JP2010095138A - 車両用ホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ウェル部11cの外周面からホイール径方向の外側に立ち上がり、前記外周面のホイール周方向Xに延びるように形成されて、タイヤ空気室内で前記ウェル部11cの外周面上に副気室部材13を固定する縦壁14と、前記副気室部材13の一部を受け入れてこの副気室部材13がホイール周方向Xに回るのを防止する前記縦壁14に形成された受入れ部と、を備える車両用ホイール10であって、前記縦壁14は、ホイール周方向Xにおいて部分的に肉抜きされた肉抜き部19を更に有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
その一方で、一般にバネ下重量の軽量化は車両の運動性能に大きく影響を与えることから、前記した副気室部材を備える車両用ホイールにおいても更なる軽量化が望まれる。
この車両用ホイールは、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のようにホイールに複数の隔壁や蓋部材を順次に組み付けて気密性を考慮しながら高精度にこれらを結合させて副気室を形成していくものと異なって、予め副気室を有する副気室部材をウェル部に設けた縦壁に係止させるだけで製造される。
また、車両用ホイールは、副気室部材を固定する縦壁に肉抜き部を有しているので縦壁部分の重量が削減される。
本実施形態に係る車両用ホイールは、ウェル部の外周面上で副気室部材を固定する縦壁に肉抜き部を形成したことを主な特徴としている。ここでは、先ず車両用ホイールの全体構成及び副気室部材の構成について説明した後に縦壁の肉抜き部について説明する。参照する図面において、図1は、本実施形態に係る車両用ホイールの斜視図である。図2は、図1の車両用ホイールにタイヤを装着した車輪の要部正面断面図である。図3は、図2中に示したウェル部を部分的に拡大した図である。図4は、副気室部材を上板側から見た全体斜視図である。図5は、副気室部材の回り止め用突出部を図3のV方向から見た斜視図である。図6は、図5の縦壁の周方向に沿った断面(VI−VI断面)を部分的に示した図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ホイール10は、リム11と、このリム11を図示しないハブに連結するためのディスク12と、リム11のウェル部11cの外周面上に固定された副気室部材13とで主に構成されている。
このウェル部11cの外周面には、リム11の周方向に延びるように環状の縦壁14が立設されている。
この縦壁14は、図3に示すように、ウェル部11cの外周面11dからホイール径方向Zの外側(図3の紙面上側、以下同じ)に立ち上がる第1の縦壁面15を形成するように外周面11dに立設されている。
なお、縦壁14に形成された溝部17は、副気室部材13の一部である縁部13eの先端部を受け入れることで副気室部材13がホイール周方向X(図1参照)に回るのを防止しており、後記するように、副気室部材13の一部である回り止め用突出部18を受け入れる切欠き部14a(図5参照)と同様に、特許請求の範囲にいう「受入れ部」を構成している。
ちなみに、本実施形態での溝部17,17は、縦壁14及び側面部11eのそれぞれに機械加工を施して形成される。
副気室部材13は、図4に示すように、ホイール周方向Xに長い部材であって、本体部13aと、回り止め用突出部18と、縁部13eとを備えている。そして、副気室部材13は、長手方向に沿って湾曲しており、図1に示すように、ウェル部11cの外周面に沿うように配置されている。ちなみに、本実施形態に係る車両用ホイール10では、図示しないが、副気室部材13がウェル部11cのホイール周方向Xに沿って等間隔に4つ配置されている。つまり、ホイール中心軸を挟んで対向する一対の副気室部材13が2組配置されている。
底板25aは、後記するように、ウェル部11cから立ち上がる第1の縦壁面15及び第2の縦壁面16のそれぞれに向かって延出する縁部13e,13eと一体になってホイール径方向Zの内側に凸となる湾曲面を形成している。
本体部13aは、このような底板25aと上板25bとの間に次に説明する副気室SCを形成している。
副気室SCの容積は、50〜250cc程度が好ましい。副気室SCの容積をこの範囲内に設定することで、副気室部材13は、消音効果を充分に発揮しつつ、その重量の増大を抑制して車両用ホイール10の軽量化を図ることができる。また、ホイール周方向の副気室部材13の長さは、リム11の周長と同じ長さを最大として、車両用ホイール10の重量の調整やウェル部11cに対する組付け容易性を考慮して適宜に設定することができる。
この回り止め用突出部18は、図4に示すように、ホイール周方向X(車両用ホイール10(図1参照)の回転方向)と交差する方向に本体部13aから突出している。
更に詳しく説明すると、この回り止め用突出部18は、図5に示すように、本体部13aの上板25bを部分的に平坦に形成した根元部18aから縦壁14側に延びている。
なお、切欠き部14aは、前記した縦壁14の溝部17(図3参照)と同様に、特許請求の範囲にいう「受入れ部」を構成しており、回り止め用突出部18は、特許請求の範囲にいう「副気室部材の一部」に相当する。
そして、本実施形態での副気室部材13では、回り止め用突出部18と縁部13eとの間、及び根元部18aと縁部13eとの間に隙間G,Gが形成されている。これらの隙間G,Gは、車両用ホイール10(図1参照)の回転時に遠心力が本体部13aに作用した際に、本体部13aと縦壁14との間で縁部13eを撓み易くしている。その結果、この副気室部材13は、隙間G,Gがないものと比較して、回り止め用突出部18と縁部13eとの間や、根元部18aと縁部13eとの間に疲労亀裂が生じることを確実に防止することができる。
f0(Hz):共鳴周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔13bの長さ
S(m2):連通孔13bの開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に合わせられる。この際、前記した4つの副気室部材13の共鳴周波数f0は、全て同じに設定しても良いし、違えても良い。具体的には、タイヤ空気室MC(図2参照)の共鳴周波数に2つの共鳴周波数(f1,f2)が認められる場合に、4つの副気室部材13の共鳴周波数f0を(f1+f2)/2に設定することができる。また、リム中心を挟んで対向する一対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf1に設定し、他の一対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf2に設定することもできる。更に4つの副気室部材13の全ての共鳴周波数f0をf1、f2のいずれか一方に設定しても良い。
縁部13eの厚さは、底板25a及び上板25bの厚さと同じ厚さに設定されている。なお、本実施形態での縁部13eは、その厚さや樹脂材料を適宜に選択することでバネ弾性を有している。
図1に示すように、副気室部材13を固定する縦壁14には、ホイール周方向Xに沿って複数の肉抜き部19が形成されている。
更に詳しく説明すると、本実施形態での肉抜き部19は、図6に示すように、固定する副気室部材13ごとに、回り止め用突出部18が嵌め込まれる切欠き部14aを挟む両側に所定間隔で複数並ぶように形成されており、このような肉抜き部19が形成されることで縦壁14は歯車状となっている。肉抜き部19は、その深さHがウェル部11cからの縦壁14の高さと同じに設定されている。そして、肉抜き部19には、回り止め用突出部18の中心を通る遠心方向Rに等しい後記する脱型方向R(図8参照)に対して5度以上となる抜き角θが設定されている。
図7に示すように、金型50は、固定下型51と、可動型である上型52及び側型53とで主に構成されており、金型50内には、副気室部材13(図1参照)を除く車両用ホイール10の形状を模ったキャビティ54が形成されている。
図7に示すように、上型52には、キャビティ54に連通する湯口52aが形成されている。この湯口52aからキャビティ54内に溶湯が注入される。そして、固定下型51には、キャビティ54内から余剰の溶湯を所定の溶湯溜めに導く図示しない湯道が形成されている。
なお、本実施形態での切欠き部14a(図5参照)は、前記したように、機械加工で形成されるので、本実施形態での側型53には、回り止め用突出部18に対応する位置に突起部53aが形成されていない。なお、図8中の符号52は上型であり、符号54はキャビティであり、符号Rは側型53の脱型方向である。
なお、前記したように、図6に示す抜き角θは、この鋳造物から側型53を脱型する際の脱型方向R(図8参照)に対して成す角度で設定されている。
そして、図示しないが、本実施形態では、脱型して得られた鋳造物に機械加工により溝部17,17(図3参照)及び切欠き部14a(図5参照)が形成され、これに副気室部材13(図3参照)が前記したように組み付けられることで車両用ホイール10(図1参照)が完成する。
本実施形態に係る車両用ホイール10は、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のようにリムに複数の隔壁や蓋部材を順次に組み付けて気密性を考慮しながら高精度にこれらを結合させて副気室を形成していくものと異なって、予め副気室SCを有する副気室部材13をリム11(ウェル部11c)に嵌め込むだけで製造される。したがって、車両用ホイール10は、前記した特許文献1のような従来の車両用ホイールと比較して、製造工数や製造コストを削減することができ、量産性を向上させることができる。また、車両用ホイール10は、従来の車両用ホイールと異なって、副気室SCの気密性の確保に対する特別な配慮も不要であるため、消音性能の品質を安定させることができる。
そして、回り止め用突出部18の内側には、連通孔13bが形成されているので、回り止め用突出部18と別途に連通孔13bを形成するための部材を設けなくてもよく、車両用ホイール10は、その構造が簡素化されて更なる軽量化を達成することができる。
この車両用ホイール10によれば、縦壁14に対する各副気室部材13の固定力を変えないで軽量化を図ることができる。
この車両用ホイール10によれば、肉抜き部19が形成されていない部分によって車両用ホイール10の静バランスをとることができる。
なお、図9(a)及び(b)中の符号18は回り止め用突出部である。
なお、副気室部材13の数としては、消音効率を考慮すると4つ以上(2対以上)の副気室部材13のそれぞれを、ホイール中心を挟んで対向させて配置したものが望ましい。そして、車両用ホイール10の軽量化や量産性の向上を考慮すると2つから4つの副気室部材13をウェル部11cの周面に沿って等間隔に配置したものが望ましい。
11c ウェル部
13 副気室部材
13a 本体部
13e 縁部
14 縦壁
14a 切欠き部
17 溝部
18 回り止め用突出部
19 肉抜き部
25a 底板
25b 上板
MC タイヤ空気室
X ホイール周方向
SC 副気室
Claims (2)
- ウェル部の外周面からホイール径方向の外側に立ち上がり、前記外周面のホイール周方向に延びるように形成されて、タイヤ空気室内で前記ウェル部の外周面上に副気室部材を固定する縦壁と、
前記副気室部材の一部を受け入れてこの副気室部材がホイール周方向に回るのを防止する前記縦壁に形成された受入れ部と、
を備える車両用ホイールであって、
前記縦壁は、ホイール周方向において部分的に肉抜きされた肉抜き部を更に有することを特徴とする車両用ホイール。 - 前記副気室部材は、前記ウェル部の外周面側の底板と、この底板との間で副気室を形成する上板と、前記副気室と前記タイヤ空気室を連通する連通孔と、からなる本体部と、
前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記本体部から前記縦壁側に延出して前記縦壁に形成された溝部に係止される縁部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
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