JP2010096399A - 空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、指標となる過冷却度および過冷却度に基づいた換算値が冷媒量適否の判定し易い値になるように制御することにより検知誤差を低減させることにある。
【解決手段】本発明の空気調和装置1の冷媒量判定方法は、圧縮機21と熱源側熱交換器23と冷却熱源調節手段27とを有する熱源ユニット2と、利用側熱交換器41を有する利用ユニット4と、膨張機構33と、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7を含み、冷房運転を少なくとも行うことが可能な冷媒回路10を有する空気調和装置において、冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する冷媒量判定方法であって、過冷却度が第1所定値以上にした安定状態における圧縮機周波数と過熱度と過冷却度とを記憶する。所定期間経過後に、記憶された圧縮機周波数と過熱度になるように各種制御を行いつつ冷媒の過冷却度を検出し、記憶した過冷却度と比較して、冷媒回路内の冷媒量の適否を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気調和装置の冷媒回路内に充填されている冷媒量の適否を判定する機能、特に、熱源ユニットと利用ユニットとが冷媒連絡配管を介して接続された空気調和装置の冷媒回路内に充填されている冷媒量の適否を判定する機能に関する。
従来、凝縮器の過冷却度にもとづいて冷媒量を判定する冷媒量判定運転、を行う空気調和装置がある(特許文献1参照)。特許文献1のような技術では、冷媒量判定運転は空気調和装置の初回(例えば、空気調和装置の設置時)および定期的(例えば、設置時から1年ごとなど)に行われる。この冷媒量判定運転では、冷房運転状態において蒸発器の過熱度と蒸発圧力が一定になるように制御を行い、凝縮器の過冷却度を測定する。そして、冷媒量判定運転において、その時に測定された過冷却度と初回またはそれ以前に測定された過冷却度との差に基づいて冷媒が漏れているか否かを判定している。
特開2006−23072号公報
ところで、特許文献1のような空気調和装置の圧縮機としてスクロール式の圧縮機を採用している場合がある。このスクロール式の圧縮機は、少なくとも1つの可動式スクロールがあり、それともう1つの固定式あるいは可動式のスクロールとをかみ合わせて可動式スクロールを偏心回転させることにより冷媒を圧縮する。このようなスクロール式の圧縮機においては、その圧縮行程において、可動式スクロールの回転軸が転覆(傾斜)することによる圧縮効率が低下する場合があり、この場合に圧縮機の容量制御を目標値にしにくくなる。したがって、スクロール式の圧縮機を採用した空気調和装置において冷媒量判定運転を行うと、圧縮機において可動式スクロールが転覆した場合に、容量制御を上手く行うことができなくなるため、冷媒量判定運転の検知誤差につながってしまう。
本発明の課題は、スクロール式の圧縮機を有する空気調和装置において、冷媒量判定運転の検知誤差を低減できる空気調和装置を提供することにある。
第1発明に係る空気調和装置は、冷媒回路と、モード切替手段と、検出手段と、冷媒量適否判定手段と、圧縮機容量制御手段とを備える。冷媒回路は、運転用量を少なくともアンロード機能によって調節可能なスクロール式の圧縮機と熱源側熱交換器と膨張機構とアキュムレータとを有する熱源ユニットと、利用側熱交換器を有する利用ユニットと、熱源ユニットと利用ユニットとを接続する液冷媒連絡配管およびガス冷媒連絡配管を含み、熱源側熱交換器を圧縮機において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、利用側熱交換器を熱源側熱交換器において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を少なくとも行うことが可能である。モード切替手段は、利用ユニットの運転負荷に応じて熱源ユニットおよび利用ユニットの各機器の制御を行う通常運転モードから、冷房運転を行い利用側熱交換器の出口から圧縮機の入口までの間の少なくとも1カ所における冷媒の過熱度が正値になるように利用側膨張機構を制御する冷媒量判定運転モードへ切り換える。検出手段は、冷媒量判定運転モードにおいて、熱源側熱交換器の出口における冷媒の過冷却度または過冷却度の変動に応じて変動する運転状態量を第1検出値として検出する。冷媒量適否判定手段は、冷媒量判定運転モードにおいて、第1検出値に基づいて、冷媒回路内に充填されている冷媒量の適否の判定を冷媒量適否判定として行う。圧縮機容量制御手段は、冷媒量判定運転モードにおいて、アンロード機能を利用した容量制限を行った状態で、圧縮機を駆動させる。
本発明の空気調和装置では、冷媒量判定運転モードにおいて、アンロード機能を利用した容量制限を行った状態で、圧縮機を駆動させている。このように、スクロール式の圧縮機をアンロード機能を利用して容量制限を行うことにより、スクロール部分の外側が均圧され中心部のみに圧力がかかることになるため、フルロードで圧縮機を駆動した時よりもスクロールにかかる力に偏りが生じにくくできる。このため、圧縮機が転覆して容量制御が困難になることを防ぐことができ、冷媒量判定の検知誤差を低減することができる。
第2発明に係る空気調和装置は、第1発明に係る空気調和装置であって、圧縮機容量制御手段は、圧縮機の圧縮が行われる圧縮空間の外周側の吸入閉じ切り位置を調節することにより容量制限を行う。
したがって、スクロール式の圧縮機をアンロード機能を利用して容量制限を行うことにより、スクロール部分の外側が均圧され中心部のみに圧力がかかることになるため、フルロードで圧縮機を駆動した時よりもスクロールにかかる力に偏りが生じにくくできる。このため、圧縮機が転覆して容量制御が困難になることを防ぐことができ、冷媒量判定の検知誤差を低減することができる。
第3発明に係る空気調和装置は、第1発明または第2発明に係る空気調和装置であって、圧縮機は、圧縮機の動力源であるモータの回転周波数を変更可能なインバータにより、運転容量をさらに調節可能である。
したがって、アンロード機能による容量制御を行いつつインバータによる容量制御を行うことができ、きめ細かな容量制御を実現できる。
第1発明に係る空気調和装置では、スクロール式の圧縮機をアンロード機能を利用して容量制限を行うことにより、スクロール部分の外側が均圧され中心部のみに圧力がかかることになるため、フルロードで圧縮機を駆動した時よりもスクロールにかかる力に偏りが生じにくくできる。このため、圧縮機が転覆して容量制御が困難になることを防ぐことができ、冷媒量判定の検知誤差を低減することができる。
第2発明に係る空気調和装置では、スクロール式の圧縮機をアンロード機能を利用して容量制限を行うことにより、スクロール部分の外側が均圧され中心部のみに圧力がかかることになるため、フルロードで圧縮機を駆動した時よりもスクロールにかかる力に偏りが生じにくくできる。このため、圧縮機が転覆して容量制御が困難になることを防ぐことができ、冷媒量判定の検知誤差を低減することができる。
第3発明に係る空気調和装置では、アンロード機能による容量制御を行いつつインバータによる容量制御を行うことができ、きめ細かな容量制御を実現できる。
以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明にかかる一実施形態の空気調和装置1の概略の冷媒回路図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の屋内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の室外ユニット2と、室内ユニット4と、室外ユニット2と室内ユニット4とを接続する液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7とを備えている。すなわち、本実施形態の空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット4と、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7とが接続されることによって構成されている。
<室内ユニット>
室内ユニット4は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。室内ユニット4は、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
次に、室内ユニット4の構成について説明する。
室内ユニット4は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室内側冷媒回路11を有している。この室内側冷媒回路11は、主として、利用側熱交換器としての室内熱交換器41を有している。
本実施形態において、室内熱交換器41は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。なお、本実施形態において、室内熱交換器41は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
本実施形態において、室内ユニット4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器41において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風ファンとしての室内ファン42を有している。室内ファン42は、室内熱交換器41に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータ等からなるモータ42mによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
また、室内ユニット4には、室内ユニット4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(すなわち、室内温度)を検出する室内温度センサ43が設けられている。本実施形態において、室内温度センサ43は、サーミスタからなる。また、室内ユニット4は、室内ユニット4を構成する各部の動作を制御する室内側制御部44を有している。そして、室内側制御部44は、室内ユニット4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等を有しており、室内ユニット4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外ユニット2との間で伝送線8aを介して制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。
<室外ユニット>
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7を介して室内ユニット4に接続されており、室内ユニット4とともに冷媒回路10を構成している。
次に、室外ユニット2の構成について説明する。室外ユニット2は、主として、冷媒回路10の一部を構成する室外側冷媒回路12を有している。この室外側冷媒回路12は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、熱源側熱交換器としての室外熱交換器23と、膨張機構としての室外膨張弁33と、アキュムレータ24と、液側閉鎖弁25と、ガス側閉鎖弁26とを有している。
圧縮機21は、運転容量を可変することが可能なスクロール式の圧縮機であり、本実施形態において、インバータにより回転数が制御されるモータ21mによって駆動される容積式圧縮機である。なお、圧縮機21については、後に詳述する。なお、本実施形態において、圧縮機21は、1台のみであるが、これに限定されず、室内ユニットの接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていてもよい。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器41を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ24)とガス冷媒連絡配管7側とを接続し(冷房運転状態:図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内熱交換器41を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内熱交換器41において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡配管7側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(暖房運転状態:図1の四路切換弁22の破線を参照)。
本実施形態において、室外熱交換器23は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が液冷媒連絡配管6に接続されている。なお、本実施形態において、室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
本実施形態において、室外膨張弁33は、室外側冷媒回路12内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行うために、冷房運転を行う際の冷媒回路10における冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の下流側に配置された(本実施形態においては、室外熱交換器23の液側に接続されている)電動膨張弁である。
本実施形態において、室外ユニット2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風ファンとしての室外ファン27を有している。この室外ファン27は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、本実施形態において、DCファンモータ等からなるモータ27mによって駆動されるプロペラファン等である。
アキュムレータ24は、四路切換弁22と圧縮機21との間に接続されており、室内ユニット4の運転負荷の変動等に応じて冷媒回路10内に発生する余剰冷媒を溜めることが可能な容器である。
液側閉鎖弁25およびガス側閉鎖弁26は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁25は、室外熱交換器23に接続されている。ガス側閉鎖弁26は、四路切換弁22に接続されている。
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、室内熱交換器41から流入してきたガス冷媒の圧力を検出する蒸発圧力センサ28と、室外熱交換器23により凝縮される凝縮圧力を検出する凝縮圧力センサ29と、アキュムレータ24の入口温度を検出する入口温度センサ35と、圧縮機21の吸入温度を検出する吸入温度センサ30と、室外熱交換器23の液側には液状態または気液二相状態の冷媒の温度を検出する液側温度センサ31とが設けられている。室外ユニット2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度)を検出する室外温度センサ32が設けられている。本実施形態において、吸入温度センサ30、液側温度センサ31、室外温度センサ32、および入口温度センサ35は、サーミスタからなる。また、室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外側制御部34を備えている。そして、室外側制御部34は、室外ユニット2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータ、メモリやモータ21mを制御するインバータ回路等を有しており、室内ユニット4の室内側制御部44との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。すなわち、室内側制御部44と室外側制御部34と制御部34、44間を接続する伝送線8aとによって、空気調和装置1全体の運転制御を行う制御部8が構成されている。
以上のように、室内側冷媒回路11と、室外側冷媒回路12と、冷媒連絡配管6、7とが接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。そして、本実施形態の空気調和装置1は、四路切換弁22により冷房運転および暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、室内ユニット4の運転負荷に応じて、室外ユニット2および室内ユニット4の各機器の制御を行うようになっている。
<圧縮機(スクロール式)について>
図2に示すように、圧縮機21は、いわゆる全密閉型に構成されている。この圧縮機21は、縦長円筒形の密閉容器状に形成されたケーシング50を備えている。ケーシング50は、縦長円筒部材である胴部51と、胴部51の上端部に固定された上部胴体52と、胴部51の下端部に固定された下部胴体53とから構成されている。
このケーシング50内には、冷媒を圧縮する圧縮機構60と、圧縮機構60を駆動するモータ21mとが収納されている。このモータ21mは、圧縮機構60の下方に配置され、回転軸である駆動軸80を介して圧縮機構60に連結されている。このモータ21mには、インバータ制御により回転速度を可変に調整することが可能なブラシレスDCモータが用いられている。
ケーシング50の頂部である上部胴体52には、吸入管54が貫通して取り付けられている。この吸入管54は、終端(図の下端)が圧縮機構60に接続されている。ケーシング50の胴部51には、吐出管55が貫通して取り付けられている。この吐出管55は、終端(図の右端)がケーシング50内の圧縮機構60とモータ21mの間に開口している。
駆動軸80は、ケーシング50の上下方向の中心線上に配置されている。この駆動軸80は、主軸部81と偏心部82とを備え、クランク軸を構成している。偏心部42は、主軸部41よりも小径に形成され、主軸部81の上端面に形成されている。そして、この偏心部82は、主軸部81の軸心に対して所定寸法だけ偏心し、偏心ピンを構成している。
圧縮機構60は、第1スクロール部材である固定スクロール61と、第2スクロール部材である可動スクロール62とを備えると共に、固定スクロール61を固定支持するハウジング63を備えている。固定スクロール61と可動スクロール62は、後述するように、互いに噛み合う渦巻き状のラップ61b,62bを鏡板61a,62a上に備えている。そして、圧縮機構60は、可動スクロール62が固定スクロール61に対して偏心回転運動をするように構成されている。
ハウジング63は、フランジ部63aと本体部63bと軸受部63cとによって構成されている。これらフランジ部63a、本体部63bおよび軸受部63cは、上から下へ連続して形成され、本体部63bがケーシング50の胴部51に嵌合して接合されている。フランジ部63aは、本体部63bの上端において本体部63bから径方向外方へ突出している。軸受部63cは、本体部63bよりも小径に形成され、本体部63bの下面から下方へ突出している。この軸受部63cは、滑り軸受63dを介して駆動軸80の主軸部81を回転自在に支持している。
固定スクロール61は、固定側鏡板61aと、固定側ラップ61bと、縁部61cとを備えている。固定側鏡板61aは略円板状に形成されている。固定側ラップ61bは、固定側鏡板61aの下面に立設され、固定側鏡板61aに一体形成されている。この固定側ラップ61bは、高さが一定の渦巻き壁状に形成されている。縁部61cは、固定側鏡板61aの外周縁部から下方へ向かって延びる壁状の部分と、その壁上の部分の下端部から径方向外方へ突出し、ハウジング63のフランジ部63aの上面に固定されるフランジ状の部分とから構成されている。
可動スクロール62は、可動側鏡板62aと、可動側ラップ62bと、ボス部62cとを備えている。可動側鏡板62aは略円板状に形成されている。可動側ラップ62bは、可動側鏡板62aの上面に立設され、可動側鏡板62aに一体形成されている。この可動側ラップ62bは、高さが一定の渦巻き壁状に形成され、固定スクロール61の固定側ラップ61bに噛合するように構成されている。ボス部62cは、可動側鏡板62aの下面から下方へ延設され、可動側鏡板62aに一体形成されている。
このボス部62cには、滑り軸受62dを介して駆動軸80の偏心部82が挿入されている。このため、駆動軸80が回転すると、可動スクロール62が主軸部81の軸心を中心として公転する。この可動スクロール62の公転半径は、偏心部82の偏心量、すなわち主軸部81の軸心から偏心部82の軸心までの寸法と同じである。
可動側鏡板62aはハウジング63の上端面に設けられた第1凹部63e内に位置し、ボス部62cはハウジング63の本体部63bに設けられた第2凹部63f内に位置している。なお、可動側鏡板62aとハウジング63との間には、可動スクロール62の自転を阻止するオルダム継手64が配設されている。第1凹部63eは可動側鏡板62aの偏心回転運動を許容する大きさに形成され、第2凹部63fはボス部62cの偏心回転運動を許容する大きさに形成されている。
図3は図1のIII−III線断面図であり、圧縮機構60の横断面形状を表している。この図3に示すように、本実施形態の圧縮機21では、いわゆる非対称渦巻き構造が採用されており、固定側ラップ61bと可動側ラップ62bとで巻き数(渦巻きの長さ)が相違している。具体的に、固定側ラップ61bは、可動側ラップ62bよりも約1/2巻き分だけ渦巻きの巻き数が長くなっている。ただし、固定側ラップ61bの最外周の一巻き分には外周面は形成されておらず、その範囲で固定側ラップ61bが固定スクロール21の縁部61cにつながっている。そして、固定側ラップ61bの巻き終わり端は、外周側端部とそれよりも一巻き分だけ長く巻かれたところに位置する内周側端部とが向き合った形で終結しており、その近傍に可動側ラップ62bの外周側端部(巻き終わり端)が位置している。
圧縮機構60は、固定側鏡板61aと可動側鏡板62aの間で固定側ラップ61bと可動側ラップ62bが噛合して区画形成された複数の圧縮室65a,65bを備えている。これら複数の圧縮室65a,65bは、固定側ラップ21bの内周面と可動側ラップ62bの外周面との間に構成される第1圧縮室65aと、固定側ラップ61bの外周面と可動側ラップ62bの内周面との間に構成される第2圧縮室65bとから構成され、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bのそれぞれが複数形成されている。この例では、固定側ラップ61bの巻き数が可動側ラップ62bの巻き数よりも多いため、第1圧縮室65aの最大容積が第2圧縮室65bの最大容積よりも大きい。
図2に示すように、固定スクロール61の外周側には、吸入管54の終端が接続される吸入ポート69が形成されている。この吸入ポート69には、図示していないが、圧縮室65a,65bへの冷媒の吸入のみを許容し、逆向きの冷媒の流れを禁止する逆止弁が設けられている。この吸入ポート69は、可動スクロール62の公転運動に伴って、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bのそれぞれに間欠的に連通する。
固定側鏡板61aの上端部には凹陥部61gが形成され、固定側鏡板61aの上面には、凹陥部61gを覆う吐出カバー67が取り付けられている。そして、この凹陥部61gが吐出カバー67で覆われた空間が吐出室68として構成されている。この固定側鏡板61aの中央には、吐出室68に開口する吐出ポート66が形成されている。この吐出ポート66は、可動スクロール62の公転運動に伴って第1圧縮室65aと第2圧縮室65bのそれぞれに間欠的に連通する。なお、吐出室68に吐出されたガス冷媒は、固定スクロール61とハウジング63に形成された図示しないガス通路を通じてハウジング63の下方の空間(高圧空間)56に導入され、吐出管55からケーシング50外へ吐出される。ケーシング50内は、ハウジング63の下方の空間が高圧空間56であるのに対して、ハウジングの上方の空間(圧縮機構60の周囲の空間)は、低圧空間57になるように構成されている。
この実施形態では、圧縮機構60の吸入行程における圧縮室65a,65bの吸入閉じ切り位置を調節することにより吸入容積を調整することのできる吸入容積調整機構70が設けられている。この吸入容積調整機構70は、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bの両方で吸入閉じ切り位置(吸入行程が完了し、圧縮行程が開始される位置)を調節できるものであり、図3に示すように渦巻きの外周側一巻き範囲内の1箇所のみに設けられている。この吸入容積調整機構70は、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bとを連通状態と遮断状態とに切り換え可能な開閉機構71により構成されている。
開閉機構71は、その断面構造を表す図4に示すように、具体的には、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bとが連通状態にあるときに両圧縮室65a,65b間での冷媒の流れを許容する連通路72と、この連通路72を開放する開放位置と連通路72を閉鎖する閉鎖位置とに移動可能なピストン(閉鎖部材)73と、このピストン73を開放位置と閉鎖位置とに位置変化させる開閉駆動機構74とを備えている。
吸入容積調整機構70(開閉機構71)の動作の詳細については後述するが、ピストン73を閉鎖位置にして運転を行うと、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bとが遮断状態になるため、設計値通りの吸入容積で冷媒を圧縮するフルロード駆動となる。これに対して、ピストン73を開放位置にして運転を行うと、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bとが連通状態になるため、設計値よりも少ない吸入容積で冷媒を圧縮するアンロード駆動となる。このアンロード駆動を行うとき、本実施形態では、モータ21mの回転速度をフルロード駆動時よりも速めるようにしている。
−運転動作−
次に、上述した圧縮機21の運転動作について説明する。
まず、モータ21mを駆動すると、駆動軸80が回転し、可動スクロール62が固定スクロール61に対して公転運動を行う。その際、固定スクロール61は、オルダム継手64によって自転が阻止される。
可動スクロール62の公転運動に伴って、圧縮室65a,65bの容積が周期的に増減を繰り返す。圧縮室65a,65bでは、吸入ポート69に連通した部分の容積が増大するときに、冷媒回路の冷媒が吸入管54から吸入ポート69を通って圧縮室65a,65bに吸い込まれ、吸入側が閉じ切られた部分の容積が減少するときに冷媒が圧縮された後、吐出ポート66から吐出室68に吐出される。吐出室68の冷媒は、図示しないガス通路を通じてハウジング63の下方の高圧空間56に流入し、吐出管55から冷媒回路の凝縮器に供給される。
(フルロード駆動時の圧縮機構の動作)
ここで、吸入容積調整機構70が作動していないとき(フルロード駆動時)の圧縮機構60の冷媒吸入動作および冷媒圧縮動作について、図5から図10を参照して説明する。このフルロード駆動時は、開閉機構71のピストン73が閉鎖位置にあって連通路72を閉鎖しており、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bとが遮断状態になっている。なお、図5から図10は、圧縮機構60の動作状態を6つの段階に分けて示す断面図であり、可動スクロール62が図の時計回り方向に所定の角度間隔で公転している様子を表している。
まず、図5に示した第1の動作状態では、可動側ラップ62bの巻き終わり端が固定側ラップ61bの歯と歯の間に位置しており、最外周の第1圧縮室65a−0と第2圧縮室65b−0の両方が低圧側に開放された状態で、両圧縮室65a−0,65b−0が吸入ポート69に連通している。なお、第1圧縮室65aに関し、図の中心線Y上のポイントp1で可動側ラップ62bの外周面と固定側ラップ61bの内周面とが実質的に接触しており(ここで言う「接触」はミクロンオーダーの隙間はあるが、油膜が形成されるために冷媒の漏れが問題にならない状態のことである)、その接触位置(シールポイント)p1よりも内周側(渦巻きの巻始め側)の部分65a−1は既に圧縮行程に入っている。
ここから可動スクロール62が図において時計回り方向に公転し、図6の第2の動作状態になると、可動側ラップ62bの巻き終わり端の内周面が固定側ラップ61bの外周面に接触し、その接触位置(シールポイント)p2が第2圧縮室65b−1の吸入閉じ切り位置となる。このとき、最外周の第1圧縮室65a−0では容積が拡大する吸入行程の途中であり、まだ巻き終わり側のシールポイントは形成されていない。
そこから可動スクロール62が公転して図7の第3の動作状態になると、第2圧縮室65b−1では容積が縮小して冷媒の圧縮行程が始まり、最外周の第1圧縮室65a−0では容積がさらに拡大して冷媒の吸入行程が進む。図8の第4の動作状態では、第2圧縮室65b−1での圧縮行程と最外周の第1圧縮室65a−0での吸入行程がさらに進んでいる。なお、第2圧縮室65bに関しては、既に圧縮途中の第2圧縮室65b−1に対して渦巻きの巻き終わり側に新たな第2圧縮室65b−0が形成され、そこで吸入行程が開始されている。
図9に示す第5の動作状態になると、最外周の第2圧縮室65b−0での吸入行程がさらに進む一方、可動側ラップ62bの巻き終わり端の外周面が固定側ラップ61bの内周面に接触し、その接触位置(シールポイント)p1が第1圧縮室65a−1の吸入閉じ切り位置となる。図10に示す第6の動作状態になると、図9の状態で形成された第1圧縮室65a−1での圧縮行程が進むとともに、最外周の第2圧縮室65b−0での吸入行程が進む。そして、図5に示す第1の動作状態に戻って、圧縮途中の第1圧縮室65a−1の外周側(渦巻きの巻き終わり側)に新たな第1圧縮室65a−0が形成される。
その後は、図5から図10の動作が繰り返され、圧縮途中の第1圧縮室65a−1および第2圧縮室65b−1が容積を縮小しながら渦巻きの内周側へ移動して、それぞれ吐出直前の第1圧縮室65a−2および第2圧縮室65b−2へ変化していく。そして、第1圧縮室65a−2および第2圧縮室65b−2は、最も内周側へ移動して容積が最小になったときに吐出ポート66と連通し、冷媒が圧縮機構60から吐出される。
(アンロード駆動時の圧縮機構の動作)
次に、吸入容積調整機構70が作動しているとき(アンロード駆動時)の圧縮機構60の冷媒吸入動作および冷媒圧縮動作について、同じく図5から図10を参照して説明する。このアンロード駆動時は、吸入容積調整機構70である開閉機構71はピストン73が開放位置にあって連通路72を開放しており、第1圧縮室65aと第2圧縮室65bとが連通状態(連通可能な状態)になっている。
まず、図5に示した第1の動作状態において、最外周の第1圧縮室65a−0と第2圧縮室65b−0の両方が低圧側に開放された状態で、両圧縮室65a−0,65b−0が吸入ポート69に連通している点はフルロード駆動時と同じである。一方、フルロード駆動時には可動側ラップ62bの外周面と固定側ラップ61bの内周面が図の中心線Y上のポイントp1で接触し、このポイント(シールポイント)p1よりも内周側(渦巻きの巻始め側)の第1圧縮室65a−1が既に閉じ切られていたのに対して、この第1圧縮室65a−1は連通路72を介して、吸入行程の途中にある最外周の第2圧縮室65b−0に連通している。したがって、この第1圧縮室65a−1はまだ吸入閉じ切り位置の手前の状態であり、第2圧縮室65bと同様に吸入行程の途中の段階である。
図6の第2の動作状態になると、固定側ラップ61bの内周面と可動側ラップ62bの外周面との接触点p1が開閉機構71の連通路72を通過した直後の位置に変位している。したがって、このときの接触位置(シールポイント)p1が第1圧縮室65a−1の吸入閉じ切り位置となる。一方、この状態でフルロード駆動時には閉じ切られていた最外周の第2圧縮室65b−1は、圧縮行程に入った第1圧縮室65a−1の渦巻き外周側に形成されている最外周の第1圧縮室65a−0に連通路72を通じて連通している。そして、この最外周の第1圧縮室65a−0が吸入行程の途中であるため、第2圧縮室65bは吸入閉じ切り前である。
この状態は図7に示す第3の運転状態と図8に示す第4の運転状態でも同じであり、第2圧縮室65b−1は吸入閉じ切り前の状態で、まだ巻き終わり側のシールポイントは形成されていない。このとき、最外周の第1圧縮室65a−0も吸入行程の途中である。なお、図8に示す第4の動作状態では、第2圧縮室65b−1の渦巻き外周側に、新たな第2圧縮室65b−0が形成され始めている。
図9に示す第5の動作状態になると、固定側ラップ61bの外周面と可動側ラップ62bの内周面との接触点p2が開閉機構71の連通路72を通過する。したがって、このときの接触点p2が第2圧縮室65b−1のシールポイントとなり、第2圧縮室65b−1での圧縮行程が開始される。この状態で、フルロード駆動時には最外周の第1圧縮室65a−1が閉じ切られた状態になっていたが、アンロード駆動時には最外周の第1圧縮室65a−1が最外周の第2圧縮室65b−0を通じて低圧側に連通しているため、まだ吸入行程の途中である。このことは図10の第6の動作状態でも同じであり、図5の第1の動作状態に戻っても同じである。
以上のように、開閉機構71の連通路72を開いておくことにより、第1圧縮室65aおよび第2圧縮室65bの両方の吸入容積がフルロード駆動時に比べて小さくなる。その結果、フルロード駆動時よりも圧縮比が小さくなり、吸入圧力がフルロード駆動時と同じとすると吐出圧力が下がることになる。また、この結果、アンロード駆動時における圧縮行程が開始されるポイントが、フルロード駆動時よりも駆動軸80に近い位置に移動することになる。このため、アンロード駆動の方が、圧縮行程に関わる領域をフルロード駆動よりもより駆動軸80に近い位置に抑えることができ、可動スクロール62が転覆(傾斜)することを抑えることができるという効果を奏する。
なお、このアンロード駆動を行うとき、本実施形態では、モータ21mの回転速度をフルロード駆動時よりも速めるようにしているため、圧縮機21の能力をフルロード駆動時と同等に保つことができる。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について説明する。
本実施形態の空気調和装置1の運転モードとしては、室内ユニット4の運転負荷に応じて、室外ユニット2および室内ユニット4の各機器の制御を行う通常運転モードと、室内ユニット4の全てを冷房運転しつつ凝縮器として機能する室外熱交換器23の出口における冷媒の過冷却度を検出して冷媒回路10内に充填されている冷媒量の適否を判断する冷媒量判定運転モードとがある。そして、通常運転モードには冷房運転と暖房運転とがあり、冷媒量判定運転モードには冷媒漏洩検知運転がある。
以下、空気調和装置1の各運転モードにおける動作について説明する。
<通常運転モード>
まず、通常運転モードにおける冷房運転について説明する。
冷房運転時は、四路切換弁22が図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室外熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室内熱交換器41のガス側に接続された状態となっている。ここで、液側閉鎖弁25およびガス側閉鎖弁26は、開状態にされている。また、室外膨張弁33は、室外熱交換器23の出口における冷媒の過冷却度が所定値になるように開度調節されるようになっている。本実施形態において、室外熱交換器23の出口における冷媒の過冷却度は、凝縮圧力センサ29により検出される室外熱交換器23の出口側の冷媒圧力(凝縮圧力)値を冷媒の飽和温度値に換算し、液側温度センサ31により検出される冷媒温度値をこの冷媒の飽和温度値から差し引くことによって検出される。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21および室外ファン27を起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となる。その後、高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を経由して室外熱交換器23に送られて、室外ファン27によって供給される屋外空気と熱交換を行って凝縮されて高圧の液冷媒となる。そして、高圧の液冷媒は、室外膨張弁33によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、液側閉鎖弁25および液冷媒連絡配管6を経由して、室内ユニット4に送られる。ここで、室外膨張弁33は、室外熱交換器23の出口における過冷却度が所定値になるように室外熱交換器23内を流れる冷媒の流量を制御しているため、室外熱交換器23において凝縮された高圧の液冷媒は、所定の過冷却度を有する状態となる。
室内ユニット4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器41に送られ、室内熱交換器41で屋内空気と熱交換を行って蒸発されて低圧のガス冷媒となる。そして、室内熱交換器41には、室内ユニット4が設置された空調空間において要求される運転負荷に応じた流量の冷媒が流れている。
この低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管7を経由して室外ユニット2に送られ、ガス側閉鎖弁26および四路切換弁22を経由して、アキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。ここで、室内ユニット4の運転負荷に応じて、例えば、室内ユニット4の運転負荷が小さい場合や停止している場合には、アキュムレータ24に余剰冷媒が溜まるようになっている。
ここで、通常運転モードの冷房運転を行っている際における冷媒回路10の冷媒の分布状態は、図11に示されるように、冷媒が、液状態(図11における塗りつぶしのハッチング部分)、気液二相状態(図11における格子状のハッチング部分)、ガス状態(図11における斜線のハッチング部分)の各状態をとって分布している。具体的には、室外熱交換器23の出口付近から室外膨張弁33までの部分は、液状態の冷媒で満たされている。そして、室外熱交換器23の中間の部分、および、室外膨張弁33から室内熱交換器41の入口付近までの間の部分は、気液二相状態の冷媒で満たされている。また、室内熱交換器41の中間部分から、ガス冷媒連絡配管7、アキュムレータ24の一部を除く部分、圧縮機21を介して室外熱交換器23の入口付近までの間の部分は、ガス状態の冷媒で満たされている。なお、ここで除外されているアキュムレータの一部には、余剰冷媒として溜まり込んだ液冷媒が溜まっている場合がある。ここで、図11は、冷房運転における冷媒回路10内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。
次に、通常運転モードにおける暖房運転について説明する。
暖房運転時は、四路切換弁22が図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が室内熱交換器41のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が室外熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。室外膨張弁33は、室外熱交換器23に流入する冷媒を室外熱交換器23において蒸発させることが可能な圧力(すなわち、蒸発圧力)まで減圧するために開度調節されるようになっている。また、液側閉鎖弁25およびガス側閉鎖弁26は、開状態にされている。
この冷媒回路10の状態で、圧縮機21および室外ファン27を起動すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機21に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁22、ガス側閉鎖弁26およびガス冷媒連絡配管7を経由して、室内ユニット4に送られる。
そして、室内ユニット4に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器41において、屋内空気と熱交換を行って凝縮されて高圧の液冷媒となった後、液冷媒連絡配管6を経由して室外ユニット2に送られる。
この高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁25を経由して、室外膨張弁33によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、室外熱交換器23に流入する。そして、室外熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン27によって供給される屋外空気と熱交換を行って蒸発されて低圧のガス冷媒となり、四路切換弁22を経由してアキュムレータ24に流入する。そして、アキュムレータ24に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機21に吸入される。ここで、室内ユニット4の運転負荷に応じて、例えば、室内ユニット4の運転負荷が小さい場合等のように、冷媒回路10内に余剰冷媒量が発生する場合には、冷房運転時と同様、アキュムレータ24に余剰冷媒が溜まるようになっている。
<冷媒量判定運転モード>
冷媒量判定運転モードでは、冷媒漏洩検知運転が行われることになりその中に、空気調和装置1が設置されて初めて行われる運転(以下、初回設定運転とする)と、2回目以降の運転(以下、判定運転とする)とでは運転方法が異なる。このため、以下に初回設定運転と、判定運転とに分けて説明する。
(初回設定運転)
現地において、冷媒が予め充填された室外ユニット2と、室内ユニット4とを液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管7を介して接続して冷媒回路10を構成した後に、リモコン(図示せず)を通じて、または、室内ユニット4の室内側制御部44や室外ユニット2の室外側制御部34に対して直接に、冷媒量判定運転モードの1つである冷媒漏洩検知運転を行うように指令を出すと、下記のステップS1からステップS9の手順で初回設定運転が行われる(図12参照)。
−ステップS1、室内ユニットを冷房運転(圧縮機のアンロード駆動)−
まず、ステップS1では、初回設定運転の開始指令がなされると、冷媒回路10は、室外ユニット2の四路切換弁22が図1の実線で示される状態(冷房運転状態)となる。そして、圧縮機21、室外ファン27が起動されて、室内ユニット4の全てについて強制的に冷房運転(通常運転モードにおける冷房運転とは室外ファン27の制御方法などが異なる)が行われる(図11参照)。また、このとき圧縮機21は、吸入容積調整機構70が作動させたアンロード駆動を行っており、可動スクロール62が転覆しにくい制御を行っている。そして、冷房運転が所定時間実施された後に、次のステップS2へ移行する。
−ステップS2、温度の読込−
ステップS2では、室内温度センサ43により検出される室内温度Tbと、室外温度センサにより検出される室外温度Taとの読込が行われる。室内温度Tbと室外温度Taとが検出されると次のステップS3へ移行する。
−ステップS3、検知可能範囲か否かの判定−
ステップS3では、検出された室内温度Tbと室外温度Taとが、予め設定されている冷媒量判定運転モードに適した所定の温度範囲(例えば、室内温度であればTbl≦Tb<Tbuの範囲、室外温度であればTal≦Ta<Tauの範囲)内にあるか否かを判定する。ステップS3で、室内温度Tbと室外温度Taとが、所定の温度範囲内にあった場合には次のステップS4へ移行し、所定の温度範囲内になかった場合にはステップS5へ移行する。
−ステップS4、初期目標値の決定−
ステップS4では、検出された室内温度Tbと室外温度Taとに基づいて、予め設定されているマップからそれらの値に対応するアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度、圧縮機21の回転周波数、および室外ファン27のファン回転数が導出される。なお、ここにいう「マップ」は、図13に示すように、室内温度Tbおよび室外温度Taと、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度(図13では過熱度と表記)、圧縮機21の回転周波数(図13では圧縮機周波数と表記)、および室外ファン27のファン回転数(図13では、ファン回転数と表記)とを関連づけたものである。そして、このマップのアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度、圧縮機21の回転周波数、および室外ファン27のファン回転数は、検出される室内温度および室外温度の検出値(環境条件)に対して、冷房運転を行った際にそれぞれ相対過冷却度が0.5になるような値が設定されている。図13では、室外温度Taが、Tal℃以上Ta1℃未満の場合、Ta1℃以上Ta2℃未満の場合、Ta2℃以上Tau℃未満の場合の3つの場合に分けられ、室内温度Tbが、Tbl℃以上Tb1℃未満の場合、Tb1℃以上Tb2℃未満の場合、Tb2℃以上Tbu℃未満の場合の3つの場合に分けられており、マップとしては9つの場合に分けられる。なお、ここにいう「相対過冷却度値」とは、室外熱交換器23の出口における過冷却度値を、凝縮温度値から室外温度を差し引いた値により除した値のことを言う。また、図面上では、相対過冷却度を相対SCと表記することにする。「相対過冷却度値」については、後に詳述する。本実施形態では、凝縮温度値は、凝縮圧力センサ29により検出される室外熱交換器23の出口側の圧力(凝縮圧力)値を冷媒の飽和温度に換算した値を用いている。例えば、検出された室内温度TbがTbl℃以上Tb1℃未満の範囲であって、検出された室外温度TaがTa1℃以上Ta2℃未満の範囲である場合には、図13のマップに基づいて、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度がX2℃、圧縮機21の回転周波数がY2Hz、室外ファン27のファン回転数がZ2rpmと決定される。なお、ステップS4において、このように検出された室内温度Tbおよび室外温度Taとマップとに基づいて導出されるアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度、圧縮機21の回転周波数、および室外ファン27のファン回転数は、それぞれ、初期過熱度、初期周波数、初期ファン回転数として決定されており、ステップS6における制御の設定値として利用される。
したがって、冷房運転において、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を初期過熱度に、圧縮機21の回転周波数を初期周波数に、室外ファン27のファン回転数を初期ファン回転数に設定することにより、少なくとも相対過冷却度値を0.5に近い状態で運転し始めることができる。
−ステップS5、初回設定運転の中止−
ステップS5は、ステップS4の一方でステップS3において室内温度Tbと室外温度Taとが所定の温度範囲内になかった場合に行われ、温度条件が冷媒漏洩検知運転の範囲外である旨を室外ユニット2やリモコン等に備えられる表示部(図示せず)に表示し、初回設定運転を中止する。
−ステップS6、相対過冷却度が所定値以上であるか否かの判定−
ステップS6では、相対過冷却度値を導出し、相対過冷却度値が所定値以上(例えば、0.5以上)であるか否かを判定する。ステップS6において、相対過冷却度値が所定値未満であると判定されると次のステップS7へ移行し、所定値未満であると判定されるとステップS8へ移行する。なお、冷媒回路内の充填冷媒が10%漏れたときに相対過冷却度は0.3低下するため、本実施形態においては、相対過冷却度の値を例として0.3以上としている。すなわち、この所定値は少なくとも0.3以上であることが望ましい。
−ステップS7、相対過冷却度の制御−
ステップS7では、相対過冷却度値が所定値未満であるため、相対過冷却度値が所定値以上になるように、圧縮機21の回転周波数とアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度とを制御する。例えば、圧縮機21の回転周波数が第1周波数としての40Hz、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を5℃の状態でステップS1における冷房運転を行い、相対過冷却度値が所定値以上であるか否かを判定する。この運転状態において、相対過冷却度値が所定値未満である場合には、圧縮機21の回転周波数を40Hzのままにして、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を5℃上げて10℃にして相対過冷却度値を導出し、相対過冷却度値が所定値以上になるか否かを判定する。そして、相対過冷却度値が所定値未満である場合には、これを繰り返し、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度が上がりきっても相対過冷却度値が所定値未満である場合には、圧縮機21の回転周波数を40Hzから例えば第2周波数としての50Hzに上げて、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を5℃に下げて、同様に相対過冷却度値が所定値以上であるか否かを判定する。そして、上述したようにアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を再び5℃ずつ上げることを繰り返すことにより、相対過冷却度値が所定値以上になるように制御する。そして、相対過冷却度値が所定値以上になったら、ステップS8へ移行する。なお、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度の制御(例えば過熱度を5℃から5℃ずつ上げていく制御)は、室外膨張弁33を開の状態から絞っていくことによって制御している。また、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度の制御は、これに限らずに、室内ファン42の風量を制御することにより行っても構わないし、室外膨張弁33の弁開度の制御と室内ファン42の風量の制御とを併用して行っても構わない。なお、ここでアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度は、入口温度センサ35により検出される冷媒温度値から、蒸発圧力センサ28により検出される蒸発圧力値を冷媒の飽和温度値に換算した値を、差し引くことによって検出される。また、ここで、冷媒の過熱度として、アキュムレータ24の入口に配置される入口温度センサ35により検出される冷媒温度値を利用しているが、これに限らずに、室内熱交換器41と圧縮機21との間の冷媒配管に温度センサを設けてその温度センサが検出する冷媒温度値を利用しても構わない。
なお、ステップS7により過熱度が正値になるように制御されるため、図16で示されるように、アキュムレータ24に余剰冷媒が溜まっていない状態となり、アキュムレータ24に溜まっていた冷媒は室外熱交換器23に移動することになる。
ここで、ステップS4が無く初期目標値を決定しない場合(図14参照)と、ステップS4において初期目標値を決定する場合(図15参照)とに分けてステップS4において初期目標値を決定する効果について説明する。図14は、ステップS4が無くステップS7の相対過冷却度の制御を行った場合のモデル図であり、図15は、ステップS4を経てステップS7の相対過冷却度の制御を行った場合のモデル図である。
まず、ステップS4がなく初期目標値を決定していない場合には、図14の点P1のように、圧縮機21の回転周波数とアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度が設定され、点P1においては相対SCが0.3に満たないため、点P1の位置からアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を5℃上げた点P2に移行して、相対過冷却度値の検出が行われる。このように、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を5℃ずつ上げて点5の位置まで推移しても相対過冷却度値は0.4を少し超えた値に過ぎず0.5未満であり、かつ、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度が上がりきっている状態であるため、次に圧縮機21の回転周波数を上げた状態で過熱度を点P1と同じ状態に戻した点P6に移行して相対過冷却度値の検出を行う。点P6でも、相対過冷却度値は0.3を少し超えた値で0.5未満であるため、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を5℃上げた点P7に移行する。このようにして、相対過冷却度値の検出を行い、相対過冷却度値が0.5を超える状態(最終的には点P13)まで繰り返すことになる。
一方で、ステップS4により、マップから初期目標値を決定する場合には、図15の点P21のように、予め相対過冷却度値が0.5に近い状態からステップS7の相対過冷却度の制御を行うことができることになり、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を2段階上げることのみで相対過冷却度値が0.5となる点P23に到達させることができる。したがって、マップを保持してステップS4の処理を経る方が、相対過冷却度値が0.5に近い状態で冷房運転を行うことができ、ステップS7にかかる時間を短縮することができる。また、ステップS7の段階で相対過冷却度値が0.5を超える場合も多くすることができる。このように、ステップS4の処理を経ることにより、初期設定運転にかかる時間を短縮できるという効果を奏する。
−ステップS8、相対過冷却度を記憶−
ステップS8では、ステップS6またはステップS7において所定値以上である相対過冷却度値を初回相対過冷却度値として記憶し、次のステップS9へ移行する。
−ステップS9、パラメータを記憶−
ステップS9では、ステップS8において記憶した過冷却度値の際の運転状態における、アキュムレータ24の入口の入口における過熱度と、圧縮機21の回転周波数と、室内ファン42のファン回転数と、室外ファン27のファン回転数と、室外温度Taと、室内温度Tbとを記憶して、初回設定運転を終了する。
(判定運転)
次に、冷媒量判定運転モードに1つである判定運転について図17を用いて説明する。図17は、判定運転時のフローチャートである。
この判定運転は、初回設定運転が行われた後に定期的(例えば、毎年1回、空調空間に負荷を必要としないとき等)に、通常運転モードにおける冷房運転や暖房運転から切り換えられて、不測の原因により冷媒回路内の冷媒が外部に漏洩していないか否かを検知する運転である。
−ステップS11、通常運転モードが一定時間経過したか否かの判定−
まず、上記の冷房運転や暖房運転のような通常運転モードにおける運転が一定時間経過したかどうかを判定し、通常運転モードにおける運転が一定時間経過した場合には、次のステップS12に移行する。
−ステップS12、室内ユニットを冷房運転−
通常運転モードにおける運転が一定時間経過した場合には、上記の初回設定運転のステップS1と同様に、冷媒回路10が、室外ユニット2の四路切換弁22が図1の実線で示される状態となり、圧縮機21、室外ファン27が起動されて、室内ユニット4の全てについて強制的に冷房運転が行われる。
−ステップS13、温度の読込−
ステップS13では、上記の初回設定運転のステップS2と同様に、室内温度と室外温度との読込が行われる。室内温度Tbと室外温度Taとが検出されると次のステップS14へ移行する。
−ステップS14、検知可能範囲か否かの判定−
ステップS14では、上記の初回設定運転のステップS3と同様に、検出された室内温度Tbと室外温度Taとが予め設定されている冷媒量判定運転モードに適した所定の温度範囲内であるか否かを判定する。ステップS14で、室内温度Tbと室外温度Taとが、所定の温度範囲内にあった場合には次のステップS15へ移行し、所定の温度範囲内になかった場合にはステップS16へ移行する。
−ステップS15、初回設定運転における条件に制御−
ステップS15では、上記の初回設定運転のステップS8において記憶したアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度と、圧縮機21の回転周波数と、室内ファン42のファン回転数と、室外ファン27のファン回転数とに、室外膨張弁33、圧縮機21、室内ファン42、および室外ファン27を制御する。これにより、冷媒回路10内部の冷媒の状態を、初回設定運転と同様の状態であると見なすことができる。すなわち、冷媒回路10内の冷媒量が変化しておらず、かつ、室内温度Tbと室外温度Taとが所定の温度範囲内にあった場合には、初回設定運転において行った冷房運転の諸条件をほぼ同一のものとして再現していることになり、過冷却度値などをほぼ同じ値にできる。ステップS15が終了すると、ステップS17へ移行する。
−ステップS16、判定運転の中止−
ステップS16は、ステップS15の一方でステップS14において室内温度Tbと室外温度Taとが所定の温度範囲内になかった場合に行われ、温度条件が冷媒漏洩検知運転の範囲外である旨を室外ユニット2やリモコン等に備えられる表示部(図示せず)に表示し、判定運転を中止する。
−ステップS17、冷媒量の適否の判定−
ステップS17では、上記の初回設定運転のステップS6と同様に、相対過冷却度を導出する。そして、初回相対過冷却度から相対過冷却度を差し引いた値(以下、相対過冷却度差とする)が第2所定値以上であるか否かを判定する。ステップS17において、相対過冷却度差が第2所定値未満であると判定されると判定運転を終了し、相対過冷却度差が第2所定値以上であると判定されるとステップS18へ移行する。
−ステップS18、警告表示−
ステップS18では、冷媒の漏洩が発生しているものと判定して、冷媒漏洩を検知したことを知らせる警告表示を行った後に、判定運転を終了する。
<相対過冷却度値について>
相対過冷却度値について図18〜20にもとづいて説明する。
まず、図18は、室外ファン風量に対する室外温度Taが一定の際の凝縮温度Tcおよび室外熱交換器出口温度Tlを表すグラフである。図18を見ると、室外温度Taが一定の条件においては、室外ファン風量が増大するにしたがって、凝縮温度Tcおよび室外熱交換器出口温度Tlが減少していく。そして、その減少の落差は、凝縮温度Tcの方が室外熱交換器出口温度Tlよりも大きい。すなわち、室外ファン風量が大きくなると、凝縮温度Tcと室外熱交換器出口温度Tlとの差である過冷却度値が小さくなることが分かる。
ここで、室外ファン風量に対する過冷却度値の分布を表すグラフである図19を見ると、室外ファン風量が増大すると、過冷却度値が小さくなっていることが分かる。また、図19では、室外ファン風量が小さい場合の方が、室外ファン風量が大きい場合よりも過冷却度値のバラツキが大きくなっている。これは、室外ファン風量の大きさに比例して室外熱交換器における空気側熱伝達率が大きくなるためであり、室外ファン風量が小さい場合の方が、室外熱交換器の汚れ、室外機の設置状況、風雨などの外乱の影響を受けやすく、室外ファン風量が大きい場合の方が外乱の影響を受けにくいためである。このため、過冷却度を用いて過冷却度のバラツキを抑え冷媒量判定の検知誤差を低減させるためには、室外ファン風量を最大にして冷媒量判定運転を行うことが有効である。
そして、図20は、室外ファン風量に対する相対過冷却度値の分布を表すグラフである。相対過冷却度値とは、上述したように、凝縮温度値から室外温度を差し引いた値により、過冷却度値を除した値である。図20を見ると、室外ファン風量の大小にかかわらず、その値はほぼ0.3から0.4の間に収まっており、バラツキが少ないことが分かる。このため、過冷却度の代わりにこの相対過冷却度値を冷媒量の適否を判定する際に指標として利用することにより、室外ファン風量を最大にすることを必要とせずに外乱による影響を極力受けることなく冷媒量の適否を判定することができ、検知誤差を抑えることができる。したがって、相対過冷却度値を冷媒量の適否の判定に利用することは有用である。
(3)空気調和装置の特徴1
本発明の空気調和装置1では、冷媒量判定運転モードにおいて、圧縮機21をアンロード駆動させた状態で、冷媒量判定運転モードの初回設定運転または判定運転のおける冷房運転を行っている。
このように、スクロール式の圧縮機21をアンロード機能を利用して容量制限を行うことにより、スクロール部分の外側が均圧され中心部のみに圧力がかかることになるため、フルロードで圧縮機を駆動した時よりもスクロールにかかる力に偏りが生じにくくできる。このため、圧縮機21の可動式スクロール62が転覆して容量制御が困難になることを防ぐことができ、冷媒量判定運転モードにおける上記ステップS5、ステップS6、ステップS15、ステップS16で圧縮機21の容量制御を極力正確に行うことができる。これにより、冷媒量判定の検知誤差を低減することができる。
(4)空気調和装置の特徴2
本発明の空気調和装置1では、冷媒量の適否を判定するための指標値を初期設定運転において、検出される相対過冷却度が予め設定された所定値(例えば0.5)以上になるように圧縮機21およびアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度が制御され、その時(の圧縮機の周波数を第1周波数として、その時(安定状態)のアキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を記憶し、さらにその時の相対過冷却度を指標値として記憶している。そして、初回設定運転から所定期間(本実施形態では1年)経過後に行われる判定運転において、圧縮機21の周波数を初期設定運転により記憶した周波数に、アキュムレータ24の入口における冷媒の過熱度を初期設定運転により記憶した過熱度に制御して、その時の相対過冷却度を検出値として検出し、検出値と初期設定運転において記憶した指標値とを比較して、冷媒回路内に充填されている冷媒量の適否を判定している。
したがって、初期設定運転において、冷媒量の適否の判定に採用する指標を、相対過冷却度を採用してこの値が例えば0.5以上となるように、予め設定しているため、冷媒追加充填を基本的に想定していないような空気調和装置においても冷媒量適否判定に際して過冷却度または運転状態量をある程度大きな値を確保することができ、冷媒量が減少した場合にそれらの値が小さくなることを検出しやすくなり、冷媒量の判定誤差を低減することができる。
(5)変形例1
本実施形態において、室外熱交換器23の出口における冷媒の過冷却度は、凝縮圧力センサ29により検出される室外熱交換器23の出口側の冷媒圧力(凝縮圧力に相当)値を冷媒の飽和温度値に換算し、液側温度センサ31により検出される冷媒温度値をこの冷媒の飽和温度値から差し引くことによって検出しているが、これに限らない。
例えば、室外熱交換器23の冷媒の温度を検出可能な室外熱交センサを設けて凝縮温度値を冷媒の飽和温度値として検出し、液側温度センサ31により検出される冷媒温度値をこの冷媒の飽和温度値から差し引くことによって検出しても構わない。
(6)変形例2
本実施形態において、相対過冷却度値を冷媒量の適否の判定の指標としているが、これに限らず、過冷却度値を冷媒量の適否の判定の指標としても構わない。
(7)変形例3
本実施形態においては、図8およびその説明に示されたように、通常運転モードと冷媒量判定運転モードとが一定の時間間隔で切り換える制御を行う場合を例として挙げているが、これに限定されるものではない。
例えば、制御的に切り換えられるのではなく、空気調和装置1に冷媒量判定運転モードに切り換えるためのスイッチ等を設けておき、サービスマンや設備管理者が、現地において、スイッチ等を操作することにより、冷媒漏洩検知運転を定期的に行うようなものであってもよい。
(8)
本実施形態においては、圧縮機21のアンロード駆動時のモータ21mの制御について何も言及していなかったが、アンロード駆動時にモータ21mの回転周波数を上げることにより、フルロード駆動時と同等の圧縮効率を実現させても構わない。
(9)他の実施形態
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、冷暖切り換え可能な空気調和装置に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されず、セパレートタイプの空気調和装置であれば適用可能であり、ペア型の空気調和装置や冷房専用の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
本発明を利用すれば、熱源ユニットと利用ユニットとが冷媒連絡配管を介して接続されたセパレートタイプの空気調和装置において、冷媒回路内に充填されている冷媒量の適否を精度良く判定できるようにすることができる。
本発明にかかる一実施形態の空気調和装置の概略の冷媒回路図である。 スクロール式の圧縮機の縦断面図である。 図1のIII−III断面図である。 開閉機構(吸入容積調整機構)の断面構造図である。 圧縮機構の第1の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第2の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第3の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第4の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第5の動作状態を示す断面図である。 圧縮機構の第6の動作状態を示す断面図である。 冷房運転における冷媒回路内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。 初期設定運転のフローチャートである。 マップの概略図である。 ステップS4が無く初期目標値を決定せずにステップS6の相対過冷却度の制御を行った場合のモデル図。 ステップS4において初期目標値を決定してステップS6の相対過冷却度の制御を行った場合のモデル図。 冷媒量判定運転モード(初期設定運転および判定運転)における冷媒回路内を流れる冷媒の状態を示す模式図である。 判定運転のフローチャートである。 室外ファン風量に対する室外温度Taが一定の際の凝縮温度Tcおよび室外熱交換器出口温度Tlを表すグラフである。 室外ファン風量に対する過冷却度値の分布を表すグラフである。 室外ファン風量に対する相対過冷却度値の分布を表すグラフである。
符号の説明
1 空気調和装置
2 室外ユニット(熱源ユニット)
4 室内ユニット(利用ユニット)
6 液冷媒連絡配管
7 ガス冷媒連絡配管
10 冷媒回路
21 圧縮機
23 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
33 室外膨張弁(膨張機構)
41 室内熱交換器(利用側熱交換器)
70 吸入容積調整機構(圧縮機容量制御手段)

Claims (3)

  1. 運転容量を少なくともアンロード機能によって調節可能なスクロール式の圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)と膨張機構(33)とアキュムレータ(24)とを有する熱源ユニット(2)と、利用側熱交換器(41)を有する利用ユニット(4)と、前記熱源ユニットと前記利用ユニットとを接続する液冷媒連絡配管(6)およびガス冷媒連絡配管(7)を含み、前記熱源側熱交換器を前記圧縮機において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、前記利用側熱交換器を前記熱源側熱交換器において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させる冷房運転を少なくとも行うことが可能な冷媒回路(10)と、
    前記利用ユニットの運転負荷に応じて前記熱源ユニットおよび前記利用ユニットの各機器の制御を行う通常運転モードから、前記冷房運転を行い前記利用側熱交換器の出口から前記圧縮機の入口までの間の少なくとも1カ所における冷媒の過熱度が正値になるように前記膨張機構を制御する冷媒量判定運転モードへ切り換えるモード切替手段と、
    前記冷媒量判定運転モードにおいて、前記熱源側熱交換器の出口における冷媒の過冷却度または前記過冷却度の変動に応じて変動する運転状態量を第1検出値として検出する検出手段と、
    前記冷媒量判定運転モードにおいて、前記第1検出値に基づいて、前記冷媒回路内に充填されている冷媒量の適否の判定を冷媒量適否判定として行う冷媒量適否判定手段と、
    前記冷媒量判定運転モードにおいて、前記アンロード機能を利用した容量制限を行った状態で、前記圧縮機を駆動させる圧縮機容量制御手段(70)と、
    を備える空気調和装置(1)。
  2. 前記圧縮機容量制御手段は、前記圧縮機の圧縮が行われる圧縮空間の外周側の吸入閉じ切り位置を調節することにより前記容量制限を行う、
    請求項1に記載の空気調和装置(1)。
  3. 前記圧縮機は、前記圧縮機の動力源であるモータの回転周波数を変更可能なインバータにより、前記運転容量をさらに調整可能である、
    請求項1または2に記載の空気調和装置(1)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017098670A1 (ja) * 2015-12-11 2017-06-15 三菱電機株式会社 冷凍装置

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