JP2010100911A - 銅合金異形条材及び銅合金異形条材の製造方法 - Google Patents

銅合金異形条材及び銅合金異形条材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な形状の嵌合凹部を形成可能な曲げ加工性を有するとともに芯線圧着部における接続信頼性の向上を図ることが可能なコネクタ、や、半導体素子が搭載されるヒートシンク部において熱の放散を促進することができるとともにリード部において強度を確保することができるリードフレーム等を製造するのに適した銅合金異形条材及びこの銅合金異形条材の製造方法を提供する。
【解決手段】Ni;0.5〜4.8wt%,Si;0.08〜1.4wt%を含有する時効析出型銅合金からなり、条材の長手方向に直交する断面において、板厚の厚い厚板部11と、この厚板部11よりも板厚の薄い薄板部12とを備えた銅合金異形条材10であって、厚板部11の引張強度TS1と薄板部12の引張強度TS2とが、TS1<TS2の関係とされ、厚板部11の導電率EC1と薄板部12の導電率EC2とが、EC1>EC2の関係とされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子・電気部品において使用されているリードフレームやコネクタ等の電気接点用材料として最適な銅合金異形条材及びその製造方法に関する。
従来、リードフレームやコネクタ等の電気接点用材料としては、強度及び導電率の観点から、広く銅合金条材が使用されている。
ここで、コネクタの一種である嵌合型端子としては、例えば特許文献1に開示されているように、嵌合凸部を備えるオス形端子と嵌合凹部を備えるメス形端子とを有し、これら嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合によって電気的に接続されるように構成されたものが提供されている。また、前述のオス形端子やメス形端子には、電気が通電される芯線を圧着して固定する芯線圧着部がそれぞれ設けられている。このようなコネクタは、銅合金条材に対して、打ち抜き加工、曲げ加工等を施すことによって成形される。
一方、リードフレームとしては、例えば特許文献2に開示されているように、半導体素子が搭載されるヒートシンク部とこの半導体素子と回路基板とを接続するリード部とを備えたものが提供されている。このようなリードフレームは、銅合金条材に対して、打ち抜き加工、曲げ加工等を施すことによって成形される。
特許文献2に開示されているリードフレームにおいては、厚肉部(厚板部)と薄肉部(薄板部)とを長手方向に並べた長尺異形状金属材料(銅合金異形条材)に打抜き加工を行うことによって製造されている。ここで、特許文献2においては、リードフレームの材質として無酸素銅、脱酸素銅、りん青銅が例示されている。
そして、厚肉部(厚板部)を加工してヒートシンク部を成形し、薄肉部(薄板部)を加工してリード部を成形している。このように成形することにより、パワーLEDが搭載されるヒートシンク部においては熱の放散を促進することが可能となり、リード部においては曲げ加工等の加工性を確保することが可能となる。
特開平07−161391号公報 特開2006−179541号公報
ところで、特許文献1に開示されている嵌合型端子では、芯線圧着部において芯線との接続信頼性を向上させるために、芯線を強固に固定することが求められており、特許文献1では、芯線圧着部の一方の端部を他方の端部の外側にオーバーラップさせている。しかしながら、このような構成とした場合には、芯線のカシメ加工が非常に複雑となり、加工のばらつきによって芯線の固定強度が変動してしまい、接続信頼性が低下するおそれがあった。
一方、嵌合凹部を有するメス形端子においては、嵌合凹部を曲げ加工によって成形するため、銅合金条材には良好な曲げ加工性も求められている。
また、特許文献2に記載された異形条材を用いたリードフレームにおいては、前述のように、無酸素銅、脱酸素銅、りん青銅からなる銅合金異形条材を用いている。
ここで、無酸素銅や脱酸素銅は、導電率が80〜101%IACSと高く、熱の伝導性についても良好であるが、引張強度は250〜400N/mmと比較的低いものである。このため、無酸素銅や脱酸素銅で構成されたリードフレームでは、ヒートシンク部において熱の放散を促進できるものの、リード部において強度が不足するおそれがある。
一方、りん青銅は、引張強度は450〜640N/mmと比較的高いが、導電率が約15%IACSと低く、熱の伝導性が劣る。このため、りん青銅で構成されたリードフレームでは、リード部において強度が確保されるものの、ヒートシンク部において熱の放散を促進することができなくなる。
最近では、半導体素子パッケージの小型化・薄肉化が進められるとともに、その使用環境も厳しくなってきており、半導体素子からの発熱量も大きくなる傾向にある。そこで、ヒートシンク部において熱の放散をさらに促進できるとともに、リード部において強度を確保して接合を確実に行うことができるリードフレーム材が求められている。
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであって、例えば、複雑な形状の嵌合凹部を形成可能な曲げ加工性を有するとともに芯線圧着部における接続信頼性の向上を図ることが可能なコネクタ、や、半導体素子が搭載されるヒートシンク部において熱の放散を促進することができるとともにリード部において強度を確保することができるリードフレーム等を製造するのに適した銅合金異形条材及びこの銅合金異形条材の製造方法を提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明に係る銅合金異形条材は、Ni;0.5〜4.8wt%,Si;0.08〜1.4wt%を含有する時効析出型銅合金からなり、条材の長手方向に直交する断面において、板厚の厚い厚板部と、この厚板部よりも板厚の薄い薄板部とを備えた銅合金異形条材であって、前記厚板部の引張強度TS1と前記薄板部の引張強度TS2とが、TS1<TS2の関係とされ、前記厚板部の導電率EC1と前記薄板部の導電率EC2とが、EC1>EC2の関係とされていることを特徴としている。
本発明に係る銅合金異形条材によれば、条材の長手方向に直交する断面において互いに厚さの異なる厚板部と薄板部とを備えており、厚板部の引張強度TS1と薄板部の引張強度TS2とが、TS1<TS2の関係とされているので、薄板部の強度を確保することができ、曲げ加工及び打ち抜き加工等を良好に行うことができるとともに薄板部の板厚を薄くすることができる。また、厚板部の導電率EC1と薄板部の導電率EC2とが、EC1>EC2の関係とされているので、厚板部の導電率が確保でき、厚板部において熱の放散を促進することが可能となる。
ここで、本発明に係る銅合金異形条材は、Ni;0.5〜4.8wt%,Si;0.08〜1.4wt%を含有する時効析出型銅合金で構成されていることから、厚板部と薄板部とにおいて析出粒子の析出状態をそれぞれ調整することで、前述のように、厚板部と薄板部との特性を互いに異なるものにすることができる。
ここで、前記厚板部の引張強度TS1と前記薄板部の引張強度TS2との比TS2/TS1を、1.05≦TS2/TS1≦1.2の範囲内に設定することが好ましい。
この場合、厚板部の引張強度TS1と薄板部の引張強度TS2との比TS2/TS1が1.05以上とされているので、薄板部での強度を確保でき、薄板部における曲げ加工性及び打ち抜き加工性の向上を図ることができる。また、厚板部の引張強度TS1と前記薄板部の引張強度TS2との比TS2/TS1が1.2以下とされているので、この銅合金異形条材を特殊な処理を行うことなく製出することができる。
また、前記厚板部の導電率EC1が、50%IACS以上であることが好ましい。
この場合、厚板部において導電性及び放熱性を確保することができる。そこで、例えば、厚板部を加工して芯線圧着部を成形することにより接続信頼性の向上を図ることができる。また、厚板部を加工してヒートシンク部を成形することにより、電子部品等から発生する熱を効率良く放散することが可能となる。
また、前記厚板部の板厚t1と前記薄板部の板厚t2との板厚比t1/t2が、1.2≦t1/t2≦20の範囲となるように設定されていることが好ましい。
この場合、薄板部の曲げ加工性及び打ち抜き加工性を確保できるとともに、厚板部の強度向上を図ることができる。なお、板厚比t1/t2は、1.5≦t1/t2≦4.0の範囲内とすることがさらに好ましい。
さらに、前記時効析出型銅合金を、Ni及びSiの他に、Sn;0.1〜0.9wt%、Zn;0.1〜3.0wt%を含有する銅合金としてもよい。
また、前記時効析出型銅合金を、Ni及びSiの他に、Mg;0.05〜0.45wt%を含有する銅合金としてもよい。
これらの場合には、強度、曲げ加工性、導電性(放熱性)のバランスに優れた銅合金異形条材を製作することができる。
また、本発明に係る銅合金異形条材の製造方法は、前述の銅合金異形条材の製造方法であって、前記厚板部と前記薄板部とを形成する異形加工工程の後に、溶体化処理工程及び時効処理工程を有することを特徴としている。
このような構成とされた本発明に係る銅合金異形条材の製造方法によれば、厚板部と薄板部とを形成した後に溶体化処理及び時効処理を施すことで、厚板部及び薄板部における析出粒子の析出状態をそれぞれに調整することができ、厚板部及び薄板部の引張強度、導電率等の特性を前述のように設定することが可能となる。
本発明によれば、例えば、複雑な形状の嵌合凹部を形成可能な曲げ加工性を有するとともに芯線圧着部における接続信頼性の向上を図ることが可能なコネクタ、や、半導体素子が搭載されるヒートシンク部において熱の放散を促進することができるとともにリード部において強度を確保することができるリードフレーム等を製造するのに適した銅合金異形条材及びこの銅合金異形条材の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態である銅合金異形条材及び銅合金異形条材の製造方法について添付した図面を参照して説明する。
まず、本発明の第1の実施形態である銅合金異形条材及び銅合金異形条材の製造方法について説明する。
本実施形態である銅合金異形条材10は、たとえばNi;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%、Sn;0.1〜0.9wt%、Zn;0.1〜3.0wt%を含有する時効析出型銅合金で構成されており、銅合金異形条材10の長手方向に直交する断面において、板厚の厚い厚板部11と、この厚板部11よりも板厚の薄い薄板部12とを備えている。本実施形態では、図1に示すように、銅合金異形条材10の幅方向中央部分に厚板部11が設けられている。
ここで、厚板部11の板厚t1と薄板部12の板厚t2との板厚比t1/t2は、1.2≦t1/t2≦20の範囲内に設定されており、さらに好ましくは、1.5≦t1/t2≦4.0の範囲内に設定されている。なお、より具体的には、厚板部11の板厚t1がt1=0.8mm、薄板部12の板厚t2がt2=0.25mmとされており、板厚比t1/t2はt1/t2=0.32に設定されている。
また、薄板部12の引張強度TS2は、厚板部11の引張強度TS1よりも高く設定されており、引張強度の比TS2/TS1が、1.05≦TS2/TS1≦1.2の範囲内に設定されている。具体的には、厚板部11の引張強度TS1が、約650N/mmとされ、薄板部12の引張強度TS2が、約710N/mmとされており、引張強度の比TS2/TS1は、1.09に設定されている。
さらに、厚板部11の導電率EC1は50%IACS以上とされ、薄板部12の導電率EC2に対して、EC1>EC2の関係とされている。具体的には、厚板部11の導電率EC1が約53%IACSとされ、薄板部12の導電率EC2が約41%IACSとされている。
つまり、本実施形態である銅合金異形条材10は、薄板部12において、引張強度TS2及び導電率EC2がともに、リン青銅の引張強度(450〜640N/mm)及び導電率(約15%IACS)よりも高くされているのである。また、厚板部11においては、薄板部12よりもさらに高い導電率を有している。
次に、この銅合金異形条材10の製造方法について、図2のフロー図を参照して説明する。
まず、原料を溶解炉にて溶解して前記成分の銅溶湯を得るとともに、この銅溶湯を鋳造して断面矩形状の鋳塊を作製する(鋳造工程S1)。
この鋳塊を800℃〜950℃で熱間圧延を行い(熱間圧延工程S2)、冷間圧延により、板厚1〜2mmの素材を成形する(粗圧延工程S3)。
粗圧延工程S3で得た板厚1〜2mmの素材を、400〜800℃×1min〜6hrの条件で熱処理を行い、焼鈍する(焼鈍工程S4)。
次に、金型を用いた圧延を施すことにより、長手方向の断面において板厚が互いに異なる厚板部11と薄板部12とを形成する(異形加工工程S5)。
そして、この異形加工工程S5によって厚板部11と薄板部12とを形成した後に、700℃〜900℃に加熱・急冷して合金元素を溶体化する(溶体化処理工程S6)。このとき、板厚が異なる状態で同じ条件で溶体化処理が施されるため、薄板部12では溶体化が十分に行われるが、厚板部11では溶体化が不十分となり焼鈍工程S4で析出した析出粒子が残存することになる。この状態において、厚板部11の導電率が薄板部12の導電率よりも高く設定される。
次に、300〜500℃×1min〜5hrで時効焼鈍を行い、溶体化した合金元素を析出させる(時効処理工程S7)。このとき、薄板部12の板厚に合わせて焼鈍条件を調整する。すると、薄板部12においては、微細な析出粒子が析出されて強度の向上が図られる。一方、厚板部11では、溶体化が不十分な状態で時効焼鈍を行っていることから、いわゆる過時効条件となり、粗大な析出粒子が析出される。この粗大な析出粒子は強度の向上には寄与せず、導電率のみが上昇することになる。
このように、厚板部11と薄板部12とで、析出粒子の析出状態が異なることになり、前述したように引張強度、導電率に差が生じることになる。
そして、本実施形態である銅合金異形条材10は、打ち抜き加工及び曲げ加工等によって、ヒートシンク部とリード部とを有するリードフレームに加工される。図3に、半導体素子が搭載されたリードフレームを示す。
このリードフレーム20は、前述の銅合金異形条材10の厚板部11を加工することによって成形されたヒートシンク部21と、薄板部12を加工することによって成形されたリード部22とを備えている。
ヒートシンク部21の一面に半導体素子25が搭載されており、ヒートシンク部21は、半導体素子25から発生する熱を放散する機能を有している。リード部22は、曲げ加工が施されており、図示しない回路基板等に接続される。
本実施形態である銅合金異形条材10によれば、条材の長手方向に直交する断面において互いに厚さの異なる厚板部11と薄板部12とを備えており、厚板部11の引張強度TS1と薄板部12の引張強度TS2とが、TS1<TS2の関係とされ、より具体的には、1.05≦TS2/TS1≦1.2の範囲内に設定されているので、薄板部12における曲げ加工性及び打ち抜き加工性の向上を図ることができる。これにより、薄板部12を加工することによって成形されるリード部22の加工性が確保され、回路基板との接合を確実に行うことができるリードフレーム20を提供することができる。
また、厚板部11の導電率EC1と薄板部12の導電率EC2とが、EC1>EC2の関係とされており、特に厚板部11の導電率EC1が、50%IACS以上とされているので、厚板部11の導電率が高く、厚板部11において熱の放散を促進することが可能となる。これにより、厚板部11を加工することによって成形されるヒートシンク部21における熱の放散が促進され、放熱特性に優れたリードフレーム20を提供することができる。
また、本実施形態では、厚板部11の板厚t1と薄板部12の板厚t2との板厚比t1/t2が、1.2≦t1/t2≦20の範囲となるように、さらに好ましくは1.5≦t1/t2≦4.0の範囲内に設定されているので、薄板部12の曲げ加工性を確保できるとともに、厚板部11の強度向上を図ることができる。したがって、図3に示すリードフレーム20を良好に成形することができる。
さらに、本実施形態である銅合金異形条材10は、Ni;0.5〜4.8wt%,Si;0.08〜1.4wt%、Sn;0.1〜0.9wt%、Zn;0.1〜3.0wt%を含有する時効析出型銅合金で構成されているので、厚板部11と薄板部12とで析出粒子の析出状態を制御することによって、厚板部11と薄板部12との特性を互いに異なるものにすることができる。
また、図2に示す本実施形態である銅合金異形条材の製造方法によれば、厚板部11と薄板部12とを形成する異形加工工程S5の後に溶体化処理工程S6及び時効処理工程S7を有しているので、この溶体化処理工程S6において、厚板部11では溶体化が不十分となり焼鈍工程S4で析出した析出粒子が残存することによって厚板部11の導電率が薄板部12の導電率よりも高く設定される。また、時効処理工程S7では、前述のように溶体化の状態が異なる厚板部11と薄板部12とを同一条件で時効焼鈍を行っているので、薄板部12においては、微細な析出粒子が析出されて強度の向上が図られる一方、厚板部11では、粗大な析出粒子が析出され、導電率の上昇が図られることになる。
このように、本実施形態である銅合金異形条材の製造方法によれば、厚板部11と薄板部12とで、析出粒子の析出状態をそれぞれ制御することができ、前述したように引張強度、導電率を調整することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態である銅合金異形条材について説明する。
本実施形態である銅合金異形条材110は、たとえばNi;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%、Mg;0.05〜0.45wt%を含有する時効析出型銅合金で構成されており、銅合金異形条材110の長手方向に直交する断面において、板厚の厚い厚板部111と、この厚板部111よりも板厚の薄い薄板部112とを備えている。本実施形態では、図4に示すように、銅合金異形条材110の幅方向一方側(図4において左側)に薄板部112が設けられ、幅方向他方側(図4において右側)に厚板部111が設けられている。
ここで、厚板部111の板厚t1と薄板部112の板厚t2との板厚比t1/t2は、1.2≦t1/t2≦20の範囲内に設定されており、さらに好ましくは、1.5≦t1/t2≦4.0の範囲内に設定されている。
また、薄板部112の引張強度TS2は、厚板部111の引張強度TS1よりも高く設定されており、引張強度の比TS2/TS1が、1.05≦TS2/TS1≦1.2の範囲内となるように設定されている。
さらに、厚板部111の導電率EC1は50%IACS以上とされ、薄板部112の導電率EC2に対して、EC1>EC2の関係とされている。
そして、本実施形態である銅合金異形条材110は、芯線Wを圧着して固定する芯線圧着部を備えたコネクタ端子に加工される。図5及び図6にメス形端子の一例を示す。
図4に示すメス形端子120は、その先端側(図5において左下側)に嵌合凹部122が設けられ、後端側(図5において右上側)に芯線圧着部121が設けられている。このメス形端子120は、銅合金異形条材110の厚板部111が芯線圧着部121となるように、かつ、薄板部112が嵌合凹部122となるようにして製作されている。
また、芯線圧着部121では、図6に示すように、芯線Wを巻き込むようにして固定している。
このような構成とされた本実施形態である銅合金異形条材110によれば、条材の長手方向に直交する断面において互いに厚さの異なる厚板部111と薄板部112とを備えているので、厚板部111を加工することによって芯線圧着部121を成形することで芯線Wを強固に固定することが可能な端子を製作することができる。また、薄板部112は曲げ加工性が良好であるため、メス形端子120の嵌合凹部122を寸法精度良く成形することができる。
ここで、芯線圧着部121においては、図6に示すように、芯線Wが十分に圧縮された状態で固定されるため、芯線Wと芯線圧着部121との接触抵抗を低く安定させることができる。さらに、厚板部111の導電率が薄板部112よりも高く設定され、具体的には50%IACS以上とされていて導電性が確保されているので、芯線Wとの接続信頼性をさらに向上させることができる。以上のことから、本実施形態である銅合金異形条材110によれば、芯線Wに大電流を通電した場合の自己発熱を抑えることが可能なコネクタ端子を製造することができる。
以上、本発明の実施形態である銅合金異形条材及び銅合金異形条材の製造方法について説明したが、本発明はこの記載に限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
図1に示すように、銅合金異形条材の幅方向中央部に厚板部を設けたものや、図4に示すように、薄板部を銅合金異形条材の幅方向一方側に設けて厚板部を幅方向他方側に設けたものを例示して説明したが、これに限定されることはなく、銅合金異形条材の長手方向に直交する断面において板厚が互いに異なる厚板部と薄板部を備えていればよい。
例えば、図7に示すように、厚板部211を銅合金異形条材210の幅方向両端部に設け、薄板部212をの幅方向中央部に設けたものであってもよい。また、図8に示すように、厚板部311において厚さが異なる部分が設けられていてもよい。
また、時効硬化型銅合金として、Ni;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%、Sn;0.1〜0.9wt%、Zn;0.1〜3.0wt%を含有する銅合金及び、Ni;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%、Mg;0.05〜0.45wt%を含有する銅合金、を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、Ni;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%を含有する時効硬化型銅合金であればよい。但し、例示した、Ni;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%、Sn;0.1〜0.9wt%、Zn;0.1〜3.0wt%を含有する銅合金及び、Ni;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%、Mg;0.05〜0.45wt%を含有する銅合金は、引張強度、曲げ加工性、導電率のバランスがよく、リードフレーム材やコネクタ端子を構成する銅合金異形条材に適している。
さらに、本実施形態である銅合金異形条材の製造方法として記載した、焼鈍条件、溶体化処理条件、時効処理条件等は、例示したものに限定されることはなく、材質、要求される特性等に応じて適宜設定することができる。
また、第2の実施形態において、銅合金異形条材から嵌合型端子であるメス形端子を製作するものとして説明したが、これに限定されることはなく、その他の形状の端子を製作してもよい。
以下に、厚板部及び薄板部の板厚を変更して、本発明に係る銅合金異形条材の製造方法によって銅合金異形条材を製造し、厚板部及び薄板部の特性評価を行った。
Ni;0.5〜3.0wt%,Si;0.08〜0.8wt%、Sn;0.1〜0.9wt%、Zn;0.1〜3.0wt%を含有する銅合金を用いて銅合金異形条材を製造した。なお。異形加工を行う前の銅素材の板厚を1.0mmとした。
特性評価結果を表1に示す。
Figure 2010100911
板厚比t1/t2を3.2、2.5、2.0、1.63と変化させたが、いずれも厚板部の引張強度TS1と薄板部の引張強度TS2とがTS1<TS2の関係とされ、厚板部の導電率EC1と薄板部の導電率EC2とがEC1>EC2の関係とされている。この特性評価結果から、本発明に係る銅合金異形条材の製造方法によって、厚板部と薄板部との特性がそれぞれ異なる銅合金異形条材を製造できることが確認された。
本発明の第1の実施形態である銅合金異形条材の断面図である。 本発明の実施形態である銅合金異形条材の製造方法を示すフロー図である。 図1に示す銅合金異形条材を加工して製作されたリードフレーム材の説明図である。 本発明の第2の実施形態である銅合金異形条材の断面図である。 図4に示す銅合金異形条材を加工して製作されたコネクタ端子(メス形端子)の斜視図である。 図5におけるX−X断面図である。 本発明の他の実施形態である銅合金異形条材の断面図である。 本発明の他の実施形態である銅合金異形条材の断面図である。
符号の説明
10、110、210、310 銅合金異形条材
11、111、211、311 厚板部
12、112、212、312 薄板部

Claims (7)

  1. Ni;0.5〜4.8wt%,Si;0.08〜1.4wt%を含有する時効析出型銅合金からなり、条材の長手方向に直交する断面において、板厚の厚い厚板部と、この厚板部よりも板厚の薄い薄板部とを備えた銅合金異形条材であって、
    前記厚板部の引張強度TS1と前記薄板部の引張強度TS2とが、TS1<TS2の関係とされ、
    前記厚板部の導電率EC1と前記薄板部の導電率EC2とが、EC1>EC2の関係とされていることを特徴とする銅合金異形条材。
  2. 請求項1に記載の銅合金異形条材であって、
    前記厚板部の引張強度TS1と前記薄板部の引張強度TS2との比TS2/TS1が、
    1.05≦TS2/TS1≦1.2の範囲内に設定されていることを特徴とする銅合金異形条材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の銅合金異形条材であって、
    前記厚板部の導電率EC1が、50%IACS以上であることを特徴とする銅合金異形条材。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の銅合金異形条材であって、
    前記厚板部の板厚t1と前記薄板部の板厚t2との板厚比t1/t2が、
    1.2≦t1/t2≦20の範囲となるように設定されていることを特徴とする銅合金異形条材。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の銅合金異形条材であって、
    前記時効析出型銅合金が、Ni及びSiの他に、Sn;0.1〜0.9wt%、Zn;0.1〜3.0wt%を含有する銅合金であることを特徴とする銅合金異形条材。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の銅合金異形条材であって、
    前記時効析出型銅合金が、Ni及びSiの他に、Mg;0.05〜0.45wt%を含有する銅合金であることを特徴とする銅合金異形条材。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の銅合金異形条材の製造方法であって、
    前記厚板部と前記薄板部とを形成する異形加工工程の後に、溶体化処理工程及び時効処理工程を有することを特徴とする銅合金異形条材の製造方法。
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