JP2010121571A - 可変弁装置およびその制御方法 - Google Patents

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悦郎 佐藤
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Abstract

【課題】
本発明は、温度環境の変化による可変弁の応答性能を実際に計測し、その計測結果に基づき可変バルブの開閉タイミングを正確に補正する可変弁装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】
吸気弁の閉塞移動によりシリンダ部の加圧室の作動油を排出させる油圧アクチュエータ、開閉作動により油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御し、閉作動時に加圧室からの作動油の流出を阻止して吸気弁の閉塞移動を阻止する油圧制御弁を備え、エンジンの今回の制御サイクルで油圧制御弁を閉作動させる信号を所定のクランク角で出力後、油圧制御弁の閉作動に伴う加圧室のサージ圧が所定の閾値を超えた時のクランクシャフトのクランク角を油圧制御弁の動作開始クランク角として求め、該動作開始クランク角に基づき、油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角及び波形の少なくとも何れか一方を補正し、該補正信号を次回の制御サイクルで油圧制御弁に出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、可変弁装置およびその制御方法に関するものである。
従来より、車両に搭載されるエンジンには、エンジンの運転状態に応じて吸気弁や排気弁の開閉タイミングを制御し、吸気量や排気量を調整する可変弁装置を備えたものがある。
この可変弁装置には、駆動源として電動モータや油圧を用いたものがあり、油圧で駆動する油圧駆動の可変弁装置では、寒冷時やエンジン始動時などの温度環境によっては、油圧制御の応答性が低下して、可変弁装置の制御精度が低下する場合がある。
可変弁装置の制御精度が低下すると、吸気弁の開閉タイミングが変化して、圧縮比が変化し、燃焼に影響を与える場合がある。
特許文献1には、作動油の粘度により応答性能が変化するバルブ・アクチュエータの応答性能を作動油の粘度の計測結果に基づき決定し、当該決定された応答性能に基づき当該バルブ・アクチュエータを備えた可変バルブの開閉タイミングを補正して制御する可変バルブの制御システムおよび制御方法の技術が開示されている。
また、特許文献2には、エンジン温度、作動油温度、流体温度など、エンジンの温度環境に応じて可変バルブの動作タイミングを制御するエンジンバルブ制御システムおよび制御方法の技術が開示されている。
US7178491号公報 US7059282号公報
上記特許文献1および上記特許文献2に示された技術は、作動油の粘度、またはエンジン温度、作動油温度などの温度環境の計測結果に基づいて、可変バルブの動作タイミングを間接的に推定するものであって、作動油の粘度の変化または温度環境の変化による吸気弁または排気弁の実際の開閉タイミングを計測していないので、エンジンの運転状態や温度環境の変化に対応して、可変バルブの開閉タイミングを正確に補正することができないという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、温度環境の変化による可変弁の応答性能を実際に計測し、その計測結果に基づき可変バルブの開閉タイミングを正確に補正する可変弁装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの吸気弁を移動させ、吸気口を開放または閉塞する動弁機構を有し、前記動弁機構により前記吸気口が全閉になるクランク角を可変とする油圧駆動式の可変弁装置において、前記吸気弁の移動によって作動され、前記吸気弁の閉塞移動によってシリンダ部に設けた加圧室の作動油を排出させる油圧アクチュエータと、開閉作動により前記油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御し、閉作動したときに前記油圧アクチュエータの加圧室からの作動油の流出を阻止することで前記吸気弁の閉塞移動を阻止する油圧制御弁と、エンジンのクランクシャフトの回転角を示すクランク角を検出するクランク角検出センサと、エンジンの各気筒がそれぞれ上死点に達したことを検出するTDC検出センサと、前記油圧アクチュエータの加圧室の油圧を検出する油圧検出手段と、前記吸気弁の閉塞移動中に、前記TDC検出センサの検出信号、および前記クランク角検出センサの検出信号に基づいて所定のクランク角に達したと判断したとき、前記吸気弁の閉塞移動を停止させて所定の開度で前記吸気口の開放状態を所定の時間だけ保持するために、前記油圧制御弁を閉作動させる信号を出力するコントローラとを具備し、前記コントローラは、今回の制御サイクルで前記油圧制御弁を閉作動させる信号を前記所定のクランク角で出力した後、前記油圧制御弁の閉作動に伴う前記加圧室の油圧のサージ圧を前記油圧検出手段の検出信号により監視し、前記サージ圧が所定の閾値を超えたときのクランク角を前記油圧制御弁の動作開始クランク角として求め、該動作開始クランク角に基づいて、前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角および波形の少なくともいずれか一方を補正し、該補正した信号を次回の制御サイクルで前記油圧制御弁に出力するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記コントローラは、前記油圧制御弁を閉作動させる信号をオフした後に前記吸気弁が閉塞移動を終了する前記吸気口全閉のクランク角が所定の範囲に入るように、前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角および波形の少なくともいずれか一方を補正することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、動弁機構によりエンジンの吸気弁を移動させて、吸気口を開放または閉塞し、前記吸気弁の移動によって作動される油圧アクチュエータのシリンダ部に設けた加圧室からの作動油の流出を阻止することにより、前記吸気口が全閉になるクランク角を可変とする可変弁装置の制御方法において、今回の制御サイクルで、前記吸気弁の閉塞移動により前記油圧アクチュエータを作動させて前記油圧アクチュエータの前記加圧室の作動油を排出させ、前記吸気弁の閉塞移動中に、エンジンの各気筒がそれぞれの上死点に達した後、所定のクランク角に達したとき、前記油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御する油圧制御弁を閉作動させる信号を前記油圧制御弁に出力して、前記加圧室からの作動油の流出を阻止することで前記吸気弁の閉塞移動を阻止し、前記油圧制御弁を閉作動させる信号を所定の時間だけ出力して、前記吸気弁の閉塞移動を停止させ、所定の開度で前記吸気口の開放状態を所定の時間だけ保持し、前記加圧室からの作動油の流出が阻止されたことに伴う前記加圧室の油圧のサージ圧を監視し、前記サージ圧が所定の閾値を超えたときのクランク角を実際のVVA動作開始タイミングと見做し、該実際のVVA動作開始タイミングに基づいて、前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角および波形の少なくともいずれか一方を補正し、次回の制御サイクルで、前記補正した信号を前記油圧制御弁に出力するようにしたことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記実際のVVA動作開始タイミングと予め設定された所定のVVA動作開始タイミングとを比較し、前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも遅いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角を今回の出力クランク角よりも早めにする補正、および次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力値を今回の出力値よりも大きめにする補正の少なくともいずれか一方をし、前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも早いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角を今回の出力クランク角よりも遅めにする補正、および次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力値を今回の出力値よりも小さめにする補正の少なくともいずれか一方をすることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記実際のVVA動作開始タイミングと予め設定された所定のVVA動作開始タイミングとを比較し、前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも遅いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも長めにすると共に、出力クランク角を今回の出力クランク角よりも早めにする補正、または次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも長めにすると共に、出力値を今回の出力値よりも大きめにする補正のいずれか一方をし、前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも早いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも短めにすると共に、出力クランク角を今回の出力クランク角よりも遅めにする補正、または次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも短めにすると共に、出力値を今回の出力値よりも小さめにする補正のいずれか一方をすることを特徴とする。
本願発明によれば、油圧駆動式の可変弁に対する作動指令が発令されてから当該作動指令に対応する作動が可変弁で実際に実施されるまでの応答性能を計測し、その応答性能に基づき可変弁の開閉タイミングが所定のタイミングに収まるように補正するので、作動油の温度環境に関わらず、可変弁の開閉タイミングを所定のタイミングに、より正確に制御することができる。
本願発明によれば、可変弁に対する作動指令に対応する作動が可変弁で実施されたことを可変弁の油圧アクチュエータの油圧の計測結果に基づき検知するので、可変弁の実際の作動がより正確に計測され、その計測結果に基づく可変弁の応答性能が、より正確に検知できる。
以下、本発明に係わる可変弁装置およびその制御方法の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる可変弁装置1を示す概念図であり、本実施例では、可変弁装置1を4サイクルのディーゼルエンジンに適用した場合を想定して説明するが、本発明に係わる可変弁装置は、本実施例に制限されるものではない。
図1に示すように、可変弁装置1は、可変弁装置制御用コントローラ(以下、単にコントローラという)90、ギャップセンサ24、TDC(=Top Dead Center)検出センサ70、油圧検出手段71、クランク角検出センサ72および可変弁装置1が適用されたディーゼルエンジン部とで構成されている。
コントローラ90は、上記各センサによる各種信号の計測結果に基づき本発明に係わる制御を実施する。
ギャップセンサ24は、コントローラ90と接続され、後述するピストン23のロッド部23cの側方に配設されて、ロッド部23cとギャップセンサ24との間隙を計測し、その計測信号である弁リフト量信号(図10(d)参照)をコントローラ90に出力する。
TDC検出センサ70は、コントローラ90と接続され、ディーゼルエンジン部の各気筒毎に、吸気行程のエンジンピストン80が上死点に位置したことを検出して、TDC検出センサ信号(図10(a)参照)をコントローラ90に出力する。
油圧検出手段71は、コントローラ90と接続され、後述する油圧アクチュエータ20の加圧室の油圧を計測し、その計測信号である油圧信号(例えば図10(e)参照)をコントローラ90に出力する。
クランク角検出センサ72は、ディーゼルエンジン部のクランクシャフト82の回転角(以下、「クランク角」という。)を計測し、その計測信号である回転数検出信号(クランク角に応じたパルス数のパルス出力、図10(b)参照)をコントローラ90に出力する。
具体的には、例えば、クランク角が0度、30度、60度、・・・360度、・・などのように所定の回転角度毎にパルス信号が出力され、コントローラ90はこの出力されるパルス信号を計測することによりクランク角を検知する。
ディーゼルエンジン部は、シリンダブロックとシリンダヘッドとを有しており、シリンダブロックには、エンジンピストン80を上下方向に摺動可能とする筒状の図示せぬシリンダが設けてある。また、シリンダヘッドには、シリンダ外に挿通する一対の吸気口2と図示せぬ一対の排気口とが設けてある。
一対の吸気口2には、吸気口2を閉塞または開放するように移動する(図1において上下方向)吸気弁3がそれぞれ配設されており、また、一対の排気口には、排気口を閉塞または開放するように移動する排気弁(図示せぬ)がそれぞれ配設されている。
各吸気弁3および各排気弁は、それぞれ傘形状のポペット型弁であり、吸気口2および排気口をそれぞれ閉塞または開放する弁部(傘形状部)3aと、シリンダヘッドを摺動するステム(棒状部)3bとを有している。
各吸気口2をそれぞれ挿通した一対の吸気弁3のステム3bには、弁バネ4がそれぞれ装着され、各弁バネ4は、各吸気弁3の弁部3aが吸気口2を閉塞する方向に付勢してある。
シリンダヘッドの上方には、一対の吸気弁3のステム3b端部を押圧する側面視T字型のクロスヘッド5を備えている。クロスヘッド5は、各吸気弁3の運動方向と平行に設けたシャフト6に案内され、各吸気弁3の運動方向(図1において上下方向)に昇降可能である。
したがって、クロスヘッド5を下降させると、クロスヘッド5が一対の吸気弁3のステム3b端部を押圧し、各弁バネ4の付勢力に抗して各吸気弁3が吸気口2を開放する方向に移動する。
また、クロスヘッド5の一方の腕5aには、吸気弁3とクロスヘッド5とが密着するように調整する調整ネジ7を備えている。調整ネジ7は、クロスヘッド5に対して螺進可能であり、一対の吸気弁3のうちの一方の吸気弁3との隙間を調整可能である。
例えば、一対の吸気弁3がそれぞれの吸気口2を同時に開閉するように上記隙間が調整される。
調整ネジ7には、ロックナット8が螺合しており、調整ネジ7の調整後にロックナット8をクロスヘッド5に密着させることにより、調整ネジ7の弛み止めが可能となっている。
クロスヘッド5の上方(図1において)には、ロッカーアーム9が設けてある。ロッカーアーム9は、ロッカーシャフト10を軸として回動可能であって、一端部(図1における左端部)がクロスヘッド5を押圧する押圧部9aを成し、他端部が作動部9bを成すように構成されている。
ロッカーアーム9の押圧部9aは、クロスヘッド5の略中央部を押圧可能に配置されており、ロッカーアーム9が反時計方向(図1において)に回動すると、ロッカーアーム9の押圧部9aがクロスヘッド5を押圧し、吸気弁3が下方に移動して吸気口2を開放する。
一方、ロッカーアーム9が、時計方向(図1において)に回動すると、弁バネ4の付勢力により吸気弁3が上方に移動して吸気口2を閉塞するとともに、クロスヘッド5を上昇させる。
ロッカーアーム9の作動部9bには、押圧部9aとクロスヘッド5との隙間を調整するアジャストスクリュー11が螺合している。アジャストスクリュー11は、一端部が半球形状を有し、他端部に雄ネジが形成されている。
また、ロッカーアーム9の作動部9bに螺合したアジャストスクリュー11の他端部には、ロックナット12が螺合してあり、ロックナット12をロッカーアーム9に密着させることにより、アジャストスクリュー11の弛み止めが可能となっている。
アジャストスクリュー11の半球形状をした一端部は、プッシュロッド13の一端部に収容してある。
プッシュロッド13の一端部には、半球形状の凹部13aが形成されており、アジャストスクリュー11の半球形状を有した一端部の収容が可能である。
プッシュロッド13は、ロッカーアーム9を反時計方向(図1において)に回動させるものである。プッシュロッド13の他端部13bは、タペットアーム14の腕部上方に設けたプッシュロッド収容部14aに収容されている。
ロッカーアーム9の作動部9bとシリンダヘッドとの間には、リターンバネ15が張架されている。リターンバネ15は、ロッカーアーム9を時計方向(図1において)に付勢するものであり、アジャストスクリュー11の一端部をプッシュロッド13の凹部13aに収容した状態を持続可能にしている。
尚、リターンバネ15は、ロッカーアーム9を時計方向(図1において)に付勢するものであればよく、ロッカーシャフト10の回りに巻装したねじりコイルバネであってもよい。
この場合には、コイルバネの一端をロッカーアーム9に固定し、他端をシリンダヘッドに固定する。
タペットアーム14は、タペットシャフト16を軸として回動可能に取り付けてあり、タペットアーム14が時計方向(図1において)に回動すると、タペットアーム14がプッシュロッド13を押し上げてロッカーアーム9を反時計方向(図1において)に回動させる。
また、タペットアーム14の腕部下方には、ローラフォロア17が回転自在に取り付けてあり、ローラフォロア17の下方には、当該ローラフォロア17と転がり接触するカム18が回転可能に設けてある。
カム18は、エンジンのクランクシャフト82と連繋して回転し、タペットアーム14、プッシュロッド13、ロッカーアーム9およびクロスヘッド5を介して、吸気弁3を吸気口2が開放する方向に移動させることを可能としている。
したがって、カム18の外形形状(カムプロファイル)により、吸気口2の開放タイミングと、吸気弁3の弁リフト量とが制御される。
尚、本実施例では、説明の便宜上、吸気弁3が吸気口2を開放する方向に移動することを「開放移動」、閉塞する方向に移動することを「閉塞移動」、吸気口2の全閉時の吸気弁3の位置から吸気口2の開放時の吸気弁3の位置までの距離に対応する量を「弁リフト量」といい、「弁リフト量」はその量に対応して正の値で示され、吸気口2が全閉の時の値を0(零)として示される。
クロスヘッド5の上方には、油圧アクチュエータ20が設けてある。油圧アクチュエータ20は、ピストン23のロッド部23cの先端部がクロスヘッド5に当接し、かつ、クロスヘッド5の動作と連動可能に配設してある。
所定のタイミングで、ロッド部23cの先端部がクロスヘッド5を押圧し、上述したカム18、タペットアーム14、プッシュロッド13およびロッカーアーム9の動作に拘わらず、吸気弁3が吸気口2の所定開度での開放状態を持続することができるように構成されている。
本実施例に適用した油圧アクチュエータ20は、単動式であって、ブロック21にシリンダ部22が一体に形成され、作動油の流れを制御する油圧制御弁30が収容取付可能に構成されている。
油圧制御弁30は、例えば入力ポート30aと出力ポート30bとを有する二ポート電磁開閉弁である。
ブロック21には、シリンダ部22と油圧制御弁30の出力ポート30bとを連通する給排管路21dが形成され、また、アキュームレータ50の出力ポート50aと油圧制御弁30の入力ポート30aとを連通する第1管路21bが形成されている。
油圧アクチュエータ20のシリンダ部22には、円筒形の加圧室22aが形成されており、前記加圧室22aの一端は、ピストン23の挿入が可能なように開放され、ピストン23により閉塞されるように構成されている。
また、前記加圧室22aの他端は、前記給排管路21dを介して前記油圧制御弁30の出力ポート30bと連通している。
シリンダ部22には、軸方向(図1において上下方向)に摺動自在にピストン23が収容してある。ピストン23は、シリンダ部22の外部に進出するロッド部23cを有している。
ロッド部23cは、根元から先端に向けて漸次細くなる態様で形成したテーパー形状を有し、クロスヘッド5を押圧可能である。
ピストン23のロッド部23cの側方には、前述したように、コントローラ90に接続されたギャップセンサ24が設けてあり、このギャップセンサ24によりロッド部23cとギャップセンサ24との間隙が計測される。
このギャップセンサ24は、例えば渦電流を計測することにより、ロッド部23cとの間隙が計測可能である。ロッド部23cがテーパー形状を有することにより、シリンダ部22からロッド部23cが進出する場合には、前記間隙の減少が計測され、シリンダ部22にロッド部23cを引き込む場合には、前記間隙の増加が計測される。
コントローラ90は、ギャップセンサ24が計測したロッド部23cとの間隙を監視することにより、ロッド部23cの動作が監視可能であり、よって、クロスヘッド5に当接し、かつ、クロスヘッド5の動作と連動するロッド部23cの動作から吸気弁3の動作(移動量)の検出が可能である。
ブロック21には、前記油圧制御弁30が取付けられている。油圧制御弁30は、前述したように、入力ポート30aと出力ポート30bとを有する二ポート電磁開閉弁である。
油圧制御弁30は、通常状態(ソレノイド30dが励磁されていない状態)では、入力ポート30aと出力ポート30bが連通し、ソレノイド30dを励磁すると、入力ポート30aと出力ポート30bとの連通状態を遮断する。
したがって、油圧制御弁30の励磁および脱磁を行うことで、油圧制御弁30は、作動油給排状態と作動油遮断状態とに切り替えることが可能である。
具体的には、作動油を第1管路21bおよび油圧制御弁30を経由して給排管路21dに供給すると、作動油は前記加圧室22aに供給され、この供給された作動油がピストン23に作用して、ピストン23がシリンダ部22から押し出され、ロッド部23cが降下する。
その後、油圧制御弁30のソレノイド30dを励磁すると、入力ポート30aと出力ポート30bの連通状態が遮断され、この状態で、ロッド部23cがシリンダ部22側(図1において上方)に押し上げられても、前記加圧室22aに作動油が封止され、この封止された作動油によりピストン23の動作は阻止されて停止する。
その後、油圧制御弁30のソレノイド30dを脱磁すると、入力ポート30aと出力ポート30bとが再び連通状態となり、この状態でピストン23のロッド部23cをシリンダ部22側に押し上げると、ピストン23が上昇し、給排管路21dから作動油が流出する。
流出した作動油は、油圧制御弁30の出力ポート30bおよび入力ポート30a、並びに第1管路21bを経由して、油圧アクチュエータ20の外部に漸次流出し、ピストン23がシリンダ部22の前記加圧室22aに収容され、油圧アクチュエータ20の一連の作用が終了する。
油圧制御弁30のソレノイド30dは、コントローラ90に接続されており、コントローラ90により油圧制御弁30の励磁タイミングおよび励磁時間が制御される。
尚、コントローラ90は、油圧制御弁30をミリセック(1/1000秒)単位で任意に制御可能である。
油圧アクチュエータ20の加圧室22aには、コントローラ90に接続された前述の油圧検出手段71が設けてあり、この油圧検出手段71により加圧室22aの油圧が計測される。
コントローラ90は、油圧検出手段71により計測される加圧室22aの油圧を監視することで、加圧室22aに作動油が封止された時のサージ圧力を検出することができる。
ブロック21の第1管路21bには、アキュームレータ50の出力ポート50aが接続されている。
アキュームレータ50は、油圧を蓄圧する蓄圧手段を成すもので、本実施例におけるアキュームレータ50は、メカニカルなアキュームレータである。
アキュームレータ50は、上述した出力ポート50aと、当該出力ポート50aと連通する入力管路50cと、入力管路50cに連通する入力ポート50dとを有しており、入力管路50cには、蓄圧部52が設けてある。
蓄圧部52は、アキュームレータ50本体に形成したシリンダ55を有している。シリンダ55は入力管路50cと連通しており、入力ポート50dから供給された作動油、および出力ポート50aから供給された作動油が流入可能である。
シリンダ55の内部には、シリンダ55の軸方向に摺動するプランジャ56と、プランジャ56をシリンダ55の底壁に向けて(図1において下方に向けて)付勢する圧縮バネ57とを有している。
したがって、アキュームレータ50の入力ポート50dから低圧の作動油が供給され、該作動油がプランジャ56を押圧しても、プランジャ56は圧縮バネ57の付勢力に抗することができず、出力ポート50aから作動油が流出する。
一方、油圧アクチュエータ20のシリンダ部22から流出した作動油で、かつ前記入力ポート50dから供給される作動油よりも高圧な作動油がアキュームレータ50の出力ポート50aから供給されると、該作動油がプランジャ56を押圧し、プランジャ56は圧縮バネ57の付勢力に抗して移動する。このとき、蓄圧部52には作動油が貯留(蓄圧)される。
これら油圧アクチュエータ20、油圧制御弁30、アキュームレータ50は、図2に示すような油圧回路60(破線で囲まれた油圧回路)を形成している。油圧回路60には、エンジンに付随し、かつエンジンに潤滑油を供給する潤滑ユニット61からアキュームレータ50の入力ポート50dを経由して低圧な作動油を供給することが可能である。
また、潤滑ユニット61と油圧回路60との間には、チェック弁62が配設されており、このチェック弁62により油圧回路60の油圧が前記潤滑ユニット61の油圧よりも小さい場合にのみ、前記潤滑ユニット61から油圧回路60に作動油が供給され、油圧回路60側から前記潤滑ユニット61に作動油が流れ込まないようになっている。
また、チェック弁62と油圧回路60との間には、リリーフ弁63が設けてある。リリーフ弁63は、油圧回路60の油圧が予め設定した圧力よりも高圧となった場合に、油圧回路60の作動油をエンジンのオイルパン64に排出するようになっている。
このように形成された油圧回路60により、エンジンを始動すると、エンジンに付随した潤滑ユニット61からチェック弁62を介してアキュームレータ50、油圧制御弁30、油圧アクチュエータ20の順に低圧な作動油が供給され、油圧制御弁30、油圧アクチュエータ20に作動油が充填される。
そして、エンジンの作動に伴って、エンジンピストン80およびクランクシャフト82に連繋して、カム18、タペットアーム14、プッシュロッド13、ロッカーアーム9、クロスヘッド5の順に動力が伝達され、エンジンの吸気行程においては、吸気弁3の開放移動または閉塞移動により吸気口2が開閉され、エンジンの圧縮行程、爆発行程、排気行程においては、吸気弁3の閉塞移動により吸気口2が閉塞される。
このように構成された可変弁装置1の動作について、図3乃至図9を参照して説明する。
尚、図3乃至図8は、可変弁装置1の作用を示す模式図であり、図9は、エンジンの吸気行程におけるカムの回転角と弁リフト量との関係を示す図である。
図3に示すように、可変弁装置1が適用されたエンジンの圧縮行程、爆発行程および排気行程では、吸気弁3は、弁バネ4の付勢力により、吸気口2を全閉しており、このときのカム18の回転角と弁リフト量との関係は、図9の閉塞領域に示されるような関係にあり、カム18の回転角に関係なく、吸気弁3の弁リフト量の値が0となる。
また、図4に示すように、エンジンの吸気行程が開始されると、クランクシャフト82と連繋して回転するカム18から、タペットアーム14、プッシュロッド13、ロッカーアーム9、クロスヘッド5の順に動力が伝達され、吸気弁3が下降(開放移動)することにより吸気口2が漸次開放する。
このとき、前記潤滑ユニット61からの作動油は、油圧制御弁30、油圧アクチュエータ20の順に供給され、ピストン23のロッド部23cがクロスヘッド5と当接しながら下方に漸次進出して、アキュームレータ50に貯留されている作動油が油圧アクチュエータ20のシリンダ部22の加圧室22aに漸次供給される。
また、このときのカム18の回転角と弁リフト量との関係は、図9の開放作用領域に示されるような関係にあり、カム18の回転角の増加に伴って吸気弁3の弁リフト量が漸次増加する。
尚、ロッド部23cが下方に進出する力は、吸気弁3の弁バネ4の付勢力に抗して吸気弁3を下方に押し下げるだけの力を有しておらず、よってロッド部23cがクロスヘッド5を押圧することで、ロッカーアーム9の作動に拘わることなく吸気弁3を下方に押し下げることはない。
また、アキュームレータ50に作動油が貯留されていない場合には、エンジンに付随した潤滑ユニット61からチェック弁62を介して油圧回路60に作動油が漸次供給される。
図9に示すように、吸気弁3の開放移動に伴い、吸気弁3の弁リフト量が最大(図中の点Pの位置)になると、図5に示すように、吸気口2は全開状態となり、その後、図6に示すように、吸気弁3の弁バネ4およびリターンバネ15の付勢力により、クロスヘッド5、ロッカーアーム9、プッシュロッド13、タペットアーム14がカム18に追従して作動し、吸気弁3が上方に移動(閉塞移動)して吸気口2を漸次閉塞する。
このときのカム18の回転角と弁リフト量との関係は、図9の閉塞作用領域A(点Pから点Qを経由して点Rに至る曲線)に示される関係にあり、カム18の回転角の増加に伴って弁リフト量が漸次減少する。このとき、ピストン23のロッド部23cはシリンダ部22内に漸次収容され、よってシリンダ部22の加圧室22aの作動油はアキュームレータ50に貯留される。
したがって、油圧アクチュエータ20はピストンポンプの機能を有することになり、作動油が油圧アクチュエータ20、油圧制御弁30を介してアキュームレータ50に貯留される。
そして、図9の閉塞作用領域Aに示されるように、弁リフト量が最小(図中の点Rの位置)になると、即ち、弁リフト量が0の値になると、図7に示すように、吸気弁3は吸気口2を全閉状態にする。
前述の閉塞作用領域A内において、閉塞作用領域A内の所定のクランク角(カム回転角)で、油圧制御弁30を励磁すると、図8に示すように、油圧制御弁30の入力ポート30aと出力ポート30bの連通状態が遮断され、油圧制御弁30が作動油給排状態から作動油遮断状態に移行する。
すると、シリンダ部22の加圧室22aに作動油が封止され、ピストン23は加圧室22aに封止された作動油に阻止されて停止する。
すると、停止したピストン23のロッド部23cがクロスヘッド5を押圧して、図8に示すように、吸気弁3が所定の開度で吸気口2の開放状態を持続し、エンジンの吸気行程における吸気口2の閉塞タイミングが遅延する。
このときのカム18の回転角と弁リフト量との関係は、図9の閉塞遅延領域に示される関係にあり、油圧制御弁30が励磁されている所定時間の間は、カム18の回転角が増加しても吸気弁3の弁リフト量は一定となる。
一方、ロッカーアーム9は、停止したピストン23のロッド部23cがクロスヘッド5を押圧して吸気弁3が吸気口2を開放状態に持続している場合であっても、リターンバネ15の付勢力により、プッシュロッド13と密着して、カム18の外径形状(カムプロファイル)により制御される。したがって、ロッカーアーム9からプッシュロッド13が脱落することなく、ロッカーアーム9はクロスヘッド5とロッカーアーム9との間に間隙が生じるように動作する。
予め設定された所定の時間の経過後、油圧制御弁30を脱磁すると、油圧制御弁30は入力ポート30aと出力ポート30bが連通する状態に切り換えられて、作動油遮断状態から作動油給排状態に移行する。
すると、吸気弁3の弁バネ4の付勢力により、吸気弁3が吸気口2を漸次閉塞し、このとき、クロスヘッド5が上昇してピストン23のロッド部23cを上方に押圧して、ピストン23は、再びシリンダ部22内に漸次収容され、シリンダ部22の加圧室22aの作動油は油圧制御弁30を経由してアキュームレータ50に貯留される。
このときのカム18の回転角と弁リフト量との関係は、図9の閉塞作用領域Bに示される関係にあり、カム18の回転角の増加に伴って弁リフト量が漸次減少する。
そして、閉塞作用領域Bに示されるように、弁リフト量が最小(図中の点Sの位置)になると、即ち、弁リフト量が0の値になると、前述した図7に示すように、吸気弁3により吸気口2が全閉状態となる。
このように、可変弁装置1は、吸気行程における所定のタイミングで油圧制御弁30を励磁することで、ピストン23のロッド部23cの上昇移動および吸気弁3の閉塞移動を停止させ、吸気弁3による吸気口2の閉塞タイミングを遅延させる制御(説明の便宜上、「吸気閉塞遅延制御」という。)が可能であり、この制御をエンジンの運転状態に対応させて実施することで、エンジンの運転状態に適した吸気量の調整が可能である。
ところが、油圧制御弁30を駆動する作動油の温度が変化すると、油圧制御弁30の動作速度が変化する場合があり、この動作速度の変化により可変弁の開閉タイミングにずれを生じ、吸気弁3が吸気口2を全閉状態(説明の便宜上、「閉じ端」という。)にするタイミングにばらつきを発生させる場合がある。
そして、この閉じ端タイミングのばらつきは、結果として、圧縮比を変化させ、燃焼に影響を与える場合がある。
そこで、本発明に係わる可変弁装置1の吸気閉塞遅延制御は、以下に説明するように、油圧制御弁30の動作速度などを示す応答性能が温度環境により変化しても、吸気弁3の閉じ端タイミングのばらつきを抑制するように構成されている。
図10は、前述した可変弁装置1の動作に伴う各センサで計測される計測信号の一例を示す説明図である。
尚、図10(a)は、TDC検出センサ70で計測されるTDC検出センサ信号100の一例を示す図、図10(b)は、クランク角検出センサ72で計測される回転数検出信号(パルス信号)110の一例を示す図、図10(c)は、コントローラ90で生成されて出力される吸気閉塞遅延制御信号(以下、VVA起動信号という。)120の一例を示す図、図10(d)は、ギャップセンサ24で計測される弁リフト量信号130の一例を示す図、図10(e)は、油圧検出手段71で計測される油圧信号140の一例を示す図である。
可変弁装置1の制御は、コントローラ90により行われており、コントローラ90は、吸気行程における閉塞遅延制御を実施するために、エンジンの気筒毎に吸気行程のエンジンピストン80が上死点に位置したら、TDC検出センサ70から出力されるTDC検出センサ信号100、クランク角検出センサ72から出力される回転数検出信号(クランク角に応じたパルス数のパルス信号)110、ギャップセンサ24から出力される弁リフト量信号130および油圧検出手段71から出力される油圧信号140を監視し、気筒毎にTDC検出センサ信号100が検出されると、回転数検出信号110のパルス数のカウントアップを開始するとともに、回転数検出信号110に基づきエンジンの回転数を計算する。
この期間の吸気弁3の動作は、弁リフト量信号130の閉塞領域および開放作用領域としてギャップセンサ24により計測され、加圧室22aの油圧が油圧信号140の作動油給排領域Aとして油圧検出手段71により計測される。
カウントアップされたパルス数が予め設定されたパルス数(説明の便宜上、「VVA起動設定パルス」という。)111(図10(b)参照)に達すると、コントローラ90は、油圧制御弁30を励磁するVVA起動信号の出力タイミング(説明の便宜上、「励磁指示タイミング(Pcom)」という。)に達したと判断して、VVA起動信号120を生成して油圧制御弁30に出力し、油圧制御弁30を励磁する。
尚、カウントアップされた回転数検出信号110のパルス数が、吸気弁3の閉塞移動中にVVA起動設定パルス111に到達するように、VVA起動設定パルス111は設定されている。
VVA起動信号120が油圧制御弁30に出力されると、VVA起動信号120がオン(ON)に設定された期間では、VVA起動信号120の電圧値Vcに対応した励磁電流が油圧制御弁30に出力されて油圧制御弁30が励磁され、オフ(OFF)に設定された期間では、油圧制御弁30への励磁電流の出力が停止され、油圧制御弁30が脱磁される。
したがって、油圧制御弁30は、VVA起動信号120により、励磁指示タイミング(Pcom)から予め設定された一定時間(説明の便宜上、「VVA保持時間」という。)TWだけ励磁される。
油圧制御弁30が励磁されると、前述したように、油圧制御弁30が作動油給排状態から作動油遮断状態に移行し、シリンダ部22の加圧室22aの作動油が封止されて、ピストン23のロッド部23cが停止するので、VVA保持時間TWの間、ロッド部23cが停止して吸気弁3の閉塞移動も停止し、吸気口2の所定開度での開放状態が持続されて、吸気口2の閉塞タイミングが遅延する。
この期間の吸気弁の動作は、弁リフト量信号130の閉塞遅延領域として計測され、加圧室22aの油圧が油圧信号140の作動油遮断領域として計測される。
油圧信号140の作動油遮断領域では、クロスヘッド5と当接して上昇移動していたロッド部23cが停止することで、クロスヘッド5の上昇力が前記停止したロッド部23cを押圧し、その圧力が加圧室22aの急激な油圧の上昇(サージ圧)として計測され、その後、油圧制御弁30が脱磁されるまで、圧力振動するような油圧信号として計測される。
VVA起動信号120のオン(ON)設定後、VVA保持時間TWが経過して、VVA起動信号120がオフ(OFF)に設定されると、油圧制御弁30への励磁電流の出力が停止され、油圧制御弁30が脱磁される。
油圧制御弁30が脱磁されると、油圧制御弁30は、前述したように、作動油遮断状態から作動油給排状態に移行し、吸気弁3の弁バネ4の付勢力により、吸気弁3が閉塞移動して、吸気口2を漸次閉塞し、その後吸気口2が全閉状態となる。
この期間の吸気弁3の動作は、弁リフト量信号130の閉塞作用領域Bとして計測され、加圧室22aの油圧が油圧信号140の作動油給排領域Bとして計測される。
ところが、前述したように、油圧制御弁30の応答性能は、作動油の温度によって変化する場合がある。
図11は、作動油の温度変化による油圧制御弁30の応答性能の変化および吸気弁の閉じ端タイミングのばらつきを示す説明図である。
尚、図11(a)は、VVA起動信号120の一例を示す図、図11(b)は、作動油のある温度環境におけるVVA起動信号120出力時の弁リフト量信号131の一例を示す図、図11(c)は、作動油の別の温度環境におけるVVA起動信号120出力時の弁リフト量信号132の一例を示す図である。
図11(b)および図11(c)に示すように、VVA起動信号120のオン(ON)設定後、吸気弁3の閉塞移動が停止して、吸気口2の所定開度での開放状態が持続される状態に移行するまでの時間(説明の便宜上、「VVA応答性能(ΔP)」という。)およびそのVVA応答性能(ΔP)に伴う吸気弁3の閉じ端(即ち、吸気口2の全閉)のタイミング(説明の便宜上、「閉じ端タイミング(S)」という。)は、作動油がある温度環境の場合には、VVA応答性能(ΔP)がΔP1で、そのときの吸気弁3の閉じ端タイミング(S)がS1となり、作動油が別の温度環境の場合には、VVA応答性能(ΔP)がΔP2で、そのときの吸気弁3の閉じ端タイミング(S)がS2となる。
このように、作動油の温度変化によって吸気弁3の閉じ端タイミング(S)が変化する場合がある。
この吸気弁3の閉じ端タイミング(S)の変化は、前述したように、圧縮比が変化して、燃焼に影響を与える場合がある。
そこで、可変弁装置1のコントローラ90は、吸気弁3の閉じ端タイミング(S)のばらつきを抑制するために、VVA起動信号120のオン(ON)設定後、吸気口2の開放状態の持続制御が実際に作動したタイミングを、加圧室22aの油圧検出手段71で検出される油圧信号の計測結果に基づき検知し、その検知されるタイミングが所定の範囲C1のタイミングに収まるように制御する。
具体的には、VVA起動信号120のオン(ON)設定後、加圧室22aの油圧が予め設定された所定値(閾値)D1を越えた時点のクランク角を検出し、当該検出したクランク角が、予め設定された所定のVVA動作開始クランク角を中心とする所定の範囲C1内に収まるように、VVA起動信号のオン(ON)、オフ(OFF)の設定タイミングまたはVVA起動信号の出力波形を補正して、吸気弁3の閉じ端タイミング(S)のばらつきを抑制するような吸気閉塞遅延制御を実施している。
この本発明に係わる吸気閉塞遅延制御について、図12乃至図16を参照して説明する。
図12および図13は、吸気閉塞遅延制御の制御手順を示す流れ図であり、図14乃至図16は、吸気閉塞遅延制御の制御手順における各センサで計測される計測信号の一例を示す説明図である。
図12および図14に示すように、コントローラ90は、可変弁装置1の油圧制御弁30を励磁するVVA起動信号およびその出力タイミング(励磁指示タイミング(Pcom))を決定するために、TDC検出センサ70から出力されるTDC検出センサ信号100(図14(a)参照)、クランク角検出センサ72から出力される回転数検出信号110(図10(b)参照)、ギャップセンサ24から出力される弁リフト量信号133(図14(d)の点O、点P、点Q1、点S1で示される弁リフト量信号参照)および油圧検出手段71から出力される油圧信号143(図14(e)の破線で示される油圧信号参照)を監視し、TDC検出センサ信号100が検出されると(S100)、回転数検出信号に基づきエンジンの回転数を計算するとともに、回転数検出信号110のパルス数のカウントアップを開始する(S101、S102)。
カウントアップされたパルス数が予め設定されたパルス数(VVA起動設定パルス111)(図10(b)参照)に達すると(S103でYES)、前述した励磁指示タイミング(Pcom)に達したと判断して、この励磁指示タイミング(Pcom)の情報を図示せぬ記憶装置に記憶させるとともに、VVA起動信号123(図14(b)参照)のオン指令を油圧制御弁30に出力して油圧制御弁30を励磁する(S104)。
前記励磁指示タイミング(Pcom)の情報は、例えば、上記TDC検出センサ信号100を検出してからVVA起動信号123がオフ(OFF)からオン(ON)に設定されるまでの時間(または、回転数検出信号110のパルス数に基づくクランク角でもよい)で示される。
VVA起動信号123が油圧制御弁30に出力されると、油圧制御弁30がVVA起動信号123に基づき励磁指示タイミング(Pcom)の時点からVVA保持時間TWだけ励磁される。
尚、S103において、カウントアップされたパルス数がVVA起動設定パルス111に達していない場合は(S103でNO)、回転数検出信号110のパルス数がVVA起動設定パルス111に達するまで待機する。
S104において、油圧制御弁30が励磁されると、シリンダ部22の加圧室22aの作動油が封止され、ピストン23のロッド部23cの上昇移動および吸気弁3の閉塞移動が停止し、所定の開度で吸気口2の開放状態が持続され、その間の吸気弁3の動作が弁リフト量信号133としてギャップセンサ24により計測される。
また、そのときには、クロスヘッド5の上昇力に応じた押圧がロッド部23cに加わり、その圧力により加圧室22aの油圧が急激に上昇(サージ圧)して、図14(e)に示すような油圧信号143のサージ圧信号M1として油圧検出手段71により計測される。
油圧信号143のサージ圧信号M1が計測された時間(またはクランク角)PM1は、実際に吸気弁3の閉塞移動が停止し、所定の開度で吸気口2の開放状態の持続が開始されたことを示している。
次に、S105において、 監視している油圧信号143の計測値が予め設定された閾値D1を超えたことを検出すると、即ち、油圧信号143のサージ圧信号M1を検出すると、そのときの時間(またはクランク角)をサージ圧信号M1の立ち上がり時間(またはクランク角)PM1(説明の便宜上、「VVA動作開始タイミング(Pac)」という。)と見做して、TDC検出センサ信号100を検出した時点からの時間(またはクランク角)として検出する。
S106において、VVA保持時間Twが経過するまで待機し、VVA保持時間Twが経過すると(YES)、S107においてVVA起動信号をオフする。
次に、S108において、前記求めた実際のVVA動作開始タイミング(Pac)と、予め設定された所定の基準VVA動作開始タイミング(Pacs)とに基づき、今回の制御サイクルでのVVA応答性能(ΔP)をVVA応答性能(ΔP1)として次式により算出する(S108)。
VVA応答性能(ΔP)=VVA動作開始タイミング(Pac)−基準VVA動作開始タイミング(Pacs) (1)式。
ここで、VVA応答性能(ΔP,ΔP1)は、基準VVA動作開始タイミング(Pacs)を応答性判断の基準としており、したがって実際のVVA動作開始タイミング(Pac)の大きさにより、正または負の値をとる。また、ここでは、一つの気筒について、TDC検出時点から次回のTDC検出時点までの制御期間を「制御サイクル」と呼ぶ。
VVA応答性能(ΔP1)が算出されると、当該VVA応答性能(ΔP1)が予め設定された所定の範囲C1(C1:0≦|ΔP|<αの範囲、0<α)内にあるか否かを判定し(S109)、範囲C1内にある場合は(S109でYES)、今回の制御サイクルのVVA起動信号123と同一の出力タイミング(励磁指示タイミング(Pcom))で、VVA起動信号123と同一波形のVVA起動信号を油圧制御弁30に出力する制御を次回の制御サイクルの各気筒毎の制御時に実施する(S110)。
即ち、VVA応答性能(ΔP1)が所定の範囲C1内であれば、そのVVA応答性能(ΔP1)に伴う吸気弁3の閉じ端タイミング(S)が閉じ端タイミングのばらつきの許容範囲内にあると見做されるため、次回の制御サイクルのための励磁指示タイミング(Pcom)およびVVA起動信号の波形の補正は不要である。
尚、前記所定の範囲C1とは、VVA応答性能(ΔP)の大きさが許容される範囲を示す値であり、この範囲内に含まれる閉じ端タイミングのばらつきであれば、エンジンの燃焼に影響を与えない範囲を示す値である。
一方、前記算出されたVVA応答性能(ΔP1)が所定の範囲C1内でない場合は(S109でNO)、S111に移行する。図13に示すように、S111においては、当該VVA応答性能(ΔP1)の絶対値に相当するクランク角の大きさが吸気行程の制御範囲(吸気行程で本可変弁装置の制御が可能なクランク角の範囲)の30%未満、または30%以上60%未満、または60%以上の何れの範囲内にあるかを判別する。そして、前記VVA応答性能(ΔP1)の絶対値に相当するクランク角の大きさが前記制御範囲の30%未満の場合は(S112でYES)、今回の制御サイクルのVVA起動信号123の出力タイミング(励磁指示タイミング(Pcom))と同一タイミングで、VVA起動信号123の波形をVVA起動信号124(図14(c)参照)の波形に補正して次回の制御サイクルで油圧制御弁30に出力するように、次回の制御サイクルにおける各気筒毎のVVA起動信号124の出力タイミングと波形を設定する(S113)。
具体的には、次回の制御サイクルで油圧制御弁30に出力するVVA起動信号124の出力タイミングを今回の制御サイクルのVVA起動信号123の励磁指示タイミング(Pcom)と同様とし、かつ、VVA起動信号123の出力電圧Vcに所定の調整電圧ΔVを加算した電圧をVVA起動信号124の出力電圧として、油圧制御弁30の応答性能を改善し、吸気弁3の閉じ端タイミングが所定の範囲のタイミングに収まるように補正する。
ここで、調整電圧ΔVの絶対値は経験値であり、その符号はVVA応答性能(ΔP,ΔP1)の符号と同じである。したがって、VVA応答性能(ΔP,ΔP1)が正のときは、VVA起動信号124の出力電圧=Vc+|ΔV|、VVA応答性能(ΔP,ΔP1)が負のときは、VVA起動信号124の出力電圧=Vc−|ΔV|、となる。
尚、VVA起動信号123,124の出力電圧の大きさは、作動温度許容範囲において油圧制御弁30が油圧力に抗して正常に作動できる所定範囲内に設定されるものとする。
このように補正することで、次回の制御サイクルでは、油圧信号144(図14(e)参照)の計測値として前記所定の閾値D1を超えるようなサージ圧信号M2が検出され、そのサージ圧信号M2の立ち上がり時間(またはクランク角)PM2(VVA動作開始タイミング(Pac2))と、前記基準VVA動作開始タイミング(Pacs)とに基づき(1)式により算出されるVVA応答性能(ΔP)が、今回の制御サイクルのVVA起動信号123を出力した場合のΔP1から、VVA起動信号124を出力した場合のΔPt(=Pac2−Pacs、|ΔPt|<|ΔP1|)へと改善することが期待される。
その結果、吸気弁3の閉じ端タイミング(S)がS1からSt(図14(d)参照)へ変化して、エンジン回転数やエンジン負荷などのエンジンの運転状態に応じた一定の閉じ端タイミング(クランク角)Stに調整される。
また、前記算出されたVVA応答性能(ΔP1)の絶対値に相当するクランク角の大きさが前記吸気行程の制御範囲の30%以上60%未満の場合は(S112でNO、かつS114でYES)、図15(c)のVVA起動信号126に示すように、VVA起動信号126の出力タイミングを今回の制御サイクルのVVA起動信号123(図15(b)参照)の励磁指示タイミング(Pcom)よりもΔP2だけ早めたタイミング(Pcom1)に補正し、VVA起動信号123の波形をVVA起動信号126(図15(c)参照)の波形に補正して油圧制御弁30に出力するように、次回の制御サイクルにおける各気筒毎のVVA起動信号126の出力タイミングと波形を設定する(S115)。
ここで、ΔP2は、今回の制御サイクルで求めた前記VVA応答性能ΔP1に所定の係数K1(0<K1<1)を掛けて求めたものであり、係数K1の大きさは経験値である。 したがって、ΔP2はΔP1と同符号である。
具体的には、次回の制御サイクルで油圧制御弁30に出力するVVA起動信号126の出力タイミングを今回の制御サイクルのVVA起動信号123の励磁指示タイミング(Pcom)よりもΔP2だけ早めたタイミング(Pcom1)とし、かつ、VVA起動信号126の出力電圧をVVA起動信号123の出力電圧Vcに所定の調整電圧ΔVを加算した電圧として、油圧制御弁30の応答性能を改善し、吸気弁3の閉じ端タイミングが所定の範囲のタイミングに収まるように補正する。
ここで、「ΔP2だけ早めたタイミング」とは、ΔP2が正のときにはΔP2だけ早め、ΔP2が負のときには|ΔP2|だけ遅くしたタイミングである。また、上記で求めたVVA起動信号126の出力タイミングは、本可変弁装置の制御を正常に実施できるような所定の制御可能範囲内に設定されるものとする。
尚、VVA応答性能(ΔP,ΔP1)の符号に応じて前記調整電圧ΔVの符合が決まり、VVA起動信号126の出力電圧を算出する仕方は前記と同様である。
このように補正することで、次回の制御サイクルでは、油圧信号146(図15(e)参照)の計測値として前記所定の閾値D1を超えるようなサージ圧信号M4が検出され、そのサージ圧信号M4の立ち上がり時間(またはクランク角)PM4(VVA動作開始タイミング(Pac4))と、前記基準VVA動作開始タイミング(Pacs)とに基づき(1)式により算出されるVVA応答性能(ΔP)が、今回の制御サイクルのVVA起動信号123を出力した場合のΔP1から、VVA起動信号126を出力した場合のΔPt(=Pac4−Pacs、|ΔPt|<|ΔP1|)へと改善することが期待される。
その結果、吸気弁3の閉じ端タイミング(S)がS2からSt(図15(d)参照)へ変化して、エンジン回転数やエンジン負荷などのエンジンの運転状態に応じた一定の閉じ端タイミング(クランク角)Stに調整される。
また、前記算出されたVVA応答性能(ΔP1)の絶対値に相当するクランク角の大きさが前記吸気行程の制御範囲の60%以上の場合は(S114でNO)、図16(c)にVVA起動信号128として示すように、VVA起動信号128の出力タイミングを今回の制御サイクルのVVA起動信号123(図16(b)参照)の励磁指示タイミング(Pcom)よりもΔP3だけ早めたタイミングに補正し、VVA起動信号123と同様な波形のVVA起動信号128(図16(c)参照)を油圧制御弁30に出力するように、次回の制御サイクルにおける各気筒毎のVVA起動信号128の出力タイミングと波形を設定する(S116)。
ここで、ΔP3は、今回の制御サイクルで求めた前記VVA応答性能ΔP1に所定の係数K2(0<K2<1)を掛けて求めたもので、係数K2の大きさは経験値であり、K2>K1としている。したがって、ΔP3はΔP1と同符号で、|ΔP3|>|ΔP2|である。
具体的には、次回の制御サイクルで油圧制御弁30に出力するVVA起動信号128の出力タイミングを今回の制御サイクルのVVA起動信号123の励磁指示タイミング(Pcom)よりもΔP3だけ早めたタイミング(Pcom2)とし、かつ、VVA起動信号128の出力電圧をVVA起動信号123の出力電圧Vcと同様な電圧値に設定して、吸気弁3の閉じ端タイミングが所定の範囲のタイミングに収まるように補正する。
ここで、「ΔP3だけ早めたタイミング」とは、ΔP3が正のときにはΔP3だけ早め、ΔP3が負のときには|ΔP3|だけ遅くしたタイミングである。また、前述と同様に、上記で求めたVVA起動信号128の出力タイミングは、本可変弁装置の制御を正常に実施できるような所定の制御可能範囲内に設定されるものとする。
このように補正することで、次回の制御サイクルでは、油圧信号148(図16(e)参照)の計測値として前記所定の閾値D1を超えるようなサージ圧信号M6が検出され、そのサージ圧信号M6の立ち上がり時間(またはクランク角)PM6(VVA動作開始タイミング(Pac6))と、前記基準VVA動作開始タイミング(Pacs)とに基づき(1)式により算出されるVVA応答性能(ΔP)が、今回の制御サイクルのVVA起動信号123を出力した場合のΔP1から、VVA起動信号128を出力した場合のΔPt(=Pac6−Pacs、|ΔPt|<|ΔP1|)へと改善する。
その結果、吸気弁3の閉じ端タイミング(S)がS3からSt(図16(d)参照)へ変化して、エンジン回転数やエンジン負荷などのエンジンの運転状態に応じた一定の閉じ端タイミング(クランク角)Stに調整される。
これまでの説明では、吸気閉塞遅延制御におけるVVA起動信号を補正する方法として、本制御のVVA起動信号に対して、その出力タイミング(励磁指示タイミング(Pcom))を変更する場合と、その出力電圧を増減して出力波形を変更する場合とを例に示したが、以下のような他の補正を行っても良い。
他の補正の仕方として、図17(a)に示すように、次回の制御サイクル時のために補正するVVA起動信号の波形を今回の制御サイクルのVVA起動信号に対して、電圧の大きさは同一で、VVA保持時間TWをΔTだけ長く(VVA保持時間TWを|ΔT|だけ増減する)したVVA起動信号129aの波形で補正してもよい。ここで、ΔTは、ΔPに応じて設定される調整量であり、その符号はΔPと同じである。したがって、ΔP>0のときは、VVA保持時間TWはΔTだけ長く、ΔP<0のときは、VVA保持時間TWは|ΔT|だけ短く設定される。
この場合は、例えば、作動油の温度変化によりVVA応答性能(ΔP)が変化して、吸気口2の開放状態の持続開始の動作が遅れた場合、本来、大きな開度で吸気口2の開放状態が持続されるべき制御が開度が小さくなった状態で吸気口2の開放状態が持続されるように制御されるので、その分の吸気量の変化をVVA保持時間TWをΔTだけ長くして補うように補正し、かつ、吸気弁3の閉じ端タイミングが所定の範囲に収まるようにVVA起動信号129aの出力タイミング(励磁指示タイミング(Pcom))を早めに出力するように変更する。
また、図17(b)に示すように、次回の制御サイクル時のために補正するVVA起動信号の波形を今回の制御サイクルのVVA起動信号に対して、電圧の大きさを増減し、かつ、VVA保持時間TWをΔTだけ長く(VVA保持時間TWを|ΔT|だけ増減する)したVVA起動信号129bの波形で補正してもよい。ここで、ΔTは、前記と同様に設定される調整量であり、ΔPの符号に応じてVVA保持時間TWを|ΔT|だけ増減して設定する仕方も前記同様である。
この場合は、例えば、作動油の温度変化によりVVA応答性能(ΔP)が変化して、吸気口2の開放状態の持続開始の動作が遅れた場合、本来、大きな開度で吸気口2の開放状態が持続されるべき制御が開度が小さくなった状態で吸気口2の開放状態が持続されるように制御されるので、次回の制御サイクルのVVA起動信号129bの出力電圧を今回の制御サイクルのVVA起動信号の出力電圧Vcに所定の調整電圧ΔVだけ加算して求めることにより油圧制御弁30の応答性能を改善して、吸気弁3の閉じ端タイミングが所定の範囲に収まるように制御し、かつ、吸気量の変化をVVA保持時間TWをΔTだけ長くして補うように補正する。
以上のように、本発明にかかる可変弁装置は、エンジン弁の動作を可変とするエンジン弁装置に有用であり、特に、ディーゼルエンジンのエンジン弁の技術に適用可能である
本発明に係わる可変弁装置1を示す概念図である。 油圧回路60の一例を示す図である。 可変弁装置1の作用を示す模式図である。 可変弁装置1の作用を示す模式図である。 可変弁装置1の作用を示す模式図である。 可変弁装置1の作用を示す模式図である。 可変弁装置1の作用を示す模式図である。 可変弁装置1の作用を示す模式図である。 吸気行程におけるカムの回転角と弁リフト量との関係を示す図である。 可変弁装置1の動作に伴う各センサで計測される計測信号の一例を示す説明図である。 作動油の温度変化による油圧制御弁30の応答性能の変化および吸気弁の閉じ端タイミングのばらつきを示す説明図である。 吸気閉塞遅延制御の制御手順を示す流れ図である。 吸気閉塞遅延制御の制御手順を示す流れ図である。 吸気閉塞遅延制御の制御手順における各センサで計測される計測信号の一例を示す説明図である。 閉じ端ばらつき抑制制御の制御方法の説明図である。 閉じ端ばらつき抑制制御の制御方法の説明図である。 補正されたVVA起動信号の一例を示す図である。
符号の説明
1 可変弁装置、2 吸気口、3 吸気弁、20 油圧アクチュエータ、22 シリンダ部、22a 加圧室、23 ピストン、23c ロッド部、24 ギャップセンサ、30 油圧制御弁、30a 入力ポート、30b 出力ポート、50 アキュームレータ、50a 出力ポート、52 蓄圧部、60 油圧回路、61 潤滑ユニット、62 チェック弁、63 リリーフ弁、64 オイルパン、70 TDC検出センサ、71 油圧検出手段、72 クランク角検出センサ、80 エンジンピストン、81 コンロッド、82 クランクシャフト、90 コントローラ、

Claims (5)

  1. エンジンの吸気弁を移動させ、吸気口を開放または閉塞する動弁機構を有し、
    前記動弁機構により前記吸気口が全閉になるクランク角を可変とする油圧駆動式の可変弁装置において、
    前記吸気弁の移動によって作動され、前記吸気弁の閉塞移動によってシリンダ部に設けた加圧室の作動油を排出させる油圧アクチュエータと、
    開閉作動により前記油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御し、閉作動したときに前記油圧アクチュエータの加圧室からの作動油の流出を阻止することで前記吸気弁の閉塞移動を阻止する油圧制御弁と、
    エンジンのクランクシャフトの回転角を示すクランク角を検出するクランク角検出センサと、
    エンジンの各気筒がそれぞれ上死点に達したことを検出するTDC検出センサと、
    前記油圧アクチュエータの加圧室の油圧を検出する油圧検出手段と、
    前記吸気弁の閉塞移動中に、前記TDC検出センサの検出信号、および前記クランク角検出センサの検出信号に基づいて所定のクランク角に達したと判断したとき、前記吸気弁の閉塞移動を停止させて所定の開度で前記吸気口の開放状態を所定の時間だけ保持するために、前記油圧制御弁を閉作動させる信号を出力するコントローラとを具備し、
    前記コントローラは、今回の制御サイクルで前記油圧制御弁を閉作動させる信号を前記所定のクランク角で出力した後、前記油圧制御弁の閉作動に伴う前記加圧室の油圧のサージ圧を前記油圧検出手段の検出信号により監視し、前記サージ圧が所定の閾値を超えたときのクランク角を前記油圧制御弁の動作開始クランク角として求め、該動作開始クランク角に基づいて、前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角および波形の少なくともいずれか一方を補正し、該補正した信号を次回の制御サイクルで前記油圧制御弁に出力するようにした
    ことを特徴とする可変弁装置。
  2. 前記コントローラは、前記油圧制御弁を閉作動させる信号をオフした後に前記吸気弁が閉塞移動を終了する前記吸気口全閉のクランク角が所定の範囲に入るように、前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角および波形の少なくともいずれか一方を補正する
    ことを特徴とする請求項1記載の可変弁装置。
  3. 動弁機構によりエンジンの吸気弁を移動させて、吸気口を開放または閉塞し、
    前記吸気弁の移動によって作動される油圧アクチュエータのシリンダ部に設けた加圧室からの作動油の流出を阻止することにより、前記吸気口が全閉になるクランク角を可変とする可変弁装置の制御方法において、
    今回の制御サイクルで、
    前記吸気弁の閉塞移動により前記油圧アクチュエータを作動させて前記油圧アクチュエータの前記加圧室の作動油を排出させ、
    前記吸気弁の閉塞移動中に、エンジンの各気筒がそれぞれの上死点に達した後、所定のクランク角に達したとき、前記油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御する油圧制御弁を閉作動させる信号を前記油圧制御弁に出力して、前記加圧室からの作動油の流出を阻止することで前記吸気弁の閉塞移動を阻止し、
    前記油圧制御弁を閉作動させる信号を所定の時間だけ出力して、前記吸気弁の閉塞移動を停止させ、所定の開度で前記吸気口の開放状態を所定の時間だけ保持し、
    前記加圧室からの作動油の流出が阻止されたことに伴う前記加圧室の油圧のサージ圧を監視し、前記サージ圧が所定の閾値を超えたときのクランク角を実際のVVA動作開始タイミングと見做し、
    該実際のVVA動作開始タイミングに基づいて、前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角および波形の少なくともいずれか一方を補正し、
    次回の制御サイクルで、前記補正した信号を前記油圧制御弁に出力するようにした
    ことを特徴とする可変弁装置の制御方法。
  4. 前記実際のVVA動作開始タイミングと予め設定された所定のVVA動作開始タイミングとを比較し、
    前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも遅いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角を今回の出力クランク角よりも早めにする補正、および次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力値を今回の出力値よりも大きめにする補正の少なくともいずれか一方をし、
    前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも早いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力クランク角を今回の出力クランク角よりも遅めにする補正、および次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力値を今回の出力値よりも小さめにする補正の少なくともいずれか一方をする
    ことを特徴とする請求項3記載の可変弁装置の制御方法。
  5. 前記実際のVVA動作開始タイミングと予め設定された所定のVVA動作開始タイミングとを比較し、
    前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも遅いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも長めにすると共に、出力クランク角を今回の出力クランク角よりも早めにする補正、または次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも長めにすると共に、出力値を今回の出力値よりも大きめにする補正のいずれか一方をし、
    前記実際のVVA動作開始タイミングが前記所定のVVA動作開始タイミングよりも早いときには、次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも短めにすると共に、出力クランク角を今回の出力クランク角よりも遅めにする補正、または次回の制御サイクルの前記油圧制御弁を閉作動させる信号の出力時間を今回の出力時間よりも短めにすると共に、出力値を今回の出力値よりも小さめにする補正のいずれか一方をする
    ことを特徴とする請求項3記載の可変弁装置の制御方法。
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