JP2010101598A - ハイブリッド温水装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイオマス燃料で、燃焼排ガスから燃焼灰を効率よく分離でき、コンパクトな温水生成装置を提供する。
【解決手段】外殻ケーシング1と、上方に開放した有底縦筒状の燃焼室2と、燃焼室2の外周を取り巻く熱交換水路3と、燃焼室2内に配置したサイクロン式燃焼灰分離器4と、燃焼室2内の底部へ固形物燃料Fを送り込むスクリューフィーダーと、燃焼室2内に送り込まれた固形物燃料Fに着火させる重油バーナー6と、燃焼室2内への空気供給手段7と、下端開口部を排気流入口として上方から燃焼灰分離器4内の上部に突入配置した排気筒9と、燃焼灰分離器4の下部に連通する燃焼灰取出口10とを具備し、熱交換水路3に導入した低温水W1を燃焼室2及び燃焼排ガスG1との熱交換で昇温させて高温水W2として導出し、燃焼灰分離器4内で燃焼排ガスGから分離して落下する燃焼灰Sを燃焼灰取出口10から取り出す。
【選択図】図1
【解決手段】外殻ケーシング1と、上方に開放した有底縦筒状の燃焼室2と、燃焼室2の外周を取り巻く熱交換水路3と、燃焼室2内に配置したサイクロン式燃焼灰分離器4と、燃焼室2内の底部へ固形物燃料Fを送り込むスクリューフィーダーと、燃焼室2内に送り込まれた固形物燃料Fに着火させる重油バーナー6と、燃焼室2内への空気供給手段7と、下端開口部を排気流入口として上方から燃焼灰分離器4内の上部に突入配置した排気筒9と、燃焼灰分離器4の下部に連通する燃焼灰取出口10とを具備し、熱交換水路3に導入した低温水W1を燃焼室2及び燃焼排ガスG1との熱交換で昇温させて高温水W2として導出し、燃焼灰分離器4内で燃焼排ガスGから分離して落下する燃焼灰Sを燃焼灰取出口10から取り出す。
【選択図】図1
Description
本発明は、バイオマス燃料等の固形物燃料を燃焼させ、その燃焼熱による熱交換で導入される低温水を昇温させて高温水として導出するハイブリッド温水装置に関する。
近年、環境保全や省資源の観点から、化石燃料の代わりに木材や竹材の破砕チップ、木屑、鋸屑、穀物殻、果実殻、古紙、可燃ゴミ、これらの炭化物等をバイオマス燃料として用い、その燃焼熱を利用して水道水等の冷水から温水を生成させ、これを温室用や暖房用の熱源、ボイラー用水、浴用水等に利用することが盛んになっている。
一般的に、このようなバイオマス燃料を用いる温水装置では、燃焼室の内外に設けた熱交換水路に水道水等の冷水を導入して熱交換を行うが、バイオマス燃料の燃焼に伴って多量の灰が発生するため、燃焼排ガスを外部へ排出する排気管路(煙道)の途中にサイクロン型等の灰分離器やバグフィルターを介在させ、燃焼排ガスから燃焼灰を分離するようにしている(特許文献1,2)。
特開2007−178057号公報
特開2008−128175号公報
しかしながら、従来のこの種温水装置にあっては、前記のように燃焼排ガスの排気管路に介在させる灰分離器やバグフィルターのために大きな取付スペースを必要とし、それだけ装置全体として大型化するから、場所的な制約によって利用できない場合が少なからずあった。
本発明は、上述の事情に鑑みて、バイオマス燃料等の固形物燃料の燃焼熱を利用して温水を生成させる温水装置として、燃焼排ガスから燃焼灰を効率よく分離できる上、且つ装置全体が極めて機能的にコンパクトにまとまったハイブリッド型であり、小さい設置スペースで高能率の温水生成を行えるものを提供することを目的としている。
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係るハイブリッド温水装置は、外殻ケーシング1と、この外殻ケーシング1内に収容されて上方に開放した有底縦筒状の燃焼室2と、該燃焼室2の外周を取り巻く熱交換水路3と、該熱交換水路3に接続する低温水導入口3a及び高温水導出口3bと、燃焼室2内に配置したサイクロン式燃焼灰分離器4と、該燃焼室2内の底部へ固形物燃料Fを送り込む燃料供給手段(スクリューフィーダー5)と、該燃焼室2内に送り込まれた固形物燃料Fに着火させる着火手段(重油バーナー6)と、該燃焼室2内への空気供給手段7と、該燃焼室2の上方開口部20から前記燃焼灰分離器4の上方開口部4aへ至る燃焼排ガス通路8と、下端開口部を排気流入口として上方から燃焼灰分離器4内の上部に突入配置した排気筒9と、該燃焼灰分離器4の下部に連通する燃焼灰取出口10とを具備し、熱交換水路3に導入した低温水W1を燃焼室2の熱気及び燃焼排ガスG1との熱交換で昇温させて高温水W2として導出すると共に、燃焼灰分離器4内で燃焼排ガスGから分離して落下する燃焼灰Sを燃焼灰取出口10から取り出すように構成されてなる。
請求項2の発明は、上記請求項1のハイブリッド温水装置において、熱交換水路3が燃焼室2の外周を螺旋状に取り巻く熱交換パイプ31からなるものとしている。
請求項3の発明は、上記請求項1又は2のハイブリッド温水装置において、外殻ケーシング1と燃焼室2との間に、上端側を閉塞して下端側を開放した中間筒体11が配置し、該中間筒体11と燃焼室2の周壁2aとの間で環状熱交換室12が構成され、この環状熱交換室12内に熱交換水路3が配設されると共に、燃焼排ガス通路8が燃焼室2の上方開口部20から該環状熱交換室12内を下降し、次いで中間筒体11と外殻ケーシング1との間を上昇して燃焼灰分離器4の上方開口部4aへ至るように構成されてなる。
請求項4の発明は、上記請求項1〜3の何れかのハイブリッド温水装置において、燃焼灰分離器4の周壁40が内外二重に形成され、熱交換水路3が該二重周壁40の内部空間40aを経て高温水導出口3bに至るように構成されてなる。
請求項5の発明は、上記請求項1〜4の何れかのハイブリッド温水装置において、燃料供給手段5が固形物燃料Fを燃焼室2内の周辺側に向けて送り込むように設定されてなる。
請求項6の発明は、上記請求項1〜5の何れかのハイブリッド温水装置において、空気供給手段7が送風ファン70を備えると共に、該空気供給手段7の燃焼室2内への給気口7aの内側に、燃料供給手段(スクリューフィーダー5)の該燃焼室2内への燃料導入口5aが配置してなる構成としている。
請求項7の発明は、上記請求項1〜6の何れかのハイブリッド温水装置において、燃料供給手段がスクリューフィダー5からなり、このスクリューフィダー5の燃焼室2内への燃料導入口5aに、固形物燃料Fの送り圧力で上向き回動して開放し、且つ該固形物燃料Fの送り停止に伴って自重で閉止作動する自動開閉板50が設けられてなる構成としている。
請求項8の発明は、上記請求項1〜7の何れかのハイブリッド温水装置において、燃焼室2の少なくとも周壁2aが鉄材にて形成されると共に、着火手段が該燃焼室2内へ火炎を吹き込むバーナー6からなるものとしている。
請求項9の発明は、上記請求項1〜8の何れかのハイブリッド温水装置において、燃焼室2の内底部中央に受け筒13が立設され、該受け筒13内の下方側が燃焼灰取出口10に臨むと共に、燃焼灰分離器4の下部に下方へ垂下する灰排出筒43が一体形成され、該燃焼灰分離器4が灰排出筒43を受け筒13に挿嵌した状態で当該受け筒13に支承される構成としている。
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず請求項1の発明に係るハイブリッド温水装置によれば、燃料供給手段(スクリューフィーダー5)によってバイオマス燃料等の固形物燃料Fを燃焼室2内の底部へ送り込むと共に、空気供給手段7によって該燃焼室2内へ空気Aを供給して、燃焼室2内で固形物燃料Fを着火・燃焼させる一方、低温水導入口3aから水道水等の低温水W1を熱交換水路3へ導入することにより、該低温水W1が燃焼室2の熱気及び燃焼排ガスG1との熱交換で昇温し、高温水W2として高温水導出口3bから導出する。また、該燃焼室2内で発生した燃焼排ガスG1は、該燃焼室2の上方開口部20から燃焼排ガス通路8を経てサイクロン式燃焼灰分離器4内に上方から流入し、該燃焼灰分離器4内で反転して排気筒9下端の排気流入口に流入するが、この反転の際に付随していた燃焼灰Sが分離して当該燃焼灰分離器4内を落下するため、燃焼灰Sを殆ど含まない排ガスG2として排気筒9を通って外部へ排出される。そして、落下した燃焼灰Sは、燃焼灰分離器4内の下部に堆積し、燃焼灰取出口10より取り出される。
このようなハイブリッド温水装置では、サイクロン式燃焼灰分離器4が燃焼室2内に配置し、外部には該燃焼灰分離器4の取付スペースが不要である上、燃焼室2から該燃焼灰分離器4への燃焼排ガス通路8も外殻ケーシング1の内側に構成でき、もって装置全体が極めて機能的にコンパクトにまとまるから、狭い場所でも支障なく設置でき、また外からは単なる燃焼炉のみのように視認され、すっきりした良好な外観が得られる。
請求項2の発明によれば、熱交換水路3が燃焼室2の外周を螺旋状に取り巻く熱交換パイプ31からなるため、温度変化に伴って水路材料(一般的に金属材)が伸縮しても、螺旋の巻き径の変化として吸収され、水路接合部等に伸縮による負荷が集中して歪みや亀裂を生じるのを防止でき、もって熱交換部の優れた耐久性が得られる。
請求項3の発明によれば、中間筒体11と燃焼室2の周壁2aとの間の環状熱交換室12内に熱交換水路3が配設され、燃焼室2から燃焼灰分離器4へ向かう燃焼排ガスG1が該環状熱交換室12内を通過することから、この燃焼排ガスG1の熱が熱交換水路3内の水W1に吸収されて高い熱交換効率が得られる。
請求項4の発明によれば、熱交換水路3が燃焼灰分離器4の二重周壁40の内部空間40aを経て高温水導出口3bに至る構成であり、該熱交換水路3を通る水W1が最終段階で高温の燃焼室2内を通過することになるから、より高い熱交換効率が得られる。
請求項5の発明によれば、燃料供給手段(スクリューフィーダー5)によって固形物燃料Fが燃焼室2内の周辺側に向けて送り込まれるから、その送り込みに伴って燃焼室2内にある固形物燃料Fが押されて周方向に回るように移動し、もって燃焼室2内での固形物燃料Fの燃焼が偏らずに均一に進行すると共に、固形物燃料Fの更新バランスつまり燃焼消費と追加供給のバランスが保たれ、その結果として安定した燃焼状態で高い燃焼効率が持続し、熱交換状態も高レベルで安定する。
請求項6の発明によれば、送気ファン70を備える空気供給手段7の燃焼室2内への給気口7aの内側に、燃料供給手段(スクリューフィーダー5)の燃焼室2内への燃料導入口5aが配置し、該燃料導入口5aから供給される固形物燃料Fは、送気ファン70を介して給気口7aより流入する空気Aと共に燃焼室2内へ送り込まれるから、非常に高い燃焼効率が得られる。また、固形物燃料Fの送り込みに給気口7aからの空気圧が加わるため、燃焼室2内に先に送り込まれた固形物燃料Fが存在する状態でも、該固形物燃料Fを無理なく追加供給できる。
請求項7の発明によれば、燃料供給手段であるスクリューフィダー5の燃焼室2内への燃料導入口5aに設けられた自動開閉板50により、送り停止中のスクリューフィダー5の内部が燃焼室2から遮断されるから、該スクリューフィダー5内に残る固形物燃料Fの燃焼を確実に防止できる。
請求項8の発明によれば、燃焼室2の少なくとも周壁2aが鉄材にて形成され、着火手段が該燃焼室2内へ火炎を吹き込むバーナー6からなるため、燃焼室2内の固形物燃料Fに対する着火を容易に行えると共に、温水装置の運転開始に当たって燃焼室2内へ固形物燃料Fを導入する前に、予めバーナー6によって空状態の燃焼室2の鉄材を焼いて赤熱化し、もって導入される固形物燃料Fの着火・燃焼を早めることが可能になり、また何らかの要因で固形物燃料Fの導入が途切れる場合に、バーナー6の火炎を吹き込んで燃焼室2内の温度低下を防止できる。
請求項9の発明によれば、燃焼灰分離器4が下部の灰排出筒43を燃焼室2内の受け筒13に挿嵌した状態で該受け筒13に支承され、且つ該受け筒13内の下方側が燃焼灰取出口10に臨む構成であるから、温水装置全体を容易に組立製作できる上、稼働後の燃焼室2から該燃焼灰分離器4を取り外して、清掃や補修等の作業を容易に行うことができる。
以下、本発明に係るハイブリッド温水装置の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1はハイブリッド温水装置全体の縦断正面図、図2は同平面図、図3は同正面図である。
図1〜図3に示すように、このハイブリッド温水装置は、架台15上に固設された密閉式の外殻ケーシング1内に、上方に開放した燃焼室2と、該燃焼室2の外周を取り巻く熱交換水路3と、燃焼室2内に配置したサイクロン式燃焼灰分離器4と、下方に開放して熱交換水路3の更に外側に被さる中間筒体11と、外部上方から外殻ケーシング1の蓋板1aを貫通して燃焼灰分離器4内の上部に突入配置した排気筒9とが、同心状に配置している。そして、外殻ケーシング1の下部周囲には、熱交換水路3に接続する低温水導入口3aと、燃焼室2内の底部へ固形物燃料Fを送り込む燃料供給手段としてのスクリューフィーダー5と、該燃焼室2内に送り込まれた固形物燃料Fの着火手段としての重油バーナー6と、燃焼室2内への空気供給手段7とが付設されている。また、外殻ケーシング1の上部には、蓋板1aを貫通して熱交換水路3に接続する高温水導出口3bが設けてある。
外殻ケーシング1は、図1に示すように、共に金属製の蓋板1a及び主周壁1bの内面側にガラスウールやロックウールからなる断熱材16が張設されると共に、主周壁1bよりも縮径した金属製の下部周壁1c及び底板1dと燃焼室2との間に、耐火煉瓦等よりなる耐火材17が装填されている。そして、蓋板1aには前記の排気筒9が溶接固着されている。
燃焼室2は、共に鉄板からなる周壁2a及び底板2bによって有底縦円筒状に構成され、内底部中央に鉄板製の受け筒13が立設されている。この受け筒13は、垂直円筒部13aと、その頂部側に溶接固着されて上方へラッパ状に開く受け座部13bと、垂直円筒部13aの下端に溶接固着されたフランジ部13cとからなり、フランジ部13cにおいて燃焼室2の底板22に溶接固着されている。しかして、燃焼室2の底部から外殻ケーシング1の底部には、受け筒13に臨む上下方向の貫通孔14が形成されている。
サイクロン式燃焼灰分離器4は、円筒状上部41と、その下端に連続して下方へ縮径する円錐筒部42と、該円錐筒部42の下端から下方へ延出する灰排出筒43とで構成され、円筒状上部41の上端フランジ部41aにおいて中間筒体11の上端板11aに溶接一体化されており、上端側が外殻ケーシング1内の上部空間18に開放している。そして、円筒状上部41から円錐筒部42にわたる周壁40は、熱交換ジャケットとして二重壁構造になっている。また、この燃焼灰分離器4は、下部の灰排出筒43を受け筒13の垂直円筒部13aに挿嵌した状態で、円錐筒部42の下部を受け筒13の受け座部13bに内嵌することにより、該受け筒13に支承されており、灰排出筒43の下端側が前記貫通孔14より下方外部へ突出して燃焼灰取出口10を構成している。なお、燃焼灰取出口10にはねじ止め式の開閉蓋10aが設けてある。
熱交換水路3は、燃焼室2の周壁2aと中間筒体11の周壁11aとの間に構成される環状熱交換室12内で、燃焼室2の外周を螺旋状に取り巻くように配置した熱交換パイプ31にて構成されると共に、この熱交換パイプ31の下流側末端つまり上端が燃焼灰分離器4の二重周壁40の内部空間40aに連通接続され、該内部空間40aから外殻ケーシング1の蓋板1aを貫通する導出パイプ32を経て高温水導出口3bに接続している。従って、燃焼灰分離器4及び中間筒体11と熱交換水路3は一体化しており、外殻ケーシング1の蓋板1aを取り外せば、これらの一体化物を1ユニットとして脱着可能である。
しかして、外殻ケーシング1と燃焼室2との間には、燃焼排ガスが該燃焼室2の上方開放部2aから環状熱交換室12内を下降する下降通路部8aと、その下端から中間筒体の周壁11bの外側を上昇する上昇通路部8bと、その上端から外殻ケーシング1内の上部空間18を通って燃焼灰分離器4の上方開口部4aへ至る内向き通路部8cとからなる燃焼排ガス通路8が構成されている。
空気供給手段7は、燃焼室2の周壁2aの下部に開口した給気口7aから側方外部へ突出する水平筒部71と、先端の吸込み口7b側に送気ファン70を内蔵し、水平筒部71の下面側に連通接続した吸気筒部72とで構成されており、水平筒部71にはスクリューフィーダー5の燃料供給筒51の内側半部を同心状に内嵌している。従って、送気ファン70を介して吸気筒部72に吸入された空気は、水平筒部71と燃料供給筒51との間の環状空間を通って給気口7aより燃焼室2内へ流入する。
燃料供給手段のスクリューフィーダー5は、燃料供給筒51内にモーター52にて回転駆動する送りスクリュー53が配置すると共に、該燃料供給筒51の外側半部の上面側にホッパー54が固設されている。このホッパー54の下部寄り側面には燃料レベル計55が付設されている。また、燃料供給筒51の内端の燃料導入口5aは、下部側を長く斜め切りした形状で空気供給手段7の給気口7aに臨んでおり、その上端に自動開閉板50が枢着されている。しかして、図2に示すように、空気供給手段7の水平筒部71の軸線方向dは外殻ケーシング1の中心Oから外れており、もって該水平筒部71に内嵌する燃料供給筒51内の送りスクリュー53による固形物燃料Fの送り方向が燃焼室2内の周辺側に向くように設定されている。
なお、図3において、19は燃焼室2内の燃焼灰や残渣を直接に掻き出すために外殻ケーシング1の下部側面に設けた側部灰取出口、21は熱交換パイプ31の下流側末端部における水温を計測する温水温度計、22は燃焼室2内の上部温度を計測する燃焼温度計である。
上記構成のハイブリッド温水装置の稼働に際しては、スクリューフィーダー5のホッパー54にバイオマス燃料等の固形物燃料Fを投入しておき、まず重油バーナー6の火炎を空の状態の燃焼室2内に吹き込むことにより、当該燃焼室2の周壁2aの下部及び底板2b、受け筒13の鉄板を600〜700℃程度に焼いて赤熱させておく。また、熱交換水路3には水道水等の低温水W1を全体に充満させた状態で給水停止しておく。そして、スクリューフィーダー5を回転駆動して固形物燃料Fを燃焼室2内に送り込むと同時に、空気供給手段7の送気ファン70を回転駆動して空気Aを燃焼室2内に供給する。この時、スクリューフィーダー5の燃料導入口5aを閉止していた自動開閉板50は、固形物燃料Fの送り圧力によって上方回動して開放状態になる。
かくして燃焼室2内に送り込まれる固形物燃料Fは、燃料導入口5aと同心の給気口7aから環状に流入する空気Aと一緒に該燃焼室2内の高温雰囲気中に放出され、且つ周辺の赤熱した鉄板に接触するため、直ちに着火して燃焼し始めることになる。そして、この燃焼に伴って発生する燃焼ガスは、図1の破線矢印で示すように、多量の燃焼灰を巻き込んだ燃焼排ガスG1として燃焼室2内を上昇し、該燃焼室2の上方開口部20から燃焼排ガス通路8の下降通路部8a、上昇通路部8b、内向き通路部8cを順次通過してサイクロン式燃焼灰分離器4内へ流入し、該燃焼灰分離器4内で下降流から上昇流に反転して排気筒9に流入するが、その際のサイクロン作用つまりガス流の反転に伴う急激な流れ方向変化及び流速変化により、付随していた燃焼灰Sが分離して当該燃焼灰分離器4内を落下するため、燃焼灰Sを殆ど含まない排ガスG2として排気筒9を通って外部へ排出される。また、分離した燃焼灰Sは、燃焼灰分離器4の円錐状筒部42内を螺旋状に旋回しつつ落下し、下部の灰排出筒43内へ落ち込み、燃焼灰取出口10上に堆積する。
一方、熱交換水路3内に充満していた低温水W1は燃焼室2の熱気及び燃焼排ガスG1との熱交換で昇温するから、温水温度計21による計測水温が所定値まで上昇した段階で、導入口3aから該熱交換水路3への通水を所定流量で開始する。かくして熱交換水路3に導入される低温水W1は、継続的に燃焼室2の熱気及び燃焼排ガスG1と熱交換して昇温し、高温水W2として高温水導出口3bから導出され、温室用や暖房用の熱源、ボイラー用水、浴用水等に利用される。また、灰排出筒43内に堆積した燃焼灰Sは、燃焼灰取出口10より取り出される。なお、このハイブリッド温水装置による水の昇温度合は、使用する固形物燃料Fの種類と、熱交換水路3への通水速度とによって広範囲に設定できるが、一般的には出入口温度差で+10℃程度である。
なお、燃焼室2への固形物燃料Fの供給は、燃焼温度計22によって計測される燃焼温度から想定される燃焼状況に応じ、継続・停止を行えばよい。しかして、固形物燃料Fの供給を停止すれば、燃料導入口5aに設けた自動開閉板50が自重で閉止作動し、送り停止中のスクリューフィダー5の内部が燃焼室2から遮断されるから、該スクリューフィダー5内に残る固形物燃料Fの燃焼を確実に防止できる。また、何らかの要因で固形物燃料Fの導入が一時的に途切れる場合、重油バーナー6の火炎を吹き込んで燃焼室2内の温度低下を防止できるから、その間も安定した熱交換による温水生成を持続できる。
このようなハイブリッド温水装置では、サイクロン式燃焼灰分離器4が燃焼室2内に配置し、外部には該燃焼灰分離器4の取付スペースが不要である上、燃焼室2から該燃焼灰分離器4への燃焼排ガス通路8も外殻ケーシング1の内側に構成され、もって装置全体が極めて機能的にコンパクトにまとまっているから、狭い場所でも支障なく設置できるという利点があり、特に小規模な温水利用施設に好適である。また、この温水装置は、単なる燃焼炉だけのようにすっきりした外観を呈するから、設置状態での見栄えがよい。
そして、本実施形態では、熱交換水路3が燃焼室2の外周を螺旋状に取り巻く熱交換パイプ31からなり、一般的に金属材からなる水路材料が温度変化に伴って伸縮しても、その伸縮の寸法変化が螺旋の巻き径の変化として吸収されるから、水路接合部等に伸縮による負荷が集中して歪みや亀裂を生じるのを防止でき、もって熱交換部全体として優れた耐久性が得られる。また、中間筒体11と燃焼室2の周壁21との間の環状熱交換室12内に熱交換水路3が配設され、該環状熱交換室12内を通過する燃焼排ガスG1の熱が熱交換水路2内の水W1に吸収されることに加え、熱交換水路3が燃焼灰分離器4の二重周壁40の内部空間40aを経て高温水導出口3bに至るため、該熱交換水路3を通る水W1が最終段階で高温の燃焼室2内を通過することになり、これらによって非常に高い熱交換効率が得られる。
更に、本実施形態においては、固形物燃料Fがスクリューフィーダー5によって燃焼室2内の周辺側に向けて送り込まれるから、その送り込みに伴って燃焼室2内にある固形物燃料Fが押されて周方向に回るように移動し、もって燃焼室2内での固形物燃料Fの燃焼が偏らずに均一に進行すると共に、固形物燃料Fの更新バランスつまり燃焼消費と追加供給のバランスが保たれることから、安定した燃焼状態で高い燃焼効率が持続し、これに伴って熱交換状態も高レベルで安定化する。しかも、空気供給手段7の燃焼室2内への給気口7aの内側に、スクリューフィーダー5による燃料導入口5aが配置し、該燃料導入口5aから供給される固形物燃料Fが送気ファン70を介して給気口7aより流入する空気Aと共に燃焼室2内へ送り込まれるから、燃焼効率がより向上する。また、固形物燃料Fの送り込みに給気口7aからの空気圧が加わるため、燃焼室2内に先に送り込まれた固形物燃料Fが存在する状態でも、該固形物燃料Fを無理なく追加供給できる。
また、本実施形態にあっては、燃焼灰分離器4が下部の灰排出筒43を燃焼室2内の受け筒13に挿嵌した状態で該受け筒13に支承され、該灰排出筒43が燃焼灰取出口10を構成すると共に、この燃焼灰分離器4に中間筒体11及び熱交換水路3が一体化しているから、温水装置の組立製作に際し、外殻ケーシング1内に燃焼室2の筒体を装填した後、上記の一体化物を上方から嵌装し、外殻ケーシング1の蓋板1aを取り付けるという手順で、温水装置全体を容易に組立製作できる。そして、内部の清掃や補修等においても、該一体化物を取り外すことで、所要の作業を容易に行うこと可能となる。ただし、本発明では、燃焼灰分離器4及び中間筒体11と熱交換水路3を各々独立部材として構成してもよく、この場合にも各独立部材を順次に組み付けたり取り外したりできるから、温水装置全体の組立製作ならびに内部の清掃や補修等の作業が容易になる上、独立部材毎に損傷したものを交換できるという利点がある。
なお、上記の稼働方法では固形物燃料Fの導入前に重油バーナー6で燃焼室2内の鉄板を焼いて赤熱させているが、先に燃焼室2内へ固形物燃料Fを送り込み、その固形物燃料Fに着火する方法も採用可能である。ただし、例示した稼働方法のように予め燃焼室2内の鉄材を焼いて赤熱させておけば、固形物燃料Fの着火・燃焼が早まるから、それだけ温水生成までの待機時間が少なくて済む。しかして、このように前もって燃焼室2内を高温化する上で、少なくとも燃焼室2の周壁2aを鉄材にて構成することが望ましい。
本発明のハイブリッド温水装置においては、燃料供給手段及び着火手段として実施形態で例示した以外の種々の方式を採用可能であり、また他の各部の細部構成についても実施形態以外に種々設計変更可能である。ただし、燃料供給手段では、実施形態のようなスクリューフィーダーが、安定して連続供給できて、且つ供給量調整が容易である点から、好適なものとして推奨される。また、着火手段としても、実施形態の重油バーナーの如きオイルバーナーやガスバーナーは、着火性に優れることに加え、前記の如く燃焼室2内を空状態で高温化したり、固形物燃料Fの供給が途絶えた間に燃焼室2内に火炎を吹き込んで温度低下を防止できる点から、特に好適である。
1 外殻ケーシング
2 燃焼室
2a 周壁
20 上方開口部
3 熱交換水路
3a 低温水導入口
3b 高温水導出口
31 熱交換パイプ
4 サイクロン式燃焼灰分離器
4a 上方開口部
40 二重周壁
40a 内部空間
43 灰排出筒
5 スクリューフィーダー(燃料供給手段)
5a 燃料導入口
50 自動開閉板
6 重油バーナー(着火手段)
7 空気供給手段
7a 給気口
70 送風ファン
8 燃焼排ガス通路
9 排気筒
10 燃焼灰取出口
11 中間筒体
12 環状熱交換室
13 受け筒
14 貫通孔
A 空気
F 固形物燃料
G1 燃焼排ガス
G2 燃焼灰を含まない燃焼排ガス
W1 低温水
W2 高温水
2 燃焼室
2a 周壁
20 上方開口部
3 熱交換水路
3a 低温水導入口
3b 高温水導出口
31 熱交換パイプ
4 サイクロン式燃焼灰分離器
4a 上方開口部
40 二重周壁
40a 内部空間
43 灰排出筒
5 スクリューフィーダー(燃料供給手段)
5a 燃料導入口
50 自動開閉板
6 重油バーナー(着火手段)
7 空気供給手段
7a 給気口
70 送風ファン
8 燃焼排ガス通路
9 排気筒
10 燃焼灰取出口
11 中間筒体
12 環状熱交換室
13 受け筒
14 貫通孔
A 空気
F 固形物燃料
G1 燃焼排ガス
G2 燃焼灰を含まない燃焼排ガス
W1 低温水
W2 高温水
Claims (9)
- 外殻ケーシングと、この外殻ケーシング内に収容されて上方に開放した有底縦筒状の燃焼室と、該燃焼室の外周を取り巻く熱交換水路と、該熱交換水路に接続する低温水導入口及び高温水導出口と、前記燃焼室内に配置したサイクロン式燃焼灰分離器と、該燃焼室内の底部へ固形物燃料を送り込む燃料供給手段と、該燃焼室内に送り込まれた固形物燃料に着火させる着火手段と、該燃焼室内への空気供給手段と、該燃焼室の上方開口部から前記燃焼灰分離器の上方開口部へ至る燃焼排ガス通路と、下端開口部を排気流入口として上方から燃焼灰分離器内の上部に突入配置した排気筒と、該燃焼灰分離器の下部に連通する燃焼灰取出口とを具備し、
前記熱交換水路に導入した低温水を燃焼室の熱気及び燃焼排ガスとの熱交換で昇温させて高温水として導出すると共に、前記燃焼灰分離器内で燃焼排ガスから分離して落下する燃焼灰を前記燃焼灰取出口から取り出すように構成されてなるハイブリッド温水装置。 - 前記熱交換水路が前記燃焼室の外周を螺旋状に取り巻く熱交換パイプからなる請求項1に記載のハイブリッド温水装置。
- 前記外殻ケーシングと前記燃焼室との間に、上端側を閉塞して下端側を開放した中間筒体が配置し、該中間筒体と燃焼室の周壁との間で環状熱交換室が構成され、この環状熱交換室内に前記熱交換水路が配設されると共に、前記燃焼排ガス通路が燃焼室の上方開口部から該環状熱交換室内を下降し、次いで前記中間筒体と外殻ケーシングとの間を上昇して前記燃焼灰分離器の上方開口部へ至るように構成されてなる請求項1又は2に記載のハイブリッド温水装置。
- 前記燃焼灰分離器の周壁が内外二重に形成され、前記熱交換水路が該二重周壁の内部空間を経て前記高温水導出口に至るように構成されてなる請求項1〜3の何れかに記載のハイブリッド温水装置。
- 前記燃料供給手段が固形物燃料を前記燃焼室内の周辺側に向けて送り込むように設定されてなる請求項1〜4の何れかに記載のハイブリッド温水装置。
- 前記空気供給手段が送風ファンを備えると共に、該空気供給手段の前記燃焼室内への給気口の内側に、前記燃料供給手段の該燃焼室内への燃料導入口が配置してなる請求項1〜5の何れかに記載のハイブリッド温水装置。
- 前記燃料供給手段がスクリューフィダーからなり、このスクリューフィダーの前記燃焼室内への燃料導入口に、固形物燃料の送り圧力で上向き回動して開放し、且つ該固形物燃料の送り停止に伴って自重で閉止作動する自動開閉板が設けられてなる請求項1〜6の何れかに記載のハイブリッド温水装置。
- 前記燃焼室の少なくとも周壁部が鉄材にて形成されると共に、前記着火手段が該燃焼室内へ火炎を吹き込むバーナーからなる請求項1〜7の何れかに記載のハイブリッド温水装置。
- 前記燃焼室の内底部中央に受け筒が立設され、該受け筒内の下方側が前記燃焼灰取出口に臨むと共に、前記燃焼灰分離器の下部に下方へ垂下する灰排出筒が一体形成され、該燃焼灰分離器が灰排出筒を前記受け筒に挿嵌した状態で当該受け筒に支承される請求項1〜8の何れかに記載のハイブリッド温水装置。
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JP2008275588A JP2010101598A (ja) | 2008-10-27 | 2008-10-27 | ハイブリッド温水装置 |
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2008
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