JP2010095482A - 硫化オレフィンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫黄含有量が高く、極圧添加剤として用いた際に耐荷重性能と酸化安定性が良好で、非鉄金属低腐食性に優れる非塩素系の潤滑流体用添加剤として好適な硫化オレフィンを提供すること。
【解決手段】ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とモノエン類(a1)とを反応させて硫化オレフィン(A)を得る硫化オレフィンの製造方法であって、第一段階目の工程として、ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とを反応させて、有機ポリスルフィドを得た後、第二段階目の工程として、前記第一工程で得られた有機ポリスルフィドとモノオレフィン類と硫黄と硫化水素とを反応させて硫化オレフィンを得ることを特徴とする硫化オレフィンの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とモノエン類(a1)とを反応させて硫化オレフィン(A)を得る硫化オレフィンの製造方法であって、第一段階目の工程として、ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とを反応させて、有機ポリスルフィドを得た後、第二段階目の工程として、前記第一工程で得られた有機ポリスルフィドとモノオレフィン類と硫黄と硫化水素とを反応させて硫化オレフィンを得ることを特徴とする硫化オレフィンの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、高硫黄含有量であり、極圧添加剤として用いた場合に耐荷重性能と酸化安定性が良好で、非鉄金属低腐食性に優れる非塩素系の潤滑流体用添加剤、それを用いた潤滑流体組成物、及び該潤滑流体用添加剤として有用な硫化オレフィンの製造方法に関する。
従来、硫化オレフィンは、鉱油や合成油などの基油に配合することによって、金属同士の摩擦、磨耗減少や焼き付きを防止するため等に用いる切削油、塑性加工油、ギア油、摺動面油、グリースなど潤滑流体の極圧添加剤として幅広く利用されている。
このような用途に用いられる硫化オレフィンの製造方法としては、例えば、脂肪族モノオレフィンと塩化硫黄を反応させて得られる付加物に、更にメルカプタン酸・多硫化物を反応させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、該手法で得られる硫化オレフィンは、原料に由来する塩素を含み、その塩素が、対象金属のさびの発生の原因になったり、環境に放出されたりする環境上の観点から、改善が求められている。更に、特許文献1に記載された製造方法では、収率が低く、且つ製品の精製(脱塩素)工程において、多量の水を必要とする点からも問題を有するものであった。
このような問題に対し、塩素を含有しない硫化オレフィンを得る方法としては、例えば、末端非分岐状オレフィンを硫黄及び硫化水素と反応させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に記載された硫化オレフィンは、ジアルキルポリスルフィド構造を有する。
前述の金属同士の摩擦、磨耗減少や焼き付きを防止する、いわゆる極圧性能に優れる硫化オレフィン組成物を得るためには、高硫黄含有量の硫化オレフィンを用いる必要があるが、ジアルキルポリスルフィド構造を主体とする硫化オレフィンで高硫黄含有量に設計すると、硫黄架橋長(この明細書中で使用される「硫黄架橋長」という用語は、「分子中に含まれるモノ及びポリスルフィド結合平均一個当たりの硫黄原子数」のことを意味する。)を長くする必要があり、この結果、常温・常圧でも硫黄原子がフリーになりやすく(活性硫黄が多くなる)、非鉄金属への腐食を起こしやすい。即ち、前記特許文献2で提案されている硫化オレフィンを用いる組成物では、極圧性能と非鉄金属への低腐食性とを高いレベルで兼備させることが出来ず、高性能で不活性な硫化オレフィン組成物への開発要求が大きくなっている。
また、ジアルキルポリスルフィド構造を有しているため、硫黄架橋長を長くする必要があり、この結果、常温、常圧でも硫黄原子がフリーになりやすく、非鉄金属への腐食を起こしやすい。更に、ジエン類と硫黄と硫化水素を反応させて硫化オレフィンを製造する場合、分子末端に二重結合が残留する。この結果、加熱安定性が低下して、着色、臭気悪化等の問題があった。ジエン類とモノオレフィン類と硫黄と硫化水素と一段で反応させた場合、末端2重結合が残存して着色が進行して臭気が悪化したり、オリゴマ化が進行せずに低分子量で悪臭の生成物が得られる
前述の金属同士の摩擦、磨耗減少や焼き付きを防止する、いわゆる極圧性能に優れる硫化オレフィン組成物を得るためには、高硫黄含有量の硫化オレフィンを用いる必要があるが、ジアルキルポリスルフィド構造を主体とする硫化オレフィンで高硫黄含有量に設計すると、硫黄架橋長(この明細書中で使用される「硫黄架橋長」という用語は、「分子中に含まれるモノ及びポリスルフィド結合平均一個当たりの硫黄原子数」のことを意味する。)を長くする必要があり、この結果、常温・常圧でも硫黄原子がフリーになりやすく(活性硫黄が多くなる)、非鉄金属への腐食を起こしやすい。即ち、前記特許文献2で提案されている硫化オレフィンを用いる組成物では、極圧性能と非鉄金属への低腐食性とを高いレベルで兼備させることが出来ず、高性能で不活性な硫化オレフィン組成物への開発要求が大きくなっている。
また、ジアルキルポリスルフィド構造を有しているため、硫黄架橋長を長くする必要があり、この結果、常温、常圧でも硫黄原子がフリーになりやすく、非鉄金属への腐食を起こしやすい。更に、ジエン類と硫黄と硫化水素を反応させて硫化オレフィンを製造する場合、分子末端に二重結合が残留する。この結果、加熱安定性が低下して、着色、臭気悪化等の問題があった。ジエン類とモノオレフィン類と硫黄と硫化水素と一段で反応させた場合、末端2重結合が残存して着色が進行して臭気が悪化したり、オリゴマ化が進行せずに低分子量で悪臭の生成物が得られる
本発明は、上記の状況に鑑みて発明されたもので、その目的は、硫黄含有量が高く、極圧添加剤として用いた際に耐荷重性能と酸化安定性が良好で、非鉄金属低腐食性に優れる非塩素系の潤滑流体用添加剤として好適な硫化オレフィンを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、次の2つの点が前記の課題を解決するのに有効であるという知見を得た。
(1)熱的に不安定な2重結合部分を飽和アルキル基で封止する。
(2)オリゴマ化と末端封止を両立させるため、ジエンを反応させ、オリゴマを生成後にモノオレフィンを反応させる2段反応で、分子末端を封止する。
これらの知見に基づき本発明を完成させた。
(1)熱的に不安定な2重結合部分を飽和アルキル基で封止する。
(2)オリゴマ化と末端封止を両立させるため、ジエンを反応させ、オリゴマを生成後にモノオレフィンを反応させる2段反応で、分子末端を封止する。
これらの知見に基づき本発明を完成させた。
即ち、本発明は、ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とモノエン類(a1)とを反応させて硫化オレフィン(A)を得る硫化オレフィンの製造方法であって、第一段階目の工程として、ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とを反応させて、有機ポリスルフィドを得た後、第二段階目の工程として、前記第一工程で得られた有機ポリスルフィドとモノオレフィン類と硫黄と硫化水素とを反応させて硫化オレフィンを得ることを特徴とする硫化オレフィンの製造方法を提供する。
本発明の硫化オレフィンの製造方法によって得られた硫化オレフィンを用いた潤滑流体用添加剤は、硫黄含有量が高いため極圧添加剤として用いた際に耐荷重性能と酸化安定性が良好で、塩素を実質的に含まないため非鉄金属低腐食性に優れる。
前記潤滑流体組成物は、基油中にかかる潤滑流体用添加剤を含むため耐荷重性能と酸化安定性が良好で、非鉄金属低腐食性に優れる
前記潤滑流体組成物は、基油中にかかる潤滑流体用添加剤を含むため耐荷重性能と酸化安定性が良好で、非鉄金属低腐食性に優れる
本発明の硫化オレフィンの製造方法は、有機ポリスルフィドは1種または2種以上のジエン類を硫黄と硫化水素とを反応させて有機ポリスルフィドを得る(第一段階目の工程)。次いで、該有機ポリスルフィドをさらに1種または2種以上のモノオレフィン類と硫黄と硫化水素とを反応させて硫化オレフィン得る(第二段階目の工程)。
第一段階目の工程
本発明で用いるジエン類(a1)としては、特に限定されるものではないが、工業的に原料入手が容易であり、且つ得られる硫化オレフィンの分子量が比較的小さく、高硫黄含有量のものが得られる点から、炭素原子数4〜10のジエン類であることが好ましい。例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、シクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、シクロヘプタジエン、1,7−オクタジエン、シクロオクタジエン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を併用して用いても良い。
これらの中でも、後述する基油(B)との相溶性が良好である点から、炭素原子数4〜6のジエン類を用いることが好ましく、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、シクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサジエンを用いることが好ましい。更に、得られる硫化オレフィンの硫黄含有量と基油への相溶性のバランスに優れる点から、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を用いることが最も好ましい。更に、得られる硫化オレフィンの硫黄含有量と基油への相溶性のバランスに優れる点から、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、ジシクロペンタジエンを用いることが最も好ましい。
本発明で用いるジエン類(a1)としては、特に限定されるものではないが、工業的に原料入手が容易であり、且つ得られる硫化オレフィンの分子量が比較的小さく、高硫黄含有量のものが得られる点から、炭素原子数4〜10のジエン類であることが好ましい。例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、シクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、シクロヘプタジエン、1,7−オクタジエン、シクロオクタジエン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を併用して用いても良い。
これらの中でも、後述する基油(B)との相溶性が良好である点から、炭素原子数4〜6のジエン類を用いることが好ましく、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、シクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサジエンを用いることが好ましい。更に、得られる硫化オレフィンの硫黄含有量と基油への相溶性のバランスに優れる点から、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を用いることが最も好ましい。更に、得られる硫化オレフィンの硫黄含有量と基油への相溶性のバランスに優れる点から、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、ジシクロペンタジエンを用いることが最も好ましい。
上記、ジエン類から得られる硫化オレフィン類の性能としては1,3−ブタジエンを単独で用いた場合は酸化安定性および耐銅板腐食性に優れ、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を単独で用いた場合は油溶解性と融着荷重に優れる特徴を有している。また、ジシクロペンタジエンを単独で用いた場合は酸化安定性が高くなる。
これらの性質を有するジエン類の配合比は特に限定されるものではないが、1,3−ブタジエンに2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)を組み合わせた場合、0.5−10.0重量%の2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)の添加量においても油溶解性と融着荷重が向上する。また、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)に1,3−ブタジエンを添加した場合でも、0.5〜10.0重量%の1,3−ブタジエン添加量においても酸化安定性および耐銅板腐食性が向上する。さらに1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)何れの場合も、0.5〜10.0重量%のジシクロペンタジエン添加量においても酸化安定性が向上する。
本発明に用いる硫黄(a2)としては、特に限定されるものではなく、小塊状、フレーク状、粉末状の固形状態であっても、溶融状態(液体)であっても良いが、使用する炭素原子数4〜6のジエン類は沸点が低く、反応容器内でのジエン類と溶融硫黄(130oC)との混合による反応槽の急激な圧力上昇および内温上昇による危険性の回避および副反応等を防止するために、固形硫黄の使用が好ましい。粉末硫黄を投入する際に発生する粉塵により粉塵爆発を起こす危険性が高いため、小塊状又はフレーク状がより好ましい。
前記硫化水素(a3)としても、特に限定されるものではないが、得られる硫化オレフィンの純度が高いものが得られる点から、純度99モル%以上のものを用いることが好ましい。
前記硫黄(a2)としては、特に限定されるものではなく、小塊状、フレーク状、粉末状の固形状態であっても、溶融状態(液体)であっても良い。例えば、溶融硫黄を用いる場合は、125〜155℃に溶融した状態で添加することが、粘度が低い状態で一定であることから好ましい。また、使用する炭素原子数4〜6のジエン類は沸点が低く、反応容器内でのジエン類と溶融硫黄(例えば、125〜155℃)との混合による反応槽の急激な圧力上昇および内温上昇による危険性の回避および副反応等を防止する必要がある場合には、固形硫黄の使用が好ましい。粉末硫黄を投入する際に発生する粉塵により粉塵爆発を起こす危険性が高いため、小塊状又はフレーク状がより好ましい。
前記第一段階目の工程においては、収率が高く、工業的製造が容易である点から、ジエン類(a1)と硫黄(a2)との混合物に硫化水素(a3)を吹き込みながら触媒(a4)の存在下で反応させる方法が好ましい。2種類以上のジエン類(a1)を用いる際も、同様である。
ここで用いることができる触媒(a4)としては特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン系化合物のいずれでも良い。例えば、アミン系化合物の例としてはブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、およびそれらの各種異性体、オクチルアミン、ジオクチルアミン、およびそれらの各種異性体、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、およびそれらの各種異性体、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ノナエチレンデカミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2−アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3−ビス(2’−アミノエチルアミノ)プロパン、トリエチレン−ビス(トリメチレン)ヘキサミン、ビス(3−アミノエチル)アミン、ビスヘキサメチレントリアミン等、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4’−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン等、ビス(アミノアルキル)ベンゼン、ビス(アミノアルキル)ナフタレン、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレン等、N−メチルピペラジン、モルホリン、1,4−ビス−(8−アミノプロピル)−ピペラジン、ピペラジン−1,4−ジアザシクロヘプタン、1−(2’−アミノエチルピペラジン)、1−[2’−(2”−アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジン、1,11−ジアザシクロエイコサン、1,15−ジアザシクロオクタコサン等が挙げられ、これらは単独でも2種以上の混合物としても使用することができる。
これらの中でも、硫化オレフィン収率が高く、反応後に蒸留や通気などの簡便な手法で組成物中から分離除去が可能という観点から、アルカリ金属水酸化物、中でも水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
前記系触媒(a4)の使用量としては、所望とする反応速度によって適宜選択するものであるが、反応性を悪化させない範囲においてより少量であることが好ましく、通常用いる原料の合計重量の0.001〜0.5重量%であり、特に0.002〜0.05重量%であることが好ましい。
第二段階目の工程
本発明の第二段階目の工程で用いられるモノオレフィン類としては、特に限定されるものではなく、例えば、イソブチレン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−ドデセン、1−ヘキサデセンなどの鎖状アルケンの他、シクロペンテン、シクロヘキセンなどの環状アルケン等が挙げられ、これらは混合物としても使用することができる。
本発明の第二段階目の工程で用いられるモノオレフィン類としては、特に限定されるものではなく、例えば、イソブチレン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−ドデセン、1−ヘキサデセンなどの鎖状アルケンの他、シクロペンテン、シクロヘキセンなどの環状アルケン等が挙げられ、これらは混合物としても使用することができる。
本発明の製造方法で得られる硫化オレフィンとしては、例えば、分子中に含まれるモノ及びポリスルフィド結合平均一個当たりの硫黄原子数が1〜3で、分子中の硫黄含有量が30〜55重量%である、塩素を実質的に含まない硫化オレフィンを得ることが出来る。
この硫化オレフィン(A)は、その好適例として、一般式(1)
R1S−(Sx−R2−Sy)n―R1 (1)
(式中、xは0又は1〜2の整数、yは1〜3の整数、nは1〜10の整数を表し、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数4〜10の1価又は2価のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
で表される硫化オレフィンを包含する。
R1S−(Sx−R2−Sy)n―R1 (1)
(式中、xは0又は1〜2の整数、yは1〜3の整数、nは1〜10の整数を表し、R1及びR2はそれぞれ炭素原子数4〜10の1価又は2価のアルキル基又はアルケニル基を表す。)
で表される硫化オレフィンを包含する。
硫化オレフィンの硫黄含有量としては、これを極圧添加剤などの潤滑流体用添加剤として用いた際の潤滑流体組成物の耐荷重性能に優れる点から、35〜52重量%であることが好ましく、特に36〜47重量%であることが好ましい。又、硫化オレフィン(A)の粘度としては、後述する基油(B)との相溶性に優れ、取り扱いが容易である点から、40℃における動粘度基準で、通常10〜1,500mm2/sであり、100〜1,000mm2/sであることが好ましく、特に100〜400mm2/sであることが好ましい。
更に、硫化オレフィンの分子量は、特に限定されるものではないが、基油(B)との相溶性と耐加重性能と非鉄金属への低腐食性のバランスに優れる点から、オリゴマの分子量レベルである数平均分子量200〜2000(ポリスチレン換算)が好ましい。又、硫化オレフィン(A)の重合度による分布は、硫化オレフィン(A)100モル中に含まれる2〜7量体の硫化オレフィンの含有量の合計が55モル以上となることが好ましく、特に60〜70モルとなることが好ましい。硫化オレフィンの重合度による分布は図面として添付したGPCチャートより求めることができる。
前記アミン系触媒(a4)の使用量としては、所望とする反応速度によって適宜選択するものであるが、反応性を悪化させない範囲においてより少量であることが好ましく、通常用いる原料の合計重量の0.05〜1.5重量%であり、特に0.5〜0.8重量%であることが好ましい。
本発明の硫化オレフィンを効率的に製造するためには、ジエン類(a1)1モルに対して、硫黄(a2)を0.3〜1.5モル、硫化水素(a3)を0.3〜1.5モル用いることが好ましく、特に、ジエン類(a1)1モルに対して、硫黄(a2)を0.5〜1.0モル、硫化水素(a3)を0.5〜1.0モル用いることが好ましい。
次に、硫化オレフィン(A)の製造方法を更に具体的に説明する。加圧反応容器にジエン類(a1)、硫黄(a2)、触媒(a4)及び硫化水素(a3)を温度0〜40℃で仕込み、密閉して50〜90℃に昇温して反応させる。又は、加圧反応容器にジエン類(a1)、硫黄(a2)、アミン系触媒(a4)を仕込み、密閉してから硫化水素(a3)のガスを温度50〜120℃、好ましくは60〜90℃で吹き込む方法でもよい。
このとき温度が低すぎると反応時間がかかり、温度が高すぎると硫黄架橋反応と競争反応の関係にあるジエン類(a1)の重縮合反応が起こりやすい条件となるため、得られる硫化オレフィン(A)の基油(B)への相溶性が低下したり、色相や臭気が悪化したりすることがある。目的とする潤滑流体用添加剤や潤滑流体組成物の性能や所望の製造時間等によって、適宜温度設定を行うことが好ましい。
このとき温度が低すぎると反応時間がかかり、温度が高すぎると硫黄架橋反応と競争反応の関係にあるジエン類(a1)の重縮合反応が起こりやすい条件となるため、得られる硫化オレフィン(A)の基油(B)への相溶性が低下したり、色相や臭気が悪化したりすることがある。目的とする潤滑流体用添加剤や潤滑流体組成物の性能や所望の製造時間等によって、適宜温度設定を行うことが好ましい。
前述の硫化水素(a3)の吹き込み時間については、特に限定されるものではないが、通常5〜100時間であり、好ましくは、5〜50時間である。吹き込み終了後、常圧に戻し、未反応のジエン類(a1)や残留している硫化水素(a3)を留去することによって目的とする硫化オレフィン(A)を得ることができる。得られた硫化オレフィン(A)は、単独又は2種以上を併用して、本発明の潤滑流体用添加剤又は潤滑流体組成物に用いることができる。
本発明の製造方法で得られる硫化オレフィンの用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、潤滑流体添加剤として基油に添加し、潤滑剤組成物として用いることができ、内燃機関や自動変速機、緩衝器、パワーステアリングなどの駆動系機器、ギアなどに用いられる自動車用潤滑油、切削加工、研削加工、塑性加工などの金属加工に用いられる金属加工油、油圧機器や装置などの油圧システムにおける動力伝達、力の制御、緩衝などの作動に用いる動力伝達流体である作動油などとして用いることができる。特に本発明の硫化オレフィン組成物は、ギア油として用いた際に使用されるギアボックスのシール剤(クロロプレンゴム、ニトリルゴムなど)への膨潤度合いを従来品よりも低減させることができるため、シール剤と接するような用途にも好適に用いることができる。
前記潤滑流体組成物は、硫化オレフィンと基油(B)からなる。前期基油(B)としては、なんら限定されるものではなく、使用目的や使用条件等に応じて、鉱油や合成油等から適宜選択して用いることができる。前記鉱油としては、例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油、ナフテン基系原油を常圧蒸留や常圧蒸留後の残渣を減圧蒸留して得られる留出油、又はこれを溶剤精製、水添精製、脱ロウ処理、白土処理等の精製を行って得られる精製油等が挙げられる。又、前記合成油としては、例えば、低分子量ポリブテン、低分子量ポリプロピレン、炭素原子数8〜14のα−オレフィンオリゴマーおよびこれらの水素化物、トリメチロールプロパンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル等のポリオールエステル、二塩基酸エステル、芳香族ポリカルボン酸エステル、リン酸エステル等のエステル系化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等のアルキルアロマ系化合物、ポリアルキレングリコール等のポリグリコール油、シリコーン油などが挙げられ、これらは単独又は2種以上を適宜併用して用いることができる。
本発明の潤滑流体組成物中の硫化オレフィンと基油(B)との配合割合としては、特に限定されるものではないが、通常基油(B)100重量部に対して、硫化オレフィン(A)0.01〜50重量部であり、好ましくは0.05〜10重量部である。
又、前記硫化オレフィン(A)と基油(B)に、更に粘ちょう剤(C)を含有させることによって、本発明の潤滑流体組成物をグリースとして用いることも可能である。ここで用いることができる粘ちょう剤(C)としては、例えば、金属石鹸系、複合石鹸系などの石鹸系、又はウレア系などが挙げられる。これらの粘ちょう剤(C)を用いる場合には、予め基油(B)に混合して均一化しておくことが好ましい。
前記潤滑流体組成物には、前記硫化オレフィン(A)と、前記基油(B)とを用いる以外、なんら制限はなく、例えば、添加剤として、油性剤、耐磨耗剤、極圧剤、その他の防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、洗浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、乳化剤、抗乳化剤、カビ防止剤、摩擦調整剤、界面活性剤等の添加剤などを目的とする用途や性能に応じて適宜併用することができる。
各種添加剤の具体例として次のものを挙げることができる。油性剤としては長鎖脂肪酸(オレイン酸)など、耐磨耗剤としてはリン酸エステル、金属ジチオホスフェート塩など;極圧剤としては有機硫黄化合物、有機ハロゲン化合物など、その他の防錆剤としてはカルボン酸、アミン、アルコール、エステルなど;腐食防止剤としては窒素化合物(ベンゾトリアゾールなど)、硫黄および窒素を含む化合物(1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカルバメート)など;消泡剤としてはシリコーン油、金属石鹸、脂肪酸エステル、リン酸エステルなど、洗浄分散剤としては中性、塩基性スルフォネートおよびフェネート(金属塩型)、こはく酸イミド、エステルおよびベンジルアミン共重合系ポリマーなど;流動点降下剤としては塩素化パラフィンとナフタレン又はフェノールの縮合物、ポリアルキルアクリレート、およびメタクリレート、ポリブテン、ポリアルキルスチレン、ポリ酢酸ビニルなど;粘度指数向上剤としてはポリメタクリレート、ポリイソブチレン、オレフィン共重合体、ポリアルキルスチレンなど;酸化防止剤としてはアミン、ヒンダードフェノール、チオりん酸亜鉛、トリアルキルフェノール類など;乳化剤としては硫酸、スルホン酸およびリン酸エステル、脂肪酸誘導体、アミン誘導体、第四アンモニウム塩、ポリオキシエチレン系の活性剤など;抗乳化剤としては第四アンモニウム塩、硫酸化油、リン酸エステルなど;カビ防止剤としてはフェノール系化合物、ホルムアルデヒド供与体化合物、サリチルアニリド系化合物などが挙げられる。
前記潤滑流体組成物は、前記硫化オレフィン(A)と前記基油(B)と、必要に応じて配合される粘ちょう剤(C)やその他の添加剤を均一に配合したものであり、その配合方法としては特に限定されるものではなく、この時、均一化のために30〜60℃に加温することも可能である。
本発明の潤滑流体組成物の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、潤滑剤組成物として用いることができ、内燃機関や自動変速機、緩衝器、パワーステアリングなどの駆動系機器、ギアなどに用いられる自動車用潤滑油、切削加工、研削加工、塑性加工などの金属加工に用いられる金属加工油、油圧機器や装置などの油圧システムにおける動力伝達、力の制御、緩衝などの作動に用いる動力伝達流体である作動油などとして用いることができる。特に本発明の潤滑流体組成物は、ギア油として用いた際に使用されるギアボックスのシール剤(クロロプレンゴム、ニトリルゴムなど)への膨潤度合いを従来品よりも低減させることができるため、シール剤と接するような用途にも好適に用いることができる。
次に、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、下記実施例により何等限定されるものではない。尚、硫化オレフィンの物性値及び分子量分布の測定、極圧性能試験(高速四球試験)、酸化安定性試験(ISOT試験)および銅板腐食性試験は下記の方法及び条件で測定したものである。
硫黄含有量:蛍光X線 JIS K 2541.6準拠 蛍光X線硫黄分析計 SLFA−2800 株式会社堀場製作所製
検量線作成には社団法人石油学会認証 重油硫黄分標準物質(硫黄分1.98±0.02重量%および3.94±0.03重量%)を使用した。
検量線作成には社団法人石油学会認証 重油硫黄分標準物質(硫黄分1.98±0.02重量%および3.94±0.03重量%)を使用した。
色:ASTM D 1500準拠 機器:PETROLEUM OILS COMPARATOR AF 650 メーカー:The Tintometer Ltd.
動粘度: JIS K 2283準拠 恒温槽(RIGOSHA &CO.LTD TYPE 403DS−062) ウベローデ粘度計使用
分子量(重合度):GPC 東ソー株式会社製 HLC−8120GPC UV−8020
カラム:東ソー製
TSK guard column HXL 6.0mm I.D.×4cm
TSK gel − G 4000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
TSK gel − G 3000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
TSK gel − G 2000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
TSK gel − G 1000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
溶媒 THF
クラジェント 無し
流量 1 ml/min
ポンプ圧力 サンプル側 7.8MPa
リファレンス側 10.5MPa
カラム温度 40℃
注入量 100 μl
UV波長 254 nm
カラム:東ソー製
TSK guard column HXL 6.0mm I.D.×4cm
TSK gel − G 4000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
TSK gel − G 3000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
TSK gel − G 2000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
TSK gel − G 1000 HXL 7.8mm I.D.×30cm
溶媒 THF
クラジェント 無し
流量 1 ml/min
ポンプ圧力 サンプル側 7.8MPa
リファレンス側 10.5MPa
カラム温度 40℃
注入量 100 μl
UV波長 254 nm
極圧性能試験(高速四球試験):基油に硫化オレフィンをそれぞれ5%添加し、ASTM D−2783に準じて融着荷重、最大無焼付き荷重および磨耗痕径を測定した。
基油:60スピンドル油(40℃で7mm2/s)
立軸回転数:1,770rpm
試験鋼球 :玉軸受用1/2インチ(JIS上級)
融着荷重および最大無焼付き荷重の測定時間:10秒間
磨耗痕径の測定時間:30分間
磨耗痕径測定時の荷重:15kg
基油:60スピンドル油(40℃で7mm2/s)
立軸回転数:1,770rpm
試験鋼球 :玉軸受用1/2インチ(JIS上級)
融着荷重および最大無焼付き荷重の測定時間:10秒間
磨耗痕径の測定時間:30分間
磨耗痕径測定時の荷重:15kg
酸化安定性試験(ISOT試験):JIS K−2514.4に準じて実施した。
試料添加量:4%
条件 :135℃、96時間
基油:500ニュートラル油(40℃で100mm2/s)
試料添加量:4%
条件 :135℃、96時間
基油:500ニュートラル油(40℃で100mm2/s)
銅板腐食性試験:JIS K−2513に準じて実施した。
試料添加量:5%
基油:500ニュートラル油(40℃で100cSt)
温度:100℃
時間:1時間又は3時間
試料添加量:5%
基油:500ニュートラル油(40℃で100cSt)
温度:100℃
時間:1時間又は3時間
実施例1
加温装置、硫化水素吹き込み管および硫化水素吸収装置を搭載した1リットルのオートクレーブに、イソプレン286g(3.99モル)と粉末硫黄179g(5.6モル)と、触媒として水酸化ナトリウム0.05gを仕込んだ。オートクレーブを密閉した後、内部温度が85℃になるまで加温した。ここに硫化水素ガス(純度99.9モル%)190g(5.6モル)を圧力6kg/cm2で20時間を要して吹き込んだ。更に、ジイソブチレン314gを仕込んだのち120℃に昇温して15時間保持した。その後、40℃まで冷却してから、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧に戻し、吹き込み管から空気を吹き込んで、残留する硫化水素および未反応のジイソブチレン及びイソプレンを留去し、硫化オレフィン(A−1)872g(収率90%)を得た。硫黄含有量は43%、数平均分子量は750、40℃における動粘度は231.2mm2/sであった。色数は1.5、100℃15hr加熱後の色数は1.5、銅板腐食(5%100℃3hr)は1b、官能臭気は良好だった。
加温装置、硫化水素吹き込み管および硫化水素吸収装置を搭載した1リットルのオートクレーブに、イソプレン286g(3.99モル)と粉末硫黄179g(5.6モル)と、触媒として水酸化ナトリウム0.05gを仕込んだ。オートクレーブを密閉した後、内部温度が85℃になるまで加温した。ここに硫化水素ガス(純度99.9モル%)190g(5.6モル)を圧力6kg/cm2で20時間を要して吹き込んだ。更に、ジイソブチレン314gを仕込んだのち120℃に昇温して15時間保持した。その後、40℃まで冷却してから、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧に戻し、吹き込み管から空気を吹き込んで、残留する硫化水素および未反応のジイソブチレン及びイソプレンを留去し、硫化オレフィン(A−1)872g(収率90%)を得た。硫黄含有量は43%、数平均分子量は750、40℃における動粘度は231.2mm2/sであった。色数は1.5、100℃15hr加熱後の色数は1.5、銅板腐食(5%100℃3hr)は1b、官能臭気は良好だった。
実施例2
ジイソブチレン314gをイソプレンと同時に仕込む以外は実施例1と同様に反応を行った。硫化オレフィン(A−2)872g(収率90%)を得た。硫黄含有量は40%、数平均分子量は750、40℃における動粘度は631.2mm2/s、色数は1.5、100℃15hr加熱後の色数は1.5、銅板腐食(5%100℃3hr)は1b、官能臭気は良好であった。
ジイソブチレン314gをイソプレンと同時に仕込む以外は実施例1と同様に反応を行った。硫化オレフィン(A−2)872g(収率90%)を得た。硫黄含有量は40%、数平均分子量は750、40℃における動粘度は631.2mm2/s、色数は1.5、100℃15hr加熱後の色数は1.5、銅板腐食(5%100℃3hr)は1b、官能臭気は良好であった。
実施例3
炭素数18のαオレフィン700gをジイソブチレンに代わり仕込む以外は実施例1と同様に反応を行った。硫化オレフィン(A−3)1084g(収率80%)を得た。硫黄含有量は28%、数平均分子量は1000、40℃における動粘度は63.2mm2/s、色数は4.0、100℃15hr加熱後の色数は4.0、銅板腐食(5%100℃3hr)は2e、官能臭気は良好であった。
炭素数18のαオレフィン700gをジイソブチレンに代わり仕込む以外は実施例1と同様に反応を行った。硫化オレフィン(A−3)1084g(収率80%)を得た。硫黄含有量は28%、数平均分子量は1000、40℃における動粘度は63.2mm2/s、色数は4.0、100℃15hr加熱後の色数は4.0、銅板腐食(5%100℃3hr)は2e、官能臭気は良好であった。
比較例1(硫化イソプレン)
加温装置、硫化水素吹き込み管および硫化水素吸収装置を搭載した1リットルのオートクレーブに、イソプレン476g(7.0モル)と粉末硫黄179g(5.6モル)と、触媒として水酸化ナトリウム0.05gを仕込んだ。オートクレーブを密閉した後、内部温度が85℃になるまで加温した。ここに硫化水素ガス(純度99.9モル%)190g(5.6モル)を圧力6kg/cm2で20時間を要して吹き込んだ。更に、同温度で48時間保持した。その後、40℃まで冷却してから、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧に戻し、吹き込み管から空気を吹き込んで、残留する硫化水素および未反応のイソプレンを留去し、硫化オレフィン(A'−1)809g(収率95%)を得た。得られた硫化オレフィン(A'−1)の硫黄含有量は47%、数平均分子量は520、40℃における動粘度は320.3mm2/s、色数は4.0、100℃15hr加熱後の色数は8.0>、銅板腐食(5%100℃3hr)は1b、官能臭気は特異臭有りであった。
加温装置、硫化水素吹き込み管および硫化水素吸収装置を搭載した1リットルのオートクレーブに、イソプレン476g(7.0モル)と粉末硫黄179g(5.6モル)と、触媒として水酸化ナトリウム0.05gを仕込んだ。オートクレーブを密閉した後、内部温度が85℃になるまで加温した。ここに硫化水素ガス(純度99.9モル%)190g(5.6モル)を圧力6kg/cm2で20時間を要して吹き込んだ。更に、同温度で48時間保持した。その後、40℃まで冷却してから、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧に戻し、吹き込み管から空気を吹き込んで、残留する硫化水素および未反応のイソプレンを留去し、硫化オレフィン(A'−1)809g(収率95%)を得た。得られた硫化オレフィン(A'−1)の硫黄含有量は47%、数平均分子量は520、40℃における動粘度は320.3mm2/s、色数は4.0、100℃15hr加熱後の色数は8.0>、銅板腐食(5%100℃3hr)は1b、官能臭気は特異臭有りであった。
比較例2
120℃で硫化水素を吹き込む以外は実施例2と同様に反応を行った。硫化オレフィン(A'−2)775g(収率80%)を得た。硫黄含有量は42%、数平均分子量は500、40℃における動粘度は163.2mm2/s、色数は3.0、100℃15hr加熱後の色数は4.5、100℃15hr加熱後の色数は4.6、銅板腐食(5%100℃3hr)は2b、官能臭気は強い特異臭有りであった。
120℃で硫化水素を吹き込む以外は実施例2と同様に反応を行った。硫化オレフィン(A'−2)775g(収率80%)を得た。硫黄含有量は42%、数平均分子量は500、40℃における動粘度は163.2mm2/s、色数は3.0、100℃15hr加熱後の色数は4.5、100℃15hr加熱後の色数は4.6、銅板腐食(5%100℃3hr)は2b、官能臭気は強い特異臭有りであった。
比較例3(硫化ジイソブチレン)
加温装置、硫化水素吹き込み管および硫化水素吸収装置を搭載した1リットルのオートクレーブに、ジイソブチレン786g(7.0モル)と粉末硫黄379g(11.8モル)と、触媒としてジシクロヘキシルアミン2.3gを仕込んだ。オートクレーブを密閉した後、内部温度が120℃になるまで加温した。ここに硫化水素ガス(純度99.9モル%)129g(3.8モル)を圧力6kg/cm2で20時間を要して吹き込んだ。更に、同温度で1時間保持した。その後、70℃まで冷却してから、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧に戻し、吹き込み管から空気を吹き込んで、残留する硫化水素および未反応のジイソブチレンを留去し、硫化オレフィン(A’−3)1,167g(収率90%)を得た。得られた硫化オレフィン(A’−4)の硫黄含有量は39%、数平均分子量は394、40℃における動粘度は44.3mm2/sであった。色数は3.0、100℃15hr加熱後の色数は4.0、銅板腐食(5%100℃3hr)は4C、官能臭気は良好であった。
加温装置、硫化水素吹き込み管および硫化水素吸収装置を搭載した1リットルのオートクレーブに、ジイソブチレン786g(7.0モル)と粉末硫黄379g(11.8モル)と、触媒としてジシクロヘキシルアミン2.3gを仕込んだ。オートクレーブを密閉した後、内部温度が120℃になるまで加温した。ここに硫化水素ガス(純度99.9モル%)129g(3.8モル)を圧力6kg/cm2で20時間を要して吹き込んだ。更に、同温度で1時間保持した。その後、70℃まで冷却してから、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧に戻し、吹き込み管から空気を吹き込んで、残留する硫化水素および未反応のジイソブチレンを留去し、硫化オレフィン(A’−3)1,167g(収率90%)を得た。得られた硫化オレフィン(A’−4)の硫黄含有量は39%、数平均分子量は394、40℃における動粘度は44.3mm2/sであった。色数は3.0、100℃15hr加熱後の色数は4.0、銅板腐食(5%100℃3hr)は4C、官能臭気は良好であった。
Claims (9)
- ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とモノエン類(a1)とを反応させて硫化オレフィン(A)を得る硫化オレフィンの製造方法であって、第一段階目の工程として、ジエン類(a1)と硫黄(a2)と硫化水素(a3)とを反応させて、有機ポリスルフィドを得た後、第二段階目の工程として、前記第一工程で得られた有機ポリスルフィドとモノオレフィン類と硫黄と硫化水素とを反応させて硫化オレフィンを得ることを特徴とする硫化オレフィンの製造方法。
- ジエン類(a1)1モルに対して、硫黄(a2)を0.3〜1.5モル、硫化水素(a3)を0.3〜1.5モルを反応させる、請求項1に記載の製造方法。
- ジエン類(a1)と硫黄(a2)との混合物に硫化水素(a3)を吹き込みながらアミン系触媒(a4)の存在下で反応させる、請求項1又は1に記載の硫化オレフィンの製造方法。
- 前記ジエン類(a1)として少なくとも2種類用いる請求項1記載の硫化オレフィンの製造方法。
- 前記硫化オレフィンが、分子中に含まれるモノ及びポリスルフィド結合平均一個当たりの硫黄原子数が1〜3であり、且つ、分子中の硫黄含有量が40〜55重量%である請求項1記載の硫化オレフィンの製造方法。
- 前記ジエン類(a1)の一方が、ブタジエン又はイソプレン又はジシクロペンタジエンである請求項1記載の硫化オレフィンの製造方法。
- 前記ジエン類(a1)として、ブタジエンとイソプレン、ブタジエンとジシクロペンタジエン、或いはイソプレンとジシクロペンタジエンとを組み合わせて用いる請求項1、2または3記載の硫化オレフィンの製造方法。
- 前記モノエン類が、イソブチレン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、ジイソブチレン、トリイソブチレン、トリプロピレン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−ドデセン及び1−ヘキサデセンからなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1記載の硫化オレフィンの製造方法。
- 前記硫化オレフィンが、下記一般式(1)で表される化合物をを含有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の硫化オレフィンの製造方法。
R1S(Sx−R2−Sy)R1 ・・・・(1)
(式中、xは0または1−2の整数、yは1−3の整数、nは1−10の整数を表し、R1は炭素数4−20のアルキル基または/及び1種または2種以上の動植物油、R2は炭素数4−10のアルキル基を表す)
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---|---|---|---|
JP2008268519A JP2010095482A (ja) | 2008-10-17 | 2008-10-17 | 硫化オレフィンの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11459345B2 (en) | 2020-08-14 | 2022-10-04 | The Goodyear Tire & Rubber Company | Method for the synthesis of asymmetric polysulfides |
-
2008
- 2008-10-17 JP JP2008268519A patent/JP2010095482A/ja active Pending
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