造方法。
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