JP2010113118A - 中間転写体 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラックの発生が抑制され、フィルミングの発生がない電子写真方式の画像形成装置に使用する高耐久性の中間転写体を提供する。
【解決手段】電子写真感光体の表面に担持されたトナー像を中間転写体70に一次転写した後、該中間転写体から該トナー像を転写材に二次転写する手段を有する画像形成装置に用いる中間転写体において、基材ユニット70a上に、大気圧プラズマCVD法により形成された少なくとも1層の無機化合物層70dを有し、該基材ユニットは、基材上に少なくとも1層の弾性層70bを有し、該基材ユニット表面の表面粗さをRz1とし、該無機化合物層表面の表面粗さをRz2としたとき、Rz2/Rz1が、0.9以上、5.0以下であることを特徴とする中間転写体。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写体に関するものである。
複写機、レーザープリンタなどの画像形成装置における画像形成方法として、感光ドラム上に小径トナーを用い形成されたトナー画像を、中間転写体へ一次転写後、中間転写体から転写材(例えば紙)へ二次転写する転写方式が知られている。
又、近年ではカラー化が進められており、特にカラー画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを使用し、感光体に形成された各トナー画像を中間転写体へ一次転写し形成させた4色のトナー画像を、4色同時に転写材(例えば紙)へ二次転写するため、高画質化、高速化が求められている。中間転写体としては、基材に無端のベルトを使用した中間転写体ベルト及び、基材に金属ロールを使用した中間転写体ロールが知られている。
転写方式の場合、中間転写体は高画質化、高速化を達成するための代表的な項目として以下に示す項目が知られている。
1)中間転写体の表面に感光体から転写されて形成されたトナー画像の転写材への高転写率が要求されている。
転写率とは、中間転写体の表面に形成されたトナー画像の転写材への割合を言う。転写率が低いと転写材へ転写された画像に抜けが生じ、濃度ムラが発生し高画質化が出来ない。
2)中間転写体の高耐久性が要求されている。
耐久性とは、長時間の転写材への転写が可能となる性能を言う。中間転写体の表面は転写材(例えば、紙等)へ二次転写した後、残存するトナーを除去するためクリーニングブレードで擦りクリーニングされるのである、クリーニングブレードとの接触で表面の平滑性がなくなり、ヒビ割れが発生し感光体からの安定したトナー画像の転写が出来なくなる。又、中間転写体が無端のベルトの場合は、引き回しでクラック(ヒビ割れ)が発生する。
3)フィルミングが発生しないことが要求されている。
フィルミングとは、転写材(例えば紙)へ二次転写した後、中間転写体の表面をクリーニングブレードでクリーニングを行うのであるが、除去されずに残るトナーが徐々に集積される現象を言う。トナーが残る原因としては、中間転写体の表面に発生したクラックにトナーが入り込む、クリーニングブレードとの接触等で表面に出来た凹部に溜まったトナーが残る。フィルミングが発生した場所では転写率が低下し、画像スジやムラが発生し高画質化が出来ない。更に、省エネルギーという観点から、近年、低温定着トナーが用いられるようになってきた。低温定着トナーはガラス転移点が低いことからよりフィルミングが発生し易く、フィルミング発生が大きな問題となってきている。フィルミングが発生した場所では転写率が低下し、画像スジやムラが発生し問題となる。
4)ブリードが発生しないことが要求されている。
ブリードとは、中間転写体を構成している下層に含まれている親油性分(例えば、可塑剤等)が表面層に浸み出してくる現象を言う。中間転写体の表面に親油性分が浸み出した場合、中間転写体と接触している感光体へ親油性分が転写し、感光体のトナー像形成に影響が出る。又、中間転写体にクラック発生した場合は、クラックに沿って親油性分が浸み出してくる。
中間転写体は感光体から感光体の表面に形成されているトナー画像を中間転写体表面に転写される時及び、中間転写体表面に形成されているトナー画像を転写材(例えば紙)へ転写する時の転写率を上げ、トナー画像を均一に転写するためトナー画像への集中荷重が掛けられることで発生する像抜けを防止するため、集中荷重防止策が採られている。集中荷重防止策は、クリーニングブレードによるクリーニング時の中間転写体表面への応力分散、中間転写ベルトの引き回し時に中間転写ベルトに掛かる応力分散にも効果を示すとされている。
集中荷重防止策としては、例えば中間転写体ベルトの場合は基材に弾性体を使用したり、基材の上に弾性層を設けたりする方法、中間転写体ロールの場合は基材の上に弾性層を設ける方法が知られている。
中間転写体への1)〜4)の要求に対してこれまでに多くの検討が成されて来た。
例えば、ブリードの発生防止、高耐久性、高品質の画像形成のため、ベルト基材に弾性材であるクロロプレンゴム(CR)とエチレン−プロピレンゴムに第3成分としてジエン系モノマーを添加したEPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)を使用し、表層にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を形成した中間転写体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の中間転写体は、確かに短時間の間ではブリードの発生防止、高耐久性、高品質の画像形成には効果を示すが、特許文献1の中間転写体が中間転写体ベルトの場合では、表層が硬いため基材との間に中間層を設けても長時間(例えば、30万枚コピー)使用した場合、表層にクラックが発生し、発生したクラックが原因でフィルミング、ブリードが発生し高品質の画像形成が出来ないことが判った。
基材としてポリアミド系樹脂を使用し、その上に弾性層/酸化ケイ素を設けてトナー離型性を向上させる中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2の中間転写ベルトは、表面層を酸化ケイ素層で構成することで、中間転写ベルトから転写材へのトナー画像の転写率はよいが、表層が硬いため長時間使用した場合、表層にクラックが発生し、発生したクラックが原因でフィルミング、ブリードが発生し高品質の画像形成が出来ないことが判った。
この様な状況から、長時間の使用で、クラックの発生、クリーニングブレードによる表面の劣化がなく、フィルミングの発生がない高転写効率、高耐久性の電子写真方式の画像形成装置に使用する中間転写体高耐久性を有する中間転写体を開発することが望まれている。
特開2006−259581号公報 特開2001−347593号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、クラックの発生が抑制され、フィルミングの発生がない電子写真方式の画像形成装置に使用する高耐久性の中間転写体を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.電子写真感光体の表面に担持されたトナー像を中間転写体に一次転写した後、該中間転写体から該トナー像を転写材に二次転写する手段を有する画像形成装置に用いる中間転写体において、基材ユニット上に、大気圧プラズマCVD法により形成された少なくとも1層の無機化合物層を有し、該基材ユニットは、基材上に少なくとも1層の弾性層を有し、該基材ユニット表面の表面粗さをRz1とし、最表面に位置する該無機化合物層表面の表面粗さをRz2としたとき、Rz2/Rz1が、0.9以上、5.0以下であることを特徴とする中間転写体。
2.前記Rz2/Rz1が、1.0以上、3.5以下であることを特徴とする前記1に記載の中間転写体。
3.前記基材ユニットが、更に樹脂層を有することを特徴とする前記1または2に記載の中間転写体。
4.原子間力顕微鏡(AFM)を用い、10μm□の条件で測定した前記基材ユニット表面の表面粗さRz1が、50nm以上、500nm以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
5.前記無機化合物層が2層以上から構成され、最表層の無機化合物層の表面硬度が8.0GPa以下で、膜厚が5nm以上、200nm以下であり、かつ最表層を除く無機化合物層の表面硬度が1.0GPa以下で、膜厚が100nm以上、1000nm以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の中間転写体。
6.前記無機化合物層が、金属酸化物、金属窒化物及び金属酸化窒化物から選ばれる少なくとも1種から形成されていることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の中間転写体。
7.前記無機化合物層が、Al、Si及びTiから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物、金属窒化物もしくは金属酸化窒化物から形成されていることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の中間転写体。
8.前記無機化合物層が無機化合物から構成され、該無機化合物が酸化珪素または炭素を含有する酸化珪素であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の中間転写体。
9.前記2層以上で構成される無機化合物層は、下層の無機化合物層の炭素含有率が、隣接する上層の該無機化合物層の炭素含有率よりも高いことを特徴とする前記5〜8のいずれか1項に記載の中間転写体。
10.前記弾性層が、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム及びエチレン−プロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種から形成された層であることを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の中間転写体。
11.前記基材が、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の中間転写体。
本発明者は、高転写率性を有する無機化合物層を表面層に有する中間転写体を使いこなすために検討した結果、以下のことが判明した。高転写率性を有する無機化合物層を表面層に有する中間転写体を使用し、長時間する時に発生するフィルミング、ブリード等は、何れも無機化合物層に発生するクラックによるものであると推定した。
クラックが何故発生するのか更に検討した結果、中間転写ロールの場合は転写後のクリーニングブレードの押圧による応力集中、又中間転写ベルトの場合はクリーニングブレードの押圧による応力集中と引き回しによる圧縮・延ばしによる応力集中に起因してクラックが発生することが判明した。
本発明者は、耐久性(クラック耐性)を向上させるための具体的な手段について検討を進めた結果、基材ユニットとそれに密着する無機化合物層との界面領域の表面粗さを比較的粗い状態に設計し、層間の接着界面、接着面積を高めることにより、クラック発生の要因とされている界面応力集中を緩和し、クラックの発生を抑制できた。
一般的には、表面の凹凸状態(表面粗さ)を粗くすると、クリーニング性能は劣化するといわれているが、本願発明では、フィルミング耐性とクリーニング性能の最適条件について精査検討を進めた結果、フィルミング耐性に影響を及ぼす基材ユニットと無機化合物層との界面領域の表面粗さ(言い換えると、基材ユニット表面の表面粗さRz1)と、中間転写体表面の表面粗さ(言い換えると、最表面に位置する無機化合物層表面の表面粗さRz2)との比Rz2/Rz1を特定の範囲に規定することにより、フィルミング耐性とクリーニング性能の両立を図ることができ、本願発明の目的効果を達成できることを見出し、本発明にいった次第である。
本発明により、クラックの発生が抑制され、フィルミングの発生がない電子写真方式の画像形成装置に使用する高耐久性の中間転写体を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
はじめに、本発明の中間転写体を組み入れた電子写真方式の画像形成装置について、図を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、中間転写体として中間転写ベルトを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。尚、本図はフルカラー画像形成装置の場合を示している。
図中、1はフルカラー画像形成装置を示す。フルカラー画像形成装置1は、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体形成ユニット7と、記録媒体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。フルカラー画像形成装置1の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体1Y、1M、1C、1Kに形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。
又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。
又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。
又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体として無端の中間転写ベルト70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端の中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、記録媒体P上にカラー画像が一括転写される。
カラー画像が転写された記録媒体Pは、熱ローラ定着器270が装着された定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写ローラ5Aにより記録媒体Pにカラー画像を転写した後、記録媒体Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
二次転写ローラ5Aは、ここを記録媒体Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体形成ユニット7とを有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端の中間転写ベルト70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aを有している。
筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
この様に感光体1Y、1M、1C、1Kの外周面上を帯電、露光し外周面上に潜像を形成した後、現像によりトナー像(顕像)を形成し、無端ベルト状の中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録媒体Pに転写し、ベルト式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。尚、本発明で像形成時とは潜像形成、トナー像(顕像)を記録媒体Pに転写し最終画像を形成することを含む。
トナー像を記録媒体Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、各感光体1Y、1M、1C、1Kに配設されたクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
上記カラー画像形成装置では、中間転写体をクリーニングするクリーニング手段6Aのクリーニング部材として、弾性ブレードを用いる。又、各感光体に脂肪酸金属塩を塗布する手段(11Y、11M、11C、11K)を設けている。尚、脂肪酸金属塩としては、トナーで用いたと同じものを用いることが出来る。
図2は、中間転写体として中間転写ロールを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。
1′はフルカラー画像形成装置を示す。フルカラー画像形成装置1′は、現像ユニット2′と、感光体3′と、転写ユニット4′と、定着器5′と、給紙カセット6′とを有している。現像ユニット2′はマゼンタトナーMを有するマゼンタ現像ユニット2′Mと、シアントナーCを有するシアン現像ユニット2′Cと、イエロートナーYを有するイエロー現像ユニット2′Yと、ブラックトナーKを有するブラック現像ユニット黒2′Kとを有し、感光体3′の周囲に配設されている。
感光体3′は矢示の方向に所定の周速度で回転駆動される様に配設されている。感光体3′は回転過程で、感光体3′の周囲に配設された一次帯電器(コロナ放電器)7′により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで画像露光手段(不図示)による画像露光8′を受けることにより目的のカラー画像の第1の色成分像、例えばマゼンタ成分像に対応した静電潜像が形成される。次いでその静電潜像がマゼンタ現像ユニット2′Mにより第1色であるマゼンタトナーMにより現像される。
転写ユニット4′は中間転写ローラ401′と、中間転写ローラクリーナ402と、転写ローラ403とを有している。中間転写ローラ401′は感光体3′と逆方向(図中の矢印方向)に感光体3′と同じ周速度をもって回転駆動される様になっている。
感光体3′の上に形成担持された上記第1色のマゼンタトナー画像は、感光体3′と中間転写ローラ401′とのニップ部N1(一次転写部)を通過する過程で、電源(不図示)から中間転写ローラ401′に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ローラ401′の外周面に順次中間転写されていく。
中間転写ローラ401′に対する第1色のマゼンタトナー画像の転写を終えた感光体3′表面は、感光体3′の周囲に配設されたクリーニング装置(不図示)により清掃される。以下同様に、第2色目のシアントナー画像、第3色目のイエロートナー画像、第4色目のブラックトナー画像が感光体3′に順次に形成され、それらのナトー画像が順次に中間転写ローラ401′の上に重畳転写され、中間転写ローラ401′の上に第1〜第4色のトナー画像が重ね合わせられ、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
中間転写ローラ401′の上に重畳転写された合成カラートナー画像の、転写材9′への転写(二次転写)は、それまで離間していた転写ローラ402′がシフト手段(不図示)により中間転写ローラ401′に当接されると共に、給紙カセット6′から転写材9′が給紙ローラ601′により1枚分離給送され、レジストローラ602′により中間転写ローラ401′と転写ローラ403′との当接ニップ部N2(二次転写部)に所定のタイミングで給送され、同時に二次転写バイアスがバイアス電源(不図示)から転写ローラ403′に印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ローラ401′から転写材9′へ合成カラートナー画像が転写される。
合成カラートナー画像が転写された転写材9′は中間転写ローラ401′から分離されてガイドで定着器5′へ導入され熱ローラ501′と加圧ローラ502′により加熱定着される。
転写材9′への合成カラートナー画像が転写終了後、中間転写ローラ401′の上の転写残トナーは中間転写ローラ401′に対して中間転写ローラクリーナ402′がシフト手段(不図示)により当接(図中の矢印方向)されることで除去される。
本発明において中間転写体とは図1に示す無端の中間転写ベルト70及び図2に示す中間転写ロール401′を言い、本発明は図1に示す無端の中間転写ベルト70及び図2に示す中間転写ロール401′に関するものである。
図3は、図1に示す中間転写体の中間転写ベルトの拡大概略断面図である。
図中、70は中間転写体を示す。本発明の中間転写体においては、基材ユニットが、基材及び弾性層と共に、樹脂層を有することが好ましい態様である。
図3に示す中間転写体は、基材70aの上に順次弾性層70bと、樹脂層70cと、無機化合物層70dとを積層した構成を一例として示してある。Eは基材70aの厚さを示す。厚さEは、機械的強度、画質、製造コスト等を考慮し、50μm〜1000μmが好ましい。Fは弾性層の厚さを示す。厚さFは、50μm〜500μmが好ましい。また100〜300μが更に好ましい。
〈表面粗さRz(10点平均高さ)〉
本発明では、基材上に少なくとも1層の弾性層を有する基材ユニット表面の表面粗さをRz1とし、該無機化合物層表面の表面粗さをRz2としたとき、Rz2/Rz1が、0.9以上、5.0以下であることを特徴とし、更に好ましくは、Rz2/Rz1が、1.0以上、3.5以下である。
また、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、10μm□の条件で測定した基材ユニット表面の表面粗さRz1としては、50nm以上、500nm以下であることが好ましい。
基材ユニット表面の基材ユニットが基材及び弾性層のみで構成されている場合には、弾性層表面が基材ユニット表面となり、図3に示すように、更にその上に樹脂層を有する場合には、樹脂層表面が基材ユニット表面となる。
本発明に係る基材ユニット表面の表面粗さRz1及び無機化合物層表面の表面粗さRz2は、原子間力顕微鏡で測定した10μm四方の10点平均表面粗さRz(nm)を、本発明においては表面粗さRzとして定義する。
本発明でいう10点平均表面粗さRz(nm)とは、JIS B601に準じて求めた値であり、微小面積における微小な凹凸状態を表すもので、本発明では、原子間力顕微鏡(AFM)で求めた値を用いる。
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)は、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえる。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域10μm角を、1(or2)視野、走査周波数1Hzで測定する。
上記測定結果において、本発明における十点平均粗さ(Rz)は、断面曲線から基準長さだけ抜き取り、抜き取り部分を、平均線に平行、且つ断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差をナノメータ(nm)で表したものをRzという。
〈表面硬度(弾性率)〉
また、本発明の中間転写体においては、無機化合物層が2層以上から構成されている場合、最表層の無機化合物層の表面硬度が8.0GPa以下であることが好ましい、また、最表層を除く無機化合物層の表面硬度としては1.0GPa以下であることが好ましい。
本発明に係る無機化合物層の表面硬度は、公知の測定方法により求めることができるが、本発明に係る表面硬度は、ナノインデンテーションによる測定した値を用いる。
ナノインデンテーションとは、試料に対して超微小な荷重で圧子を連続的に負荷、除荷し、得られた荷重−変位曲線から硬さ(Hardness、以下、Hと略記)や弾性率(Reduced Modulus、以下、Erと略記)を測定する方法である。
ナノインデンテーションの硬さ(H)と弾性率(Er)の違いについては、試料の直接的な表面の硬さの値が(H)であり、弾性率(Er)は試料の変形度合いを表している。したがって、ナノインデンテーションの硬さ(H)が表面硬度の指標として適している。
本発明に係る無機化合物層の硬度は、基材Eに対してそれぞれ直接弾性層、樹脂層、無機化合物層を積層するときと同じ条件で形成し、ナノインデンテーション法によって測定した値を示す。
ナノインデンテーション法によるヤング率の測定方法は、微小なダイヤモンド圧子を薄膜に押し込みながら荷重と押し込み深さ(変位量)の関係を測定し、測定値から塑性変形硬さを算出する方法である。
測定条件
測定機:NANO Indenter XP/DCM(MTS Systems社製)
測定圧子:先端形状が正三角形のダイヤモンドBerkovich圧子
測定環境:20℃、60%RH
測定試料:5cm×5cmの大きさに中間転写体を切断して測定試料を作製
最大荷重設定:25μN
押し込み速度:最大荷重25μNに5secで達する速度で、時間に比例して加重を印加する
尚、測定は各試料ともランダムに10点測定し、その平均値をナノインデンテーション法により測定した表面硬度とする。なお、弾性率も上記と同様の方法で求めることができる。
〈無機化合物層の炭素含有率〉
また、本発明の中間転写体においては、無機化合物層が2層以上で構成される場合、下層の無機化合物層の炭素含有率が、隣接する上層の該無機化合物層の炭素含有率よりも高い構成をとることが好ましく、更には最表層を除く無機化合物層の炭素含有率(炭素原子数濃度)としては0.5原子数濃度%〜10原子数濃度%、最表層の炭素含有率(炭素原子数濃度)は0.1原子数濃度%以下であることが好ましい。
本発明でいう炭素含有率を示す原子数濃度とは、下記のXPS法によって算出されるもので、以下に定義される。
原子数濃度%(atomic concentration)=炭素原子の個数/全原子の個数×100
XPS表面分析装置は、本発明では、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。具体的には、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5eV〜1.7eVとなるように設定した。
測定としては、先ず、結合エネルギー0eV〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、各分析ターゲットの元素(炭素、酸素、ケイ素、チタン等)の含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。
定量処理を行う前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションを行い、5ポイントのスムージング処理を行った。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。このShirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
図3において、Hは無機化合物層の厚さを示す。厚さHは、耐久性、表面強度、樹脂層との密着性、屈曲耐性、成膜時間等を考慮し、50nm〜1000nmが好ましい。より好ましくは200nm〜500nmである。
〈膜厚測定〉
又、無機化合物層の膜厚は、「MXP21」(マックサイエンス社製)を用いて測定して得られた値である。具体的な膜厚の測定は、以下の方法で行うことができる。X線源のターゲットには銅を用い、42kV、500mAで作動させる。インシデントモノクロメータには多層膜パラボラミラーを用いる。入射スリットは0.05mm×5mm、受光スリットは0.03mm×20mmを用いる。2θ/θスキャン方式で0から5°をステップ幅0.005°、1ステップ10秒のFT法にて測定を行う。得られた反射率曲線に対し、マックサイエンス社製Reflectivity Analysis Program Ver.1を用いてカーブフィッティングを行い、実測値とフィッティングカーブの残差平方和が最小になるように各パラメータを求める。各パラメータから積層膜の膜厚を求める。
無機化合物層は少なくとも2層で形成してもよい。2層の場合、最表層の厚さは、5nm以上、200nm以下であることが好ましく、更には10nm以上、100nm以下であることが好ましい。また、最表層を除く無機化合物層の膜厚は100nm以上、1000nm以下であることが好ましく、更には200nm以上、700nm以下であることが好ましい。この様にすることで、更なる耐久効果が得られる。
次に本発明の中間転写体を構成している材料と製造方法に付き説明する。
《中間転写ベルトの基材》
本発明に用いられる基材としては、特に制限はないが、樹脂基材に導電剤を分散させて構成されるシームレスのベルトを用いることが好ましい。
〔樹脂基材〕
樹脂基材は、クリーニング部材であるクリーニングブレードから中間転写ベルトに加わる負荷で中間転写体が変形することを回避し、転写部への影響を低減させる剛性を有するものである。樹脂基材は、ナノインデンテーション法により測定したヤング率が5.0GPa〜15.0GPaの範囲内の材料を用いて形成することが好ましく、8.0GPa〜15.0GPaの範囲内の材料がより好ましい。
この様な性能を発現する材料として、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテル、エーテルケトン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド及びポリフェニレンサルファイド等のいわゆるエンジニアリングプラスチック材料を用いることが出来、等の樹脂材料が挙げられ、これらの中ではポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの樹脂材料のナノインデンテーション法により測定したヤング率は5.0GPaを超えるものであり、厚み50〜200μmで、樹脂基材としての機械特性を満足する。更に、前述の樹脂材料と下記の弾性材料とをブレンドした材料を使用することも可能である。前記弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
この中でも、ポリフェニレンサルファイド或いはポリイミド樹脂を含有することが好ましい。ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸の加熱により形成される。又、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物や、その誘導体とジアミンのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることにより得られる。
尚、本発明では、樹脂基材にポリイミド系樹脂を使用する場合、樹脂基材におけるポリイミド系樹脂の含有率が51%以上であることが好ましい。
本発明に係る樹脂基材は、樹脂材料に導電性物質を添加して、電気抵抗値(体積抵抗率)を10Ω・cm〜1011Ω・cmに調整したシームレスベルトやドラムが好ましい。
樹脂材料に添加する導電性物質としては、カーボンブラックを使用することが出来る。カーボンブラックとしては、中性又は酸性カーボンブラックを使用することが出来る。導電性物質の使用量は、使用する導電性物質の種類によっても異なるが中間転写体の体積抵抗値及び表面抵抗値が所定の範囲になるように添加すればよく、通常、樹脂材料100質量部に対して10質量部〜20質量部、好ましくは10質量部〜16質量部である。
本発明に用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により作製することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状の無端ベルト状の基材を作製することが出来る。
《弾性層》
本発明に係る基材ユニットにおいては、基材上に少なくとも1層の弾性層を有することを特徴の一つとする。
〔弾性層の構成材料〕
弾性層はJIS A硬度で40°〜70°、弾性率は、基材あるいは好ましい態様の1つである樹脂層の弾性率にもよるが、強度およびニップ性等を考慮し、引張り弾性率1×10〜1×10Pa(JIS K7161)であることが好ましい。
弾性層としては、特に限定されるものではなく、任意のゴム材料、熱可塑性エラストマーを用いることができる。例えばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ハイスチレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロロヒドリンゴム及びノルボルネンゴム等から選ぶことができるが、その中でも、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム及びエチレン−プロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種であること好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系、ポリウレタン系、スチレン− ブタジエントリブロック系、ポリオレフィン系などを用いることができる。
又、弾性層は基材に使用する樹脂材料と弾性材料とをブレンドした材料を用いて形成した層でもよい。
例えばシリコーンゴムの素材としては、ビニル基を含有したポリオルガノシロキサン組成物が用いられる。シリコーンゴムとしては、付加反応触媒により硬化可能な2液性の液状シリコーンゴムや過酸化物からなる加硫剤により加硫(硬化)可能な熱加硫型シリコーンゴムが用いられる。又、弾性体層には、シームレスベルトの使用目的、設計目的などに応じて、充填剤、増量充填剤、加硫剤、着色剤、導電性物質、耐熱剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。また、配合剤の添加量などにより合成樹脂の可塑度は変化するが、硬化前の剛性樹脂の可塑度としては、120以下のものが好適に用いられる。
弾性層は、弾性材料に導電性物質を分散させて、電気抵抗値(体積抵抗率)を10〜1011Ω・cmに調製することができる。
弾性層に添加する導電性物質としては、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素等を使用することができる。カーボンブラックとしては、中性又は酸性カーボンブラックを使用することができる。導電性物質の使用量は、使用する導電性物質の種類によっても異なるが弾性層の体積抵抗値及び表面抵抗値が所定の範囲になるように添加すれば良く、通常、弾性材料100質量部に対して10〜20質量部、好ましくは10〜16質量部である。
〔弾性体層の形成方法〕
弾性体層は、公知の塗布方法、例えば特開2006−255615号公報に記載の浸漬塗布、特開平10−104855号公報に記載の円形量規制型塗布、特開2007−136423号公報に記載の環状塗布方法、或いは浸漬塗布と円形量規制型塗布を組み合わせて塗膜を設けて作製することが出来るが、これに限定されるものではない。
具体的には、無端ベルト状の樹脂基材の上に弾性体層を形成する方法としては、例えば弾性層用の塗布液が収容されている槽中に、円筒の芯材に環状の無端ベルト状の樹脂基材をセットし、垂直に立てた状態で入れて浸漬させる。この時、浸漬を数回繰り返して所定の厚さの塗膜を形成させた後、塗布液中から引上げる。次に、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(例えば60〜150℃×60分間)を行い、弾性層を作製する。
金属円筒状の基材の上に弾性体層を形成する方法も無端ベルト状の樹脂基材の場合と同様に、ゴム、エラストマー、樹脂等を金属ロール上に溶融成形、注入成形、浸漬塗工あるいはスプレー塗工等により成形することによって設けることが可能である。
《樹脂層》
本発明に係る基材ユニットにおいては、基材上に弾性層と共に樹脂層を設けることが好ましい態様の1つである。
樹脂層としては、上記弾性層よりも高い弾性率を有する樹脂であれば特に限定はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アルコール可溶性ナイロン、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノール、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリホスファゼン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラバン酸、ポリアリルフェノール、フッ素、ポリ尿素、アイオノマー、シリコーン等の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂、およびこれら2種以上からなる混合物または共重合体等を挙げることが出来る。特にフッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が好ましい。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキビニルエーテル(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライドの共重合体(THV)、ポリビニリデンフロライド(PVDF)などを使用することができる。上記フッ素樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
ウレタン樹脂としては塗料の分野において公知のポリウレタン樹脂が使用可能である。特に水系ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂を構成するポリオール化合物としては、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール(ポリジエン系ポリオールを水素添加したポリオールを含む。)、ポリブタジエン系ポリオール、ポリイソプレン系ポリオール、アクリル樹脂系ポリオールなどがある。
ウレタン樹脂の硬化剤としては、ウレタン樹脂の原料として一般的に用いられているイソシアネート化合物を用いることができる。この場合、イソシアネート化合物とは、分子中に2個以上のイソシアネート基を持つ化合物であり、このようなイソシアネート化合物として具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート(LDI)、ウンデカントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、および上記イソシアネート化合物の重合体、誘導体、変性体、水素添加体等が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、2官能性(D単位)、3官能性(T単位)のシロキサン単位を10mol%以上、好ましくは主骨格として構成している公知の樹脂で、フェニル系シリコーン樹脂、メチル系シリコーン樹脂、メチルフェニル系シリコーン樹脂などが用いられるが、これらに限定されるものではない。さらに硬化機構も加熱硬化型,室温硬化型に限定されるものではない。さらにシリコーンゴムからなる層を用いることもできる。シリコーンゴム層としては、公知のメチルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴムなどが用いられるが、これらに限定されるものではない。さらにシリコーンゴムと添加物による過酸化反応、縮合反応、付加反応物を行うことによって、架橋構造を持たせても良い。さらにシリカなどの添加剤によって補強することも可能である。
アクリル系樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて形成される。特にバインダーとしてアクリル系の活性エネルギー線硬化樹脂を主成分とすることが好ましい。活性エネルギー線硬化アクリレート系樹脂としては、例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等が挙げられる。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部と、コロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
これらの中で、バインダーの主成分として、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートから選択されるアクリル系の活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。
活性光線硬化樹脂層の塗布組成物は、固形分濃度は10質量%〜100質量%であることが好ましく、塗布方法により適当な濃度が選ばれる。例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒の中から適宜選択し、または混合して使用できる。好ましくは、プロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルまたはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステルを5質量%以上、さらに好ましくは5質量%〜80質量%含有する溶媒が用いられる。
樹脂層には、必要に応じて樹脂または無機の微粒子を含有させることができる。これら微粒子には各種の材料を使用することができる。たとえばフッ素ゴム、フッ素エラストマー、および、PTFE、PVDF、ETFE、PFA等のフッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂粒子、PE、PP、PS、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂微粒子、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化鉄などの無機粉体などであり、これらを単独または複数混合して使用することもできる。
微粒子の形状や粒径も特に限定されるものではなく球状、繊維状、板状、不定型などどのような形状でも使用できる。微粒子の粒径は制限はないものの分散性や諸特性を考慮すると0.01μm〜30μmの範囲が望ましい。また、諸特性に問題を与えない範囲で分散剤を使用することもできる。
樹脂層には導電剤を含んでいても良い。導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質:アルミニウム、銅合金等の金属または合金:更には酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等の少なくとも1種の微粉末が用いられる。
これらの樹脂層形成材料の中で、後述する無機化合物層との密着性および弾性率の面からフッ素樹脂またはウレタン樹脂またはシリコーン樹脂あるいはこれらの混合物が好ましい樹脂として挙げられる。好ましくは、少なくともフッ素樹脂粒子を含んでなるウレタン系樹脂塗料組成物であり、樹脂層中に含まれるフッ素樹脂の含有量は特に限定されないが、ウレタン樹脂100質量部に対して30質量部〜70質量部の範囲内にあることが好ましく、40質量部〜60質量部の範囲内にあることがより好ましい。また樹脂層中には、フッ素樹脂以外からなる他の樹脂成分も含まれてもよい。
フッ素樹脂としては、先にあげたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合(ECTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体及びフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体などの樹脂を挙げることができる。これらを単独、又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
樹脂層の膜厚は、1μm〜100μmが好ましく、更に2μm〜30μmが好ましい。樹脂層の弾性率は弾性層よりも高く、0.1GPa〜5GPaであることが好ましい。樹脂層には弾性率の調整、あるいは後述する無機化合物との密着性向上のために樹脂粒子及び/又は無機微粒子を5質量%〜300質量%含有してもよい。
〔樹脂層の形成方法〕
無端ベルト状の基材の上に形成された弾性体層の上に樹脂層を形成する方法としては、弾性体層の形成方法と同じ方法で形成することが可能である。例えば樹脂層用の塗布液が収容されている槽中に、円筒の芯材に弾性層までが形成された環状の無端ベルト状の樹脂基材をセットし、垂直に立てた状態で入れて浸漬させる。この時、浸漬を数回繰り返して所定の厚さの塗膜を形成させた後、塗布液中から引上げる。次に、乾燥し溶剤を除去した後、加熱処理(例えば60℃×60分間〜150℃×60分間)を行い、樹脂層を作製する。
金属円筒状の基材の上に樹脂層を形成する方法も無端ベルト状の樹脂基材の場合と同じ方法で樹脂層を形成することが可能である。
《無機化合物層》
本発明の中間転写体においては、基材ユニット上に大気圧プラズマCVD法により形成された少なくとも1層の無機化合物層を有することを特徴とする。
本発明に係る無機化合物層は、In、Sn、Cd、Zn、Al、Sb、Ge、W、Mo、Si、Zr、Ce、Mg、Tiから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物、金属窒化物もしくは金属酸化窒化物から形成されていることが好ましく、特にAl、Si、Tiが好ましい。具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化チタン、酸化窒化チタン、窒化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられる。更に酸化珪素または炭素を含有する酸化珪素が最も好ましい。
無機化合物層は、弾性層あるいは樹脂層との密着性の観点から、大気圧プラズマCVD法により形成することを特徴の一つとする。
以下、本発明の中間転写体に係る無機化合物層を大気圧プラズマCVD法により形成する装置について、その詳細を説明する。
本発明でいう大気圧もしくはその近傍の圧力というのは、20kPa〜200kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには90kPa〜110kPa程度であり、特に93kPa〜104kPaが好ましい。
図4は、ベルト状の中間転写体である中間転写ベルトの無機化合物層を大気圧プラズマCVD法により形成する大気圧プラズマ処理装置の模式図である。
図4において、無機化合物層の大気圧プラズマ処理装置102(放電空間と薄膜堆積領域が略同一なダイレクト方式)は基材上に無機化合物層を形成するもので、エンドレスベルト状の中間転写体の基材175を巻架して矢印方向に回転するロール電極120と従動ローラ201、及び、基材表面に無機化合物層を形成する成膜装置であるプラズマCVD装置103より構成されている。
プラズマCVD装置103は、ロール電極120の外周に沿って配列された少なくとも1式の固定電極121と、固定電極121とロール電極120との対向領域で且つ放電が行われる放電空間123と、少なくとも原料ガスと放電ガスとの混合ガスGを生成して放電空間123に混合ガスGを供給する混合ガス供給装置124と、放電空間123等に空気の流入することを軽減する放電容器129と、ロール電極120に接続された第1の電源125と、固定電極121に接続された第2の電源126と、使用済みの排ガスG′を排気する排気部128を有している。
混合ガス供給装置124は無機化合物層を形成する原料ガスと、窒素ガス或いはアルゴンガス等の希ガスを混合した混合ガスを放電空間123に供給する。
又、従動ローラ201は張力付勢手段202により矢印方向に付勢され、基材175に所定の張力を掛けている。張力付勢手段202は基材175の掛け替え時等は張力の付勢を解除し、容易に基材175の掛け替え等を可能としている。
第1の電源125は周波数ω1の電圧を出力し、第2の電源126は周波数ω2の電圧を出力し、これらの電圧により放電空間123に周波数ω1とω2とが重畳された電界Vを発生する。そして、電界Vにより混合ガスGをプラズマ化して混合ガスGに含まれる原料ガスに応じた膜(無機化合物層)が基材175の表面に堆積される。
尚、複数の固定電極の内、ロール電極の回転方向下流側に位置する複数の固定電極と混合ガス供給装置で無機化合物層を積み重ねるように堆積し、無機化合物層の厚さを調整するようにしても良い。
又、複数の固定電極の内、ロール電極の回転方向最下流側に位置する固定電極と混合ガス供給装置で無機化合物層を堆積し、より上流に位置する他の固定電極と混合ガス供給装置で、例えば無機化合物層と基材との接着性を向上させる接着層等、他の層を形成しても良い。
又、無機化合物層と基材との接着性を向上させるために、無機化合物層を形成する固定電極と混合ガス供給装置の上流に、アルゴンや酸素などのガスを供給するガス供給装置と固定電極を設けてプラズマ処理を行い、基材の表面を活性化させるようにしても良い。
ここで、周波数ω1と周波数ω2の関係、及び、電界強度V1と電界強度V2及び放電ガスの放電を開始する電界強強度IVとの関係が、ω1<ω2で、V1≧IV>V2、又は、V1>IV≧V2を満たし、前記第2の高周波電界の出力密度が1W/cm以上となっている。
窒素ガスの放電を開始する電界強強度IVは3.7kV/mmのため、少なくとも第1の電源25から印可する電界強度V1は3.7kV/mm、又はそれ以上とし、第2の高周波電源60から印可する電界強度V2は3.7kV/mm、又はそれ未満とすることが好ましい。
又、第1のプラズマCVD装置103に利用可能な第1の電源125(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。
又、第2の電源126(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。
尚、上記電源の内、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明において、第1及び第2の電源から対向する電極間に供給する電力は、固定電極121に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、薄膜を形成する。固定電極121に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm、より好ましくは20W/cmである。下限値は、好ましくは1.2W/cmである。尚、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
又、ロール電極120にも、1W/cm以上の電力(出力密度)を供給することにより、高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成でき、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立できる。好ましくは5W/cm以上である。ロール電極120に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cmである。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくともロール電極20に供給する高周波は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
以上説明したように、エンドレスベルトである基材を1対のローラに張架し、1対のローラの内一方を1対の電極の一方の電極とし、一方の電極としたローラの外周面の外側に沿って他方の電極である少なくとも1の固定電極を設け、これら1対の電極間に大気圧又は大気圧近傍下で電界を発生させプラズマ放電を行わせ、基材表面に薄膜を堆積・形成する。
更に他の形態として、ロール電極及び固定電極の内、一方の電極をアースに接続して、他方の電極に電源を接続しても良い。この場合の電源は第2の電源を使用することが緻密な薄膜形成を行える点で好ましく、特に放電ガスにアルゴン等の希ガスを用いる場合に好ましい。
図4に示す大気圧プラズマCVD法により形成する製造装置で使用する放電ガスとは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等及びそれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
又、無機層を形成するための原料ガスとしては、常温で気体又は液体の有機金属化合物、特にアルキル金属化合物や金属アルコキシド化合物、有機金属錯体化合物が用いられる。これら原料における相状態は常温常圧において必ずしも気相である必要はなく、混合ガス供給装置で加熱或いは減圧等により溶融、蒸発、昇華等を経て気化し得るものであれば、液相でも固相でも使用可能である。
原料ガスとしては、放電空間でプラズマ状態となり、薄膜を形成する成分を含有するものであり、有機金属化合物、有機化合物、無機化合物等である。
例えば、ケイ素化合物として、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51などが挙げられるがこれらに限定されない。
チタン化合物としては、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどが挙げられるがこれらに限定されない。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムエトキシド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウムイソプロポキシド、4−ペンタンジオネート、ジメチルアルミニウムクロライドなどが挙げられるがこれらに限定されない。
又、これらの原料は、単独で用いてもよいが、2種以上の成分を混合して使用するようにしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《基材ユニットの作製》
〔基材ユニットAの作製〕
(無端ベルト状の基材1の準備)
厚さ100μmの導電性物質を含有するポリイミド(PI)からなるシームレスレスベルトを準備し、これを無端ベルト状の基材1とした。
(弾性層の作製)
上記無端ベルト状の基材1の外周に、ニトリルゴムからなる厚さ130μmの弾性層をディッピング塗布法によりを形成した。
(樹脂層の形成)
上記弾性層を形成した無端ベルト状の基材1の弾性層上に、下記樹脂層形成用塗布液を乾燥膜厚が5μmとなるようにワイヤーバーで塗布し、80℃にて5分間乾燥した。次に80W/cm高圧水銀灯を12cmの距離から4秒間照射して硬化させ、樹脂層を形成して、基材ユニットAを作製した。
〈樹脂層形成用塗布液の調製〉
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
ジエトキシベンゾフェノン(UV光開始剤) 2質量部
メチルエチルケトン 50質量部
酢酸エチル 50質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
上記組成物を撹拌しながら溶解して、樹脂層形成用塗布液を調製した。
(表面粗さRz1の測定)
作製した基材ユニットAの樹脂層形成面側の表面粗さRz1を、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)として、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA500多機能型ユニットを用いて、前述の条件で測定した結果、17nmであった。
〔基材ユニットBの作製〕
上記基材ユニットAの作製において、基材(ポリイミド)の膜厚を95nmに変更し、更に、弾性層の形成にニトリルゴムに代えてウレタンゴムを用い、膜厚を250μmに変更した以外は同様にして、基材ユニットBを作製した。
作製した基材ユニットBの樹脂層形成面側の表面粗さRz1を、上記と同様の方法で測定した結果、144nmであった。
〔基材ユニットCの作製〕
上記基材ユニットAの作製において、基材(ポリイミド)の膜厚を80nmに変更し、更に、弾性層の形成にニトリルゴムに代えてクロロプレンゴムを用い、膜厚を150μmに変更した以外は同様にして、基材ユニットCを作製した。
作製した基材ユニットCの樹脂層形成面側の表面粗さRz1を、上記と同様の方法で測定した結果、200nmであった。
〔基材ユニットDの作製〕
上記基材ユニットBの作製において、樹脂層を設けなかった以外は同様にして、基材ユニットDを作製した。
作製した基材ユニットDの弾性層形成面側の表面粗さRz1を、上記と同様の方法で測定した結果、238nmであった。
〔基材ユニットEの作製〕
(無端ベルト状の基材2の準備)
厚さ100μmの導電性物質を含有するポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)からなるシームレスレスベルトを準備し、これを無端ベルト状の基材2とした。
(弾性層の作製)
上記無端ベルト状の基材2の外周に、シリコンゴムからなる厚さ100μmの弾性層をディッピング塗布法によりを形成して基材ユニットEを作製した。
作製した基材ユニットEの弾性層形成面側の表面粗さRz1を、上記と同様の方法で測定した結果、383nmであった。
〔基材ユニットFの作製〕
上記基材ユニットCの作製において、樹脂層を設けなかった以外は同様にして、基材ユニットFを作製した。
作製した基材ユニットFの弾性層形成面側の表面粗さRz1を、上記と同様の方法で測定した結果、417nmであった。
各基材ユニットの主な構成を、表1に示す。
Figure 2010113118
《中間転写体の作製》
〔中間転写体1の作製〕
上記作製した基材ユニットAの弾性層上に、図4に記載の大気圧プラズマ処理装置を用いて、無機化合物層1(下層(第1層)及び上層(最表層、第2層))を形成して、中間転写体1を作製した。
(第1層:下層の形成)
第1層(下層)の形成材料としては、下記の第1層混合ガス組成物を用い、第1層の形成は、下記の膜形成条件で行った。この時の大気圧プラズマ処理装置の各電極を被覆する誘電体は対向する両電極共に、セラミックス溶射加工により片肉で1mm厚のアルミナを被覆したものを使用した。被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。又誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施し、第1層(Si)を形成した。
第1層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、2.0原子数%であった。
〈第1層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.93体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.07体積%
反応ガス:酸素ガス 5.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第1層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
(第2層:最表層の形成)
次に、上記形成した第1層上に、図4に記載の大気圧プラズマ処理装置を用いて、無機化合物層である第2層(最表層)を形成した。
第2層の形成材料としては、下記の第2層混合ガス組成物を用い、第2層の形成は、下記の膜形成条件で行った。この時の大気圧プラズマ処理装置の各電極を被覆する誘電体は対向する両電極共に、セラミックス溶射加工により片肉で1mm厚のアルミナを被覆したものを使用した。被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。又誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施し、第2層(SiO)を形成した。
第2層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、0.2原子数%であった。
〈第2層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 81.95体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.05体積%
反応ガス:酸素ガス 18.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第2層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
〔中間転写体2の作製〕
上記中間転写体1の作製において、基材ユニットAに代えて、表面粗さRz1が200nmの基材ユニットCを用い、下記の無機化合物層2(下層(第1層)及び上層(最表層、第2層))の混合ガス組成及び形成条件に変更した以外は同様にして、中間転写体2を作製した。
[無機化合物層2の成膜条件]
(第1層:下層の形成)
〈第1層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.91体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.09体積%
反応ガス:酸素ガス 5.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第1層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
第1層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、4.0原子数%であった。
(第2層:最表層の形成)
〈第2層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 84.95体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.05体積%
反応ガス:酸素ガス 15.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第2層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
第2層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、0.3原子数%であった。
〔中間転写体3、4の作製〕
上記中間転写体2の作製において、基材ユニットCに代えて、基材ユニットD(Rz1:238nm)、基材ユニットE(Rz1:383nm)をそれぞれ用いた以外は同様にして、中間転写体3、4を作製した。
〔中間転写体5の作製〕
上記中間転写体1の作製において、無機化合物層1の混合ガス組成及び形成条件を、下記の無機化合物層3(下層(第1層)及び上層(最表層、第2層))の混合ガス組成及び形成条件に変更した以外は同様にして、中間転写体5を作製した。
[無機化合物層3の成膜条件]
(第1層:下層の形成)
〈第1層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.90体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.10体積%
反応ガス:酸素ガス 5.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第1層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
第1層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、5.0原子数%であった。
(第2層:最表層の形成)
〈第2層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 87.95体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.05体積%
反応ガス:酸素ガス 12.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第2層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
第2層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、0.4原子数%であった。
〔中間転写体6〜10の作製〕
上記中間転写体5の作製において、基材ユニットAに代えて、基材ユニットB〜基材ユニットFをそれぞれ用いた以外は同様にして、中間転写体6〜10を作製した。
〔中間転写体11の作製〕
上記中間転写体1の作製において、無機化合物層1の混合ガス組成及び形成条件を、下記の無機化合物層4(下層(第1層)及び上層(最表層、第2層))の混合ガス組成及び形成条件に変更した以外は同様にして、中間転写体11を作製した。
[無機化合物層4の成膜条件]
(第1層:下層の形成)
〈第1層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.95体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.08体積%
反応ガス:酸素ガス 5.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第1層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 8W/cm
第1層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、7.0原子数%であった。
(第2層:最表層の形成)
〈第2層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 91.95体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.05体積%
反応ガス:酸素ガス 8.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第2層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
第2層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、1.0原子数%であった。
〔中間転写体12〜16の作製〕
上記中間転写体11の作製において、基材ユニットAに代えて、基材ユニットB〜基材ユニットFをそれぞれ用いた以外は同様にして、中間転写体12〜16を作製した。
〔中間転写体17の作製〕
上記中間転写体2の作製において、無機化合物層2の混合ガス組成及び形成条件を、下記の無機化合物層5(下層(第1層)及び上層(最表層、第2層))の混合ガス組成及び形成条件に変更した以外は同様にして、中間転写体13を作製した。
[無機化合物層5の成膜条件]
(第1層:下層の形成)
〈第1層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.90体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.10体積%
反応ガス:酸素ガス 5.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第1層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 8W/cm
第1層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、12.0原子数%であった。
(第2層:最表層の形成)
〈第2層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.93体積%
膜形成(原料)ガス:テトラエトキシシラン 0.07体積%
反応ガス:酸素ガス 5.00体積%
各原料ガスは、加熱することで蒸気を生成し、あらかじめ原料が凝集しないように余熱を行った放電ガス及び反応ガスと混合・希釈した後、放電空間への供給を行った。
〈第2層形成条件〉
第1電極側電源類
応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側電源類
パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm
第2層の炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、2.0原子数%であった。
〔中間転写体18〜20の作製〕
上記中間転写体17の作製において、基材ユニットCに代えて、基材ユニットD〜基材ユニットFをそれぞれ用いた以外は同様にして、中間転写体18〜20を作製した。
〔中間転写体21の作製〕
上記中間転写体4の作製において、無機化合物層の形成を、大気圧プラズマ処置方法に代えて、下記のプラズマCVD法を用いた以外は同様にして、中間転写体21を作製した。
薄膜形成装置として、サムコ社製プラズマCVD装置Model PD−270STPを用いて製膜を行った。
製膜条件は以下の通りである。
酸素圧力:40Pa
反応ガス:テトラエトキシシラン(TEOS)5sccm(standard cubic centimeter per minute)
電力:13.56MHzで100W
基材保持温度:120℃
〔中間転写体22の作製〕
上記中間転写体15の作製において、無機化合物層の形成に用いる原料として、テトラエトキシシランに代えて、チタンテトライソプロポキシドを用いて、酸化チタン膜に変更した以外は同様にして、中間転写体22を作製した。
〔中間転写体23の作製〕
上記中間転写体15の作製において、無機化合物層の形成に用いる原料として、テトラエトキシシランに代えて、アルミニウムエトキシドを用いて、酸化アルミニウム膜に変更した以外は同様にして、中間転写体23を作製した。
上記中間転写体1〜23の作製に用いた各無機化合物層の詳細を、表2に示す。
Figure 2010113118
なお、表2に記載の表面硬度は、明細書に記載のナノインデーション方により測定した値である。また、膜厚は、MXP21(マックサイエンス社製)を用いて測定した。
《中間転写体の評価》
上記作製した各中間転写体について、下記の方法に従って、転写効率、耐久性(クラック耐性)及びフィルミングを評価した。
〔転写効率の評価〕
プリンタ(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製のmagicolor5440DL)を用い、内部の中間転写ベルトを外し、上記作製した各中間転写体をそれぞれ装着した。このプリンタに、平均粒径が6.5μmの重合トナーをセットし、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色を最大トナー濃度でコニカミノルタCFペーパー(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)へ、プリントを行った。プリント紙上へ転写されたトナー付着量及びベルト上の残留トナー量を光学(反射)濃度測定し、測定結果を予め求めた光学濃度とトナー量との関係式に従ってトナー量へ換算し、下式によりトナー転写率(%)を求めた。
転写率(%)=(テストプリント紙上へ転写されたトナー量/(テストプリント紙上へ転写されたトナー量+ベルト上の残留トナー量))×100
◎:転写率が98%以上であった
○:転写率が95%以上、98%未満であった
△:転写率が90%以上、95%未満であった
×:転写率が90%未満であった
〔クラック耐性の評価〕
上記作製した各中間転写体について、40φ、25φ、15φの金属棒に、無機化合物層面が外側になるように巻き付けた後、5秒後に開放し、この操作を10回繰り返して行った後、未処理の中間転写体を含めて、拡大ルーペ(100倍)を用いてクラックの発生の有無を観察し、下記の基準に従ってクラック耐性の評価を行った。
◎:15φの金属棒においても、全くクラックの発生は認められない
○:25φの金属棒においてはクラックの発生は認められないが、15φの金属棒で極微小のクラックの発生が僅かに認められる
△:40φの金属棒においてはクラックの発生は認められないが、25φの金属棒で極微小のクラックの発生が認められる
×:40φの金属棒において、多数のクラックの発生が認められる
××:未処理試料にて、多数のクラックの発生が認められる
〔フィルミング耐性の評価〕
プリンタ(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製のmagicolor5440DL)を用い、内部の中間転写ベルトを外し、上記作製した各中間転写体をそれぞれ装着した。このプリンタに、平均粒径が6.5μmの重合トナーをセットし、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色を最大トナー濃度でコニカミノルタCFペーパー(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製、A4サイズ)に各トナー色とも5%イメージ率のテストパターンで、23℃、50%RHの環境下で30万枚プリントを行った後、中間転写ベルトを取り出し、その表面のフィルミング状態を目視で観察し、下記の基準に従ってフィルミング耐性を評価した。
◎:中間転写体に、全くフィルミングの発生が認められない
○:中間転写体に、ほぼフィルミングの発生が認められない
△:中間転写体に、弱いフィルミングの発生が認められるが、実用上問題ないレベル
×:中間転写体の一周にフィルミングの発生が認められ、実用上問題となるレベル
以上により得られた各評価結果を、表3に示す。なお、表3に記載の無機化合物層の表面粗さRz2は、最表層における表面粗さを表す。
Figure 2010113118
表3に記載の結果より明らかなように、大気圧プラズマCVD法により形成された無機化合物層を有し、基材ユニット表面の表面粗さRz1と、最表面に位置する無機化合物層表面の表面粗さRz2との比(Rz2/Rz1)が、0.9〜5.0の範囲にある中間転写体は、比較例に対し、転写効率、フィルミング耐性に優れ、かつ耐久性(クラック耐性)が高いことが分かる。
中間転写体として中間転写ベルトを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。 中間転写体として中間転写ロールを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。 図1に示す中間転写ベルトの拡大概略断面図である。 ベルト状の中間転写体である中間転写ベルトの無機化合物層を大気圧プラズマCVD法により形成する大気圧プラズマ処理装置の模式図である。
符号の説明
1、1′ フルカラー画像形成装置
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
4′ 転写ユニット
401′ 中間転写ローラ
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
70 中間転写ベルト
70a 基材
70b 弾性層
70c 樹脂層
70d 無機化合物層
102 大気圧プラズマ処理装置
103 プラズマCVD装置
120 ロール電極
121 固定電極
125 第1の電源
126 第2の電源
175 中間転写体の基材
201 従動ローラ

Claims (11)

  1. 電子写真感光体の表面に担持されたトナー像を中間転写体に一次転写した後、該中間転写体から該トナー像を転写材に二次転写する手段を有する画像形成装置に用いる中間転写体において、基材ユニット上に、大気圧プラズマCVD法により形成された少なくとも1層の無機化合物層を有し、該基材ユニットは、基材上に少なくとも1層の弾性層を有し、該基材ユニット表面の表面粗さをRz1とし、最表面に位置する該無機化合物層表面の表面粗さをRz2としたとき、Rz2/Rz1が、0.9以上、5.0以下であることを特徴とする中間転写体。
  2. 前記Rz2/Rz1が、1.0以上、3.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記基材ユニットが、更に樹脂層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写体。
  4. 原子間力顕微鏡(AFM)を用い、10μm□の条件で測定した前記基材ユニット表面の表面粗さRz1が、50nm以上、500nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記無機化合物層が2層以上から構成され、最表層の無機化合物層の表面硬度が8.0GPa以下で、膜厚が5nm以上、200nm以下であり、かつ最表層を除く無機化合物層の表面硬度が1.0GPa以下で、膜厚が100nm以上、1000nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中間転写体。
  6. 前記無機化合物層が、金属酸化物、金属窒化物及び金属酸化窒化物から選ばれる少なくとも1種から形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の中間転写体。
  7. 前記無機化合物層が、Al、Si及びTiから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物、金属窒化物もしくは金属酸化窒化物から形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の中間転写体。
  8. 前記無機化合物層が無機化合物から構成され、該無機化合物が酸化珪素または炭素を含有する酸化珪素であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の中間転写体。
  9. 前記2層以上で構成される無機化合物層は、下層の無機化合物層の炭素含有率が、隣接する上層の該無機化合物層の炭素含有率よりも高いことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の中間転写体。
  10. 前記弾性層が、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム及びエチレン−プロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種から形成された層であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の中間転写体。
  11. 前記基材が、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の中間転写体。
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