JP2010112042A - 排水性舗装およびその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工時間を短縮できるとともに基層への遮水性が高い排水性舗装およびその施工方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基層10上に排水性表層20が形成される排水性舗装1において、基層10の表面に、アスファルトに熱可塑性エストラマーからなる改質材を添加して、施工時温度領域の粘度が低く、温度低下によって粘度が高くなるように構成された粘度改良型アスファルト31を散布または塗布して保護層30を形成し、この保護層30上に排水性表層20を形成したことを特徴とし、保護層30は、粘度改良型アスファルト31を所定の温度まで加熱して粘度を低下させた状態で、基層10上に散布または塗布して、基層10上で硬化させることで形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、排水性舗装およびその施工方法に関する。
排水性舗装は、基層上に空隙を有する排水性表層を形成して構成されており、雨水を速やかに排水できる機能を有している。従来の排水性舗装は、基層上に、アスファルト乳剤やゴム系アスファルト乳剤を散布して防水層を形成し、その上部に排水性表層を形成したものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−170111号公報
しかしながら、前記の排水性舗装では、防水層を構成するアスファルト乳剤中に水を含有するため、乳剤の分解時間が必要となり、施工に要する時間が長期化してしまうといった問題があった。また、基層への遮水性を高めるために、防水層を厚く形成することが要求される場合があるが、アスファルト乳剤は粘度が低いため厚塗りが困難であり、防水層を厚く形成できないといった問題もあった。そこで、アスファルト乳剤散布と同時に分解促進剤を散布して厚塗りできるようにした手法も開発されているが、アスファルト乳剤用と分解促進剤用の片方あるいは双方の散布ノズルが詰まる等の不具合が生じたり、アスファルト乳剤あるいは分解促進剤の側溝への流出が生じたりする等の問題があった。
そこで、本発明は、これらの問題に鑑みて創案されたものであり、施工時間を短縮できるとともに基層への遮水性が高い排水性舗装およびその施工方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、基層上に排水性表層が形成される排水性舗装において、前記基層の表面に、アスファルトに熱可塑性エストラマーからなる改質材を添加して施工時温度領域の粘度が低く、温度低下によって粘度が高くなるように構成された粘度改良型アスファルトを散布または塗布して保護層を形成し、この保護層上に排水性表層を形成したことを特徴とする排水性舗装である。
このような構成によれば、元々薄塗りのために用いられていたアスファルト乳剤ではなく、アスファルト単体である粘度改良型アスファルトを用いたことによって、従来技術のような乳剤の分解時間は必要なく、施工時間を短縮できる。また、粘度改良型アスファルトは、一般の舗装用石油アスファルトと比較して施工時の温度領域付近の粘度を低くするための熱可塑性エストラマーからなる改質材を含有しているので、敷設時には、加熱することで粘度を低下でき、散布ノズル等の詰まりを防止することができる。また、粘度改良型アスファルトは、敷設後に温度が下がることで粘度が高くなり硬化するので、厚塗りが可能となる。これによって、保護層を厚くできるので、基層への遮水性を高くすることができる。さらに、保護層とタイヤゴムとの付着を抑制し、散布装置のノズルからの糸引き等を改善することができる。
請求項2に係る発明は、基層上に排水性表層が形成される排水性舗装の施工方法において、アスファルトに熱可塑性エストラマーからなる改質材を添加して、施工時温度領域の粘度が低く、温度低下によって粘度が高くなる粘度改良型アスファルトを生成し、前記粘度改良型アスファルトを所定の温度まで加熱して粘度を低下させた状態で、前記基層上に散布または塗布して、前記基層上で硬化させることで保護層を形成し、この保護層上に排水性表層を形成することを特徴とする排水性舗装の施工方法である。
このような方法によれば、請求項1の発明と同様に、施工時間を短縮できるとともに、粘度改良型アスファルトの粘度を低下でき散布ノズル等の詰まりを防止できる。さらに、粘度改良型アスファルトの厚塗りが可能となるので、基層への遮水性を高くすることができる。
本発明によれば、施工時間を短縮できるとともに、基層への遮水性を高めることができるといった優れた効果を発揮する。
本発明に係る排水性舗装およびその施工方法を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
ます、本実施形態に係る排水性舗装1の構成を説明する。かかる排水性舗装1は、図1に示すように、基層10上に排水性表層20が形成される舗装である。基層10の表面には、改質材を添加して構成され施工時温度領域の粘度が低く、温度低下によって粘度が高くなる粘度改良型アスファルトを散布または塗布して保護層30が形成されている。改質材は、熱可塑性エストラマーからなる。保護層30上には、排水性表層20が形成されている。基層10の下部には、路盤40が形成されている。路盤40は、基礎地盤上に敷設された路床50の表面に敷設されている。
路床50は、舗装と一体になって交通荷重を支持し、路床50の下部にある路体に対して交通荷重を一定に分散させる層である。硬質の地盤では、現地盤がそのまま用いられ、軟弱地盤では、砂等の粒材料を敷設したり、現地盤をセメントや石灰等を用いて地盤改良を行ったりして、硬化した層が形成されて用いられる。
路盤40は、基層10から伝達された交通荷重を分散させて路床50に伝達する層である。路盤40は、従来の一般道路と同様に施工されており、本実施形態では、たとえば、最大粒径40mmの粒径材料41(たとえば、粒度調整砕石、クラッシャランや再生クラッシャラン等)を、100mmの厚さに敷設して転圧する等して形成されている。路盤40の厚さは、排水性舗装1の用途によって適宜設定され、走行する車両の重量に応じて100〜800mmの厚さに設定される。
基層10は、排水性表層20に加わる交通荷重を分散させて路盤40に伝達する層である。基層10は、たとえば、粗骨材、細骨材やアスファルト等を所定の割合で混合してなるアスファルト混合物11にて構成されており、60mmの厚さに形成されている。基層10の厚さは、排水性舗装1の用途によって適宜設定され、走行する車両の重量に応じて、50〜100mmの厚さに設定される。
保護層30は、排水性表層20の空隙部を浸透した雨水等の水が基層10に流れ込まないように遮水する防水層の役目を果たして基層10を保護するとともに、排水性表層20を接着する接着層の役目を果たす。保護層30で遮水された水は、保護層30上を流れ、道路の側部に設けられた排水溝(図示せず)から排水される。保護層30は、アスファルトにSBS(スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体)系材料などの熱可塑性エストラマーからなる改質材を添加して構成されるアスファルト率が100%(改質材を含む)の粘度改良型アスファルト31にて形成されている。粘度改良型アスファルト31の温度と粘度との関係は、たとえば、180℃で550mm/S、160℃で2300mm/S、140℃で3520mm/Sである。
熱可塑性エストラマーは、原料としてスチレンモノマーとブタジエンモノマーが用いられている。熱可塑性エストラマーは、公知の基本的製造プロセスによって、両モノマーを化学的合成結合(共重合反応)させることにより製造されるスチレン・ブタジエン・スチレン共重合体にて構成されている。一般的に、スチレンモノマーの重合体は樹脂的性質を示し、ブタジエンモノマーの重合体はゴム的性質を示し、これらのバランスあるいは重合方式、重合媒体、反応温度等を適宜変えることにより、両モノマーの結合形態が変わり、異なった性質のポリマーを製造することができる。
このような関係を有する粘度改良型アスファルト31とすることによって、施工時には、粘度が低く散布または塗布を容易に行うことができるとともに、散布または施工後に温度低下して急激に粘度が高くなり硬化し始める。なお、温度と粘度との関係は一例であって、前記の数値に限定されるものではなく、適宜変更可能である。保護層30は、本実施形態では、たとえば、0.4〜1.2mmの厚さに形成されている。
排水性表層20は、道路の表面に設けられ、交通荷重を分散して、下層に伝達するとともに、交通荷重による流動、磨耗、ひび割れに抵抗し、平坦で滑りにくく、快適な走行が可能な路面を確保するための層である。また、排水性表層20は、水を透過させることで、水溜りをなくし、走行車両による水跳ねや水しぶきの緩和による視認性の向上、ハイドロプレーニング現象の緩和、走行音の軽減等の効果を得ることができる。排水性表層20は、粘度の高い改質アスファルト21から構成され、粗骨材の割合を多くして、空隙率が高めに設定されている。
次に、前記構成の排水性舗装1の施工方法を説明する。排水性舗装1を施工するに際しては、図2の(a)に示すように、まず、路床50を整地して平坦に形成した後、その上に粒径材料41を所定の厚さ(本実施形態では100mm)に敷設して整地した後に転圧し、路盤40を形成する。そして、路盤40上に、基層10を形成する。基層10は、アスファルト混合物11を所定の厚さ(本実施形態では60mm)に敷設して転圧することで形成する。
その後、図2の(b)に示すように、基層10の上に、保護層30を形成する。保護層30を形成するに際しては、まず、アスファルトに熱可塑性エストラマーからなる改質材を添加して混合することで粘度改良型アスファルト31を生成する。そして、アスファルトスプレーヤーを用いて、粘度改良型アスファルト31を加熱して散布する。散布量は、たとえば、0.6L/mである。このとき、粘度改良型アスファルト31は、160℃まで加熱され粘度が低くなり施工(散布または塗布)可能な流動性を備えることとなる。これによって、粘度改良型アスファルト31は、散布管60のノズルに詰まることなく、効率的に吹き付けて散布することができる。また、粘度改良型アスファルト31は、散布後、温度が低下することで硬化する。特に、本実施形態の粘度改良型アスファルト31は、温度が散布時の160℃から140℃へと低下するのに連れて、粘度が急激に高くなるので、散布と略同時に硬化する。これによって、粘度改良型アスファルト31を所定量散布することによって、保護層30を、従来のアスファルト乳剤の塗布厚さ0.15〜0.3mmと比較して厚く(0.4〜1.2mm)形成することができる。
なお、粘度改良型アスファルト31の加熱温度は、160℃に限定されるものではない。ノズル散布時の温度では粘度が低く、ノズル散布時の温度から20℃程度低下すると、著しく粘度が高くなるようにすれば、加熱温度は160℃以上でも調整が可能ある。
次に、図2の(c)に示すように、粗骨材の割合を多く粘度の高い改質アスファルト21を所定の厚さ(本実施形態では40mm)に敷設した後に転圧して締め固め、排水性表層20を形成する。
以上のような排水性舗装1およびその施工方法によれば、保護層30は粘度改良型アスファルト31にて形成されているので、従来のようにアスファルト乳剤を用いなくて済む。したがって、従来技術のような乳剤の分解時間は必要なく、施工時間を短縮できる。また、粘度改良型アスファルト31は、熱可塑性エストラマーからなる改質材を含有しているので、敷設時には、加熱することで粘度を施工可能な粘度まで低下でき、散布ノズル等の詰まりを防止することができる。また、粘度改良型アスファルト31は、敷設後に外気や施工面に接触して熱が奪われるため、温度が低下する。これに伴なって、粘度改良型アスファルト31は、粘度が急激に高くなるので、厚塗りが可能となる。また、粘度改良型アスファルト31はアスファルトとの接着性が高く、基層10と排水性表層20とを接着させる接着層の役目も果たす。
すなわち、本発明によれば、乳化した材料でなくアスファルト濃度が濃い状態の粘度改良型アスファルト31を散布することで、厚塗り可能な粘度を得られるとともに、粘度改良型アスファルト31に改質材が添付されていることで、加熱によって施工可能な粘度にすることができるといった作用効果が得られる。
以上のように、粘度改良型アスファルト31の厚塗りが可能になることにより、保護層30を厚く形成できるので、基層10への遮水性を高くすることができる。これによって、雨水等の水は排水口へと流れて、確実に排水される。したがって、基層10内に水が浸透して溜まることはなく、交通荷重によって基層10が軟弱化して剥離現象が発生するのを防止することができる。
さらに、本実施形態の粘度改良型アスファルト31は、さらに温度低下(70℃以下)することで粘度が高くなり、敷設車両が夏季に走行する場合の保護層の温度(約60℃)でも、タイヤが保護層30に付着するのを防止できる。これによって、施工性の向上および保護層30の損傷防止を達成することができる。また、本実施形態の粘度改良型アスファルト31は、散布時に糸引きがないので、保護層30の表面を平滑に形成できる。
要するに、本発明は、比較的温度が高い状態では粘度が低く、温度が低下するときに急激に粘度が高まるという粘度改良型アスファルト31の特異な性質を利用して、アスファルトを、各施工時の最適な状況に適合させることで、厚塗りすることによる遮水性の向上や、施工時間の短縮を達成したものである。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。たとえば、前記実施形態では、粘度改良型アスファルト31は、アスファルトスプレーヤーによって散布するようになっているが、これに限定されるものではなく、塗布するようにしてもよい。この場合、粘度改良型アスファルトは、塗布した後にスキーザを用いて表面を平滑化するようにするのが好ましい。
また、本発明に係る排水性舗装1は、新設の道路舗装だけでなく、切削オーバーレイ舗装を行う場合にも、適用可能である。この場合、オーバーレイ切削面に保護層を形成し、その上部に排水性表層を形成する。
本発明に係る排水性舗装を実施するための最良の形態を示した断面図である。 (a)〜(c)は、本発明に係る排水性舗装の施工方法を説明するための断面図である。
符号の説明
1 排水性舗装
10 基層
20 排水性表層
30 保護層
31 粘度改良型アスファルト

Claims (2)

  1. 基層上に排水性表層が形成される排水性舗装において、
    前記基層の表面に、アスファルトに熱可塑性エストラマーからなる改質材を添加して、施工時温度領域の粘度が低く、温度低下によって粘度が高くなるように構成された粘度改良型アスファルトを散布または塗布して保護層を形成し、
    この保護層上に排水性表層を形成した
    ことを特徴とする排水性舗装。
  2. 基層上に排水性表層が形成される排水性舗装の施工方法において、
    アスファルトに熱可塑性エストラマーからなる改質材を添加して、施工時温度領域の粘度が低く、温度低下によって粘度が高くなる粘度改良型アスファルトを生成し、
    前記粘度改良型アスファルトを所定の温度まで加熱して粘度を低下させた状態で、前記基層上に散布または塗布して、前記基層上で硬化させることで保護層を形成し、
    この保護層上に排水性表層を形成する
    ことを特徴とする排水性舗装の施工方法。
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