JP2010115764A - 表面被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents

表面被覆超硬合金製切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】高硬度鋼を転削工具によって切削する際に、切刃の欠損等を防いで工具の長寿命化を図ることにより、優れた耐摩耗性を確実に発揮して高能率の加工を促す。
【解決手段】Co:4.5〜8質量%、Cr:0.2〜1.5質量%、VC:0.1〜0.5質量%を含有する硬さ93.0〜94.5HRAの超硬合金基体の表面に、(Tix,Aly,Siz)N(ただし、x、y、zは原子比で、0.01≦z≦0.05、0.4≦y≦0.7、かつx+y+z=1)よりなる硬さ2800Hv以上の硬質被覆層を1〜5μmで被覆した切刃部4を、軸線O回りに回転させられる工具本体1の先端外周側に切刃8を向けて設け、この切刃は、工具回転方向T側から見て円弧状に形成するとともに、幅0.01〜0.05mmの丸ホーニングを施し、15°以下の逃げ角と19°以下の切込み角θとを与える。
【選択図】図1

Description

本発明は、金型等に用いられる例えば55HRC以上の高硬度鋼の切削加工において、優れた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具に関するものである。
このような高硬度鋼の切削加工において優れた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具として、例えば特許文献1には、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された超硬基体の表面に、いずれもTiとAlとSiの複合窒化物からなる交互積層構造の上部層と単一層構造の下部層で構成した硬質被覆層を蒸着形成したものが提案されている。
特開2006−218592号公報
ところで、このような高硬度鋼のうち、例えばプレス型のような金型に用いられるSKD11を焼き入れして60HRC程度まで硬化させたものは、焼き入れによるひずみを除去するのに従来は研削加工に頼らざるを得なかった。また、例えば鍛造型のような金型に用いられるSKD61の焼き入れ材に表面窒化処理を施したものの表面窒化層を除去するにも、この表面窒化層は70HRC程度の硬度になるために従来は放電加工に頼らざるを得ず、いずれも高能率の加工が困難であるため、このような金型の作製に対して切望されている短納期化を阻害する要因となっていた。
そこで、このような高硬度鋼よりなる金型の加工を行うのに、上記特許文献1に記載されたような耐摩耗性に優れた表面被覆超硬合金製切削工具を、ボールエンドミルやラジアスエンドミルのような金型加工に用いられる転削工具の軸線回りに回転される工具本体先端外周側に向けられる切刃部として使用して、切削加工によりひずみや表面窒化層を除去することが考えられる。
しかしながら、このような表面被覆超硬合金製切削工具であっても、通常の転削工具の切刃部にそのまま転用しただけでは、切削条件等によっては切刃に欠損が生じてしまって、その優れた耐摩耗性を確実に発揮するのが困難となることがある。これは、バイトによる旋削加工やドリルによる穴明け加工などが、切刃が被削材に食い付いたまま送りが与えられる連続切削であるのに対し、上記エンドミルによる転削加工では切刃が被削材に断続的に食い付いて切削が行われるために、切刃に衝撃的な負荷が周期的に作用することが原因の1つであると考えられる。
本発明は、このような背景の下になされたもので、特に上述のような金型等に用いられる55HRC以上の高硬度鋼の切削加工を転削工具によって行う際に、切刃の欠損等を防いで工具の長寿命化を図ることにより、優れた耐摩耗性を確実に発揮して高能率の加工を促すことが可能な表面被覆超硬合金製切削工具を提供することを目的としている。
ここで、本発明の発明者等は、かかる高硬度鋼の切削加工に用いる転削工具の切刃部として、上述のように超硬基体の表面にTiとAlとSiの複合窒化物からなる硬質被覆層を形成した表面被覆超硬合金製切削工具を用いた場合に、種々の条件で切削試験を行って研究を重ねた結果、このような高硬度鋼の転削加工においては、基体や硬質被覆層が被削材に硬さ負けしない高硬度のものであることは勿論、切刃の形状についても、上述のような衝撃的な負荷が周期的に作用するのに抗し得るものであることが必要であり、むしろこのような切刃形状と基体や硬質被覆層の硬度が満足されれば、特許文献1に記載されたように硬質被覆層を多層構造にする必要はなくなるとの知見を得るに至った。
本発明は、このような知見に基づき、上記課題を解決して上述のような目的を達成するためになされたもので、Co:4.5〜8質量%、Cr:0.2〜1.5質量%、VC:0.1〜0.5質量%を含有する硬さ93.0〜94.5HRAの超硬合金よりなる基体の表面に、(Tix,Aly,Siz)N(ただし、x、y、zは原子比で、0.01≦z≦0.05、0.4≦y≦0.7、かつx+y+z=1)よりなる硬さ2800Hv以上の硬質被覆層が1〜5μmの厚さで被覆された切刃部が、軸線回りに回転させられる工具本体の先端外周側に切刃を向けるようにして設けられ、上記切刃は、上記工具本体の回転方向側から見て円弧状に形成されるとともに、幅0.01〜0.05mmの丸ホーニングが施され、15°以下の逃げ角と19°以下の切込み角とが与えられていることを特徴とする。
従って、このような表面被覆超硬合金製切削工具では、その切刃部の基体を構成する超硬合金がCo:4.5〜8質量%、Cr:0.2〜1.5質量%、VC:0.1〜0.5質量%を含有してその硬さが93.0〜94.5HRAの範囲とされるとともに、その表面に被覆される硬質被覆層は、(Tix,Aly,Siz)N(ただし、x、y、zは原子比で、0.01≦z≦0.05、0.4≦y≦0.7、かつx+y+z=1)により硬さ2800Hv以上とされているので、例えばSKD11を焼き入れした60HRC程度の被削材の切削や、SKD61の焼き入れ材に表面窒化処理を施した70HRC程度の表面窒化層の切削にも十分抗し得る硬度を切刃部に与えることができる。
ここで、切刃部を形成する上記基体の超硬合金におけるCo含有量が8質量%を上回ったり、Cr含有量が0.2質量%を、VC含有量が0.1質量%を下回ったりすると、この基体に上述のような高い硬度を確保することができなくなる一方、逆にCo含有量が4.5質量%を下回ったり、Cr含有量が1.5質量%を、VC含有量が0.5質量%を上回ったりすると、基体が硬脆くなりすぎて却って切刃に欠損などが生じ易くなるおそれがある。なお、このような欠損を効果的に防ぎつつ上記被削材の確実な切削を図るには、基体の硬さは93.2〜94.0HRAであるのが望ましく、またこの基体を形成する超硬合金のWC原料は0.8μm以下の平均粒径であることが望ましい。
さらに、上記硬質被覆層においては、Ti、Al、Siの原子比x、y、zについて、Siの含有量を示すzが原子比0.01を下回るとこの硬質被覆層における高温強度を確保することができず、またAlの含有量を示すyが原子比0.4を下回ると硬質被覆層における耐熱性が損なわれる一方、これらzが0.05を上回ったり、yが0.7を上回ったりすると、相対的にTiの含有量を示すxが小さくなって硬質被覆層の高温強度が十分に確保できなくなり、被削材の切削により切刃部が高温となった際に上述のような高い硬度を維持することができなくなるおそれがある。
また、この硬質被覆層の厚さについては、1μmを下回るほど層厚が薄いと、如何に高硬度であっても摩耗によって当該硬質被覆層が早期に摩滅して、工具の長寿命化を図ることができなくなる一方、逆に層厚が5μmを上回るほど厚すぎると、この厚い硬質被覆層が部分的に層厚分ごと剥離を生じて切刃部に微小な欠け(チッピング)を生じるおそれがある。なお、このような硬質被覆層の摩滅やチッピングを確実に防止するには、この硬質被覆層の厚さは2〜4μmであることが望ましい。また、この硬質被覆層の厚さは平均の厚さであればよい。
一方、上記構成の表面被覆超硬合金製切削工具においては、このように超硬合金基体の表面に硬質被覆層が被覆された切刃部が、転削工具の軸線回りに回転させられる工具本体の先端外周側にその切刃を向けるようにして設けられ、この切刃が、工具本体の回転方向側から見て円弧状に形成されるとともに、幅0.01〜0.05mmの丸ホーニングが施され、15°以下の逃げ角と19°以下の切込み角とが与えられている。従って、まず切刃が円弧状に形成されていることにより被削材に食い付く際の衝撃が分散されて緩和され、しかも19°以下の極小さな切込み角で切刃が被削材に切り込まれるので、比較的厚みの薄い切屑が生成されることになって切刃への負荷を軽減することができる。
さらに、切刃の逃げ角も15°以下と比較的小さいために刃物角を大きく確保することができるとともに、この切刃に施された幅0.01〜0.05mmの丸ホーニングによって切刃の刃先強度も確保することができ、摩耗を抑制して切削長の延長を図りつつ、衝撃的負荷が周期的に作用する転削加工においても切刃の欠損を防ぐことが可能となる。従って、このような形状の切刃を備えた切刃部が、上述のような組成の超硬合金基体表面に硬質被覆層を被覆して形成されているので、上記表面被覆超硬合金製切削工具によれば、高硬度鋼よりなる被削材の転削加工を、工具寿命の延長を図りつつ高能率に行うことが可能となる。
ここで、上記切込み角が19°を越えると、工具本体の送り量を十分に小さくしなければ厚みの大きい切屑が生成されることになって切刃への衝撃が増大して欠損を招くおそれがあり、その一方で送り量を小さくすると加工の高能率化が阻害されることになる。なお、円弧状の切刃の切込み角は、被削材に切り込まれた切刃の被削材表面の位置における該切刃がなす円の接線が工具本体の軸線に直交する平面に対してなす角度とすればよい。従って、この切込み角は、0°に近いほど生成される切屑を薄くできるが、小さくなりすぎると必要な被削材への切込み量を確保することができなくなるので、4°以上とされるのが望ましい。
また、切刃の逃げ角も、逃げ面に逃げ量が与えられるように0°よりも大きければよく、0°に近いほど大きな刃物角を確保することができるが、あまり小さすぎるとやはり工具本体の送り量によっては逃げ面が被削材の加工面に接触して摩耗が促進されるおそれがあるため、3°以上とされるのが望ましい。さらに、丸ホーニングの幅は、0.01mmより小さいと欠損を防止することができず、0.05mmより大きいと切削抵抗が大きくなって切削長の延長は望めない。また、ホーニングがチャンファホーニングであっても、切削長を確保することができない。なお、このように切刃の欠損を確実に防止しつつ切削長の延長を図るには、上記丸ホーニングの幅は0.02〜0.04mmの範囲内であることが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、焼き入れを施した高硬度鋼やさらに表面窒化処理を施した高硬度鋼を、転削工具による切削加工によってそのひずみや表面窒化層を除去することができるので、このような高硬度鋼よりなるプレス型や鍛造型などの金型の作製を高能率に、しかも工具の長寿命化によって長期に亙って安定的に行うことができて、その納期の短縮を図ることが可能となる。
図1は、本発明の表面被覆超硬合金製切削工具の一実施形態を示すものであって、本発明をインサート着脱式のラジアスエンドミルに適用したものである。本実施形態において、工具本体1は、鋼材等により形成されて軸線Oを中心とした円柱状をなし、その後端側(図1において上側)部分は図示されないシャンク部とされて、このシャンク部が工作機械の主軸に把持されることにより、上記軸線O回りに工具回転方向Tに回転されつつ該軸線Oに交差する方向に送り出されて切削(転削)加工に使用される。
そして、この工具本体1の先端部外周には複数(図1では2つ)のチップポケット2が形成され、これらのチップポケット2の工具回転方向T側を向く壁面に形成されたインサート取付座3に、それぞれ本実施形態の表面被覆超硬合金製切削工具の切刃部とされる切削インサート4が、クランプネジ5によって着脱可能に取り付けられている。
すなわち、この切削インサート4は、Co:4.5〜8質量%、Cr:0.2〜1.5質量%、VC:0.1〜0.5質量%を含有し、残部がWCである超硬合金よりなる基体の表面に、(Tix,Aly,Siz)N(ただし、x、y、zは原子比で、0.01≦z≦0.05、0.4≦y≦0.7、かつx+y+z=1)よりなる硬質被覆層が平均して1〜5μmの範囲内の所定厚さで単層で被覆されたものであり、超硬合金基体の硬さは93.0〜94.5HRAとされるとともに、硬質被覆層の硬さは2800Hv以上とされている。
望ましくは、上記超硬合金基体は、素原料WCがF.S.S.S.にて0.8μm以下の平均粒径のものが用いられて、本実施形態では例えばCo:6質量%、Cr:0.4質量%、VC:0.3質量%を含有するものとされ、その硬さは93.2〜94.0HRAとされる。また、硬質被覆層を形成する(Tix,Aly,Siz)Nは、例えば原子比x=0.40、y=0.55、z=0.05とされて、その硬さは3200Hvとされ、厚さは2〜4μmとされるのが望ましく、例えば3μmとされる。
このように形成された本実施形態の表面被覆超硬合金製切削工具の切刃部とされる切削インサート4は、外形略円板状をなすポジティブインサートであって、すなわち円形をなすすくい面6と、このすくい面6よりも一回り小さな円形をなす図示されない着座面とが互いに平行かつ同軸に配置されるとともに、これらすくい面6と着座面との間の円錐面状をなす周面が逃げ面7とされ、この逃げ面7とすくい面6との交差稜線部に、円周状をなす切刃8が形成されている。
また、この切削インサート4の切刃8には、すくい面6がなす円の径方向に向けて該すくい面6に沿った方向の幅が0.01〜0.05mm、望ましくは0.02〜0.04mmの範囲内で、すくい面6と逃げ面7とに滑らかに連なる断面円弧状をなす丸ホーニングが施されており、従ってこの幅が、該丸ホーニングの断面がなす円弧の半径となる。ここで、本実施形態では、この幅および半径は0.03mmとされている。
このような切削インサート4は、そのすくい面6を工具回転方向Tに向けるとともに、円周状の切刃8の円弧状をなす一部分を工具本体1の先端から外周側に向けて突出させるようにして、上記インサート取付座3に取り付けられる。ここで、こうして工具本体1の先端外周側に向けられた切刃8には所定のすくい角と15°以下の逃げ角とが与えられ、特に本実施形態では工具本体1最先端において逃げ角が15°とされている。
そして、さらにこうして取り付けられた切削インサート4は、図1に示すように工具回転方向T側から見たときに、被削材Wに切り込まれた切刃8の被削材W表面の位置において該切刃8がなす円の接線Lが工具本体1の軸線Oに直交する平面Pに対してなす角度、すなわち切刃8の被削材Wへの切込み角θが19°以下となるようにされている。
従って、このような切刃部(切削インサート4)を備えた表面被覆超硬合金製切削工具(ラジアスエンドミル)では、この切削インサート4の超硬合金基体がCo:4.5〜8質量%、Cr:0.2〜1.5質量%、VC:0.1〜0.5質量%を含有して、望ましくは素原料WCが0.8μm以下の平均粒径とされ、該基体の硬さが93.0〜94.5HRA、望ましくは93.2〜94.0HRAとされるとともに、硬質被覆層は(Tix,Aly,Siz)N(ただし、x、y、zは原子比で、0.01≦z≦0.05、0.4≦y≦0.7、かつx+y+z=1)より成り、厚さ1〜5μm、望ましくは2〜4μmで被覆されて、硬さ2800Hv以上とされているので、被削材Wが硬度60HRC程度のSKD11焼き入れ材や、SKD61焼き入れ材の硬度70HRC程度の表面窒化層でも、これら基体や硬質被覆層自体が硬さ負けすることはない。また、硬質被覆層は単層でよいため、その被覆に要する時間や労力等も軽減することができる。
そして、この切削インサート4の切刃8は円弧状に形成されるとともに、該切刃8には幅0.01〜0.05mm、望ましくは0.02〜0.04mmの丸ホーニングが施されており、また逃げ角は15°以下とされ、さらに切込み角θが19°以下とされているので、転削加工により切刃8が被削材Wに断続的に食い付いて周期的に衝撃が切刃8に作用しても、かかる衝撃を分散させるとともに切刃8への負荷を軽減するとともに切刃8自体の刃先強度を確保することができる。従って、上述のような高硬度鋼よりなる被削材Wの転削加工でも切刃8に欠損等が生じたりするのを防ぐとともに、上記硬質被覆層により優れた耐摩耗性を発揮して工具の長寿命化を図りつつ、転削による高能率の切削加工を促すことができる。
このため、上記SKD11焼き入れ材より成るプレス型において焼き入れによって生じたひずみを除去したり、表面窒化処理したSKD61焼き入れ材より成る鍛造型の表面窒化層を除去したりするのに、従来の研削加工や放電加工などに頼らずとも、短時間でこれらひずみや表面窒化層を切削して除去することが可能となり、このような金型作製の短納期化にも十分に対応することが可能となる。例えば、従来の研削加工では14時間ほどを要した硬度60HRCのSKD11焼き入れ材のひずみ除去は、転削加工では半分の7時間ほどで可能となり、また従来の放電加工では8時間ほぼを要した硬度70HRCのSKD61焼き入れ材の表面窒化層の除去は、転削加工では半分以下の3時間ほどで可能となった。
なお、本実施形態では、本発明をインサート着脱式のラジアスエンドミルに適用して切刃8が円周状をなす円板状の切削インサート4を切刃部とした場合について説明したが、同様に円弧状を切刃を有するボールエンドミルに本発明を適用することも可能であり、また例えば多角形平板状の切削インサートでも各切刃が円弧状をなすものにも適用可能である。さらに、インサート着脱式ではなく、これらのような切削インサートを工具本体にろう付け等により接合したものにも勿論適用可能である。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明の効果について実証する。本実施例ではまず、素原料粉末として、平均粒径0.8μm以下のWC粉末と、平均粒径1.2μmのCo粉末、平均粒径2.3μmのCr粉末、平均粒径1.8μmのVC粉末を、Co:4.5〜8質量%、Cr:0.2〜1.5質量%、VC:0.1〜0.5質量%、WC:残となるように配合し、公知の方法により混合、乾燥、プレス成形した後に焼結し、切刃に幅および半径が0.03mmの丸ホーニングを施し、ISO規格でRDMW0620Eの形状をもった硬さ93.8〜94.5HRAの4種の超硬合金基体を作製した。
次いで、これらの超硬合金基体の表面に、上記特許文献1に記載されたような公知のアークイオンプレーティング法および蒸着条件によって、平均組成(Ti0.4,Al0.55,Si0.05)Nよりなる硬さが3200Hvの硬質被覆層を、平均層厚が3μmとなるように被覆して切削インサートを製造した。そして、こうして製造した切削インサートを、上述した実施形態と同様のインサート着脱式ラジアスエンドミルの工具本体に切刃部として、すくい角0°、逃げ角15°となるように装着し、被削材に対して切刃の切込み角が7°となるようにして転削加工により条件を変えた2種の平面切削試験を行い、その際の加工可能であった切削長をそれぞれ測定した。これらを、実施例1〜4として、超硬合金基体の組成、WC平均粒径、硬さ、および2種の試験結果とともに表1に示す。
また、これら実施例1〜4に対して、同表1に比較例1〜4として示す組成およびWC平均粒径の素原料粉末を用いて、実施例1〜4と同じ製造方法によって同じ寸法、形状の4種の超硬合金基体を作製し、この超硬合金基体の表面に、公知のアークイオンプレーティング法および蒸着条件によって、やはり実施例1〜4と同様の平均組成(Ti0.4,Al0.55,Si0.05)Nよりなる硬さが3200Hvの硬質被覆層を、平均層厚が3μmとなるように被覆して切削インサートを製造し、これらの比較例1〜4についても、実施例1〜4と同様の2種の平面切削試験を行った。その結果についても、超硬合金基体の硬さとともに表1に示す。
なお、これら2種の平面切削試験における上記ラジアスエンドミルのその他の諸元、転削加工の加工条件は以下の通りである。
試験1
ラジアスエンドミル
外径:20mm(ただし、切刃の最外周の径)
刃数:3
被削材
SKD11焼入れ材
硬さ:60HRC
加工条件
工具回転数:13000min−1
切込み量 :0.1mm
送り量 :780m/min
乾式切削
試験2
ラジアスエンドミル
外径:25mm(ただし、切刃の最外周の径)
刃数:4
被削材
SKD61表面窒化材
表面硬さ:70HRC
加工条件
工具回転数:640min−1
切込み量 :0.1mm
送り量 :360m/min
乾式切削
Figure 2010115764
次に、平均粒径0.2μmのWC粉末と、平均粒径1.2μmのCo粉末、平均粒径2.3μmのCr粉末、平均粒径1.8μmのVC粉末を、Co:6質量%、Cr:0.3質量%、VC:0.2質量%、WC:残となるように配合して、実施例1〜4および比較例1〜4と同じ製造方法によって同じ寸法、形状の硬さ93.5HRAの超硬合金基体を複数作製した。そして、これらの超硬合金基体の表面に、公知のアークイオンプレーティング法および蒸着条件によって、平均組成(Tix,Aly,Siz)N(ただし、x、y、zは原子比で、0.01≦z≦0.05、0.4≦y≦0.7、かつx+y+z=1)よりなる硬さ2800Hv以上の硬質被覆層を1〜5μmで被覆して3種の切削インサートを製造し、これらの切削インサートを用いて上記試験1、2と同様の条件で2種の平面切削試験を行った。これらを、実施例11〜13として、硬質被覆層の組成、層厚、硬さ、および2種の試験結果とともに表2に示す。
また、これら実施例11〜13に対する比較例11〜13として、同表2に示す組成、層厚、硬さの硬質被覆層を実施例11〜13と同じ超硬合金基体に被覆した切削インサートを製造し、これら比較例11〜13についても、実施例11〜13と同様の2種の平面切削試験を行った。その結果についても、表2に示す。
Figure 2010115764
さらに、これら実施例11〜13および比較例11〜13と同様の組成、粒径、硬さの超硬合金基体に対して、表3に示す幅0.01〜0.05mmの丸ホーニングを施した後に、平均組成(Ti0.4,Al0.55,Si0.05)Nよりなる硬さが3200Hvの硬質被覆層を平均層厚3μmで被覆した3種の切削インサートを製造し、これらの切削インサートを用いて上記試験1、2と同様の条件で2種の平面切削試験を行った結果を、実施例21〜23として、表3に示す。また、同表3には、これら実施例21〜23に対する比較例21〜23として、上記と同様の超硬合金基体に、施すホーニングの幅や種類を変えた上で、これらに実施例21〜23と同様の平均組成(Ti0.4,Al0.55,Si0.05)Nよりなる硬さが3200Hvの硬質被覆層を平均層厚3μmで被覆した3種の切削インサートを用いて同様の2種の平面切削試験を行った結果も示す。
Figure 2010115764
さらにまた、同じく実施例11〜13および比較例11〜13と同様の組成、粒径、硬さで、すくい角を0°としたときに表4に示すような逃げ角および切込み角となるような超硬合金基体を作製し、これらに幅0.03±0.005mmの丸ホーニングを施した後に、平均組成(Ti0.4,Al0.55,Si0.05)Nよりなる硬さが3200Hvの硬質被覆層を平均層厚3μmで被覆して複数の切削インサートを製造した。そして、これらの切削インサートを、同表4に示した通りの逃げ角および切込み角で工具本体に取り付けた6種のインサート着脱式ラジアスエンドミルにより、上記試験1、2と同様の条件で2種の平面切削試験を行った。この結果を、逃げ角15°以下、切込み角19°以下の範囲にあるものを実施例31〜34として、またこの範囲にないものを比較例31、32として、表4に合わせて示す。
Figure 2010115764
これら表1〜4の結果より、本発明に係わる実施例1〜4、11〜13、21〜23、31〜34によれば、それぞれの比較例1〜4、11〜13、21〜23、31、32が欠損で切削ができなかったり切削長が短かったりしていたのに対して、切削初期の欠損を防いで切削自体が可能となったのは勿論、大幅に切削長を長くすることができたことが確認された。
本発明の一実施形態を示す工具本体1の先端部の側面図である。
符号の説明
1 工具本体
4 切削インサート(切刃部)
8 切刃
O 工具本体1の軸線
T 工具本体1の回転方向
W 被削材
θ 切込み角

Claims (5)

  1. Co:4.5〜8質量%、Cr:0.2〜1.5質量%、VC:0.1〜0.5質量%を含有する硬さ93.0〜94.5HRAの超硬合金よりなる基体の表面に、(Tix,Aly,Siz)N(ただし、x、y、zは原子比で、0.01≦z≦0.05、0.4≦y≦0.7、かつx+y+z=1)よりなる硬さ2800Hv以上の硬質被覆層が1〜5μmの厚さで被覆された切刃部が、軸線回りに回転させられる工具本体の先端外周側に切刃を向けるようにして設けられ、上記切刃は、上記工具本体の回転方向側から見て円弧状に形成されるとともに、幅0.01〜0.05mmの丸ホーニングが施され、15°以下の逃げ角と19°以下の切込み角とが与えられていることを特徴とする表面被覆超硬合金製切削工具。
  2. 上記基体の硬さが93.2〜94.0HRAであることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。
  3. 上記基体を形成する超硬合金のWC原料が0.8μm以下の平均粒径であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。
  4. 上記硬質被覆層の厚さが2〜4μmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。
  5. 上記丸ホーニングの幅が0.02〜0.04mmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。
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