JP2010109008A - プリント配線板用銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基板との接着性及びエッチング性のバランスに優れ、ファインピッチ化に適したプリント配線板用銅箔を提供する。
【解決手段】銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、(1)該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したNi層及び酸化Cr層で構成され、(2)該被覆層にはCrが12〜80μg/dm2、Niが40〜720μg/dm2の被覆量で存在し、(3)該被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが1〜15nmであり、最小厚みが最大厚みの85%以上であるプリント配線板用銅箔。
【選択図】図2

Description

本発明はプリント配線板用の銅箔に関し、特にフレキシブルプリント配線板用の圧延銅箔に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。そのため、プリント配線板用の銅箔には絶縁基板との接着性やエッチング性が要求される。
絶縁基板との接着性を向上させるために粗化処理と呼ばれる銅箔表面に凹凸を形成する表面処理を施すことが一般に行われている。例えば電解銅箔のM面(粗面)に硫酸銅酸性めっき浴を用いて、樹枝状又は小球状に銅を多数電着せしめて微細な凹凸を形成し、投錨効果によって接着性を改善させる方法がある。粗化処理後には接着特性を更に向上させるためにクロメート処理やシランカップリング剤による処理等が一般的に行われている。
銅箔表面に錫、クロム、銅、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケル等の金属層又は合金層を形成する方法も知られている。
特開2000−340911号公報には、蒸着形成によりプリント配線板用銅箔表面に金属クロム層を形成することにより基材と銅箔との接着強度が改善されることが記載されている。
特開2007−207812号公報には、銅箔の表面にNi−Cr合金層を形成し、この合金層の表面に所定厚みの酸化物層を形成させることにより、銅層表面が平滑でアンカー効果が少ない状態においても樹脂基材との接着性が大幅に向上することが記載されている。そして、表面に厚み1〜100nmのNi−Cr合金層が蒸着形成され、該合金層の表面に厚み0.5〜6nmのCr酸化物層が形成され、かつ最表面の平均表面粗さRzJISが2.0μm以下である、プリント配線基板用銅箔が開示されている。
特開2006−222185号公報には、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔において、(1)Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層、(2)Cr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するクロメート層、(3)Cr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr層又は/Cr合金層、(4)Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層の上に、Cr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するクロメート層、(5)Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層の上にCr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr層又は/及びCr合金層を表面処理層として設けることによって、ポリイミド系樹脂層との間で高いピール強度を有し、絶縁信頼性、配線パターン形成時のエッチング特性、屈曲特性の優れたポリイミド系フレキシブル銅張積層板用銅箔が得られることが記載されている。上記のNi量やCr量から表面処理層の厚みを推定するとμmオーダーである。また、実施例では電気めっきを利用して表面処理層を設けたことが記載されている。
特開2000−340911号公報 特開2007−207812号公報 特開2006−222185号公報
粗化処理により接着性を向上させる方法ではファインライン形成には不利である。すなわち、ファインピッチ化により導体間隔が狭くなると、粗化処理部がエッチングによる回路形成後に絶縁基板に残留し、絶縁劣化を起こすおそれがある。これを防止するために粗化表面すべてをエッチングしようとすると長いエッチング時間を必要とし、所定の配線幅が維持できなくなる。
銅箔表面にNi層やNi−Cr合金層を設ける方法では、絶縁基板との接着性という基本特性において改善の余地が大きい。特許文献2には、Ni−Cr合金層を設けることで、銅箔の表面を平滑にしても樹脂基材との接着性が高くできる旨の記載があるが未だ改善の余地がある。
銅箔表面にCr層を設ける方法では、比較的高い接着性が得られる。しかしながら、Cr層はエッチング性に改善の余地がある。すなわち、Cr層はNi層よりも接着性が高いが、Crはエッチング性に劣るため、導体パターン形成のためのエッチング処理を行った後に、Crが絶縁基板面に残る「エッチング残り」が生じやすい。また、耐熱性が十分でなく、高温環境下に置かれた後に絶縁基板との接着性が有意に低下するという問題もある。このため、プリント配線板のファインピッチ化が進展していく状況下では、有望な手法とは言い難い。一方、クロメート層では接着性に改善の余地がある。
特許文献3に記載の、Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層の上にCr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr層又は/及びCr合金層を表面処理層として設けるという手法は、比較的高い接着性とエッチング性が得られるが、特性の改善の余地はやはり残っている。
そこで、本発明は絶縁基板との接着性及びエッチング性のバランスに優れ、ファインピッチ化に適したプリント配線板用銅箔を提供することを課題とする。また、本発明はそのようなプリント配線板用銅箔の製造方法を提供することを別の課題とする。
従来、被覆層を薄くすると接着強度が低下するということが一般的な理解であった。しかしながら、本発明者らは、鋭意検討の結果、銅箔基材表面に順にNi層及び酸化Cr層をナノメートルオーダーの極薄の厚みで均一に設けた場合には、優れた絶縁基板との密着性が得られることを見出した。厚みを極薄にしたこと、酸化Crは金属Crよりもエッチング性が高いこと、及び被覆層が均一であることからエッチング性にも有利である。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、
銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、
(1)該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したNi層及び酸化Cr層で構成され、
(2)該被覆層にはCrが12〜80μg/dm2、Niが40〜720μg/dm2の被覆量で存在し、
(3)該被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが1〜15nmであり、最小厚みが最大厚みの85%以上である、
プリント配線板用銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の一実施形態においては、Crの被覆量が16〜64μg/dm2、Niの被覆量が40〜450μg/dm2である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の別の一実施形態においては、Crの被覆量が16〜48μg/dm2、Niの被覆量が80〜450μg/dm2である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、銅箔基材は圧延銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、プリント配線板はフレキシブルプリント配線板である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、ポリイミドワニスを乾燥体で25μmになるよう被覆層上に塗布し、空気下乾燥機で120℃30分で乾燥する工程と、更に窒素流量を5L/minに設定した高温加熱炉において350℃30分でイミド化する工程とを経てポリイミドフィルムを被覆層上に接着し、次いで、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置してからポリイミドフィルムを90°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って被覆層から剥離した後の被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが1〜15nmであり、最小厚みが最大厚みの60%以上である。
本発明は別の一側面において、スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を厚さ0.5〜8nmのNi層及び厚さ0.75〜5nmの酸化Cr層で順に被覆したプリント配線板用銅箔の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅箔を備えた銅張積層板である。
本発明に係る銅張積層板の一実施形態においては、銅箔がポリイミドに接着している構造を有する。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅張積層板を材料としたプリント配線板である。
本発明によれば、絶縁基板との接着性及びエッチング性のバランスに優れたプリント配線板用銅箔が得られる。
1.銅箔基材
本発明に用いることのできる銅箔基材の形態に特に制限はないが、典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で用いることができる。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。屈曲性が要求される用途には圧延銅箔を適用することが多い。
銅箔基材の材料としてはプリント配線板の導体パターンとして通常使用されるタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできる銅箔基材の厚さについても特に制限はなく、プリント配線板用に適した厚さに適宜調節すればよい。例えば、5〜100μm程度とすることができる。但し、ファインパターン形成を目的とする場合には30μm以下、好ましくは20μm以下であり、典型的には10〜20μm程度である。
本発明に使用する銅箔基材には粗化処理をしないのが好ましい。従来は特殊めっきで表面にμmオーダーの凹凸を付けて表面粗化処理を施し、物理的なアンカー効果によって樹脂との接着性を持たせるケースが一般的であった。しかしながら一方でファインピッチや高周波電気特性は平滑な箔が良いとされ、粗化箔では不利な方向に働くからである。また、粗化処理工程が省略されるので、経済性・生産性向上の効果もある。従って、本発明で使用される箔は、特別に粗化処理をしない箔であるのが好ましい。
2.被覆層
銅箔基材の表面の少なくとも一部はNi層及び酸化Cr層で順に被覆される。Ni層及び酸化Cr層は被覆層を構成する。酸化CrとしてはCr23、CrO、CrO2、CrO3などあるが、化学的に安定で環境への負荷が少ない理由によりCr23が好ましい。被覆する箇所には特に制限は無いが、絶縁基板との接着が予定される箇所とするのが一般的である。被覆層の存在によって絶縁基板との接着性が向上する。一般に、銅箔と絶縁基板の間の接着力は高温環境下に置かれると低下する傾向にあるが、これは銅が表面に熱拡散し、絶縁基板と反応することにより引き起こされると考えられる。本発明では、予め銅の拡散防止に優れるNi層を銅箔基材の上に設けたことで、銅の熱拡散が防止できる。また、Ni層よりも絶縁基板との接着性に優れた酸化Cr層をNi層の上に設けることで更に絶縁基板との接着性を向上することができる。酸化Cr層の厚さはNi層の存在のおかげで薄くでき、しかも、酸化Crは金属Crに比べてエッチングがし易いことから、良好なエッチング性も同時に得ることができる。なお、本発明でいう接着性とは常態での接着性の他、高温下に置かれた後の接着性(耐熱性)及び高湿度下に置かれた後の接着性(耐湿性)のことも指す。
本発明に係るプリント配線板用銅箔においては、被覆層は極薄で厚さが均一である。このような構成にしたことで絶縁基板との接着性が向上した理由は明らかではないが、Ni被覆の上に最表面として樹脂との接着性に優れている酸化Cr被膜を形成したことで、イミド化時の高温熱履歴後(約350℃にて数時間程度)も高接着性を有する酸化Cr被膜が保持されているためと推測される。また、被覆層を極薄にするとともにNiと酸化Crの二層構造としたことにより、エッチング性が向上したと考えられる。
具体的には、本発明に係る被覆層は以下の構成を有する。
(1)Cr、Ni被覆層の同定
本発明においては、銅箔素材の表面の少なくとも一部はNi層及び酸化Cr層の順に被覆される。これら被覆層の同定はXPS、若しくはAES等表面分析装置にて表層からアルゴンスパッタし、深さ方向の化学分析を行い、夫々の検出ピークの存在によってNi層及び酸化Cr層を同定することができる。また、夫々の検出ピークの位置から被覆された順番を確認することができる。
(2)付着量
一方、これらNi層及び酸化Cr層は非常に薄いため、XPS、AESでは正確な厚さの評価が困難である。そのため、本願発明においては、Ni層及び酸化Cr層の厚さは特許文献3と同様に単位面積当たりの被覆金属の重量で評価することとした。本発明に係る被覆層にはCrが12〜80μg/dm2、Niが40〜720μg/dm2の被覆量で存在する。Crが12μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Crが80μg/dm2を超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Niが40μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Niが720μg/dm2を超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Crの被覆量は好ましくは16〜64μg/dm2、より好ましくは16〜48μg/dm2であり、Niの被覆量は好ましくは40〜450μg/dm2、より好ましくは80〜450μg/dm2である。
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)による観察
本発明に係る被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察したとき、最大厚さは1〜15nm、好ましくは2〜8nmであり、より好ましくは2〜6nmであり、最小厚さが最大厚さの85%以上で、ばらつきの非常に少ない被覆層である。被覆層厚さが1nm未満だと耐熱試験、耐湿試験において、ピール強度の劣化が大きく、厚さが15nmを超えると、エッチング性が低下しやすいためである。厚さの最小値が最大値の80%以上である場合、この被覆層の厚さは、非常に安定しており、耐熱試験後も殆ど変化がない。TEMによる観察では被覆層中のNi層及び酸化Cr層の明確な境界は見出しにくく、単層のように見える(図2参照)。本発明者の検討結果によればTEM観察で見出される被覆層は酸化Crを主体とする層と考えられ、Ni層はその銅箔基材側に存在するとも考えられる。そこで、本発明においては、TEM観察した場合の被覆層の厚さは単層のように見える被覆層の厚さと定義する。ただし、観察箇所によっては被覆層の境界が不明瞭なところも存在し得るが、そのような箇所は厚みの測定箇所から除外する。本発明の構成により、Cuの拡散が抑制されるため、安定した厚さを有すると考えられる。本発明の銅箔は、ポリイミドフィルムと接着し、耐熱試験(温度150℃で大気雰囲気下の高温環境下に168時間放置)を経た後に樹脂を剥離した後においても、被覆層の厚さは殆ど変化なく、最大厚さが1〜15nmであり、最小厚さにおいても最大厚さの60%以上、好ましくは70%維持されることが可能である。
3.本発明に係る銅箔の製法
本発明に係るプリント配線板用銅箔は、スパッタリング法により形成することができる。すなわち、スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を、厚さ0.5〜8nm、好ましくは0.5〜5nm、より好ましくは1〜5μmのNi層及び厚さ0.75〜5nm、好ましくは1〜4nm、より好ましくは1〜3μmの酸化Cr層で順に被覆することにより製造することができる。電気めっきでこのような極薄の被膜を積層すると、厚さにばらつきが生じ、耐熱・耐湿試験後にピール強度が低下しやすい。
ここでいう厚さとは上述したXPSやTEMによって決定される厚さではなく、スパッタリングの成膜速度から導き出される厚さである。あるスパッタリング条件下での成膜速度は、100nm以上スパッタを行い、スパッタ時間とスパッタ厚さの関係から計測することができる。当該スパッタリング条件下での成膜速度が計測できたら、所望の厚さに応じてスパッタ時間を設定する。なおスパッタは、連続又はバッチ何れで行っても良く、被覆層を本発明で規定するような厚さで均一に積層することができる。スパッタリング法としてはNi層は直流マグネトロンスパッタリング法、酸化クロム層は高周波スパッタリング法が挙げられる。
4.プリント配線板の製造
本発明に係る銅箔を用いてプリント配線板(PWB)を常法に従って製造することができる。以下に、プリント配線板の製造例を示す。
まず、銅箔と絶縁基板を貼り合わせて銅張積層板を製造する。銅箔が積層される絶縁基板はプリント配線板に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意する。プリプレグと銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせて加熱加圧させることにより行うことができる。
フレキシブルプリント配線板(FPC)用の場合、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムと銅箔の被覆層を有する面をエポキシ系やアクリル系の接着剤を使って接着することができる(3層構造)。また、接着剤を使用しない方法(2層構造)としては、ポリイミドの前駆体であるポリイミドワニス(ポリアミック酸ワニス)を銅箔の被覆層を有する面に塗布し、加熱することでイミド化するキャスティング法や、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせ、加熱加圧するラミネート法が挙げられる。キャスティング法においては、ポリイミドワニスを塗布する前に熱可塑性ポリイミド等のアンカーコート材を予め塗布しておくことも有効である。
本発明に係る銅箔の効果はキャスティング法を採用してFPCを製造したときに顕著に表れる。すなわち、接着剤を使用せずに銅箔と樹脂とを貼り合わせようとするときには銅箔の樹脂への接着性が特に要求されるが、本発明に係る銅箔は樹脂、とりわけポリイミドとの接着性に優れているので、キャスティング法による銅張積層板の製造に適しているといえる。
本発明に係る銅張積層板は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり、絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。
銅張積層板からプリント配線板を製造する工程は当業者に周知の方法を用いればよく、例えばエッチングレジストを銅張積層板の銅箔面に導体パターンとしての必要部分だけに塗布し、エッチング液を銅箔面に噴射することで不要銅箔を除去して導体パターンを形成し、次いでエッチングレジストを剥離・除去して導体パターンを露出することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
例1(発明例)
銅箔基材として、厚さ18μmの圧延銅箔(日鉱金属製C1100)を用意した。
この銅箔の片面に対して、以下の条件でNi層及び酸化Cr層を順に成膜した。被覆層の厚さは成膜時間を調整することにより変化させた。
・装置:バッチ式スパッタリング装置(アルバック社、型式MNS−6000)
・到達真空度:1.0×10-3Pa
・スパッタリング圧:0.2Pa
・ターゲット:
Ni層用=Ni(純度3N)
酸化Cr層用=Cr23(純度3N)
・スパッタリング電力:50W
・成膜速度:各ターゲットについて一定時間約300nm成膜し、3次元測定器で厚さを測定し、単位時間当たりのスパッタレートを算出した。(Ni:5.26nm/min、Cr23:0.55nm/min)
被覆層を設けた銅箔に対して、以下の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。
(1)7cm×7cmの銅箔に対しアプリケーターを用い、宇部興産製Uワニス(ポリイミドワニス)を乾燥体で25μmになるよう塗布。
(2)(1)で得られた樹脂付き銅箔を空気下乾燥機で120℃30分で乾燥。
(3)窒素流量を5L/minに設定した高温加熱炉において、350℃30分でイミド化。
<付着量の測定>
50mm×50mmの銅箔表面の皮膜をHNO3(2重量%)とHCl(5重量%)を混合した溶液に溶解し、その溶液中の金属濃度をICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SFC−3100)にて定量し、単位面積当たりの金属量(μg/dm2)を算出した。
<XPSによる測定>
被覆層のデプスプロファイルを作成した際のXPSの稼働条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:4.2×10-8Pa
・X線:単色AlKα、X線出力300W、検出面積800μmφ、試料と検出器のなす角度45°
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧3kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.6nm/min(SiO2換算)
<TEMによる測定>
被覆層をTEMによって観察したときのTEMの測定条件を以下に示す。表中に示した厚みは観察視野中に写っている被覆層全体の厚みを1視野について50nm間の厚みの最大値、最小値を測定し、任意に選択した3視野の最大値と最小値を求め、最大値、及び最大値に対する最小値の割合を百分率で求めた。また、表中、「耐熱試験後」のTEM観察結果とは、試験片の被覆層上に上記手順によりポリイミドフィルムを接着させた後、試験片を下記の高温環境下に置き、得られた試験片からポリイミドフィルムを90°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って剥離した後のTEM観察結果である。図2に、TEMによるスパッタ直後の観察写真をNo.4の銅箔について例示的に示す。
・装置:TEM(日立製作所社、型式H9000NAR)
・加速電圧:300kV
・倍率:300000倍
・観察視野:60nm×60nm
<接着性評価>
上記のようにしてポリイミドを積層した銅箔について、ピール強度を積層直後(常態)、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置した後(耐熱性)、及び温度40℃°相対湿度95%空気雰囲気下の高湿環境下に96時間放置した後(耐湿性)の三つの条件で測定した。ピール強度は90°剥離法(JIS C 6471 8.1)に準拠して測定した。
<エッチング性評価>
上記のようにしてポリイミドを積層した銅箔について、所定のレジストを用いてラインアンドスペース20μm/20μmの回路パターンを形成し、次にエッチング液(塩化第二鉄、濃度42ボーメ、温度40℃)を用いてエッチング処理した。処理後の回路間の樹脂表面をEDSで測定し、残留している酸化Cr及びNiを分析し、以下の基準で評価した。
×:回路間全面に酸化Cr又はNiが観察された
△:回路間に部分的に酸化Cr又はNiが観察された
〇:回路間に酸化Cr又はNiが観察されなかった
測定条件及び測定結果を表1に示す。
参考用に、XPSによるデプスプロファイルをNo.4の銅箔について図1に示す。
例2(比較)
例1で使用した銅箔基材の片面にスパッタ時間を変化させ、表2の厚さの被膜を形成した。ただし、No.fはCr23層のみ設けた。No.hはスパッタリングターゲットをCr23から金属Cr(純度3N)に代えた。No.iはNi層を設けず、金属Crをスパッタリングターゲットとして用いた例である。
No.j及びkにおいては、以下の条件でNi電気めっき及びクロメート処理を順に施した。特開2006−222185号公報に教示された方法と比較するためである。
(1)Niめっき
・めっき浴:スルファミン酸ニッケル(Ni2+として110g/L)、H3BO3(40g/L)
・電流密度:1.0A/dm2
・浴温:55℃
・Ni量:95μg/dm2(厚み約1.1nm)
(2)クロメート処理
・めっき浴:CrO3(1g/L)、Zn(粉末0.4g)、Na3SO4(10g/L)
・電流密度:2.0A/dm2
・浴温:55℃
・Cr量:37μg/dm2(厚み約0.5nm)
被覆層を設けた銅箔に対して、例1と同様の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。評価結果を表2に示す。いずれも、ピール強度及びエッチング性のバランスが、発明例に比べて劣っていることが分かる。No.j及びkについては、厚さが不均一であることも観察された。
発明例のNo.4の銅箔についてのXPSによるデプスプロファイルである。 発明例のNo.4の銅箔についてのTEM写真である。
符号の説明
1 TEM観察時の被覆層の厚み

Claims (10)

  1. 銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、
    (1)該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したNi層及び酸化Cr層で構成され、
    (2)該被覆層にはCrが12〜80μg/dm2、Niが40〜720μg/dm2の被覆量で存在し、
    (3)該被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが1〜15nmであり、最小厚みが最大厚みの85%以上である、
    プリント配線板用銅箔。
  2. Crの被覆量が16〜64μg/dm2、Niの被覆量が40〜450μg/dm2である請求項1記載のプリント配線板用銅箔。
  3. Crの被覆量が16〜48μg/dm2、Niの被覆量が80〜450μg/dm2である請求項1記載のプリント配線板用銅箔。
  4. 銅箔基材は圧延銅箔である請求項1〜3何れか一項記載のプリント配線板用銅箔。
  5. プリント配線板はフレキシブルプリント配線板である請求項1〜4何れか一項記載のプリント配線板用銅箔。
  6. ポリイミドワニスを乾燥体で25μmになるよう被覆層上に塗布し、空気下乾燥機で120℃30分で乾燥する工程と、更に窒素流量を5L/minに設定した高温加熱炉において350℃30分でイミド化する工程とを経てポリイミドフィルムを被覆層上に接着し、次いで、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置してからポリイミドフィルムを90°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って被覆層から剥離した後の被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが1〜15nmであり、最小厚みが最大厚みの60%以上である請求項1〜5何れか一項記載のプリント配線板用銅箔。
  7. スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を厚さ0.5〜8nmのNi層及び厚さ0.75〜5nmの酸化Cr層で順に被覆したプリント配線板用銅箔の製造方法。
  8. 請求項1〜6何れか一項記載の銅箔を備えた銅張積層板。
  9. 銅箔がポリイミドに接着している構造を有する請求項8記載の銅張積層板。
  10. 請求項8又は9記載の銅張積層板を材料としたプリント配線板。
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