JP2010122285A - 光ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない部品数でセミの産卵管による被害を防止することができ、かつ、配線時などにおいて光ファイバ心線が断線したり伝送特性が低下したりすることのない光ケーブルを提供する。
【解決手段】ケーブル部10と、このケーブル部10を支持する支持線部20を備えた光ケーブルであって、ケーブル部10は、断面形状が複数の突起17を有するほぼ星形で、その内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7〜0.9である延伸モノフィラメントに長さ方向に伸びる断面V字状の溝11を設けてなるテンションメンバ12と、溝11に収納された光ファイバ心線13と、これらの外周に設けられた外被14とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】ケーブル部10と、このケーブル部10を支持する支持線部20を備えた光ケーブルであって、ケーブル部10は、断面形状が複数の突起17を有するほぼ星形で、その内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7〜0.9である延伸モノフィラメントに長さ方向に伸びる断面V字状の溝11を設けてなるテンションメンバ12と、溝11に収納された光ファイバ心線13と、これらの外周に設けられた外被14とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、配線系ケーブルからビルや一般住宅などの加入者宅内へ引き込み配線するための光ドロップケーブルとして使用される光ケーブルに関する。
インターネットなどの通信サービスの普及に伴い、通信事業者から加入者宅までの全区間を光ファイバで結ぶFTTH(Fiber To The Home)が急速に拡大してきている。このようなFTTHにおいて、加入者宅近傍の光配線網は、電柱を用いた架空配線が一般的であり、電柱に架渉した配線ケーブルから光ドロップケーブルを用いて加入者宅に引き落とす方式が主に採用されている。
このように光配線網の構築が進む中、クマゼミなどの害虫が光ドロップケーブルに産卵管を突き刺して光ファイバを損傷させる結果、情報伝達に支障が生じる問題が発生している。これは、従来の光ドロップケーブルでは、外被が光ファイバ心線上に直接被覆されていて、光ファイバ心線の周りに、産卵管の進入を阻止するような硬質の保護層や保護部材などが設けられていないことによる。
そこで、クマゼミなどの産卵管による光ファイバの被害を防止するため、例えば、外被内に光ファイバ心線を保護する扁平形状のモノフィラメントを埋設した光ケーブルや、断面円形状の抗張力線に溝を設け、この溝に光ファイバ心線を収納した光ケーブルなどが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)
しかしながら、前者では、部品数が多くなるため、外被の押出成形が難しい上に、価格も高くなる難点があった。また、後者では、抗張力線と外被との密着力が弱いために、場合により十分な引張強度が得られず、配線作業の際などに光ファイバ心線が断線するおそれがあった。また、使用時やケーブル製造時の温度変化により外被が伸縮し、それに伴い光ファイバ心線に歪みが生じ、伝送損失が増大するおそれもあった。
特開2006−313314号公報
特開2007−114575号公報
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、少ない部品数でクマゼミなどの産卵管による被害を確実に防止することができ、かつ、配線時や使用時、ケーブル製造時などにおいて光ファイバ心線が断線したり伝送特性が低下したりすることのない光ケーブルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明の光ケーブルは、ケーブル部と、このケーブル部を支持する支持線部を備えた光ケーブルであって、前記ケーブル部は、断面形状が複数の突起を有するほぼ星形で、その内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7〜0.9である延伸モノフィラメントに長さ方向に伸びる断面V字状の溝を設けてなるテンションメンバと、前記溝に収納された光ファイバ心線と、これらの外周に設けられた外被とを具備することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の光ケーブルにおいて、前記テンションメンバ外周面の突起の数が8〜10個であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の光ケーブルにおいて、前記延伸モノフィラメントの引張弾性率が7500〜25000N/mm2であることを特徴とするものである。
なお、本願明細書中、延伸モノフィラメントの引張弾性率はJIS L 1013に準拠して測定された値である。
なお、本願明細書中、延伸モノフィラメントの引張弾性率はJIS L 1013に準拠して測定された値である。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の光ケーブルにおいて、前記延伸モノフィラメントは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、またはフッ素樹脂からなるモノフィラメントであることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の光ケーブルにおいて、前記溝は、開口幅wが、前記内接円径Dinに対して、0.6Din≦w≦1.0Dinであり、かつ深さdが、前記内接円径Dinに対して、0.5Din≦d≦0.7Dinであることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の光ケーブルにおいて、前記溝は、前記支持線部側に開口部を有することを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の光ケーブルにおいて、前記ケーブル部内に、前記テンションメンバ以外のテンションメンバを具備しないことを特徴とするものである。
本発明の光ケーブルによれば、クマゼミなどの害虫の産卵管の進入を阻止するための部材や保護層を新たに設ける必要がなく、したがって、製造は容易で価格の上昇を招くこともない。しかも、特定の断面形状を有するテンションメンバによって十分な引張強度が得られるため、配線時、使用時、ケーブル製造時などにおける光ファイバ心線の断線や伝送特性の低下も防止される。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、説明は図面に基づいて行うが、それらの図面は単に図解のために提供されるものであって、本発明はそれらの図面により何ら限定されるものではない。また、以下の説明において、同一もしくは略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の光ケーブルの一実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の光ケーブルは、電柱間に架設した配線ケーブルからビルや一般住宅などの加入者宅内へ引き込み配線するための光ドロップケーブルとして使用されるものであり、ケーブル部10と支持線部20とこれらを連結する連結部30とから構成されている。
ケーブル部10は、図2に拡大して示すように、断面形状が複数の突起17を有するほぼ星形で、その内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7〜0.9である延伸モノフィラメントに、長さ方向に伸びる断面V字状の溝11を設けたテンションメンバ12と、溝11に収納された1本の単心光ファイバ心線13と、これらの外周に設けられた外被14とから構成されている。溝11は、支持線部20側に開口部を有しており、外被14は、断面が略矩形状に形成されている。
テンションメンバ12は、本来のテンションメンバとしての機能、すなわち、ケーブル部10を支持線部20から分離して屋内に引き込み配線する際の引張応力を担うとともに、使用時やケーブル製造時の温度変化に伴う光ファイバの伝送損失の増加を防止する機能と、クマゼミなどの産卵管の進入により光ファイバ心線13が損傷するのを防止する保護部材としての機能を併せ有する。
また、支持線部20は、鋼線などからなる支持線21と、その外周に設けられた被覆22とから構成されている。被覆22は、断面が円形状に形成されている。
ケーブル部10の外被14、支持線部20の外被22および連結部30は、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂の一括押出により形成されている。また、ケーブル部10の外被14の両側部の略中央、単心光ファイバ心線13が位置する部分には、引き裂き用のノッチ15a、15bが設けられており、ケーブル接続作業の際に、これらの引き裂き用ノッチ15a、15bを起点に外被14を引き裂くことにより、内部の単心光ファイバ心線13を容易に取り出すことができるようになっている。
上記単心光ファイバ心線13は、特に限定されるものではなく、光ファイバの外周にシリコーン樹脂や紫外線硬化型樹脂などを被覆したもの、その外周にさらにポリアミド樹脂を被覆したものなどが使用される。
また、テンションメンバ12を形成する延伸モノフィラメントとしては、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、またはこれらの2種以上の共重合体もしくは混合物など)、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・12、ナイロン12、ナイロン6・10、ナイロン10、またはこれらの2種以上の共重合体もしくは混合物など)、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリプロピレンなど)、シンジオタクチック、アタクチックまたはイソタクチック構造を有するポリスチレン、ポリフェニレンスルファイド、フッ素樹脂(例えばテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など)などからなるものが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂からなるものが好ましく、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレートからなるものがより好ましい。
この延伸モノフィラメントは、引張弾性率が7500N/mm2以上であることが好ましい。引張弾性率が小さ過ぎると、加工歪が大きくなり、ケーブル部10を支持線部20から切り離した際に、単心光ファイバ心線13が断線するおそれが生ずる。また、ケーブル部10の許容張力の確保が困難になり、ケーブル部10を配線する際に、ケーブル部10に加わる引張荷重で単心光ファイバ心線13が断線するおそれもある。但し、引張弾性率が大き過ぎると、折れ易くなり、配線時の曲げ半径が制限されるようになる。したがって、延伸モノフィラメントは、引張弾性率が7500〜25000N/mm2であることがより好ましい。
さらに、外被14、被覆22および連結部30を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンの他、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂には、難燃剤や着色剤が配合されていてもよい。
このように構成される光ケーブルにおいては、本来のテンションメンバとしての機能と、クマゼミなどの害虫の産卵管が光ファイバ心線に到達するのを阻止する機能を併せ有するテンションメンバ12の溝11に、単心光ファイバ心線13が収納されているので、従来のようにクマゼミなどの害虫の産卵管対策のための新たな部品を必要とせず、容易かつ安価に製造することができる。また、テンションメンバ12が、上記のような特定の断面形状を有するため、テンションメンバ12と外被14間の十分な密着力を確保することができ、配線時や、使用時、ケーブル製造時における光ファイバ心線の断線や伝送特性の低下を確実に防止することができる。
本実施形態において、延伸モノフィラメントの断面形状における内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.9より大きくなると、テンションメンバ12と外被14との密着力が不十分となり、テンションメンバ本来の機能が低下し、配線時や、使用時、ケーブル製造時における光ファイバ心線の断線や伝送特性の低下を防止することが困難になる。逆に、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7より小さくなると、テンションメンバ12と外被14との密着力は増大するものの、ケーブル部10の許容張力が低下するため、ケーブル部10を配線する際に単心光ファイバ心線13が断線するおそれが生ずる。
この点に関し、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7より小さい場合であっても、より太い延伸モノフィラメントを使用してテンションメンバ12の断面積を増大させることによって、ケーブル部10の許容張力の低下を防ぐことができる。しかしながら、外径の大きい延伸モノフィラメントを使用することにより、ケーブル全体が大きくなり、風圧荷重を受けやすくなったり、ケーブル重量の増加などの問題が生ずる。
また、テンションメンバ12外周面の突起17の数を増やすことによっても、ケーブル部10の許容張力の低下を抑えることができる。しかしながら、突起17の数をあまり多くすると製造が困難になる。一方、突起17の数が少な過ぎると、ケーブル部10の許容張力が低下するばかりでなく、テンションメンバ12と外被14との密着力の確保も困難になる。このような観点から、テンションメンバ12外周面における突起17の数は、例えば溝11の開口幅w(図2参照)が0.8mmのとき、8個以上であることが好ましく、8〜10個の範囲であることが実用上より好ましい。
さらに、溝11の開口幅wおよび深さd(図2参照)は、クマゼミなどの害虫の産卵管による被害の防止、ケーブル端末処理の際の心線取り出し性などの観点から、開口幅wが、内接円径Dinに対して、0.2Din≦w≦1.0Dinであり、かつ深さdが、内接円径Dinに対して、0.2Din≦d≦0.7Dinであることが好ましい。すなわち、開口幅wが大き過ぎるかまたは深さdが小さ過ぎると、セミなどの害虫の産卵管が外被14に進入した場合に光ファイバ心線13に到達するおそれが生じ、逆に、開口幅wが小さ過ぎるかまたは深さdが大き過ぎると、心線取り出し性が低下する。溝11の開口幅wおよび深さdは、内接円径Dinに対して、それぞれ0.6Din≦w≦1.0Din、および0.5Din≦d≦0.7Dinであることがより好ましい。
ここで、本発明者らが行った実験およびその結果について記載する。
(実験1)
まず、テンションメンバを構成する延伸モノフィラメントの断面形状の内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirおよびテンションメンバ外周面の突起の数が異なる以外は同一構成とした各種光ケーブルを製造し、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirおよび突起数を変化させたときのテンションメンバと外被との密着力の変化を調べた。
まず、テンションメンバを構成する延伸モノフィラメントの断面形状の内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirおよびテンションメンバ外周面の突起の数が異なる以外は同一構成とした各種光ケーブルを製造し、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirおよび突起数を変化させたときのテンションメンバと外被との密着力の変化を調べた。
本実験では、テンションメンバ12を構成する延伸モノフィラメントの断面形状の内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7、0.8または0.9で、テンションメンバ12外周面の突起の数が4個、6個、8個または10個の、本実施形態に係る図1に示す光ケーブルを製造した。
すなわち、外接円径Dcirが1.0mm、内接円径Dinが0.7mm、0.8mmまたは0.9mm、引張弾性率が9800N/mm2で、外周面の突起数が異なる断面形状が星形のポリエチレンナフタレートからなる延伸モノフィラメントを用意し、それぞれの外周面に断面V字状の溝(開口幅w=0.8mm、深さd=0.35mm)11を設け、外周面の突起の数nが4個、6個、8個または10個のテンションメンバ12を作製した。これらの各テンションメンバ12の溝11に、単心光ファイバ心線13として外径250μmの単心光ファイバ心線を挿入しつつ、支持線21として外径1.2mmの単鋼線を、図1に示すように平行に並べて押出し機に導入し、その外周にノンハロゲン難燃ポリエチレン(日本ユニカー社製 商品名 NUC9739)を一括押出被覆して、全体の幅が約2mm、同高さが約5mmの図1に示す光ケーブルを製造した。
また、比較のために、テンションメンバ12に用いる延伸モノフィラメントを、突起のない直径1・0mm(つまり、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが1)のポリエチレンナフタレートからなる延伸モノフィラメントに変えた以外は、上記と同様にして光ケーブルを製造した。
上記各光ケーブルについて、テンションメンバ12の引抜き力を下記に示す方法で測定した。
[引抜き力]
図3に示すように、支持線部20から分離した長さ65mmのケーブル部10の外被14を両側よりそれぞれ50mmおよび5mmにわたって剥ぎ取ってテンションメンバ12を露出させた試験体について、(株)東洋精機製作所製ストログラフ試験機(引抜きダイス穴径1.2mm)を用い、引抜き速度10mm/分、温度23℃、湿度50%RHの条件下で、テンションメンバ12を引き抜いたときの平均荷重(N/cm)を測定した。
[引抜き力]
図3に示すように、支持線部20から分離した長さ65mmのケーブル部10の外被14を両側よりそれぞれ50mmおよび5mmにわたって剥ぎ取ってテンションメンバ12を露出させた試験体について、(株)東洋精機製作所製ストログラフ試験機(引抜きダイス穴径1.2mm)を用い、引抜き速度10mm/分、温度23℃、湿度50%RHの条件下で、テンションメンバ12を引き抜いたときの平均荷重(N/cm)を測定した。
図4は、このようにして求めたテンションメンバ12の引抜き力と、テンションメンバ12の内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirおよび突起の数nとの関係を示したものである。図4から明らかなように、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7〜0.9の範囲にあって、かつ突起の数が8個以上のテンションメンバ12を用いた光ケーブルでは、Din/Dcir比が1の突起のないテンションメンバを用いた光ケーブルに比べ、テンションメンバ12と外被14との密着力が増大していた。
これらの結果から、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7〜0.9の範囲にあって、かつ突起の数が8個以上のテンションメンバ12を使用することが好ましいことが確認された。
(実験2)
次に、テンションメンバを構成する延伸モノフィラメントとして引張弾性率を異なるものを用いた以外は同一構成とした各種光ケーブルを製造し、延伸モノフィラメントの引張弾性率がケーブル部の加工歪に与える影響を調べた。ちなみに、ケーブル部の加工歪が大きいほど、ケーブル部を支持線部から分離した際に光ファイバ心線が断線しやすくなる。
次に、テンションメンバを構成する延伸モノフィラメントとして引張弾性率を異なるものを用いた以外は同一構成とした各種光ケーブルを製造し、延伸モノフィラメントの引張弾性率がケーブル部の加工歪に与える影響を調べた。ちなみに、ケーブル部の加工歪が大きいほど、ケーブル部を支持線部から分離した際に光ファイバ心線が断線しやすくなる。
本実験では、図1に示す光ケーブルにおいて、テンションメンバ12に代えて、突起のない、つまり、内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが1である延伸モノフィラメントに断面V字状の溝(開口幅w=0.8mm、深さd=0.35mm)を設けたテンションメンバを用いた光ケーブルを製造した。
すなわち、いずれも外径が1.0mmの、ポリエチレンナフタレートからなる延伸モノフィラメント(引張弾性率 9800N/mm2)、ポリエチレンテレフタレートからなる延伸モノフィラメント(引張弾性率7510N/mm2)、ポリプロピレンからなる延伸モノフィラメント(引張弾性率5340N/mm2)、ナイロン6からなる延伸モノフィラメント(引張弾性率3100N/mm2)、およびナイロン6からなる延伸モノフィラメント(引張弾性率2280N/mm2)の各外周面に、断面V字状の溝(開口幅w=0.8mm、深さd=0.35mm)を設け、引張弾性率の異なる5種のテンションメンバを作成した。これらの各テンションメンバの溝に、実験1の場合と同様にして、外径250μmの単心光ファイバ心線を挿入しつつ、支持線として外径1.2mmの単鋼線を平行に並べて押出し機に導入し、その外周にノンハロゲン難燃ポリエチレン(日本ユニカー社製 商品名 NUC9739)を一括押出被覆して、テンションメンバ12の構成が相違する以外は図1に示す光フケーブルと同様に構成される、全体の幅が約2mm、同高さが約5mmの光ケーブルを製造した。
得られた各光ケーブルの支持線部とケーブル部を分離し、それぞれの長さを測定し、次式よりケーブル部の加工歪を算出した。
加工歪(%)=(|ケーブル部長さ−支持線部長さ|/支持線部長さ)×100
加工歪(%)=(|ケーブル部長さ−支持線部長さ|/支持線部長さ)×100
図5は、このようにして求めたケーブル部の加工歪とテンションメンバの引張弾性率との関係を示したグラフである。
図5から明らかなように、引張弾性率が7500N/mm2以上のテンションメンバを用いた光ケーブルでは、ケーブル部の加工歪が0.1%以下と非常に小さくなっており、加工歪による光ファイバ心線の断線を防止する観点からは、テンションメンバは、引張弾性率が7500N/mm2以上であることが好ましいことが確認された。
なお、本発明は以上説明した実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。例えば、図6に示すように、上記実施形態において、テンションメンバ12の溝11に収納する単心光ファイバ心線13の数を2本としてもよい。また、図7に示すように、ケーブル部10の外被14の断面形状を円形状とすることも可能である。これにより、ケーブル部10の曲がり方向性が小さくなり、ケーブル部の配線作業性を向上させることができる。
10…ケーブル部、11…断面V字状の溝、12…テンションメンバ、13…単心光ファイバ心線、14…外被、17…突起、20…支持線部、21…支持線、22…被覆、30…連結部。
Claims (7)
- ケーブル部と、このケーブル部を支持する支持線部を備えた光ケーブルであって、
前記ケーブル部は、断面形状が複数の突起を有するほぼ星形で、その内接円径Dinと外接円径Dcirとの比Din/Dcirが0.7〜0.9である延伸モノフィラメントに、長さ方向に伸びる断面V字状の溝を設けてなるテンションメンバと、前記溝に収納された光ファイバ心線と、これらの外周に設けられた外被とを具備することを特徴とする光ケーブル。 - 前記テンションメンバ外周面の突起の数が8〜10個であることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル。
- 前記延伸モノフィラメントの引張弾性率が7500〜25000N/mm2であることを特徴とする請求項1または2記載の光ケーブル。
- 前記延伸モノフィラメントは、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、またはフッ素樹脂からなるモノフィラメントであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の光ケーブル。
- 前記溝は、開口幅wが、前記内接円径Dinに対して、0.6Din≦w≦1.0Dinであり、かつ深さdが、前記内接円径Dinに対して、0.5Din≦d≦0.7Dinであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の光ケーブル。
- 前記溝は、前記支持線部側に開口部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の光ケーブル。
- 前記ケーブル部内に、前記テンションメンバ以外のテンションメンバを具備しないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の光ケーブル。
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