JP2010095739A - 耐熱性および成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性(高温強度)が要求され、しかも焼鈍状態において高い成形性をも有するAl−Mn−Mg系合金板を安価に提供する。
【解決手段】質量%で、Si:0.05〜0.3%、Fe:0.05〜0.5%、Mn:0.6〜2.5%、Mg:0.1〜2.0%を含有し、残部実質的に不可避的不純物とAlからなり、冷延されたままの状態であり、マトリックスのMn固溶量はMn含有量の70%以上で、200℃における引張強さが200MPa以上であるアルミニウム合金板。焼鈍状態ではマトリックスのMn固溶量はMn含有量の50%以上で、200℃における引張強さが100MPa以上、球頭張出高さ27mm以上であり、耐熱性および成形性に優れる。上記組成のアルミニウム合金溶湯を薄スラブ連続鋳造機にて、スラブ厚み1/4箇所の凝固冷却速度20〜200℃/secで厚み5〜15mmのスラブに鋳造し、冷間圧延を施す、または更に焼鈍する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性(高温強度)および成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
Al−Mn−Mg系アルミニウム合金板は、成形性および耐食性に優れ、塗装焼付け後の耐力の低下が少ないという性質を有するため、アルミニウム缶、電気・機械機器など成形加工用の板として広く用いられてきた。
成形性に関して、特許文献1では、Al−Mn−Mg系アルミニウム合金板の製造条件、特に熱間圧延の条件、およびその後の焼鈍条件を適切に設定し、最終板におけるMn固溶量0.16%を超え、DI成形性に優れるとともに、DI成形、塗装焼付処理後の缶胴縁部の成形性にも優れたアルミニウム合金板が提唱されている。
具体的には、Al−Mn−Mg系合金をDC鋳造法で鋳造し、530〜600℃で均質化処理、さらに熱間圧延の終了温度を250〜320℃、上がり板厚2.5mmを超え3.5mm以下として熱間圧延を行ない、第1段焼鈍を加熱速度100℃/hr以下、330〜400℃×1〜10時間で行ない、続いて第2段焼鈍を450〜600℃×10分以内行ない、その後85%以上の冷間圧延を施して、Mn固溶量0.16%を超えるアルミニウム合金板を得るものである。
しかしながら、更に高い耐熱性(高温強度)および成形性を備え、より安価なアルミニウム合金板が求められていた。
特許文献2では、質量%で、Mg:2〜5%、Fe:0.05を超え1.5%以下、Mn:0.05〜1.5%および結晶粒微細化剤を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなり、不可避的不純物のうちSi:0.20%未満とし、Fe+Mn>0.3%であり、Feの固溶量が50ppm以上で、円相当径で1〜6μmの金属間化合物が5000個/mm以上存在し、しかも再結晶粒径の平均値が20μm以下であることを特徴とする耐焼付軟化性に優れたアルミニウム合金板が開示されている。
しかしながら、ここで検討されている合金組成はMg:2〜5%であり、Si含有量について0.2%未満と規定しているものの、1〜3mm程度の比較的厚めの例えば自動車用部品などを対象としている。換言すると強度が高すぎるため、箔圧延のように厚さ100μm程度まで圧延するためには、圧延パス数を多く取らざるを得ず、途中で中間焼鈍も必要とされることから、コストアップを招く要因となっていた。
特許文献3では、100質量%中に、93質量%以上のAlと、2〜5質量%のMgと、0.2〜1.0質量%のCrと、0.01〜3.0質量%のMnと、0.005〜0.6質量%のTiと、0.005質量%以下のCuと、0.1質量%以下のSiと、0.2質量%以下のFeとを含有し、電気比抵抗値が5〜10μΩcmであるアルミニウム合金からアルミニウム箔を形成し、このアルミニウム箔をプレス成形して、アルミニウム箔成形容器を得る発明が紹介されている。
ここではアルミニウム箔の用途とその要求特性について詳しく紹介されている。しかしながら、製造方法については、公知の方法に従って製造され、例えば、所定の組成を有する溶湯を調製し、これを鋳造して得られたアルミニウム合金の鋳塊を、450〜660℃、好ましくは450〜550℃で均質化処理した後、熱間圧延及び冷間圧延を施すことにより得ることができる、などの記載があるのみで、特定の合金組成のアルミニウム箔によって所望の電磁調理器用鍋が得られるとされている。
特開平8−13109号公報 特開2004−76155号公報 特開2007−270351号公報
本発明の目的は、電池ケース用アルミニウム板、ソーラーパネル用裏板、電磁調理器用鍋など耐熱性が要求され、しかも焼鈍状態において高い成形性をも有するAl−Mn−Mg系合金板を安価に提供することである。
上記の目的は、本願第1発明によれば、質量%で、Si:0.05〜0.3%、Fe:0.05〜0.5%、Mn:0.6〜2.5%、Mg:0.1〜2.0%を含有し、残部実質的に不可避的不純物とAlからなり、冷延されたままの状態であり、マトリックスのMn固溶量はMn含有量の70%以上で、200℃における引張強さが200MPa以上であることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金板によって達成される。
更に、本願第2発明によれば、上記第1発明による冷間圧延されたままのアルミニウム合金板に焼鈍を施した状態の合金板であり、マトリックスのMn固溶量はMn含有量の50%以上で、200℃における引張強さが100MPa以上、球頭張出高さ27mm以上であることを特徴とする耐熱性および成形性に優れたアルミニウム合金板が提供される。
本願第1発明のアルミニウム合金板は、上記組成のアルミニウム合金溶湯を薄スラブ連続鋳造機にて、スラブ厚み1/4箇所における凝固冷却速度20〜200℃/secで厚み5〜15mmのスラブに鋳造し、冷間圧延を施すことによって、耐熱性に優れたアルミニウム合金板を得られる。
また、本願第2発明のアルミニウム合金板は、上記第1発明のアルミニウム合金板に、350〜500℃でバッチ焼鈍を施すか、または、450〜550℃で連続焼鈍を施すことにより得られる。
本発明の製造方法によると、従来のDC鋳造機によるスラブ鋳造、両面面削、均質化処理、熱間圧延、その後の中間焼鈍などのプロセスが不要となるため、大幅にコストを低減することができる。
本発明によると、上記規定組成のアルミニウム合金溶湯を双ベルト式鋳造機によって厚み5〜15mmのスラブに鋳造する際に、スラブ厚み1/4箇所における凝固冷却速度を20〜200℃/secと比較的速くすることができるため、マトリックス中のMn固溶量を高くすることができる。
このスラブを直接コイルに巻き取り、中間焼鈍を施すことなく、最終ゲージまで冷間圧延を施すことにより、耐熱性に優れたAl−Mn−Mg系アルミニウム合金板とすることができる。さらに、最終焼鈍処理として、焼鈍炉にて350〜500℃でバッチ焼鈍、または連続焼鈍炉にて450〜550℃で連続焼鈍を施して調質を行うことにより、耐熱性および成形性に優れたAl−Mn−Mg系アルミニウム合金板とすることができる。
次に本発明の合金成分の意義および限定理由について説明する。本願においては、特に断りのない限り、合金の化学組成に関する「%」は「質量%」のことを意味する。
〔Si:0.05〜0.3%〕
必須元素であるSiは、Fe、Mnとともに鋳造時にAl-(Fe・Mn)-Si系金属間化合物を均一かつ微細に晶出させる。これら微細な金属間化合物は最終焼鈍後も金属組織中に残存するが非常に微細であるため、高温強度が高まる。
Si含有量の範囲は、0.05〜0.3%に限定する。Si含有量が0.05%未満では最終板の強度が低くなりすぎ、0.3%を越えると5μmを超えるサイズのAl-(Fe・Mn)-Si系金属間化合物が晶出し、成形性を劣化させる可能性があり好ましくないからである。Si含有量の好ましい範囲は、0.05〜0.2%である。
〔Fe:0.05〜0.5%〕
必須元素であるFeは、Mn、Siと共存させることにより、薄スラブ中にAl-Fe、Al-(Fe・Mn)-Si系化合物などを均一かつ微細に晶出させる。これら微細な金属間化合物は最終焼鈍後も金属組織中に残存するが非常に微細であるため、高温強度が高まる。
Fe含有量の範囲は、0.05%〜0.5%に限定する。Fe含有量が0.05%未満では最終板の強度が低くなりすぎ、0.5%を越えると鋳造時に粗大な金属間化合物を生じやすく、成形性を劣化させる可能性があり好ましくないからである。Fe含有量の好ましい範囲は、0.05〜0.3%である。
〔Mn:0.6〜2.5%〕
必須元素であるMnは、Fe、Siとともに鋳造時にAl-(Fe・Mn)-Si系金属間化合物を均一かつ微細に晶出させ、分散強化による強度アップに寄与する。これら微細な金属間化合物は最終焼鈍時に再結晶粒の核となるが、マトリックス中のMnの固溶量が高く、再結晶阻止作用が強く、高温引張特性に優れた板となる。
また、薄スラブ連続鋳造機では、溶湯の凝固冷却速度が速いため、Mnが過飽和に固溶する傾向が大きくなり、均質化処理、中間焼鈍を施さない本発明においては、最終板におけるマトリックス中のMn固溶量がMn含有量の70%以上となる。マトリックスに固溶されたMnは、最終焼鈍後もMn含有量の50%以上が固溶された状態を維持しており、圧延集合組織を残存させ、成形性に優れた板となる。しかも、高温保持による強度は、従来法によるDC材に比較して高くなり、耐熱性にも優れた板となる。
Mn含有量の範囲は、0.6〜2.5%に限定する。Mn含有量が0.6%未満ではその効果が十分でなく、耐熱性が低下する。2.5%を超えると鋳造時に粗大な金属間化合物を生じやすく、板切れなどを起こし圧延が困難となる場合がある。さらに好ましいMn含有量の範囲は、0.6〜2.0%である。
〔Mg:0.1〜2.0%〕
必須元素であるMgは、マトリックス中に固溶して固溶体強化元素として作用し、強度と成形性を付与する。Mg含有量を0.1〜2.0%と限定したのは、0.1%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えると塑性変形による加工硬化が進み、冷間圧延時に耳割れが生じやすいためである。好ましいMg含有量の範囲は、0.5〜1.8%である。
〔任意元素〕
任意元素であるTiは0.10%以下ならば含有しても本発明の効果を阻害することはなく、薄スラブの結晶粒微細化剤として作用し、スラブ割れ等の鋳造欠陥を確実に防止することができる。Ti含有量が0.005%未満では、その効果が十分でなく、Ti含有量が0.10%を超える場合には、鋳造時にTiAl等の粗大な金属間化合物が生成するため、成形性を著しく低下する。したがって、Ti含有量の好ましい範囲は0.005〜0.10%とする。Ti含有量の更に好ましい範囲は、0.005〜0.05%である。
任意元素であるBは、Tiと混在することで、鋳塊の結晶粒微細化効果が飛躍的に向上する。B含有量が0.0005%未満の場合には、結晶粒微細化効果が十分でなく、スラブ割れ等の鋳造欠陥を確実に防止することが困難である。B含有量が0.01%を超える場合には、鋳塊の結晶粒微細化効果が飽和するだけではなく、最終焼鈍板において、余剰のTiBの凝集体が介在物として作用する場合があり、金型などでプレス加工する際、板表面キズを発生させるなど成形性を低下させる虞がある。したがって、B含有量の好ましい範囲は、0.0005〜0.01%である。
〔不可避的不純物〕
不可避的不純物は、アルミニウム地金、返り材、フラックスなどに含まれる不純物元素、溶製治具と溶湯との反応などが原因で混入する。本発明においてCu、Ni、Zn、Ga、V、Ca、Naなどが代表的な不可避的不純物元素である。
本発明の製造方法の諸条件を限定した理由を説明する。
〔双ベルト鋳造機にて鋳造した厚さ5〜15mmのスラブを巻き取り〕
本発明の耐熱性及び成形性に優れたAl−Mg−Mn系合金板の製造に用いるスラブは双ベルト鋳造機により鋳造する。
双ベルト式連続鋳造機では、上下に対面し水冷されている一対の回転ベルト間に溶湯を注湯してベルト面からの冷却で溶湯を凝固させてスラブとし、ベルトの反注湯側より該スラブを連続して引き出してコイル状に巻き取る方式が採用される。
〔スラブ厚み1/4における凝固冷却速度が20〜200℃/sec〕
〔厚み5〜15mmのスラブに鋳造し〕
本発明においては、鋳造するスラブの厚さは5〜15mmとする。この範囲の厚さであれば、スラブ厚み1/4において20〜200℃/sec程度の凝固冷却速度を確保できるので、均一な鋳造組織を形成し易く、マトリックス中へのMnの固溶量を確保することができる。また、鋳造凝固時に生成される金属間化合物が微細になり、耐熱性および成形性に優れたアルミニウム合金板を製造することができる。
上記のスラブ厚さ範囲は、ベルト鋳造機による鋳造実行面からも適当である。すなわち、スラブ厚さが5mm未満であると、単位時間当りに鋳造機を通過するアルミニウム合金量が少なくなり過ぎて、鋳造自体が困難になる。スラブ厚さが15mmを超えると、コイルとして巻き取ることが困難になる。
〔均質化処理、中間焼鈍を施すことなく〕
本発明においては、コイルに巻き取った薄スラブに均質化処理、中間焼鈍を施すことなく最終板厚まで冷間圧延する。均質化処理、中間焼鈍を施さないため、マトリックス中に過飽和に固溶されたMnは、そのまま維持され、耐熱性に優れた板を製造できる。さらに、これらマトリックス中に固溶されたMnなどの遷移金属元素は転位の動きを妨げて最終焼鈍での再結晶に必要な歪エネルギーを十分に蓄えることができる。このような理由から、冷間圧延における圧下率は、80〜96%程度が好ましい。
また、この製造方法では、従来法による複雑な工程のうち、両面面削、均質化処理、熱間圧延、中間焼鈍などの工程が省略されるため、製造コストを低く抑えることが可能である。
〔連続焼鈍炉にて450〜550℃で連続焼鈍を施す〕
本願第2発明においては、冷間圧延後に最終焼鈍を行う。この最終焼鈍は、バッチ焼鈍炉で実施してもよいが、連続焼鈍炉(CAL)で実施する方が好ましい。連続焼鈍炉(CAL)とは、コイルを連続的に溶体化処理等するための設備であり、熱処理を施すための誘導加熱装置や水冷するための水槽および空冷するためのエアノズル等を備えたことを特徴としている。最終焼鈍の焼鈍温度は450〜550℃の範囲とする。450℃未満であると、再結晶が十分ではないため、成形性が低下する。550℃を超えると、再結晶粒が粗大化し最終焼鈍板の強度が低下して好ましくない。
連続焼鈍炉における焼鈍温度での保持時間は40秒以内とする。40秒以上の保持時間の場合、ライン速度を下げる必要があり、生産性を低下させるため好ましくない。
〔焼鈍炉にて350〜500℃でバッチ焼鈍を施す〕
本願第2発明における最終焼鈍は、焼鈍炉でバッチ焼鈍を実施してもよい。バッチ焼鈍の焼鈍温度は350〜500℃の範囲とする。350℃未満であると、再結晶が十分ではないため、成形性が低下する。400℃を超えると、再結晶粒が粗大化し最終焼鈍板の強度が低下して好ましくない。
焼鈍温度での保持時間は1〜10時間の範囲とする。保持時間1時間未満の場合、昇温速度にもよるが、コイル全体が均一に加熱されないため、均一で微細な再結晶組織が得られず成形性が劣る。保持時間10時間を超える場合、生産コストが掛かりすぎるため好ましくない。
下記の手順および条件にて双ベルト鋳造およびDC鋳造によりアルミニウム合金板を作製した。
双ベルト鋳造材については、表1に示す合金組成のアルミニウム合金溶湯を溶解炉で溶製し、セラミックスフィルターを通して濾過し、双ベルト式連続鋳造機で10mmの厚みのスラブを鋳造してコイルに巻き取った。鋳造したスラブはその後、均質化処理、中間焼鈍を施すことなく、最終板厚1mmまで冷間圧延し、H18材とした。
DC材については、表1に示す合金組成のアルミニウム合金溶湯を溶解炉で溶製し、セラミックスフィルターを通して濾過し、DC鋳造機にて幅1200mm×厚み500mm×長さ3800mmのスラブに鋳造し、両面面削した後、熱処理炉にて550℃×12hrsの均質化処理を行い、引き続き熱間圧延機にて、熱延を行って、6mm厚さの熱間圧延板をコイルに巻き取った。その後、中間焼鈍することなく、最終板厚1mmまで冷間圧延しH18材とした。
双ベルト鋳造材(H18)およびDC材(H18)について、500℃のソルトバスにて15秒保持の焼鈍を行った。この最終焼鈍板の調質は、Oである。
その後、双ベルト鋳造材(H18材、O材)、DC材(H18材、O材)について、マトリックス中のMnの固溶量は、熱フェノール法で測定した。具体的に記載すると、板を熱フェノールで分解し、フィルター濾過した溶液をクエン酸で抽出した後、ICP発光分光分析法で測定した。
さらに各板材から、圧延方向に平行な引張試験片を切り出し加工して、200℃において温間引張試験を行って、耐力、引張強さを測定した。
O材について、以下の条件で球頭張出し試験を行って、破断時の限界高さを球頭張出し高さとした。
ポンチ:100mmφ(半球形)、肩R:50mm
ダイ:105mmφ、肩R:4mm
表2はH18材の結果を示す。本発明組成範囲に入る双ベルト鋳造材1〜4におけるMn固溶量とMn含有量との比率は70%以上で、200℃における引張強さは200MPa以上で高いことが判明した。
これに対して、比較例は下記の結果であった。
本発明組成よりMg含有量の少ない双ベルト鋳造材6、およびMn含有量の少ない双ベルト鋳造材7は、200℃における引張強さが低い。本発明組成よりMg含有量の高い双ベルト鋳造材5は、圧延中に耳われが発生したため冷延板を採取することができなかった。またMn含有量が高い双ベルト鋳造材8は圧延時板きりが発生したため、製板が困難であった。DC材9におけるMn固溶量とMn含有量との比率は10%で低く、Mn固溶量は少ないため、200℃における引張強さは低かった。
表3はO材の結果を示す。本発明組成範囲に入る双ベルト鋳造材10〜12におけるMn固溶量とMn含有量との比率は50%以上で、200℃における引張強さは100MPa以上でが高く、球頭張出し高さは27mm以上で成形性に優れるいことが判明した。DC材13におけるMn固溶量とMn含有量との比率は9%で低く、Mn固溶量が少ないため、200℃における引張強さは低く、球頭張出し高さは25mmで成形性が劣っていた。
Figure 2010095739
Figure 2010095739
Figure 2010095739
本発明によれば、電池ケース用アルミニウム板、ソーラーパネル用裏板、電磁調理器用鍋など耐熱性が要求され、しかも焼鈍状態において高い成形性をも有するAl−Mn−Mg系合金板が安価に提供される。

Claims (4)

  1. 質量%で、Si:0.05〜0.3%、Fe:0.05〜0.5%、Mn:0.6〜2.5%、Mg:0.1〜2.0%を含有し、残部実質的に不可避的不純物とAlからなり、冷延されたままの状態であり、マトリックスのMn固溶量はMn含有量の70%以上で、200℃における引張強さが200MPa以上であることを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金板。
  2. 請求項1において、冷延後に焼鈍された状態であり、マトリックスのMn固溶量はMn含有量の50%以上で、200℃における引張強さが100MPa以上、球頭張出高さ27mm以上であることを特徴とする耐熱性および成形性に優れたアルミニウム合金板。
  3. 請求項1に記載のアルミニウム合金板の製造方法であって、上記組成の溶湯を薄スラブ連続鋳造機にて、スラブ厚み1/4箇所における凝固冷却速度20〜200℃/secで厚み5〜15mmのスラブに鋳造し、均質化処理、中間焼鈍を施すことなく、冷間圧延を施すことを特徴とする耐熱性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
  4. 請求項2に記載のアルミニウム合金板の製造方法であって、請求項3記載の方法により冷間圧延を施した後、350〜500℃でバッチ焼鈍を施すか、または、450〜550℃で連続焼鈍を施すことを特徴とする耐熱性および成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
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