JP2010109874A - 薄膜バラン - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化を維持しつつ、平衡特性を改善することができる薄膜バランを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る薄膜バランは、第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2を備える不平衡伝送線路2と、第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2にそれぞれ磁気結合する第3のコイル部C3及び第4のコイル部C4を備えた平衡伝送線路3と、前記第1のコイル部に接続された不平衡端子と、第3のコイル部C3に接続された第1の平衡端子T1と、第4のコイル部C4に接続された第2の平衡端子T2と、第3のコイル部C3と第1の平衡端子T1との間、及び/又は、第4のコイル部C4と第2の平衡端子T2との間に接続された補助コイル部C5とを有し、補助コイル部C5は、第1及び第2のコイル部C1,C2のコイル開口に重ならないように配置されたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、不平衡−平衡の信号変換を行なうバランであって、特に、小型薄型化に有利な薄膜プロセスにより形成された薄膜バランに関する。
無線通信機器は、アンテナ、フィルタ、RFスイッチ、パワーアンプ、RF−IC、バラン等の各種高周波素子によって構成される。これらのなかで、アンテナやフィルタ等の共振素子は、接地電位を基準とした不平衡型の信号を扱うが、高周波信号の生成や処理を行なうRF−ICは、平衡型の信号を扱うため、両者を接続する場合には、不平衡−平衡変換器として機能するバランが使用される。
上述したバランの設計では、近時の電子デバイスへの小型化の要求にも応えるべく、バランの小型化を維持しつつ、変換対象となる信号周波数において、所望の平衡特性が得られるように、コイル(線路部)の長さや形状が最適化される(例えば、特許文献1参照)。
特許第3800121号
しかしながら、平衡特性を改善するためにコイルを同一平面上に長くすると、コイルの表面積が増加し、結果としてバランの小型化を維持することができない。このように、同一平面上にコイルの長さを増加させずに、平衡特性を改善することが求められている。
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を維持しつつ、平衡特性を改善することができる薄膜バランを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の薄膜バランは、第1のコイル部及び第2のコイル部を備える不平衡伝送線路と、第1のコイル部及び第2のコイル部にそれぞれ磁気結合する第3のコイル部及び第4のコイル部を備えた平衡伝送線路と、第1のコイル部に接続された不平衡端子と、第3のコイル部に接続された第1の平衡端子と、第4のコイル部に接続された第2の平衡端子と、第3のコイル部と第1の平衡端子との間、及び/又は、第4のコイル部と第2の平衡端子との間に接続された補助コイル部とを有し、補助コイル部は、第1乃至第4のコイル部のコイル開口に重ならないように配置されたものである。
かかる構成では、第3のコイル部と第1の平衡端子との間、及び/又は、第4のコイル部と第2の平衡端子との間に接続されに補助コイル部のインダクタンス値や形成位置を変えることにより、薄膜バランの平衡特性が調整される。特に、薄膜バランの平衡特性の改善のためには、補助コイル部は第1乃至第4のコイル部のコイル開口に重ならないように配置すべきことが本願発明者により確認されている。
例えば、補助コイル部は、第4のコイル部と第2の平衡端子との間に接続されることが好ましい。また、補助コイル部が、第1及び第3のコイル部のコイル導体に対向する領域、並びに第2及び第4のコイル部のコイル導体に対向する領域のうち少なくともいずれか一方に配置されることが好ましく、例えば、第2及び第4のコイル部のコイル導体に対向する領域に配置される。かかる構成では、詳細な作用は不明なものの、本願発明者により、薄膜バランの平衡特性の改善の効果が確認されている。
本発明によれば、第3のコイル部と第1の平衡端子との間、及び/又は、第4のコイル部と第2の平衡端子との間に電気的に接続され、かつ、第1乃至第4のコイル部のコイル開口に重ならないように配置された補助コイルを設けることにより、簡易な構成で、小型化を維持しつつ平衡特性に優れた薄膜バランを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
図1は、本実施形態に係る薄膜バラン1の等価回路図である。
図1に示すように、薄膜バラン1は、第1のコイル部C1と第2のコイル部C2とを備える不平衡伝送線路2と、第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2にそれぞれ磁気結合する第3のコイル部C3及び第4のコイル部C4を備えた平衡伝送線路3とを有する。また、薄膜バラン1は、第1のコイル部C1に接続された不平衡端子T0と、第3のコイル部C3に接続された第1の平衡端子T1と、第4のコイル部C4に接続された第2の平衡端子T2とを有する。そして、第4のコイル部C4と第2の平衡端子T2との間には、補助コイル部C5が設けられている。
より詳細に接続関係を説明すると、不平衡端子T0に第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2が直列接続され、第2のコイル部の第1のコイル部と反対側は終端している。また、第1の平衡端子T1及び第2の平衡端子T2の間に、第3のコイル部C3、第4のコイル部C4及び補助コイル部C5が直列接続されている。第3のコイル部C3と第4のコイル部C4の接続点は、接地電位に固定される。
上記のコイル部C1〜C4の長さは、薄膜バランの仕様に応じて異なるが、変換対象となる信号の1/4波長共振器回路となるように設定される。コイル部C1〜C4の形状は、任意であり、渦巻状、蛇行状、直線状であってもよい。
図1を参照して薄膜バラン1の基本的な動作について説明する。
上記の薄膜バラン1では、不平衡端子T0に不平衡信号が入力されると、不平衡信号は第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2を伝播する。そして、第1のコイル部C1においては第3のコイル部C3と磁気結合し、第2のコイル部C2においては第4のコイル部C4と磁気結合することによって、不平衡信号は位相が180°異なる2つの平衡信号に変換され、この2つ平衡信号が第1及び第2の平衡端子T1,T2から出力される。なお、平衡信号から不平衡信号の変換動作は、上述した動作を逆にしたものである。
上述したバランの動作から明らかなように、バランの平衡特性は重要な要素である。平衡特性は、2つの平衡信号の位相のずれが180°に近く、また、2つの平衡信号の出力(振幅)が近いほど、優れているといえる。
本願発明者は、上記の薄膜バラン1において、補助コイル部C5の形成位置を限定することにより、平衡特性が改善されることを見出した。以下に、補助コイル部C5の具体的な配置について、各実施例を参照して説明する。
(実施例1)
図2〜図6は、実施例1の薄膜バラン1の各配線層の平面図である。このうち、図2は第1配線層10の平面図であり、図3は第2配線層20の平面図であり、図4は第3配線層30の平面図であり、図5は第4配線層40の平面図であり、図6は第5配線層50の平面図である。第1配線層10が最下層の配線層であり、第5配線層50が最上層の配線層である。なお基板は図示していないが、最下層である第1配線層10の下に位置している。つまり基板上に薄膜バランが形成された構成をとっている。
図2〜図6に示すように、第1配線層10〜第5配線層50の全ての層に、不平衡端子T0、第1の平衡端子T1、第2の平衡端子T2及び接地端子T3が形成されている。各端子T0〜T3はスルーホールPを介して異なる層間において電気的に接続されている。なお、図2〜図6に示す全てのスルーホールPには上下層を電気的に導通させるよう金属めっきが施されている。以下、各配線層の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、第1配線層10には、不平衡伝送線路2を構成する第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2が隣接して形成されている。各コイル部C1,C2は、1/4波長共振器相当を構成する。第1のコイル部C1を構成するコイル導体11の外側の端部11aは不平衡端子T0に接続されており、コイル導体11の内側の端部11bはスルーホールPに接続されている。第2のコイル部C2を構成するコイル導体12の内側の端部12bはスルーホールPに接続されており、コイル導体12の外側の端部12aは開放されている。第1のコイル部C1のコイル導体11によってコイル開口A1が規定され、第2のコイル部C2のコイル導体12によってコイル開口A2が規定される。
図3に示すように、第2配線層20には、平衡伝送線路3を構成する第3のコイル部C3及び第4のコイル部C4が隣接して形成されている。各コイル部C3,C4は、1/4波長共振器相当を構成する。平衡伝送線路3の各コイル部C3,C4は、不平衡伝送線路2の各コイル部C1,C2に対向配置されており、対向している部分で磁気結合して結合器を構成する。第3のコイル部C3を構成するコイル導体21の外側の端部21aは第1の平衡端子T1に接続されており、コイル導体21の内側の端部21bはスルーホールPに接続されている。また、第4のコイル部C4を構成するコイル導体22の外側の端部22a及び内側の端部22bは、それぞれスルーホールPに接続されている。第3のコイル部C3のコイル導体21によってコイル開口A3が規定され、第4のコイル部C4のコイル導体22によってコイル開口A4が規定される。
図4に示すように、第3配線層30には、第3のコイル部C3と第4のコイル部C4を接地端子T3に電気的に繋ぐ配線31、第1のコイル部C1と第2のコイル部C2を電気的に繋ぐ配線32が形成されている。配線31は、2つのスルーホールPと接地端子T3とを接続するように分岐した形状を有する。そして、配線31は、2つのスルーホールPを介してコイル導体21の端部21b及びコイル導体22の端部22bに接続されている。また、配線32はスルーホールPを介してコイル導体11の端部11b及びコイル導体12の端部12bに接続されている。
図5に示すように、第4配線層40には、補助コイル部C5の一部を構成するコイル導体41,42が形成されている。コイル導体42の一方の端部42aは第2の平衡端子T2に接続され、コイル導体41の一方の端部41aはスルーホールPを介して第4のコイル部C4を構成するコイル導体22の端部22aに接続されている。
図6に示すように、第5配線層50には、補助コイル部C5の一部を構成するコイル導体51が形成されている。コイル導体51の端部は、それぞれコイル導体41,42の他方の端部に接続されている。
図5及び図6に示すように、コイル導体42、コイル導体51、及びコイル導体41がスルーホールを介して接続されることにより、補助コイル部C5が構成される。補助コイル部C5の一端となるコイル導体42の端部42aは第2の平衡端子T2に接続され、補助コイル部C5の他端となるコイル導体41の端部41aは第4のコイル部C4のコイル導体22に接続されている。
上述したように、実施例1の薄膜バラン1では、補助コイル部C5が、第4の線路部L4と第2の平衡端子T2との間に電気的に接続されている。また、補助コイル部C5の平面的なレイアウトは、第1及び第2のコイル部C1、C2のコイル開口A1、A2に重ならないように配置されている。この重なりは、各配線層10〜50の積層方向に沿って観察した場合に認定できるものをいう。より詳細には、実施例1では、補助コイル部C5は、第2のコイル部C2及び第4のコイル部C4のコイル導体に対向する領域に配置されているものである。また、本願明細書において、コイル部とは、コイル導体及びそのコイル導体によって画成されるコイル開口の双方の領域を含むものとする。
このように同一の第1の階層に不平衡伝送線路を構成する2つのコイルC1,C2を形成し、その第1の階層に隣り合う別の第2の階層に平衡伝送線路を構成する2つのコイルC3,C4を形成し、更にその第2の階層に隣り合う第1の階層とは逆側の第3の階層にコイルC1とC2を繋ぐ配線と、コイルC3とC4を繋ぐ配線を形成した薄膜バランの構成に対し、更にその第3の階層に隣り合う第2の階層とは逆側の第4の階層と、更にその第4の階層に隣り合う第3の階層とは逆側の第5の階層との2段の階層を用いて形成された補助コイルC5を形成した例を示したが、この補助コイルは第3の階層と第4の階層を用いて形成しても良い。このようにすることで磁気的な結合状態が変化することから、より特性の向上が期待出来る。
言うまでもないが、補助コイルは2段の階層に限らず第4の階層や第3の階層にのみ1段で形成しても良い。所望の特性にあわせ設計可能である。
補助コイル部C5の形成位置が薄膜バラン1の平衡特性に与える影響について、種々の実施例及び比較例を用意して評価した。以下に、種々の実施例及び比較例のレイアウトを説明した後に、それらの平衡特性の評価結果について説明する。
(実施例2)
実施例2では、補助コイル部C5が第1及び第2のコイル部C1,C2のコイル開口及びコイル導体に重ならないように配置されている例である。図7及び図8は、このような実施例2の薄膜バラン1の第4配線層40及び第5配線層50を示す平面図である。なお、実施例2の薄膜バラン1の第1乃至第3配線層10〜30の構成は、第1実施例と同様である。
図7及び図8に示すように、補助コイル部C5は、第4配線層40のコイル導体43及び第5配線層50のコイル導体52により構成されている。コイル導体43の一方の端部はスルーホールPを介してコイル導体52の一方の端部に接続され、コイル導体43の他方の端部は、スルーホールPを介して第4のコイル部C4を構成するコイル導体22の端部22aに接続されている。コイル導体52の他方の端部52aは、第2の平衡端子T2に接続されている。
図7及び図8に示すように、実施例2では、補助コイル部C5が第1及び第2のコイル部C1,C2のコイル開口及びコイル導体に重ならないように外側に配置されている。
(比較例1)
図9は、比較例1の薄膜バランの等価回路図を示す。比較例1の薄膜バラン100は、第4のコイル部C4と第2の平衡端子T2との間に補助コイル部C5を有さない。具体的には、図3に示す第2配線層20のコイル導体22の端部22aを第2の平衡端子T2に接続し、図5及び図6に示す第4配線層40及び第5配線層50のコイル導体41,42,51を設けないことにより、比較例1の薄膜バランが構成される。
(比較例2)
比較例2では、補助コイル部C5のコイル導体が、第2のコイル部C2及び第4のコイル部C4のコイル開口に重なって配置されている例である。図10及び図11は、このような比較例2の薄膜バラン1の第4配線層40及び第5配線層50を示す平面図である。なお、比較例2の薄膜バラン1の第1乃至第3配線層10〜30の構成は、第1実施例と同様である。
図10及び図11に示すように、補助コイル部C5は、第4配線層40のコイル導体44,45及び第5配線層50のコイル導体53により構成されている。各コイル導体44,45,53は、実施例1のコイル導体41,42,51をコイル開口A2,A4の中心側にシフトさせたものであり、その接続関係については実施例1と同様である。
図10及び図11に示すように、比較例2では、補助コイル部C5のコイル導体44,53が、第2のコイル部及び第4のコイル部のコイル開口A2,A4に一部重なって配置されている。
(比較例3)
比較例3では、補助コイル部C5のコイル導体及びコイル開口が、第2のコイル部及び第4のコイル部のコイル開口A2,A4に重なって配置されている例である。図12及び図13は、このような比較例3の薄膜バラン1の第4配線層40及び第5配線層50を示す平面図である。なお、比較例3の薄膜バラン1の第1乃至第3配線層10〜30の構成は、第1実施例と同様である。
図12及び図13に示すように、補助コイル部C5は、第4配線層40のコイル導体46,47及び第5配線層50のコイル導体54により構成されている。各コイル導体46,47,54は、実施例1のコイル導体41,42,51を比較例2よりもさらにコイル開口A2,A4の中心側にシフトさせたものであり、その接続関係については実施例1と同様である。
図12及び図13に示すように、比較例3では、補助コイル部C5のコイル導体46,54及び当該コイル導体によって画成されるコイル開口が、第2のコイル部及び第4のコイル部のコイル開口A2,A4に重なって配置されている。すなわち、補助コイル部C5のほとんどの領域が、第2のコイル部及び第4のコイル部のコイル開口A2,A4に重なって配置されている。
(評価結果1)
上記の実施例1〜2及び比較例1〜3の構造について、平衡特性をシミュレーションにより求めた。対象とする信号周波数は、2400−2500MHzとした。図14は、位相バランスの測定結果を示す図であり、図15は出力(振幅)バランスの測定結果を示す図である。図14、15では、E1は実施例1の結果、E2は実施例2の結果、R1は比較例1の結果、R2は比較例2の結果、R3は比較例3の結果を示す。
位相バランス特性は、第1の平衡端子T1と第2の平衡端子T2から出力される2つの平衡信号の位相差であることから180degがより理想的な位相バランスとなる。一方、出力バランス特性は、第1の平衡端子T1と第2の平衡端子T2から出力される2つの平衡信号の振幅差であることから0dBがより理想的な出力バランスとなる。
図14及び図15に示すように、第2のコイル部C2のコイル導体に重なるように補助コイル部C5を配置した実施例1(E1)が、最も平衡特性に優れていることがわかる。また、実施例1ほどではないが、第1乃至第4のコイル部C1〜C4に対向する領域の外側に補助コイル部C5を配置した実施例2(E2)も、平衡特性に優れていることがわかる。比較例2及び3では、補助コイル部C5を設けない比較例1と同程度の平衡特性しか得られなかった。
このような平衡特性が得られる理由について考察する。補助コイル部C5を追加することにより、インダクタンスを調整することができ、この結果、薄膜バランの平衡特性が調整され、改善されると推定される。このインダクタンスを調整するための補助コイル部C5を、第1のコイル部C1〜第4のコイル部C4のコイル開口に重なるように配置してしまうと、補助コイル部C5がコイル開口を貫く磁束に干渉することとなる。この結果、左右のコイルにおける磁気結合がアンバランスとなり、平衡特性の改善効果が得られないか、平衡特性がかえって低下するものと推定される。
次に、補助コイル部C5の形成位置が薄膜バラン1の平衡特性に与える影響について、さらに別の実施例3を用意して評価した。以下に、実施例3のレイアウトを説明した後に、それらの平衡特性の評価結果について説明する。
(実施例3)
実施例3は、第3配線層30及び第4配線層40により補助コイル部C5を形成した例である。図16及び図17は、実施例3の薄膜バラン1の第3配線層30及び第4配線層40を示す平面図である。なお、実施例3の薄膜バラン1の第1乃至第2配線層10〜20の構成は、第1実施例と同様である。また、実施例3では、実施例1の第5配線層50は必要ない。
図16及び図17に示すように、第3配線層30及び第4配線層40のコイル導体33,34,48により補助コイル部C5が構成されている。各コイル導体33,34,48の接続関係は、実施例1のコイル導体41,42,51と同様である。
図16及び図17に示すように、実施例3では、補助コイル部C5が、第2のコイル部C2及び第4のコイル部C4のコイル導体に対向する領域に配置されている点で実施例1と同じであるが、実施例1よりも第1乃至第4のコイル部C1〜C4に近い第3配線層30及び第4配線層40に補助コイル部C5が形成されているものである。
(評価結果2)
上記の実施例3の構造を評価すべく、実施例1、3及び比較例1の構造について平衡特性をシミュレーションにより求めた。対象とする信号周波数は、2400−2500MHzとした。図18は、位相バランスの測定結果を示す図であり、図19は出力(振幅)バランスの測定結果を示す図である。図18、19では、E1は実施例1の結果、E3は実施例3の結果、R1は比較例1の結果を示す。
また、図18及び図19に示すように、実施例3(E3)が、実施例1(E1)よりも平衡特性に優れていることがわかる。
このような平衡特性が得られる理由について考察する。補助コイル部C5を第1乃至第4のコイル部C1〜C4により近い第3配線層30及び第4配線層40に形成することにより、左側のコイル部C1,C3と、右側のコイル部C2,C4,C5での配線の積層状態(かさ高さ)の差が小さくなることから、左右のコイル部の対称性が若干向上する。この対称性の向上が、平衡特性が改善する方向に作用するものと推定される。
次に、補助コイル部C5の形状及び形成位置が薄膜バラン1の平衡特性に与える影響について、さらに別の実施例4〜6及び比較例4を用意して評価した。以下に、実施例4〜6及び比較例4のレイアウトを説明した後に、それらの平衡特性の評価結果について説明する。
(実施例4)
実施例4は、ミアンダ型のコイルからなる補助コイル部C5の例である。図20は、実施例4の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。なお、実施例4では、下層の第1配線層のコイル導体の巻数が1つ増えており、第2配線層のコイル導体の巻数が1つ減っている点を除いて、第1配線層10及び第2配線層10〜20の構成は、第1実施例とほぼ同じである。また、実施例4では、実施例1の第4配線層40及び第5配線層50は必要ない。
図20に示すように、補助コイル部C5は、蛇足状のコイル導体35により形成されている。コイル導体の一端は第2の平衡端子T2に接続され、その他端はスルーホールPを介して第4のコイル部C4のコイル導体22に接続されている。補助コイル部C5は、第1乃至第4のコイル部C1〜C4のコイル開口に重ならないように配置されており、より詳細には、第2のコイル部及び第4のコイル部のコイル導体に重なるように配置されている。
(実施例5)
実施例5は、ミアンダ型の補助コイル部C5の領域を広げた例である。図21は、実施例5の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。
図21に示すように、補助コイル部C5は、蛇足状のコイル導体36により形成されている。コイル導体36は、コイル導体35の一部を外側に広げたものである。この結果、コイル導体36のインダクタンスは、コイル導体35のものに比べて大きくなる。ただし、実施例4と同様に、実施例5の補助コイル部C5は、第1乃至第4のコイル部C1〜C4のコイル開口に重ならないように配置されており、より詳細には、第2のコイル部及び第4のコイル部のコイル導体に重なるように配置されている。
(実施例6)
実施例6は、1つの第3配線層30のみにより補助コイル部C5を形成した例である。図22は、実施例6の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。なお、実施例6の薄膜バラン1の第1乃至第2配線層10〜20の構成は、第1実施例と同様である。また、実施例6では、実施例1の第4配線層40及び第5配線層50は必要ない。
図22に示すように、第3配線層30のコイル導体37により補助コイル部C5が構成されている。コイル導体37の一端は第2の平衡端子T2に接続され、その他端はスルーホールPを介して第4のコイル部C4のコイル導体22に接続されている。補助コイル部C5は、第1乃至第4のコイル部C1〜C4のコイル開口A1〜A4に重ならないように配置されており、より詳細には、第2のコイル部C2及び第4のコイル部C4のコイル導体に重なるように配置されている。
(比較例4)
比較例4は、実施例6の補助コイル部C5をコイル開口に重なるように変形させた例である。図23は、比較例4の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。
図23に示すように、補助コイル部C5を構成するコイル導体38は、実施例6のコイル導体37の一部をコイル開口側にシフトさせたものである。これにより、補助コイル部C5は、右側のコイル開口に重なって配置されている。
(評価結果3)
上述した実施例4〜6及び比較例4の構造について平衡特性をシミュレーションにより求めた。対象とする信号周波数は、2400−2500MHzとした。図24は、位相バランスの測定結果を示す図であり、図25は出力(振幅)バランスの測定結果を示す図である。図24、25では、E4は実施例4の結果、E5は実施例5の結果、E6は実施例6の結果、R4は比較例4の結果を示す。
また、図24及び図25に示すように、実施例4〜6についても、比較例4と比べて平衡特性に優れていることがわかる。この結果から、補助コイル部C5は、コイル開口に重ならないように形成されていればよく、蛇足状のコイル導体であっても、1層の配線層により輪状に形成されていてもよいことがわかる。
なお、上述したとおり、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。たとえば補助コイル部C5の一部に屈曲部を備えている部分を持てば特にコイル形状に制限はない。また、補助コイルは1回転以上巻回する必要もなく、例えば半回転であってもよい。また、例えば、各端子T0〜T3の配置に限定はない。また、薄膜バラン1を構成する配線構造は、4層未満又は5層以上であってよい。また、第1配線層10を最上層に形成し、第5配線層50を最下層に形成するよう、層構成が全く逆の構造でもよい。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々のコイル配置を採用可能である。
本発明の薄膜バランは、小型化を維持しつつ、平衡特性を改善した薄膜バランを実現できるため、特に小型化が要求される無線通信機器への適用が可能である。
本実施形態に係る薄膜バラン1の等価回路図である。 実施例1の薄膜バラン1の第1配線層10を示す平面図である。 実施例1の薄膜バラン1の第2配線層20を示す平面図である。 実施例1の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 実施例1の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例1の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 実施例2の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例2の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 比較例1の薄膜バラン1の等価回路図である。 比較例2の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 比較例2の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 比較例3の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 比較例3の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 実施例1〜2及び比較例1〜3の位相バランスの測定結果を示す図である。 実施例1〜2及び比較例1〜3の出力バランスの測定結果を示す図である。 実施例3の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 実施例3の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例1、3及び比較例1の位相バランスの測定結果を示す図である。 実施例1、3及び比較例1の出力バランスの測定結果を示す図である。 実施例4の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 実施例5の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 実施例6の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 比較例4の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 実施例4〜6及び比較例4の位相バランスの測定結果を示す図である。 実施例4〜6及び比較例4の出力バランスの測定結果を示す図である。
符号の説明
1,100…薄膜バラン、2…不平衡伝送線路、3…平衡伝送線路、10…第1配線層、11…コイル導体、11a,11b…端部、12…コイル導体、12a,12b…端部、20…第2配線層、21…コイル導体、21a,21b…端部、22…コイル導体、22a,22b…端部、30…第3配線層、31,32…配線、33〜38…コイル導体、40…第4配線層、41〜48…コイル導体、50…第5配線層、51〜54…コイル導体、P…スルーホール、C1…第1のコイル部、C2…第2のコイル部、C3…第3のコイル部、C4…第4のコイル部、A1〜A4…コイル開口、C5…補助コイル部、T0…不平衡端子、T1…第1の平衡端子、T2…第2の平衡端子、T3…接地端子。

Claims (4)

  1. 第1のコイル部及び第2のコイル部を備える不平衡伝送線路と、
    前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部にそれぞれ磁気結合する第3のコイル部及び第4のコイル部を備えた平衡伝送線路と、
    前記第1のコイル部に接続された不平衡端子と、
    前記第3のコイル部に接続された第1の平衡端子と、
    前記第4のコイル部に接続された第2の平衡端子と、
    前記第3のコイル部と前記第1の平衡端子との間、及び/又は、前記第4のコイル部と前記第2の平衡端子との間に接続された補助コイル部と、
    を有し、
    前記補助コイル部は、前記第1乃至第4のコイル部のコイル開口に重ならないように配置された、
    薄膜バラン。
  2. 前記補助コイル部は、前記第4のコイル部と前記第2の平衡端子との間に接続された、
    請求項1に記載の薄膜バラン。
  3. 前記補助コイル部が、前記第1及び第3のコイル部のコイル導体に対向する領域、並びに前記第2及び第4のコイル部のコイル導体に対向する領域のうち少なくともいずれか一方に配置された、
    請求項1又は2に記載の薄膜バラン。
  4. 前記補助コイル部が、前記第2及び第4のコイル部のコイル導体に対向する領域に配置された、
    請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜バラン。
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