JP2010106492A - 衝撃吸収ネット及びそれを用いた防護体 - Google Patents

衝撃吸収ネット及びそれを用いた防護体 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量でありながら、機械的強度に優れると共に衝撃吸収性にも優れる衝撃吸収ネット及びそれを用いた防護体を提供すること。
【解決手段】本発明は、落下物の落下時の衝撃を伸長により吸収可能な合成繊維コードからなる衝撃吸収ネット10であって、合成繊維コード1の伸長する前の弾性率が5cN/dtex以上50cN/dtex未満、合成繊維コード1の最大伸長時の弾性率が50cN/dtex以上200cN/dtex以下であり、且つ合成繊維コード1が伸長するにしたがって弾性率が増加する衝撃吸収ネット10である。
【選択図】図1

Description

本発明は、衝撃吸収ネット及びそれを用いた防護体に関する。
斜面での落石や地すべりを防護する落石防止網として、崖や土手等の斜面にワイヤーを吊り下げ、金網を張設したもの(例えば、特許文献1参照)や、複数のリングワイヤーを連結して網状としたネットユニットをワイヤーロープとアンカーで地盤に固定するもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
また、これらの金網やワイヤー、アンカー等からなる防護体には、一般に、落石が衝突した際の巨大な衝撃を緩和するための衝撃緩衝装置が設けられる。
これらのことから、従来の防護体は、比較的大きな衝撃が付与されても破壊することなく、規模の大きな落石や岩盤の崩落に対して有効である。
ところが、これらの防護体は重量が大きいので、運搬や施工には重機が必要となり、施工コストが増大すると共に、施工地区が限定される。このため、大きな落石を想定する必要のない箇所においては、簡易に施工可能な防護体が望まれていた。
これに対し、網が合成樹脂からなる防護体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。かかる防護体においては、ポリエチレン等の軽量な合成繊維フィラメントを複数本撚り合わせて無結節のネットを構成し、地盤に固定された支柱に連結具で固定している。
かかる防護体においては、合成繊維製の網を用いているので、上述した金網を用いた場合と比較して、大幅に軽量化できる。このため、施工運搬においては、重機が不要であるので、施工を簡素化できると共に、運搬時には網をロール状に巻いたり畳んだりできるため、作業が容易になるメリットがある。
特開昭61−109806号公報 特開平10−280332号公報 特開2003−261910号公報
しかしながら、特許文献3記載の防護体においては、網が合成繊維製であるので、衝撃吸収性が大幅に低下する問題がある。このため、かかる防護体は、常設体としての使用には不向きである。
一方で、発明者等の研究によれば、施工する地形等にもよるが、常設で使用する防護体としては少なくとも100kJの衝撃吸収性が必要であり、ポリエチレン繊維等の汎用繊維で100kJの衝撃吸収性を達成するにためには、数十万デニールの繊維を用いる必要がある。
したがって、網を合成繊維製とした場合であっても、十分な衝撃吸収性を発揮するためには、目付けを相当大きくする必要があり、結果として、人力で取り扱うには重すぎるものとなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量でありながら、機械的強度に優れると共に衝撃吸収性にも優れる衝撃吸収ネット及びそれを用いた防護体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の汎用繊維を用いたネットは、落下物の落下時の衝撃により局所的な変形が発生し、低い衝突エネルギーであっても破断しやすい特徴を有することがわかった。
そこで、本発明者等は、落下物の落下時の衝撃をネットの変形(伸長)により吸収する方法を考えた。
そして、その衝撃を吸収するために、衝撃吸収ネットの弾性率を模索したところ、意外にも、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)落下物の落下時の衝撃を伸長により吸収可能な合成繊維コードからなる衝撃吸収ネットであって、合成繊維コードの伸長する前の弾性率が5cN/dtex以上50cN/dtex未満、合成繊維コードの最大伸長時の弾性率が50cN/dtex以上200cN/dtex以下であり、且つ合成繊維コードが伸長するにしたがって弾性率が増加する衝撃吸収ネットに存する。
本発明は、(2)合成繊維コードが、初期モジュラス400cN/dtex以上の第1合成繊維糸と、初期モジュラス250cN/dtex以下の第2合成繊維糸とからなる上記(1)記載の衝撃吸収ネットに存する。
本発明は、(3)第1合成繊維糸の下撚りの撚係数が10000〜25000、第2合成繊維糸の下撚りの撚係数が10000〜30000であり、合成繊維コードが、第1合成繊維糸と第2合成繊維糸とが上撚りされたものである上記(2)記載の衝撃吸収ネットに存する。
本発明は、(4)上撚りの撚係数が20000〜40000である上記(3)記載の衝撃吸収ネットに存する。
本発明は、(5)第1合成繊維糸がパラ系アラミド繊維である上記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の衝撃吸収ネットに存する。
本発明は、(6)第2合成繊維糸がポリエチレンテレフタレート繊維である上記(2)〜(5)のいずれか一つに記載の衝撃吸収ネットに存する。
本発明は、(7)第2合成繊維糸の強度が3.0〜6.0cN/dtex、伸度が30〜150%、10%伸長応力が0.1〜4.0cN/dtexである上記(2)〜(6)のいずれか一つに記載の衝撃吸収ネットに存する。
本発明は、(8)上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の衝撃吸収ネットと、該衝撃吸収ネットの周縁に設けられた周縁ロープと、該周縁ロープを支持する支持ロープと、衝撃吸収ネットの両側に配置され、支持ロープが取り付けられた支柱と、該支柱を支持する支持具と、を備える防護体に存する。
本発明の衝撃吸収ネットは、合成繊維コードの伸長する前の弾性率と、最大伸長時の弾性率とを上記範囲内とし、合成繊維コードが伸長するにしたがって弾性率が増加するようにすることにより、落下物の落下時の衝撃への応力が効果的に分散される。
これにより、落下物の落下時の衝撃を確実に吸収できる。
例えば、大きな衝撃を衝撃吸収ネットの一部分に受けた場合でも局所変形による破壊が生じにくく、衝撃を効果的に緩和しうる。
また、上記衝撃吸収ネットは、合成繊維コードからなるので、軽量である。このため、施工が容易となり、重機や専門設備も不要である。また、崖や斜面等の足場が悪いところであっても、容易に施工できる。
したがって、上記衝撃吸収ネット(以下単に「ネット」ともいう。)は、軽量でありながら、機械的強度に優れると共に衝撃吸収性にも優れる。
上記衝撃吸収ネットは、合成繊維コードが初期モジュラスの異なる第1合成繊維糸と第2合成繊維糸とからなるものであると、合成繊維コードの伸長に従って弾性率が増加するため、衝撃が加わった際にネット全体で衝撃を受け止めることができ、また、衝撃を吸収しやすいという利点がある。
ここで、初期モジュラスとは、伸長前の合成繊維コードに、一定のひずみを与えたときの応力の値を意味する。なお、かかる初期モジュラスは、JIS L−1013に準拠して測定できる。
上記衝撃吸収ネットは、第1合成繊維糸及び第2合成繊維糸の下撚りの撚係数がそれぞれ上記範囲内であると、上撚り及びネット製編加工が行いやすく、かつネットの耐久性が高められるという利点があり、合成繊維コードが、これらの第1合成繊維糸及び第2合成繊維糸が上撚りされたものであると、ネット製編加工が行いやすく、かつネットの耐久性が高められるという利点がある。なお、かかる上撚りの撚係数は上記範囲内であることが好ましい。
上記衝撃吸収ネットは、第1合成繊維糸がパラ系アラミド繊維であると、素材自体の強度が優れるので、強度を維持しつつより軽量化が図れる。
また、第2合成繊維糸がポリエチレンテレフタレート繊維であると、耐候性及び汎用性が優れるので、安価に長期間使用することができる。
また、適度な強度を備えると共に、弾性が優れる。
上記衝撃吸収ネットは、第2合成繊維糸の強度、伸度、10%伸長応力が上記範囲内であると、ネットに適度な強度と伸度を付与し、衝撃吸収性を高められるという利点がある。
本発明の防護体は、上述した衝撃吸収ネットを備えるので、軽量でありながら、機械的強度に優れると共に衝撃吸収性にも優れる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、本発明に係る衝撃吸収ネットの一実施形態を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る衝撃吸収ネット10は、空隙が菱形状になった網構造となっている。
衝撃吸収ネット10は、軽量な合成繊維コード1からなる。
したがって、衝撃吸収ネット10は、施工が容易であり、重機や専門設備が不要である。これに加え、衝撃吸収ネット10は、崖や斜面等の足場が悪いところであっても、施工が可能である。
衝撃吸収ネット10は、合成繊維コード1を蛙又結び等した有結節網であってもよく、合成繊維コード1を複数本撚り合わせてストランドと為し、それらを格子状に撚り合わせる等した無結節網であってもよい。
衝撃吸収ネット10が有結節網である場合、過大な応力によっては結節部に大きなせん断力が働いて結節点で破壊される恐れがあるので、衝撃吸収ネット10は、無結節網であることが好ましい。
衝撃吸収ネット10は、合成繊維コード1の強度が5〜20cN/dtexであることが好ましい。
合成繊維コード1の強度が5cN/dtex未満であると、強度が上記範囲内にある場合と比較して、実用面でネットの強力が低くなりすぎる傾向にあり、強度が20cN/dtexを超えると、強度が上記範囲内にある場合と比較して、伸度が低くなりすぎて衝撃吸収性能が低くなる傾向にある。なお、かかる強度は、JIS L 2707(ポリエステルロープ)に準拠して測定した値である。
衝撃吸収ネット10は、弾性変形及び永久変形によって衝撃を吸収するものであり、一定時間を要しながら衝撃を受け止める。そのため、合成繊維コード1の伸度は、3〜100%であることが好ましく、5〜50%であることがより好ましい。
合成繊維コード1の伸度が3%未満であると、伸度が上記範囲内にある場合と比較して、衝撃吸収性能が低くなり、衝撃吸収ネットを支持する支柱等に過大な負担がかかる傾向にあり、伸度が100%を超えると、伸度が上記範囲内にある場合と比較して、衝撃を完全に受け止めるまでにネットが伸びすぎて、周囲の人やものに落石などが当る可能性がある。なお、かかる伸度は、JIS L 2707(ポリエステルロープ)に準拠して測定した値である。
図2は、本実施形態に係る衝撃吸収ネットを構成する合成繊維コードの応力−歪み曲線を示すグラフである。
図2に示すように、合成繊維コード1は、応力−歪み曲線において下に凸の荷伸曲線を有する。
本実施形態に係る衝撃吸収ネット10における合成繊維コード1においては、後述するように、異なった一次降伏点を有する第1合成繊維糸と第2合成繊維糸とを用いることにより、上記曲線としている。
このような曲線とすることにより、合成繊維コードの伸長にしたがって弾性率が増加し、落石などの衝撃応力が効果的に分散されて衝撃を吸収できるという利点がある。
合成繊維コード1は、伸長する前の弾性率が5cN/dtex以上50cN/dtex未満、最大伸長時の弾性率が50cN/dtex以上200cN/dtex以下になっている。
ここで、伸長する前の弾性率(以下「初期弾性率」という。)とは、合成繊維コード1が伸長していない状態での弾性率を意味し、最大伸長時の弾性率(以下「最終弾性率」という。)とは、合成繊維コード1が伸長し、破断する寸前の状態での弾性率を意味する。
なお、初期弾性率は、伸度2%時の応力を100%伸度に外挿した値であり、最終弾性率は、破断直前2%での応力増分を100%伸度に外挿した値である。
衝撃吸収ネット10においては、合成繊維コード1の初期弾性率が5cN/dtex未満であると、衝撃吸収ネット10の伸びが大き過ぎて、隣接する道路や建築物等からの距離を十分に確保できない等の不具合が生じ、合成繊維コード1の初期弾性率が50cN/dtex以上であると、落下物の落下時の衝撃を吸収する効果が発揮されず、衝撃吸収ネット10を支持する支柱等に過大な負担がかかることになる。
一方、合成繊維コード1の最終弾性率は、50cN/dtex未満であると、十分な強度が得られないことになり、200cN/dtexを超えると、初期弾性率との差が大きくなり、応力の変化が急峻となって支柱への負荷が大きくなる。
合成繊維コード1は、直径が10〜40mmであることが好ましい。
この場合、強度と取扱い性のバランスが優れる。なお、より好ましくは、直径が15〜30mmである。
合成繊維コード1は、初期モジュラスが高い第1合成繊維糸と、初期モジュラスが少なくとも第1合成繊維糸よりも低い第2合成繊維糸とからなっている。すなわち、合成繊維コード1は、初期モジュラスが異なる2種類の合成繊維のハイブリッドコードとなっている。なお、第1合成繊維糸及び第2合成繊維糸の詳細については後述する。
ここで、初期モジュラスとは、伸長前の合成繊維コード1に、一定のひずみを与えたときの応力の値を意味する。なお、かかる初期モジュラスは、JIS L−1013に準拠して測定できる。
上記衝撃吸収ネット10においては、合成繊維コード1が第1合成繊維糸及び第2合成繊維糸からなっているので、合成繊維コード1が伸長するにしたがって、合成繊維コード1の弾性率が増加するようになっている。
この現象の理論は明らかではないが、合成繊維コード1が伸長するにしたがって、初期モジュラスが小さい第2合成繊維糸が最初に自らの弾性率を発揮し、その後、初期モジュラスが第2合成繊維糸より大きい第1合成繊維糸が自らの弾性率を発揮するので、合成繊維コード1としては、見掛けの弾性率が増加することになるのではないかと考えられる。
上記衝撃吸収ネット10は、合成繊維コード1の伸長する前の弾性率と、最大伸長時の弾性率を上記範囲内とし、合成繊維コード1が伸長するにしたがって弾性率が増加するようにすることにより、落下物の落下時の衝撃を確実に吸収できる。
例えば、大きな衝撃を衝撃吸収ネット10の一部分に受けた場合でも局所変形による破壊が生じにくく、衝撃を効果的に緩和しうる。
図3は、本実施形態に係る衝撃吸収ネットを構成する合成繊維コードを示す概略図である。
図3に示すように、合成繊維コード1は、下撚りがかけられたシングル撚糸コードである第1合成繊維糸2と、下撚りがかけられたシングル撚糸コードである第2合成繊維糸3とを合わせて上撚りをかけたものであることが好ましい。
このことにより、合成繊維コード1が伸長するにしたがって弾性率が増加するという機能が発現する。
ここで、上撚りとは、(諸撚り糸を作るときに)下撚りをかけた糸を2本以上合わせて下撚方向と反対方向に撚りをかけることを意味し、下撚りとは、(諸撚り糸を作るときに)初めに糸一本にかける撚りを意味する。
上述した上撚りは、撚り数が200〜600T/mであることが好ましい。
上撚りの撚り数が200T/m未満であると、撚り数が上記範囲内にある場合と比較して、合成繊維コード1の伸度が低くなりすぎて衝撃吸収性能が低くなる傾向にあり、撚り数が600T/mを超えると、撚り数が上記範囲内にある場合と比較して、合成繊維コード1の伸度が高くなりすぎ、かつ強力が低くなる傾向にある。
また、撚係数は、20000〜40000であることが好ましい。
ここで、本明細書において、撚係数とは以下の式で計算したものである。
撚係数=撚り数(T/m)×√(繊度dtex)
上撚りの撚係数が20000未満であると、撚係数が上記範囲内にある場合と比較して、第1合成繊維糸2と第2合成繊維糸3とがそれぞれ独立に破断するようになり、ハイブリッドコードとして連続的に弾性率が増加するような応力−歪み特性が得られない場合があり、撚係数が40000を超えると、撚係数が上記範囲内にある場合と比較して、合成繊維コード1の伸度が高くなりすぎ、かつ強力が低くなる傾向となる。
上記第1合成繊維糸2を構成する素材としては、炭素繊維、パラ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリオキシケトン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、第1合成繊維糸2を構成する素材はパラ系アラミド繊維(パラ系芳香族アミド繊維)であることが好ましい。
より具体的には、帝人テクノプロダクツ株式会社製のテクノーラ(登録商標)繊維が挙げられる。
この場合、素材自体の強度が優れるので、強度を維持しつつより軽量化が図れる。
なお、第1合成繊維糸2には、耐光性を付与する目的でカーボン等の顔料や紫外線吸収剤等が含まれていてもよく、衝撃吸収ネット10の表面を保護する目的で樹脂をコーティングする等の加工が施されていてもよい。
第1合成繊維糸2の繊度は、500〜5000dtexであることが好ましく、1100〜3300dtexであることがより好ましい。
第1合成繊維糸2を構成する繊維の繊度が500dtex未満であると、繊度が上記範囲内にある場合と比較して、低強度となって破断する場合があり、繊度が5000dtexを超えると、繊度が上記範囲内にある場合と比較して、重量が大きくなり過ぎるので、作業性が低下する傾向にある。
第1合成繊維糸2を構成するフィラメントの数は、100〜2000filであることが好ましい。
第1合成繊維糸2を構成するフィラメントの数が100未満であると、フィラメントの数が上記範囲内にある場合と比較して、フィラメント1本当りの繊度が高くなるために、繊維製造上の難易度が増して高コストとなる場合があり、フィラメントの数が2000を超えると、フィラメントの数が上記範囲内にある場合と比較して、フィラメント数が多すぎるために繊維の引き揃えが不十分となり、強力が低下する場合がある。
第1合成繊維糸2は、初期モジュラスが400cN/dtex以上であることが好ましい。
第1合成繊維糸2の初期モジュラスが400cN/dtex未満であると、初期モジュラスが上記範囲内にある場合と比較して、右下に凸の応力−ひずみ曲線となる合成繊維コード1が得られない傾向にある。
なお、第1合成繊維糸2の初期モジュラスは、耐久性や撚糸加工の観点から2000cN/dtex以下であることが好ましい。
このときの下撚りの撚り数が200〜600T/mであることが好ましい。
下撚りの撚り数が200T/m未満であると、撚り数が上記範囲内にある場合と比較して、伸度が低くなって独立破断しやすくなり、ハイブリッドコードとしての機能が発現しない傾向にあり、撚り数が600T/mを超えると、撚り数が上記範囲内にある場合と比較して、強力が低くなる傾向にある。
また、下撚りの撚係数は10000〜25000の範囲であることが好ましい。
下撚りの撚係数が10000未満であると、撚係数が上記範囲内にある場合と比較して、最終弾性率が高くなりすぎる傾向にあり、撚係数が25000を超えると、撚係数が上記範囲内にある場合と比較して、合成繊維コード1の強度が低下するため強度の弱いネットになる傾向にある。
上記第2合成繊維糸3を構成する素材としては、6ナイロン繊維、6,6ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン−2,6−ナフタレート繊維、ポリプロピレン繊維、低圧ポリエチレン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、第2合成繊維糸3はポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。より具体的には、帝人テクノプロダクツ株式会社製のポリエチレンテレフタレート繊維が挙げられる。
この場合、耐候性及び汎用性が優れるので、安価に長期間使用することができる。また、適度な強度を備えると共に、弾性が優れる。なお、第2合成繊維糸3には、耐光性を付与する目的でカーボン等の顔料や紫外線吸収剤等が付与されていてもよく、衝撃吸収ネット10の表面を保護する目的で樹脂をコーティングする等の加工が施されていてもよい。
なお、第2合成繊維糸3がポリエチレンテレフタレート繊維である場合、第2合成繊維糸3を合成する際には、ポリエチレンテレフタレート繊維の原料の他、イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物等の第3成分が含まれていてもよい。換言すると、ポリエステルの原料と第3成分とを共重合させてもよい。
この場合、第3成分に基づく物性を付加することができる。
ここで、上述したように、第1合成繊維糸2を構成する繊維がパラ系アラミド繊維であり、第2合成繊維糸3を構成する繊維がポリエチレンテレフタレート繊維であることが特に好ましい。
この場合、耐候性が優れる、擦過に強い、摩擦による発熱にも耐えられるような高い融点である、比較的安価で入手しやすい、等の利点がある。
第2合成繊維糸3の繊度は、500〜5000dtexであることが好ましい。
第2合成繊維糸3の繊度が500dtex未満であると、繊度が上記範囲内にある場合と比較して、低強度となって破断する場合があり、繊度が5000dtexを超えると、繊度が上記範囲内にある場合と比較して、重量が大きくなり過ぎるので、作業性が低下する傾向にある。
第2合成繊維糸3を構成するフィラメントの数は、50〜2000filであることが好ましく、100〜500filであることがより好ましい。
第2合成繊維糸3を構成するフィラメントの数が50未満であると、フィラメントの数が上記範囲内にある場合と比較して、フィラメント1本当りの繊度が高くなるために、繊維製造上の難易度が増して高コストとなる場合があり、フィラメントの数が2000を超えると、フィラメントの数が上記範囲内にある場合と比較して、フィラメント数が多すぎるために繊維の引き揃えが不十分となり、強力が低下する傾向にある。
第2合成繊維糸3は、初期モジュラスが第1合成繊維糸より小さい繊維であることが好ましく。具体的には、250cN/dtex以下であることが好ましい。
第2合成繊維糸3の初期モジュラスが250cN/dtexを超えると、初期モジュラスが上記範囲内にある場合と比較して、右下に凸の応力−ひずみ曲線となる合成繊維コード1が得られない傾向にある。なお、第2合成繊維糸3の初期モジュラスは、取扱い性の観点から100cN/dtex以下であることが好ましい。
このときの下撚りの撚り数が200〜600T/mであることが好ましい。
下撚りの撚り数が200T/m未満であると、撚り数が上記範囲内にある場合と比較して、合成繊維コード1の初期モジュラスが高くなりすぎる傾向にあり、撚り数が600T/mを超えると、撚り数が上記範囲内にある場合と比較して、第2合成繊維糸3の伸度が高くなりすぎるために、ハイブリッドコードにおいて第1合成繊維糸2と第2合成繊維糸3が独立して破断しやすくなり、ハイブリッドコードとして機能しなくなる傾向にある。
また、撚係数は、10000〜30000の範囲であることが好ましい。
下撚りの撚係数が10000未満であると、撚係数が上記範囲内にある場合と比較して、初期モジュラスが高くなりすぎて十分な衝撃吸収効果が発揮されない傾向にあり、撚係数が30000を超えると、撚係数が上記範囲内にある場合と比較して、第2合成繊維糸3の伸度が高くなりすぎるために、ハイブリッドコードにおいて第1合成繊維糸2と第2合成繊維糸3が独立して破断しやすくなり、ハイブリッドコードとして機能しなくなる傾向にある。
第2合成繊維糸3は強度が3.0〜6.0cN/dtexであることが好ましい。
強度が3.0cN/dtex未満であると、強度が上記範囲内にある場合と比較して、衝撃吸収ネット10の強度が低くなり、高い衝撃力に耐えられない傾向にあり、強度が6.0cN/dtexを超えると、強度が上記範囲内にある場合と比較して、高伸度の繊維が得にくくなるため、繊維製造上の難易度が増して高コストとなる傾向にある。
第2合成繊維糸3は伸度が30〜150%であることが好ましい。
第2合成繊維糸3の伸度が30%未満であると、伸度が上記範囲内にある場合と比較して、十分な衝撃吸収効果が得られない傾向にあり、伸度が150%を超えると、伸度が上記範囲内にある場合と比較して、強度が低下する傾向にある。
第2合成繊維糸3は10%伸長応力が0.1〜4.0cN/dtexであることが好ましく、1.5〜2.5cN/dtexであることがより好ましい。
第2合成繊維糸3の10%伸長応力が4.0cN/dtexを超えると、10%伸長応力が上記範囲内にある場合と比較して、衝撃吸収効果が小さくなる傾向にある。
なお、10%伸長応力を0.1cN/dtex未満とすることは実質上困難である。
ここで、10%伸長応力とは、第2合成繊維糸3を長手方向に10%伸長させたときの応力を意味する。
上述した衝撃吸収ネット10には、耐候性、耐摩耗性、熱安定性、平滑性等の向上や機能性付与、形態安定性等の目的で、顔料、紫外線吸収剤、樹脂、難燃剤、熱安定剤、油剤、平滑剤、抗菌剤等の成分が付与されていてもよい。なお、かかる付与は、製造工程における付与であってもよく、製造後に付与してもよい。
特に、衝撃吸収ネット10を屋外で使用する場合には、顔料や紫外線吸収剤を配合することや樹脂を被覆することが有効である。
また、合成繊維コード1を加工して衝撃吸収ネット10とする場合に油剤を付与すると、摩擦による毛羽や糸切れが抑制できて効果的である。このような各種の添加剤には特に制限はなく、適宜有効と考えられるものを用いればよい。
衝撃吸収ネット10は、落下物を受け止める防護体のネットに好適に用いられる。
次に、本実施形態に係る衝撃吸収ネット10の製造方法について説明する。
まず、第1合成繊維糸2を作製する。
例えば、所定の繊度、フィラメント数を有するパラ系アラミド繊維に、リング撚糸機を用いてZ撚りで下撚りを掛ける。これにより、シングル撚糸コードである第1合成繊維糸2が得られる。
次に、第2合成繊維糸3を作製する。
例えば、所定の繊度、フィラメント数を有するポリエチレンテレフタレート繊維に、リング撚糸機を用いてZ撚りで下撚りを掛ける。
これにより、シングル撚糸コードである第2合成繊維糸3が得られる。なお、第1合成繊維糸2と第2合成繊維糸3とで撚り数を変更し、得られる合成繊維コード1の物性を調整することも可能である。
そして、第1合成繊維糸2及び第2合成繊維糸3を、リング撚糸機を用いて下撚りと逆方向のS撚りで上撚りを掛ける。
これにより、合成繊維コード1が得られる。
なお、上撚りを掛ける際には、第1合成繊維糸2の下撚りの方向と第2合成繊維糸3の下撚りの方向とが、同じ方向であることが好ましい。
また、第1合成繊維糸2及び第2合成繊維糸3の本数は1本ずつであることが好ましい。さらに、撚り数も第1合成繊維糸2と第2合成繊維糸3とが10%以内の同じ程度の撚り数であることが安定生産上好ましい。なお、下撚りがS撚りで上撚りがZ撚りであっても構わない。
ここで、上述した第1合成繊維糸又は第2合成繊維糸の初期モジュラス、強度、伸度は、第1合成繊維糸又は第2合成繊維糸を構成する繊維の固有粘度、延伸の程度、処理条件等によって調整できる。
例えば、第1合成繊維糸又は第2合成繊維糸を構成する繊維の固有粘度を高めるためには重合後のチップをさらにタンブルドライヤー等を用いて固相重合させればよい。
なお、このチップは、通常、エクストルーダーにて混練溶融し、紡糸口金から押出して紡糸されるが、吐出されたポリマーは、口金直下の遅延冷却ゾーンを通過した後、冷却風を吹き当てて冷却し、紡糸油剤を付与し引き取ることも可能である。
そして、引き取った未延伸糸はいったん巻き取り又は巻き取ることなく連続的に延伸工程に供給し、延伸した後、加熱したローラーを用いて熱セットして巻き取れば、延伸糸が得られる。
そして、合成繊維コード1を経編機のラッシェル機で製編して、本実施形態に係る衝撃吸収ネット10が得られる。なお、衝撃吸収ネットの性能に応じて、合成繊維コードを鎖編糸および挿入糸の両方に使用しても、また鎖編糸や挿入糸に単独で用いてもよい。
次に、上記衝撃吸収ネット10を用いた防護体20について説明する。
図4は、本発明に係る防護体の実施形態の一例を示す正面図である。
図4に示すように、本実施形態に係る防護体20は、上述した衝撃吸収ネット10と、該衝撃吸収ネット10の周縁に設けられた周縁ロープ12と、該周縁ロープ12を支持する支持ロープ13と、衝撃吸収ネット10の両側に配置され、支持ロープ13が取り付けられた支柱15と、該支柱15を支持する支持具17と、を備える。
防護体20は、石、土砂、雪等の落下物を衝撃吸収ネット10で受け止める構造になっている。すなわち、防護体20は、落下物があると、周縁ロープ12及び支持ロープ13が伸びることで、衝撃吸収ネット10が撓み、落下物の落下時の衝撃力が吸収される。
このように、防護体20においては、上述した衝撃吸収ネット10を備えるので、軽量でありながら、機械的強度に優れると共に衝撃吸収性にも優れる。
したがって、落石等の衝撃を吸収することができるので、防護体20の部材の破損が抑制される。
防護体20において、周縁ロープ12は、衝撃吸収ネット10の周縁の網目を交互に挿通させることによって、衝撃吸収ネット10に取り付けられている。すなわち、このように取り付けることにより、衝撃吸収ネット10は、周縁ロープ12に対する動きの自由度が担保されている。
また、衝撃吸収ネット10に対する周縁ロープ12の取り付けが極めて簡単であるので、防護体20の組付けも容易である。
これらのことから、防護体20は、施工が容易であり、重機や専用設備が不要である。また、崖や斜面等の足場が悪いところであっても、施工が可能である。
さらに、上述した衝撃吸収ネット10が軽く作業性に優れているため、落石等で損傷したロープを交換することが容易であり、損傷しているかどうかも永久変形がどの程度生じているかにより容易に確認可能であるため、適宜のメンテナンスと早めの部材交換が可能である。よって、高いレベルで防護体20の性能を維持することができる。
上記周縁ロープ12及び支持ロープ13としては、公知のロープが用いられる。これらの物性は特に限定されない。
なお、周縁ロープ12と支持ロープ13とが同一の物性であってもよく、周縁ロープ12が支持ロープ13を兼ねていてもよい。
上記支柱15は、施工される場所で予想される落石の規模に応じて強度や構造等が適宜設計される。
例えば、コンクリート製支柱、コンクリートと鋼管で構成される構造体を基礎コンクリートや地中に埋設したもの等が挙げられる。また、落石の規模が比較的低いと予想される場合には、自然の立木を支柱として利用してもよい。
上記支持具17としては、従来のものが適宜用いられる。
防護体20は、軽量であるために、支持具17を必ずしも頑強なものにする必要はないが、安全性向上の観点から、ワイヤーロープ等のように頑強なものとすることが好ましい。
上記防護体20は、図示しない緩衝具を備えていてもよい。
かかる緩衝具としては、繊維製のロープを用いることが好ましい。
ロープ用の繊維としてはポリアミド繊維、ポリエステル繊維、塩化ビニル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維や麻等の天然繊維等が挙げられる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態に係る衝撃吸収ネット10においては、第1合成繊維糸2及び第2合成繊維糸3の2種類の素材を用いているが、単独素材であってもよい。
なお、一次降伏点が同じ原料からなる素材であっても、延伸倍率を変化させ伸度と強度のバランスを変更することによって図2に示す応力−歪み曲線を得ることができる。
上記防護体20においては、支柱15に支持され、衝撃吸収ネット10の裏面に直線状に取り付けられる補助ロープを更に備えていてもよい。
この場合、落下物により局所的に衝撃吸収ネット10が伸びるのが抑制される。
なお、かかる補助ロープは、衝撃吸収ネット10の網目に交互に通してもよく、網目を通さず、衝撃吸収ネット10の裏面に接するように防護ネット11と平行に配置してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
第1合成繊維糸を構成する繊維(以下「繊維A」という。)は、帝人テクノプロダクツ株式会社製の「テクノーラ(登録商標)」(繊度1670dtex、フィラメント数1000fil)を用いた。
第2合成繊維糸を構成する繊維(以下「繊維B」という。)は、以下の方法に基づいて製造したポリエステル繊維からなる延伸糸を用いた。
まず、固有粘度0.6のポリエステルチップを、温度235℃のタンブルドライヤー中で固相重合を行い、固有粘度1.0のポリエステルチップを得た。このチップをエクストルーダーにて混練溶融し、直径0.6mmの細孔を250個有する紡糸口金から押出して紡糸した。吐出されたポリマーは、口金直下300mmの遅延冷却ゾーンを通過した後、25℃に調節された冷却風を吹き当てて冷却し、紡糸油剤を付与した後700m/分の速度で引き取った。引き取った未延伸糸はいったん巻き取ることなく連続的に延伸工程に供給し、延伸倍率3.5倍で延伸した後、220℃に加熱したローラーを用いて熱セットして巻き取り、延伸糸(繊度2110dtex、フィラメント数250fil)を得た。
繊維A及び繊維Bの物性を表1に示す。なお、表1中、強度、破断伸度及び初期モジュラスは、島津製作所製オートグラフS−100型を使用し、JIS L−1013に準拠して測定した値である。
Figure 2010106492
次に、繊維Aを用い、撚り数400T/mで下撚りしてシングル撚糸コードAを得た(第1合成繊維糸)。
また、繊維Bを用い、撚り数400T/mで下撚りしてシングル撚糸コードBを得た(第2合成繊維糸)。
そして、シングル撚糸コードA及びシングル撚糸コードBを撚り数400T/mで上撚りして2子撚り(2本撚り)のコードA(合成繊維コード)を得た。得られたコードAの物性を表2に示す。
次に、合成繊維コードをフロントに32本、繊維Bを撚り数80T/mで撚糸したものをバックに36本使用してラッセル網となし、目合い100mmのネットA(衝撃吸収ネット)を得た。
(比較例1)
繊維Aを用いず、繊維Bのみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、コードBを得た。なお、かかるコードBは、繊維Bを撚り数400T/mで下撚りし、さらに2本合わせて400T/mで上撚りしたものである。
得られたコードBの物性を表2に示す。
次に、このコードBを用い、フロントに32本、バックに36本使用してラッセル網と為し、目合い100mmのネットBを得た。
(比較例2)
繊維Bを用いず、繊維Aのみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、コードCを得た。なお、かかるコードCは、テクノーラを撚り数400T/mで下撚りし、さらに2本合わせて400T/mで上撚りしたものである。
得られたコードCの物性を表2に示す。
次に、このコードCを用い、フロントに32本、バックに36本使用してラッセル網と為し、目合い100mmのネットCを得た。
Figure 2010106492
(評価1)衝撃吸収試験
上述した実施例及び比較例で得られたネットA、ネットB及びネットCを、それぞれ引張試験機のロードセルに固定し、他端を1.0kgの重錘に固定した。重錘を50cmの高さから落下させ(エネルギー量5.0J)、重錘による衝撃力を記録計で記録した。この時の最初の応力ピーク値を最大衝撃力とした。また、検出された最大衝撃力が4.5N以上(衝撃吸収率10%以下)を×とし、4.5N未満(衝撃吸収率10%以上)を○とした。
得られた結果を表3に示す。
(評価2)重錘落下試験
上述した実施例及び比較例で得られたネットA、ネットB及びネットCそれぞれの上方に、質量3トンの重錘をクレーンで吊り上げ、水平に張ったそれぞれのネットに1mの高さから自由落下させた。重錘落下後、ネットが破損していれば×、破損していなければ○とした。
得られた結果を表3に示す。
Figure 2010106492
以上より、所定の初期弾性率、及び、最終弾性率を備え、且つ、コードが伸長するにしたがって弾性率が増加する実施例1のネットAによれば、機械的強度に優れると共に衝撃吸収性にも優れることが確認された。
一方、最終弾性率が低い比較例1のネットBは、機械的強度が劣り、初期弾性率及び最終弾性率が高い比較例2のネットCは、衝撃吸収性が劣ることがわかった。
図1は、本発明に係る衝撃吸収ネットの一実施形態を示す正面図である。 図2は、本実施形態に係る衝撃吸収ネットを構成する合成繊維コードの応力−歪み曲線を示すグラフである。 図3は、本実施形態に係る衝撃吸収ネットを構成する合成繊維コードを示す概略図である。 図4は、本発明に係る防護体の実施形態の一例を示す正面図である。
符号の説明
1・・・合成繊維コード
2・・・第1合成繊維糸
3・・・第2合成繊維糸
10・・・衝撃吸収ネット
12・・・周縁ロープ
13・・・支持ロープ
15・・・支柱
17・・・支持具
20・・・防護体

Claims (8)

  1. 落下物の落下時の衝撃を伸長により吸収可能な合成繊維コードからなる衝撃吸収ネットであって、
    前記合成繊維コードの伸長する前の弾性率が5cN/dtex以上50cN/dtex未満、前記合成繊維コードの最大伸長時の弾性率が50cN/dtex以上200cN/dtex以下であり、且つ
    前記合成繊維コードが伸長するにしたがって弾性率が増加する衝撃吸収ネット。
  2. 前記合成繊維コードが、初期モジュラス400cN/dtex以上の第1合成繊維糸と、初期モジュラス250cN/dtex以下の第2合成繊維糸とからなる請求項1記載の衝撃吸収ネット。
  3. 前記第1合成繊維糸の下撚りの撚係数が10000〜25000、前記第2合成繊維糸の下撚りの撚係数が10000〜30000であり、
    前記合成繊維コードが、前記第1合成繊維糸と前記第2合成繊維糸とが上撚りされたものである請求項2記載の衝撃吸収ネット。
  4. 前記上撚りの撚係数が20000〜40000である請求項3記載の衝撃吸収ネット。
  5. 前記第1合成繊維糸がパラ系アラミド繊維である請求項2〜4のいずれか一項に記載の衝撃吸収ネット。
  6. 前記第2合成繊維糸がポリエチレンテレフタレート繊維である請求項2〜5のいずれか一項に記載の衝撃吸収ネット。
  7. 前記第2合成繊維糸の強度が3.0〜6.0cN/dtex、伸度が30〜150%、10%伸長応力が0.1〜4.0cN/dtexである請求項2〜6のいずれか一項に記載の衝撃吸収ネット。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の衝撃吸収ネットと、
    該衝撃吸収ネットの周縁に設けられた周縁ロープと、
    該周縁ロープを支持する支持ロープと、
    前記衝撃吸収ネットの両側に配置され、前記支持ロープが取り付けられた支柱と、
    該支柱を支持する支持具と、
    を備える防護体。
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