JP2010127890A - 反応容器プレート及び反応処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】流路を介して反応容器にサンプルを分注する反応容器プレートにおいて、サンプル量が微量であっても確実に反応容器内にサンプルを分注することができるようにする。
【解決手段】サンプルに反応を起こさせるための反応容器であって、反応試薬及びその上層に所定の反応温度では液状であるワックスを収容する反応容器と、反応容器の上部内壁に出口が面し、その出口から反応容器内にサンプルを分注するためのサンプル分注流路と、を備え、反応容器内壁のサンプル分注流路出口の下方に、該反応容器内部に収容され液状化したワックスが毛細管現象によってサンプル分注流路出口まで上昇する寸法の溝が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は生物学的分析、生化学的分析、又は化学分析一般の分野において、医療や化学の現場において各種の解析や分析を行なうのに適する反応容器プレート及びその反応容器プレートを処理するための反応処理方法に関するものである。
生化学的分析や通常の化学分析に使用する小型の反応装置としては、マイクロマルチチャンバ装置が使用されている。そのような装置としては、例えば平板状の基板表面に複数のウエルを形成したマイクロタイタープレートなどのマイクロウエル反応容器プレートが用いられている(特許文献1参照。)。
しかし、従来のマイクロウエル反応容器プレートは、使用時には反応容器プレートの上面は大気に開放された状態となる。そのため、サンプルに外部から異物が進入する恐れがあるし、逆に反応生成物が外部の環境を汚染することもありうる。
そこで、反応容器やサンプル容器のほか、液体の吸引及び吐出を行なうシリンジ、シリンジを反応容器又はサンプル容器に切り替えて接続する切替えバルブを1枚のプレートに集積して反応容器プレート内を密閉系にすることが提案されている(特許文献2参照。)。提案の反応容器プレートによれば、反応容器プレートの外部からの異物の進入や、外部への環境汚染を防ぐことができる。
特開2005−177749号公報 WO2008/096492号公報
反応容器、サンプル容器、シリンジ及び切替えバルブを集積した反応容器プレートを用いた処理では、反応容器に予めサンプルと反応する反応試薬を入れておき、シリンジと切替えバルブによってサンプル容器に収容されたサンプルを反応容器へ送って反応試薬と混合することによりサンプルに反応を起こさせることが行なわれる。しかし、サンプルが微量(例えば2.5μL以下)の場合には、シリンジから押し出したサンプルが表面張力などの影響によって反応容器の内壁などに付着して反応容器の底面まで到達しないために、反応試薬との混合が十分になされず、反応が行なわれないことがある。
そこで本発明は、流路を介して反応容器にサンプルを分注する反応容器プレートにおいて、サンプル量が微量であっても確実に反応容器内にサンプルを分注することができるようにすることを目的とするものである。
本発明にかかる反応容器プレートは、サンプルに反応を起こさせるための反応容器であって、反応試薬及びその上層に所定の反応温度では液状であるワックスを収容する反応容器と、反応容器の内壁上部に出口が面し、出口から反応容器内にサンプルを分注するためのサンプル分注流路と、を備え、反応容器の前記出口の下方の内壁には、該反応容器内部に収容されたワックスが液状化したときに毛細管現象によって前記出口まで上昇する寸法の溝が形成されているものである。
反応容器内部に配置されるワックスはサンプルやサンプルに反応を起こさせる反応試薬よりも比重が小さく、サンプルや反応試薬とは混じらないものである。このようなワックスを反応容器内に収容しておくと、サンプル分注流路の出口まで到達したサンプルがワックスに接触したときに両者の比重の違いによってサンプルがワックスの下側へ入り込もうとして反応容器の底部へ導かれる。したがって、表面張力によって反応容器の底部まで到達しにくい微小な量のサンプルであってもこのようなワックスを利用することにより、サンプルを反応容器の底部まで到達させることができ、反応試薬がワックスの下に存在していればサンプルは反応試薬と混合される。
しかし、反応容器の容量が小さい場合は反応容器内に収容するワックス量も微量になり、ワックスを適当な量に制御することが困難になる。ワックス量が少なすぎるとサンプルがワックスに接触できず、サンプルが反応容器の側壁等に付着したまま反応容器内に分注されないことがある。反対にワックス量を多くしすぎるとワックスが反応容器から流路側に溢れてサンプルの送液に影響を与えることがある。
また、サンプルがワックスの真上に滴下された場合にはサンプルがワックスの下に入り込まないことがある。ワックスの下層に反応試薬を存在させていた場合に、サンプルがワックスの下に入り込まないとサンプルと反応試薬が混合されず、サンプルに反応を起こさせることができない。
そこで本発明の反応容器プレートでは、反応容器内壁のサンプル分注流路の下方に、液状化したワックスが毛細管現象によって上記出口まで上昇する寸法の溝が形成されている。これにより、反応容器に収容されているワックス量が少ない場合でもワックスをサンプル分注流路の出口部分まで上昇させて、サンプル分注流路の出口に到達したサンプルとワックスを接触させることができる。サンプル分注流路の出口部分でワックスと接触したサンプルは溝に沿って反応容器の底部へ導かれ、ワックスの下へ入り込む。
本発明にかかる反応処理方法は、上記の反応容器プレートを用いて反応容器でサンプルと反応試薬とを確実に混合し、サンプルに反応を起こさせる方法である。すなわち、本発明の反応処理方法は、上述のように、反応容器内に反応試薬とその反応試薬やサンプルよりも比重の小さいワックスとを収容しておき、反応容器を所定の反応温度に加熱して液状化したワックスを毛細管現象によってサンプル分注流路の出口部分まで上昇させ、サンプル分注流路の出口まで到達したサンプルをワックスに接触させることによって反応容器の底部にサンプルを導いてワックスの下層の反応試薬と混合させるものである。
本発明の反応容器プレート及び反応処理方法では、反応容器内壁のサンプル分注流路出口の下方に、液状化したワックスが毛細管現象によってサンプル分注流路の出口部分まで上昇する寸法の溝を形成しているので、反応容器に収容されているワックス量が少ない場合でもワックスがサンプル分注流路の出口まで上昇し、サンプル分注流路の出口に到達したサンプルがワックスと確実に接触して反応容器の底部へ導かれる。これにより、ワックスの下層に反応試薬が存在することによって反応容器内での反応試薬との混合も確実に行なわれる。また、サンプル分注流路の出口部分でワックスと接触したサンプルは常に溝に沿って反応容器の底部へ導かれるため、ワックスの真上にサンプルが滴下されることはなく、サンプルを確実にワックスの下に入り込ませることができる。
図1は一実施例の反応容器プレートを示す図であり、(A)はその平面図、(B)は(A)のA−A位置における断面図である。なお、この反応容器プレートに形成されている流路は上からは実際には見えないが、同図(A)においては構造をわかりやすくするために図示している。
この実施例の反応容器プレートはベース基板3a、流路形成基板3b及びカバー基板3cからなる。ベース基板3aの上に流路形成基板3bが積層され、さらにその上にカバー基板3cが積層されている。ベース基板3a及びカバー基板3cは例えばポリプロピレン、ポリカーボネートなどの樹脂素材からなり、流路形成基板3bは例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)やシリコーンゴムなどの樹脂素材からなる。
所定の領域にサンプルに反応を起こさせるための複数の反応容器2が配列されており、その周囲にドレイン12、サンプル分注流路4、計量流路6、反応容器エアー抜き流路8、ドレインエアー抜き流路14が設けられている。
サンプル分注流路4は上流端4aからサンプルを送り込んで各反応容器2にサンプルを注入するために全反応容器2の近傍を通るように配置され、各反応容器2に向かって枝分かれして各反応容器2の上部に接続されている。サンプル分注流路4から各反応容器2に向かって枝分かれした流路6は一定容量をもつ計量流路となっており、計量流路6の下流端6a(反応容器2との接続部分)は流路抵抗が高く、サンプル分注流路4の送液圧力が一定圧力以下ではサンプルを通さず、一定圧力より大きい送液圧力をかけることにより開いてサンプルを通すパッシブバルブとなっている。サンプル分注流路4の下流端はドレイン12に接続されている。
ドレイン12はサンプル分注流路4からパージされた液体を収容するための空間であり、ドレイン12にはサンプル分注流路4のパージを効率よく行なうためにドレイン12内のエアーを流通させるドレインエアー抜き流路14が接続されている。ドレインエアー抜き流路14の下流端14aは開閉機構につながっている。
反応容器エアー抜き流路8は全反応容器2に接続されており、反応容器2へのサンプル注入時の圧力上昇を緩和するために反応容器2のエアーを流通させるものである。反応容器エアー抜き流路8の反応容器2との接続部分10は、反応容器2内と反応容器エアー抜き流路8内とで圧力差がない状態のときに反応容器2内の気密を保つ寸法となっている。反応容器エアー抜き流路8の下流端8aは該反応容器プレートの外部へ開放されていてもよいし、エアーを収容する所定の空間に接続されていてもよい。
反応容器2及びドレイン12はベース基板3aに形成され、サンプル分注流路4、計量流路6及び反応容器エアー抜き流路8は流路形成基板3bに形成されている。カバー基板3cは流路形成基板3bを所定の位置で固定保持するためのものであるが、各反応容器2上の位置に反応容器2内での反応の光学的測定用の窓部が設けられている。
反応容器2内には、サンプルに反応を起こさせるための反応試薬16と、サンプルを反応容器2内に導くとともにサンプル及び反応試薬16の蒸発を防止するためのワックス18が収容されている。ワックス18はサンプル及び反応試薬16よりも比重が小さく、サンプル及び反応試薬16とは混じらないものである。
ワックス18としては、例えば常温では固体で加熱融解性である石油性パラフィンワックス、石油系マイクロクリスタリンワックス及びその混合物が挙げられるが、それらのワックスに不揮発性液体であるミネラルオイルが混合されたミネラルオイル混合ワックスを用いることもできる。ミネラルオイル混合ワックスとしては、例えば石油系パラフィンワックス(シグマ社製 Paraplast-X-ra P3808)にミネラルオイル(シグマ社製 M5904)が混合されたものが挙げられる。
反応容器2及びその近傍の流路についてさらに詳細に説明する。図2は反応容器内部を説明するための図であり、(A)は正面断面図、(B)は(A)とは垂直な方向から見た断面図、(C)は反応試薬及びワックスを収容した反応容器の正面断面図である。図3は反応容器近傍の流路を示す図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
図2に示されているように、反応容器2の上部側壁にパッシブバルブ6aの出口が面しており、その下方の側壁に複数の溝2aが設けられている。溝2aは反応容器2内に収容された液状のワックス18が毛細管現象によってパッシブバルブ6aの出口まで上昇する寸法に形成されている。溝2aの寸法の一例を挙げると、反応容器2内の温度が55℃に調整されている場合は、溝2aは幅50μm、深さ50μmであり、25μmのピッチで例えば3本配置されている。溝2aは下端が反応容器2内に収容されるワックス18の液面よりも下方にくる高さまで形成されている。
サンプル分注流路4は、図3に示されているように、計量流路6への分岐部のすぐ下流の流路幅が部分的に狭くなっている。この部分の流路抵抗は計量流路6の流路抵抗より大きく、パッシブバルブ6aの流路抵抗より小さい。したがって、サンプル分注流路4の上流から流れてきたサンプルは計量流路6との分岐部分で計量流路6へ優先的に流れ込み、計量流路6を満たした後、サンプル分注流路4のより下流側へ流れる。計量流路6は全て一定容量をもっており、この計量流路6を満たしたサンプルが反応容器2に注入されることで、全反応容器2に一定量のサンプルを分注することができる。
なお、この実施例では、パッシブバルブ6aは複数の細い流路で構成されている。細い流路の寸法は例えば深さが10μm、幅が20μmであり、20μmのピッチで配列されている。反応容器エアー抜き流路8の反応容器2との接続部分もパッシブバルブ6aと同様に構成されている。
流路形成基板3bの下面の反応容器2の天井に相当する部分に凹部20が設けられている。すなわち、反応容器2の天井はパッシブバルブ6aの天井よりも高くなっており、パッシブバルブ6aを通過したサンプルが反応容器2の天井部分に付着することを防止している。
この実施例の反応容器プレートにおける各反応容器2へのサンプル分注方法を説明する。なお、この反応容器プレートはすでに反応処理を行なうための装置に設置され、反応容器2の温度が所定温度に加温されてワックス18が液状になっているものとする。
反応容器エアー抜き流路8の下流端8a、ドレインエアー抜き流路14の下流端14aを開放した状態で、サンプル分注流路4に上流端4aからサンプルを注入する。サンプル注入によって押し出されたエアーは下流端8a,14aから流路8,14外へ排出される。注入されたサンプルは上流側から計量流路6に優先的に入り込むがパッシブバルブ6aで堰き止められ、その計量流路6を満たしてからより下流側へ流れる。全ての計量流路6を満たしてサンプル分注流路4から溢れたサンプルはドレイン12に収容される。
次に、ドレインエアー抜き流路14の下流端14aを開放した状態で、サンプル分注流路4の上流端4aからエアーを吹き込み、計量流路6を満たしているサンプルを残しながらサンプル分注流路4内のサンプルを全てパージしてドレイン12へ収容する。
反応容器エアー抜き流路8の下流端8aを開放し、ドレインエアー抜き流路14の下流端14aを閉じた状態で、サンプル分注流路4の上流端4aからエアーを吹き込むことで、サンプル分注流路4の送液圧力をパッシブバルブ6aが開く圧力まで高め、各計量流路6に充填したサンプルをそれぞれ反応容器2へ注入する。
このとき、反応容器2内のワックス18は、図2(C)に示したように、溝2aに沿って毛細管現象によってパッシブバルブ6aの出口部分まで上昇しており、パッシブバルブ6aを通過したサンプルはワックス18と接触する。ワックス18と接触したサンプルはワックス18との比重の違いにより、ワックス18の下側へ入り込むように溝2aに沿って反応容器2の底部へ導かれ、ワックス18の下層の反応試薬16と混合され、反応を生じる。
このように、パッシブバルブ6aを通過したサンプルは毛細管現象によって上昇したワックス18に導かれて必ず溝2aに沿って反応容器2の底部へ導かれるので、サンプルがワックス18と接触せずに反応容器2の底部に到達しないという問題は生じなくなる。
なお、上記実施例では、計量流路6及びパッシブバルブ6aを備えて複数の反応容器2に同時に一定量のサンプルを分注できる反応容器プレートについて説明したが、これは一例にすぎず、計量流路6及びパッシブバルブ6aを備えていない反応容器プレートに対しても適用することができる。
また、上記実施例において流路形成基板3bの下面の反応容器2の天井に相当する部分に凹部20が設けられているが、反応容器2の天井部の形状はこれに限定されない。
一実施例の反応容器プレートを示す図であり、(A)はその平面図、(B)は(A)のA−A位置における断面図である。 同実施例の反応容器内部を説明するための図であり、(A)は正面断面図、(B)は(A)とは垂直な方向から見た断面図、(C)は反応試薬及びワックスを収容した反応容器の正面断面図である。 同実施例の反応容器近傍の流路を示す図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
符号の説明
2 反応容器
3a ベース基板
3b 流路形成基板
3c カバー基板
4 サンプル分注流路
6 計量流路
6a パッシブバルブ
8 反応容器エアー抜き流路
12 ドレイン
14 ドレインエアー抜き流路
16 反応試薬
18 ワックス
20 反応容器天井部(凹部)

Claims (2)

  1. サンプルに反応を起こさせるための反応容器であって、反応試薬及びその上層に所定の反応温度では液状であるワックスを収容する反応容器と、
    前記反応容器の内壁上部に出口が面し、前記出口から前記反応容器内にサンプルを分注するためのサンプル分注流路と、を備え、
    前記反応容器の前記出口の下方の内壁には、該反応容器内部に収容されたワックスが液状化したときに毛細管現象によって前記出口まで上昇する寸法の溝が形成されている反応容器プレート。
  2. 請求項1に記載の反応容器プレートを用い、
    サンプルを前記サンプル分注流路で送液する前に前記反応容器内に前記ワックス及び反応試薬を収容し、
    前記反応容器内の温度を所定の反応温度まで加熱し、
    サンプルを前記サンプル分注流路で送液して前記出口まで到達させて毛細管現象によって前記出口まで上昇した前記ワックスと接触させ、前記サンプルとワックスとの比重の違いにより前記サンプルを前記反応容器の底部に降下させて前記反応試薬と混合する反応処理方法。
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JP2015511015A (ja) * 2012-03-16 2015-04-13 ライフ テクノロジーズ コーポレーション 生体試料を収容するためのシステム及び方法

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