JP2010124335A - 撮像装置およびこれを用いたビデオカメラ - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化に伴う結像位置の変動を小さくして、良好なる結像性能を維持することが可能な撮像装置およびこれを用いたビデオカメラを提供する。
【解決手段】撮像装置は、物体側から撮像素子側に向かって順に第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、第5レンズ群の5群構成からなり、プラスチックレンズと、筒状の保持鏡筒とを備えている。プラスチックレンズは、第3レンズ群に配置されており、正の屈折力を有し、屈折率の温度係数が負である。保持鏡筒は、一方の端部近傍に第3レンズ群を保持し、他方の端部に撮像素子を保持している。そして、上記撮像装置は、所定の温度変化に対する第3レンズ群における結像位置の変動量と所定の温度変化に対する保持鏡筒の伸縮量とが一致するように構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は温度補償機能を有する撮像装置およびこれを用いたビデオカメラに関する。
従来、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の光学系においては、高変倍用のレンズ群として、物体側から順に、正、負、正、正の屈折力を持った4群構成の方式や、正、負、正、負、正の屈折力を持つ5群構成の方式が良く知られている。一方、低コスト化を図るために、レンズの材料として、プラスチックがよく用いられている。
例えば、特許文献1では、5枚のプラスチックレンズを用いて20倍の変倍比が達成されている。凸レンズおよび凹レンズをプラスチックレンズで組み合わせ、最適なパワー配置および配置をすることにより、温度変化に基づく焦点距離の変化をキャンセルして、全系での温度変化による焦点位置の変化量を小さくしている。
しかしながら、プラスチックレンズは、ガラスレンズと比べて屈折率が低いので、コンパクトな光学系に用いようとするとペッツバール和を小さく抑えるのが難しく、像面特性が維持できない等の問題点がある。
また、特許文献2では、筆者らが、物体側より順に、正、負、正、正の屈折力を持った4群構成の方式において、プラスチックレンズを用いた実施例を示している。
しかしながら、その変倍比は20倍に留まっている。
特開2000−305014号公報 特開2003−248171号公報
最近、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ用の撮像装置には、小型で高変倍かつ高性能なものが求められている。また、高性能を維持するためには、温度変化による影響を回避することが必要不可欠である。
本発明は、温度変化に伴う結像位置の変動を小さくして、良好なる結像性能を維持することが可能な撮像装置およびそれを用いたビデオカメラを提供することを目的とする。
第1の発明に係る撮像装置は、物体側から撮像素子側に向かって順に第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、第5レンズ群の5群構成からなる撮像装置であって、プラスチックレンズと、筒状の保持鏡筒とを備えている。プラスチックレンズは、第3レンズ群に配置されており、正の屈折力を有し、屈折率の温度係数が負である。保持鏡筒は、一方の端部近傍に第3レンズ群を保持し、他方の端部に撮像素子を保持している。そして、上記撮像装置は、所定の温度変化に対する第3レンズ群における結像位置の変動量と所定の温度変化に対する保持鏡筒の伸縮量とが一致するように構成されている。
なお、ここでいう「結像位置の変動量」と「保持鏡筒の伸縮量」とは、光軸方向における変動量、伸縮量を意味する。また、ここでいう「変動量と伸縮量とが一致する」とは、実用上殆ど問題にならない範囲の差を有している場合も含まれる。
ここでは、第3レンズ群にプラスチック製のプラスチックレンズを配置している。そして、主に、第3レンズ群において発生する温度変化による結像位置の変動に対する対策を施している。
従来より、非球面を形成するための手段としてプラスチックレンズが用いられている。しかし、プラスチックレンズは、温度変化による影響を受けやすいという問題点を有している。このため、温度変化により焦点位置が変化し、本来焦点とすべき位置(撮像素子内の所定位置)に焦点を合わせることができなくなるという問題がある。
そこで、本発明の撮像装置では、筒状の保持鏡筒の一方の端部に第3レンズ群を配置し、他方の端部に撮像素子を配置し、所定の温度変化に対する第3レンズ群における結像位置の変動量と所定の温度変化に対する保持鏡筒の伸縮量とが一致するように構成している。
これにより、プラスチックレンズを含む第3レンズ群における結像位置が温度変化によって変動しても、所定の線膨張係数を有する保持鏡筒が上記温度変化によって結像位置の変動量と同じ量の伸縮をするので、結像位置の変動量を保持鏡筒の伸縮量により相殺することができる。言い換えれば、焦点位置の変動に対して、保持鏡筒の伸縮によって保持鏡筒の端部に配置された撮像素子の位置も変化するので、焦点とすべき位置(撮像素子内における所定位置)に対する焦点距離の相対位置を一定に保つことが可能となる。
この結果、温度変化に伴う結像位置の変動を小さくして、良好なる結像性能を維持することが可能となる。
第2の発明に係る撮像装置は、第1の発明に係る撮像装置であって、第3レンズ群におけるプラスチックレンズの焦点距離をf3p、全系の広角端における焦点距離をfwとしたときに、10.0<f3p/fw<14.0となる条件を満足している。
ここでは、第3レンズ群におけるプラスチックレンズの焦点距離f3pと、全系の広角端における焦点距離fwとの関係を具体的に示している。
第3の発明に係る撮像装置は、第1または第2の発明に係る撮像装置であって、前記保持鏡筒の線膨張係数が、2×10-5以上7×10-5以下である。
第4の発明に係る撮像装置は、レンズ群と、筒状の保持鏡筒と、を備えている。レンズ群は、物体側から撮像素子側に向かって順に、正の屈折力を有した第1群と、光軸上を可動であることにより倍率を変倍する機能を備えかつ負の屈折力を有した第2群と、正の屈折力を有しかつ固定構造とされた第3群と、光軸上を可動であることにより変倍または物体距離の変化に伴う像面変動を補正する機能を備えかつ負の屈折力を有した第4群と、正の屈折力を有しかつ固定構造とされた第5群とを有している。保持鏡筒は、一方の端部近傍に第3群を保持し、他方の端部近傍に撮像素子を保持している。そして、撮像装置は、所定の温度変化に対するレンズ群における結像位置の変動量と、所定の温度変化に対する保持鏡筒の伸縮量とが一致するように構成されている。
なお、ここでいう「結像位置の変動量」と「保持鏡筒の伸縮量」とは、光軸方向における変動量、伸縮量を意味する。また、ここでいう「変動量と伸縮量とが一致する」とは、実用上殆ど問題にならない範囲の差を有している場合も含まれる。
ここでは、第1群から第5群のレンズ群全体において発生する温度変化による結像位置の変動に対する対策を施している。
従来より、高変倍用のレンズ群として、5群構成の方式が良く知られている。これらのレンズ群においては、温度変化により焦点位置が変化し、本来焦点とすべき位置(撮像素子内の所定位置)に焦点を合わせることができなくなるという問題がある。
そこで、本発明の撮像装置では、筒状の保持鏡筒の一方の端部に第3群を配置し、他方の端部に撮像素子を配置し、所定の温度変化に対するレンズ群全体における結像位置の変動量と所定の温度変化に対する保持鏡筒の伸縮量とが一致するように構成している。
これにより、レンズ群における結像位置が温度変化によって変動しても、保持鏡筒が上記温度変化によって結像位置の変動量と同じ量の伸縮をするので、結像位置の変動量を保持鏡筒の伸縮量により相殺することができる。言い換えれば、焦点位置の変動に対して、保持鏡筒の伸縮によって保持鏡筒の端部に配置された撮像素子の位置も変化するので、焦点とすべき位置(撮像素子内における所定位置)に対する焦点距離の相対位置を一定に保つことが可能となる。
この結果、温度変化に伴う結像位置の変動を小さくして、良好なる結像性能を維持することが可能となる。
第5の発明に係る撮像装置は、第4の発明に係る撮像装置であって、第3群における温度変化による屈折率は、温度上昇に対し負の係数を有し、保持鏡筒は、温度上昇に対し正の線膨張係数を有している。
第6の発明に係る撮像装置は、第4または第5の発明に係る撮像装置であって、第3群は、プラスチック製のプラスチックレンズと、両凸正レンズとメニスカス負レンズとを接着した正の接合レンズと、を有している。
第7の発明に係る撮像装置は、第6の発明に係る撮像装置であって、第3群におけるプラスチックレンズの焦点距離をf3p、全系の広角端での焦点距離をfwとしたときに、10.0<f3p/fw<14.0なる条件を満足する。
第8の発明に係るビデオカメラは、第1から第7の発明のいずれか1つに係る撮像装置を備えている。
これにより、温度変化に伴う結像位置の変動を小さくして、良好なる結像性能を維持することが可能なビデオカメラを提供することをできる。
本発明によれば、温度変化に伴う結像位置の変動を小さくして、良好なる結像性能を維持することが可能となる。
以下に、本発明の温度補償機能を有する高変倍撮像装置(撮像装置)10およびそれを用いたビデオカメラ30の実施例を図1から図10を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1の温度補償機能を有する高変倍撮像装置10を示し、具体的には、レンズ系を有するレンズ鏡筒本体の要部の概略を示している。
高変倍撮像装置10は、図1に示すように、第1レンズ群1、第2レンズ群2、第3レンズ群3、第4レンズ群4、第5レンズ群5、撮像素子6、保持鏡筒11、絞りSおよび撮像素子のカバーガラスやローパスフィルター等と光学的に等価である平板ガラスEGを備えている。
第1レンズ群1は、正の屈折力を有する。第2レンズ群2は、負の屈折力を有する。第3群レンズ3は、光軸方向に固定されており、屈折率の温度係数が負である1枚のプラスチックレンズ3pと、両凸正レンズとメニスカス負レンズを接着した正の接合レンズ3gとで構成されている。そして、このプラスチックレンズ3pの少なくとも1面は、非球面である。また、プラスチックレンズ3pと正の接合レンズ3gとは、第3レンズ群保持部3aに保持されている。第4レンズ群4は、負の屈折力を有する。第5レンズ群5は、光軸方向に固定されており、正の屈折力を有する。撮像素子6は、撮像素子保持部6aに保持されている。なお、図1に示す参照符号6bは、結像位置を示している。
高変倍撮像装置10は、ズーミング時、第1レンズ群1、第2レンズ群2の移動に連動して第4レンズ群4が所定の軌跡で動いて合焦点動作を行う。
本実施例の高変倍撮像装置10は、第3レンズ群3のズーミング時の結像位置6bの変動(ピンボケ量)とその温度特性とに着目してレンズ構成をしたものである。すなわち、この第3レンズ群3にプラスチックレンズ3pを有する構成であっても、ズーミング時において、プラスチックレンズ3pが所定の条件(後述する式(1)の条件)を満たす場合には、低温から高温に亘って、光軸方向における結像位置6bの変動量Δf(図2参照)を一定の変化量内に抑えることができる。
ここで、プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて温度特性を含めて対環境特性が劣っている。ところが、第3レンズ群3に関しては、ガラスレンズをプラスチックレンズに換えても、後述の条件を満たす限り、結像位置6bの変動は少ない。ところが、他のレンズ群でプラスチックレンズに置き換えた場合には、ズーミング時の結像位置6bの変動量を許容値に抑えることは難しい。
本実施例の高変倍撮像装置10は、第3レンズ群3がプラスチックレンズ3pを有する構成であっても、ズーミング時の結像位置6bの変動量Δfを補正して、その変動量Δfをレンズ系の焦点深度内(実用上殆ど問題とならない範囲)に収めることができる。すなわち、第3レンズ群3にプラスチックレンズ3pを含む構成にすることで、ガラスレンズと比較して、温度変化による屈折率の変化が大きく変動量Δfの絶対量は大きくなるが、変動量Δfのあばれ(すなわち、変動量Δfの非線形部分)が小さいため、保持鏡筒11の温度変化による伸縮で変動量Δfを相殺することができる。
保持鏡筒11は、第3レンズ群3と撮像素子6との間に渡されている。より詳細には、保持鏡筒11は、筒状の部材であり、その両端部に第3レンズ群3を保持する第3レンズ群保持部3aと撮像素子6を保持する撮像素子保持部6aとが配置されている。そして、保持鏡筒11は、温度変化により光軸方向に伸縮する構成になっている。
ここで、具体的な数値を用いて本実施例1の効果について説明する。保持鏡筒11を形成する一般的な鏡筒の材質としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)や、PC(ポリカーボネイト)等が挙げられる。PCでは、剛性向上或いは寸法安定のためにガラス繊維等を加えるが、これによって、線膨張係数を例えば2×10-5〜7×10-5の間で変化させることが可能となる。
本実施例1では、保持鏡筒11について、スパンLを30mmに設定し、線膨張係数が6.5×10-5の材質を用いて形成している。なお、保持鏡筒11の線膨張率は、温度が上昇すると長さが伸びる正の膨張係数である。そして、レンズ系の温度係数は、レンズ系全体として温度が上昇すると、屈折率が小さくなりバックフォーカスが長くなる負の温度係数である。これにより、プラスチックレンズ3pの温度変化に伴う結像位置6bの変動量Δfと保持鏡筒11の温度変化に伴う伸縮量ΔLとを一致させることで、温度補償機能を備えることができる。すなわち、保持鏡筒11が、第3レンズ群3と撮像素子6とに渡されているので、レンズ群の屈折率の温度変化による撮像位置6bのずれを相殺する効果は、保持鏡筒11の温度変化の伸縮によって決定される。
このような構成で、例えば、温度が20℃から0℃まで変化した時に、保持鏡筒11の長さLは39.0μm縮む。一方、20℃から0℃に温度が変化した時に、レンズの屈折率が変化することによる結像位置の変動量Δfは、広角端において39.6μm短くなる。すなわち、本実施例1における最終的な結像位置6bの光軸方向における変動量Δfは、上記より計算上ほとんど同じにすることができ、この差は、実用上殆ど問題にならない。このような保持鏡筒11の伸縮による結像位置6bの補正は、例えば、40℃の高温時にも同様の効果が得られる。このように、本実施例1においては、保持鏡筒11の線膨張係数と保持鏡筒11の光軸方向における長さLとを最適に設定している。これにより、これら保持鏡筒11の伸縮を効果的に利用して空気間隔を適切に変化させ、プラスチックレンズのパワー配置を最適に設定することができる。この結果、温度変化に伴う結像位置6bの変動を小さく抑えることができ、高変倍撮像装置10は、良好な光学性能を維持することができる。
以上、説明したように、本発明では、温度変化による結像位置の変動を補正するために、第3レンズ群3は正の屈折力を有し、かつ、光軸方向に固定構造である。また、第3レンズ群3は、屈折率の温度係数が負であり、少なくとも一面が非球面を有するプラスチックレンズと、両凸正レンズとメニスカス負レンズとを接着した正の接合レンズとを含んで構成されている。そして、色収差の補正を前記接合レンズで、球面収差、コマ収差の補正を、非球面で行っている。そして、温度変化によりレンズの屈折率が変動して、その結像位置6bが変動するという問題に対して、本発明では、前記第3レンズ群3と結像面に位置する撮像素子6との間に、温度変化により伸縮する保持鏡筒11を配し、この保持鏡筒11の線膨張係数を最適に設定し、鏡筒の伸縮量ΔLと像面位置の変動量Δfとを合わせるように調整することにより、温度変化による影響を打ち消す構成となっている。すなわち、保持鏡筒の線膨張係数と保持鏡筒長Lとを最適化することで、温度変化による撮像素子6上の撮像位置6bの変動を補正することができる。
なお、図1において、第3レンズ群3を保持する第3レンズ群保持部3aと、保持鏡筒11、そして、撮像素子6の撮像素子保持部6aは、別々に分割された構成でも、一体型の構成でも構わない。
図2に本発明の温度補償機能の概略を示す。ここで、温度補償機能は、図2に示すように、レンズ系の温度変化による焦点位置6bの変化量Δfと、保持鏡筒11の伸縮量ΔLとを合わせることが肝要となる。
これにより、第3レンズ群3における結像位置6bが温度変化によって変動しても、所定の線膨張係数を有する保持鏡筒11が上記温度変化によって結像位置の変動量Δfと同じ量ΔLの伸縮をするので、結像位置の変動量Δfを保持鏡筒の伸縮量ΔLにより相殺することができる。すなわち、温度変化による焦点位置6bの変動に対して、保持鏡筒11の伸縮によって保持鏡筒11の端部に配置された撮像素子6の位置も変化するので、焦点とすべき位置6B(撮像素子11内における所定位置6B)に対する焦点位置6bの相対位置を一定に保つことが可能となる。この結果、温度変化に伴う結像位置の変動を小さくして、良好なる結像性能を維持することを可能としている。
第3レンズ群3に用いられるプラスチックレンズ3pは、条件式(1)を満足することが必要である。すなわち、第3レンズ群3のプラスチックレンズ3pの焦点距離をf3pとし、全系の広角端での焦点距離をfwとしたときに、以下の条件式(1)を満たすことが必要である。
10.0<f3p/fw<14.0・・・(1)
詳細には、この条件式(1)は、第3レンズ群におけるプラスチックレンズのパワー配置を規定したものであり、この条件式(1)の範囲内であれば、収差を十分に補正することができ、コンパクトかつ高性能を実現することができる。具体的に説明すると、下限値を超えてパワーが強くなると、小型化することはできるが、温度変化による影響が大きくなる。また、保持鏡筒11の伸縮による調整範囲を超え、収差補正上からも不適当である。一方、上限値を超えてパワーが弱くなると、バックフォーカスが伸び、全体として大型化する傾向となるため不適当である。
そこで、第3レンズ群3に用いられるプラスチックレンズ3pを、条件式(1)を満足するように設定すると、ズーミング時において、低温から高温に亘って結像位置6bの変動量Δfを小さくすることができ、結像位置6bの変動を焦点深度内に収めることができる。
以上に示したように、パワーを持ったプラスチックレンズ3pを第3レンズ群3に配置し、その屈折力や鏡筒構成を適切に設定することにより、例えば、70倍の変倍比ながら対環境性能が良好で、低コストで高性能の高変倍撮像装置10を実現することができる。
本発明の実施例1についての数値実施例を(表1)に示す。表中r1、r2、…、r28は、物体側から順に数えたレンズ各面の曲率半径、d1、d2、…は、各レンズの肉厚および空気間隔、n1,n2,…は、各レンズのd線における屈折率、ν1、ν2、…は、d線を基準にするアッベ数である。また、全系の焦点距離をf、FナンバーをF/、そして、画角を2ωとして示している。表1中の*印を付した面は、非球面で構成された面であることを示し、非球面形状は、次の式で表される。
x=(h2/r)/(1+(1−(K+1)h2/r21/2
+Ah4+Bh6+Ch8+Dh10
但し、xは、光軸からの高さがhの非球面形状の非球面頂点の接平面からの距離、rは、基準球面の曲率半径、非球面係数K,A,B,C,Dは、(表1)に示されるとおりである。
Figure 2010124335
図3〜図5の収差図は、実施例1の温度補償機能を有する高変倍撮像装置10についての広角端(図3)、中間(図4)、望遠端(図5)におけるものをそれぞれ示し、全系の焦点距離をf、FナンバーをF/、そして、画角を2ωとして表している。また、図3〜図5の収差図のうちの各図の球面収差図において、FはF線を表し、CはC線を表す。また各図の非点収差図におけるSは、サジタル像面を表し、Mは、メリディオナル像面を表す。これらの収差図からわかるように収差の小さい良好な光学性能を実現することができる。
レンズ系全体のF値は、1.92〜5.77、焦点距離fは、1.76〜118.4mm、f3p/fwは、10.7となっている。
これらの収差図からわかるように、本実施例1のように光学系を構成することにより、収差の小さい良好な光学性能を実現することができる。
以上、上記撮像装置によれば、プラスチックレンズの配置、屈折力、および、それを保持する鏡筒の構成、材料を最適に設定することにより、例えば、変倍比が70倍の高倍率であっても、高性能で小型のズームレンズを提供することができる。
すなわち、本発明によれば、温度変化による対策を必要最小限の構成で実現し、ビデオカメラやデジタルスチルカメラに好適なコンパクト化かつ低コスト化された撮像装置およびそれを用いたビデオカメラを提供することが可能となる。
図6は、本発明の実施例2の温度補償機能を有する高変倍撮像装置(撮像装置)30の構成図を示している。高変倍撮像装置30は、図6に示すように、第1レンズ群1、第2レンズ群2、第3レンズ群3、第4レンズ群34、第5レンズ群5、撮像素子6、保持鏡筒11、絞りSおよびローパスフィルター等の等価ガラスEGを備えている。なお、第4レンズ群34を除き、高変倍撮像装置30の構成は、図1に示す実施例1と同様であるので、ここではその説明を省略する。第4レンズ群34は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズを像面側に、両凹負レンズを物体側に配置した点において、図1の高変倍撮像装置10とは異なっている。なお、レンズ系全体のF値は、2.06〜5.71、焦点距離fは、1.75〜117.0mm、f3p/fwは、12.5となっている。
ここで、本発明の実施例2についての数値実施例を以下の(表2)に示す。(表2)の各記号等の示す意味は、上記(表1)と同様である。
Figure 2010124335
この実施例2のレンズの収差性能を、図7〜図9の収差図に示す。図7は、広角端における収差図、図8は、中間における収差図、図9は、望遠端における収差図である。
これらの収差図からわかるように、本実施例2のレンズによれば、実施例1のレンズと同様に収差の小さい良好な光学性能を実現することができる。
図10は、本発明の実施例3のビデオカメラ40の構成を示している。
ビデオカメラ40は、図10に示すように、高変倍撮像装置41と、信号処理回路42と、表示デバイス43と、記録系44とを備えている。
なお、このビデオカメラ40の構成は、デジタルスチルカメラにも当然用いることができる。ビデオカメラ40では、高変倍撮像装置10からの出力は、信号処理回路42にて映像信号に再生され、表示デバイス43で再生映像を見ることができる。また、記録系44にて所定の記録媒体(図示せず)に再生映像信号を記録することもできる。
本発明によれば、パワーを持ったプラスチックレンズを第3レンズ群に配置し、その屈折力や鏡筒構成を適切に設定することにより、例えば、70倍という高倍率の変倍比であっても、対環境性能が良好で低コストな撮像装置を提供することができる。
実施例1における温度補償機能を有する高変倍撮像装置の構成図。 実施例1の温度補償機能を有する高変倍撮像装置の温度補償原理を説明する概略図。 実施例1の温度補償機能を有する高変倍撮像装置の広角端における収差性能を示す図。 実施例1の温度補償機能を有する高変倍撮像装置の中間位置における収差性能を示す図。 実施例1の温度補償機能を有する高変倍撮像装置の望遠端における収差性能を示す図。 実施例2における温度補償機能を有する高変倍撮像装置の構成図。 実施例2の温度補償機能を有する高変倍撮像装置の広角端における収差性能を示す図。 実施例2の温度補償機能を有する高変倍撮像装置の中間位置における収差性能を示す図。 実施例2の温度補償機能を有する高変倍撮像装置の望遠端における収差性能を示す図。 実施例3におけるビデオカメラのブロック構成図。
符号の説明
1 第1レンズ群
2 第2レンズ群
3 第3レンズ群
3a 第3群レンズ群保持部
3p プラスチックレンズ
3g 接合レンズ
4 第4レンズ群
5 第5レンズ群
6 撮像素子
6a 撮像素子保持部
6b 光学系結像位置
6B 焦点とすべき位置
10 高変倍撮像装置(撮像装置)
11 保持鏡筒
30 高変倍撮像装置(撮像装置)
34 第4レンズ群
40 ビデオカメラ
41 高変倍撮像装置(撮像装置)
42 信号処理回路
43 表示デバイス
44 記録系
S 開口絞り
EG 平板ガラス
L 保持鏡筒の長さ
ΔL 保持鏡筒の伸縮量
Δf 焦点位置の変動量

Claims (8)

  1. 物体側から撮像素子側に向かって順に第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群、第5レンズ群の5群構成からなる撮像装置であって、
    前記第3レンズ群に配置されており、正の屈折力を有し、屈折率の温度係数が負である、プラスチックレンズと、
    一方の端部近傍に前記第3レンズ群を保持し、他方の端部近傍に前記撮像素子を保持している、筒状の保持鏡筒と、
    を備えており、
    所定の温度変化に対する前記第3レンズ群における結像位置の変動量と、前記所定の温度変化に対する前記保持鏡筒の伸縮量とが、一致するように構成されている、撮像装置。
  2. 前記第3レンズ群における前記プラスチックレンズの焦点距離をf3p、全系の広角端における焦点距離をfwとしたときに、
    10.0<f3p/fw<14.0
    なる条件を満足する、
    請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記保持鏡筒の線膨張係数が、2×10-5以上7×10-5以下である、
    請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 物体側から撮像素子側に向かって順に、正の屈折力を有した第1群と、光軸上を可動であることにより倍率を変倍する機能を備えかつ負の屈折力を有した第2群と、正の屈折力を有しかつ固定構造とされた第3群と、光軸上を可動であることにより変倍または物体距離の変化に伴う像面変動を補正する機能を備えかつ負の屈折力を有した第4群と、正の屈折力を有しかつ固定構造とされた第5群とを有するレンズ群と、
    一方の端部近傍に前記第3群を保持し、他方の端部近傍に前記撮像素子を保持している、筒状の保持鏡筒と、
    を備えており、
    所定の温度変化に対する前記レンズ群における結像位置の変動量と、前記所定の温度変化に対する前記保持鏡筒の伸縮量とが、一致するように構成されている、撮像装置。
  5. 前記第3群における温度変化による屈折率は、温度上昇に対し負の係数を有し、前記保持鏡筒は、温度上昇に対し正の線膨張係数を有している、
    請求項4に記載の撮像装置。
  6. 前記第3群は、プラスチック製のプラスチックレンズと、両凸正レンズとメニスカス負レンズとを接着した正の接合レンズと、を有している、
    請求項4または5に記載の撮像装置。
  7. 前記第3群における前記プラスチックレンズの焦点距離をf3p、全系の広角端での焦点距離をfwとしたときに、
    10.0<f3p/fw<14.0
    なる条件を満足する、
    請求項6に記載の撮像装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置を備えている、
    ビデオカメラ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013250340A (ja) * 2012-05-30 2013-12-12 Canon Inc ズームレンズ及びそれを有する撮像装置
CN107450145A (zh) * 2016-06-01 2017-12-08 佳能株式会社 透镜装置和包括透镜装置的图像拾取装置
CN109709655A (zh) * 2017-10-26 2019-05-03 佳能株式会社 透镜装置和包括该透镜装置的摄像装置
CN110837158A (zh) * 2018-08-16 2020-02-25 先进光电科技股份有限公司 光学成像模块

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