JP6737669B2 - 真空圧力制御システム及び真空圧力制御用コントローラ - Google Patents
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Description
また、真空弁は、ピストンに装着されたパッキンの摺動抵抗の相違、部品の組立公差や寸法公差などにより、動作特性に個体差がある。特許文献1記載の真空圧力制御システムは、真空弁の動作特性を個別に採取していなかった。そのため、特許文献1記載の真空圧力制御システムでは、動作特性の個体差を見込んで真空弁の操作圧力を制御する必要があった。この場合、操作流体を無駄に排気したり供給したりする不感帯が大きくなり、制御応答性が悪かった。
(1)ピストンにより区画される操作室と、前記ピストンと一体的に移動する弁体と、前記弁体が当接又は離間する弁座と、前記弁体を前記弁座にシールさせるシール荷重を付与するシール荷重付与手段とを有し、真空容器と真空ポンプとの間に配置される真空弁と、前記真空容器の内圧と真空圧力目標値との偏差に基づいて前記真空弁の弁開度を制御する弁開度制御信号を出力するコントローラとを有する真空圧力制御システムにおいて、操作圧力を測定し、操作圧力測定信号を出力する操作圧力センサと、前記弁開度制御信号と前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作室に操作流体を給排気し、前記操作圧力を制御する操作圧力制御機構とを有すること、前記コントローラは、前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の変化率が変化する変曲点を検知し、前記真空弁の動作特性データを採取する動作特性データ採取手段を有し、前記内圧を前記真空圧力目標値に制御する場合に、前記動作特性データを用いて前記弁開度制御信号を生成し、前記操作圧力制御機構に出力すること、を特徴とする。
図1は、本発明の実施形態に係る真空圧力制御システム1の概略構成図である。真空圧力制御システム1は、例えば、半導体の製造に使用される真空容器8の内圧を真空圧力目標値に制御するのに使用される。真空圧力制御システム1は、真空弁2と、電空レギュレータ3(操作圧力制御機構の一例)と、コントローラ4(真空圧力制御用コントローラの一例)を備える。
図2は、図1に示す真空弁2の断面図である。真空弁2の構成は、従来と同様なので、ここでは簡単に説明する。
図3は、電空レギュレータ3の回路図である。電空レギュレータ3は、第1ポート3aと第2ポート3bと第3ポート3cを備える。第1ポート3aは、操作流体を供給する操作流体供給源に接続される。第2ポート3bは大気開放される。第3ポート3cは真空弁2の操作ポート25(図2参照)に接続される。
図4は、コントローラ4のハード構成を示すブロック図である。コントローラ4は、周知のマイクロコンピュータである。コントローラ4は、中央演算処理装置(CPU)41と入出力インターフェース42と記憶部43と電圧制御部44がバス45を介して接続されている。
まず、真空弁2の動作について説明する。図5は、口径が直径50mmの真空弁2のヒステリシス特性の一例を示す。図5の縦軸は、弁開度(mm)を示し、横軸は操作圧力(MPa)を示す。ここで、口径とは、操作室24の平均内径寸法をいう(以下同じ。)。真空弁2は、図中A1,A2に示すように、操作圧力の増加に比例して、弁開度が大きくなる。図中A1は、弁体36が全閉位置から反弁座方向に移動し始める弁開始動ポイントである。弁開始動ポイントの操作圧力は0.16MPaである。図中A2は、弁体36が全開位置に配置され、弁開度が最大になる全開ポイントである。全開ポイントの操作圧力は0.21MPaである。また、真空弁2は、図中A3,A4に示すように、操作圧力の減少に比例して、弁開度が小さくなる。図中A3は、弁体36が全開位置から弁座方向に移動し始める弁閉始動ポイントである。弁閉始動ポイントの操作圧力は0.18MPaである。図中A4は、弁体36が弁座35にシールする全閉ポイントである。全閉ポイントの操作圧力は0.13MPaである。操作圧力は、増加時と減少時との間にヒステリシス(0.03MPa)が発生している。
次に、動作特性データ採取方法を説明する。動作特性データ採取方法は、例えば、半導体製造装置を起動したときに、実行される。真空弁2は、全閉状態を継続すると、パッキン23がシリンダ21の内壁に固着していたり、馴染みにくかったりする。そこで、コントローラ4は、馴らし運転を行ってから、変曲点を検知して動作特性データを採取する。コントローラ4は、馴らし運転を利用して真空弁2の口径を自動的に判定し、判定した口径が所定値以下である場合には、真空弁2の弁開度を操作圧力により制御可能か否かを自動的に判断する。
図7は、制御可能判定機能を示すブロック図である。コントローラ4は、馴らし運転指令手段51により、弁体36を全閉位置と全開位置との間で高速で一往復させるように、電空レギュレータ3にコマンドを出力する。これにより、パッキン23の固着が解消されたり、パッキン23とシリンダ21との間に発生する摺動抵抗が安定したりする。
図9は、動作特性データ採取機能を示すブロック図である。図10は、変曲点の検出方法を説明する図であって、左側縦軸にコマンド(V)を示し、右側縦軸に操作圧力測定電圧(V)を示し、横軸に時間(sec)を示す。コントローラ4は、図9に示す動作特性採取用コマンド制御手段61により、コマンドを最大値(例えば5V)で所定時間(例えば2秒間)出力する。この間、操作圧力測定信号入力手段62が、操作圧力センサ3kの操作圧力測定電圧を入力し、図10に示すような操作圧力データを取得する。
上記のように動作特性データを検出したら、コントローラ4は、操作圧力パラメータ記憶部43aとバイアス値記憶部43bに記憶したデータを用いて、真空弁2の弁開度(操作圧力)を指示する弁開度制御信号を電空レギュレータ3に出力し、真空容器8の内圧を真空圧力目標値に制御する。
発明者らは、実施例と比較例にスロー排気動作を行わせ、制御応答性確認試験を行った。実施例は、上記実施形態のように、真空弁2に弁開閉動作を行わせ、操作圧力データに基づいて第1〜第4変曲点B1〜B4を検知し、真空弁2の動作特性データ(全閉時操作圧力パラメータ、全開時操作圧力パラメータ、弁開始動時操作圧力パラメータ、弁閉始動時操作圧力パラメータ、バイアス値)を自動的に採取し、それらを用いてスロー排気を行った。また、比較例は、真空弁2を予圧せずにスロー排気を行った。また、比較例は、バイアス値を手動で設定した。この他の機器条件や制御条件は、実施例と比較例で同じである。
本実施形態の真空圧力制御システム1は、ピストン22により区画される操作室24と、ピストン22と一体的に移動する弁体36と、弁体36が当接又は離間する弁座35と、弁体36を弁座35にシールさせるシール荷重を付与する圧縮ばね39とを有し、真空容器8と真空ポンプ9との間に配置される真空弁2と、真空容器8の内圧と真空圧力目標値との偏差に基づいて真空弁2の弁開度を制御するコマンドを出力するコントローラ4とを有する真空圧力制御システム1において、操作圧力を測定し、操作圧力測定電圧を出力する操作圧力センサ3kと、コマンドと操作圧力測定電圧に基づいて操作室24に操作流体を給排気し、操作圧力を制御する電空レギュレータ3(操作圧力制御機構の一例)とを有すること、コントローラ4は、操作圧力測定電圧に基づいて操作圧力の変化率が変化する変曲点を検知し、真空弁2の動作特性データを採取する動作特性データ採取手段60を有し、内圧を真空圧力目標値に制御する場合に、動作特性データを用いてコマンドを生成し、電空レギュレータ3に出力すること、を特徴とする。
例えば、口径判定手段52は、馴らし運転指令手段51が真空弁2を開閉する際に操作圧力センサ3kの操作圧力測定電圧を入力し、操作室24から排出される操作流体の排出量を算出し、算出した排気量に基づいて真空弁2の口径を自動的に認識するようにしても良い。これによれば、操作流体の充填量に基づいて口径を判定する場合と同様、真空弁2を真空容器8と真空ポンプ9との間の流路Lに設置した後でも、真空弁2の口径を自動的に判定することができる。
2 真空弁
3 電空レギュレータ(操作圧力制御機構の一例)
3k 操作圧力センサ
4 コントローラ(真空圧力制御用コントローラの一例)
22 ピストン
24 シリンダ
35 弁座
36 弁体
39 圧縮ばね(シール荷重付与手段の一例)
52 口径判定手段
53 制御可能判定手段
60 動作特性データ採取手段
66 バイアス値自動設定手段
A1 弁開始動ポイント
A2 全開ポイント
A3 弁閉始動ポイント
A4 全閉ポイント
B1〜B4 第1〜第4変曲点(大−小増加変曲点、小−大増加変曲点、大−小減少変曲点、小−大減少変曲点の一例)
Claims (7)
- ピストンにより区画される操作室と、前記ピストンと一体的に移動する弁体と、前記弁体が当接又は離間する弁座と、前記弁体を前記弁座にシールさせるシール荷重を付与するシール荷重付与手段とを有し、真空容器と真空ポンプとの間に配置される真空弁と、前記真空容器の内圧と真空圧力目標値との偏差に基づいて前記真空弁の弁開度を制御する弁開度制御信号を出力するコントローラとを有する真空圧力制御システムにおいて、
操作圧力を測定し、操作圧力測定信号を出力する操作圧力センサと、
前記弁開度制御信号と前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作室に操作流体を給排気し、前記操作圧力を制御する操作圧力制御機構とを有すること、
前記コントローラは、
前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の変化率が変化する変曲点を検知し、前記真空弁の動作特性データを採取する動作特性データ採取手段を有し、
前記内圧を前記真空圧力目標値に制御する場合に、前記動作特性データを用いて前記弁開度制御信号を生成し、前記操作圧力制御機構に出力すること、
を特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1に記載する真空圧力制御システムにおいて、
前記動作特性データ採取手段は、前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の減少を検出する範囲で、減少率が小さい状態から大きい状態に変化する小−大減少変曲点を検知し、前記小−大減少変曲点の操作圧力を、前記弁体が前記弁座にシールする全閉ポイントの全閉時操作圧力パラメータとして記憶することにより、前記動作特性データを採取すること、
前記コントローラは、前記真空弁を全閉状態にする場合に、前記全閉時操作圧力パラメータに前記操作圧力を一致させるように前記弁開度制御信号を生成すること、
を特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1又は請求項2に記載する真空圧力制御システムにおいて、
前記動作特性データ採取手段は、前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の増加を検出する範囲で、増加率が小さい状態から大きい状態に変化する小−大増加変曲点を検知し、前記小−大増加変曲点の操作圧力を、前記弁開度が最大になる全開ポイントの全開時操作圧力パラメータとして記憶することにより、前記動作特性データを採取すること、
前記コントローラは、前記真空弁を全開状態にする場合に、前記全開時操作圧力パラメータに前記操作圧力を一致させるように前記弁開度制御信号を生成すること、
を特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項2に記載する真空圧力制御システムにおいて、
前記動作特性データ採取手段は、前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の増加を検出する範囲で、増加率が小さい状態から大きい状態に変化する小−大増加変曲点を検知し、前記小−大増加変曲点の操作圧力を、前記弁開度が最大になる全開ポイントの全開時操作圧力パラメータとして記憶することにより、前記動作特性データを採取すること、
前記コントローラは、前記真空弁を全開状態にする場合に、前記全開時操作圧力パラメータに前記操作圧力を一致させるように前記弁開度制御信号を生成すること、
前記動作特性データ採取手段は、前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の増加を検出する範囲で、増加率が大きい状態から小さい状態に変化する大−小増加変曲点を検知し、前記大−小増加変曲点の操作圧力を前記弁体が前記弁座から離間し始める弁開始動ポイントの弁開始動時操作圧力パラメータとして記憶すると共に、前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の減少を検出する場合に、減少率が大きい状態から小さい状態に変化する大−小減少変曲点を検知し、前記大−小減少変曲点の操作圧力を前記弁体が全開位置から弁座方向に移動し始める弁閉始動ポイントの弁閉始動時操作圧力パラメータとして記憶することにより、前記動作特性データを採取すること、
前記コントローラは、
前記全閉時操作圧力パラメータと前記弁開始動時操作圧力パラメータとの差圧、及び、前記全開時操作圧力パラメータと前記弁閉始動時操作圧力パラメータとの差圧に基づいて、バイアス値を自動的に設定するバイアス値自動設定手段を有し、
前記真空弁を全閉状態から弁開させる場合、及び、前記真空弁を全開状態から弁閉させる場合に、前記バイアス値を前記操作圧力制御機構に出力すること、
を特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載する真空圧力制御システムにおいて、
前記コントローラは、前記操作室に充填される前記操作流体の充填量、又は、前記操作室より排出される前記操作流体の排出量に基づいて前記真空弁の口径を判定する口径判定手段を有すること、
を特徴とする真空圧力制御システム。 - 請求項5に記載する真空圧力制御システムにおいて、
前記コントローラは、前記口径判定手段が判定した前記口径が所定値以下である場合に、前記操作圧力のランプアップ制御とランプダウン制御を行い、前記操作圧力センサが出力する前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力のランプ制御変化率を求め、前記ランプ制御変化率を所定のしきい値範囲と比較して前記操作圧力により前記弁開度を制御できるか否かを判定する制御可能判定手段を有すること、
を特徴とする真空圧力制御システム。 - 真空容器と真空ポンプとの間に配置される真空弁の弁開度を制御する弁開度制御信号を、前記真空容器の内圧と真空圧力目標値との偏差に基づいて出力する真空圧力制御用コントローラにおいて、
前記真空弁のピストンにより区画された操作室の操作圧力を測定して、操作圧力測定信号を出力する操作圧力センサに接続されること、
前記操作圧力測定信号に基づいて前記操作圧力の変化率が変化する変曲点を検知し、前記真空弁の動作特性データを採取する動作特性データ採取手段を有すること、
前記真空容器の内圧を前記真空圧力目標値に制御する場合には、前記操作圧力測定信号と前記弁開度制御信号に基づいて前記操作室に操作流体を給排気することにより前記操作圧力を制御する操作圧力制御機構に、前記動作特性データに基づいて生成した前記弁開度制御信号を出力すること、
を特徴とする真空圧力制御用コントローラ。
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