JP2010120994A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供すること、及び耐荷重性能が良好で、かつ銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】基油に、(A)脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルと、(B)(b−1)水酸基価100以上の多価アルコール部分脂肪酸エステル及び/又は(b−2)炭素数8〜30の一価アルコールを配合してなる潤滑油組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる、ギヤ油として好適な潤滑油組成物に関する。
各種機械装置に用いられる歯車(ギヤ)は、通常ギヤボックス中に軸受保持器とともに収納されていて、歯車が歯車軸を介して軸受保持器に保持されて回転する構造を有している。このギヤボックスの軸受保持器の材質は、鋼からなるギヤ軸より硬度が低い銅系合金を用いることが多い。このような歯車の潤滑には、通常ギヤ油が用いられている。
ギヤ油に要求される特性としては、第一に、潤滑条件が厳しい歯車潤滑であることから、境界潤滑条件下で、接触点と反応して摩擦を軽減し、焼付きを防止する極圧性を有することに基づく高い耐荷重能を有することが要求される。この耐荷重能の要求レベルは、技術の進歩とともに益々高くなってきている。
ところで、ギヤ油の耐荷重能の評価方法で、代表的なものとしては、例えば、ドイツ工業規格DIN51354−2に規定されるFZGギヤ試験がある。この試験では、耐荷重能を1〜12ステージとして評価するものであり、12ステージが耐荷重性能が最良であることを示す。
ギヤ油に要求される耐荷重能は、使用される機械装置によって種々のレベルが選択されるが、近年では、このFZGギヤ試験で12ステージに合格する耐荷重能が要求されことが多くなってきた。
ギヤ油の要求特性としては、上記耐荷重能の他に、耐荷重能を維持しつつ、酸化安定性や、腐食防止性などに優れる油剤であることなどが挙げられる。
このような課題を解決する目的で種々のギヤ油が提案されている。例えば、特許文献1では、基油と、リン含有カルボン酸化合物および/またはフォスフォロチオエートを含有するギヤ油組成物が開示されており、耐スラッジ性能及び極圧性に優れる組成物であると記載されている。また、特許文献2では、基油と、分散型粘度指数向上剤を含有するギヤ油組成物が、耐スラッジ性能及び水分離性が優れる組成物として開示されている。さらに、特許文献3では、P系極圧剤と、S原子を含まない有機モリブデン窒素化合物を含有するギヤ油組成物が、極圧性、耐摩耗性、省電力効果、酸化安定性などが良好であることが開示されている。
しかもこれらの特許文献に開示されたギヤ油の多くは、FZGギヤ試験で12ステージに合格するものであるとされている。
しかしながら、仮にFZGギヤ試験で12ステージに合格する潤滑油であっても、軸受保持器に多く用いられる銅系合金に対する耐摩耗性能については、必ずしも満足できるものではないという問題がある。つまり、必要な耐荷重能を有していることにより、ギヤボックスの歯車自体の潤滑は良好であるとしても、銅系合金の摩耗が進行することにより、ギヤボックスの軸受保持器の摩耗が極度に進行し、正常な軸受としての機能を低下させてしまう。そのため、ギヤの伝達効率が悪化し、さらにはギヤボックス自体の寿命を低下させる結果を招来する。
したがって、円滑な潤滑を行うには、耐荷重性能と同時に、銅系合金に対する耐摩耗性を高めることが不可避の性能として要求される。
さらに、ギヤは動力伝達装置であるから、ギヤ油には、摩擦損失が小さく、省エネルギー性が優れることも重要な要件として要求されている。
特開2005−290181号公報 特開2005−290182号公報 特開2007−126552号公報
本発明は、このような状況下で、銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。また、本発明は、耐荷重性能が良好で、かつ銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する潤滑油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のコレステリル誘導体及び特定の多価アルコールの部分脂肪酸エステルなどを配合した潤滑油組成物がその目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明は、
〔1〕基油に、(A)脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルと、(B)(b−1)水酸基価100以上の多価アルコール部分脂肪酸エステル及び/又は(b−2)炭素数8〜30の一価アルコールを配合してなる潤滑油組成物、
〔2〕(A)成分が、炭素数8〜24の脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルである前記〔1〕に記載の潤滑油組成物、
〔3〕さらに、耐荷重添加剤を配合してなる前記〔1〕又は〔2〕に記載の潤滑油組成物、
〔4〕耐荷重添加剤が、ギヤ油用耐荷重添加剤である前記〔3〕に記載の潤滑油組成物、
〔5〕ギヤ油として使用する前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載した潤滑油組成物、
を提供するものである。
本発明によれば、銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供することができる。また、本発明によれば、耐荷重性能が良好で、かつ銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供することができる。
本発明は、基油に、(A)脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルと、(B)(b−1)水酸基価100以上の多価アルコールの部分脂肪酸エステル及び/又は(b−2)炭素数8〜30のアルコールを配合してなる潤滑油組成物である。
本発明で用いる基油としては、特に制限はなく、従来、潤滑油組成物の基油として使用されている鉱油や合成油の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等の一つ以上の処理を行って精製した鉱油、あるいはワックスやGTL WAXを異性化することによって製造される鉱油等が挙げられる。
一方、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン[α−オレフィン単独重合体や共重合体(例えばエチレン−α−オレフィン共重合体)など]、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステルなど)、各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテルなど)、ポリグリコール、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。これらの合成油のうち、特にポリオレフィン、ポリオールエステルが好ましい。
本発明においては、基油として、上記鉱油は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記合成油を一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。更には、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて用いてもよい。
基油の動粘度については特に制限はなく、用途によって適正な粘度を選択する。例えば、工業用ギヤ油として使用するときは、通常、組成物の40℃における動粘度をISO規格で規定する粘度グレードにするため、基油の40℃における動粘度は、20〜800mm2/sの範囲のものが使用される。
基油の粘度指数は、80以上が好ましく、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上、特に好ましくは150以上である。この粘度指数が80以上の基油は、温度(油温)の変化による粘度変化が小さく、高温においても油膜を維持し得る粘度を確保することができる。
本発明の潤滑油組成物においては、(A)成分として、脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルを用いる。この脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルは、例えば、下記の式(I)で表す構造を有するものが好ましい。
Figure 2010120994
上記式(I)において、Rは、脂肪族炭化水素基もしくはヒドロキシ脂肪族炭化水素基を示す。
前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましく、炭素数8〜24の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基であることがさらに好ましい。このような脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素基が使用される。
また、ヒドロキシ脂肪族炭化水素基としては、ヒドロキシル基(水酸基)を有する炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましく、炭素数8〜24の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数12〜18の脂肪族炭化水素基であることがさらに好ましい。このような脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐状の飽和又は不飽和の炭化水素基が使用される。ヒドロキシル基の数については特に制限はないが、通常分子中に1〜3個であり、入手の容易性の点で1個のものがより好ましい。また、ヒドロキシル基の置換位置については特に制限はない。
ここで、脂肪族炭化水素基の具体例としては、例えば、いずれも直鎖状もしくは分岐状の、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル基, イソステアリル基を含む)、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基(オレイル基を含む)、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基などが挙げられる。
また、ヒドロキシル基(水酸基)を有する脂肪族炭化水素基における、脂肪族炭化水素基の具体例としては、前記脂肪族炭化水素基の具体例と同じものを挙げることができる。
本発明の脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルは、公知の方法、例えば、コレステリルエステルと脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸を、酸触媒の存在下でエステル化することのよって製造することができる。
本願発明で用いる脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルの代表例としては、ラウリン酸コレステリルエステル、ミリスチン酸コレステリルエステル、パルミチン酸コレステリルエステル、ステアリン酸コレステリルエステル、イソステアリン酸コレステリルエステル、オレイン酸コレステリルエステル、12−ヒドロキシステアルン酸コレステリルエステルなどが挙げられる。
本発明においては、(A)成分として、これらの脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルを一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、(A)成分の配合量は、組成物基準で0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが特に好ましい。(A)成分の配合量が0.05質量%以上であれば、耐摩耗性などの性能が良好に発現され、また、(A)成分の配合量が10質量%以下であれば組成物の貯蔵安定性を害する恐れがない。
本発明の潤滑油組成物においては、(B)成分として、(b−1)水酸基価100以上の多価アルコール部分脂肪酸エステル及び/又は(b−2)炭素数8〜30のアルコールを用いる。
前記(b−1)の水酸基価100以上の多価アルコール部分脂肪酸エステルにおける多価アルコールとしては、2〜6価のアルコールが好ましい。2〜6価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンなどが挙げられる。本発明においては、これらの中でも、3〜6価のアルコールが好ましく、特にグルセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビタンなどが好適に用いられる。
一方、多価アルコールと部分エステルを形成する脂肪酸としては、炭素数6〜24の脂肪酸が好ましい。脂肪酸の炭素数が6以上であれば目的の効果を良好に発現することができ、また、脂肪酸の炭素数が24以下であれば、溶解性が問題になる恐れはない。
炭素数6〜24の脂肪酸としては、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、また、飽和でも、不飽和でもよい。
直鎖状及び分岐状の飽和脂肪酸としては、例えば、n−ヘキサン酸、イソヘキサン酸などの各種ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、イソヘプタン酸などの各種ペンタン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸などの各種オクタン酸、n−ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソノナン酸などの各種ノナン酸、n−デカン酸、イソデカン酸、3,7−ジメチルオクタン酸などの各種デカン酸、各種ウンデカン酸、各種ドデカン酸、各種テトラデカン酸、各種ヘキサデカン酸、各種オクタデカン酸(ステアリン酸、イソステアリン酸を含む)、各種イコサン酸、各種ヘンイコサン酸、各種トリコサン酸、各種テトラコサン酸が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸としては、各種ヘキセニル酸、各種ヘプテニル酸、各種オクテニル酸、各種ノネニル酸、各種デセニル酸、各種ヘキサデセニル酸、各種オクタデセニル酸(オレイン酸を含む)、各種イコセニル酸、各種ヘンイコセニル酸、各種トリコセニル酸、各種テトラコセニル酸が挙げられる。
これらの中で、効果及び入手性の点から、炭素数12〜18の脂肪酸が好ましく、特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などが好ましい。
本発明に用いる多価アルコール脂肪酸部分エステルは、水酸基価が100以上であることを要する。水酸基価が100未満の多価アルコール脂肪酸部分エステルでは、耐摩耗性向上効果や、摩擦低減効果が不充分なことがある。従って、多価アルコール脂肪酸部分エステルの水酸基価は、120以上のものがより好ましく、150以上のものがさらに好ましい。一方、多価アルコール脂肪酸部分エステルの水酸基価の上限については、特に制限はないが、溶解性を高める観点から、通常250以下のものが好ましい。
なお、この水酸基価は、JIS K0070に規定する方法によって測定した値である。
本発明の用いる多価アルコール脂肪酸部分エステルの代表例としては、水酸基価が100以上のグリセリンミリステート、グリセリンパルミテート、グリセリンオレエート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンオレエート、ソルビタンミリステート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンオレエートなどが好適なものとして挙げられる。
本発明においては、この(b−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明は(B)成分として、上記(b−1)成分とともに、もしくは(b−1)成分の代わりに、(b−2)成分として、炭素数8〜30の一価のアルコールを用いる。
炭素数8〜30の一価のアルコールとしては、入手の容易性、及び溶解性の観点から、炭素数8〜24の一価のアルコールが好ましく、炭素数12〜18の一価のアルコールがより好ましい。このような一価のアルコールは、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族飽和若しくは不飽和アルコールが好ましい。
炭素数8〜30の一価の脂肪族飽和若しくは不飽和アルコールの具体例としては、直鎖状又は分岐鎖状である、オクタノール、デカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールを含む)、ノナデカノール、イコサノール、ヘンイコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、オクテノール、デセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール(オレイルアルコールを含む)、ノナデセノール、イコセノール、ヘンイコセノール、トリコセノール、テトラコセノール、ヘキサコセノール、オクタコセノール、などが挙げられる。
本発明においては、この(b−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の潤滑油組成物においては、(B)成分の配合量は、通常組成物全量基準で0.1〜10質量%の範囲で選択する。配合量が0.1質量%未満であると、耐摩耗性の向上効果や、摩擦低減効果が十分に発揮されないことがあり、10質量%を超えると、その量に見合う効果の向上が認められず、むしろ経済的に不利になる恐れがある。したがって、(B)成分の配合量は、組成物全量基準で0.5〜8質量%の範囲がより好ましく、1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。
本発明の潤滑油組成物においては、上記(A)及び(B)成分とともに、さらに耐荷重添加剤を配合することが好ましい。特に、潤滑油組成物がギヤ油として使用される場合は、通常潤滑条件が厳しい歯車潤滑下で使用されることから、高い荷重に耐えるために必要とされる。
本発明において「耐荷重添加剤」は、特に制限はないが、主として一般に極圧剤といわれる添加剤を包含するものを意味する。
したがって、本発明における耐荷重添加剤としては、少なくとも、スルフィド類(ジヒドロカルビルスルフィド、ジヒドロカルビルポリスルフィドなど)、硫化オレフィン類、硫化油脂類、硫化エステル類、硫化脂肪酸類、アルキルチアジアゾール類などの硫黄系極圧剤、有機亜リン酸エステル類、有機リン酸エステル類、有機ホスホン酸エステル類およびこれらのアミン塩などのリン系極圧剤、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸モリブデン、モリブデンジチオリン酸エステルなどの有機金属系極圧剤、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニルなどのハロゲン系極圧剤、などが含まれる。
さらに、耐荷重添加剤としては、主にギヤ油の耐荷重添加剤として用いられる「SP系極圧剤」と称される、硫黄―リン系極圧剤が挙げられる。これは、硫黄系極圧剤とリン系極圧剤とを組合せた極圧剤であって、例えば、上記硫黄系極圧剤一種以上とリン系極圧剤一種以上とを組合せて混合したものが多種知られている。これらは、例えば、ギヤ油添加剤パッケージなどとして入手することができる。
本発明においては、前記耐荷重添加剤を一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。耐荷重添加剤の配合量は、特に制限はないが、通常組成物全量基準で0.05〜10質量%の範囲で選択する。
また、耐荷重添加剤の種類と配合量の選択方法については、潤滑油組成物の用途に応じて、適宜選択すればよく、例えば、苛酷な潤滑条件下で使用されるギヤ油に用いる場合には、硫黄―リン系極圧剤で所望の耐荷重性能を有するもの、例えば、FZGギヤ試験12ステージ用添加剤を用いればよい。
本発明においては、さらに、必要に応じて酸化防止剤、無灰系分散剤、金属系清浄剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、金属不活性化剤、防錆剤、消泡剤などを配合する。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール;2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
これらの中で、特にビスフェノール系及びエステル基含有フェノール系のものが好適である。
また、アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン;モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系、4,4’−ジブチルジフェニルアミン;4,4’−ジペンチルジフェニルアミン;4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン;4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン;4,4’−ジオクチルジフェニルアミン;4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系、テトラブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジフェニルアミン;テトラオクチルジフェニルアミン;テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系、及びナフチルアミン系のもの、具体的には、α−ナフチルアミン;フェニル−α−ナフチルアミン;更にはブチルフェニル−α−ナフチルアミン;ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン;オクチルフェニル−α−ナフチルアミン;ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのアルキル置換フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。
これらの中で、ジアルキルジフェニルアミン系及びナフチルアミン系のものが好適である。
硫黄系酸化防止剤としては、例えばフェノチアジン、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジドデシルサルファイド、ジオクタデシルサルファイド、ジドデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ドデシルオクタデシルチオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
酸化防止剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。例えば、酸化安定性の効果の観点から、フェノール系酸化防止剤一種又は二種以上とアミン系酸化防止剤一種又は二種以上との混合物が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.1〜5質量%の範囲が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
無灰清浄分散剤としては、例えばコハク酸イミド類、ホウ素含有コハク酸イミド類、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸で代表される一価又は二価カルボン酸アミド類などが挙げられる。
また、金属系清浄剤としては、例えば、カルシウムなどのアルカリ土類金属の中性金属スルホネート、中性金属フェネート、中性金属サリチレート、中性金属ホスホネート、塩基性金属スルホネート、塩基性金属フェネート、塩基性金属サリチレート、過塩基性(例えば、全塩基価が200〜700mgKOH/g)金属スルホネート、過塩基性金属サリチレート、過塩基性金属フェネートなどが挙げられる。これらの無灰清浄分散剤や金属系清浄剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体など)などが挙げられる。
粘度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、通常0.5〜15質量%程度であり、好ましくは1〜10質量%である。
流動点降下剤としては、例えば、重量平均分子量が5000〜50,000程度のポリメタクリレートなどが挙げられる。
流動点降下剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、通常0.1〜2質量%程度であり、好ましくは0.1〜1質量%である。
金属不活性化剤としてベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
金属不活性剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.01〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。
防錆剤としては、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
これら防錆剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜1質量%程度であり、好ましくは0.05〜0.5質量%である。
消泡剤としては、シリコーン油、フルオロシリコーン油及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられ、消泡効果及び経済性のバランスなどの点から、潤滑油組成物全量基準で、0.0005〜0.5質量、好ましくは0.01〜0.2質量%である。
本発明の潤滑油組成物は、上記の組成を有するものであるが、組成物の動粘度は、特に制限はなく、例えば、40℃における動粘度が、20〜800mm2/sの範囲のものが使用される。
本発明の(A)及び(B)成分を配合してなる潤滑油組成物は、銅系合金に対する耐摩耗性に優れる。また、本発明の(A)及び(B)成分とともに耐荷重添加剤を配合した潤滑油組成物は、各種ギヤ油、特に、FZGギヤ試験で12ステージに合格する高い耐荷重性と耐摩耗性を有するギヤ油として有効である。
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、潤滑油組成物の性能は次の方法によって求めた。
(1)FZG摩擦試験
DIN51354−2に準拠し、FZGギヤ試験機を用いて耐荷重性を評価した。
(実験方法及び評価方法)
規格の荷重をギヤに負荷して、ギヤ回転速度1,440rpmで21,700回転に達するまで試験を行った(1ステージ)。荷重ステージを段階的に上昇させ、12ステージ(ピニオントルク534.5Nm)終了後におけるピニオンの16歯面における摩耗痕幅の合計が20mm以下である場合を合格と判定した。
(2) ファレックス摩耗試験
ファレックス試験機を用いて、下記の実験条件で摩耗試験を行い、耐摩耗性を評価した。
(実験条件)
ピンの材質 :高力黄銅C−6782
ブロックの材質:AISI−C1137
荷重 :440N
油温 :80℃
試験時間 :30分
(評価方法)
ピンの摩耗量(mg)を測定して評価した。
(3)FE8軸受摩耗試験
DIN51819−3に準拠し、軸受摩耗量を測定して評価した。
(実験条件)
試験機 :FAG社製FE8(DIN51819−1)
コロ軸受の材質 :高力黄銅
回転数 :7.5rpm
負荷 :100kN
試験時間 :80時間
(評価方法)
2個のコロ軸受の摩耗量の合計(mg)で評価した。結果は、2回の実験(n=2)の平均値である。
(4)LFW−1摩擦試験
LFW−1摩擦試験機(ブロックオンリング試験機)を用いて、荷重30,40及び50lbsの各条件における摩擦係数を測定した。
実験条件は、ブロックの材質H−60(Falex社製)、ピンの材質S−10(Falex社製)、回転数1000rpm、油温60℃、試験時間20分である。
実施例1〜5、比較例1〜6
第1表に示した基油及び添加剤を第1表に示す割合で配合して、潤滑油組成物を調製し、その潤滑油組成物について各性能を評価した。評価結果を第1表に示す。
Figure 2010120994
Figure 2010120994
[注]
1)ISO粘度グレード320の基油〔α‐オレフィンオリゴマー(40℃動粘度=
400mm2/s、100℃動粘度=40mm2/s、粘度指数=150)90質量%とトリメチロールプロパンのイソステアリン酸エステル10質量%との混合物〕
2)ギヤ油添加剤パッケージ〔アフトンケミカル社製、商品名「X−15179」〕
3)ステアリン酸コレステリルエステル〔和光純薬社製、商品名「ステアリン酸コレステリル」〕
4)12ヒドロキシステアリン酸コレステリルエステル〔日清オイリオ社製、商品名「サラコスHS」〕
5)グリセリンオレエート、水酸基価218〔花王社製、商品名「エマゾールMO−50」〕
6)ソルビタンオレエート、水酸基価180〔日光ケミカルズ社製〕
7)オレイルアルコール〔協和油脂社製〕
8)ペンタエリスリトールオレエート、水酸基価4〔日清オイリオ社製〕
9)ペンタエリスリトールオレエート、水酸基価58〔日清オイリオ社製〕
第1表によれば、(A)成分と(B)成分及び耐荷重添加剤を配合した本発明の潤滑油組成物(実施例1〜5)は、FZGギヤ試験12ステージに合格する耐荷重能を有するとともに、ファレックス摩耗試験における高力黄銅の摩耗量が少なく、10.3mg以下であり、LFW−1摩擦試験の摩擦係数も良好である。
これに対し、(A)成分と(B)成分を配合しない比較例1、(A)成分と(B)成分の一方を配合していない比較例2〜6の潤滑油は、ファレックス摩耗試験における高力黄銅の摩耗量が多く13.7mg以上であり、LFW−1摩擦試験の摩擦係数も必ずしも充分ではない。
また、FE8軸受摩耗試験から、軸受の摩耗量は、本発明の潤滑油組成物(実施例1〜5)は、285mg以下であり極めて少ないが、比較例1〜3では、軸受の摩耗量が、402〜830mgであって非常に多いことを確かめることができる。
本発明は、銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供することができる。また、本発明によれば、耐荷重性能が良好で、かつ銅系合金に対する耐摩耗性能が優れる潤滑油組成物を提供することができる。したがって、歯車、軸受など各種用途の潤滑油組成物として利用でき、特に、高い耐荷重能と耐摩耗性とを要求されるギヤ油として有効に利用することができる。

Claims (5)

  1. 基油に、(A)脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルと、(B)(b−1)水酸基価100以上の多価アルコール部分脂肪酸エステル及び/又は(b−2)炭素数8〜30の一価アルコールを配合してなる潤滑油組成物。
  2. (A)成分が、炭素数8〜24の脂肪酸もしくはヒドロキシ脂肪酸のコレステリルエステルである請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. さらに、耐荷重添加剤を配合してなる請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 耐荷重添加剤が、ギヤ油用耐荷重添加剤である請求項3に記載の潤滑油組成物。
  5. ギヤ油として使用する請求項1〜4のいずれかに記載した潤滑油組成物。
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