JP2010094711A - 溶接部整形方法、整形ツール、及び整形装置 - Google Patents

溶接部整形方法、整形ツール、及び整形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】工程の複雑化や装置構成の複雑化を招くことなく、小さい整形荷重によって溶接部を整形することができる溶接部整形方法、整形ツール、及び整形装置を提供すること。
【解決手段】溶接装置10に、薄板部45と、薄板部45の歪を検出する歪ゲージ47と、薄板部45の温度を検出する熱電対48と、歪ゲージ47と熱電対48とが配置されるキャビティ46とを備えた整形ツール12,13と、突き合わせ方向に直交する方向において整形ツール12,13の各部40〜42を溶接部60に対して進退させる駆動機構18と、溶接部材30a,30b同士の突き合わせ荷重を調整する突き合わせ調整機構19と、歪ゲージ47及び熱電対48における各検出結果を取得し、その検出結果に基づいて溶接部60がA3変態点以上の半凝固状態であると判断すると、駆動手段18及び突き合わせ調整機構19を制御して溶接部60の整形を実行させる制御部50とを設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、溶接部の整形を行うための整形方法、整形ツール、及び整形装置に関する。より詳細には、突き合わせ溶接における溶接部の整形を、低荷重で精度良く行うことができる整形方法、整形ツール、及び整形装置に関するものである。
突き合わせ溶接では、突き合わせ部における隙間をなくすために、溶接部材同士を突き合わせ方向に加圧した状態で位置決めして溶接を実施する。このとき、溶接部材を位置決めした後において、両部材の加圧を維持する場合と加圧を止める場合とがある。そして、溶接時において、加圧力が高い場合や溶融部の熱膨張が大きい場合などには、溶接部の表面形状が凸状になり、逆に、プレス加工で切断された部分が突き合わせ溶接される場合などには、突き合わせ部においてダレや破断面による体積欠損が発生し、溶接部の表面形状が凹状になる。
このため、溶接部における表面形状をレーザセンサや画像処理技術を用いて計測し、表面形状が凹状の場合には、溶接部に対して突き合わせ方向から加圧を行って凸状化して表面を整形すること(アップセット)が行われている。しかしながら、アップセットでは限られた時間内に加圧しなければならないため、加圧力を調整する(変化させる)ことができないので、予め決められた一定の力によって加圧される。このため、凸状化が不安定(成り行き任せ)であり、完全に整形することができなかった。
そこで、一般的には、溶接部が凸状化するように加圧力を設定し、溶接部が凝固した後に、凸部を機械加工によって切削して除去することが行われている。ところが、この場合には凸部を切削加工するための余分な工程が必要であり、また原材料を余分に使用するため製品コストの上昇を招くという問題があった。さらに、溶接部に内部欠陥が存在した場合に、切削加工により欠陥部分が表面に露出してしまい、耐腐食性の悪化や形状効果による機械的強度の低下を招くという問題もあった。
そのため、凸部の切削加工を不要にする技術の1つとして、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された技術では、従来のアップセットの代わりに、溶接部を一旦冷却した後、溶接温度以下に再加熱しつつ突き合わせ部を加圧して溶接部を整形するようになっている。
特開2003−53586号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載された技術では、切削加工に伴い発生する問題点を解消できるが、再加熱の制御などが新たに必要となるために工程が複雑化してしまう。その結果、生産性が低下するとともに製品のコストアップを招くという問題があった。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、工程の複雑化や装置構成の複雑化を招くことなく、小さい整形荷重によって溶接部を整形することができる溶接部整形方法、整形ツール、及び整形装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、突き合わせ溶接部の表面形状を整形する溶接部整形方法において、突き合わせ溶接の溶接線方向において溶接部の後方で溶接部の温度及び表面形状を計測する計測工程と、前記計測工程にて計測された温度及び表面形状に基づき、溶接部がA3変態点以上の半凝固状態となっているときに、溶接部材同士の突き合わせ方法から溶接部を圧縮することにより、又は突き合わせ方向と直交する方向から溶接部を圧縮することにより、溶接部を整形する整形工程と、を含むことを特徴とする。
この溶接部整形方法では、計測工程にて、突き合わせ溶接部の温度及び表面形状が計測される。温度の計測は例えば熱電対を利用して行えばよいし、表面形状の計測は歪ゲージなどを使用して溶接部表面の歪を検出すればよい。そして、整形工程にて、計測工程にて計測された温度及び表面形状に基づき、溶接部がA3変態点以上の半凝固状態となっているときに、溶接部に対する所定の整形が実行される。これにより、小さな整形荷重によって溶接部を変形させて整形することができる。また、溶接部を再加熱することなく溶接部を整形することができるため、生産性の低下を防ぐことができる。これらのことから、装置構成の複雑化や工程の複雑化を招くことがないので、製品のコストアップを防止することができる。
そして、本発明に係る溶接部整形方法において、前記整形工程では、前記計測工程での計測結果に基づき溶接部の表面形状が凸状であると判断されると、突き合わせ方向と直交する方向から溶接部を圧縮して溶接部を整形すればよい。
このように、溶接部の表面形状が凸状となっている場合には、溶接部に対して突き合わせ方向と直交する方向から荷重を加える、つまり溶接部表面を圧縮することにより、溶接部表面を変形させて整形することができる。
あるいは、本発明に係る溶接部整形方法において、前記整形工程では、前記計測工程での計測結果に基づき溶接部の表面形状が凹状であると判断されると、突き合わせ方向から溶接部を圧縮して溶接部を整形すればよい。
このように、溶接部の表面形状が凹状となっている場合には、溶接部に対して突き合わせ方向から荷重を加える、つまり溶接部材同士の突き合わせ荷重を高めて溶接部を圧縮して溶接部表面を変形させて整形することができる。
なお、溶接部の表面形状の判断は、計測工程で計測される溶接部表面の歪などに基づき簡単に判断することができる。また、溶接部の表面形状が所望の整形形状になっている場合には、溶接部の整形は行わないようにすればよい。
上記課題を解決するためになされた別形態の発明は、突き合わせ溶接部の表面形状を整形する溶接部整形ツールにおいて、溶接部に当接する当接面の一部に形成された薄板部と、前記薄板部の当接面側とは反対側に形成されたキャビティと、前記薄板部の歪を検出する歪検出手段と、前記薄板部の温度を検出する温度検出手段と、を有し、前記歪検出手段及び前記温度検出手段が前記キャビティ内に配設されていることを特徴とする。
この溶接部整形ツールでは、溶接部に当接する当接面の一部に形成された薄板部と、薄板部の当接面側とは反対側に形成されたキャビティとが形成され、薄板部の歪を検出する歪検出手段と、薄板部の温度を検出する温度検出手段とがキャビティ内に配設されている。ここで、キャビティは、ツール本体の剛性・強度性能を悪化させない小さな内径の孔である。そして、整形ツールを溶接部に当接させると、薄板部が溶接部の表面形状に倣って撓む。この撓みを歪検出手段により検出することで溶接部の表面形状を判断することができる。また、薄板部の温度を温度検出手段により検出することで溶接部の温度を推定することができる。つまり、溶接部がA3変態点以上であるか否かを判断することできる。このように、この整形ツールによれば、非常に簡単な構成により溶接部の温度と表面形状を検出することができるので、溶接部がA3変態点以上になっているときに小さな整形荷重によって溶接部を変形させて整形することができる。
従って、このような整形ツールを使用することにより、小さな整形荷重によって溶接部を整形することができ、また、溶接部を再加熱することなく溶接部を整形することができるため、生産性の低下を防ぐことができる。これらのことから、装置構成の複雑化や工程の複雑化を招くことがないので、製品のコストアップを防止することができる。
この溶接部整形ツールにおいて、前記薄板部は、ツール本体とは異なる材質により形成されているものであることが望ましい。
薄板部は、ツール本体と同じ材質で形成することもできるが、異なる材質により形成されたものを使用することにより、ツール本体を繰り返しの整形荷重に耐える材料(例えば、処理された鋼材、型材、セラミックなど)で形成し、薄板部を弾性があり強度が高く、熱伝達性がある材料(例えば、鋼材やステンレス材など)で形成することができる。これにより、整形ツールの耐久性を向上させるとともに、溶接部の状態をより正確に検出することができる。
ここで、薄板部がツール本体と同じ材質で形成(一体形成)されている場合には、薄板部がフラット形状となるため、溶接部が凹状になった場合に形状判断を正確に行うことができない。これに対して、薄板部をツール本体と異なる材質で形成することにより、薄板部を、キャビティとは反対側に凸となるように形成することができる。これにより、溶接部が凹状になっている場合でも形状判断を正確に行うことができる。
上記課題を解決するためになされた別形態の発明は、突き合わせ溶接部の表面形状を整形する溶接部整形装置において、上記したいずれか1つの溶接部整形ツールと、突き合わせ方向に直交する方向において前記整形ツールを溶接部に対して進退させる駆動手段と、溶接部材同士の突き合わせ荷重を調整する突き合わせ荷重調整手段と、前記駆動手段の制御により前記整形ツールを溶接部に当接させた際、前記歪検出手段及び前記温度検出手段における各検出結果を取得し、その検出結果に基づいて溶接部がA3変態点以上の半凝固状態であると判断すると、前記駆動手段及び前記突き合わせ荷重調整手段を制御して溶接部の整形を実行させる制御手段と、を有することを特徴とする。
この溶接部整形装置では、制御手段により、歪検出手段及び温度検出手段における各検出結果に基づき、溶接部がA3変態点以上の半凝固状態であると判断されると、溶接部の表面形状に応じて、駆動手段及び突き合わせ荷重調整手段が制御され溶接部の整形が実行される。このように、溶接部の整形をA3変態点以上で行うため、小さな整形荷重によって溶接部を変形させて整形することができる。これにより、装置の小型化を図ることができる。また、溶接部を再加熱することなく溶接部を整形することができるため、生産性の低下を防ぐことができる。これらのことから、装置構成の複雑化や工程の複雑化を招くことがないので、製品のコストアップを防止することができる。
そして、この溶接部整形装置においては、前記制御手段により、歪検出手段の検出結果に基づき溶接部の表面形状が凸状であると判断された場合、駆動手段を制御して整形ツールにより溶接部の表面を圧縮することによって溶接部の整形を実行すればよい。
これにより、溶接表面が圧縮されて溶接部表面が変形し整形される。このとき、突き合わせ荷重調整手段を制御して、溶接部材に一定の圧力が加えられるとともに溶接部の変形(整形)に伴って溶接部材が追従変位(フローティング)するようにすればよい。こうすることにより、溶接部に対して圧縮の荷重がかかった状態で整形を行うことができるため、溶接部が凝固過程において凝固した金属が剥がれたり、クラックが入ったりすることを確実に防止することができる。その結果、溶接部における機械的強度を低下させることなく溶接部を整形することができる。
また、この溶接部整形装置においては、前記制御手段により、歪検出手段の検出結果に基づき溶接部の表面形状が凹状であると判断された場合、突き合わせ荷重調整手段を制御して溶接部を突き合わせ方向から圧縮することによって溶接部の整形を実行すればよい。
これにより、溶接部が突き当て方向から圧縮されて溶接部表面が変形して整形される。このとき、駆動手段を制御して、整形ツールを溶接部表面に当接させた状態で保持するようにすればよい。こうすることにより、溶接部に対して圧縮の荷重がかかった状態で整形を行うことができるため、溶接部が凝固過程において凝固した金属が剥がれたり、クラックが入ったりすることを確実に防止することができる。その結果、溶接部における機械的強度を低下させることなく溶接部を整形することができる。
そして、この溶接部整形装置において、前記整形ツールは、整形前の溶接部の状態を測定する測定部の他に、少なくとも溶接部の整形中に溶接部の状態を確認する整形状態確認部、あるいは整形された溶接部の状態を確認する整形後確認部のいずれか一方を備えていることが望ましい。
整形状態確認部を備えることにより、溶接部がA3変態点以上になっている状態で確実に溶接部を整形することができる。また、整形後確認部を備えることにより、整形後の溶接部の表面形状を正確に判断することができる。これにより、整形不良を確実に発見することができ、製品の精度を向上させることができる。そして、整形後における溶接部の表面形状の確認結果を整形条件にフィードバックすることにより、溶接部の整形精度を向上させることができる。
本発明に係る溶接部整形方法、整形ツール、及び整形装置によれば、上記した通り、工程の複雑化や装置構成の複雑化を招くことなく、小さい整形荷重によって溶接部を整形することができ、溶接部の整形によって製品のコストアップを招かないようにすることができる。
以下、本発明を具体化した最も好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態では、平板同士を突き合わせレーザ溶接し、その溶接部をフラットに整形する溶接装置を例示する。そこで、本実施の形態に係る溶接装置について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、実施の形態に係る溶接装置の概略構成を示す正面図である。図2は、実施の形態に係る溶接装置の概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る溶接装置10には、レーザ溶接ヘッド11と、上面整形ツール12、下面整形ツール13と、ガイド16a,16bと、クランプ17a,17bとを備えている。レーザ溶接ヘッド11は、溶接部材30a,30bの突き合わせ部にレーザ光を照射し両部材を溶接するものである。このレーザ溶接ヘッド11は、上面整形ツール12と一体化されている。
上面整形ツール12及び下面整形ツール13は、突き合わせ溶接部の表面を整形するものである。本実施の形態では、上面整形ツール12が溶接部材30a,30bの溶接部上面を整形し、下面整形ツール13が溶接部材30a,30bの溶接部下面を整形するようになっている。上面整形ツール12は、図2に示すように、レーザ溶接ヘッド11とともに装置本体10aから延びるアーム14に固定されている。一方、下面整形ツール13は、装置本体10aに設けられたアーム15に固定されている。
上面整形ツール12及び下面整形ツール13には、図1に示すように、測定部40と、整形部41と、確認部42とが設けられている。なお、これらの詳細については後述する。そして、これら測定部40、整形部41、及び確認部42を、それぞれ上下方向に独立して移動可能とするサーボ式駆動機構18が設けられている。この駆動機構18により、上面整形ツール12及び下面整形ツール13に備わる測定部40、整形部41、及び確認部42が、溶接部材30a,30bの溶接部表面(上下面)に当接・離間するようになっている。
ガイド16a,16bは、製品30すなわち溶接部材30a,30bをセット(載置)するものである。そして、ガイド16a,16b上にセットされた溶接部材30a,30bは、クランプ17a,17bにより保持・固定されるようになっている。そして、ガイド16a,16bには、図2に示すように、ガイド16a,16bを近接・離間させて溶接部材30a,30bの突き合わせ荷重を調整するサーボ式突き合わせ機構19が設けられている。なお、ガイド16a,16bは、溶接部材30a,30bを突き合わせた状態で、図3(a)(b)に示すように互いに当接することがない裏ポケットと言われる空間20が形成されようになっている。図3は、ガイドの概略構成を示す断面図であり、(a)は同板厚の溶接部材を突き合わせた状態を示し、(b)は異板厚の溶接部材を突き合わせた状態を示す。
また、ガイド16a,16bには、図1に示すように、溶接部材30a,30bを溶接方向(図1中左側)へ移動させるためのサーボ式送り機構21が設けられている。この送り機構21により、製品30を溶接方向へ移動させ、溶接部材30a,30bの突き合わせ部で連続的に溶接を行いつつ、上面整形ツール12及び下面整形ツール13により溶接部を整形することができるようになっている。
ここで、上面整形ツール12及び下面整形ツール13に備わる測定部40、整形部41、及び確認部42について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、上面整形ツール及び下面整形ツールの概略構成を示す断面図である。図5は、測定部、整形部及び確認部の先端部分の概略構成を示す断面図である。
上面整形ツール12及び下面整形ツール13は、図4に示すように、製品30を挟んで対向して配置され、それぞれに測定部40、整形部41、及び確認部42が設けられている。測定部40は、製品30における整形前の溶接部の状態を測定するものである。整形部41は、溶接部の整形中に溶接部の状態を確認するものである。確認部42は、整形された溶接部の状態を確認するものである。これら測定部40、整形部41、及び確認部42は、それぞれ同様の構成であるから、以下の説明では測定部40の構成について説明し、整形部41及び確認部42の構成についての説明は省略する。
測定部40には、製品30の溶接部に当接する当接面の一部に形成された薄板部45と、薄板部45の当接面側とは反対側に形成されたキャビティ46とが形成されている。薄板部45は、測定部40の先端を製品30の溶接部に当接させると、溶接部の表面形状に倣って撓むようになっている。なお、薄板部45の厚さは、凝固状態の溶接部が0.5mm程度凸となっている場合に、0.2mm程度凹となるように設定されている。また、キャビティ46の内径は、測定部本体の剛性・強度性能を悪化させないように設定されている。例えば、製品30の板厚が3mm程度で溶接部の幅が0.5mm程度となる場合であれば、キャビティ46の内径は5mm程度にすればよい。
そして、キャビティ46内に、薄板部45の撓み量を検出する歪ゲージ47と、薄板部45の温度を検出する熱電対48とが設けられている。つまり、薄板部45の裏面側(溶接部に当接する当接面とは反対側)に歪ゲージ47と熱電対48とが貼り付けられている。なお、歪ゲージ47は、キャビティ46の中心位置に配置されている。これにより、薄板部45の撓み量を精度良く計測することができるようになっている。
薄板部45は、測定部40とは異なる材質により形成されており、図5に示すように、キャビティ46とは反対側(当接面側)に凸となるように設けられている。本実施の形態では、測定部40本体をセラミックで形成し、薄板部45を金型材料であるSKD11で形成している。これにより、測定部40の耐久性を向上させるとともに、薄板部45を製品30の表面形状に応じて撓ませることができるため、歪ゲージ47によって製品30の表面形状を精度良く検出することができる。また、SKD11は熱伝達性もあるため、熱電対48によって製品30の温度を精度良く検出することができる。
なお、測定部40は、歪ケージ47を熱害から守るために、所定の熱勾配を持つように設計されている。本実施の形態では、溶接部の表面温度が1000℃のときに、薄板部45の裏面温度が250℃程度になるように測定部40の熱勾配が設定されている。なお、薄板部45の温度が高くなるよう場合には、空冷フィンなどを設けて測定部40の実質的な熱容量を増加させればよい。
続いて、上記した溶接装置10の制御系について図6を参照しながら説明する。図6は、溶接装置10の制御系ブロック図である。溶接装置10の制御系は、図6に示すように、各部の動作を統括的に制御する制御部50を中心にして構成されている。すなわち、測定部40、整形部41、確認部42、突き合わせ機構19、送り機構21、及びレーザ溶接ヘッド11がそれぞれ制御部50に接続されている。これにより、各部からの各種信号が制御部50に入力され、制御部50から各部に対して各種制御信号が出力されるようになっている。
制御部50には、測定部加圧制御PLC51、整形方法決定PLC52、整形荷重決定PLC53、整形部加圧制御PLC54、整形状態判定PLC55、確認形状判定PLC56、及び治具制御PLC57の7つのシーケンサが備わっている。
測定部加圧制御PLC51は、測定部40の駆動機構18と接続されており、駆動機構18の動作を制御して、予め決められた加圧力で測定部40を製品30における溶接部表面に当接させるものである。
整形方法判定PLC52は、測定部40の歪ゲージ47と接続されており、歪ゲージ47からの入力信号に基づき製品30における溶接部に対する整形方法を判定するものである。また、整形方法判定PLC52は、整形部加圧制御PLC54及び治具制御PLC57にも接続されており、判定結果に基づき生成された制御信号を整形部加圧制御PLC54及び治具制御PLC57に出力するようになっている。
整形荷重決定PLC53は、測定部40の熱電対48と接続されており、熱電対48からの入力信号に基づき、整形部41による溶接部表面に対する整形荷重を決定するものである。整形荷重決定PLC53のデータレジスタには、製品の材質ごとに整形荷重と溶接部の温度との関係をデータマップ化したものが記憶されている。そして、整形荷重決定PLC53では、測定部40の熱電対48からの入力信号に基づき、データマップから整形荷重を決定するようになっている。また、整形荷重判定PLC53は、整形部加圧制御PLC54及び治具制御PLC57にも接続されており、決定結果に基づく制御信号を整形部加圧制御PLC54及び治具制御PLC57に出力するようになっている。
整形部加圧PLC54は、整形部41の駆動機構18と接続されており、駆動機構18の動作を制御して整形部41の加圧力を調整するものである。すなわち、整形部加圧PLC54は、整形方法判定PLC52及び整形荷重決定PLC53からの制御信号に基づき整形部41を駆動して製品30の溶接部の整形を行うようになっている。
整形状態判定PLC55は、整形部41の歪ゲージ47及び熱電対48に接続されており、歪ゲージ47及び熱電対48からの入力信号に基づき、整形部41によって整形される溶接部の状態を判定するものである。
確認形状判定PLC56は、確認部42の駆動機構18、歪ゲージ47、及び熱電対48と接続されており、駆動機構18の動作を制御して、予め決められた加圧力で確認部42を整形後の溶接部表面に当接させ、そのとき歪ゲージ47及び熱電対48から入力される信号に基づき、整形後の溶接部の状態を判定するものである。また、確認形状判定PLC56は、整形方法判定PLC52及び整形荷重決定PLC53にも接続されており、判定結果をフィードバックするようになっている。これにより、前回の整形結果が次の整形条件に反映されるので、溶接部の整形精度を向上させることができ、より精度良く溶接部をフラットに整形することができるようになっている。
治具制御PLC57は、突き合わせ機構19、送り機構21,及びレーザ溶接ヘッド11と接続されており、整形方法判定PLC52及び整形荷重決定PLC53からの制御信号に基づき、これらの動作を制御するものである。
次に、上記した構成を有する溶接装置10の動作について、図7を参照しながら説明する。図7は、溶接装置10における整形処理の制御内容を示すフローチャート図である。
溶接装置10にて突き合わせ溶接を行う場合には、図7に示すように、製品30となる溶接部材30a,30bがガイド16a,16bにセットされ、クランプ17a,17bにより保持固定される(ステップ1)。次いで、突き合わせ機構19によりガイド16a,16bが互いに近接するように移動させられて、溶接部材30a,30bの端部同士が一定荷重により突き合わされる(ステップ2)。そして、溶接部材30a,30b同士の溶接が開始される(ステップ3)。このステップ3では、治具制御PLC57からの指令に基づき、レーザ溶接ヘッド11から溶接位置に向けてレーザが照射されるとともに、送り機構21によりガイド16a,16bが溶接方向へ移動させられて溶接部材30a,30b(製品30)の送りが開始される。これにより、溶接部材30a,30bが順次溶接されていく。
ここで、ステップ3におけるレーザ溶接を行っている際における製品30の溶接部(溶接部材30a,30bの突き合わせ部分)の状態について、図8を参照しながら説明する。図8は、溶接部の状態を示す断面図であり、(a)は溶接部の外観状態を示し、(b)は溶接部内部における状態変化を模式的に示している。
(1)溶接直前においては、図8(a)に示すように、溶接部材30a,30bの端部同士が一定荷重で突き合わされている。このとき、溶接部60は、図8(b)に示すように固体状態となっている。
(2)溶接位置においては、図8(a)に示すように、レーザが照射された溶接部材30a,30bの端部が溶融する。このとき、溶接部60には、図8(a)(b)に示すように、キーホール61が形成されてその周辺が溶融状態となっている。
(3)溶融部においては、キーホール61の周辺で溶融した金属がキーホール61の進行(製品30の送り)に伴って、図8(a)に示すように、溶接部60が溶融金属で埋まる。このとき、溶接部60は、図8(b)に示すように溶融状態となっている。
(4)凝固部においては、図8(a)に示すように、溶接部材30a,30bの端部にて溶融した金属が半凝固あるいは凝固して、溶接部材30a,30bが接合される。ここで、突き合わせ部分において、溶接部材30a,30bの端部が理想的に平面で全面接触して溶接されたとしても、溶接部60において溶融した金属が凝固する際の体積膨張や、非溶融部分を含めた溶接部材の変態による体積変化、温度変化による膨張・収縮によって、溶接部材における膨張・収縮量が変化する。このため、凝固した溶接部60の表面形状が一定にならない。つまり、溶接部60表面形状が、フラットにならず凸状になったり凹状になったりする。
また、図8(a)に示す場合とは異なり、図9に示すように、溶接部材30a,30bの端部同士が全面接触しない場合、言い換えると、溶接部材30a,30bの端部において体積欠損が生じていることもある。このような溶接部材の端部における体積欠損は、端面がプレス抜きにより形成された場合などに生じる。一般的に溶接部材は、プレス加工により形成されることが多いため、突き合わせ溶接される溶接部材において、その端部同士が全面接触している場合よりも全面接触していない場合の方が多い。なお、図9は、体積欠損が生じている溶接部材同士の突き合わせ状態を示す断面図である。
そして、溶接部材30a,30bの端部において体積欠損が生じている場合には、図10(a)に示すように、凝固した溶接部60の表面が凹状となる。一方、溶接部材30a,30bを突き合わせる荷重が大きめに設定されていた場合には、図10(b)に示すように、溶接部60の表面が凸状となる。なお、図10は、溶接後における溶接部の表面状態を示す断面図である。
ここで、一般的には、溶接部表面の形状は、溶接強度及び製品品質からフラットな形状が理想とされている。このため、溶接部表面がフラットになるように溶接条件が管理されている。ところが、溶接部材の端部形状や溶接環境などが常に一定ではないため、溶接条件を厳密に管理しても、安定的に溶接部表面をフラットにすることは困難である。
そこで、溶接装置10では、整形ツール12,13を用いて溶接部60を整形することにより、溶接部60の表面を安定的にフラットにするようにしている。この溶接部の整形処理について図7に戻って説明する。溶接部材30a,30bが溶接されていくと、測定部加圧制御PLC51により、整形ツール12,13に備わる測定部40,40の駆動機構18,18が駆動されて、測定部40,40が溶接部60に対して溶接部60を挟み込むようにして所定荷重で当接させられる(ステップ4)。
そして、溶接部60の表面形状が検出される(ステップ5)。この表面形状の検出は、測定部40の歪ゲージ47からの出力に基づき行われる。具体的には、図11(a)に示すように、溶接部60の表面形状が凸状になっている場合には、測定部40の薄板部45が大きく撓む(薄板部45が凹状になる)。このときに歪ゲージ47で測定される歪み量に基づき、溶接部60の凸量が検出される。一方、図11(b)に示すように、溶接部60の表面形状が凹状になっている場合には、測定部40の薄板部45がほとんど撓まない(薄板部45が凸状のままである)。このときに歪ゲージ47で測定される歪み量に基づき、溶接部60の凹量が検出される。なお、図11は、測定部による溶接部の状態検知の様子を示す図であり、(a)は溶接部表面が凸状になった場合を示し、(b)は溶接部表面が凹状になった場合を示す。
図7に戻って、溶接部60の表面形状の検出に続き、溶接部60の表面温度が推定される(ステップ6)。この表面温度の推定は、測定部40の熱電対48からの出力に基づき行われる。つまり、熱電対48により計測される薄板部45の裏面温度に基づき、溶接部60の表面温度を推定する。このときの推定温度は、溶接条件(溶接速度、溶融部の幅・体積など)、薄板部45の材質(熱伝達率)や薄板部45に作用する圧力、測定部40の材質・大きさ(熱容量と熱伝達率)などによって変化する。このため、これらの要素を考慮した上で熱電対48により計測される薄板部45の裏面温度と溶接部60の表面温度との関係式を予め実験的に求めておき、その関係式に用いて溶接部60の表面温度を推定すればよい。
溶接部60の表面状態及び温度が検出されると、溶接部60の整形が可能か否かが判断される(ステップ7)。具体的には、ステップ5で検出された溶接部60の凸量あるいは凹量が所定値以下であって、かつステップ6で推定された溶接部60の温度がA3変態点以上であるか否かが判断される。そして、溶接部60の整形が可能であると判断された場合には(S7:YES)、ステップ8の処理に進む。一方、溶接部60の整形が不可能であると判断された場合には(S7:NO)、溶接装置10に異常が発生しているおそれがあるためその旨を報知する(ステップ21)。
ステップ8では、整形荷重決定PLC53により整形荷重が決定される。すなわち、ステップ6で取得された溶接部60の表面温度から、整形荷重決定PLC53に予め記憶されているデータマップが参照されて、整形荷重が決定される。本実施の形態では、マップデータから得られる成形荷重を1.5倍して整形荷重を決定している。これにより、短時間で確実に溶接部60を整形するとともに溶接部周辺を損傷しないようにしている。
ここで、整形荷重決定PLC53に予め記憶されているデータマップは、図12に示す溶接部の表面温度と成形荷重との関係をマップ化したものである。図12は、溶接部の表面温度と成形荷重との関係を示す図である。金属材料は、溶融状態から温度が下がるにつれて高温変態状態から低温変態状態を経て凝固していく。つまり、溶融金属は、融点を下回ると高温変態状態となり、A3変態点を下回ると低温変態となる。そして、低温変態状態よりも高温変態状態の方が小さい荷重により成形することができる。なお、図12に示す表面温度と成形荷重との関係は一例であり、溶接部材の材質が変われば表面温度と整形荷重との関係も変化する。
続いて、ステップ9において、整形方法判定PLC52により整形方法が決定される。すなわち、ステップ5で取得された溶接部60の表面形状に基づき整形方法が決定される。具体的には、溶接部60の表面形状が凸状である場合には、突き合わせ方向と直交する方向から溶接部60を圧縮する整形方法とされる。逆に、溶接部60の表面形状が凹状である場合には、突き合わせ方向から溶接部60を圧縮する整形方法とされる。なお、溶接部60の表面形状がフラットである場合には整形を行わないと決定される。
そして、ステップ9で決定された整形方法により、図13に示すようにして整形部60に対する整形が実施される(ステップ10)。図13は、溶接部に対する整形を実施している状態を示す図であり、(a)は溶接部が凸状である場合を示し、(b)は溶接部が凹状である場合を示す。
まず、溶接部60の表面形状が凸状である場合には、図13(a)に示すように、整形加圧制御PLC54により、整形ツール12,13に備わる整形部41,41の駆動機構18,18が駆動されて、整形部41,41が溶接部60を挟み込むようにして溶接部60の表面を、ステップ8で決定された整形荷重で加圧する。またこのとき、治具制御PLC57によって突き合わせ機構19の動作が制御されて、溶接部材30a,30bの突き合わせ荷重が一定状態で溶接部60の変形に追従して溶接部材30a,30b(ガイド16a,16b)が移動する。これにより、溶接部60に対して圧縮の荷重がかかった状態で凸部をフラットに整形することができるため、溶接部60が凝固していく過程で既に凝固した金属が剥がれたり、クラックが入ったりすることを確実に防止することができる。その結果、フラットに整形された後に完全に凝固した溶接部60における機械的強度(溶接強度)を低下させることがない。
次に、溶接部60の表面形状が凹状である場合には、図13(b)に示すように、治具制御PLC57により突き合わせ機構19の動作が制御されて、制御溶接部材30a,30bの突き合わせ荷重がステップ8で決定された整形荷重となるように、ガイド16a,16bが互いに近接する。これにより、溶接部60がステップ8で決定された整形荷重で突き合わせ方向から加圧される。またこのとき、整形加圧制御PLC54により、整形ツール12,13に備わる整形部41,41の駆動機構18,18が駆動されて、整形部41,41が溶接部60を挟み込むようにして溶接部60の表面に当接した状態で保持される。これにより、溶接部60に対して圧縮の荷重がかかった状態で凹部をフラットに整形することができるため、溶接部60が凝固していく過程で既に凝固した金属が剥がれたり、クラックが入ったりすることを確実に防止することができる。その結果、フラットに整形された後に完全に凝固した溶接部60における機械的強度(溶接強度)を低下させることがない。
ここで、溶接部60の整形実行中において、溶接部60の表面形状が検出されるとともに(ステップ11)、表面温度が推定されている(ステップ12)。これら表面形状の検出及び表面温度の推定は、整形部41に備わる歪ゲージ47及び熱電対48からの出力に基づき、上記したステップ5,6と同様にして整形状態判定PLC55によって行われる。そして、溶接部60の整形が正常に行われているか否かが判断される(ステップ13)。
ステップ13では、溶接部60の表面形状がフラット化され、表面温度が整形開始時よりも低温化し、かつA3変態点以上である場合に、溶接部60に対する整形が正常に行われていると判断する。一方、溶接部60の表面形状がフラット化されていない場合、表面温度が整形開始時よりも低温化していない場合、あるいはA3変態点未満である場合のいずれか1つでも検出されると、溶接部60に対する整形が正常に行われていないと判断する。
そして、ステップ13にて、溶接部60に対する整形が正常に行われていると判断されると(S13:YES)、確認形状判定制御PLC56により、整形ツール12,13に備わる確認部42,42の駆動機構18,18が駆動されて、確認部42,42が溶接部60に対して溶接部60を挟み込むようにして所定荷重で当接させられる(ステップ14)。なお、溶接部60に対する整形が正常に行われていないと判断された場合には(S13:NO)、溶接装置10に異常が発生しているおそれがあるためその旨を報知する(ステップ21)。
なお、ステップ21における異常報知において、各部40〜42で検出される溶接部60の推定温度が所定範囲から外れている場合には、整形ツール12,13が製品30に対して位置ズレしている可能性がある。なぜなら、整形ツール12,13は、測定部40が半溶融状態の位置に、整形部41が高温変態状態(A3変態点以上)の位置に、確認部42が低温変態状態(A3変態点未満)の位置に配置されるようになっているからである。このため、上記のような整形ツール12,13の位置ズレが発生した場合には、その位置ズレを修正する必要がある。この位置ズレを修正するために、整形ツール12,13と製品30との相対位置を自動的に調整するサーボ位置決め機構を溶接装置10に組み込んでもよい。
次いで、溶接部60に当接させた確認部42,42により、整形後の溶接部60の状態が確認される(ステップ15〜17)。すなわち、溶接部60の表面形状が検出されるとともに(ステップ15)、表面温度が推定される(ステップ16)。これら表面形状の検出及び表面温度の推定は、確認部42に備わる歪ゲージ47及び熱電対48からの出力に基づき、上記したステップ5,6と同様にして確認形状判定PLC56によって行われる。
そして、ステップ15,16で取得した溶接部60の表面形状及び表面温度に基づき、整形後の溶接部60の形状が正常であるか否かが判断される(ステップ17)。つまり、溶接部60の形状が製品30の規格内に収まっているか否かが判断される。このとき、整形後の溶接部60の形状が製品規格内にあると判断されると(S17:YES)、整形後の溶接部60の表面が完全にフラットになっているか否かが判断される(ステップ18)。一方、整形後の溶接部60の形状が製品規格内にないと判断されると(S17:NO)、溶接装置10に異常が発生しているおそれがあるためその旨を報知する(ステップ21)。
ステップ18にて、整形後の溶接部60の表面が完全にフラットになっているか否かを判断するのは、今回の整形結果を次回の整形にフィードバックして整形精度を向上させるためである。従って、整形精度があまり要求されない場合には、ステップ18,19の処理を省略することもできる。
そして、ステップ18において、整形後の溶接部60の表面が完全にフラットになっていないと判断されると(S18:NO)、整形荷重を補正するための補正係数が決定される(ステップ19)。ステップ19では、整形後の溶接部60がフラットではなく僅かに凸状になっている場合、整形部41の整形荷重を増加させるように補正係数が決定される。一方、整形後の溶接部60がフラットではなく僅かに凹状になっている場合、溶接部材30a,30bの突き当て荷重を増加させるように補正係数が決定される。なお、整形後の溶接部60の表面が完全にフラットであると判断された場合には(S18:YES)、補正係数を設定する必要はないため、ステップ19の処理を行うことなく直ちにステップ20の処理に進む。
ステップ20では、製品30の送りが終了したか否かが判断される(ステップ20)。つまり、製品30の溶接及び整形が終了したか否かが判断される。このとき、製品30の送りが終了していないと判断された場合には(S20:NO)、ステップ4の処理に戻り、再度ステップ4〜20の処理が繰り返し実行される。一方、製品30の送りが終了していると判断された場合には(S20:YES)、制御部50による上記処理ルーチンの実行が終了し、製品30が完成する。
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係る溶接装置10によれば、溶接部60側に凸に形成された薄板部45と、薄板部45の裏面側の歪を検出する歪ゲージ47と、薄板部45の裏面側の温度を検出する熱電対48と、歪ゲージ47と熱電対48とが配置されるキャビティ46とを備えた整形ツール12,13と、突き合わせ方向に直交する方向において整形ツール12,13の各部40〜42を溶接部60に対して進退させる駆動機構18と、溶接部材30a,30b同士の突き合わせ荷重を調整する突き合わせ機構19と、駆動機構18の制御により整形ツール12,13を溶接部60に当接させた際、歪ゲージ47及び熱電対48における各検出結果を取得し、その検出結果に基づいて溶接部60がA3変態点以上の半凝固状態であると判断すると、駆動機構18及び突き合わせ機構19を制御して溶接部60の整形を実行させる制御部50とを有している。これにより、溶接装置10では、溶接部60の整形を確実にA3変態点以上で行うことができるため、小さな整形荷重によって溶接部60を変形させて整形することができる。従って装置の小型化を図ることができる。また、溶接部60を再加熱することなく溶接部60を整形することができるため、生産性の低下を防ぐことができる。これらのことから、装置構成の複雑化や工程の複雑化を招くことがないので、製品のコストアップを防止することができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の形態では、整形ツール12,13の各部40〜42の先端部に凸状の薄板部45を設けたが、図14に示すように、フラット形状の薄板部45を設けることもできる。また、薄板部45をフラット形状にする場合であれば、図15に示すように、薄板部45を整形ツール12,13の各部40〜42の一部で形成するようにしてもよい。ただし、薄板部45をフラット形状にする場合には、溶接部60の表面が凹状になった場合、その形状を正確に検出することができないので、溶接部60の表面が凸状になるように溶接条件を管理する必要がある。
また、上記した実施の形態では、整形ツールに12,13として、測定部40、整形部41、確認部42が備わり、各部40〜12のそれぞれに歪ゲージ47と熱電対48とを設けたものを例示したが、製品精度がさほど要求されない場合などには、図16に示すように、整形ツール12,13を簡易型のものにすることもできる。すなわち、整形ツール12,13に、測定部40と整形部41のみを設け、測定部40にのみ歪ゲージ47と熱電対48とを設けることもできる。製品精度がさほど要求されない場合などには、このような簡易型の整形ツールを用いることにより、溶接装置10の構成及び制御を簡素にすることができる。
さらに、上記した実施の形態では、本発明を平板状の溶接部材を溶接・整形する場合に適用した場合について例示したが、本発明は、図17に示すように、パイプ状の溶接部材を溶接・整形する場合にも適用することができる。なお、この場合には、パイプの拘束(ガイド)としては、例えばローラ等を使用すればよい。
また、上記した実施の形態ではレーザ溶接を例示したが、溶接方法はレーザ以外(例えば、MIG,MAG,TIG、プラズマ溶接など)に対しても本発明を適用することができる。さらに、上記した実施の形態では、整形ツール12,13及び溶接ヘッド11を固定して製品30を移動させるようにしているが、整形ツール12,13及び溶接ヘッド11を移動させ、製品30を固定するようにしてもよい。
実施の形態に係る溶接装置の概略構成を示す正面図である。 実施の形態に係る溶接装置の概略構成を示す側面図である。 ガイドの概略構成を示す断面図であり、(a)は同板厚の溶接部材を突き合わせた状態を示し、(b)は異板厚の溶接部材を突き合わせた状態を示す。 上面整形ツール及び下面整形ツールの概略構成を示す断面図である。 測定部、整形部及び確認部の先端部分の概略構成を示す断面図である。 溶接装置10の制御系ブロック図である。 溶接装置10における整形処理の制御内容を示すフローチャート図である。 溶接部の状態を示す断面図であり、(a)は溶接部の外観状態を示し、(b)は溶接部内部における状態変化を模式的に示している。 体積欠損が生じている溶接部材同士の突き合わせ状態を示す断面図である。 測定部による溶接部の状態検知の様子を示す図であり、(a)は溶接部表面が凸状になった場合を示し、(b)は溶接部表面が凹状になった場合を示す。 測定部による溶接部の状態検知の様子を示す図であり、(a)は溶接部表面が凸状になった場合を示し、(b)は溶接部表面が凹状になった場合を示す。 溶接部の表面温度と成形荷重との関係を示す図である。 溶接部に対する整形を実施している状態を示す図であり、(a)は溶接部が凸状である場合を示し、(b)は溶接部が凹状である場合を示す。 薄板部の別形態を示す断面図である。 薄板部の別形態を示す断面図である。 整形ツールの別形態を示す断面図である。 パイプ状の溶接部材における整形の様子を示す図である。
符号の説明
10 溶接装置
11 レーザ溶接ヘッド
12 上面整形ツール
13 下面整形ツール
16a,16b ガイド
18 駆動機構
19 突き合わせ機構
21 送り機構
30 製品
30a,30b 溶接部材
40 測定部
41 整形部
42 確認部
45 薄板部
46 キャビティ
47 歪ゲージ
48 熱電対
50 制御部
51 測定部加圧制御PLC
52 整形方法判定PLC
53 整形荷重決定PLC
54 整形部加圧制御PLC
55 整形状態判定PLC
56 確認形状判定PLC
57 治具制御PLC
60 溶接部

Claims (10)

  1. 突き合わせ溶接部の表面形状を整形する溶接部整形方法において、
    突き合わせ溶接の溶接線方向において溶接部の後方で溶接部の温度及び表面形状を計測する計測工程と、
    前記計測工程にて計測された温度及び表面形状に基づき、溶接部がA3変態点以上の半凝固状態となっているときに、溶接部材同士の突き合わせ方法から溶接部を圧縮することにより、又は突き合わせ方向と直交する方向から溶接部を圧縮することにより、溶接部を整形する整形工程と、
    を含むことを特徴とする溶接部整形方法。
  2. 請求項1に記載する溶接部整形方法において、
    前記整形工程では、前記計測工程での計測結果に基づき溶接部の表面形状が凸状であると判断されると、突き合わせ方向と直交する方向から溶接部を圧縮して溶接部を整形する
    ことを特徴とする溶接部整形方法。
  3. 請求項1に記載する溶接部整形方法において、
    前記整形工程では、前記計測工程での計測結果に基づき溶接部の表面形状が凹状であると判断されると、突き合わせ方向から溶接部を圧縮して溶接部を整形する
    ことを特徴とする溶接部整形方法。
  4. 突き合わせ溶接部の表面形状を整形する溶接部整形ツールにおいて、
    溶接部に当接する当接面の一部に形成された薄板部と、
    前記薄板部の当接面側とは反対側に形成されたキャビティと、
    前記薄板部の歪を検出する歪検出手段と、
    前記薄板部の温度を検出する温度検出手段と、
    を有し、
    前記歪検出手段及び前記温度検出手段が前記キャビティ内に配設されている
    ことを特徴とする溶接部整形ツール。
  5. 請求項4に記載する溶接部整形ツールにおいて、
    前記薄板部は、ツール本体とは異なる材質により形成されているものである
    ことを特徴とする溶接部整形ツール。
  6. 請求項5に記載する溶接部整形ツールにおいて、
    前記薄板部は、前記キャビティとは反対側に凸となるように形成されている
    ことを特徴とする溶接部整形ツール。
  7. 突き合わせ溶接部の表面形状を整形する溶接部整形装置において、
    請求項4から請求項6に記載するいずれか1つの溶接部整形ツールと、
    突き合わせ方向に直交する方向において前記整形ツールを溶接部に対して進退させる駆動手段と、
    溶接部材同士の突き合わせ荷重を調整する突き合わせ荷重調整手段と、
    前記駆動手段の制御により前記整形ツールを溶接部に当接させた際、前記歪検出手段及び前記温度検出手段における各検出結果を取得し、その検出結果に基づいて溶接部がA3変態点以上の半凝固状態であると判断すると、前記駆動手段及び前記突き合わせ荷重調整手段を制御して溶接部の整形を実行させる制御手段と、
    を有することを特徴とする溶接部整形装置。
  8. 請求項7に記載する溶接部整形装置において、
    前記制御手段は、前記歪検出手段から取得した検出結果に基づき溶接部の表面形状が凸状であると判断すると、前記駆動手段を制御して前記整形ツールにより溶接部の表面を圧縮することによって溶接部の整形を実行させる
    ことを特徴とする溶接部整形装置。
  9. 請求項7に記載する溶接部整形装置において、
    前記制御手段は、前記歪検出手段から取得した検出結果に基づき溶接部の表面形状が凹状であると判断すると、前記突き合わせ荷重調整手段を制御して溶接部を突き合わせ方向から圧縮することによって溶接部の整形を実行させる
    ことを特徴とする溶接部整形装置。
  10. 請求項7から請求項9に記載する溶接部整形装置において、
    前記整形ツールは、整形前の溶接部の状態を測定する測定部の他に、少なくとも溶接部の整形中に溶接部の状態を確認する整形状態確認部、あるいは整形された溶接部の状態を確認する整形後確認部のいずれか一方を備えている
    ことを特徴とする溶接部整形装置。
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