JP2010092933A - Ptc素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抵抗値のバラツキが少ないPTC素子を提供すること。
【解決手段】第1および第2電極板10および12で覆われていない素子本体4の外周面に、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部4aを、少なくとも一つ以上形成してあるポリマーPTC素子。
【選択図】図2
【解決手段】第1および第2電極板10および12で覆われていない素子本体4の外周面に、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部4aを、少なくとも一つ以上形成してあるポリマーPTC素子。
【選択図】図2
Description
本発明は、電池や電子回路を過電流から保護すること等を目的として使用されるPTC素子およびその製造方法に関する。
PTC(positive temperature coefficient)素子は、所定の温度領域において、素子の温度が上昇すると、素子の抵抗値が増加する特性を有する。特に、PTC素子の温度が素子本体を構成するポリマーの融解温度に達すると、PTC素子の抵抗が急激に増加する。このような性質はPTC特性と呼ばれる。
PTC素子は、電子機器等の電気回路に組み込まれる。電子機器の使用中に、何らかの理由によって回路に過剰電流が流れた場合、電子機器の温度が上昇し、それに伴いPTC素子自体の温度も上昇する。そして、PTC素子の温度が素子本体を構成するポリマーの融解温度に達すると、PTC素子の抵抗値が急激に増加する。その結果、電気回路において、PTC素子が過剰電流を遮断する。よって、電気機器が過剰電流によって故障することを未然に防止できる。
このように、PTC素子は、過熱、過剰電流に対する安全保護装置として使用される。具体的には、PTC素子は、携帯電話の電源である二次電池を過電流から保護するための回路(保護回路)に組み込まれたりする。二次電池の充電中または放電中に過剰電流が流れた場合、PTC素子は電流を遮断して二次電池を保護する。
このようなPTC素子の一例としては、ポリマー材料(結晶性重合体)に導電性粒子を分散させた素子本体(重合体正温度係数抵抗体)を、電極板(あるいは金属箔)で挟んだ構造を有するポリマーPTC素子が知られている(特許文献1参照)。
ポリマーPTC素子は、従来、以下のような方法によって製造される。まず、金属粒子、カーボンブラック等の導電性フィラーを含む高分子(高密度ポリエチレン等)を押出成形し、素子本体を形成する。次に、素子本体の表裏面に、一対の電極板を所定温度で熱圧着することによって、ポリマーPTC素子が完成する。
従来のPTC素子では、素子本体の表裏面に、一対の電極板を所定温度で熱圧着すると、素子本体の外周面は滑らかになることが一般的であった。また、素子本体における多少の抵抗値のバラツキは、仕方がないものと考えられていた。
特開2002−83701号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、抵抗値のバラツキが少ないPTC素子を提供することである。
本発明者等は、抵抗値のバラツキが少ないPTC素子について鋭意検討した結果、第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面に、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部を、少なくとも一つ以上形成することで、抵抗値のバラツキが少なくなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るPTC素子は、
温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体と、
前記素子本体の表裏面に接合された一対の第1および第2電極板とを有するPTC素子であって、
前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面には、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部が、少なくとも一つ以上形成してあることを特徴とするPTC素子。
温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体と、
前記素子本体の表裏面に接合された一対の第1および第2電極板とを有するPTC素子であって、
前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面には、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部が、少なくとも一つ以上形成してあることを特徴とするPTC素子。
本発明に係るPTC素子の製造方法は、
温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体を準備する工程と、
前記素子本体の表裏面に、それぞれ第1電極板および第2電極板を接触させ、前記素子本体を加熱しながら加圧し、前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面に、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部が、少なくとも一つ以上形成する工程と、を有する。
温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体を準備する工程と、
前記素子本体の表裏面に、それぞれ第1電極板および第2電極板を接触させ、前記素子本体を加熱しながら加圧し、前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面に、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部が、少なくとも一つ以上形成する工程と、を有する。
本発明者等は、第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面に、所定幅および所定深さの凹部を、少なくとも一つ以上、好ましくは複数形成することで、抵抗値のバラツキが少なくなることを見出した。また、本発明では、このような特定の凹部を形成することで、電極板と素子本体との接合強度が向上すると共に、素子本体からの放熱性も向上する。
好ましくは、前記素子本体が、正の温度係数を持つ導電性ポリマーである。また、好ましくは、前記素子本体の外周面に形成してある凹部の幅は0.5mm以下であり、凹部の深さは1.0mm以下である。また、好ましくは、前記素子本体の外周面に形成してある凹部は、前記第1電極板と第2電極板との間で、これらの電極板に対して略垂直方向に延び、周方向に沿って0.02〜0.5mmの間隔で複数形成してある。このような凹部を形成することで、PTC素子の抵抗値のバラツキを低減することができる。
好ましくは、前記凹部が形成してある前記素子本体の外周面が、保護膜により被覆してある。素子本体の露出面である外周面に保護膜を形成することによって、素子本体が大気中の酸素によって酸化されることを防止できる。また、素子本体の酸化を防止することにより、ポリマーPTC素子の室温抵抗値の上昇を防止することができる。また、保護膜によって、素子本体を外部からの衝撃から保護することができる。すなわち、保護膜によって素子本体の機械的強度を向上させることができる。
好ましくは、前記第1および第2電極板における前記素子本体との接触面には、微小凹凸が形成してある。微小凹凸とは、凹凸差が0.5〜15μm程度の凹凸を意味する。この凹凸を電極板における素子本体との接合面に形成することによって、素子本体表面と、電極板とが良好に接合し、両者間の接合強度を向上させることができる。
前記素子本体の表裏面には、金属箔を接合させても良く、各金属箔に対して、前記第1および第2電極板を接合してもよい。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るポリマーPTC素子の概略断面図、
図2は図1に示すII−II線に沿う要部断面図、
図3は図2の要部拡大断面図、
図4は電極板と素子本体との加熱加圧接着時の温度と時間の関係を示すグラフ、
図5は本発明の他の実施形態に係る図2と同様な断面図、
図6(A)および図6(B)は本発明のさらに他の実施形態に係る図2と同様な断面図、
図7は本発明の他の実施形態に係る図1と同様な断面図、
図8は本発明の実施例に係るポリマーPTC素子の抵抗値のバラツキが低減されたことを示すグラフである。
第1実施形態
図1は本発明の一実施形態に係るポリマーPTC素子の概略断面図、
図2は図1に示すII−II線に沿う要部断面図、
図3は図2の要部拡大断面図、
図4は電極板と素子本体との加熱加圧接着時の温度と時間の関係を示すグラフ、
図5は本発明の他の実施形態に係る図2と同様な断面図、
図6(A)および図6(B)は本発明のさらに他の実施形態に係る図2と同様な断面図、
図7は本発明の他の実施形態に係る図1と同様な断面図、
図8は本発明の実施例に係るポリマーPTC素子の抵抗値のバラツキが低減されたことを示すグラフである。
第1実施形態
図1に示す本発明の一実施形態に係るポリマーPTC素子2は、たとえば携帯電話の電源である二次電池セルと、その二次電池セルを過電流から保護するための保護回路との間に組み込まれる。ポリマーPTC素子2は、過充電によるセル温度の異常上昇やセルの外部短絡による過電流が流れた場合、保護回路と二次電池セルとの間の電流を遮断して二次電池セルを保護する。
図1に示すように、ポリマーPTC素子2は、正の抵抗温度特性(PTC特性)を有する導電性ポリマーで構成してある素子本体4を備えている。この素子本体4は、表裏面(互いに対向する第1面6および第2面8)を有する。第1面6および第2面8には、それぞれ第1電極板10と、第2電極板12とが接合されている。
なお、素子本体4の第1面6は、第1電極板10における素子接合面11と接合されている。また、素子本体4の第2面8は、第2電極板10における素子接合面13と接合されている。このように、素子本体4は、第1電極板10の素子接合面11と第2電極板12の素子接合面13との間に挟まれるように配置される。
素子接合面11および13には、節瘤状凹凸が形成してある。節瘤状凹凸は、凹凸差が0.5〜15μm程度で、頭部に対して中間部または基部がくびれている凹凸を意味し、たとえば酸による表面処理あるいはメッキ処理などで形成される。節瘤状凹凸を形成することで、素子本体4の第1および第2面6,8を、それぞれ素子接合面11および13に良好に接合させることができ、熱圧着における両者間の接合強度を向上させることができる。
素子本体4の形状は、特に限定されず、直方体型、円柱型等が例示される。素子本体4の形状が直方体の場合、素子本体4の寸法は、縦3〜5mm×横2〜5mm×厚さ0.2〜1.0mm程度である。
第1電極板10および第2電極12は、たとえばニッケルまたはニッケル合金で構成してある。第1電極板10および第2電極12の厚みは、特に限定されないが、通常0.8〜1.2mm程度である。
本実施形態においては、図1に示すように、第1電極板10および第2電極板12で覆われていない素子本体4の外周面である露出面には、保護膜3が形成されている。保護膜3を形成することで、大気中の酸素による素子本体4の酸化を防止し、素子本体4の劣化を防止することができる。また、素子本体の酸化を防止することにより、ポリマーPTC素子2の室温抵抗値の上昇を防止することができる。また、保護膜3によって、素子本体4を外部からの衝撃から保護することができる。
保護膜3の種類としては、酸素を遮蔽する機能を有するものであれば特に限定されないが、エポキシ樹脂、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、PVA(ポリビニルアルコール)等が例示される。
図1に示す保護膜3の厚さは、特に限定されないが、好ましくは30μm以上である。保護膜3の厚さが薄過ぎると、保護膜3が、素子本体4の酸化防止効果が小さくなり、厚過ぎると、保護膜3を形成するたの樹脂が、第1電極板10や第2電極板12の表面に塗布されて他の電極とのハンダ接続を阻害するおそれがある。
本実施形態においては、図1〜図3に示すように、第1および第2電極板10,12で覆われていない素子本体4の外周面に、幅Wが0.02〜0.5mmで、深さDが0.05〜1.0mmの凹部4aが形成してある。凹部4aは、第1電極板10と第2電極板12との間で、これらの電極板10および12の平面に対して略垂直方向に延び、周方向に沿って、好ましくは0.02〜0.5mmの間隔で複数形成してある。
このような凹部4aは、後述するように、素子本体4の表裏面に、それぞれ第1電極板10および第2電極板12を接触させ、特定の条件で、素子本体4を加熱しながら第1電極板10および第2電極板12間で加圧することで自動的に形成される。
次に、図1に示すポリマーPTC素子2の製造方法について説明する。素子本体4は、通常、主成分である重合体(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の高分子化合物)および導電性粒子を含む樹脂組成物(導電性ポリマー)から構成される。なお、素子本体4は、重合体として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との両方を含んでもよい。
まず、高分子化合物(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等)、導電性粒子(金属粉、カーボンブラック等)、低分子有機化合物および、高分子化合物同士を架橋反応させるための反応開始剤等を秤量、混練し、PTC組成物を調整する。混練の方法としては、特に限定されないが、ニーダ、押出機、ミル等が例示される。また、PTC組成物に含有させる導電性粒子としては、ふるい機等によって所定の粒径をもつ導電性粒子のみを分級し、これを用いる。次に、このPTC組成物を成形し、素子本体4(図1)を得る。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。好ましくは、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる。エポキシ樹脂を用いることによって、ポリマーPTC素子が、十分な抵抗変化量及び耐熱性を有することができる。熱硬化性樹脂の分子量は、通常、重量平均分子量Mwが300〜10000程度である。上記の熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、また複数種の樹脂を用いてもよい。また、異なる種類の熱硬化性樹脂同士が架橋された構造を有する化合物を用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、好ましくは、結晶性ポリマーを用いる。熱可塑性樹脂の融点は、特に限定されないが、好ましくは、70〜200℃程度である。融点がこの範囲にある樹脂を用いることによって、ポリマーPTC素子動作時における熱可塑性樹脂の融解、流動、素子本体4の変形を防止することができる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー等のコポリマー、ポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド等のハロゲン化ビニルおよびビニリデンポリマー、12−ナイロン等のポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、熱可塑性エラストマー、ポリエチレンオキサイド、ポリアセタール、熱可塑性変性セルロース、ポリスルホン類、ポリメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、好ましくは、10000〜5000000である。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、また複数種の樹脂を用いてもよい。また、異なる種類の熱可塑性樹脂同士が架橋された構造を有する化合物を用いてもよい。
素子本体4に含まれる導電性粒子としては、特に限定されないが、金属粉、カーボンブラック等が例示される。好ましくは、導電性粒子として金属粉を用いる。この金属粉としては、好ましくは、ニッケルを主成分とするものを用いる。金属粉の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5〜4.0μm程度である。
素子本体4において、樹脂組成物中の導電性粒子の含有量は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは、20〜80質量%である。導電性粒子の含有量をこの範囲内とすることによって、非動作時の室温抵抗値を十分に低くすることができ、また、大きな抵抗変化量を得ることができる。さらには、素子抵抗のバラツキを十分に減少させることができる。
素子本体4を構成する樹脂組成物は、上記の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および導電性粒子以外に、例えば、ワックス、油脂、脂肪酸、高級アルコール等の低分子有機化合物を更に含んでもよい。その結果、素子本体4の温度上昇に伴う抵抗変化量を増大させることができる。
素子本体4は、内部に空隙を有し、この空隙に上記樹脂組成物を充填することが可能な基材を含んでもよい。このような基材としては、上記の役割を果たすことが可能なものであれば特に制限されず、織布、不織布、連続多孔質体等が例示される。
素子本体4には、必要に応じて、電子線照射を行う。この電子線照射によって、反応開始剤が機能し、高分子同士の架橋反応が促進される。架橋反応のエネルギー源としては、電子線に限定されず、ガンマ線、紫外線、熱等も用いられる。照射する電子線の加速電圧及び電子線照射量は、素子本体4に含まれる高分子化合物の種類、あるいは素子本体の寸法等に応じて、適宜調整すればよい。なお、電子線照射は、電極板10および12の接合後であっても良い。
第1電極板10および第2電極板12は、所定厚みのニッケル金属板あるいはニッケル合金板を打ち抜き成型して形成される。
次に、素子本体4における第1面6および第2面8に、それぞれ第1電極板10の素子接合面11および第2電極板12の素子接合面13を接触させ、熱プレス機等により、熱圧着する。熱圧着時の素子本体4の加熱温度は、素子本体4の材質にもよるが、好ましくは、80〜250°C、さらに好ましくは90°C以上180°C未満である。
特に本実施形態では、図4に示すように、素子本体4のビカット軟化点温度より高く、融点より低い温度T1から、第1電極板10と素子本体4と第2電極板12との熱圧着を開始する。熱圧着開始温度T1前の加圧力は、0〜15MPaであり、温度T1以降の熱圧着時の加圧力は、好ましくは15〜50MPaである。
最終加熱温度T2は、素子本体4に含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも高い。熱圧着開始温度T1は、好ましくは、素子本体4のビカット軟化点と融点の間である。最終加熱温度T2は、素子本体4の融点に対して、5〜100°C高い温度である。
また、熱圧着開始温度T1から開始する熱圧着処理時間tpは、素子本体4の体積にもよるが、好ましくは0.5〜5分である。
なお、ビカット軟化点温度とは、所定の形状、寸法の試験片の中央部に、1kgの荷重を有する直径1mmの先端が平坦な針を乗せ、60分あたり50°Cの速度で温度を上昇させ試験片が軟化して針が1mm進入したときの温度を示すもので、低荷重で短時間での耐熱性に対する目安となるものである。
このような熱圧着により、第1電極板10と素子本体4と第2電極板12とが一体化されると、図2および図3に示すように、第1および第2電極板10および12で覆われていない素子本体4の外周面には、幅Wが0.02〜0.5mmで深さDが0.5〜1.0mmの凹部4aが多数形成される。なお、図2に示すように、第2電極板12の長手方向側端部12aに沿って素子本体4の外周面に凹部4aが形成されないのは、凹部4aが形成された部分が、側端部12aからはみ出しているために、熱圧着後に除去されているからである。
凹部4aは、第1電極板10と第2電極板12との間で、これらの電極板10および12に対して略垂直方向に延び、周方向に沿って0.02〜0.5mmの間隔で複数形成してある。このような凹部4aを形成することで、PTC素子2の抵抗値のバラツキを低減することができる。また、このような特定の凹部4aを形成することで、電極板10および12と素子本体4との接合強度が向上すると共に、素子本体4からの放熱性も向上する。
本実施形態では、次に、第1電極板10および第2電極板12で覆われていない素子本体4の露出面に、図1に示すように、保護膜3を形成する。素子本体4の露出面に保護膜3を形成することによって、素子本体4が大気中の酸素によって酸化されることを防止できる。また、素子本体4の酸化を防止することにより、ポリマーPTC素子2の室温抵抗値の上昇を防止することができる。また、保護膜3によって素子本体4の機械的強度を向上させることができる。
第2実施形態
第2実施形態
図5に示すように、本実施形態に係るPTC素子2aでは、全体として長方形状の素子本体4の長辺側にのみ、前述した凹部4aが形成してあり、短辺側には、凹部4aが形成されていない以外は、前述した第1実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏する。
図5に示すように、素子本体4の長辺側にのみ凹部4aを形成するには、熱圧着前には、第2電極板12の側端部12a間の幅よりも狭い幅の素子本体4を、第1電極板10および第2電極板12の間に挟んで熱圧着すればよい。そして、素子本体4の短辺側の凹部4aが形成された部分を必要に応じて除去すればよい。
第3実施形態
第3実施形態
図6(A)に示すように、本実施形態に係るPTC素子2bでは、全体として円形状の素子本体4の周方向の全周にわたり、前述した凹部4aが形成してある以外は、前述した第1実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏する。
図6(A)に示すように、素子本体4の全周に凹部4aを形成するには、熱圧着前には、第2電極板12の側端部12a間の幅よりも狭い直径の円形状素子本体4を、第1電極板10および第2電極板12の間に挟んで熱圧着すればよい。
第4実施形態
第4実施形態
図6(B)に示すように、本実施形態に係るPTC素子2cでは、第2電極板12の全体形状を特殊形状に変更すると共に、第1電極板(図示省略)の形状を第2電極板12の形状と同じ形状にしてある以外は、前述した第3実施形態と同様であり、同様な作用効果を奏する。
第5実施形態
第5実施形態
図7に示すように、本実施形態に係るPTC素子2dでは、素子本体4の表裏面に、金属箔20が形成されていてもよい。この素子本体4は、例えば、シート状のポリマー層の両面に金属箔20を、第1実施形態に記載の条件で熱プレスした後に、これを所定の寸法に打ち抜くことによって形成することができる。そのため、この実施形態では、熱圧着の過程で形成される凹部4aは、全て除去されることになる。
第1電極板10と、金属箔20とは、たとえばハンダ付けなどで接合されている。また、第2電極板12と金属箔20も、たとえばハンダ付けなどで接合されている。金属箔20の厚みは、第1電極板10または第2電極板20の厚みよりも薄く、一般的には、25〜30μm程度である。
この場合においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。ただし、この実施形態では、製造過程で形成された素子本体4の凹部4aが全て除去されているので、素子本体4の放熱性や電極板10または20との接合強度の点で、第1〜第4実施形態の方が優れている。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明に係るポリマーPTC素子2は、2次電池セルの過電流保護素子としてのみならず、自己制御型発熱体、温度センサー、限流素子、過電流保護素子等としても使用されることが可能である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
実施例1
まず、素子本体4を準備した。素子本体4を製造するために、まず、高分子化合物(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等)、導電性粒子(金属粉、カーボンブラック等)、低分子有機化合物および、高分子化合物同士を架橋反応させるための反応開始剤等を秤量、混練し、PTC組成物を調整した。PTC組成物に含有させる導電性粒子としては、ふるい機等によって所定の粒径をもつ導電性粒子のみを分級したものを用いた。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を用いた。熱可塑性樹脂としては、結晶性ポリマーを用いた。熱可塑性樹脂の融点は、130°Cのものを用いた。素子本体4に含まれる導電性粒子としては、ニッケルを主成分とするものを用いた。金属粉の平均粒径は、0.5〜4.0μmであった。素子本体4において、樹脂組成物中の導電性粒子の含有量は、樹脂組成物全体に対して、80質量%であった。
次に、第1電極板10および第2電極板12を準備した。これらの第1電極板10および第2電極板12としては、所定厚みのニッケル金属板を打ち抜き成型して形成されたものを用いた。
次に、素子本体4における第1面6および第2面8に、それぞれ第1電極板10の素子接合面11および第2電極板12の素子接合面13を接触させ、熱プレス機等により、熱圧着した。熱圧着時の素子本体4の加熱温度は、熱圧着開始温度T1が120°Cであり、最終加熱温度T2は180°C近くであった。また、熱圧着処理時間tpは約4分であった。なお、素子本体4のビカット軟化点温度は、120°Cであった。
本実施例では、図4に示すように、素子本体4のビカット軟化点温度よりも低い温度T1から、第1電極板10と素子本体4と第2電極板12との熱圧着を開始した。温度T1前の加圧力は、15MPaであり、温度T1以降の熱圧着時の加圧力は、好ましくは40MPaである。
このような熱圧着により、第1電極板10と素子本体4と第2電極板12とが一体化されると、図2および図3に示すように、第1および第2電極板10および12で覆われていない素子本体4の外周面には、幅Wが0.02〜0.5mmで深さDが0.5〜1.0mmの凹部4aが多数形成された。なお、図2に示すように、第2電極板12の長手方向側端部12aに沿って素子本体4の外周面に凹部4aが形成されないのは、凹部4aが形成された部分が、側端部12aからはみ出しているために、熱圧着後に除去されていたからである。
凹部4aは、第1電極板10と第2電極板12との間で、これらの電極板10および12に対して略垂直方向に延び、周方向に沿って0.02〜0.5mmの間隔で複数形成された。
この実施例1に係るPTC素子2を500個準備し、これらのPTC素子2の電極板10および12間に、4.2Vの電圧で20Aの電流を流し、その後に、抵抗値を測定した。図8に示すように、抵抗値のバラツキを示すσは、0.141であり、抵抗値のバラツキが小さいことが確認された。また、この実施例1に係るPTC素子2について、表1に示す電圧を印加し、電流、消費電力、表面温度および放熱係数を調べた結果を表1に示す。なお、放熱係数は、表1に示すように、放熱係数=(電圧×電流)/(表面温度−周囲温度)で計算される。周囲温度は、室温25°Cとして計算した。放熱係数の値が大きいほど、放熱性に優れている。
比較例1
比較例1
熱圧着開始温度T1を180°Cとし、最終加熱温度T2も180°Cであった以外は、実施例1と同様にしてPTC素子を製作した。素子本体の外周面に形成された図3に示す凹部4aの深さは、0.03mm以下であり、凹部4aの幅は0.01mm以下であった。
この比較例1に係るPTC素子2を、実施例1と同じ個数で準備し、これらのPTC素子2の電極板10および12間に、5Vの電圧で10Aの電流を流し、その後に、抵抗値を測定した。図8に示すように、抵抗値のバラツキを示すσは、0.217であり、実施例1に比較して、抵抗値のバラツキが多かった。
また、この比較例1に係るPTC素子2について、表1に示す電圧を印加し、電流、消費電力、表面温度および放熱係数を調べた結果を表1に示す。
比較例2
また、この比較例1に係るPTC素子2について、表1に示す電圧を印加し、電流、消費電力、表面温度および放熱係数を調べた結果を表1に示す。
比較例2
熱圧着開始温度T1を150°Cとし、最終加熱温度T2を180°Cとした以外は、実施例1と同様にしてPTC素子を製作した。素子本体の外周面に形成された図3に示す凹部4aの深さは、0.03mm以下であり、凹部4aの幅は0.02〜0.5mmであった。
この比較例2に係るPTC素子2を、実施例1と同じ個数で準備し、これらのPTC素子2の電極板10および12間に、5Vの電圧で10Aの電流を流し、その後に、抵抗値を測定した。図8に示すように、抵抗値のバラツキを示すσは、0.224であり、実施例1に比較して、抵抗値のバラツキが多かった。
比較例3
比較例3
熱圧着開始温度T1を150°Cとし、最終加熱温度T2を180°Cとし、温度T1前の加圧力を、30MPaであり、温度T1以降の熱圧着時の加圧力を、60MPaとした以外は、実施例1と同様にしてPTC素子を製作した。素子本体の外周面に形成された図3に示す凹部4aの深さは、0.05〜1.0mmであり、凹部4aの幅は0.01mm以下であった。
この比較例3に係るPTC素子2を、実施例1と同じ個数で準備し、これらのPTC素子2の電極板10および12間に、5Vの電圧で10Aの電流を流し、その後に、抵抗値を測定した。図8に示すように、抵抗値のバラツキを示すσは、0.241であり、実施例1に比較して、抵抗値のバラツキが多かった。
評価1
評価1
2,2a〜2d… ポリマーPTC素子
3… 保護膜
4… 素子本体
4a… 凹部
6… 第1面
8… 第2面
10… 第1電極板
12… 第2電極板
20… 金属箔
3… 保護膜
4… 素子本体
4a… 凹部
6… 第1面
8… 第2面
10… 第1電極板
12… 第2電極板
20… 金属箔
Claims (8)
- 温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体と、
前記素子本体の表裏面に接合された一対の第1および第2電極板とを有するPTC素子であって、
前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面には、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部が、少なくとも一つ以上形成してあることを特徴とするPTC素子。 - 前記素子本体が、正の温度係数を持つ導電性ポリマーである請求項1に記載のPTC素子。
- 前記素子本体の外周面に形成してある凹部の幅は0.5mm以下であり、凹部の深さは1.0mm以下である請求項1または2に記載のPTC素子。
- 前記素子本体の外周面に形成してある凹部は、前記第1電極板と第2電極板との間で、これらの電極板に対して略垂直方向に延び、周方向に沿って0.02〜0.5mmの間隔で複数形成してある請求項1〜3のいずれかに記載のPTC素子。
- 前記凹部が形成してある前記素子本体の外周面が、保護膜により被覆してある請求項1〜4のいずれかに記載のPTC素子。
- 前記第1および第2電極板における前記素子本体との接触面には、微小凹凸が形成してある請求項1〜5のいずれかに記載のPTC素子。
- 前記素子本体の表裏面には、金属箔が接合してあり、各金属箔に対して、前記第1および第2電極板が接合してある請求項1〜6のいずれかに記載のPTC素子。
- 温度上昇に伴い抵抗値が増加する素子本体を準備する工程と、
前記素子本体の表裏面に、それぞれ第1電極板および第2電極板を接触させ、前記素子本体を加熱しながら加圧し、前記第1および第2電極板で覆われていない前記素子本体の外周面に、幅が0.02mm以上で深さが0.05mm以上の凹部が、少なくとも一つ以上形成する工程と、を有するPTC素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008258845A JP2010092933A (ja) | 2008-10-03 | 2008-10-03 | Ptc素子およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008258845A JP2010092933A (ja) | 2008-10-03 | 2008-10-03 | Ptc素子およびその製造方法 |
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ID=42255404
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JP (1) | JP2010092933A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111524667A (zh) * | 2020-06-11 | 2020-08-11 | 上海维安电子有限公司 | 高可靠性过流保护元件 |
US10830298B2 (en) * | 2017-03-28 | 2020-11-10 | Fca Italy S.P.A. | Brake disc for motor-vehicle disc brakes |
-
2008
- 2008-10-03 JP JP2008258845A patent/JP2010092933A/ja not_active Withdrawn
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