JP2010105848A - 撒布用不凍液の再資源化方法及び再資源化された粉砕助剤 - Google Patents

撒布用不凍液の再資源化方法及び再資源化された粉砕助剤 Download PDF

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Abstract

【課題】
プロピレングリコールを主成分とする、例えば航空機用の防氷剤、除氷剤、滑走路用の凍結防止剤、融雪剤等の撒布用不凍液を安価で効率的に処理する方法であり、粘性を低下させる方法であり、効果的にセメントクリンカの粉砕助剤として再利用する方法を提供することである。
【解決手段】
プロピレングリコールを10〜60質量%含む撒布用不凍液を回収し、前回収液に、ジエチレングリコールを、前記回収液100質量部に、40〜400質量部を添加して、添加後の前回収液の粘度測定を絶対粘度計でおこない、その測定値が、100mPa・s以下であるように調製して得られる、セメントクリンカの粉剤助剤、である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、撒布用不凍液の再資源化方法及び再資源化された粉砕助剤に関する。
航空機用の防氷剤、除氷剤、滑走路用の凍結防止剤、融雪剤は主成分がプロピレングリコールであり、散布されたこれらの組成物は、散布後は駐機場や滑走路に落下し、空港施設等の廃水処理施設によってプロピレングリコールを分解処理して河川等へ排出する必要があり、従来、活性汚泥処理に代表される生物分解処理を加温する等して処理している。一方、大量に散布される航空機用凍結防止剤の廃液処理としては、特許第2804489号、特開平7−166149号公報に提案されているように、蒸留工程によって廃液中のグリコールを濃縮し水を分離して再利用している。しかし、水を分離するためには、処理コストが増大し、また、グリコールの濃縮をすると、粘性が高まり、セメント等の被粉砕物に添加した場合の分散性が低下し粉砕効率が低下する等の理由で、以後の処理に適さない場合があった。
特許第2804489号 特開平7−166159号
また、上記の方法はいずれも処理コストの甚大なものであるため産業化に適しているとはいえないものであった。本発明の目的は、上述の問題点を解消しプロピレングリコールを主成分とする、例えば航空機用の防氷剤、除氷剤、滑走路用の凍結防止剤、融雪剤等の撒布用不凍液を安価で効率的に処理する方法であり、粘性を低下させる方法であり、効果的にセメントクリンカの粉砕助剤として再利用する方法を提供することである。
プロピレングリコールを10〜60質量%含む撒布用不凍液を回収し、前記回収液100質量部に、ジエチレングリコールを、40〜400質量部を添加して、添加後の前回収液の粘度測定を絶対粘度計でおこない、その測定値が、100mPa・s以下であるように調製して得られる、セメントクリンカの粉剤助剤、である。
プロピレングリコールを30〜60質量%含む撒布用不凍液を回収し、前回収液に、水を添加して、プロピレングリコール量を10〜30質量%として、更に、前記水添加後の回収液100質量部に、ジエチレングリコールを、40〜200質量部を添加して、添加後の前回収液の粘度測定を絶対粘度計でおこない、その測定値が、100mPa・s以下であるように調製して得られる、セメントクリンカの粉剤助剤、である。
又、前記粉剤助剤を、セメントクリンカ100質量部に対して、0.01〜1質量部添加することを特徴とする撒布用不凍液の再資源化方法、である。
以下に本発明の形態について、詳細に説明する。本発明の撒布用不凍液の利用方法が適用可能なのは、使用期限切れの未使用撒布用不凍液、撒布用車両のタンクの残液、撒布後の廃液である。撒布用不凍液とは、撒布することによって被撒布体に不凍液を付着させ、被撒布体表面の凍結を防止したり、被撒布体表面に降った雪氷等を融解して着氷を防止したり(アンチアイシング)、また或いは、既に凍結若しくは着氷した物体表面に撒布することによりこれらの雪氷を融解させる(ディアイシング)等の目的に使用されるものであり、具体的には、例えば、航空機用の防氷剤、除氷剤、滑走路用の凍結防止剤、融雪剤等をこれに該当するものの例として挙げることができる。
このような撒布用不凍液は、プロピレングリコールを主成分とし、適度な粘性を与えるための増粘剤(例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等)や、航空機の機体を対象とする場合に添加される防錆剤(例えば、ベンゾトリアゾール、チアベンダゾール、イミダゾール等)を少量含有するものである。このとき、アンチアイシング用の撒布不凍液は、プロピレングリコール濃度が50%程度、ディアイシング用の撒布不凍液は、プロピレングリコール濃度は、80%程度であるが、これを適宜、希釈して用いる。
これら撒布用不凍液を空港などにおいて航空機機体や滑走路面に撒布すると、雪氷を融解し、これらが融解した水分によって希釈された廃不凍液が空港施設等の排水設備等に流入することとなる。
本発明においては、先ず、このような使用後の撒布用不凍液を回収するものである。回収の方法は、従来の方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば、空港を例にとると、不凍液の撒布対象である航空機下部、即ち、駐機場の路面や、滑走路側帯などに緩やかな傾斜を設けた溝を設置し、該溝へ廃不凍液を流入させるとともに、該溝を集約させて貯留タンクや貯留池等に廃不凍液を導入するなどの方法により廃不凍液を回収することができる。また、使用期限切れの未使用撒布用不凍液、撒布用車両のタンクの残液については、そのまま保存容器、タンク等から回収することとなる。
プロピレングリコール濃度は、例えば、ポケットプロピレングリコール濃度計PAL−88S(株式会社アタゴ製)で簡易に測定できる。この濃度計によれば、プロピレングリコール−水系の屈折率変化を、試験液をプリズムに付着させて測定することができる。10%〜60%の濃度が望ましい。10%以下では、水分含有率が大きく、粉砕助剤として用いるとセメントクリンカ鉱物、特に、カルシウムアルミネート系の鉱物と水和反応が生ずるので、凝結時間、強度面の不都合が生ずる。60%を超えると、プロピレングリコールと並存する増粘剤量が増加し、粘性が増加するので、相対的に多量のジエチレングリコールを混合する必要が生ずる。このとき、使用する撒布用不凍液の使用量が減少するので、これを効果的に使用することができない。
本発明においては、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸鉄などの凝集剤を用いて、増粘剤を除去する必要がない。
Figure 2010105848
表1の組成表は、回収不凍液のプロピレングリコール(PG)濃度に応じたジエチレングリコール(DEG)の配合割合である。ポケットプロピレングリコール濃度計PAL−88S(株式会社アタゴ製)で測定した後、回収液中のPG濃度が10質量%の場合は、含有されたプロピレングリコール(PG)100質量部に対してジエチレングリコール400質量部、回収液中のPG濃度が60質量%の場合は、400〜667質量部を攪拌羽根付き混合機で混合した。回収液量100質量部に対しては、表1の通りジエチレングリコールの混合量は、40〜400質量部となる
混合後回収液の絶対粘度を測定したところ100mPa・sを下回る低粘性の液体が得られた。絶対粘度の測定には東機産業社製粘度計TVC−5を使用した。
また、プロピレングリコールを10〜60質量%含む撒布用不凍液を回収し、前回収液に、水を添加して、表1に示す配合割合としてもよい。具体的には、回収時に、プロピレングリコール濃度が30質量%以上の回収液に、水添加して、プロピレングリコール量を10〜30質量%として、更に、ジエチレングリコールを、前記水添加後の回収液100質量部に、40〜200質量部、好ましくは、40〜120質量部を添加して調製した。
添加混合後の前回収液の粘度測定を前述の通り、絶対粘度計でおこない、100mPa・sを下回る低粘性の液体が得られることを確認する。100mPa・sを上回ると、粉砕助剤としてクリンカと混合粉砕する際に、短時間にクリンカ粉末の被粉砕面を濡らす効果が小さくなり、十分な粉砕効果が期待できない。
図1に、ジエチレングリコール、水、回収不凍液同士を用いて得られた混合物の絶対粘度を示す。
希釈される試料には、プロピレングリコール濃度が50質量%のADF(絶対粘度1050mP・s)を用いた。ADFは、回収不凍液の略称である。水による混合では、粘性の顕著な低下が認められず、ADFに水を加えると、わずかに白濁し、水道水中のCaイオンとの反応による一時的に粘度が上昇する現象が認められた。回収不凍液同士を混合する実験では、低粘度のADF(プロピレングリコール濃度が30質量%、絶対粘度35mPa・sの試料)で希釈した。少量の混合でも粘度は低下するが、低下率は小さい。
一方、ジエチレングリコールを混合した場合は、10質量%の混合で、約半分、20質量%で、約1/4の粘性となり、40質量%の混合で100mPa・sの以下の粘度へと急激に粘性の低下した液体が得られる。
図2に、絶対粘度の異なる4種類の回収不凍液について、ジエチレングリコールを混合して得られた液体の粘度を示す。
すべての液体について、添加混合後の全回収液の粘度測定を前述の通り、絶対粘度計でおこない、100mPa・sを下回る低粘性の液体が得られることを確認できた。
絶対粘度計で100mPa・sを下回る低粘性液体は、従来の粉砕助剤混合機器、搬送機器がそのまま使用でき、ハンドリング性も極めて良好である。
次いで、上記各試料(添加混合後の前回収液)を粉砕助剤として、セメントクリンカの粉砕実験を行った。
セメントキルンで焼成されたセメントクリンカは、仕上げミルにて、石膏とともに粉砕され、最終製品であるセメントとなる。通常、このセメント仕上げ粉砕にはボールミルが使われている。
ボールミルによるセメント仕上げ粉砕を行う場合、粉砕された微粒子同志の凝集、および、微粒子がミルの内壁やボールへの付着することにより生じるクッション効果により、被粉砕物の粉砕効率が低下することが知られている。
粉砕効率を高めるために、ボールミル粉砕時には各種粉砕助剤が添加されるのが通例である。粉砕助剤効果のある物質としては、一般にアルコール類、アミン類、有機酸類、芳香族化合物等の極性のある有機化合物が知られているが、セメント用としては、粉砕効率を高めるとともに、製造されたセメントの凝結や強度発現性に悪影響を及ぼさないものが好ましい。一般に、セメントクリンカ仕上げ粉砕工程における粉砕助剤としては、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリイソプロパノールアミン等が使用されている。本発明では、実施例として、ADFにジエチレングリコールを60質量%混合した液体について、粉砕時間、比表面積、凝結時間、偽凝結、圧縮強度(3日、7日、28日)のデータを、比較例とともに示す。
本発明で適用可能な仕上げ粉砕用ミルとしては、上述したボールミルの他に、チューブミル、ローラーミル等がある。
上記試料は、セメントクリンカ100質量部に対して0.01〜1質量部混合することが望ましい。0.01質量部未満では十分な粉砕助剤効果が得られず、1質量部を超えると得られたセメントの強度、凝結等の品質に悪影響を与える。
上記試料を粉砕助剤として使用できるセメントクリンカの種類は特に限定されるものではなく、JISR5210「ポルトランドセメント」に規定の普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩の各ポルトランドセメントのクリンカ、また、それら以外にも白色セメント、アルミナセメント等のセメントクリンカにも適用できる。さらに、通常のセメント製造時だけでなく、仕上げミルにおいて高炉スラグ、フライアッシュ等の混合材を同時混合して、混合セメントを製造する場合にも適用できる。
以下、実施例を挙げて、本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(1)使用材料
粉砕助剤として、プロピレングリコール濃度40%、絶対粘度270mPa・sの回収不凍液を用いた。比較用として、凝集沈殿処理をした回収不凍液、ジエチレングリコールも含めた。また、セメントクリンカは太平洋セメント(株)製、石膏には火力発電所で回収された排脱二水石膏を用いた。
(2)セメントの調製及び評価
セメントクリンカの粉砕は、3kg/バッチのボールミルにより行った。5mm以下に粗粉砕した普通ポルトランドセメントクリンカ3kg、及び出来上がりのセメントのSO量が2.0質量%となるように計算された量の石膏を、上記ボールミルに投入し、目標ブレーン比表面積が3200±100cm/gとなるように粉砕し、セメントを調製した。この時、目標ブレーン比表面積に到達するまでの粉砕時間(分)を記録した。試料の添加量は、クリンカ100質量部に対して、各々0.02質量部とした。
比較例として、粉砕助剤として一般に使用されているジエチレングリコールをセメントクリンカ100質量部に対して0.02質量部添加した場合で、実施例と同様の方法でセメントクリンカを粉砕し、セメントを調製した。
Figure 2010105848
表2から明らかなように、上記試料を添加してセメントクリンカを粉砕した実験例2は、粉砕助剤に凝集沈殿処理も行なった実験例3と比較して、粉砕時間、凝結、偽凝結、圧縮強度共に遜色なく、粉砕助剤の効果が確認された。このことから、上記試料は粉砕助剤の代替として使用可能であることがわかる。
本発明を実施すれば、航空機用の防氷剤、除氷剤、滑走路用の凍結防止剤、融雪剤等の撒布用不凍液を安価で効率的に処理し、その粘性を低下させ、又、効果的にセメントクリンカの粉砕助剤として再利用が可能となる。
回収不凍液とジエチレングリコール、水、絶対粘度の異なる他の回収不凍液を混合して得られた混合液体の絶対粘度を示す説明図である。 絶対粘度の異なる回収不凍液とジエチレングリコールを混合して得られた液体の粘度を示す説明図である。

Claims (3)

  1. プロピレングリコールを10〜60質量%含む撒布用不凍液を回収し、
    前記回収液100質量部に、ジエチレングリコールを、40〜400質量部を添加して、
    添加後の前回収液の粘度測定を絶対粘度計でおこない、その測定値が、100mPa・s以下であるように調製して得られる、セメントクリンカの粉剤助剤。
  2. プロピレングリコールを30〜60質量%含む撒布用不凍液を回収し、
    前回収液に、水を添加して、プロピレングリコール量を10〜30質量%として、更に、前記水添加後の回収液100質量部に、ジエチレングリコールを、40〜200質量部を添加して、
    添加後の前回収液の粘度測定を絶対粘度計でおこない、その測定値が、100mPa・s以下であるように調製して得られる、セメントクリンカの粉剤助剤。
  3. 請求項1又は請求項2記載の粉剤助剤を、セメントクリンカ100質量部に対して、0.01〜1質量部添加することを特徴とする撒布用不凍液の再資源化方法。
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