JP2010103313A - Rfid用磁気シート及びその製造方法、ならびに前記rfid用磁気シートを用いたrfidデバイス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に、RFIDデバイスを薄型化でき且つ最大通信距離を大きくできるRFID用磁気シート及びそれを用いたRFIDデバイス等を提供することを目的とする。
【解決手段】 RFIDタグ2と、金属部材3との間に挿入されるRFID用磁気シート4において、マトリクス材12と、扁平状磁性粉末11とを有しており、前記扁平状磁性粉末11はシート全体にほぼ一定の充填密度で含有されており、前記扁平状磁性粉末11のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度が、前記金属部材3側に比べて前記RFIDタグ2側で大きくなっている。
【選択図】 図2
【解決手段】 RFIDタグ2と、金属部材3との間に挿入されるRFID用磁気シート4において、マトリクス材12と、扁平状磁性粉末11とを有しており、前記扁平状磁性粉末11はシート全体にほぼ一定の充填密度で含有されており、前記扁平状磁性粉末11のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度が、前記金属部材3側に比べて前記RFIDタグ2側で大きくなっている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、RFIDタグと、金属部材との間に挿入されるRFID用磁気シートに関する。
RFID(Radio Frequency ID)タグの需要は、非接触ICカードの普及や携帯電話等への搭載により拡大している。
前記RFIDタグは、情報を記録するICカードと、金属製のアンテナを備え、リーダライタとの間で無線通信を可能としている。
ところで、前記RFIDタグの近傍に金属がある場合、前記リーダライタからの磁界により前記金属に渦電流が生じ、前記渦電流による反磁界が、無線通信に必要な磁界をキャンセルしてしまう問題があった。
よって上記した問題を解決すべく、磁気シートを、前記金属と、前記RFIDタグとの間に挿入すると、磁気シートが前記リーダライタからの磁束をRFIDタグ側に引き寄せて、リーダライタのアンテナとRFIDタグのアンテナ間に磁束を貫通させることができ、前記RFIDタグのアンテナにて受信した信号出力の減衰量を小さくできRFID特性の向上を図ることが可能になる。
特開2005−80023号公報
特開2007−295557号公報
特開2001−331772号公報
特開2006−032929号公報
特開2007−304910号公報
従来では、上記した信号出力の減衰量を小さくするには、RFID用磁気シートの、シート面内方向における複素比透磁率の実数部μ´を高めることが重要とされていた。
しかしながら、上記RFID用磁気シートをRFIDタグ(ICカード)と金属部材との間に挿入したRFIDデバイスの共振周波数は、RFIDタグ(ICカード)単体での共振周波数からずれることがわかった。この結果、前記RFIDデバイスにおける最大通信距離は、RFIDタグ単体での最大通信距離に比べて小さくなった。
ここで、RFIDデバイスにおける共振周波数と最大通信距離との関係は一般的に図9のように示される。なお図9では、RFIDタグ(ICカード)単体での共振周波数が13.56MHzであると仮定したときの最大通信距離曲線を示している。図9に示すように共振周波数が13.56MHzから離れると、通信距離(communication distance)は徐々に低下する。
共振周波数ずれは、RFID用磁気シートの前記複素比透磁率の実数部μ´を高めることで、大きくなった。共振周波数ずれは、RFIDタグと磁気シート間の距離によっても変化し、RFIDタグと磁気シート間の距離を離すことで小さくすることができる。
しかしながら、RFIDタグと磁気シート間の距離を離せば、当然に、RFIDデバイスの薄型化を図ることができなくなった。
したがって従来では、RFIDタグ、金属部材、及び磁気シートを備えるRFIDデバイスを薄型化するとともに最大通信距離を大きくことができなかった。
上記した各特許文献に記載された発明は、RFIDデバイスを薄型化するとともに最大通信距離を大きくすることを従来課題とせず、当然にそれを解決する手段は開示されていない。
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、RFIDデバイスを薄型化でき且つ最大通信距離を大きくできるRFID用磁気シート及びそれを用いたRFIDデバイスを提供することを目的とする。
また本発明は、扁平状磁性粉末をRFIDタグ側(製造段階での最下層側)にて斜めに配向させやすくでき、RFIDタグ側と金属部材側(製造段階での最上層側)での扁平状磁性粉末の配向性を簡単且つ適切に調整することが可能なRFID用磁気シートの製造方法及びRFIDデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、RFIDタグと、金属部材との間に挿入されるRFID用磁気シートにおいて、
マトリクス材と、扁平状磁性粉末とを有しており、
前記扁平状磁性粉末はシート全体にほぼ一定の充填密度で含有されており、
前記扁平状磁性粉末のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度が、前記金属部材側に比べて前記RFIDタグ側で大きくなっていることを特徴とするものである。
マトリクス材と、扁平状磁性粉末とを有しており、
前記扁平状磁性粉末はシート全体にほぼ一定の充填密度で含有されており、
前記扁平状磁性粉末のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度が、前記金属部材側に比べて前記RFIDタグ側で大きくなっていることを特徴とするものである。
本発明のRFID用磁気シートは、扁平状磁性粉末のRFIDタグ側での平均傾斜角度が、前記金属部材側に比べて大きくなっている。このため、シート面内方向における複素比透磁率の実数部μ´は、前記金属部材側に比べて前記RFIDタグ側で低くなる。
このように本発明では、RFID用磁気シートの前記複素比透磁率の実数部μ´を、RFIDタグ側で低く、金属部材側で高くしている。
そして本発明の磁気シートでは、信号出力の減衰量に関するRFID特性を従来と同等にできるとともに、RFIDデバイスとしたときの共振周波数ずれを従来に比べて小さくできる。したがって、本発明のRFID用磁気シートを用いれば、RFIDデバイスの薄型化を促進できるとともに、最大通信距離を大きくすることが可能である。
本発明では、前記RFIDタグ側での前記扁平状磁性粉末は全体的に、斜めに配向されていることが好ましい。これにより、RFIDタグを構成するアンテナと対向する領域での複素比透磁率の実数部μ´を確実に低くできる。したがって、アンテナのインダクタンス変化を効果的に小さくできるため、共振周波数ずれをより効果的に小さくできる。
また本発明では、前記扁平状磁性粉末は、組成式がFe100-a-b-x-y-z-w-tMaNibCrxPyCzBwSit(0≦a≦5at%、0≦b≦10at%、0≦x≦8at%、6≦y≦13at%、2≦z≦12at%、0≦w≦5at%、0≦t≦4at%)で示されることが好ましい。ただし、元素MはSn、In、Zn、Ga及びAlからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素である。
また本発明におけるRFIDデバイスは、RFIDタグと、金属部材と、前記RFIDタグと前記金属部材との間に挿入された請求項1ないし3のいずれかに記載されたRFID用磁気シートとを有して構成されることを特徴とするものである。
本発明のRFIDデバイスによれば、薄型化を促進できるとともに、最大通信距離を大きくすることが可能である。
また本発明におけるRFID用磁気シートの製造方法は、ドクターブレード法を用いて、基材上に、マトリクス材と扁平状磁性粉末とを有して成る混合液を複数層、積層してシート化し、このとき、最下層を硬化させた後に、2層目以降を連続して積層することを特徴とするものである。
これにより、前記扁平状磁性粉末を、シート全体にほぼ一定の充填密度で含有できる。
これにより、前記扁平状磁性粉末を、シート全体にほぼ一定の充填密度で含有できる。
さらに、最下層を硬化させた後に、2層目を積層することで、最下層での扁平状磁性粉末のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度を、最上層側に比べて簡単且つ適切に大きくできる。
本発明では、組成式がFe100-a-b-x-y-z-w-tMaNibCrxPyCzBwSit(0≦a≦5at%、0≦b≦10at%、0≦x≦8at%、6≦y≦13at%、2≦z≦12at%、0≦w≦5at%、0≦t≦4at%)で示される前記扁平状磁性粉末を用いることが好ましい。ただし、元素MはSn、In、Zn、Ga及びAlからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素である。
また本発明におけるRFIDデバイスの製造方法は、上記に記載されたRFID用磁気シートを、RFIDタグと、金属部材の間に挿入するとき、前記最下層側をRFIDタグ側として組み込むことを特徴とするものである。
本発明の磁気シートは、信号出力の減衰量に関するRFID特性を従来と同等にできる。そして、上記のように磁気シートをRFIDデバイスに組み込むことで、RFIDデバイスの共振周波数ずれを小さくでき、薄型化を促進できるとともに、最大通信距離を大きくすることが可能である。
本発明のRFID用磁気シートを用いれば、RFIDデバイスの薄型化を促進できるとともに、最大通信距離を大きくすることが可能である。
また本発明のRFID用磁気シートの製造方法によれば、最下層での扁平状磁性粉末のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度を、最上層側に比べて簡単且つ適切に大きくできる。
図1は、本実施形態におけるRFIDデバイス及びリーダライタの模式図である。
図1に示すようにRFID(Radio Frequency ID)デバイス1は、アンテナ及びICチップを備えるRFIDタグ2と、金属部材3と、RFIDタグ2と金属部材3との間に挿入された本実施形態のRFID用磁気シート4とを有して構成される。
図1に示すようにRFID(Radio Frequency ID)デバイス1は、アンテナ及びICチップを備えるRFIDタグ2と、金属部材3と、RFIDタグ2と金属部材3との間に挿入された本実施形態のRFID用磁気シート4とを有して構成される。
RFIDタグ2は、基板上にアンテナ及びICチップが形成された形態である。
金属部材3は例えば筐体の一部を成しており、Al、Ti、Cr等で形成される。金属部材3の膜厚は、0.05〜0.5mm程度である。
金属部材3は例えば筐体の一部を成しており、Al、Ti、Cr等で形成される。金属部材3の膜厚は、0.05〜0.5mm程度である。
本実施形態では、図1に示すように、RFID用磁気シート4をRFIDタグ2と金属部材3との間に挿入することで、リーダライタ10からの磁束HがRFID用磁気シート4内を通り、RFIDデバイス1とリーダライタ10との間で還流磁束が形成される。この結果、RFIDタグ2のアンテナにて受信した信号出力の減衰量を小さくでき、RFID特性の向上を効果的に図ることができる。また、本実施形態では、RFIDデバイス1とリーダライタ10間の最大通信距離L1の範囲を効果的に広げることができ、適切に無線通信を行うことが可能である。
RFID用磁気シート4は、図2に示すように、扁平状磁性粉末11とマトリクス材12とを含んで構成される。マトリクス材としては、シリコーン樹脂、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、ポリエチレン、アクリル樹脂、エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマ(EPDM)、クロロプレン、ポリウレタン、塩化ビニル、飽和ポリエステル、ニトリル樹脂等を選択できる。また、リン酸エステル、赤燐、三酸化アンチモン、カーボンブラック、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ヘキサブロモベンゼン、メラミン誘導体、臭素系、塩素系、白金系等の難燃剤を添加してもよい。
本実施形態における扁平状磁性粉末11は、例えば、組成式がFe100-a-b-x-y-z-w-tMaNibCrxPyCzBwSit(0≦a≦5at%、0≦b≦10at%、0≦x≦8at%、6≦y≦13at%、2≦z≦12at%、0≦w≦5at%、0≦t≦4at%)で示されることが好適である。ただし、元素MはSn、In、Zn、Ga及びAlからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素である。
構成元素の中でFe量が最も高い組成比(100−a−b−x−y−z−w−t)である。これにより高い飽和磁化(σs)を示す。また非晶質形成能の程度を示す換算ガラス化温度(Tg/Tm)を適度な大きさに調整できる。
次に、元素Mは、上記した機械的強度の調整に寄与するとともに、Niとの同時添加によりガラス遷移温度(Tg)、結晶化開始温度(Tx)、融点(Tm)を低下させることが出来るため、必要に応じ適宜添加される。元素Mの組成比aは非晶質状態の形成等を考慮して0at%以上5at%以下であることが好適である。
上記した効果を適切に得るためには元素MにはSnを選択することがより好ましい。また元素Mの組成比aは、1at%〜3at%の範囲内であることがより好ましく、1.5at%〜2.5at%の範囲内であることが更に好ましい。
NiはFeとの置換によりTg、Txを低下させる役割を担う。Niの組成比bは、0〜10at%の範囲内であることが好ましい。Tmも低下できるが、Niの組成比bが6at%を越えるとTmが増加する傾向にあるため、Niの組成比bは3〜6at%の範囲内であることがより好ましい。
Crの組成比xは、0〜8at%としたが、熱的安定性は1〜8at%であることが好ましく、また合金の耐食性を考慮すると2at%以上であることが好ましく、4at%以上であると塩水に浸漬させても問題が無い。なおCrの組成比xが8at%を超えるとTm、Tgが上昇するので8at%以下が好適である。
Pの組成比yは、Fe−P−C(Fe79.4P10.8C9.8)の三元合金の共晶組成付近であることが好ましいことを考慮して、6〜13at%、特に6〜11at%であることが好適である。
またCの組成比zは、Fe−P−C(Fe79.4P10.8C9.8)の三元合金の共晶組成付近であることが好ましいことを考慮して、2〜12at%、特に6〜11at%であることが好適である。
次にBの組成比wは、B量の増加により、Tg、Tx、Tmが上昇することを考慮して、0〜5at%、特に0〜2at%であることが好適である。
次にSiの組成比tは、Si量の増加によりTg/Tm、Tx、Tmが低下することを考慮して、0〜4at%、特に0〜2at%であることが好適である。
本実施形態では上記組成式からなる扁平状磁性粉末11は、ガラス遷移温度(Tg)を659〜723K、結晶化開始温度(Tx)を662〜755で、Tg/Tm(Tmは融点)≧0.513、Tx/Tm≧0.527に出来る。
これにより扁平状磁性粉末11の非晶質化を促進でき、また、RFID用磁気シート4を形成する際に低アニール処理を行うことが可能である。
本発明においては、上記した扁平粉末の他、Fe−Ni合金(パーマロイ)、Fe−Si−Al合金であってもよい。
扁平状磁性粉末11の平均粒径(D50)は、概ね55〜65μmであることが好ましい。ここでD50とは、累積50%粒径(メジアン粒径)である。また平均粒径は、扁平状磁性粉末11の長辺と短辺との平均で求められる。
また、扁平状磁性粉末11のアスペクト比(縦横比)は、35〜70であることが好ましい。
RFID用磁気シート4に含まれる扁平状磁性粉末11の含有量は、30〜70体積%の範囲内であることが好ましい。これにより所望のシート特性を得ることが出来る。
図2に示すように、本実施形態では、扁平状磁性粉末11は磁気シート4の全体にほぼ一定の充填密度で含有されている。
さらに図2に示すように本実施形態では、扁平状磁性粉末11のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度が、金属部材3側に比べてRFIDタグ2側で大きくなっている。ここで「平均傾斜角度」とは、複数個の扁平状磁性粉末11の傾斜角度を平均したものである。また、「金属部材3側」とは、図2のように磁気シート4の膜厚がT1であるとき、金属部材3との対向面3aからRFIDタグ2方向へ膜厚T1の1〜50%の範囲内で規定される。また、「RFIDタグ2」側とは、図2のように磁気シート4の膜厚がT1であるとき、RFIDタグ2との対向面3bから金属部材3方向へ膜厚T1の1〜50%の範囲内で規定される。
RFID用磁気シート4の膜厚T1は、50〜200μm程度である。また、前記RFIDタグ2側での扁平状磁性粉末11の平均傾斜角度θ1は、±30°程度であり、前記金属部材3側での扁平状磁性粉末11の平均傾斜角度θ2は、±10°程度である。
図2のように、RFIDタグ2側での扁平状磁性粉末11は全体的に、斜めに配向されている。しかもRFIDタグ2側での扁平状磁性粉末11は、ランダムな配向となっており、決まった方向へ配向されていない。すなわち図2に示すように扁平状磁性粉末11には右肩上がりの斜め配向のものや右肩下がりの斜め配向のもの等があり、ランダムな配向をしている。
上記したように、本実施形態のRFID用磁気シート4は、扁平状磁性粉末11のRFIDタグ側での平均傾斜角度が、金属部材3側に比べて大きくなっている。このため、シート面内方向における複素比透磁率の実数部μ´は、金属部材3側に比べて前記RFIDタグ2側で低くなる。
このように本実施形態では、RFID用磁気シート4の前記複素比透磁率の実数部μ´を、RFIDタグ2側で低く、金属部材3側で高くしている。
このように磁気シートには低μ´領域だけでなく、金属部材側に高μ´領域も存在するため、前記複素比透磁率の実数部μ´は磁気シート全体としてある程度の大きさを保っている。
本実施形態において磁気シート全体としての前記複素比透磁率の実数部μ´は、60〜80程度であり、低μ´領域は、10〜30程度であり、高μ´領域は、80〜95程度である。
そして、信号出力の減衰量に関するRFID特性については、後述の図7の実験するように、前記複素比透磁率の実数部μ´をシート全体にて高くした従来例の磁気シートと比べて大差ないことがわかった。
そして後述する図8の実験に示すように、本発明のRFID用磁気シートをRFID用タグと金属部材の間に組み込んだRFID用デバイス(後述の図8の実験では、RFIDタグと磁気シートとを密着させている)であれば、RFIDタグ単体での共振周波数に対する共振周波数ずれを、前記複素比透磁率の実数部μ´をシート全体にて高くした従来例の磁気シートを備えるRFID用デバイスに比べて、小さくすることが可能となる。
ところで、図9に示す最大通信距離曲線(RFIDタグ単体の共振周波数を13.56MHzとしたときのグラフ)は、磁気シート4のシート全体における前記複素比透磁率の実数部μ´が変化することでグラフ上を上下移動する。図9の点線に示すように前記複素比透磁率の実数部μ´が小さくなると、最大通信距離曲線はグラフ上を図示下方向に移動しやすくなると考えられる。すなわちRFIDデバイス1の共振周波数が一定であると仮定すれば、前記複素比透磁率の実数部μ´が大きいほど、最大通信距離を大きくできると考えられる。
しかしながら後述の図8で説明するように、単に、前記複素比透磁率の実数部μ´を大きくした従来例では、前記共振周波数ずれが非常に大きくなり、図9に示すように、最大通信距離は、急激に低下してしまう。このように、単に、前記複素比透磁率の実数部μ´を大きくしただけでは、前記共振周波数ずれが大きくなる結果、最大通信距離を適切に大きくできないことがわかった(例えば図9の矢印(1)の位置が従来例)。
これに対して本実施形態では、前記複素比透磁率の実数部μ´が従来と同程度か、あるいは前記複素比透磁率の実数部μ´が多少低下したとしても、前記共振周波数ずれを従来に比べて効果的に小さくすることができ、従来に比べて最大通信距離を大きくすることができる(例えば図9の矢印(2)の位置が本実施形態)。
このように本実施形態において、共振周波数ずれを小さくできるのは、磁気シート4の低μ´領域をRFIDタグ2側に形成したことで、RFIDタグ2のアンテナのインダクタンス変化を小さくできるためと考えられる。
共振周波数ずれを小さくするには、RFIDタグと磁気シート間を離せばよい。したがって従来例で本実施形態と同様に共振周波数ずれを小さくするには、RFIDタグと磁気シート間を本実施形態より大きくしなければならず、したがってRFIDデバイスの薄型化を実現できない。
以上のように、本実施形態の磁気シート4では、信号出力の減衰量に関するRFID特性を従来と同等にできるとともに、RFIDデバイス1における共振周波数ずれを従来に比べて小さくできる。したがって、本実施形態のRFID用磁気シート4を用いれば、RFIDデバイス1の薄型化を促進できるとともに、最大通信距離L1を大きくすることが可能である。なお、RFIDタグ2や金属部材3の厚さ変更等により一概に規定することはできないが、例えば、RFIDデバイス1の厚みを、200〜300μm程度にできる。
本実施形態では図2に示すように、RFIDタグ2側での扁平状磁性粉末11は全体的に、斜めにしかもランダムに配向されている。これにより、RFIDタグ2を構成するアンテナと対向する領域での複素比透磁率の実数部μ´を確実に低くできる。したがって、アンテナのインダクタンス変化を効果的に小さくできるため、共振周波数ずれをより効果的に小さくできる。
続いて、磁気シート4の製造方法について説明する。
まず水アトマイズ法により磁性粉末を作製する。なお水アトマイズ法に限定されず、ガスアトマイズ法、上記合金溶湯から急冷したリボンを粉砕して粉末化する液体急冷法等を用いてもよい。また水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、液体急冷法の処理条件については、原料の種類に応じて通常行われる条件を用いることが出来る。
まず水アトマイズ法により磁性粉末を作製する。なお水アトマイズ法に限定されず、ガスアトマイズ法、上記合金溶湯から急冷したリボンを粉砕して粉末化する液体急冷法等を用いてもよい。また水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、液体急冷法の処理条件については、原料の種類に応じて通常行われる条件を用いることが出来る。
そして得られた磁性粉末を分級して粒度を揃えた後に、アトライタ等の装置を用いて磁性粉末を扁平加工する。なお必要に応じて、内部応力を緩和させる目的でアニール処理を施してもよい。
次に、磁気シートを構成するマトリクス材12と、扁平状磁性粉末11とを有して成る混合液(スラリー)20を、図3(a)に示すドクターブレード装置21内に供給し、基材(キャリアテープ)22を引きながら、ブレード23により混合液20を所定厚さで成膜する。
本実施形態では、ドクターブレード法を用いて、前記混合液を、複数層、積層してシート化する。例えば各層の膜厚は25〜70μm程度で、シート全体の膜厚は50〜300μm程度である。このとき図3(a)に示す最下層24をほぼ完全に硬化させた後に2層目を積層する。
最下層24を硬化させるには、例えば成膜時における装置内温度を50℃±3℃程度に設定して成膜し、その後1日かけて最下層24を乾燥させる。
このように最下層24を硬化させると、図3(b)の拡大模式図に示すように、最下層24の表面24aの起伏が大きくなり、最下層24に含まれる扁平状磁性粉末11は、全体的に、シート面内方向から厚さ方向に向けて斜めに配向しやすくなる(シート面内方向への配向性が低下する)。なお、扁平状磁性粉末11は全体的にランダムな配向となる。
これに対して、後述の実験に示すように、最下層(1層目)上に2層目を成膜するとき、最下層を硬化させずに2層目を成膜すると、1層目と2層目とが融合しやすくなり、各層に含まれる扁平状磁性粉末11は、シート面内方向に配向しやすくなる。
本実施形態では1層目を硬化させた後、2層目以降をドクターブレード法により成膜する。なお最下層24上にさらに2層以上積層する場合には、各層を硬化させずに(仮乾燥程度)、次の層を成膜していく。
最終的に基材22を除去するか残しておくかは任意である。基材22を残した場合、磁気シート4をRFIDデバイス1に組み込んだとき、基材22の厚さ分だけ前記磁気シート4とRFIDタグ2の間にギャップを確保できる。RFIDデバイス1の更なる薄型化には前記基材22の厚み分も無いほうが好ましいが、磁気シート4とRFIDタグ2間に多少、ギャップを設け、RFIDデバイス1の共振周波数ずれをより小さくしたい場合には、前記基材22によりギャップを簡単に設けることも出来る。ギャップ厚の調整は基材22の厚みの調整で簡単に行うことが出来る。
本実施形態の磁気シート4の製造方法によれば、磁気シート4に含まれる扁平状磁性粉末11を、シート全体にほぼ一定の充填密度で含有できる。さらに、最下層24を硬化させた後に、2層目を積層することで、最下層24での扁平状磁性粉末11のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度を、最上層25側に比べて簡単且つ適切に大きくできる。
そして、上記により形成された磁気シート4を、RFIDタグ2と、金属部材3の間に挿入するとき、前記最下層24側をRFIDタグ2側として組み込む。
本実施形態の磁気シート4は、信号出力の減衰量に関するRFID特性を従来と同等にできる。そして、上記のように磁気シート4をRFIDデバイス1に組み込むことで、RFIDデバイス1の共振周波数ずれを小さくでき、薄型化を促進できるとともに、最大通信距離を大きくすることが可能である。
以下の2種類の磁気シートを作製した。
(従来例)
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ50μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
(従来例)
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ50μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
従来例では、装置内温度を42℃±3℃程度として、各層を成膜した。また1層目を約45分かけて成膜し、続いて、40〜60分程度かけて、キャリアテープを巻き戻し、続いて、約45分かけて、2層目を成膜した。3層目、4層目も上記と同様の条件で成膜した。
(実施例)
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ50μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ50μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
実施例では、装置内温度を50℃±3℃程度として、まず1層目(最下層24)を成膜した。その後最下層24を約1日かけて乾燥し、最下層24をほぼ完全に硬化させた。
続いて、装置内温度を42℃±3℃程度に設定して、2層目を、約45分かけて成膜し、続いて、40〜60分程度かけて、キャリアテープを巻き戻した。3層目、4層目も2層目と同様の条件で成膜した。
従来例及び実施例の各磁気シートを膜厚方向へ切断した断面の走査電子顕微鏡写真(SEM写真)を図4、図5に示す。図4は従来例の磁気シートのSEM写真であり、図4(b)は図4(a)に示す四角で囲った部分の拡大写真である。図5は実施例の磁気シートのSEM写真であり、図5(b)は、図5(a)に示す四角で囲った部分の拡大写真である。図4(b)及び図5(b)は、ともに最下層付近を拡大したものである。
図4に示す従来例の磁気シートに含まれる扁平状磁性粉末は、シート全体にて、ほぼシート面内方向に配向していることがわかった。
一方、図5に示す実施例の磁気シートに含まれる扁平状磁性粉末は、最上層側に比べて最下層側で斜め方向(シート面内方向から厚さ方向に向けて傾く方向)への配向性が強くなっていることがわかった。そして、実施例では、扁平状磁性粉末のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度が、最上層側に比べて最下層側で大きくなっていることがわかった。
本実施例の磁気シートの製造方法では、最下層を硬化(乾燥)させた後に、2層目以降を成膜する。よって従来例の磁気シートのように最下層(1層目)と2層目とが融合しにくく、この結果、最下層側で空隙が多く見られ、扁平状磁性粉末が斜め方向に配向しやすくなる。
続いて、上記した従来例と同様の製造方法で形成した2つの磁気シート(従来例1,2)を形成し、また上記した実施例と同様の製造方法で形成した4つの磁気シート(実施例1〜4)を形成した。
下記の表1に示す実施例1の膜厚は、171μm、実施例2の膜厚は、188μm、実施例3の膜厚は192μm、実施例4の膜厚は194μm、従来例1の膜厚は170μm、従来例2の膜厚は187μmであった。
まず、実験では、実施例1〜4、及び従来例1,2のシート特性として複素比透磁率の実数部μ´と複素比透磁率の虚数部μ″を測定した。
次に各磁気シートが設置されたRFIDデバイスのRFID特性を、図6に示す装置を用いて測定した。図6のように、RFIDデバイスと、リーダライタ間を30mmとし、図1に示す金属部材3を設けたときと、設けないときの受信信号の出力を求めた。
なお実施例1〜4及び従来例1,2ともに、磁気シートの最下層側をRFIDタグ側として、磁気シートをRFIDタグと金属部材間に挿入した。その結果が表1の「Without metal」欄と「on metal」欄に夫々記載されている。また表1には受信信号の減衰量が「Attenuation Level」欄に記載されている。減衰量は、「Without metal」欄の出力から「on metal」欄の出力を引いたものである。
図7は、各試料の受信信号の減衰量とシート全体としての複素比透磁率の実数部μ´及び複素比透磁率の虚数部μ″の関係を示すグラフである。
実施例1の前記複素比透磁率の実数部μ´は、従来例1よりも大きく、従来例2よりも低くなり、実施例2〜4の前記複素比透磁率の実数部μ´は、従来例1,2に比べて、低くなることがわかった。
上記図4で示したように、従来例1,2の磁気シートでは、全体的に、扁平状磁性粉末が、シート面内方向に配向しやすく、その結果、膜厚方向への全域にて、複素比透磁率の実数部μ´が高くなっている。
また、実施例1〜4の磁気シートでも金属部材側(最上層側)での扁平状磁性粉末はシート面内方向に配向しやすく、このため複素比透磁率の実数部μ´が金属部材側で高くなっている。
一方、実施例1〜4の磁気シートでは、RFIDタグ側(最下層側)で扁平状磁性粉末が図5のように斜め方向に配向され、このため複素比透磁率の実数部μ´がRFIDタグ側で低くなっている。このため、従来例と実施例において同じ混合液を用いて磁気シートを作製しても、実施例における磁気シート全体としての複素比透磁率の実数部μ´は、従来例1,2よりも低くなりやすい。
従来、複素比透磁率の実数部μ´を高くすることで、受信信号の減衰量を小さくできRFID特性を向上できるものと考えられた。
しかしながら図7に示すように実施例1は、従来例2に比べて、実施例2〜4は従来例1,2に比べて、前記複素比透磁率の実数部μ´が低いが、実施例1〜4及び従来例1,2における受信信号の減衰量はさほど大差ないことがわかった。これはリーダライタからRFIDデバイスに及ぼす磁束の方向性がシート面内方向のみならず斜め成分等も存在するため、実施例における扁平状磁性粉末が斜め配向された低μ´領域でも、ある程度、前記磁束を引き寄せる能力を備えており、また本実施例でも扁平状磁性粉末がシート面内方向に配向された高μ´領域が存在するので、磁気シート全体として見ると、実施例と従来例との受信信号の減衰量にさほど大きな差が無くなるものと考えられる。しかし、後述するようにRFIDタグの共振周波数が従来例の磁気シートでは合わないために、結果的に最大通信距離には実施例よりも短くなってしまう。
このことを説明するため、以下の実施例及び従来例の磁気シートを製造した。
(実施例)
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ40μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
(実施例)
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ40μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
実施例では、装置内温度を50℃±3℃程度として、まず1層目(最下層24)を成膜した。その後最下層24を約1日かけて乾燥した。
続いて、装置内温度を42℃±3℃程度に設定して、2層目を、約45分かけて成膜し、続いて、40〜60分程度かけて、キャリアテープを巻き戻した。3層目、4層目も2層目と同様の条件で成膜した。
実施例での全シート厚は153μmであった。また磁気シートの最下層側での複素比透磁率の実数部μ´は21であり、最上層側での複素比透磁率の実数部μ´は85であり、シート全域にて平均化した複素比透磁率の実数部μ´は69であった。
(従来例)
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ40μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
ドクターブレード法を用いて、基材(キャリアテープ)上に、マトリクス材として塩素化ポリエチレンと、扁平状磁性粉末としてFe69.9Cr4Ni6P9.8C7.3B2Si1からなる非晶質磁性合金とを有して成る混合液を4層積層してシート化した。このとき各層の膜厚がほぼ40μmとなるように成膜した。また、扁平状磁性粉末の固形成分中に占める含有量を40体積%とした。
従来例では、装置内温度を42℃±3℃程度として、各層を成膜した。また1層目を約45分かけて成膜し、続いて、40〜60分程度かけて、キャリアテープを巻き戻し、続いて、約45分かけて、2層目を成膜した。3層目、4層目も上記と同様の条件で成膜した。
従来例での全シート厚は167μmであった。また磁気シートの複素比透磁率の実数部μ´は低領域で74、高領域で85であり、シート全域にて平均化した複素比透磁率の実数部μ´は83であった。
実験では、まずRFIDタグ(ICカード)単体での共振周波数及び最大通信距離を測定した。RFIDタグとしては、フェリカ(Felica;登録商標)を使用した。最大通信距離の測定は、リーダライタからRFIDタグを徐々に離していき、タグを検知できる最大のリーダライタ/RFIDタグ間隔を「最大通信距離」と規定した。
また実施例の磁気シートを、RFIDタグと金属部材(材質はアルミニウム)の間に挿入し、このとき磁気シートの最下層側をRFIDタグ側として組み込んだ。またこのとき、磁気シートとRFIDタグとを密着させた。
また従来例の磁気シートを、RFIDタグと金属部材(材質はアルミニウム)の間に挿入し、このとき磁気シートの最下層側をRFIDタグ側として組み込んだ。また、磁気シートとRFIDタグとを密着させた。
そして、上記したRFIDタグ(ICカード)単体での実験と同様に、共振周波数及び最大通信距離を測定した。その実験結果が図8に示されている。
図8に示すように、RFIDタグ単体での共振周波数に対するRFIDデバイスの共振周波数ずれは、実施例のほうが従来例に比べて小さくなることがわかった。これは、実施例では、磁気シートの低μ´領域をRFIDタグ側に対向させ、RFIDタグを構成するアンテナのインダクタンス変化を従来例より小さくできたからである。
そして、その結果、図8に示すように実施例のほうが従来例に比べて最大通信距離を大きくすることができた。
上記したように図8の実験では、RFIDタグと磁気シートとを密着させているが、共振周波数ずれを小さくするには、RFIDタグと磁気シート間を離せばよい。したがって従来例で実施例と同様の共振周波数ずれに設定するには、RFIDタグと磁気シート間を実施例より大きくしなければならず、RFIDデバイスの薄型化を実現できない。一方、図8に示すように、RFIDタグと磁気シート間の間隔を従来例及び実施例で同じに設定すれば、従来例での最大通信距離は実施例よりも小さくなる。
したがって実施例によれば、従来例に比べてRFIDデバイスの薄型化とともに、最大通信距離を大きくできることがわかった。
1 RFIDデバイス
2 RFIDタグ
3 金属部材
4 磁気シート
10 リーダライタ
11 扁平状磁性粉末
12 マトリクス材
20 混合液
21 ドクターブレード装置
22 基材
23 ブレード
24 最下層
25 最上層
2 RFIDタグ
3 金属部材
4 磁気シート
10 リーダライタ
11 扁平状磁性粉末
12 マトリクス材
20 混合液
21 ドクターブレード装置
22 基材
23 ブレード
24 最下層
25 最上層
Claims (7)
- RFIDタグと、金属部材との間に挿入されるRFID用磁気シートにおいて、
マトリクス材と、扁平状磁性粉末とを有しており、
前記扁平状磁性粉末はシート全体にほぼ一定の充填密度で含有されており、
前記扁平状磁性粉末のシート面内方向に対する厚さ方向への平均傾斜角度が、前記金属部材側に比べて前記RFIDタグ側で大きくなっていることを特徴とするRFID用磁気シート。 - 前記RFIDタグ側での前記扁平状磁性粉末は全体的に、斜めに配向されている請求項1記載のRFID用磁気シート。
- 前記扁平状磁性粉末は、組成式がFe100-a-b-x-y-z-w-tMaNibCrxPyCzBwSit(0≦a≦5at%、0≦b≦10at%、0≦x≦8at%、6≦y≦13at%、2≦z≦12at%、0≦w≦5at%、0≦t≦4at%。ただし、元素MはSn、In、Zn、Ga及びAlからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素である。)で示される請求項1又は2に記載のRFID用磁気シート。
- RFIDタグと、金属部材と、前記RFIDタグと前記金属部材との間に挿入された請求項1ないし3のいずれかに記載されたRFID用磁気シートとを有して構成されることを特徴とするRFIDデバイス。
- ドクターブレード法を用いて、基材上に、マトリクス材と扁平状磁性粉末とを有して成る混合液を複数層、積層してシート化し、このとき、最下層を硬化させた後に、2層目以降を連続して積層することを特徴とするRFID用磁気シートの製造方法。
- 組成式がFe100-a-b-x-y-z-w-tMaNibCrxPyCzBwSit(0≦a≦5at%、0≦b≦10at%、0≦x≦8at%、6≦y≦13at%、2≦z≦12at%、0≦w≦5at%、0≦t≦4at%。ただし、元素MはSn、In、Zn、Ga及びAlからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素である。)で示される前記扁平状磁性粉末を用いる請求項5記載のRFID用磁気シートの製造方法。
- 請求項5又は6に記載されたRFID用磁気シートを、RFIDタグと、金属部材の間に挿入するとき、前記最下層側をRFIDタグ側として組み込むことを特徴とするRFIDデバイスの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-10-23 JP JP2008273513A patent/JP2010103313A/ja not_active Withdrawn
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