JP2010125428A - 多孔板、及び多孔板を用いた粒状物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円錐部とこれに連結する管状部とを有する漏斗状の孔を複数有する多孔板であって、該管状部の直径(D)に対する該管状部の長さ(L)の比(L/D)が0.05〜0.8であり、かつ該円錐部の頂部角度が5〜50°であることを特徴とする多孔板。
【選択図】図1
Description
固体粒状物の製法として、常温で固体である物質を溶融させた後にノズルを介して液状で吐出させて液滴(液体粒状物のことを以下「液滴」と呼ぶことがある)とし、該液滴を冷却、固化させることにより固体粒状物を得る方法等が知られている。その際、粒径分布が広い固体粒状物は流動性が悪くなる他、固体粒状物のうち粒径が大きいものは強度が弱い傾向がある。その為、搬送装置内や搬送装置から他の装置へ製品を移送する際に固体粒状物が粉化することにより、搬送装置内で閉塞を起こしたり、あるいは他の装置への移送の際に粉塵が発生する等の問題がある。
また、長さ2mm〜100mmの複数のノズル管を取り付けたノズル盤を使用する方法も知られている(特許文献2)。しかしながら、複数のノズル管を取り付けたノズル盤は、その製作が煩雑になるという問題があった。
即ち、本発明の要旨は、円錐部とこれに連結する管状部とを有する漏斗状の孔を複数有する多孔板であって、該管状部の直径(D)に対する該管状部の長さ(L)の比(L/D)が0.05〜0.8であり、かつ該円錐部の頂部角度が5〜50°であることを特徴とする多孔板に存する。
多孔板とは、金属板に複数の孔を設けたもので、通常、金属板の厚さは数mm程度である。
図1に、多孔板の一例として、多孔板1の縦断面図を示す。多孔板1には複数の孔2が設けられているが、必要により、多孔板1を固定するためのボルトの挿通孔3が設けられる。本願発明の効果が得られれば円錐部とこれに連結する管状部を有する限り、孔の形状に特に制限はないが、加工のし易さなどから本願発明の多孔板は管状部の横断面形状が円形の孔を有している。
尚、直径1mm以下の粒径の小さな粒状物を得るという観点からは、管状部6の直径(D)は、通常0.5mm以上、好ましくは0.6mm以上、一方、通常1.0mm以下、好ましくは0.8mm以下である。この場合、管状部6の長さ(L)は、通常0.025mm以上、好ましくは0.10mm以上、更に好ましくは0.15mm以上、一方、通常0.50mm以下、好ましくは0.40mm以下、更に好ましくは0.30mm以下である。
本発明の粒状物の製造方法は、上記本発明の多孔板を用いて該多孔板の孔の管状部から液体を吐出させることにより粒状物を製造する。特に液体として、常温で固体の物質で、かつ加熱により溶融され多孔板の孔から吐出可能な流動状態を有しているものを用い、固体粒状物を製造するのに適している。この場合、加熱状態の液体を孔から吐出し、本発明の多孔板を用いて液体の粒状物を製造し、さらに冷却することにより固化させて固体の粒状物を製造することとなる。尚、加熱温度は物質が大きく変質しない程度であれば特に限定されず、常温で固体状態の物質が溶融して液状となり、本発明の多孔板の孔から吐出して液滴を形成可能な温度であれば良く、好ましくは、下記に示す液体の粘度や表面張力になるような温度である。
粒状物の粒径は特に限定されず、所望の粒径の粒状物を得ることができる。粒状物の粒径は主に孔の直径によって決まるが、好ましくは0.1〜6mm程度、更に好ましくは0.5〜3mm程度である。
<液1の調製>
カルボキシメチルセルロースナトリウム( 和光純薬社製 ) 7.6gを蒸留水2042gに溶解し、更に、画像解析がしやすいように着色成分を添加して常温での液粘度7mPa・sの液1を調製した。粘度は東京計器社製のBL型粘度計により測定した。また、液1の表面張力は73mN/mであった。
カルボキシメチルセルロースナトリウム( 和光純薬社製 ) 13.0gを蒸留水2516gに溶解し、更に、画像解析がしやすいように着色成分を添加して常温での液粘度14mPa・sの液2を調製した。粘度の測定は液1と同様の方法で行った。また、液2の表面張力は75mN/mであった。
エチレングリコール(工業用)3350gと蒸留水1400gを混合し、更に、画像解析がしやすいように着色成分を添加して常温での液粘度7mPa・sの液3を調製した。また、粘度の測定は液1と同様の方法で行った。また、液3の表面張力は45mN/mであった。
エチレングリコール(工業用)に、画像解析がしやすいように着色成分を添加し液4を得た。液4の常温での液粘度は19mPa・sであり、表面張力は41mN/mであった。
尚、液1〜4の表面張力の測定方法は、滴数計B型(JIS基準品)にて一定容量の落下液滴数を測定し、標準溶液として水を用いて下記式にて算出した。
σ : 液の表面張力
n : 液の液滴数
n0 : 標準溶液(水)の液滴数
σ0 : 標準溶液(水)の表面張力
上記方法により調製した液を図3(模式図)に示すような装置を用いて吐出させ評価した。図3に示す装置は、孔を3個有する多孔板1と、多孔板1を支える支持体7、タンクAから液を供給するラインFとラインFの途中に設置した流量計B、タンクAを加圧する為に使用する空気ラインGとタンク圧力調整バルブEからなる。液を仕込んだタンクAを空気にて加圧することにより、タンクAに収容された液をラインFを介して常温で多孔板1の孔から吐出させて、液滴8を形成させた。孔からの液の吐出速度は、タンク圧力調整バルブEによって調整し、流量計Bにて計測した流量値と多孔板1の孔の管状部断面積から求めた。孔から吐出され、落下する液滴の様子をカメラで写真撮影して画像解析を行った。画像解析は、KEYENCE社製の粒子解析アプリケーションVH−H1G1を使用して行い、150個以上の液滴について画像解析で得られた液滴の直径から粒径分布を求めた。撮影条件は、シャッタースピード1/8000秒、絞り値5.6とした。
液滴の粒径分布(直径の分布)を、横軸が液滴の直径、縦軸が全液滴体積に対する累積液滴体積の割合(%)となる累積曲線として示し、累積曲線の累積値が10%にあたる直径値(Dp10)と90%にあたる直径値(Dp90)を読み取り、Dp90からDp10を引いた差を粒径分布とした。粒径分布の値が小さいほど分布範囲が狭いことを示す。
図3の装置において、多孔板1として管状部の直径(D)0.72mm、円錐部の頂部角度(C)30°、管状部の長さ(L)0.20mmの孔を3個有する多孔板1を用い、孔から液1を吐出速度4.0m/sにて吐出させた。撮影した液滴の直径から求めた粒径分布(Dp90−Dp10)は0.5mmとなり粒径分布が狭い液滴が形成されたことが確認された。
(実施例2)
孔の管状部の直径(D)及び孔からの液1の吐出速度を表1に示す数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
孔の管状部の直径(D)、円錐部の頂部角度(C)及び孔からの液1の吐出速度を表1に示す数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
(実施例4)
液1を液2に変え、孔からの液2の吐出速度を表1に数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
液1を液3に変え、孔からの液3の吐出速度を表1に数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
(実施例6)
液1を液4に変え、孔からの液4の吐出速度を表1に数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
孔の円錐部の頂部角度(C)、及び孔からの液1の吐出速度を表1に示す数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)
孔の管状部の長さ(L)、及び孔からの液1の吐出速度を表1に示す数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
孔の管状部の直径(D)、及び管状部の長さ(L)を表1に示す数値に変え、円錐部を有さない孔から液1を吐出速度4.2m/sにて吐出させた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
(比較例4)
孔の管状部の長さ(L)、円錐部の頂部角度(C)及び孔からの液1の吐出速度を表1に示す数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
(比較例5)
孔の管状部の直径(D)、管状部の長さ(L)及び孔からの液1の吐出速度を表1に示す数値に変えた他は、実施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。
実施例1の液を変えた実施例4〜6(液の粘度及び/又は表面張力を変更)においても、粒径分布が狭い液滴が形成されていることがわかる。
2 孔
3 ボルトの挿通孔
4 入口円柱部
5 円錐部
6 管状部
7 支持体
8 液滴
A タンク
B 流量計
C 円錐部の頂部角度
D 管状部の直径
E タンク圧力調整バルブ
F タンクから液体を供給するライン
G 空気ライン
L 管状部の長さ
Claims (6)
- 円錐部とこれに連結する管状部とを有する漏斗状の孔を複数有する多孔板であって、該管状部の直径(D)に対する該管状部の長さ(L)の比(L/D)が0.05〜0.8であり、かつ該円錐部の頂部角度が5〜50°であることを特徴とする多孔板。
- 前記管状部の長さ(L)が0.005〜4.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔板。
- 液体を吐出させて粒状物を製造する方法において、請求項1又は2に記載の多孔板を用い、該多孔板の孔の管状部から液体を吐出させることを特徴とする粒状物の製造方法。
- 前記液体の粘度が1〜25mPa・sであることを特徴とする請求項3に記載の粒状物の製造方法。
- 前記多孔板の孔の管状部からの液体の吐出速度が0.5〜7m/sであることを特徴とする請求項3又は4に記載の粒状物の製造方法。
- 前記液体の表面張力が20〜90mN/mであることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の粒状物の製造方法。
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