JP2010118568A - 回路基板の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可撓性フィルム基板の剥離時の帯電量を大きく低減させ、回路パターンへの放電による該回路パターンの断線を抑制する。
【解決手段】補強板に剥離可能な有機物層を介して貼り合わせられた可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対の面に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する回路基板の製造方法であって、可撓性フィルムを補強板から完全に剥離する直前に剥離を一旦停止し、少なくとも停止中に可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の除電を行うことを特徴とする回路基板の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】補強板に剥離可能な有機物層を介して貼り合わせられた可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対の面に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する回路基板の製造方法であって、可撓性フィルムを補強板から完全に剥離する直前に剥離を一旦停止し、少なくとも停止中に可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の除電を行うことを特徴とする回路基板の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、補強板に貼り付けられた可撓性フィルム基板を補強板から剥離する回路基板の製造方法と製造装置に関する。
近年、可撓性フィルムを補強板に貼り合わせ、寸法精度を維持することで、非常に微細な回路パターンを形成することが提案されている。可撓性フィルム基板の回路パターンは、補強板から剥離してから使用されるので、補強板から剥離するときの回路パターンの寸法変化をミクロンオーダーに抑えることが望まれる。したがって、可撓性フィルムに極力応力を加えずに剥離することが求められている。
リジッドな基板から可撓性フィルムを剥離する方法としては、リジッドな基板を固定しておいて可撓性フィルムを剥離する方法が提案されている。具体的には、可撓性フィルムの表面に粘着テープを押し付けたり(例えば、特許文献1参照)、可撓性フィルムの端部を把持したり(例えば、特許文献2参照)、リジット基板と可撓性フィルムのなす角である剥離角を鈍角に保持した状態で、可撓性フィルムを端部からめくりあげることで可撓性フィルムを剥離する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかしながら、いずれも保護フィルムである可撓性フィルムを製品から剥がすものであり、微細な回路パターンが形成された可撓性フィルムを寸法精度や平坦性を損なわずに剥離することについては解決されていなかった。
一方、微細な回路パターンが形成された可撓性フィルムを寸法精度や平坦性を損なわずに剥離する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、この方法では、可撓性フィルムを補強板から剥離する時の剥離帯電に関しては考慮されていない。このような剥離帯電を低減する方法としては、感光性樹脂材料の仮支持体を剥離する際にイオン風を当てる方法等が知られている(例えば、特許文献5参照)。
特開平5−319675号公報(第2頁)
特開平7−315682号公報(第3頁)
特開2002−104726号公報(第5頁)
特開2004−260146号公報(第5頁)
特開2002−169014号公報(第3頁)
特許文献5記載の方法は保護フィルムである可撓性フィルムを製品から剥がす際の除電に関するものであり、回路パターンが形成された可撓性フィルムを補強板から剥離する際には、製品である可撓性フィルムの除電効果が十分ではなかった。本発明者らは、可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面が十分に除電されていない状態で補強板から可撓性フィルム全体を剥離すると、可撓性フィルムの電位が急激に上昇し、回路パターンへの放電により回路パターンの欠けや断線が発生するという課題があることを見出した。
本発明は上記課題を解決するものである。すなわち本発明は、補強板に剥離可能な有機物層を介して貼り合わせられた可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対の面に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する回路基板の製造方法であって、可撓性フィルムを補強板から完全に剥離する直前に剥離を一旦停止し、少なくとも停止中に可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の除電を行うことを特徴とする回路基板の製造方法である。
また本発明の別の態様は、補強板に剥離可能な有機物層を介して貼り合わせられた可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対の面に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する回路基板の製造方法であって、可撓性フィルムを補強板から完全に剥離する直前に剥離速度が減速されており、少なくとも減速された状態で可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の除電を行うことを特徴とする回路基板の製造方法である。
本発明によれば、可撓性フィルム基板の終端が補強板から離れ電位が急激に上昇する前に可撓性フィルム面の帯電量を大きく低減させ、回路パターンへの放電による該回路パターンの断線を抑制することができる。
本発明は、補強板と回路基板となる可撓性フィルムとを剥離する際、可撓性フィルムの一部を湾曲した支持体に沿わせて剥離する方法である。本発明の可撓性フィルムの剥離方法および装置の好ましい例について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図2は本発明の剥離装置1の概略正面図、図3は剥離装置1を用いた別の実施態様を示す概略正面図である。
まず、図1〜図2に記載された剥離装置1について説明する。図1(a)に記載された剥離装置1は下記の構成を主とする。可撓性フィルム4を剥離可能な有機物層3を介してガラス基板である補強板2に接着した可撓性フィルム基板6、補強板2を保持する載置台A30と、可撓性フィルム4を補強板2から実際に剥離する剥離ユニット10、可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面を除電する除電手段35、剥離した可撓性フィルム4を載置する載置台B32より構成されている。
載置台A30と載置台B32は、基台34にそれぞれ昇降自由に取り付けられており、図示しない駆動源により各々独立に自在に昇降できる。また、載置台A30と載置台B32の上面には各々吸引孔が配置されていて、図示していない真空源により、表面に載置されたものを各々独立に吸着保持することができる。
次に剥離ユニット10は、可撓性フィルム4と接する保持部14を先端に有する支持体12と、支持体12を軸16を介して片持ちで回転自在に保持するフレーム18と、フレーム18を基台34上で水平方向に自在に案内するレール20より構成される。保持部14がなく、支持体12に直接可撓性フィルムを沿わせて剥離しても良いが、クッション性を持つ保持部14や電子部品の高さを収容する凹部を設けた保持部14を採用することにより、さらに剥離によるダメージを抑制しやすくなる。軸16は図示されない駆動モータで駆動される。駆動モータによる軸16の回転周速度は自由に設定でき、また、軸16と駆動モータの間には設定以上のトルクが加わると駆動モータ側がスリップするスリップリングが挿入されていて、可撓性フィルムに加わる張力の上限を制御できる。軸16が回転すると、それに合わせて支持体12も回転する。保持部14の表面には吸引孔が配置されている。そして図示しない真空源により、可撓性フィルム4の接触する部分を吸着することができる。保持部14に設けられた吸着孔は保持部14と可撓性フィルム4の接触した部分が順次吸引される構成になっている。また保持部14は可撓性フィルム4を湾曲して保持できるように、その可撓性フィルム4との接触面は曲面となっている。また、図示しない送風源により保持部14の表面に配置された吸着孔へ気体を送り込むことで、保持部14に保持されている可撓性フィルム4を保持部14から剥離することができる。
保持部14の材質は特に限定されないが、プラスチックまたは、ゴム、発泡プラスチック等の弾性体であってクッション性を有することが好ましい。可撓性フィルムに傷がつくことを防止したり、後述するが電子部品に対応した凹部を形成加工しやすい、また凹部のエッジによって可撓性フィルムに折れが発生しにくいなどの効果がある。また保持部14の材質として、シリコーン樹脂等のタック性を有するものは、剥離の進行に伴い可撓性フィルムの伸びが累積して、保持部14と可撓性フィルム4との間のずれ量が増加するのを防止できることから、剥離の進行に伴う剥離角の増加を抑制でき、好ましい。タック性の目安としては保持部14から可撓性フィルム4を剥離するとき180°方向のピール強度が9.8N/m以下であることが好ましい。
可撓性フィルムに接する支持体12または保持部14は剥離帯電による可撓性フィルムの帯電電位を抑制するために、制電性もしくは導電性であることが好ましい。帯電電位が大きくなると、放電が発生して回路パターンや電子部品を損傷するおそれがある。可撓性フィルムの剥離面とは反対の面に制電性あるいは導電性部材が接触していることによって、剥離面に発生する電荷が同じであっても電位を低くすることができるので、放電を防止できるのである。制電性材料としては、導電性材料を含有し、表面抵抗が104Ω以上、1012Ω以下である静電気拡散性を有するプラスチック、ゴム、発泡プラスチックなどが採用できる。
保持部14には、回路パターンが形成された可撓性フィルム4に許容される変形量と剥離性を勘案した曲率半径が与えられるが、部分的に異なる曲率半径が与えられていても良い。曲率半径が小さすぎると、金属からなる回路パターンが塑性変形を起こしてカールが発生したり、電子部品の端部での応力低下効果が不十分になる。一方、曲率半径が大きすぎると、可撓性フィルムの剥離に使われる力よりも可撓性フィルムを引き延ばす方向の力が大きくなりすぎて金属膜からなる回路パターンや可撓性フィルムの塑性変形の原因になる。したがって、少なくとも保持部14の可撓性フィルム4と接触する一部の曲率半径の大きさの下限値としては、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上、さらに好ましくは50mm以上である。また、少なくとも保持部14の可撓性フィルム4と接触する一部の曲率半径の大きさの上限値としては、好ましくは1000mm以下、より好ましくは800mm以下、さらに好ましくは700mm以下である。本発明において、曲率半径とは曲率を持つ部分と同じ曲率を持つ円の半径とする。
さらに、支持体12の回転とフレーム18の水平移動は、図示されていない駆動モータにより、各々独立に行われ、保持部14と可撓性フィルム4との接触部が水平方向(図中の水平矢印方向)に逐次移動するように制御される。支持体12の可撓性フィルム保持面すなわち保持部14表面での回転周速度V1を支持体の補強板に対する相対移動速度V2よりも大きくし、かつ、V1はトルク制限機構により、支持体に加わるトルクが所定の値を超えないようV2を下回らない範囲で制御する。トルク制限の設定値は、剥離の進行に伴い剥離角が増加するのを防止するのに十分であり、かつ、金属からなる回路パターンや可撓性フィルムが塑性変形を起こさない範囲に設定されるべきであり、可撓性フィルムの材質や幅、厚さにより、適宜選択される。
支持体12は軸16を中心に回転させることもできるし、回転を一旦停止し、また再開することもできる。また、回転の速度は適宜変更することができる。このとき、フレーム18の水平移動の速度も、支持体12の回転周速度に合わせて適宜調整される。支持体12の回転とフレーム18の水平移動の速度を安定して制御するためには図示されていない駆動モータとしてサーボモーターを使用することが好ましい。また、軸16を回転させる駆動モータと、フレーム18を水平移動させる駆動モータは、図示しない制御手段により接続されていることが好ましい。1つの制御手段から両方の駆動モータに指示を送ることにより、簡単な装置構成で剥離速度の調整が可能となるからである。図示しない制御手段に予めフレーム18の水平移動速度を設定することにより、支持体12の曲率半径から軸16を回転させる駆動モータの回転数を計算させ、駆動モータをパルス制御することよりフレーム18の水平移動速度と支持体12の回転周速度を適宜調整する。また、剥離動作の停止位置または剥離速度の減速開始位置は図示しないセンサーによりフレーム18の移動位置を検出することで管理してもよいし、図示しない制御手段に予め剥離動作の停止位置または剥離速度の減速開始位置を設定することで、支持体12を回転させるモータとフレーム18を平行移動させるモータの駆動パルスを同調させることで制御してもよい。
載置台A30は昇降自在であるので、可撓性フィルム4と補強板2の剥離時には、可撓性フィルム4と保持部14が一定の圧力で接触する位置まで載置台A30を昇降させて停止させる。一方、載置台B32は、剥離ユニット10の保持部14に吸着した可撓性フィルム4を載置台B32の上に載置するために設けられたものである。すなわち、剥離ユニット10は剥離完了後、可撓性フィルム4を吸着した状態で図1の破線のように、載置台B32の所まで移動する。載置台B32を昇降させて保持部14と載置台B32の間の距離を好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは0.1〜1mmにして、吸着を解除して、可撓性フィルム4を保持部14から開放し、載置台B32に載せ替える。
除電手段35は、接触式のものと非接触式のものが存在するが、本発明においては、フィルム回路基板にかかる物理的負荷を小さくできるよう、非接触式のものを用いることが好ましい。非接触式の除電手段としては、イオナイザーなどが挙げられる。イオナイザーには電極針に電圧を印加し、コロナ放電させることにより電極針周辺の大気をイオン化させることで電極周辺を除電する方式や、イオン化させた大気をエアブローにより拡散させて除電する方式を用いることができるが、比較的に短時間で除電効果が得られることから、後者のイオン化エアーを放出する方式の方が好ましい。
除電手段35は、図1(a)に示すように、基材34上のフレーム18の水平移動を妨げない位置に固定されていてもよいし、図4(f)や(g)に示すように、載置台A30や載置台B32に固定されていてもよい。これらは取り外し可能であってもよい。また、基材34、載置台A30、載置台B32の取り付け面において移動可能なように取り付けられていてもよい。さらに、イオン化エアーを放出する方向を自由に調整できるよう、首振り機能を備えていてもよい。
次に、図1〜図2の(a)、(b)、(c)に示す剥離装置1を用いた可撓性フィルム4の剥離方法について説明する。載置台A30を最下点まで下降させた後に、図示しない移載手段により、可撓性フィルム基板6を補強板2を下側(つまり可撓性フィルム4を上側)にして、載置台A30に載置する。続いて、図示しない真空源を稼働させて、可撓性フィルム基板6を載置台A30上に吸着保持する。次に、剥離ユニット10の保持部14の開始点Sが可撓性フィルム4の図中右端の真上に位置決めされるように、フレーム18の移動と支持体12の回転を行わせる。保持部14の位置決めが完了したら、載置台A30を上昇させて、可撓性フィルム4の右端と保持部14の開始点Sを所定の圧力で接触させる(図1(a))。圧力は好ましくは0.001〜1MPa、より好ましくは0.01〜0.2MPaである。
ついでその状態で、図示しない真空源を稼働させて、保持部14を可撓性フィルム4に吸着させる。その後、フレーム18の左方向への移動と支持体12の左回転を進行させる。保持部14の曲面を(図)右側から可撓性フィルム4の上面に順次接触させる。これによって可撓性フィルム4は、右側から順次湾曲されるために、補強板2から離れていき、その結果両者の剥離が右側から順次行われることになる。
剥離の状態が図2(b)に示すように、保持部14の最終点Eが可撓性フィルム4の左端まできて接触する位置まできたら、支持体12の回転とフレーム18の水平移動を一旦止めることで、剥離を一旦停止する。あるいは、保持部14の最終点Eが可撓性フィルム4の左端まできて接触するまでの間に、支持体12の回転周速度とフレーム18の水平移動速度を十分遅くすることで、剥離速度を十分減速する。すなわち、可撓性フィルム4を補強板2から完全に剥離する直前に剥離速度を減速する。減速した場合は、さらに一旦停止してもよいし、一旦停止せず減速したままの状態で剥離を継続してもよい。
剥離動作を一旦停止した状態、あるいは、剥離速度を減速している状態で、除電手段35から放出したイオン化エアーで可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面を十分に除電する。除電完了後の可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の耐電量は±100V以内が好ましく、±50V以内がより好ましい。その後、剥離動作を一旦停止していた場合は剥離動作を再開し、また、剥離速度を減速していた場合はそのままゆっくりした速度で剥離を最後まで行う。保持部14の最終点Eが可撓性フィルム4の左端を通りすぎたら剥離は完了する。
このように、本発明においては、剥離完了直前に剥離速度が十分小さくなっているか、剥離直前に剥離が一旦停止されているため、十分な除電が可能であり、回路パターンへの放電による回路パターンの欠けや断線を防止することができる。また、剥離直前までは、剥離速度を遅くする必要がないため、生産性の点でも優れている。
なお、除電手段35からイオン化エアーの放出を開始するタイミングは、剥離を開始する前でもよいし、剥離開始と同時、または剥離を開始して一定の時間が経過してからでもよい。また、剥離完了直前の、剥離速度が十分に減速した状態または剥離を一旦停止した状態になってから動作してもよい。少なくとも停止中または減速された状態で除電を行えば、十分な除電が可能となる。
保持部14の最終点Eが可撓性フィルム4の左端まできて接触する位置で剥離動作を一旦停止する場合、剥離開始から剥離動作を一旦停止するまでの間の剥離速度は、遅すぎると剥離時間が長くなり生産性が低下するため10mm/秒以上が好ましく、50mm/秒以上がより好ましい。一方、剥離速度が速すぎると剥離後の可撓性フィルムにシワが入り易くなるため150mm/秒以下が好ましい。また、剥離動作を一旦停止している時間は、短すぎると剥離後の可撓性フィルムが十分に除電できず、長すぎると生産性が低下するため、2秒以上、10秒以下であることが好ましい。なお、一旦停止するまでの間の速度は必ずしも一定である必要はなく、例えば徐々に減速して停止させてもよいし、剥離最中に一旦加速させてから減速し、最終的に停止させてもよい。
保持部14の最終点Eが可撓性フィルム4の左端まできて接触する直前に剥離速度を減速する場合、剥離開始から剥離速度を減速するまでの間の剥離速度は、遅すぎると剥離時間が長くなり生産性が低下するため10mm/秒以上が好ましく、50mm/秒以上がより好ましい。一方、剥離速度が速すぎると剥離後の可撓性フィルムにシワが入り易くなるため150mm/秒以下が好ましい。また、剥離完了前の剥離速度は、遅すぎると剥離時間が長くなり生産性が低下し、速すぎると剥離後の可撓性フィルムが十分に除電できないため、1mm/秒以上、5mm/秒以下であることが好ましい。減速は、剥離完了直前になって急激に行ってもよいし、剥離開始時あるいは途中から徐々に行ってもよい。また、剥離最中に一旦加速させてから減速を開始してもよい。要は、可撓性フィルム4を補強板2から完全に剥離する直前に剥離速度が減速されていればよい。
剥離が完了したら、フレーム18の移動と支持体12の回転を停止し、載置台A30を下降させて、図2(c)に示すように、可撓性フィルム4と補強板2を完全に分離した状態にする。これらの機構が本発明における引き離し手段に該当する。またこれ以外にも剥離角を80゜以下に制御することが可能であれば他の機構を用いても構わない。
その後、保持部14に吸着された可撓性フィルム4の中央部が真下になるまで、支持体12を右回転させる。それからフレーム18を右方向に移動させて、保持部14に保持されている可撓性フィルム4が載置台B32の真上になるように位置決めする。つづいて、載置台B32を上昇させて、載置台B32の上面と可撓性フィルム4の中央部の最下点部のすきまが0.1〜1mmになるようにする。すきまが設定できたら、保持部14の吸着を解除して、可撓性フィルム4を載置台B32に移し替える。ついで図示しない移載装置により、分離された可撓性フィルム4と、載置台A30にある補強板2を各々次の工程に移載する。なお補強板2は吸着を解除して移載する。続いて、剥離ユニット10をもとの位置に戻して、以降同じ動作を繰り返して、次の可撓性フィルム基板6の剥離を行う。
図3(d)に示す剥離装置は、図1の剥離装置1の支持体12の一端に、可撓性フィルム4の端部をかぎ型に保持する保持部材22を固定したものである。保持部材22の材質は特に限定されず、例えば、金属、樹脂、セラミックス等を使用することができるが、本体を金属にして可撓性フィルム4との接触部をゴムや樹脂等の柔らかく、かつ、滑りにくいものにした複合構造等が好ましく使用される。
図3(d)に示す剥離装置を使用した剥離方法は次の通りである。載置台A30を最下点まで下降させ、ついで保持部14が載置台A30の真上にこないようにフレーム18を右側に移動させる。この状態で図示しない移載手段により、可撓性フィルム基板6を補強板2を下側(可撓性フィルム4を上側)にして、載置台A30に載置する。続いて、図示しない真空源を稼働させて、可撓性フィルム基板6を載置台A30上に吸着保持する。
次に、保持部材22のかぎ型になっている部分が、可撓性フィルム4の右端部にはまる位置にくるよう、載置台A30を上昇させる。そして、フレーム18を左側に移動させて、図3(d)に示すように、保持部材22のかぎ型部に可撓性フィルム4の右端部をはまりこませて、保持部材22で可撓性フィルム4の右端部が保持できるようにする。この時の保持部材22のかぎ型部と可撓性フィルム4右端部の厚さ方向のすきまは、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
可撓性フィルム4の端部を保持部材22で保持するためには補強板2から可撓性フィルム4の端部がはみ出していてもよい。また、図3(e)に示すように、別の方法で可撓性フィルム4の端部にリードフィルム23を貼り合わせた可撓性フィルム基板6を載置台A30に載置し、リードフィルム23の端部を保持部材22で保持してもよい。
ついでその状態で、フレーム18の左方向への移動と支持体12の左回転を同期して行って、保持部14の曲面を(図)右側から可撓性フィルム4の上面に順次接触させる。これによって可撓性フィルム4が湾曲しながらその右端部が順次上に持ち上げられ、吸着保持されている補強板2から引き離されることになるので、両者の剥離が右側から順次行われる。
保持部14の最終点Eが可撓性フィルム4の左端まできて接触したら、剥離を一旦停止するか、もしくはそこに至るまでに剥離速度を十分に遅くし、上記と同様にして除電を行う。その後、剥離を再開または低速度での剥離を継続し、保持部14の最終点Eが可撓性フィルム4の左端を通りすぎたら剥離は完了する。剥離が完了したら、フレーム18の移動と支持体12の回転を停止し、載置台A30を下降させて、可撓性フィルム4と補強板2を完全に分離した状態にする。
その後、フレーム18を右方向へ移動させて、保持部材22で保持されていない側の可撓性フィルムの端部が載置台B32の端部と合うように位置決めする。その状態で、フレーム18の右方向への移動と支持体12の右回転を同期して行って可撓性フィルム4を載置台B32へ移し替えて行く。
ついで、保持部材22の保持を解除して、フレーム18をさらに右側に移動させて、保持部材22のかぎ型部分から可撓性フィルム4の右端部が外れるようにし、可撓性フィルム4を載置台B32に完全に移し替える。移し替えが完了したら、載置台B32を最下点まで下降させる。ついで図示しない移載装置により、分離された可撓性フィルム4と補強板2を各々次の工程に移載する。続いて、剥離ユニット10をもとの位置に戻して、以降同じ動作を繰り返して、次の可撓性フィルム基板6の剥離を行う。
本発明は、可撓性フィルム4上に金属からなる回路パターンが設けられている場合、剥離するときの力で回路パターンが変形し、可撓性フィルム4に反りが発生したり、回路パターン寸法精度が低下することを防止し、さらに、ICチップ等の電子部品が可撓性フィルムからなる回路基板に搭載されると、電子部品搭載部分を剥離するための力が大きくなるとともに電子部品端部に力が集中し、回路基板が変形する場合があるので、本発明を実施することで変形、反り、寸法精度等に対する信頼性を奏することができる。またICチップなどの電子部品に樹脂封止が施されている場合でも剥離時に電子部品の端部に加わる応力が緩和され、回路基板の信頼性が向上するので好ましい。
載置台A30による可撓性フィルム基板6の保持方法は特に限定されず、上記の実施態様で示した真空吸着の他、静電気吸着であってもよい。静電気吸着が行えるようにするには、載置台A30は導電性でかつ、静電気の付与の方法に応じて接地電位や任意の電圧が印加できる構造にすることが望ましい。
本発明に使用する補強板2としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸系ガラス、石英ガラスなどの無機ガラス類からなる板、アルミナ、窒化シリコン、ジルコニアなどのセラミックス、ステンレススチール、インバー合金、チタンなどの金属やガラス繊維補強樹脂からなる板など、線膨張係数や吸湿膨張係数が小さいものが好ましい。その中でも、適当な可撓性が得られやすい点で、無機ガラスと金属からなる板が好ましい。さらに、耐熱性、耐薬品性に優れている点、大面積で表面平滑性が高く基板が安価に入手しやすい点、塑性変形しにくい点、搬送装置などとの接触によりパーティクルを発生しにくい点、絶縁体で電解めっきによる析出がない点、等により、無機ガラス類からなる板が特に好ましい。
補強板に厚みが小さいガラス基板を用いる場合、可撓性フィルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦な載置台上に真空吸着したときにガラス基板が割れることがある。また、真空吸着・脱着で可撓性フィルムが変形することになり、位置精度の確保が難しくなる傾向がある。一方、厚みが大きいガラス基板では、剥離のために湾曲しにくくなる上に、肉厚ムラにより平坦性が低下したり、露光精度も低くなる。また、ロボット等によるハンドリング負荷が大きくなり素早い動作ができずに生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する。これらの点から、ガラス基板の厚さは、0.3mmから1.5mmの範囲が好ましい。
補強板に厚みが小さい金属基板を用いる場合、可撓性フィルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦な載置台上に真空吸着できなくなったり、金属基板の反りやねじれが発生する分だけ可撓性フィルムが変形することにより、所定の位置精度が確保できなくなる。また、折れがあるとその時点で不良品になる。一方、厚みが大きい金属基板では、肉厚ムラにより平坦性が低くなるとともに、剥離のための湾曲が行いにくくなり、露光精度も低下する。また、ロボット等によるハンドリング負荷が大きくなり、素早い動作ができなくなって生産性が低下する他、運搬コストも増大する。したがって、金属基板の厚さは、0.1mmから0.7mmの範囲が好ましい。
本発明において、可撓性フィルムとしては、プラスチックフィルムを使用する。例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのフィルムを採用することができる。中でもポリイミドフィルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点や低吸湿性の点で、液晶ポリマーが好適に採用される。可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。また、これらのフィルムが積層されていてもよい。
上記ガラス繊維補強樹脂板の樹脂としては、例えば、エポキシ、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、マレイミド(共)重合樹脂、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。
可撓性フィルムの厚さは、軽量化、小型化、あるいは微細なビアホール形成のためには薄い方が好ましく、一方、機械的強度を確保するためや平坦性を維持するためには厚い方が好ましい点から、4μmから125μmの範囲が好ましい。
本発明に用いられる剥離可能な有機物層としては、接着剤または粘着剤が使用される。剥離可能な接着剤または粘着剤としては、例えば、アクリル系またはウレタン系の再剥離剤と呼ばれる粘着剤を挙げることができる。可撓性フィルム加工中は十分な接着力があり、剥離時は容易に剥離でき、可撓性フィルム基板に歪みを生じさせないために、弱粘着から中粘着と呼ばれる領域の粘着力のものが好ましい。タック性があるシリコーン樹脂を使用することもできる。また、タック性があるエポキシ系樹脂を使用することも可能である。
剥離可能な有機物としては、低温領域で接着力、粘着力が減少するもの、紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものや加熱処理で接着力、粘着力が減少するものも好適に用いられる。これらの中でも紫外線照射によるものは、接着力、粘着力の変化が大きく好ましい。紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものの例としては、2液架橋型のアクリル系粘着剤が挙げられる。また、低温領域で接着力、粘着力が減少するものの例としては、結晶状態と非結晶状態間を可逆的に変化するアクリル系粘着剤が挙げられ、好ましく使用される。
本発明に使用する剥離可能な有機物層の厚みは、薄すぎると平面性が悪くなる他、剥離力が大きく低下するために膜厚のむらによる剥離力の強度むらが発生するため、0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。一方、剥離可能な有機物層の厚みが厚すぎると有機物層の可撓性フィルムへの投錨性がよくなるために粘着力が強くなりすぎるため、20μm以下であることが好ましい。補強板上に剥離可能な有機物層を介して固定された可撓性フィルム上の回路パターンに電子部品を接合する場合は、回路パターンの厚み方向の変化を抑制するため剥離可能な有機物層の厚みが5μm以下であることが好ましい。剥離可能な有機物層が厚いと電子部品を加熱圧接する際に、剥離可能な有機物層の変形量が大きく、接合部の回路パターンが沈み込み、配線回路の信頼性に問題が生じることがある。沈み込みが大きいときには、電子部品のエッジに回路パターンが接触して短絡を生じることがある。該沈み込みは、配線回路の信頼性を確保するために6μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
可撓性フィルムと補強板とを剥離することを考慮すると、剥離可能な有機物層と補強板との粘着力の方が、剥離可能な有機物層と可撓性フィルムとの粘着力よりも大きいことが好ましい。このように両側の粘着力を制御する方法として、例えば、粘着剤の熟成を利用する方法がある。すなわち、粘着力を強くする側に粘着剤を塗布してから、空気を遮断した状態で所定の期間架橋を進行させることで、粘着力が低下した表面を得ることができる。
本発明の回路基板の製造方法における可撓性フィルム基板6の製造例を以下に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
厚さ1.1mmのアルミノホウケイ酸塩ガラスに、スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷などを用いて、剥離可能な有機物を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に均一に塗布するためには、ダイコーターの使用が好ましい。剥離可能な有機物塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが2μmの剥離可能な有機物層を得る。塗布した剥離可能な有機物層上に、離型フィルム(ポリエステルフィルム上にシリコーン樹脂層を設けた)からなる空気遮断用フィルムを貼り合わせて1週間室温で放置する。この期間は、熟成と呼ばれ、剥離可能な有機物の架橋が進行して、徐々に粘着力が低下する。放置期間や保管温度は、所望の粘着力が得られるように選択される。空気遮断用フィルムを貼り合わせる代わりに、窒素雰囲気中や真空中で保管することもできる。剥離可能な有機物を長尺フィルム基体に塗布、乾燥後、補強板に転写することも可能である。
次に、厚さ38μmのポリイミドフィルムを準備する。ガラス基板上の空気遮断用フィルムを剥がして、ポリイミドフィルムをガラス基板に貼り合わせる。前述のように、ポリイミドフィルムの片面または両面に金属層(回路パターンであってもよい)があらかじめ形成されていても良い。ポリイミドフィルムはあらかじめ所定の大きさのカットシートにしておいて貼り付けても良いし、長尺ロールから巻きだしながら、貼り付けと切断をしてもよい。このような貼り付け作業には、国際公開第03/009657号パンフレットで提案された可撓面状体の面にポリイミドフィルムを保持してから、ガラス基板に押圧することで、低応力、高精度にポリイミドフィルムをガラス基板側にラミネートする方法が好適に採用できる。
ポリイミドフィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層(回路パターンであってもよい)が設けられていない場合は、フルアディティブ法やセミアディティブ法で金属層を形成する。さらに必要に応じて金、ニッケル、錫などのめっきを施して、回路パターンを得る。
また、回路パターン形成において、ポリイミドフィルムに接続孔を設けることができる。すなわち、枚葉基板との貼り合わせ面側に設けた金属層との電気的接続を取るビアホールを設けたり、ボールグリッドアレイのボール設置用の孔を設けたりすることができる。接続孔の設け方としては、レーザー孔開けやケミカルエッチングを採用することができる。電気的接続を取る場合は、接続孔形成後、前述の回路パターン形成と同時にめっき法で孔内面を導体化することが好ましい。電気的接続をとるための接続孔は、直径が15μmから200μmが好ましい。ボール設置用の孔は、直径が50μmから800μmが好ましく、80μmから800μmがより好ましい。
必要に応じて、回路パターン上にソルダーレジスト層を形成する。ソルダーレジストとしては、感光性のソルダーレジストや熱硬化性のソルダーレジストが好ましい。その中でも、微細回路パターンに対しては感光性のソルダーレジストの採用がより好ましい。スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで回路パターン上に感光性ソルダーレジストを塗布し、乾燥させた後、所定のフォトマスクを介して紫外線露光をし、現像して、ソルダーレジストパターンを得る。次に100℃から200℃でキュアをする。
次いで形成した回路パターン上にICチップ、抵抗やコンデンサなどの電子部品を実装する。電子部品を搭載させる手段は、光学的位置検出機能と可動ステージなどの位置合わせ機能を有し、搭載精度を確保できる装置を用いて行うことが好ましい。
また、電子部品と回路基板との接続方法としては、回路基板の接続部に形成された錫、金、はんだなどの金属層と電子部品の接続部に形成された金やはんだなどの金属層とを加熱圧着し金属接合させる方法、回路基板の接続部の錫、金、はんだなどの金属層と電子部品の接続部に形成された金やはんだなどの金属層とを圧着しつつ回路基板と電子部品間に配置した異方導電性接着剤または非導電性接着剤を硬化させ、機械的に接合させる方法などが挙げられる。
また、回路基板と電子部品とを接合した後、本発明の剥離方法を用いて回路基板とガラス基板とを剥離する場合は、該電子部品の長手方向と直交する方向に剥離することがフィルムの変形を低減することができ好ましい。レーザー、高圧水ジェットやカッターなどを用いて、個片または個片の集合体に該回路パターン付きポリイミドフィルムを切り分けてから、電子部品が実装された回路基板をガラス基板から剥離することもできる。
回路基板に電子部品が接合されている場合には、剥離帯電はより大きな問題である。剥離完了時の放電により、電子部品自体が致命的な損傷を受けるおそれがあるからである。一般に、回路パターンよりも電子部品のほうが放電による損傷を受けやすく、求められる除電レベルも高い。これに対し、本発明の製造方法は、剥離直前に特に十分な除電を行うことができるため、電子部品が接合された回路基板に適用してもきわめて有効である。
本発明では、回路パターンに抵抗素子や容量素子を入れ込むことは適宜許される。また、可撓性フィルム基板の少なくとも一方の面に絶縁層と配線層を積層し、多層化することも可能である。
本発明は、特に接続ピッチが小さく、かつピン数が大きい大規模LSIの実装精度確保に効果が大きいため、LSIのパッケージ形態(実装形態)は特に限定されず、ベアチップ、ボールグリッドアレイタイプ等のいずれにも適用することができる。
本発明の製造方法で得られた回路基板の用途は特に限定されないが、好ましくは電子機器の配線板、ICパッケージ用インターポーザー、ウエハレベルバーンインソケット用配線板などに使用される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
可撓性フィルムとして、厚さ38μm、300mm角のポリイミドフィルム(”カプトン”150EN 東レデュポン(株)製)を準備した。
可撓性フィルムとして、厚さ38μm、300mm角のポリイミドフィルム(”カプトン”150EN 東レデュポン(株)製)を準備した。
補強板として準備した厚さ1.1mm、300mm角のソーダガラスにダイコーターで、紫外線硬化型粘着剤”SKダイン”SW−11A(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を100:3(重量比)で混合したものを塗布し、80℃で2分間乾燥した。乾燥後の剥離可能な有機物層厚みを3μmとした。次いで該有機物層に、空気遮断用フィルム(ポリエステルフィルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフィルム)を貼り合わせて1週間放置した。
まず、上記空気遮断用フィルムを剥がし、次に、可撓面状体の面にポリイミドフィルムを保持してから、剥離可能な有機物層に押圧することで、ポリイミドフィルムをガラス基板に貼り合わせた。ガラスに貼り合わされたポリイミドフィルムは、ガラス終端に合わせてカットした。その後、ガラス基板側から紫外線を2500mJ/cm2照射し、有機物層を硬化した。
次いで、スパッタにて厚さ15nmのクロム:ニッケル=20:80(重量比)の合金膜と厚さ80nmの銅膜をこの順にポリイミドフィルム上に積層した。銅膜上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して80℃で10分間乾燥した。フォトレジストをフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分に厚さ15μmのフォトレジスト層を形成した。
回路パターンを形成するためのフォトマスクパターンは以下に示す形状とした。19.3mm×2.3mmの長方形の二つの長辺上に、インナーリードとして、25μmピッチで、1辺あたり772個の配線(幅10μm、長さ1mm)を並べた。上記19.3mm×2.3mmの長方形と中心を同じくして38.6mm×23.7mmの長方形の二つの長辺に最外端が接するように、50μmピッチで一辺あたり772個の配線(幅25μm、長さ1mm)をアウターリードとして並べた。インナーリードとアウターリードを一対一で幅10μmから幅25μmまでの配線で結んだものを1ユニットとした。このユニットをガラス基板の中心から縦横40.0mmピッチで7行×7列に配置した。この可撓性フィルム基板にはICチップは7列×7行の49個が実装されることになる。合わせて、測長用に基板の中心から対角方向に約198mm離して配置した4点(辺に平行方向には互いに280mmずつ離して配置)のマーカーをフォトマスクパターンに設けた。
次いで、上記銅膜を電極として厚さ8μmの銅層を硫酸銅めっき液中での電解めっきで形成した。フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて、過酸化水素−硫酸系水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅膜およびクロム−ニッケル合金膜を除去した。引き続き、銅めっき膜上に、無電解めっきで厚さ0.4μmの錫層を形成し、回路パターンを得た。
次に、回路パターンを得た可撓性フィルム上にスクリーン印刷機を用いて、接続部分以外の回路パターンが露出している部分にソルダーレジストである”FLEX Solder MASK for COF”NPR−3300(日本ポリテック(株)製)をパターン塗布し、120℃で90分間熱硬化し、ソルダーレジスト層を形成した。熱硬化後のソルダーレジスト層厚みは10μmであった。
測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
次に、25μmピッチで772個の金めっきバンプを一列として長方形の長辺側に2列を配置した20.0mm×3.0mmのモデルICチップを、フリップチップボンダーFC−70(東レエンジニアリング(株)製)にてICチップ側から430℃に加熱しつつ、回路パターンの接続パッドと金属接合した。モデルICチップのバンプと回路パターンの接続パッドの位置合わせは良好であった。
図1に示した剥離装置1を使用し、ガラス基板からICチップを接続した回路パターン付きポリイミドフィルムを剥離した。保持部14の曲面の曲率半径は600mm、保持部14での可撓性フィルム吸着のための真空度は100hPa、保持部14には導電性ウレタンフォームA−400Hタイプ(アキレス(株)製)を使用した。また保持部14の可撓性フィルムへの押しつけ圧力は0.01MPa、フレーム18の剥離時の移動速度は100mm/秒とした。図1に示した載置台A30にICチップを接続した回路パターン付きポリイミドフィルム側を置き、100hPaで真空吸着した。除電手段35にはAC高圧電源内蔵型イオナイザー“ELIMINOSTAT CABC”(シシド静電気(株)製)を使用した。剥離中の補強板と可撓性フィルムとの剥離角は最大20°であった。保持部の回転周速度を105m/秒とした。また、ポリイミドフィルムに加わる張力が160N/m以上になるときにスリップリングが働くよう調整した。
除電手段35からイオン化エアーを放出した状態で可撓性フィルムの剥離を開始し、剥離開始位置から290mmの距離まで剥離が完了した位置で剥離動作を5秒間停止した。その後、剥離を再開することでガラス基板から可撓性フィルムを完全に剥離した。
剥離完了後の可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の耐電量は約−40Vであった。さらに、剥離後の可撓性フィルムに49個搭載されているICチップを、可撓性フィルム10枚分ファンクションテストした。490個すべてのICチップが機能上問題無いことを確認した。また、剥離によってポリイミドフィルム上の回路パターンの配線引き出し部が若干カールしたが、折れやクラックは見られず、良好であった。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、剥離したポリイミドフィルム上に測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±5μm以下であった。
実施例2
実施例1と同様にしてソルダーレジスト層を形成した回路パターンを得た。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
実施例1と同様にしてソルダーレジスト層を形成した回路パターンを得た。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
次に、実施例1と同様にしてICチップを回路パターンの接続パッドと金属接合した。モデルICチップのバンプと回路パターンの接続パッドの位置合わせは良好であった。
図1に示した剥離装置1を使用し、除電手段35からイオン化エアーを放出した状態で可撓性フィルムの剥離を開始し、剥離開始位置から200mmの距離まで剥離が完了した位置からフレーム18の剥離時の移動速度と保持部の回転周速度を減速し、剥離開始位置から290mmの距離まで剥離が完了した位置から剥離完了までのフレーム18の剥離時の移動速度を2mm/秒、保持部の回転周速度を2.1mm/秒としてガラス基板から可撓性フィルムを完全に剥離した。
剥離完了後の可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の耐電量は約−35Vであった。さらに、剥離後の可撓性フィルムに49個搭載されているICチップを、可撓性フィルム10枚分ファンクションテストした。490個すべてのICチップが機能上問題無いことを確認した。また、剥離によってポリイミドフィルム上の回路パターンの配線引き出し部が若干カールしたが、折れやクラックは見られず、良好であった。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、剥離したポリイミドフィルム上に測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±5μm以下であった。
比較例1
実施例1と同様にしてソルダーレジスト層を形成した回路パターンを得た。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
実施例1と同様にしてソルダーレジスト層を形成した回路パターンを得た。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
次に、実施例1と同様にしてICチップを回路パターンの接続パッドと金属接合した。モデルICチップのバンプと回路パターンの接続パッドの位置合わせは良好であった。
図1に示した剥離装置1を使用し、フレーム18の剥離時の右側移動速度を100mm/秒、保持部の回転周速度を105m/秒として、剥離動作を停止することなく一定速度で剥離を完了したこと以外は実施例1と同様にガラス基板からICチップを接続した回路パターン付きポリイミドフィルムを剥離した。剥離完了後の可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の耐電量は約−250Vであった。さらに、剥離後の可撓性フィルムに49個搭載されているICチップを、可撓性フィルム10枚分ファンクションテストした。ICチップは、490個中、5個が電気的に破壊されていた。
比較例2
実施例1と同様にしてソルダーレジスト層を形成した回路パターンを得た。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
実施例1と同様にしてソルダーレジスト層を形成した回路パターンを得た。測長機DR−800(大日本スクリーン(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約396mm離れた2点(x方向に280mm、y方向に280mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
次に、実施例1と同様にしてICチップを回路パターンの接続パッドと金属接合した。モデルICチップのバンプと回路パターンの接続パッドの位置合わせは良好であった。
図1に示した剥離装置1を使用し、除電手段35の運転を停止したこと以外は実施例2と同様にガラス基板からICチップを接続した回路パターン付きポリイミドフィルムを剥離した。剥離完了後の可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の耐電量は約−350Vであった。さらに、剥離後の可撓性フィルムに49個搭載されているICチップを、可撓性フィルム10枚分ファンクションテストした。ICチップは、490個中、8個が電気的に破壊されていた。
1 剥離装置
2 補強板
3 剥離可能な有機物層
4 可撓性フィルム
6 可撓性フィルム基板
10 剥離ユニット
12 支持体
14 保持部
16 軸
18 フレーム
20 レール
22 保持部材
23 リードフィルム
30 載置台A
32 載置台B
34 基台
35 除電手段
2 補強板
3 剥離可能な有機物層
4 可撓性フィルム
6 可撓性フィルム基板
10 剥離ユニット
12 支持体
14 保持部
16 軸
18 フレーム
20 レール
22 保持部材
23 リードフィルム
30 載置台A
32 載置台B
34 基台
35 除電手段
Claims (5)
- 補強板に剥離可能な有機物層を介して貼り合わせられた可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対の面に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する回路基板の製造方法であって、可撓性フィルムを補強板から完全に剥離する直前に剥離を一旦停止し、少なくとも前記停止中に可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の除電を行うことを特徴とする回路基板の製造方法。
- 補強板に剥離可能な有機物層を介して貼り合わせられた可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対の面に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する回路基板の製造方法であって、可撓性フィルムを補強板から完全に剥離する直前に剥離速度が減速されており、少なくとも前記減速された状態で可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面の除電を行うことを特徴とする回路基板の製造方法。
- 回路パターン形成後、回路パターンに電子部品を接合してから、可撓性フィルムと補強板の剥離を行う請求項1または2記載の回路基板の製造方法。
- 回路パターンが形成された可撓性フィルムを、該フィルムが剥離可能な有機物層を介して貼り合わせられた補強板から剥離する手段と、剥離速度を調節する手段と、剥離中に有機物層と貼り合わされていた可撓性フィルムの補強板に貼り合わせられていた面を除電する手段を有する回路基板の製造装置。
- 前記可撓性フィルムの回路パターンに電子部品が接合されている請求項4記載の回路基板の製造装置。
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