JP2010127831A - 光学遅延素子および光パルス計測装置 - Google Patents

光学遅延素子および光パルス計測装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010127831A
JP2010127831A JP2008304631A JP2008304631A JP2010127831A JP 2010127831 A JP2010127831 A JP 2010127831A JP 2008304631 A JP2008304631 A JP 2008304631A JP 2008304631 A JP2008304631 A JP 2008304631A JP 2010127831 A JP2010127831 A JP 2010127831A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
time
optical
optical delay
delay
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008304631A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Takeda
淳 武田
Ikufumi Katayama
郁文 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama National University NUC
Original Assignee
Yokohama National University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama National University NUC filed Critical Yokohama National University NUC
Priority to JP2008304631A priority Critical patent/JP2010127831A/ja
Publication of JP2010127831A publication Critical patent/JP2010127831A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)

Abstract

【課題】媒質の群速度分散の影響を受けにくく、チャープの影響を受けにくい光学遅延素子を提供し、また、チャープの影響を受け難く広帯域の光パルス計測を行うことができる光計測装置を提供する。
【解決手段】光学遅延素子10Aは、透過型の光学遅延素子に代えて反射型の光学遅延素子とし、光学的な遅延を反射距離によって遅延時間を形成し、この反射距離を異ならせることによって遅延時間に時間差を付与するものである。反射型の光学遅延素子によれば、光学素子を光が通過することによる吸収や分散の影響を除くことができるため、媒質の群速度分散による光パルスの時間広がり(チャープ)を無くすことができ、また、広帯域の周波数(波長)に対して光学遅延時間を付与する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フェムト秒レベルの短い時間幅の光パルスに光学遅延時間を付与する光学遅延素子、およびこの光学遅延素子を用いて、フェムト秒の光パルスの時間・周波数特性を実時間で観測する光パルス計測装置に関する。
フェムト秒の光パルスの時間幅や位相をモニタする光計測装置として、シングルショット・オートコリレータ(特許文献1参照)、FROG(Frequency Resolved Optical Gating)法、SPIDER(Spectral Phase Interferometry for Direct Electric - Field Reconstruction)法(特許文献2参照)が知られている。
また、本発明の発明者は、微小時間における実時間変化のスペクトルを得る実時間イメージング分光法および実時間イメージング分光装置等の出願において、時間分解とスペクトル測定を同時に行う分光方法および分光装置を開示している(特許文献3,4)。
特開2001−215540号公報(段落0021) 特開2003−337309号公報(段落0005) 特許第3799546号公報 特許第3962777号公報
シングルショット・オートコリレータによる光計測は、パルスの時間幅は測定することができるが、周波数(波長)や位相については測定することができないという課題がある。
また、FROG法やSPIDER法は、レーザー光の時間幅の他、周波数(波長)や位相についても測定することができるが、これらの方法では予め如何なる波長のレーザーを測定対象とするかが限定されているため、広帯域の検出ができないという課題がある。また、一般に用いる光学素子では群速度分散の影響のため、短い時間幅(例えば、20フェムト秒以下)のパルスに適用することは困難である。
特許文献3,4では、時間分解とスペクトル測定の同時測定を行う構成として、エシェロンの光学素子による透過型の時間遅れ形成手段を用いている。
この透過型の時間遅れ形成手段は、光パルスが媒質を通過する際の光路差を利用することによって異なる光遅延時間を形成している。透過型の時間遅れ形成手段では、光パルスは媒質を通過する。そのため、光パルスは媒質の群速度分散の影響を受けて広がり(正のチャープ)が生じる。このチャープは、光パルスの時間幅、周波数(波長)、位相に影響を与えるため、測定精度が低下するという問題がある。
例えば、時間幅が20フェムト秒以下の短時間の光パルスでは、特にチャープの影響を受け易いため、透過型の時間遅れ形成手段を用いた光計測装置では十分な精度が得られないおそれがある。
また、測定する光パルスの帯域が広い場合においてもチャープの影響を受け易くなるため、透過型の時間遅れ形成手段を用いた光計測装置では十分な精度が得られないおそれがある。
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、媒質の群速度分散の影響を受けにくく、チャープの影響を受けにくい光学遅延素子を提供することを目的とし、また、チャープの影響を受け難く広帯域の光パルス計測を行うことができる光計測装置を提供することを目的とする。
本発明の光学遅延素子は、透過型の光学遅延素子に代えて反射型の光学遅延素子とし、光学的な遅延を反射距離によって遅延時間を形成し、この反射距離を異ならせることによって遅延時間に時間差を付与するものである。本発明の反射型の光学遅延素子によれば、光学素子を光が通過することによる吸収や分散の影響を除くことができるため、媒質の群速度分散による光パルスの時間広がり(チャープ)を無くすことができ、また、広帯域の周波数(波長)に対して光学遅延時間を付与することができる。
また、本発明の光パルス計測装置は、本発明の反射型の光学遅延素子を用いることによって、フェムト秒領域の光パルスの時間・周波数特性を広帯域でチャープの影響を受けることなく、実時間で計測することができる。本発明の光パルス計測装置は、レーザー光の光パルス計測の他、フェムト秒プローブ白色光に遅延時間を付与することによって、ポンプ(励起)・プローブ分光等の分光技術にも適用することができる。
本発明の光学遅延素子は、入射光の入射位置に応じて遅延時間が異なる出射光を形成する光学遅延素子であり、複数の段部と、この段部の面の内で少なくとも入射光側の面に設けた反射面とを有する反射部を備える。この反射部において、入射光に対して垂直な入射面と各段部の反射面との間の光路長、および各段部の反射面と出射光に対して垂直な出射面との間の光路長を段部毎に異ならせる。この光路長の光路差によって各段部の反射面で反射された反射光の遅延時間に時間差を形成する。
本発明の光学遅延素子の一形態は、光路上にビームスプリッタと反射部とを配置し、ビームスプリッタによって入射光と反射光とを分離し、反射部からの反射光を入射光と異なる方向に出力する。
ビームスプリッタは、入射光を反射部側に透過し、反射部で反射し反射光を入射光と異なる方向に反射する選択的な透過反射面を備える。
反射部は、ビームスプリッタの透過反射面の内の反射面と対向する側に複数の段部が順次形成された階段状部と、この階段状部の段部の面の内で少なくとも透過反射面と対向する面に設けられた反射面とを備える。反射部は、反射面を階段状部の段部に設ける構成とすることによって光路長の距離に差を設け、これによって光パルスに遅延時間を付与する。
反射部において、入射光に対して垂直な入射面と各段部の反射面との間の光路長、および各段部の反射面と出射光に対して垂直な出射面との間の光路長を段部毎に異ならせ、この光路長の光路差によって各段部の反射面で反射された反射光の遅延時間に時間差を形成し、入射光の入射位置に応じて遅延時間が異なる出射光を形成して出力する。
本発明の光学遅延素子の反射部が有する段部は、段部の反射面に対して入射光を所定の入射角で入射し、反射光を反射面に対して所定の反射角で反射し、入射光と 異なる光路上に出射させる構成の他、段部の反射面に対して入射光を垂直に入射し、反射光をこの反射面に対して垂直に反射させ、入射光と同じ光路上を逆方向に出射させる構成とすることができる。
反射部の段部に設けた反射面は、段部の表面に所定波長範囲の光を反射するコーティングにより形成することができる。このコーティングを選択することによって一つの光学遅延素子で広帯域の周波数(波長)に対応させることができる。
コーティングは誘電体コーティングや金、銀、アルミコーティングとすることができる。誘電体やアルミコーティングでは、可視光〜紫外光(800〜300nm)に対応する誘電体を用いることによって、フェムト秒レーザー光の基本波の他に、高調波、光パラメトリック発振器(OPO(Optical Parametoric Oscillator)や光パラメトリック増幅器(OPA(Optical Parametoric Amplifier))により波長変換した後のパルス出力、自己位相変調により発生したフェムト秒白色光などの広帯域の光パルス計測に適用することができる。また、金、銀コーティングを用いることで、広帯域赤外光に対応することができる。
また、ビームスプリッタと反射部とからなる構成の光学遅延素子において、ビームスプリッタと反射部とをそれぞれ一つずつ用いた構成の他に、ビームスプリッタと反射部とをペアとし、このペアを複数組み用い、複数の組みのペアを同一光路上に配置する構成としてもよい。この構成によって、遅延時間を延長させることができる。
本発明の光学遅延素子を用いて、光パルスの周波数特性を計測する光パルス計測装置、試料の光化学反応や光誘起現象のスペクトル(波長特性)測定と時間変化測定とを同時に実時間で測定する実時間分光装置を構成することができる。
本発明の光パルス計測装置は、光パルスとゲート光とを重なるようにカー媒質に照射し、この照射によりカー媒質上において光遅延時間を有して偏光された光パルスを、カー媒質上の一次元方向を時間軸として展開する照射手段と、ゲート光の照射によってカー媒質上に一次元方向に展開された光遅延時間を有する光パルスを分光する分光手段と、分光を検出する検出手段とを備える。
照射手段は、光パルスを偏光する偏光板と、本発明の光学遅延素子とを備える。光学遅延素子は光パルス又はゲート光に時間遅れを形成する。
分光手段は、カー媒質上の一次元方向を光遅延時間の時間軸とし、各光遅延時間の各波長を波長軸とする二次元に分光し、光遅延時間の時間幅の実時間で分光する。分光は検出手段によって検出される。
照射手段は、フェムト秒レーザーの基本波、波長変換素子によってフェムト秒レーザーを波長変換して得られるパルス出力、自己位相変調素子によってフェムト秒レーザーを自己位相変調して得られるフェムト秒白色光の何れか一つを光パルスとして照射することができる。光学遅延素子は、反射面に形成するコーティングの波長域を、光パルスの波長域に応じて選択する。
本発明の実時間分光装置の第1,第2の形態は、励起光の照射によって試料から得られる発光とゲート光とを重なるようにカー媒質に照射し、この照射によりカー媒質上において光遅延時間を有して偏光された発光を、当該カー媒質上の一次元方向を時間軸として展開する照射手段と、ゲート光の照射によってカー媒質上に一次元方向に展開された光遅延時間を有する発光を分光する分光手段と、分光を検出する検出手段とを備える。第1の形態は線状又は帯状に集光させる形態であり、第2の形態は点状に集光させる形態である。
照射手段は、本発明の光学遅延素子を用いて発光及び/又はゲート光に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段と、時間遅れ形成手段を通過した発光及び/又はゲート光を線状又は帯状に形成しカー媒質上に垂直に照射する光学系とを備える。
分光手段は、カー媒質上で偏光した発光を前記光遅延時間の時間軸に線状又は帯状に展開する光学系とを備え、カー媒質上の一次元方向を光遅延時間の時間軸とし、各光遅延時間の各波長を波長軸とする二次元に分光し、前記光遅延時間の時間幅の実時間で分光する。
本発明の実時間分光装置の第3,第4の形態は、複数の波長を含むフェムト秒白色光のプローブ光及び特定波長パルス光の励起光とを試料に重ねて照射する照射手段と、照射によって試料から得られる透過光又は反射光を時間軸及び波長軸の二次元に分光する分光手段と、二次元の分光を二次元的に検出する検出手段と、本発明の光学遅延素子を用いた時間遅れ形成手段を光路上に配置して備える。第3の形態は線状又は帯状に集光させる形態であり、第4の形態は点状に集光させる形態である。
時間遅れ形成手段は光学遅延素子によってプローブ光に試料面上において光遅延時間を形成する。分光手段は、光遅延時間を時間軸として分光し、光遅延時間の時間幅を実時間で分光する。
本発明の光学遅延素子によれば、光学素子の群速度分散の影響を除くことができるため、例えば、20フェムト秒以下の短い時間幅の光パルスに光学遅延時間を付与することができ、この光学遅延素子を用いて光パルス計測装置や実時間分光装置を構成することによって、測定対象の光パルスが広がることなく、光パルス自体の時間幅、周波数(波長)、位相を検出することができる。また、広帯域の検出が可能となる。
以上説明したように、本発明の光学遅延素子によれば、光パルスへの光遅延時間の付与において、媒質の群速度分散の影響を低減して、光パルスの広がり(チャープ)の発生を抑制することができる。
また、本発明の光学遅延素子を用いた光計測装置によれば、媒質の群速度分散の影響による光パルスのチャープの発生を抑制して、チャープの影響を受け易い時間幅の短い光パルスにおいて時間幅、周波数(波長)、位相等の計測を行うことができ、また、広帯域の光パルス計測を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図を参照しながら詳細に説明する。本発明の光学遅延素子の構成例について図1〜図4を用いて説明し、本発明の光学遅延素子を用いた光パルス計測装置の構成および動作について図5〜図7を用いて説明し、本発明の光学遅延素子を用いた実時間分光装置の構成および動作について図8〜図17を用いて説明する。
[光学遅延素子について]
はじめに、本発明の光学遅延素子の構成例について図1〜図4を用いて説明する。
図1は本発明の光学遅延素子の第1の構成例を説明するための図である。図1において、光学遅延素子10Aは反射部11とビームスプリッタ20とを対向させて配置して構成される。なお、この構成例では、入射光と反射光が同一光路を通過する例である。
反射部11は、複数の段部12を階段状に配置し、各段部12の表面の内、少なくともビームスプリッタ20と対向する面に反射面13を形成する。反射面13は、所定波長範囲の光を反射するコーティングにより形成することができる。このコーティングは、対象とする光パルスの広帯域の周波数(波長)に対応して選択することができる。例えば、コーティングは誘電体コーティングや金コーティングとすることができる。
誘電体あるいはアルミコーティングでは、可視光〜紫外光(800〜300nm)に対応する誘電体を用いることによって、フェムト秒レーザー光の基本波の他に、高調波、光パラメトリック発振器(OPO(Optical Parametoric Oscillator)や光パラメトリック増幅器(OPA(Optical Parametoric Amplifier))により波長変換した後のパルス出力、自己位相変調により発生したフェムト秒白色光などの広帯域の光パルス計測に適用することができる。また、金や銀コーティングを用いることで、広帯域赤外光に対応することができる。
ビームスプリッタ20は、入射光を透過して反射部11に入射させると共に、反射部11の反射面13で反射された反射光を、入射光と異なる方向に反射して出力する。
反射部11は複数の段部12を階段状に配置することによって、ビームスプリッタ20と反射面13との間の光路の反射距離に各段部に応じて差を持たせている。この反射距離の違いは、図1において斜線部分Aで示している。この光路部分の媒質は空気とすることができ、この反射距離の違いによる光パルスの時間差は空気中の時間差であって、分散はほとんど発生しない。
図1の構成では、入射光の例として、反射部11の下段の段部に入射する入射光a、反射部11の中段の段部に入射する入射光b、反射部11の上段の段部に入射する入射光cを示している。入射光a、b、cの各反射距離は、階段状の段部によって順に長くなっている。
図2は本発明の光学遅延素子の第2の構成例を説明するための図である。第2の構成例の光学遅延素子10Bは、反射部11は複数の溝が形成されたグレーティング部14によって構成し、溝の表面の内、少なくともビームスプリッタ20と対向する面に反射面13を形成する。反射面13は、第1の構成例と同様に所定波長範囲の光を反射するコーティングにより形成することができる。
光学遅延素子10Bのその他の部分は、第1の構成例の光学遅延素子10Aとほぼ同様とすることができる。
図3は本発明の光学遅延素子の第3の構成例を説明するための図である。第3の構成例の光学遅延素子10Cは反射部11のみの構成とし、反射部11の複数の段部12に設けた反射面13に対して所定の入射角で入射光を入射する。反射面13で反射された反射光は、入射光と異なる方向に反射される。
反射部11は複数の段部12を階段状に配置し、反射面13に対して所定の入射角で入射する構成とすることによって、入射平面100と反射面13との間の光路長、および反射面13と反射平面101との間の光路長に、各段部に応じて差を持たせている。この光路長の距離の違いは、図3においてそれぞれ斜線部分B,Cで示している。この光路部分の媒質は空気とすることができ、この反射距離の違いによる光パルスの時間差は空気中の時間差であって、分散はほとんど発生しない。
なお、ここでは、入射平面100は入射光の進行方向と垂直な平面を表し、反射平面101は反射光の進行方向と垂直な平面を意味している。
図4は本発明の光学遅延素子の第4の構成例を説明するための図である。第4の構成例の光学遅延素子10Dは、第1の構成例の光学遅延素子10Aを2つ用いた構成である。反射部11aとビームスプリッタ20aからなる光学遅延素子10と反射部11bとビームスプリッタ20bからなる光学遅延素子10を光路上に順に従属した配置する。
ビームスプリッタ20aに入射した入射光は、反射部11aの反射面で反射した後にビームスプリッタ20aによってビームスプリッタ20bに向けて反射される。ビームスプリッタ20bに入射した入射光は、反射部11bの反射面で反射した後にビームスプリッタ20bによって反射されて出力される。
この第4の構成によれば、2つの光学遅延素子を通過することによって光学遅延時間を長くすることができる。
[光パルス計測装置について]
次に、本発明の光学遅延素子を用いた光パルス計測装置の構成および動作について図5〜図9を用いて説明する。
図5,図6は、本発明の光パルス計測装置の第1の形態の構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図であり、図7は光遅延時間とスペクトルの二次元イメージングの一例である。また、図8,図9は、本発明の光パルス計測装置の第2の形態の構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図である。
光パルス計測装置の第1の形態は、ゲート光を遅延し、測定光およびゲート光を線状又は帯状に重ねて集光させる例であり、光パルス計測装置の第2の形態は、測定光を遅延し、測定光およびゲート光を点状に重ねて集光させる例である。
はじめに、光パルス計測装置の第1の形態について説明する。
図5において、本発明の第1の形態の光パルス計測装置1Aは、測定対象の光とゲート光とをカー媒質2jに照射する照射手段2と、照射光によってカー媒質2j上で偏光し通過した測定対象の光を時間軸及び波長軸に分光する分光手段3と、分光された時間軸及び波長軸の信号を二次元で検出する検出手段4を備える。
光パルス計測装置1Aにおいて、カー媒質2jに対して測定対象の光とゲート光とを同じく線状又は帯状に集光する際、ゲート光又は測定対象の光をカー媒質2jに照射する前に、時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iに通し、この時間遅れの形成によって線状又は帯状の集光面に形成されるゲート光又は測定対象の光に光遅延時間を持たせ、これによって時間分解を行う。
照射手段2は、光遅延時間を形成する構成としてカー媒質2jに照射する前のゲート光の光路上に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iを備える。時間遅れ形成手段2iを通したゲート光は円筒形レンズ2h2によって線状又は帯状に形成され、カー媒質2j上に照射される。一方、測定対象の光は円筒形レンズ2h1によって線状又は帯状に形成され、カー媒質2j上の発光部分に重ねて集光される。
この構成によって、湾曲ミラー2c2等の光学系でコリメートされた測定対象の光は、偏光板2e1で偏光された後、円筒形レンズ2h1によってカー媒質2j上に集光され、他方、ゲート光は時間遅れ形成手段2iによって時間遅れが形成された後にカー媒質2j上に集光される。この時間遅れ形成手段2iは、時間遅れを異ならせることによって、カー媒質2j上の測定対象の光に光遅延時間を持たせることができる。測定対象の光は、カー媒質2j上において、ゲート光の照射によるカー効果によって偏光角が回転した後、偏光板2e2を通過する。
時間遅れ形成手段2iで時間遅れが拡張されたゲート光が照射されたとき、偏光された測定対象の光は偏光板2e2を通過し、スリット3a上に線状又は帯状に絞られた後、分光素子3bで分光され、検出手段4で検出される。
測定対象の光として、フェムト秒レーザーの基本波、波長変換素子によってフェムト秒レーザーを波長変換して得られるパルス出力、自己位相変調素子によってフェムト秒レーザーを自己位相変調して得られるフェムト秒白色光等とすることができる。
図5に示す構成例は、測定対象の光としてフェムト秒白色光の場合を示している。この場合には、図5に示す構成において、ミラー2c1とミラー2c2との間に自己位相変調素子2dを設け、フェムト秒レーザーを自己位相変調して複数波長を備えるフェムト秒白色光を形成する。
フェムト秒レーザーを波長変換したパルス出力を測定対象とする場合には、図5に示す構成において、パラメトリック発振(OPO)やパラメトリック増幅(OPA)で波長変換したパルス出力を偏光板2e1に入射する。また、フェムト秒レーザーの基本波を測定対象とする場合には、図5に示す構成において自己位相変調素子2dを外し、レーザー光源2aからのレーザー光を偏光板2e1に入射する。
図6は、時間遅れ形成手段2iによる時間遅れの拡張及び光遅延時間の形成状態、及び発光の時間軸及び波長軸での検出状態を示している。図6において、ゲート光は時間遅れ形成手段2iによって空間的に時間遅れを持たせることによって光遅延時間を形成しカー媒質2j上に集光させる。他方、測定対象の光は図5における偏光板2e1を通過した後、図5における円筒形レンズ2h1によってカー媒質2j上の集光点に集光させる。
時間遅れ形成手段2iは、本発明の光学遅延素子10を用いて構成することができる。本発明の光学遅延素子10は、反射部11に設けた複数の各段部12に応じて異なる距離を有する複数の光路長を備える。時間遅れ形成手段2iに入射したパルス光は、反射部11の反射面13とビームスプリッタ20との間で往復する間に、異なる光路長によって出射時に時間差が形成され、カー媒質2jに集光するゲート光に光遅延時間を与える。例えば、長さ約5mm,幅約25mmの光学材に、各段の長さが約5μmで幅が約25μmのピクセルを約1000個形成して成る光学遅延素子10に、パルス幅が約150fs(フェムト秒)のゲート光を入射すると、空間的に約33ps(ピコ秒)の時間遅れがついたゲート光が出射される。
この時間幅の拡張によって、ゲート光に光学遅延素子10の縦方向に沿って光遅延時間を与えることができる。図6において、光学遅延素子10の下端から出射される光は拡張されたパルス幅の初期の光に対応し、光学遅延素子10の上端から出射される光は拡張されたパルス幅の後期の光に対応する。
光学遅延素子10の図中の縦方向に拡張されたゲート光は、カー媒質2j上に線状又は帯状に集光される。カー媒質2j上に線状又は帯状に集光したゲート光は光遅延時間に沿って形成される。ゲート光が照射されていない場合には、測定対象の光の偏光軸は偏光板2e1と同方向であるため、これと垂直な偏光軸を持つ偏光板2e2を通過することはできない。一方、ゲート光が照射されている場合には、カー媒質2jのカー効果によってゲート光が照射された瞬間の発光の偏光軸が回転するため、測定対象の光は偏光板2e2を通過し分光器及び検出器に至る。ゲート光によってカー媒質2j上で偏光した測定対象の光は、光遅延時間に沿って延びた状態で偏光板2e2に至る。
ここで、分光器が備えるスリット(図示していない)に、光遅延時間に沿って入射光を絞り、時間軸に線状又は帯状に延びる光を分光する。検出手段4は、二次元検出器4aを用い、この二次元検出器の一方の軸方向(図中のx軸方向)を分光器の光遅延時間の時間軸に対応させ、他方の軸方向(図中のy軸方向)を分光器の波長軸に対応させ、分光した光を時間軸と波長軸の二次元で検出する。これによって、二次元検出器は、光遅延時間と波長の二つの測定要素について同時に測定することができ、検出された検出信号は、光遅延時間を実時間としてスペクトルを二次元で検出することができる。
図7は光遅延時間とスペクトルの二次元イメージングの一例であり、x軸方向に時間軸をとり、y軸方向に波長軸をとり、z軸方向に強度をとっている。図7(a)中において、実線で示す曲線は各時間(t1〜t6)におけるスペクトルを示し、図7(b)中において、実線及び破線で示す曲線は各波長(λ1〜λ7)における時間変化を示している。なお、図示する各時間(t1〜t6)及び各波長(λ1〜λ7)は一例であって、測定範囲内で任意に選択することができる。また、図7は曲線で表示しているが、曲線による表示に限らず、曲面によって表示することもできる。
次に、光パルス計測装置の第2の形態について説明する。
図8において、本発明の第2の形態の光パルス計測装置1Bは、第1の形態と同様に、測定対象の光とゲート光とをカー媒質2jに照射する照射手段2と、照射光によってカー媒質2j上で偏光し通過した測定対象の光を時間軸及び波長軸に分光する分光手段3と、分光された時間軸及び波長軸の信号を二次元で検出する検出手段4を備える。
光パルス計測装置1Bにおいて、カー媒質2jに対して測定対象の光とゲート光とを点状に集光する際、測定対象の光をカー媒質2jに照射する前に、時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iに通し、この時間遅れの形成によって集光面に形成される点状の測定対象の光に光遅延時間を持たせ、これによって時間分解を行う。
図示する構成では、照射手段2は光遅延時間を形成する構成としてカー媒質2jに照射する前の測定光の光路上に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iを備える。時間遅れ形成手段2iを通した測定光は集光レンズ2j1によって点状に形成され、カー媒質2j上に照射される。一方、ゲート光は集光レンズ2j2によって点状に形成され、カー媒質2j上の同一点に重ねて集光される。
この構成によって、湾曲ミラー2c2等の光学系でコリメートされた測定対象の光は、偏光板2e1で偏光された後、時間遅れ形成手段2iによって時間遅れが形成され、集光レンズ2j1によってカー媒質2j上に集光される。他方、ゲート光は集光レンズ2j2によってカー媒質2j上に集光される。この時間遅れ形成手段2iは、空間的に時間遅れを異ならせることによって、カー媒質2j上の測定対象の光に光遅延時間を持たせることができる。測定対象の光は、カー媒質2j上において、ゲート光の照射によるカー効果によって偏光角が回転した後、偏光板2e2を通過する。
ゲート光が照射されたとき、ゲート光が照射された瞬間の偏光された測定対象の光は偏光板2e2を通過し、スリット3a上に線状又は帯状に絞られた後、分光素子3bで分光され、検出手段4で検出される。
測定対象の光として、フェムト秒レーザーの基本波、波長変換素子によってフェムト秒レーザーを波長変換して得られるパルス出力、自己位相変調素子によってフェムト秒レーザーを自己位相変調して得られるフェムト秒白色光等とすることができる。
図8に示す構成例は、測定対象の光としてフェムト秒白色光の場合を示している。この場合には、図8に示す構成において、ミラー2c1と湾曲ミラー2c2との間に自己位相変調素子2dを設け、フェムト秒レーザーを自己位相変調して複数波長を備えるフェムト秒白色光を形成する。
フェムト秒レーザーを波長変換したパルス出力を測定対象とする場合には、図8に示す構成において、パラメトリック発振(OPO)やパラメトリック増幅(OPA)で波長変換したパルス出力を偏光板2e1に入射する。また、フェムト秒レーザーの基本波を測定対象とする場合には、図8に示す構成において自己位相変調素子2dを外し、レーザー光源2aからのレーザー光を偏光板2e1に入射する。
図9は、時間遅れ形成手段2iによる時間遅れの拡張及び光遅延時間の形成状態、及び発光の時間軸及び波長軸での検出状態を示している。図9において、測定パルス光は時間遅れ形成手段2iによって時間遅れを持たせると共に、時間遅れの時間幅を異ならせることによって時間幅を拡張して光遅延時間を形成しカー媒質2j上に集光させる。他方、ゲート光は図8における集光レンズ2j2によってカー媒質2j上の集光点に集光させる。
時間遅れ形成手段2iは、本発明の光学遅延素子10を用いて構成することができる。本発明の光学遅延素子10は、反射部11に設けた複数の各段部12に応じて異なる距離を有する複数の光路長を備える。時間遅れ形成手段2iに入射した測定パルス光は、反射部11の反射面13とビームスプリッタ20との間で往復する間に、異なる光路長によって出射時に時間差が形成され、カー媒質2jに集光するゲート光に光遅延時間を与える。例えば、長さ約5mm,幅約25mmの光学材に、各段の長さが約5μmで幅が約25μmのピクセルを約1000個形成して成る光学遅延素子10に、パルス幅が約150fs(フェムト秒)の測定パルス光を入射すると、空間的に約33ps(ピコ秒)の時間遅れが付いた測定パルス光が出射される。
この時間幅の拡張によって、測定パルス光に光学遅延素子10の図中の縦方向に沿って光遅延時間を与えることができる。図9において、光学遅延素子10の下端から出射される光は拡張されたパルス幅の初期の光に対応し、光学遅延素子10の上端から出射される光は拡張されたパルス幅の後期の光に対応する。
光学遅延素子10の縦方向に拡張された測定パルス光は、集光レンズ2j1によってカー媒質2j上に点状に集光される。カー媒質2j上に点状に集光した測定パルス光は光遅延時間に沿って形成される。
集光レンズ2j3は、光遅延時間に沿って広がる光をコリメートし、分光器及び検出器に導く。ここで、分光器が備えるスリット(図示していない)は、光遅延時間に沿って入射光を絞り、時間軸に線状に延びる光を分光する。
ゲート光が照射されていない場合には、測定対象の光の偏光軸は偏光板2e1と同方向であるため、これと垂直な偏光軸を持つ偏光板2e2を通過することはできない。一方、ゲート光が照射されている場合には、カー媒質2jのカー効果によって測定パルスの偏光軸が回転するため、測定対象の光は偏光板2e2を通過し分光器及び検出器に至る。ゲート光によってカー媒質2j上で偏光した測定対象の光は、光遅延時間に沿って延びた状態で偏光板2e2に至る。
ここで、分光器が備えるスリット(図示していない)に、光遅延時間に沿って入射光を絞り、時間軸に線状又は帯状に延びる光を分光する。検出手段4は、二次元検出器4aを用い、この二次元検出器の一方の軸方向(図中のx軸方向)を分光器の光遅延時間の時間軸に対応させ、他方の軸方向(図中のy軸方向)を分光器の波長軸に対応させ、分光した光を時間軸と波長軸の二次元で検出する。これによって、二次元検出器は、光遅延時間と波長の二つの測定要素について同時に測定することができ、検出された検出信号は、光遅延時間を実時間としてスペクトルを二次元で検出することができる。
[実時間分光装置について]
次に、本発明の光学遅延素子を用いた実時間分光装置の構成および動作について図10〜図17を用いて説明する。
図10,図11は、本発明の実時間分光装置の第1の形態の構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図であり、図12,図13は、本発明の実時間分光装置の第2の形態の構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図であり、図14,図15は、本発明の実時間分光装置の第3の形態の構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図であり、図16,図17は、本発明の実時間分光装置の第4の形態の構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図である。
実時間分光装置の第1の形態は、ゲート光を遅延し、発光およびゲート光を線状又は帯状に重ねて集光させる例であり、実時間分光装置の第2の形態は、発光を遅延し、発光およびゲート光を点状に重ねて集光させる例であり、実時間分光装置の第3の形態は、プローブ光を遅延し、プローブ光および励起光を点状に重ねて集光させる例であり、実時間分光装置の第4の形態は、プローブ光を遅延し、プローブ光および励起光を線状又は帯状に重ねて集光させる例である。
はじめに、実時間分光装置の第1の形態について説明する。
実時間分光装置の第1の形態は、測定対象の試料に励起光を照射して得られる発光(蛍光)現象の分光測定において、時間分解とスペクトル測定と同時に行うものであり、この一構成例について図10、図11を用いて説明する。
図10、図11は、本発明の実時間分光装置の第1の形態の構成を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図である。
図10において、本発明の実時間分光装置の第1の形態は、試料Sに励起光を照射し、この照射で励起した発光とゲート光とをカー媒質2jに照射する照射手段2と、照射光によってカー媒質2j上で偏光し通過した発光を時間軸及び波長軸に分光する分光手段3と、分光された時間軸及び波長軸の信号を二次元で検出する検出手段4を備える。
第1の形態の実時間分光装置1Cにおいて、カー媒質2jに対して発光とゲート光とを同じく線状又は帯状に集光する際、ゲート光又は発光をカー媒質2jに照射する前に、時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iに通し、この時間遅れの形成によって線状又は帯状の集光面に形成されるゲート光又は発光に光遅延時間を持たせ、これによって時間分解を行う。
図10に示す構成では、照射手段2は、光遅延時間を形成する構成としてカー媒質2jに照射する前のゲート光の光路上に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iを備える。時間遅れ形成手段2iを通したゲート光は円筒形レンズ2h2によって線状又は帯状に形成され、カー媒質2j上に照射される。一方、発光は円筒形レンズ2h1によって線状又は帯状に形成され、カー媒質2j上の発光部分に重ねて集光される。
この構成によって、湾曲ミラー2c2等の光学系でコリメートされた発光は、偏光板2e1で偏光された後、円筒形レンズ2h1によってカー媒質2j上に集光され、他方、ゲート光は時間遅れ形成手段2iによって時間遅れが形成された後にカー媒質2j上に集光される。この時間遅れ形成手段2iは、空間的に時間遅れを異ならせることによって、カー媒質2j上の発光に光遅延時間を持たせることができる。発光は、カー媒質2j上において、ゲート光の照射によるカー効果によって偏光角が回転した後、偏光板2e2を通過する。
時間遅れ形成手段2iで時間遅れが拡張されたゲート光が照射されたとき、偏光された発光は偏光板2e2を通過し、スリット3a上に線状又は帯状に絞られた後、分光素子3bで分光され、検出手段4で検出される。
図11は、時間遅れ形成手段2iによる時間遅れの拡張及び光遅延時間の形成状態、及び発光の時間軸及び波長軸での検出状態を示している。図11において、ゲート光は時間遅れ形成手段2iによって空間的に光遅延時間を形成しカー媒質2j上に集光させる。他方、測定対象の発光は図10における偏光板2e1を通過した後、図10における円筒形レンズ2h1によってカー媒質2j上の集光点に集光させる。
時間遅れ形成手段2iは、本発明の光学遅延素子10を用いて構成することができる。本発明の光学遅延素子10は、反射部11に設けた複数の各段部12に応じて異なる距離を有する複数の光路長を備える。時間遅れ形成手段2iに入射したパルス光は、反射部11の反射面13とビームスプリッタ20との間で往復する間に、異なる光路長によって出射時に時間差が形成され、カー媒質2jに集光するゲート光に光遅延時間を与える。例えば、長さ約5mm,幅約25mmの光学材に、各段の長さが約5μmで幅が約25μmのピクセルを約1000個形成して成る光学遅延素子10に、パルス幅が約150fs(フェムト秒)のゲート光を入射すると、空間的に約33ps(ピコ秒)の時間遅れがついたゲート光が出射される。
この時間幅の拡張によって、ゲート光に光学遅延素子10の図中の縦方向に沿って光遅延時間を与えることができる。図11において、光学遅延素子10の下端から出射される光は拡張されたパルス幅の初期の光に対応し、光学遅延素子10の上端から出射される光は拡張されたパルス幅の後期の光に対応する。
光学遅延素子10の図中の縦方向に拡張されたゲート光は、カー媒質2j上に線状又は帯状に集光される。カー媒質2j上に線状又は帯状に集光したゲート光は光遅延時間に沿って形成される。ゲート光が照射されていない場合には、発光の偏光軸は偏光板2e1と同方向であるため、これと垂直な偏光軸を持つ偏光板2e2を通過することはできない。一方、ゲート光が照射されている場合には、カー媒質2jのカー効果によってゲート光が照射された瞬間の発光の偏光軸が回転するため、発光は偏光板2e2を通過し分光器及び検出器に至る。ゲート光によってカー媒質2j上で偏光した発光は、光遅延時間に沿って延びた状態で偏光板2e2に至る。
ここで、分光器が備えるスリット(図示していない)に、光遅延時間に沿って入射光を絞り、時間軸に線状又は帯状に延びる光を分光する。検出手段4は、二次元検出器4aを用い、この二次元検出器の一方の軸方向(図中のx軸方向)を分光器の光遅延時間の時間軸に対応させ、他方の軸方向(図中のy軸方向)を分光器の波長軸に対応させ、分光した光を時間軸と波長軸の二次元で検出する。これによって、二次元検出器は、光遅延時間と波長の二つの測定要素について同時に測定することができ、検出された検出信号は、光遅延時間を実時間としてスペクトルを二次元で検出することができる。
次に、実時間分光装置の第2の形態について説明する。
実時間分光装置の第2の形態は、第1の形態と同様に、測定対象の試料に励起光を照射して得られる発光(蛍光)現象の分光測定において、時間分解とスペクトル測定と同時に行うものである。第1の形態は、発光と遅延したゲート光をカー媒質2j上に線状又は帯状に集光される構成であるのに対して、第2の形態は、ゲート光と遅延した発光をカー媒質2j上に点状に集光される構成である。この第2の形態の一構成例について図12、図13を用いて説明する。
図12、図13は、本発明の実時間分光装置の第2の形態の構成を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図である。
図12において、本発明の実時間分光装置の第2の形態は、試料Sに励起光を照射し、この照射で励起した発光とゲート光とをカー媒質2jに照射する照射手段2と、照射光によってカー媒質2j上で偏光し通過した発光を時間軸及び波長軸に分光する分光手段3と、分光された時間軸及び波長軸の信号を二次元で検出する検出手段4を備える。
第2の形態の実時間分光装置1Dにおいて、カー媒質2jに対して発光とゲート光とを点状に集光する際、発光をカー媒質2jに照射する前に、時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iに通し、この時間遅れの形成によって点状の集光面に形成される発光に光遅延時間を持たせ、これによって時間分解を行う。
図12に示す構成では、照射手段2は、光遅延時間を形成する構成としてカー媒質2jに照射する前の発光の光路上に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iを備える。時間遅れ形成手段2iを通した発光は集光レンズ2j1によって点状に形成され、カー媒質2j上に照射される。一方、ゲート光は集光レンズ2j2によって点状に形成され、カー媒質2j上の発光部分に重ねて集光される。
この構成によって、湾曲ミラー2c2等の光学系でコリメートされた発光は、偏光板2e1で偏光された後、時間遅れ形成手段2iによって時間遅れが形成され、集光レンズ2j1によってカー媒質2j上に集光される。他方、ゲート光は集光レンズ2j2によってカー媒質2j上に集光される。この時間遅れ形成手段2iは、空間的にカー媒質2j上の発光に光遅延時間を持たせることができる。発光は、カー媒質2j上において、ゲート光の照射によるカー効果によって偏光角が回転し時間分解された後、2j3によりコリメートされ、偏光板2e2を通過する。
偏光板2e2を通過した発光は、スリット3a上に線状又は帯状に絞られた後、分光素子3bで分光され、検出手段4で検出される。
図13は、時間遅れ形成手段2iによる時間遅れの拡張及び光遅延時間の形成状態、及び発光の時間軸及び波長軸での検出状態を示している。図13において、測定対象の発光は時間遅れ形成手段2iによって空間的に光遅延時間を形成しカー媒質2j上に集光させる。他方、ゲート光は図12における集光レンズ2j2によってカー媒質2j上の集光点に集光させる。
時間遅れ形成手段2iは、本発明の光学遅延素子10を用いて構成することができる。本発明の光学遅延素子10は、反射部11に設けた複数の各段部12に応じて異なる距離を有する複数の光路長を備える。時間遅れ形成手段2iに入射した発光は、反射部11の反射面13とビームスプリッタ20との間で往復する間に、異なる光路長によって出射時に時間差が形成され、カー媒質2jに集光する発光に光遅延時間を与える。例えば、長さ約5mm,幅約25mmの光学材に、各段の長さが約5μmで幅が約25μmのピクセルを約1000個形成して成る光学遅延素子10に、ある時間特性を持った発光が入射すると、空間的に約33ps(ピコ秒)の時間遅れがついた発光が出射される。
この時間遅れの拡張によって、発光に光学遅延素子10の図中の縦方向に沿って光遅延時間を与えることができる。図11において、光学遅延素子10の下端から出射される光は時間遅れの初期の発光に対応し、光学遅延素子10の上端から出射される光は時間遅れの後期の発光に対応する。
光学遅延素子10の図中の縦方向に拡張された発光は、カー媒質2j上に点状に集光される。カー媒質2j上に点状に集光した発光は光遅延時間に沿って形成される。ゲート光が照射されていない場合には、発光の偏光軸は偏光板2e1と同方向であるため、これと垂直な偏光軸を持つ偏光板2e2を通過することはできない。一方、ゲート光が照射されている場合には、カー媒質2jのカー効果によって発光の偏光軸が回転するため、発光は偏光板2e2を通過し分光器及び検出器に至る。ゲート光によってカー媒質2j上で偏光した発光は、光遅延時間に沿って延びた状態で偏光板2e2に至る。
ここで、分光器が備えるスリット(図示していない)に、光遅延時間に沿って入射光を絞り、時間軸に線状又は帯状に延びる光を分光する。検出手段4は、二次元検出器4aを用い、この二次元検出器の一方の軸方向(図中のx軸方向)を分光器の光遅延時間の時間軸に対応させ、他方の軸方向(図中のy軸方向)を分光器の波長軸に対応させ、分光した光を時間軸と波長軸の二次元で検出する。これによって、二次元検出器は、光遅延時間と波長の二つの測定要素について同時に測定することができ、検出された検出信号は、光遅延時間を実時間としてスペクトルを二次元で検出することができる。
実時間分光装置の第3の形態は、有機化学物質や生体系で行われる光重合、光分解、光合成等の光化学反応や、半導体中の光励起による光誘起現象の解析において、時間分解とスペクトル測定と同時に行うものであり、この一構成例について図14〜図17を用い説明する。
図14,図15は第3の形態の一構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図である。
図14において、本発明の実時間分光装置の第3の形態は、試料Sに励起光とプローブ光とを照射する照射手段2と、試料Sから得られるプローブ透過光又は反射光を時間軸及び波長軸に分光する分光手段3と、分光された時間軸及び波長軸の信号を二次元で検出する検出手段4を備える。
この第3の形態の実時間分光装置1Eは、試料Sに対して励起光とプローブ光とを点状に集光するものであり、この際、プローブ光は照射前に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iを通し、この時間遅れの形成によって点状の集光面に形成されるプローブ光に光遅延時間を持たせ、これによって時間分解を行う。
第3の形態は、集光面の点状光を光遅延時間の方向に展開し、展開した光を分光して波長成分を測定することによって、時間分解とスペクトル測定を同時に行う態様であり、この第3の形態によれば、試料上の一点において測定することができるため、試料の位置によって特性の相違がある不均一な試料の場合には特に有効に機能し、次の第4の態様のように、照射光の集光位置が異なることによって生じる測定データに含まれる不均一性を防ぐことができる。
第3の形態の照射手段2は、試料Sに対して励起光とプローブ光とを点状に集光する構成として、励起光を試料S上に集光する集光レンズ2j2、及びプローブ光を試料S上に集光する集光レンズ2j1を備え、光遅延時間を形成する構成として試料Sに照射する前のプローブ光の光路上に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iを備え、集光面の点状光を光遅延時間の方向に展開する構成として、試料Sと分光手段3との間にコリメート用レンズ2j3を備える。
この構成によって、コリメートされた励起光は集光レンズ2j2によって試料S上に集光され、湾曲ミラー2c2等の光学系でコリメートされたフェムト白色光は、時間遅れ形成手段2iによって光遅延時間が形成された後、集光レンズ2j1によって試料S上に点状に集光される。この時間遅れ形成手段2iは、空間的に試料S上の集光点でのプローブ光に光遅延時間を持たせる。
この励起光で励起され、光遅延時間を有するプローブ光によって取り出された測定光は、分光手段3のスリット3a上に線状に絞られた後、分光素子3bで分光され、検出手段4で検出される。
図15は、時間遅れ形成手段2iによる時間遅れの形成及び光遅延時間の形成状態、及び試料Sから得られる測定光の時間軸及び波長軸での検出状態を示している。図15において、励起光は図示しない集光レンズによって試料S上の集光点に集光させ、他方、プローブ光は、時間遅れ形成手段2iによって空間的に時間遅れを形成させ、集光レンズ2j1によって試料S上に集光させる。
時間遅れ形成手段2iは、本発明の光学遅延素子10を用いて構成することができる。本発明の光学遅延素子10は、反射部11に設けた複数の各段部12に応じて異なる距離を有する複数の光路長を備える。時間遅れ形成手段2iに入射したプローブ光は、反射部11の反射面13とビームスプリッタ20との間で往復する間に、異なる光路長によって出射時に時間差が形成され、励起光とともに試料Sに集光される。例えば、長さ約5mm,幅約25mmの光学材に、各段の長さが約5μmで幅が約25μmのピクセルを約1000個形成して成る光学遅延素子10に、パルス幅が約150fs(フェムト秒)のプローブ白色光を入射すると、空間的に約33ps(ピコ秒)の時間遅れがついたプローブ白色光が出射される。
この時間幅の拡張によって、プローブ光に光学遅延素子10の図中の縦方向に沿って光遅延時間を与えることができる。図15において、光学遅延素子10の下端から出射される光は拡張されたパルス幅の初期の光に対応し、光学遅延素子10の上端から出射される光は拡張されたパルス幅の後期の光に対応する。
光学遅延素子10の図中の縦方向に遅延されたプローブ光は、集光レンズ2j1によって、励起光が集光されている試料S上の点に集光される。試料S上の点に集光したプローブ光は再び光遅延時間に沿って広がる。集光レンズ2j3は、光遅延時間に沿って広がる光をコリメートし、分光器及び検出器に導く。ここで、分光器が備えるスリット(図示していない)は、光遅延時間に沿って入射光を絞り、時間軸に線状に延びる光を分光する。
検出手段4は、二次元検出器4aを用い、この二次元検出器の一方の軸方向(図中のx軸方向)を分光器の光遅延時間の時間軸に対応させ、他方の軸方向(図中のy軸方向)を分光器の波長軸に対応させ、分光した光を時間軸と波長軸の二次元で検出する。これによって、二次元検出器は、光遅延時間と波長の二つの測定要素について同時に測定することができ、検出された検出信号は、光遅延時間を実時間としてスペクトルを二次元で検出することができる。
次に、本発明の実時間分光装置の第4の形態の構成例について説明する。図16,図17は、構成例を説明するための概略図、および分光を説明するための概略図である。
図16において、本発明の第4の形態の構成例の実時間分光装置1Fは、試料Sに励起光とプローブ光とを照射する照射手段2と、試料Sから得られるプローブ透過光及び反射光を時間軸及び波長軸に分光する分光手段3と、分光された時間軸及び波長軸の信号を二次元で検出する検出手段4を備える。
この構成例は、試料Sに対して励起光とプローブ光とを同じく線状に集光するものであり、この際、プローブ光は照射前に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段を通し、この時間遅れの形成によって線状の集光面に形成されるプローブ光に光遅延時間を持たせ、これによって時間分解を行う態様である。
この第4の態様では、時間遅れを形成する光はプローブ光のみである。
以下では、プローブ光を時間遅れ形成手段2iに通すことによって励起光に時間遅れを形成する構成について説明する。
照射手段2は、光遅延時間を形成する構成として試料Sに照射する前のプローブ光の光路上に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段2iを備える。時間遅れ形成手段2iを通したプローブ光を円筒形レンズ2h2によって線状に形成し、試料S上に照射される励起光に重ねて集光する。
この構成によって、プローブ光は時間遅れ形成手段2iによって時間遅れが形成された後、円筒形レンズ2h2によって線状に形成され、試料S上に集光される。この時間遅れ形成手段2iは、形成する時間遅れの幅を異ならせることによって、試料S上の集光点でのプローブ光に光遅延時間を持たせることができる。
励起光で励起され、光遅延時間を有するプローブ光によって試料Sから取り出された測定光は、分光手段3のスリット3a上に線状に絞られた後、分光素子3bで分光され、検出手段4で検出される。
図17は、時間遅れ形成手段2iによる時間遅れの形成及び光遅延時間の形成状態、及び試料Sから得られる測定光の時間軸及び波長軸での検出状態を示している。図17において、励起光は、試料S上に集光させ、他方、プローブ光は、時間遅れ形成手段2iによって時間遅れを形成させると共に、形成する時間遅れの幅を異ならせた後、試料S上に線状に集光させる。
時間遅れ形成手段2iは、前記した構成と同様に本発明の光学遅延素子10を用いることができ、形成された時間遅れは、プローブ光に光学遅延素子10の図中の縦方向に沿って光遅延時間を与える。図17において、光学遅延素子10の下端から出射される光は遅延されたプローブ光の初期の光に対応し、光学遅延素子10の上端から出射される光はプローブ光の後期の光に対応する。
光学遅延素子10の高さ方向に遅延されたプローブ光は、円筒形レンズ2h2によって、励起光が集光されている試料S上の点に線状に集光される。分光器が備えるスリットは、光遅延時間に沿って入射光を絞り、時間軸に線状に延びる光を分光する。検出手段4は、前記構成例と同様に、二次元検出器4aを用い、この二次元検出器の一方の軸方向(図中のx軸方向)を分光器の時間軸に対応させ、他方の軸方向(図中のy軸方向)を分光器の波長軸に対応させ、分光した光を時間軸と波長軸の二次元で検出する。これによって、二次元検出器は、光遅延時間と波長の二つの測定要素について同時に測定することができ、検出された検出信号は、光遅延時間を実時間としてスペクトルを二次元で検出することができる。
図16,図17の構成例によれば、プローブ光及び/又は励起光の入射角度を調整することによって、測定する時間幅を調整することができる。また、図14,図15の構成例によれば、試料上に一点に励起光及びプローブ光を集光することによって、試料上の一点の測定データを得ることができ、試料の位置による不均一性を除くことができ、位置によって特性や状態が異なる試料や、微小な試料や分析領域に適用することができる。
また、本発明の実時間分光装置によれば、分光測定において、時間分解とスペクトル測定を同時に行うことによって、測定時間を短縮することができる。また、長時間測定によるレーザーの不安定性や、長時間のレーザー照射による試料の劣化の問題を解決し、安定したレーザー状態で測定することができ、また、レーザー照射による試料の劣化を最小限に抑えることができる。
本発明の光パルス計測装置は、シングルショット・オートコリレータ、FROG、SPIDER等に代わる計測装置として用いることができる。
本発明の光学遅延素子の第1の構成例を説明するための図である。 本発明の光学遅延素子の第2の構成例を説明するための図である。 本発明の光学遅延素子の第3の構成例を説明するための図である。 本発明の光学遅延素子の第4の構成例を説明するための図である。 本発明の光パルス計測装置の第1の形態の構成例を説明するための概略図である。 本発明の光パルス計測装置の第1の形態の構成例による分光を説明するための概略図である。 光遅延時間とスペクトルの二次元イメージングの一例を示す図である。 本発明の光パルス計測装置の第2の形態の構成例を説明するための概略図である。 本発明の光パルス計測装置の第2の形態の構成例による分光を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第1の形態の構成を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第1の形態の構成による分光を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第2の形態の構成を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第2の形態の構成による分光を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第3の形態の構成を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第3の形態の構成による分光を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第4の形態の構成を説明するための概略図である。 本発明の実時間分光装置の第4の形態の構成による分光を説明するための概略図である。
符号の説明
1A 光パルス計測装置
1B 光パルス計測装置
1C 実時間分光装置
1D 実時間分光装置
1E 実時間分光装置
1F 実時間分光装置
2a レーザー光源
2b ミラー
2c1 ミラー
2c2 湾曲ミラー
2d 自己位相変調素子
2e1 偏光板
2e2 偏光板
2h1 円筒形レンズ
2h2 円筒形レンズ
2i 遅延時間形成手段
2j カー媒質
2j1 集光レンズ
2j2 集光レンズ
2j3 集光レンズ
3 分光手段
3a スリット
3b 分光素子
4 検出手段
4a 二次元検出器
10 光学遅延素子
10A 光学遅延素子
10B 光学遅延素子
10C 光学遅延素子
10D 光学遅延素子
11 反射部
11a 反射部
11b 反射部
12 段部
13 反射面
14 グレーティング部
20 ビームスプリッタ
20a ビームスプリッタ
20b ビームスプリッタ
100 入射平面
101 反射平面

Claims (12)

  1. 入射光の入射位置に応じて遅延時間が異なる出射光を形成する光学遅延素子であって、
    複数の段部と、当該段部の面の内で少なくとも前記入射光側の面に設けた反射面とを有する反射部を備え、
    前記反射部において、
    入射光に対して垂直な入射面と前記各段部の反射面との間の光路長、および前記各段部の反射面と出射光に対して垂直な出射面との間の光路長を段部毎に異ならせ、
    当該光路長の光路差によって各段部の反射面で反射された反射光の遅延時間に時間差を形成することを特徴とする、光学遅延素子。
  2. 入射光の入射位置に応じて遅延時間が異なる出射光を形成する光学遅延素子であって、
    光路上にビームスプリッタと反射部とを配置し、
    前記ビームスプリッタは、入射光を前記反射部側に透過し、前記反射部で反射し反射光を前記入射光と異なる方向に反射する選択的な透過反射面を備え、
    前記反射部は、前記ビームスプリッタの透過反射面の内の反射面と対向する側に複数の段部が順次形成された階段状部と、当該階段状部の段部の面の内で少なくとも前記透過反射面と対向する面に設けられた反射面とを備え、
    前記反射部において、
    入射光に対して垂直な入射面と前記各段部の反射面との間の光路長、および前記各段部の反射面と出射光に対して垂直な出射面との間の光路長を段部毎に異ならせ、
    当該光路長の光路差によって各段部の反射面で反射された反射光の遅延時間に時間差を形成することを特徴とする、光学遅延素子。
  3. 前記段部は、当該段部の反射面に対して入射光を所定の入射角で入射し、反射光を当該反射面に対して所定の反射角で反射し、前記入射光と異なる光路上に出射させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学遅延素子。
  4. 前記段部は、当該段部の反射面に対して入射光を垂直に入射し、反射光を当該反射面に対して垂直に反射させ、前記入射光と同じ光路上を逆方向に出射させることを特徴とする、請求項2に記載の光学遅延素子。
  5. 前記反射面は、段部の表面に所定波長範囲の光を反射するコーティングにより形成されることを特徴とする、請求項1から4の何れか一つに記載の光学遅延素子。
  6. 前記コーティングは誘電体コーティングであることを特徴とする、請求項5に記載の光学遅延素子。
  7. 前記コーティングは金、銀、あるいはアルミの何れかのコーティングであることを特徴とする、請求項5に記載の光学遅延素子。
  8. 前記ビームスプリッタと前記反射部とをペアとし、
    前記ペアを複数組み備え、当該複数の組みのペアを同一光路上に配置することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の光学遅延素子。
  9. 光パルスとゲート光とを重なるようにカー媒質に照射し、当該照射によりカー媒質上において光遅延時間を有して偏光された光パルスを、当該カー媒質上の一次元方向を時間軸として展開する照射手段と、
    前記ゲート光の照射によってカー媒質上に一次元方向に展開された光遅延時間を有する光パルスを分光する分光手段と、
    前記分光を検出する検出手段とを備え、
    前記照射手段は、光パルスを偏光する偏光板と、前記請求項1から8のいずれか一つに記載の光学遅延素子を有する時間遅れ形成手段とを備え、
    前記時間遅れ形成手段は前記光学遅延素子によって光パルス又はゲート光に時間遅れを形成し、
    前記分光手段は、カー媒質上の一次元方向を光遅延時間の時間軸とし、各光遅延時間の各波長を波長軸とする二次元に分光し、前記光遅延時間の時間幅の実時間で分光し、前記検出手段は前記分光手段による分光を検出することを特徴とする、光パルス計測装置
  10. 前記照射手段は、フェムト秒レーザーの基本波、波長変換素子によってフェムト秒レーザーを波長変換して得られるパルス出力、自己位相変調素子によってフェムト秒レーザーを自己位相変調して得られるフェムト秒白色光の何れか一つを光パルスとして照射し、
    前記光学遅延素子は、反射面に形成するコーティングの波長域を、前記光パルスの波長域に応じて選択することを特徴とする、請求項9に記載の光パルス計測装置。
  11. 励起光の照射によって試料から得られる発光とゲート光とを重なるようにカー媒質に照射し、当該照射によりカー媒質上において光遅延時間を有して偏光された発光を、当該カー媒質上の一次元方向を時間軸として展開する照射手段と、
    前記ゲート光の照射によってカー媒質上に一次元方向に展開された光遅延時間を有する発光を分光する分光手段と、
    前記分光を検出する検出手段とを備え、
    前記照射手段は、前記請求項1から8のいずれか一つに記載の光学遅延素子を用いて前記発光及び/又はゲート光に時間遅れを形成する時間遅れ形成手段と、
    前記時間遅れ形成手段を通過した発光及び/又はゲート光を線状又は帯状に形成しカー媒質上に垂直に照射する光学系とを備え、
    前記分光手段は、カー媒質上で偏光した発光を前記光遅延時間の時間軸に線状又は帯状に展開する光学系とを備え、
    カー媒質上の一次元方向を光遅延時間の時間軸とし、各光遅延時間の各波長を波長軸とする二次元に分光し、前記光遅延時間の時間幅の実時間で分光することを特徴とする、実時間分光装置。
  12. 複数の波長を含むフェムト秒白色光のプローブ光及び特定波長パルス光の励起光とを試料に重ねて照射する照射手段と、
    前記照射によって試料から得られる透過光又は反射光を時間軸及び波長軸の二次元に分光する分光手段と、
    前記二次元の分光を二次元的に検出する検出手段と、
    前記請求項1から8のいずれか一つに記載の光学遅延素子を用いて光遅延時間を形成する時間遅れ形成手段を前記励起光路上に配置して備え、
    前記時間遅れ形成手段は前記光学遅延素子によって前記プローブ光及び/又は励起光に試料面上において光遅延時間を形成し、
    前記分光手段は、当該光遅延時間を前記時間軸として分光し、
    当該光遅延時間の時間幅を実時間で分光することを特徴とする、実時間分光装置。
JP2008304631A 2008-11-28 2008-11-28 光学遅延素子および光パルス計測装置 Pending JP2010127831A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008304631A JP2010127831A (ja) 2008-11-28 2008-11-28 光学遅延素子および光パルス計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008304631A JP2010127831A (ja) 2008-11-28 2008-11-28 光学遅延素子および光パルス計測装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010127831A true JP2010127831A (ja) 2010-06-10

Family

ID=42328330

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008304631A Pending JP2010127831A (ja) 2008-11-28 2008-11-28 光学遅延素子および光パルス計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010127831A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106092340A (zh) * 2016-07-18 2016-11-09 北京大学 基于脉冲模板函数的光纤传感阵列的脉冲延时测量方法
CN109900359A (zh) * 2019-03-06 2019-06-18 中国科学院上海光学精密机械研究所 一种超短脉冲的高动态范围信噪比测量装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61501875A (ja) * 1984-04-13 1986-08-28 ベツクマン インスツルメンツ インコ−ポレ−テツド ミラ−整列制御装置および制御されたレ−ザ干渉計におけるirビ−ム最大化装置
JPH11142243A (ja) * 1997-11-13 1999-05-28 Yokogawa Electric Corp 干渉計及びこれを用いたフーリエ変換型分光装置
JP2003194713A (ja) * 2001-12-25 2003-07-09 Yokohama Tlo Co Ltd 実時間イメージング分光方法及び実時間イメージング分光装置
JP2003194719A (ja) * 2001-12-25 2003-07-09 Yokohama Tlo Co Ltd 実時間イメージング分光方法及び実時間イメージング分光装置
JP2008051674A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 位置決め機構
JP2008521011A (ja) * 2004-11-18 2008-06-19 モーガン・リサーチ・コーポレーション 小型のフーリエ変換分光計

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61501875A (ja) * 1984-04-13 1986-08-28 ベツクマン インスツルメンツ インコ−ポレ−テツド ミラ−整列制御装置および制御されたレ−ザ干渉計におけるirビ−ム最大化装置
JPH11142243A (ja) * 1997-11-13 1999-05-28 Yokogawa Electric Corp 干渉計及びこれを用いたフーリエ変換型分光装置
JP2003194713A (ja) * 2001-12-25 2003-07-09 Yokohama Tlo Co Ltd 実時間イメージング分光方法及び実時間イメージング分光装置
JP2003194719A (ja) * 2001-12-25 2003-07-09 Yokohama Tlo Co Ltd 実時間イメージング分光方法及び実時間イメージング分光装置
JP2008521011A (ja) * 2004-11-18 2008-06-19 モーガン・リサーチ・コーポレーション 小型のフーリエ変換分光計
JP2008051674A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 位置決め機構

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106092340A (zh) * 2016-07-18 2016-11-09 北京大学 基于脉冲模板函数的光纤传感阵列的脉冲延时测量方法
CN106092340B (zh) * 2016-07-18 2019-03-01 北京大学 基于脉冲模板函数的光纤传感阵列的脉冲延时测量方法
CN109900359A (zh) * 2019-03-06 2019-06-18 中国科学院上海光学精密机械研究所 一种超短脉冲的高动态范围信噪比测量装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7405175B2 (ja) 光測定用光源装置、分光測定装置及び分光測定方法
JP4790560B2 (ja) 単発テラヘルツ波時間波形計測装置
JPS6093926A (ja) 分光測定における識別法
JP6997779B2 (ja) 音響共鳴分光測定方法及びシステム
JP2012237714A (ja) 非線形ラマン分光装置、顕微分光装置及び顕微分光イメージング装置
KR102444284B1 (ko) 라만 신호 측정 방법, 장치 및 라만 신호 측정 장치를 포함하는 생체 정보 분석 장치
EP1865299B1 (en) Method and device for fs laser pulse characterization
KR20030087022A (ko) 새로운 측정 기술
EP3438730A1 (en) Pulse light generation device, light irradiation device, optical processing device, optical response measurement device, microscope device, and pulse light generation method
EP3376207B1 (en) Optical test apparatus
US6204926B1 (en) Methods and system for optically correlating ultrashort optical waveforms
JP2010133842A (ja) 非線形ラマン散乱光測定装置およびそれを用いた内視鏡装置ならびに顕微鏡装置
JP2010127831A (ja) 光学遅延素子および光パルス計測装置
JP7147657B2 (ja) 広帯域パルス光源装置、分光測定装置及び分光測定方法
JP3691813B2 (ja) 非線形ラマン分光方法及び装置
JP2006220600A (ja) 光熱変換測定装置及びその方法
WO2014125775A1 (ja) 赤外光スペクトル計測装置及び方法
JP3962777B2 (ja) 実時間分光装置
JP5001226B2 (ja) 光熱変換測定装置及び方法
JP3799546B2 (ja) 実時間イメージング分光方法及び実時間イメージング分光装置
JP2007093427A (ja) 分析装置
JP4955863B2 (ja) 和周波発生分光装置および方法
US20190033131A1 (en) Noise reduction apparatus and detection apparatus including the same
JP6103008B2 (ja) 非線形ラマン分光装置、顕微分光装置及び顕微分光イメージング装置
US11781978B2 (en) Spectroscopic measurement device

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111111

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20130902

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20140507

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02