JP2010094833A - 接合体、ルーフ構造体、それに用いる積層シート及び積層シートの使用方法 - Google Patents
接合体、ルーフ構造体、それに用いる積層シート及び積層シートの使用方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】パネルの収縮などにより歪みを発生した場合、その応力などにより接合を解除することが可能な接合体、ルーフ構造体、それに用いる積層シート及び積層シートの使用方法を提供する。
【解決手段】本発明は、部材と、該部材とは別の部材とを積層シート1で接合してなり、該接合体を変形させる力が加わるときに、積層シート1と部材が剥離して該変形が防止される接合体であって、積層シート1が基材2および粘着剤層3で構成され、基材2の片面側が接着剤に対して難接着性であり、他面側に粘着剤層3を有するものである接合体、ルーフ構造体、該接合体に用いる積層シート1であって、基材2の片面側が、水との接触角で75度以上である難接着性を有し、基材2の他面側に粘着剤層3が設けられている積層シート1、並びに、積層シート1の使用方法である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、部材と、該部材とは別の部材とを積層シート1で接合してなり、該接合体を変形させる力が加わるときに、積層シート1と部材が剥離して該変形が防止される接合体であって、積層シート1が基材2および粘着剤層3で構成され、基材2の片面側が接着剤に対して難接着性であり、他面側に粘着剤層3を有するものである接合体、ルーフ構造体、該接合体に用いる積層シート1であって、基材2の片面側が、水との接触角で75度以上である難接着性を有し、基材2の他面側に粘着剤層3が設けられている積層シート1、並びに、積層シート1の使用方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、接合体、ルーフ構造体、それに用いる積層シート及び積層シートの使用方法に関し、詳しくは、パネルの収縮などにより歪みを発生した場合、その応力などにより接合を解除することが可能な接合体、ルーフ構造体、それに用いる積層シート及び積層シートの使用方法に関するものである。
自動車製造ラインにおいて、ルーフ鋼板などの外板パネルとスチフナーなどの補強用内板パネルとで構成される車体パネルの組立接着が実施されている。すなわち、防錆油の付着した鋼板をまず裁断、プレス加工し、次いで得られる外板パネル又は内板パネルの一方にマスチック接着剤(マスチックシーラーともいう)を塗布し、他方のパネルを重ね合わせ、パネルを固定接合する。このように、車体パネルの組立接着接合には、マスチックシーラー(例えば、特許文献1参照)が用いられる。
次いで、この車体パネルを車体に組み付けた後、防錆油を脱脂するため、アルカリ浸漬及び温水シャワーの工程を数回繰り返した後、化成処理とシャワー洗浄工程、電着塗装、次いで電着塗料の焼き付け硬化を行い、同時にマスチック接着剤も硬化せしめる。それから中塗り、上塗り表面塗装が行われる。
近年、自動車の軽量化が特に求められ、この一環として、ルーフ鋼板としてハイテン材(板が薄く剛性がある)などの適用が推進されている。この場合、ルーフ鋼板とスチフナーの板厚の違い及びマスチックシーラー自体も若干収縮することなどにより、塗装乾燥後に板厚が薄いルーフ鋼板のマスチックシーラーによる接合部に歪みが発生することがある。
このような現象はマスチックシーラーで接合した全ての部分で起こるわけではないので、構造解析の結果、歪みが発生する部位のマスチックシーラー接合部をナイフなどで切断することで対応して来た。
特開2007−302755号公報
次いで、この車体パネルを車体に組み付けた後、防錆油を脱脂するため、アルカリ浸漬及び温水シャワーの工程を数回繰り返した後、化成処理とシャワー洗浄工程、電着塗装、次いで電着塗料の焼き付け硬化を行い、同時にマスチック接着剤も硬化せしめる。それから中塗り、上塗り表面塗装が行われる。
近年、自動車の軽量化が特に求められ、この一環として、ルーフ鋼板としてハイテン材(板が薄く剛性がある)などの適用が推進されている。この場合、ルーフ鋼板とスチフナーの板厚の違い及びマスチックシーラー自体も若干収縮することなどにより、塗装乾燥後に板厚が薄いルーフ鋼板のマスチックシーラーによる接合部に歪みが発生することがある。
このような現象はマスチックシーラーで接合した全ての部分で起こるわけではないので、構造解析の結果、歪みが発生する部位のマスチックシーラー接合部をナイフなどで切断することで対応して来た。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、パネルの収縮などにより歪みを発生した場合、その応力などにより接合を解除することが可能な接合体、ルーフ構造体、それに用いる積層シート及び積層シートの使用方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、部材と、該部材と別の部材との間に所定の力が加わったときに剥離可能な積層シートを設けることにより、前記の目的を達成することを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、部材と、該部材とは別の部材とを積層シートで接合してなり、該接合体を変形させる力が加わるときに、積層シートと部材が剥離して該変形が防止される接合体であって、該積層シートが基材および粘着剤層で構成され、該基材の片面側が接着剤に対して難接着性であり、他面側に粘着剤層を有するものである接合体を提供するものである。
また、本発明は、自動車用スチフナーと自動車用ルーフとの間に、マスチックシーラー及び積層シートを介して接合したルーフ構造体であって、該ルーフ構造体を変形させる力が加わるときに、該積層シートとマスチックシーラーが剥離して該変形が防止されるルーフ構造体を提供するものである。
また、本発明は、該接合体に用いる積層シートであって、基材の片面側が、水との接触角で75度以上である難接着性を有し、基材の他面側に粘着剤層が設けられていることを特徴とする積層シート、並びに、基材の片面側に、水との接触角で75度以上である難接着性の離型層が設けられ、基材の他面側に粘着剤層が設けられていることを特徴とする積層シートを提供するものである。
さらに、本発明は、一方の部材の片面側に、本発明の積層シートの粘着剤層面を貼着し、該積層シートの基材面に接着剤で他方の部材に接着し、部材と部材を接合することを特徴とする積層シートの使用方法を提供するものである。
また、本発明は、自動車用スチフナーと自動車用ルーフとの間に、マスチックシーラー及び積層シートを介して接合したルーフ構造体であって、該ルーフ構造体を変形させる力が加わるときに、該積層シートとマスチックシーラーが剥離して該変形が防止されるルーフ構造体を提供するものである。
また、本発明は、該接合体に用いる積層シートであって、基材の片面側が、水との接触角で75度以上である難接着性を有し、基材の他面側に粘着剤層が設けられていることを特徴とする積層シート、並びに、基材の片面側に、水との接触角で75度以上である難接着性の離型層が設けられ、基材の他面側に粘着剤層が設けられていることを特徴とする積層シートを提供するものである。
さらに、本発明は、一方の部材の片面側に、本発明の積層シートの粘着剤層面を貼着し、該積層シートの基材面に接着剤で他方の部材に接着し、部材と部材を接合することを特徴とする積層シートの使用方法を提供するものである。
本発明の積層シート及び接合体を用いると、パネルの収縮などにより歪みを発生した場合、その応力などにより接合を解除することが可能であり、例えば、ルーフ構造体に適しており、自動車用スチフナーとルーフの接合部に用い、部材の変形を防止することができる。
本発明の接合体は、部材と、該部材とは別の部材とを積層シートで接合してなり、該接合体を変形させる力が加わるときに、積層シートと部材が剥離して該変形が防止される接合体であって、該積層シートが基材および粘着剤層で構成され、該基材の片面側が接着剤に対して難接着性であり、他面側に粘着剤層を有するものである。
前記部材は、自動車用部材であると好ましく、例えば、部材と、該部材とは別の部材が、自動車用スチフナーと、自動車用ルーフであると好ましい。
例えば、図5に示すように、自動車用スチフナー8と自動車用ルーフ6との間に、マスチックシーラー7及び積層シート1,1’を介して接合したルーフ構造体であって、該ルーフ構造体を変形させる力が加わるときに、積層シート1,1’とマスチックシーラー7が剥離して該変形が防止されるルーフ構造体として用いられる。
この他、本発明の接合体は、運輸、輸送等の分野の、船舶、電車等の部材にも用いることができる。
前記部材は、自動車用部材であると好ましく、例えば、部材と、該部材とは別の部材が、自動車用スチフナーと、自動車用ルーフであると好ましい。
例えば、図5に示すように、自動車用スチフナー8と自動車用ルーフ6との間に、マスチックシーラー7及び積層シート1,1’を介して接合したルーフ構造体であって、該ルーフ構造体を変形させる力が加わるときに、積層シート1,1’とマスチックシーラー7が剥離して該変形が防止されるルーフ構造体として用いられる。
この他、本発明の接合体は、運輸、輸送等の分野の、船舶、電車等の部材にも用いることができる。
前記接合体に用いる本発明の積層シートは、難接着性側が接着剤と剥離する。
図面を用いて説明すると、本発明の積層シート1(図1参照)は、前記接合体に用いる積層シート1であって、基材2の片面側が、水との接触角で75度以上である難接着性を有し、基材の他面側に粘着剤層3が設けられている。
また、別の態様として、本発明の積層シート1’(図3参照)は、基材2’の片面側に、水との接触角で75度以上である難接着性の離型層5を設けられ、基材の他面側に粘着剤層3が設けられている。
本発明の積層シートにおいて、難接着性とは、基材2の上面に施されるマスチックシーラーなどの接着剤との接着力が低くなる性能であり、水との接触角で70度以上であれば一般的なマスチックシーラーを用いる場合において、有効な難接着性を発揮することができる。
図面を用いて説明すると、本発明の積層シート1(図1参照)は、前記接合体に用いる積層シート1であって、基材2の片面側が、水との接触角で75度以上である難接着性を有し、基材の他面側に粘着剤層3が設けられている。
また、別の態様として、本発明の積層シート1’(図3参照)は、基材2’の片面側に、水との接触角で75度以上である難接着性の離型層5を設けられ、基材の他面側に粘着剤層3が設けられている。
本発明の積層シートにおいて、難接着性とは、基材2の上面に施されるマスチックシーラーなどの接着剤との接着力が低くなる性能であり、水との接触角で70度以上であれば一般的なマスチックシーラーを用いる場合において、有効な難接着性を発揮することができる。
本発明の積層シート1に用いる基材2は、難接着性を有するもので、耐熱性、耐薬品性および耐久性を有するものであれば特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、パーフルオロ−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)などのフッ素フィルムが好ましい。
また、本発明の積層シート1’に用いる基材2’は、耐熱性、耐薬品性および耐久性を有するものであれば特に限定はなく、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂などからなるポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、金属箔などが用いられる。
積層シート1’において、基材2’上に設けられる難接着性の離型層5としては、難接着性であれば特に限定されないが、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フルオロシリコーン樹脂、長鎖アルキル樹脂などから形成される層であると好ましい。厚さは通常0.01〜3μm程度である。
積層シート1’において、基材2’上に設けられる難接着性の離型層5としては、難接着性であれば特に限定されないが、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フルオロシリコーン樹脂、長鎖アルキル樹脂などから形成される層であると好ましい。厚さは通常0.01〜3μm程度である。
本発明において、基材2、2’は、その上に設けられる粘着剤層3や各種樹脂層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、片面又は両面にプライマー処理を施したものも用いることができる。
基材2、2’の厚さは特に限定されないが、耐熱性および耐久性などを考慮すると10〜200μm程度のものが用いられる。
基材2、2’の厚さは特に限定されないが、耐熱性および耐久性などを考慮すると10〜200μm程度のものが用いられる。
基材2、2’の他面側に設けられる粘着剤層3としては、耐熱性、耐薬品性、耐久性及び強粘着性を有するものであれば特に限定されず、粘着剤を主剤とした粘着剤組成物を用いることができる。
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。特に金属系被着体(図2では部材8)に対する貼付適性の点からアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
例えば、粘着剤がアクリル系粘着剤である場合、粘着性を与える主モノマー成分、接着性や凝集力を与えるコモノマー成分、架橋点や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体又は共重合体から構成することができる。
主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸メトキシエチル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
コモノマー成分としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
これらの各成分を含むことにより、粘着剤組成物の粘着力、凝集力が向上する。また、このようなアクリル系樹脂は、通常、分子中に不飽和結合を有しないため、光や酸素に対する安定性の向上を図ることができる。さらに、モノマーの種類や分子量を適宜選択することにより、用途に応じた品質、特性を備える粘着剤組成物を得ることができる。
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。特に金属系被着体(図2では部材8)に対する貼付適性の点からアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
例えば、粘着剤がアクリル系粘着剤である場合、粘着性を与える主モノマー成分、接着性や凝集力を与えるコモノマー成分、架橋点や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体又は共重合体から構成することができる。
主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸メトキシエチル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
コモノマー成分としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
これらの各成分を含むことにより、粘着剤組成物の粘着力、凝集力が向上する。また、このようなアクリル系樹脂は、通常、分子中に不飽和結合を有しないため、光や酸素に対する安定性の向上を図ることができる。さらに、モノマーの種類や分子量を適宜選択することにより、用途に応じた品質、特性を備える粘着剤組成物を得ることができる。
このような粘着剤組成物には、架橋処理を施す架橋型及び架橋処理を施さない非架橋型のいずれのものを用いても良いが、架橋型のものがより好ましい。架橋型のものを用いる場合、凝集力のより優れた粘着剤層3を形成することができる。
架橋型粘着剤組成物に用いる架橋剤としては、エポキシ系化合物、イソシアナート化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。この架橋剤の使用量は、前記粘着剤100質量部に対し、通常0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部の範囲で選定される。
この粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により各種添加剤、例えば酸化防止剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カップリング剤、充填剤、着色剤などを添加することができる。
架橋型粘着剤組成物に用いる架橋剤としては、エポキシ系化合物、イソシアナート化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。この架橋剤の使用量は、前記粘着剤100質量部に対し、通常0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5質量部の範囲で選定される。
この粘着剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により各種添加剤、例えば酸化防止剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カップリング剤、充填剤、着色剤などを添加することができる。
粘着剤層3は、基材2の難接着性を有さない側の片面に直接塗布、形成してもよく、また、後述する剥離シート4の剥離処理面に粘着剤を塗布、乾燥させ粘着剤層3を形成した後、基材2の難接着性を有さない側の片面と貼り合わせても良い。粘着剤層3の形成方法としては、特に制限なく種々の方法を用いることができ、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーターなどが挙げられる。
粘着剤層3の厚さは、通常10〜100μm程度、好ましくは15〜60μmである。
粘着剤層3の厚さは、通常10〜100μm程度、好ましくは15〜60μmである。
粘着剤層3の表面は、それを保護するために使用する前まで剥離シート4で覆うことが好ましい。この剥離シート4としては、いずれのものを使用してもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレートなどの各種樹脂よりなるフィルムや、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙、上質紙等の各種紙材を基材とし、この基材の粘着剤層との接合面に、必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。この場合、剥離処理の代表例としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成が挙げられる。
剥離シートの厚さは、特に制限されず、適宜選定すれば良い。
剥離シートの厚さは、特に制限されず、適宜選定すれば良い。
次に図2を用いて、本発明の積層シート1を例として使用方法を説明する。
まず、図2(a)のように下部材(スチフナー)8の表面に積層シート1を貼付する。上部材(ルーフ鋼板)6の接合部に接着剤(マスチックシーラー)7を塗布した後、図2(b)のように積層シート1上に接着させ、マスチックシーラー7の接着により接合する。この状態で各種洗浄、塗装工程に入る。この状態ではマスチックシーラー7により、ルーフ鋼板6とスチフナー8は接合状態となっている。
次に乾燥工程に入り熱が付加され、歪みなどの応力が発生すると、図2(c)のようにマスチックシーラー7は難接着性である積層シート1から剥離する。
マスチックシーラー7は特に限定されるものでは無く、特許文献1にも記載されている一般的な市販品が用いられる。
また上記説明及び図2では、ルーフ鋼板6にマスチックシーラー7を塗布形成してスチフナー8と接合したが、積層シート1上にマスチックシーラー7を塗布形成してからルーフ鋼板6と接合しても良い。
まず、図2(a)のように下部材(スチフナー)8の表面に積層シート1を貼付する。上部材(ルーフ鋼板)6の接合部に接着剤(マスチックシーラー)7を塗布した後、図2(b)のように積層シート1上に接着させ、マスチックシーラー7の接着により接合する。この状態で各種洗浄、塗装工程に入る。この状態ではマスチックシーラー7により、ルーフ鋼板6とスチフナー8は接合状態となっている。
次に乾燥工程に入り熱が付加され、歪みなどの応力が発生すると、図2(c)のようにマスチックシーラー7は難接着性である積層シート1から剥離する。
マスチックシーラー7は特に限定されるものでは無く、特許文献1にも記載されている一般的な市販品が用いられる。
また上記説明及び図2では、ルーフ鋼板6にマスチックシーラー7を塗布形成してスチフナー8と接合したが、積層シート1上にマスチックシーラー7を塗布形成してからルーフ鋼板6と接合しても良い。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、下記実施例及び比較例において、剥離力試験は、以下のようにして行った。
剥離力試験
図4(a)に示すように、四隅に取り付け穴を有する長さ150mm、幅70mm、厚さ1.0mmのSUS(ステンレス鋼)板の中央部に積層シート(長さ100mm、幅25mm)を粘着剤層にて貼付する。同じく四隅に取り付け穴を有する長さ180mm(端部30mmが角度30度で曲がっている)、幅70mm、厚さ0.8mmのSUS板の中央部に、上記積層シートの中央部に位置するようにマスチックシーラー5gを幅10mm、長さ80mm、厚さ約5mmとなるように設ける。
次いで、図4(b)に示すようにマスチックシーラーが塗布されたSUS板をマスチックシーラーが積層シート上に来るように重ねあわせ、取り付け穴に厚さ3mmのワッシャーをかませてその両端をボルトにて固定する。このものを150℃のオーブンに入れ1時間放置しマスチックシーラーを硬化させる。
次に図4(c)に示すように、23℃50%RH条件下に1時間放置し、四隅の取り付けを解除した後に積層シート側のSUS板を固定し、反対側のSUS板の端部から引張り試験機により、300mm/minの速度で引きはがして剥離力を測定した。
なお、下記実施例及び比較例において、剥離力試験は、以下のようにして行った。
剥離力試験
図4(a)に示すように、四隅に取り付け穴を有する長さ150mm、幅70mm、厚さ1.0mmのSUS(ステンレス鋼)板の中央部に積層シート(長さ100mm、幅25mm)を粘着剤層にて貼付する。同じく四隅に取り付け穴を有する長さ180mm(端部30mmが角度30度で曲がっている)、幅70mm、厚さ0.8mmのSUS板の中央部に、上記積層シートの中央部に位置するようにマスチックシーラー5gを幅10mm、長さ80mm、厚さ約5mmとなるように設ける。
次いで、図4(b)に示すようにマスチックシーラーが塗布されたSUS板をマスチックシーラーが積層シート上に来るように重ねあわせ、取り付け穴に厚さ3mmのワッシャーをかませてその両端をボルトにて固定する。このものを150℃のオーブンに入れ1時間放置しマスチックシーラーを硬化させる。
次に図4(c)に示すように、23℃50%RH条件下に1時間放置し、四隅の取り付けを解除した後に積層シート側のSUS板を固定し、反対側のSUS板の端部から引張り試験機により、300mm/minの速度で引きはがして剥離力を測定した。
実施例1
厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム「「商品名:テドラーフィルム」、デュポン社製」の、一方の面上に、乾燥厚さ30μmの粘着剤層「「商品名:PA−T1」、リンテック社製」を形成した。剥離シートとして「「商品名:SP−8LKアオ、リンテック社製」を用い、粘着剤層に貼り合わせた。
得られた積層シートのポリフッ化ビニル樹脂フィルムの水との接触角を測定した結果を表1に示す。また、剥離シートを剥がしてから、上記剥離力試験を行った結果を表1に示す。
厚さ25μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム「「商品名:テドラーフィルム」、デュポン社製」の、一方の面上に、乾燥厚さ30μmの粘着剤層「「商品名:PA−T1」、リンテック社製」を形成した。剥離シートとして「「商品名:SP−8LKアオ、リンテック社製」を用い、粘着剤層に貼り合わせた。
得られた積層シートのポリフッ化ビニル樹脂フィルムの水との接触角を測定した結果を表1に示す。また、剥離シートを剥がしてから、上記剥離力試験を行った結果を表1に示す。
実施例2
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの、一方の面をシリコーンによって離型層(厚さ:0.2μm)が施された「「商品名:SP−PET50(T)、リンテック社製」の、ポリエチレンテレフタレートフィルムの他面上に、乾燥厚さ30μmの粘着剤層(アクリル系粘着剤「商品名:「PA−T1」、リンテック社製」を形成した。剥離シートとして「「商品名:SP−8LKアオ、リンテック社製」を用い、粘着剤層に貼り合わせた。
得られた積層シートのポリエチレンテレフタレートフィルムのシリコーンによって離型層が施された面の水との接触角を測定した結果を表1に示す。また、剥離シートを剥がしてから、上記剥離力試験を行った結果を表1に示す。
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの、一方の面をシリコーンによって離型層(厚さ:0.2μm)が施された「「商品名:SP−PET50(T)、リンテック社製」の、ポリエチレンテレフタレートフィルムの他面上に、乾燥厚さ30μmの粘着剤層(アクリル系粘着剤「商品名:「PA−T1」、リンテック社製」を形成した。剥離シートとして「「商品名:SP−8LKアオ、リンテック社製」を用い、粘着剤層に貼り合わせた。
得られた積層シートのポリエチレンテレフタレートフィルムのシリコーンによって離型層が施された面の水との接触角を測定した結果を表1に示す。また、剥離シートを剥がしてから、上記剥離力試験を行った結果を表1に示す。
比較例1
実施例1の積層シートを設けないで、上記剥離力試験を行った結果を表1に示す。
実施例1の積層シートを設けないで、上記剥離力試験を行った結果を表1に示す。
実施例3
実施例1で製造した積層シートを用い、図5に示すルーフ構造体のスチフナー8上に貼り付け、ルーフ6との間にマスチックシーラー7を塗布し接合させ電着塗装を施した後に150℃1時間の乾燥を行ったところ、乾燥前は接合していたが、乾燥後には、ポリフッ化ビニル樹脂フィルムとマスチックシーラーの間が剥離し、ルーフ6の歪みは無かった。
実施例1で製造した積層シートを用い、図5に示すルーフ構造体のスチフナー8上に貼り付け、ルーフ6との間にマスチックシーラー7を塗布し接合させ電着塗装を施した後に150℃1時間の乾燥を行ったところ、乾燥前は接合していたが、乾燥後には、ポリフッ化ビニル樹脂フィルムとマスチックシーラーの間が剥離し、ルーフ6の歪みは無かった。
以上詳細に説明したように、本発明の積層シート及び接合体を用いると、パネルの収縮などにより歪みを発生した場合、その応力などにより接合を解除することが可能であり、例えば、ルーフ構造体に適しており、自動車用スチフナーとルーフの接合部に用い、部材の変形を防止することができる。
また、この積層シート及び接合体は、運輸、輸送等の分野の、船舶、電車等の部材にも用いることができる。
また、この積層シート及び接合体は、運輸、輸送等の分野の、船舶、電車等の部材にも用いることができる。
1,1’:積層シート
2、2’:基材
3:粘着剤層
4:剥離シート
5:離型層
6:上部材(ルーフ鋼板)
7:接着剤(マスチックシーラー)
8:下部材(スチフナー)
2、2’:基材
3:粘着剤層
4:剥離シート
5:離型層
6:上部材(ルーフ鋼板)
7:接着剤(マスチックシーラー)
8:下部材(スチフナー)
Claims (9)
- 部材と、該部材とは別の部材とを積層シートで接合してなり、該接合体を変形させる力が加わるときに、積層シートと部材が剥離して該変形が防止される接合体であって、該積層シートが基材および粘着剤層で構成され、該基材の片面側が接着剤に対して難接着性であり、他面側に粘着剤層を有するものである接合体。
- 前記部材が自動車用部材である請求項1に記載の接合体。
- 部材と、該部材とは別の部材が、自動車用スチフナーと、自動車用ルーフである請求項1に記載の接合体。
- 自動車用スチフナーと自動車用ルーフとの間に、マスチックシーラー及び積層シートを介して接合したルーフ構造体であって、該ルーフ構造体を変形させる力が加わるときに、該積層シートとマスチックシーラーが剥離して該変形が防止されるルーフ構造体。
- 請求項1に記載の接合体に用いる積層シートであって、基材の片面側が、水との接触角で75度以上である難接着性を有し、基材の他面側に粘着剤層が設けられていることを特徴とする積層シート。
- 前記基材がフッ素フィルムである請求項5に記載の積層シート。
- 請求項1に記載の接合体に用いる積層シートであって、基材の片面側に、水との接触角で75度以上である難接着性の離型層が設けられ、基材の他面側に粘着剤層が設けられていることを特徴とする積層シート。
- 前記離型層が、シリコーン樹脂から形成される層である請求項7に記載の積層シート。
- 一方の部材の片面側に、請求項5〜8のいずれかに記載の積層シートの粘着剤層面を貼着し、該積層シートの難接着性面に接着剤で他方の部材に接着し、部材と部材を接合することを特徴とする積層シートの使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008265303A JP2010094833A (ja) | 2008-10-14 | 2008-10-14 | 接合体、ルーフ構造体、それに用いる積層シート及び積層シートの使用方法 |
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2008
- 2008-10-14 JP JP2008265303A patent/JP2010094833A/ja active Pending
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