JP2010092774A - 無電極放電灯装置および照明器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】ループ形状のバルブを備え、バルブの周囲温度が広い範囲で変動しても光出力を安定させることができる無電極放電灯装置および照明器具を提供することにある。
【解決手段】無電極放電灯装置100は、ループ形状のバルブ1と、バルブ1における2つの部位それぞれを覆う形で配置された2つのフェライトコア3と、各フェライトコア3それぞれに巻回された誘導コイル2と、両誘導コイル2に接続された点灯装置4とを備え、水銀アマルガム(図示せず)が収納されたアマルガム収納容器5が、バルブ1から外方へ突出した管状部1cの内側に配置されている。そして、アマルガム収納容器5の一部がバルブ1の内部の放電空間に突出する形でアマルガム収納容器5を支持する支持部1eと、管状部1cの管軸方向における前記放電空間から遠い側に配置されアマルガム収納容器5を支持部1eに押し当てる弾性体6とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】無電極放電灯装置100は、ループ形状のバルブ1と、バルブ1における2つの部位それぞれを覆う形で配置された2つのフェライトコア3と、各フェライトコア3それぞれに巻回された誘導コイル2と、両誘導コイル2に接続された点灯装置4とを備え、水銀アマルガム(図示せず)が収納されたアマルガム収納容器5が、バルブ1から外方へ突出した管状部1cの内側に配置されている。そして、アマルガム収納容器5の一部がバルブ1の内部の放電空間に突出する形でアマルガム収納容器5を支持する支持部1eと、管状部1cの管軸方向における前記放電空間から遠い側に配置されアマルガム収納容器5を支持部1eに押し当てる弾性体6とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ループ形状のバルブを備えた無電極放電灯装置および照明器具に関するものである。
従来から、ループ形状に形成され且つ内部にアルゴンなどの希ガスからなる放電ガスと水銀蒸気とが封入されたバルブを備える無電極放電灯装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
この類の無電極放電灯装置は、例えば、図4に示すように、ループ形状のバルブ1と、バルブ1において管軸方向に離間した2つの部位を囲む形で配置された2つのリング状のフェライトコア3,3と、両フェライトコア3,3に巻回された誘導コイル2と、誘導コイル2に接続され且つ誘導コイル2に高周波電流を通電する高周波電源(図示せず)を含む点灯装置(図示せず)とを備える。ここで、バルブ1、各フェライトコア3,3および誘導コイル2により無電極放電灯が構成されている。
図4に示す構成の無電極放電灯装置では、前記点灯装置から数百kHz程度の高周波電流が誘導コイル2に通電されると、電磁誘導によってバルブ1の内部に誘導電界が発生し、当該誘導電界がバルブ1内部に封入された放電ガスに作用して放電が発生する。そして、バルブ1の内部に存在する水銀が励起されて紫外線が発生する。なお、無電極放電灯においてバルブ1の内面に蛍光体が塗布されているものは、バルブ1の内部で発生した紫外線がバルブ1の内面に塗布された蛍光体により可視光に変換されてバルブ1の外側に放射されるので、無電極蛍光ランプとして使用される。一方、バルブ1が紫外線透過率の高い材料で形成され且つバルブ1の内面に蛍光体が塗布されていないものは、無電極紫外線ランプとして使用される。これらの無電極蛍光ランプや無電極紫外線ランプは、バルブ1の内部に短寿命の原因となる電極(図示せず)が存在しないので寿命が長い。
ところで、一般的に、無電極放電灯では、バルブの内部の放電空間に水銀蒸気を供給するために、バルブの内部に水銀アマルガムが封入されていることが多い。バルブの内部に純水銀ではなく水銀アマルガムが封入されていることが多い理由としては、純水銀が封入されている場合に比べて水銀アマルガムが封入されている場合の方がバルブの周囲温度(以下、バルブ周囲温度と称す)が比較的広範囲で変動しても水銀蒸気圧が安定しており、純水銀が封入されている場合に比べて光出力のバルブ周囲温度依存性を小さくすることができる点が挙げられる。また、純水銀、亜鉛水銀合金および錫水銀合金などを用いた場合には、バルブ周囲温度が比較的低い場合でも、バルブの内部の水銀蒸気圧を、光出力が安定する水銀蒸気圧とすることができるが、光出力が安定する水銀蒸気圧となる温度範囲が狭く、バルブ周囲温度が比較的高温になると、水銀蒸気圧が高くなり過ぎて、水銀で発生した紫外線が水銀に自己吸収されることで、無電極放電灯の発光効率が著しく低下することがあった。
そこで、図4に示す構成の無電極放電灯装置では、バルブ1の内部の放電空間に水銀蒸気を供給するために水銀アマルガム11を使用している。水銀アマルガム11は、バルブ1の一部に形成された管状部1cの内側に配置されており、バルブ1の内部の水銀蒸気圧の制御を管状部1cの内側の温度を制御することにより行う。ここで、バルブ1の内部の水銀蒸気圧を光出力が安定する圧力に維持するために、水銀アマルガム11の温度を常温(25℃)よりも高い規定温度(例えば、70℃)以上に常に維持しておく必要がある。
また、従来から、水銀アマルガムの温度を常温よりも高い規定温度以上に維持するための手段として、バルブにおけるフェライトコアの近傍に管状部を形成するとともに水銀アマルガムを管状部の内側に配置して、フェライトコアで発生した熱をアルミニウムなどの金属で形成された熱伝達部を介して水銀アマルガムに伝達させることにより、水銀アマルガムの温度を前記規定温度以上に維持する無電極放電灯装置が提案されている(特許文献3参照)。
特開2003−100259号公報
特開平10−511806号公報
特開平11−191398号公報
しかしながら、図4に示した構成の無電極放電灯装置では、バルブ周囲温度が常温よりも低い低温の場合や、定格点灯時に比べて低い供給電力で点灯している場合(調光点灯時)に、水銀アマルガム11の温度が前記規定温度未満となり、バルブ1の内部の水銀蒸気圧が極端に低下して発光効率が大幅に低下して光出力が安定しないことがあった。また、長期に亘り低いバルブ周囲温度で動作させた場合、水銀が蒸発せず、希ガスのみの放電となり所望の光出力が得られないことがあった。
また、図4に示す構成の無電極放電灯装置において、特許文献2に記載の技術を適用して、水銀アマルガム11が内側に収納された管状部1cにフェライトコア3の熱を伝える構成とする場合には、特にバルブ周囲温度が低温の場合には、フェライトコア3で発生した熱の一部が水銀アマルガム11に達するまでに放熱されてしまい、フェライトコア3で発生した熱が水銀アマルガム11に十分に伝達されず、バルブ1の内部の水銀蒸気圧が低下するおそれがあった。
本願発明は、前記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、ループ形状のバルブを備え、バルブの周囲温度が広い範囲で変動しても光出力を安定させることができる無電極放電灯装置および照明器具を提供することにある。
請求項1の発明は、透光性材料で形成され且つ内部に放電ガスおよび水銀蒸気が封入されたループ形状のバルブと、磁性材料で形成され且つバルブの一部を覆う形で配置されたフェライトコアと、フェライトコアに巻回された誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を通電して電磁誘導により放電ガスを励起して発光させる高周波電源と、水銀蒸気を供給するための水銀アマルガムが内側に収納され且つ水銀蒸気が通過できる蒸気通過部が設けられたアマルガム収納容器とを備え、バルブから外方へ突出する形で設けられバルブ側とは反対側の一端部が封止されるとともに他端部でバルブの内部の放電空間に連通してなる管状部の内側にアマルガム収納容器が配置される無電極放電灯装置であって、アマルガム収納容器の一部が前記放電空間に突出する形でアマルガム収納容器を支持可能な支持部と、管状部の内側にアマルガム収納容器を支持部に押し当てる弾性体とを設けてなることを特徴とする。
この発明によれば、ループ形状のバルブを備えた無電極放電灯装置において、アマルガム収納容器の一部がバルブの内部の放電空間に突出していることにより、前記放電空間における放電による熱がアマルガム収納容器に伝わり易くなるので、バルブの周囲温度が常温よりも低い低温の場合や、定格点灯時に比べて低い供給電力で点灯している調光点灯の場合においても、バルブの内部の水銀蒸気圧を、光出力が安定する圧力に維持することができるから、バルブの周囲温度が広い範囲で変動しても光出力を安定させることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記支持部は、前記管状部と同一の材料からなり且つ前記管状部と連続一体に形成されるものであって、前記管状部の前記他端部から前記放電空間に突出する形で設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、前記支持部が、前記管状部と同一の材料からなり且つ前記管状部と連続一体に形成されるものなので、前記支持部と前記管状部とを各別に形成する場合に比べて容易に製造することができる。また、前記支持部を前記管状部と連続一体とすることにより、部品点数を削減することができるので、コストの低減を図ることができる。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記支持部は、前記バルブにおける前記バルブの管軸方向に直交する方向で前記管状部の前記他端部とは前記バルブの管軸を挟んで対向する部位と、前記アマルガム収納容器のうち前記放電空間に突出した部位とに接する形で前記アマルガム収納容器を支持してなることを特徴とする。
この発明によれば、前記支持部の長さを適宜調節することによって前記アマルガム収納容器の前記放電空間への突出量を設定することができる構成となっていることにより、前記アマルガム収納容器の位置の微調整が容易になるので、製造を容易にすることができる。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記弾性体は、前記管状部の内側に配置されるとともに、前記管状部の管軸方向において前記アマルガム収納容器よりも前記放電空間から遠い側に配置されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記弾性体が、前記管状部の管軸方向において前記アマルガム収納容器よりも前記放電空間から遠い側に配置されていることにより、前記弾性体の付勢力によって前記アマルガム収納容器が前記支持部に押し当てられ、前記放電空間から遠ざかる方向への前記アマルガム収納容器の移動が規制されるので、前記バルブに衝撃等が加わった場合でも前記アマルガム収納容器が前記放電空間から遠ざかる方向へ移動して前記放電空間への突出量が小さくなることを防ぐことができるから、前記放電空間での放電による熱がより確実に前記アマルガム収納容器に伝わるようにすることができる。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の発明において、前記弾性体は、非金属の材料からなる繊維状部材の集合体あるいは紐状部材の集合体からなることを特徴とする。
この発明によれば、前記弾性体が、繊維状部材の集合体あるいは紐状部材の集合体から形成され、前記アマルガム収納容器に加わる衝撃を吸収することにより、前記バルブに衝撃が加わった場合でも前記アマルガム収納容器の位置ずれを防止することができるので、前記放電空間への突出量が小さくなることを防ぐことができるから、前記放電空間での放電による熱がより確実に前記アマルガム収納容器に伝わるようにすることができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無電極放電灯装置を備えることを特徴とする。
この発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無電極放電灯装置を備えるので、バルブの周囲温度が広い範囲で変動しても光出力を安定させることができるから、温度環境が大きく変化しても光出力を安定させることができる。
請求項1の発明によれば、ループ形状のバルブを備えた無電極放電灯装置において、アマルガム収納容器の一部がバルブの内部の放電空間に突出していることにより、前記放電空間における放電による熱がアマルガム収納容器に伝わり易くなるので、バルブの周囲温度が常温よりも低い低温の場合や、定格点灯時に比べて低い供給電力で点灯している調光点灯の場合においても、バルブの内部の水銀蒸気圧を光出力が安定する圧力に維持することができるから、バルブの周囲温度が広い範囲で変動しても光出力を安定させることができる。
請求項6の発明によれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無電極放電灯装置を備えるので、温度環境が大きく変化して、バルブの周囲温度が広い範囲で変動しても光出力を安定させることができる。
(実施形態1)
以下、本実施形態の無電極放電灯装置100について、図1(a),(b)に基づいて説明する。
以下、本実施形態の無電極放電灯装置100について、図1(a),(b)に基づいて説明する。
本実施形態の無電極放電灯装置100は、内部に放電ガスおよび水銀蒸気が封入されたループ形状のバルブ1と、バルブ1において管軸方向に離間した2箇所それぞれを囲む形で配置された2つのフェライトコア(トロイダルコア)3,3と、各フェライトコア3,3それぞれに巻回された2つの誘導コイル2,2と、両誘導コイル2,2に高周波電流を通電する高周波電源4aを有する点灯装置4とを備える。ここで、バルブ1、各フェライトコア3,3及び各誘導コイル2,2により無電極放電灯が構成されている。
バルブ1は、透光性材料であるガラスで形成され、平行する2つの直線部1aと、2つの直線部1aの一端部同士(図1(a)における左端部同士)と他端部同士(図1(a)における右端部同士)とを接続する2つのC字状の曲部1dとからなる。
ここで、バルブ1は、第1のU字管11の両端部と、第1のU字管11に比べて管軸方向の長さが短い第2のU字管12の両端部とを接合することにより形成される。そして、バルブ1における第2のU字管12の管軸方向の中央部には、ガラスで形成されたものであって、バルブ1から外方へ突出する形で設けられバルブ1側とは反対側の一端部が封止され且つ他端部でバルブ1の内部の放電空間に連通してなる管状部1cが形成されている。ここで、管状部1cの内側には水銀アマルガム(図示せず)が収納された円筒箱状のアマルガム収納容器5が配置されている。
また、バルブ1の内面には、バルブ1の内部で発生した紫外線を可視光に変換するための蛍光体(図示せず)が塗布されている。従って、本実施形態の無電極放電灯装置100の無電極放電灯では、バルブ1の内部に封入された水銀蒸気中に含まれる水銀を発光させることにより紫外線が発生すると、当該紫外線は蛍光体により可視光に変換されバルブ1の外方へ放射されるので、無電極蛍光ランプとして使用することができる。
バルブ1の内部に封入される放電ガスとしては、アルゴンガスが用いられている。なお、バルブ1の内部に封入する放電ガスとしては、アルゴンガスに限らず、例えば、クリプトンガス等を用いてもよい。
また、アマルガム収納容器5は、ステンレスで形成され、内部に収納された水銀アマルガムから発せられた水銀蒸気をアマルガム収納容器5の外側に通過させるための蒸気通過部である2つの通気孔(図示せず)が穿設されている。なお、本実施形態では、アマルガム収納容器5がステンレスで形成されているが、これに限定されるものではなく、他の金属材料、或いはガラスやセラミックス等の材料で形成してもよい。また、蒸気通過部としては、通気孔に限定されるものではなく、例えば、通気用の溝からなるものであってもよい。
各フェライトコア3は、トロイダル状に形成され、バルブ1のうち第1のU字管11と第2のU字管12との接合部分である2つの部位それぞれを囲む形で配置されている。即ち、フェライトコア3が、バルブ1における互いに平行する2つの直線部1aそれぞれにおいて、図1(a)における右端部を囲む形で配置されている。また、フェライトコア3は、磁性材料で形成されるとともに、一部に誘導コイル2が巻回されている。
点灯装置4は、高周波電源4aを備え、高周波電源4aと誘導コイル2とはリード線34を介して電気的に接続されており、高周波電源4aは、誘導コイル2に高周波電流を通電する。
ところで、本実施形態では、ガラスで形成され且つ管状部1cと連続一体に形成された支持部1eが、バルブ1の内面における管状部1cに対応する位置に設けられている。ここで、支持部1eは、アマルガム収納容器5の一部が前記放電空間に突出する形でアマルガム収納容器5を支持する。また、管状部1cの内側に、アマルガム収納容器5を支持部1eに押し当てる弾性体6が配置されている。ここで、弾性体6は、ガラス繊維からなる繊維状部材の集合体で形成され、管状部1cの管軸方向においてアマルガム収納容器5よりも前記放電空間から遠い側に配置されている。
ここで、本実施形態における管状部1cおよび支持部1eを備えたバルブ1の製造方法について説明する。
まず、第2のU字管12の管軸方向の略中央部に開口部1hを形成する(図1(b)参照)。一方、管状部1cおよび支持部1eを形成するための部材として、内径がアマルガム収納容器5の外周径よりも大きく且つ一端部が開放されるとともに他端部にアマルガム収納容器5の外周径よりも小径の連通孔1gが形成されてなる管体10を準備する。その後、管体10の前記他端部を開口部1hに挿通し、前記他端部が前記放電空間に突出した形で、開口部1hと管体10の外周部とを溶着して接合する。ここで、バルブ1側とは反対側の前記一端部が封止された管体10のうちバルブ1から外方へ突出した形で設けられた部分が管状部1cを構成し、管体10の前記他端部に形成された連通孔1gの周部と管体10のうち前記放電空間に突出した部分が支持部1eを構成する。次に、第1のU字管11の両端部および第2のU字管12の両端部同士を接合する。続いて、管体10を介してバルブ1の内部の空気等の排気及びバルブ1の内部への放電ガス等の充填を行った後に、管体10の内部にアマルガム収納容器5および弾性体6を順に収納し、その後、管体10の前記一端部を封止する。しかして、管状部1cおよび支持部1eを備えたバルブ1を作製することができる。
なお、本実施形態では、管状部1cおよび支持部1eがガラスで形成されているが、熱膨張係数がバルブ1の材料であるガラスに近く、バルブ1との接合部分における気密性を維持できるような材料であればガラスに限定されるものではなく、例えば、熱膨張係数がガラスに近いガラスセラミックスからなる管体10を溶着等の方法で接合して形成するものであってもよい。また、セラミックス、或いは金属からなる管体10をフリットシール等の方法で接合して形成するものとしてもよい。
しかして、支持部1eが、管状部1cと同一の材料からなることにより、管状部1cと支持部1eとを同時に形成することができるので、製造を容易にすることができる。また、支持部1eおよび管状部1cを形成するための部材を各別に準備する必要がなく一つの部材から形成することができるので、部品点数を削減することができるから、製造コストの低減を図ることができる。
また、弾性体6が、管状部1cの管軸方向においてアマルガム収納容器5よりも前記放電空間から遠い側に配置されていることにより、弾性体6の付勢力によって、前記放電空間から遠ざかる方向へのアマルガム収納容器5の移動、即ち、管状部1cの前記一端部側へのアマルガム収納容器5の移動を規制するので、前記放電空間における放電による熱がより確実にアマルガム収納容器5に伝わるようにすることができる。
また、弾性体6が、ガラス繊維からなる繊維状部材で形成されていることにより、アマルガム収納容器5に加わる衝撃を吸収するので、バルブ1に衝撃が加わった場合にアマルガム収納容器5の位置ずれを防止することができるから、前記放電空間での放電による熱がより確実にアマルガム収納容器5に伝わるようにすることができる。
なお、本実施形態では、弾性体6がガラス繊維からなる繊維状部材の集合体で形成された例について説明したが、これに限定されるものではなく、他の非金属で耐熱性のある材料からなる繊維状部材の集合体であってもよい。また、弾性体6は、繊維状部材の集合体からなるものに限られず、紐状部材の集合体からなるものであってもよい。紐状部材としては、例えば、アルミナ繊維を紐状に編み込むことで形成されたセラミックスヤーンを使用してもよい。
次に、本実施形態の無電極放電灯装置の動作について説明する。
点灯装置4の高周波電源4aから誘導コイル2に高周波電流が通電されると、バルブ1の内部で放電が発生し、フェライトコア3の内部に発生した交番磁界に鎖交する形で前記放電空間に交番電界が発生する。前記放電空間に存在する電子は、当該交番電界により加速され、バルブ1の内部に存在するアルゴンや水銀と衝突することで、アルゴンや水銀の電離が生じる。点灯装置4の高周波電源4aから誘導コイル2に、前記放電空間で放電を維持するのに十分な電力が供給されると、バルブ1の管軸方向に沿って前記放電空間に放電が発生する。ここで、アマルガム収納容器5は、前記放電空間での放電による熱によって温められ、アマルガム収納容器5に収納された水銀アマルガムの温度が上昇すると、水銀アマルガムからバルブ1の内部に水銀蒸気が供給される。バルブ1の内部に水銀蒸気が供給され、バルブ1の内部の水銀蒸気圧が上昇すると、前記放電空間では、水銀蒸気中の水銀の電離や励起が主体となり、アルゴンガスはバッファガスとして働くようになる。ここに、水銀が電離することで発生した電子が、前記交番電界により加速されて他の水銀に衝突すると、当該他の水銀は、電離したり励起されたりする。そして、当該他の水銀が電離することで発生した電子が、前記交番電界により加速されて、更に他の水銀に衝突することで当該他の水銀が電離したり励起されたりする。一方、前記交番電界により加速された電子が衝突して励起された水銀は、主に紫外線を放射して基底状態に戻る。このとき放射された紫外線がバルブ1の内部に形成された前記蛍光体に到達すると、当該蛍光体によって可視光に変換されてバルブ1の外側へ放射される。しかして、水銀蒸気中の水銀の電離および励起の過程が持続する。つまり、バルブ1の内部の水銀蒸気圧が上昇して、水銀蒸気中の水銀の電離および励起の過程が持続するようになると、安定した光出力が得られる。
本実施形態では、上述のように、アマルガム収納容器5の一部が前記放電空間に突出する形で配置されていることにより、前記放電空間での放電による熱がアマルガム収納容器5に伝わり易くなっているので、バルブ1の内部の水銀蒸気圧を上昇させて、光出力を安定させることができる。
次に、本実施形態の一実施例について説明する。
本実施例では、バルブ1として、ガラスの一種であるパイレックス(登録商標)で形成された外径が38mmの直管型の管体に曲げ加工を施すことで形成された第1のU字管11と第2のU字管12とを接合してなるものであって、断面の外径が38mmで管軸方向の長さが500mmのループ形状のものが使用されている。また、水銀アマルガム5は、水銀含有量が約10mgのBi−In−Hg合金からなるものであり、バルブ1の内部には、バルブ1の内部に存在する水銀による紫外線の発光量が最大となるようにアルゴンガスが約133Paだけ封入されている。フェライトコア3には、内径が42mm、外径が72mmで幅が33mmのものが使用されている。また、各フェライトコア3,3それぞれに、並列に接続された誘導コイル2,2が券回されており、後述の高周波電源4aに接続されている。ここに、本実施例の高周波電源4aは、周波数が約135kHzの高周波電流を発生させるものが用いられており、点灯装置4の内部に収納されている。また、本実施例では、アマルガム収納容器5の一部が、前記放電空間に4mmだけ突出する形で配置されている。
本実施例と、アマルガム収納容器5が前記放電空間に突出していない点が本実施例と相違する比較例とについて、動作時の水銀アマルガムの温度および発光効率について比較した結果について説明すると、本実施例では、比較例に比べて、アマルガム収納容器5が約20℃上昇することが確認できた。また、定格点灯時の50%の光出力で動作させた調光点灯時における発光効率は、定格点灯時の発光効率に比べて5%しか低下しないことを確認できた。
要するに、本実施例では、アマルガム収納容器5の一部が前記放電空間に突出した形で配置されていることにより、アマルガム収納容器5に収納された水銀アマルガムが温められ易くなっているので、バルブ周囲温度が常温よりも低い低温の場合や、定格点灯時に比べて低い供給電力で点灯している調光点灯の場合においても、バルブ1の内部の水銀蒸気圧を、光出力が安定する圧力に維持することができるから、バルブ周囲温度が広い範囲で変動しても光出力を安定させることができる。
また、弾性体6が、管状部1cの内部の前記一端部に配置され、且つアマルガム収納容器5の前記一端部側に弾接する形で配置されていることによって、アマルガム収納容器5が前記放電空間から遠ざかる方向へ移動するのを規制するので、前記放電空間での放電による熱を確実にアマルガム収納容器5に伝えることができる。
(実施形態2)
本実施形態の無電極放電灯装置100は、図1に示す構成の無電極放電灯装置100と略同じであって、図2に示すように、バルブ1におけるバルブ1の管軸方向に直交する方向で前記他端部に対向する部位に凹部1fが形成されるとともに、長手方向の一端が当該凹部1fに挿入され且つ他端がアマルガム収納容器5のうち管状部1cから前記放電空間に突出した部位に接する形で配置された棒状部材7が、アマルガム収納容器5を支持する支持部を構成している点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。ここに、アマルガム収納容器5は、管状部1cの前記一端部に配置された弾性体6により、棒状部材7の前記他端に押し付けられ、弾性体6と棒状部材7との間に挟持される。なお、本実施形態では、棒状部材7の前記他端が、アマルガム収納容器5に予め溶接等により接合されたものであってもよい。
本実施形態の無電極放電灯装置100は、図1に示す構成の無電極放電灯装置100と略同じであって、図2に示すように、バルブ1におけるバルブ1の管軸方向に直交する方向で前記他端部に対向する部位に凹部1fが形成されるとともに、長手方向の一端が当該凹部1fに挿入され且つ他端がアマルガム収納容器5のうち管状部1cから前記放電空間に突出した部位に接する形で配置された棒状部材7が、アマルガム収納容器5を支持する支持部を構成している点が相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。ここに、アマルガム収納容器5は、管状部1cの前記一端部に配置された弾性体6により、棒状部材7の前記他端に押し付けられ、弾性体6と棒状部材7との間に挟持される。なお、本実施形態では、棒状部材7の前記他端が、アマルガム収納容器5に予め溶接等により接合されたものであってもよい。
ここで、管状部1cを備えるとともにバルブ1の内側に支持部を構成する棒状部材7が配置されたバルブ1の製造方法について説明する。
まず、第2のU字管12の管軸方向の略中央部に開口部1hを形成する(図2参照)。一方、管状部1cを形成するための部材として、両端が開放された管体10を準備する。その後、管体10をその一端部がバルブ1の外側に突出する形で他端部を開口部1hに溶着して接合する。ここで、バルブ1から外方へ突出する形で設けられバルブ1側とは反対側の一端部が封止された管体10が、管状部1cを構成する。また、バルブ1の管軸方向に直交する方向で前記他端部に対向する部位には凹部1fを形成する。次に、第1のU字管11の両端部および第2のU字管12の両端部同士を接合する。続いて、管体10を介してバルブ1の内部の空気等の排気及びバルブ1の内部への放電ガス等の充填を行った後に、バルブ1の内部の凹部1fに棒状部材7を挿入し、その後、管体10の内側にアマルガム収納容器5および弾性体6を順に収納する。ここで、棒状部材7の長さを調節することによりアマルガム収納容器5の位置決めを行う。その後、管体10の前記一端部を封止する。しかして、管状部1cを備えるとともに管状部1cの内側に棒状部材7が配置されたバルブ1を作製することができる。
また、本実施形態の一実施例として、例えば、ステンレスで形成された直径1mmの棒状部材7を使用したものがある。かかる棒状部材7は、切断が容易であり長さを調整しやすい。
しかして、棒状部材7の長さでアマルガム収納容器5の位置が決まる構成となっていることにより、管状部1cを形成した後であっても、棒状部材7の長さを調節することでアマルガム収納容器5の位置の微調整を行うことができるので、製造を容易にすることができる。
また、上記各実施形態では、バルブ1の内面に蛍光体が塗布された無電極蛍光ランプを備える例について説明したが、バルブ1が紫外線の透過率の高い透光性材料で形成されるとともにバルブ1の内面に蛍光体が塗布されていない無電極紫外線ランプを備えるものであっても同様の効果が得られる。
(実施形態3)
図3に実施形態1で説明した無電極放電灯装置100を2つ備えた照明器具30を示す。この照明器具30は、例えば、トンネル用照明器具として使用される。
図3に実施形態1で説明した無電極放電灯装置100を2つ備えた照明器具30を示す。この照明器具30は、例えば、トンネル用照明器具として使用される。
本実施形態の照明器具30は、平面視長方形状の主片31aと主片31aの長手方向の両端部を折曲してなる2つの側片31bとを有する断面コ字状の器具本体31と、器具本体31内部に収納される2つの無電極放電灯装置100(図1参照)とを備える。無電極放電灯装置100は、図5に示すように、バルブ1の管状部1cが器具本体31の両端側に位置するように配置されている。各無電極放電灯装置100において、誘導コイル2が巻回された2つのフェライトコア3(図1参照)それぞれは、第1のランプ保持具32の内側に配置されている。ここで、第1のランプ保持具32は、器具本体31の主片31aに固定されている。また、無電極放電灯装置100のバルブ1において管状部1cが形成された側と反対側の一部が主片31aに固定された第2のランプ保持具33に支持されている。しかして、各無電極放電灯装置100が備える無電極放電灯は、2つの第1のランプ保持具32と第2のランプ保持具33とにより器具本体31に固定されている。また、器具本体31において、一端が主片31aの長手方向の両端部に連続する2つの側片31bの他端には、器具本体31の長手方向において互いに離れる方向に延出した鍔部31c,31cが設けられており、ガラスなどで形成された透光性の板材35は、2つの鍔部31c,31cに当接する形で固定されている。
ところで、無電極放電灯を備えた照明器具をトンネル用照明器具等のように屋外で使用する場合、冬場においてバルブ周囲温度が常温(25℃)よりも低い低温となると、無電極放電灯の水銀アマルガムの温度を、常温よりも高い高温に維持して光出力を安定させることが困難になる。
これに対して、本実施形態の照明器具30は、実施形態1で説明した無電極放電灯装置100を備えるので、例えば、冬場においてバルブ周囲温度が常温よりも低い低温となった場合であっても、光出力を安定させることができる。
なお、本実施形態では、実施形態1で説明した無電極放電灯装置100を備える例について説明したが、実施形態2で説明した無電極放電灯装置100を備えたものであってもよい。
1 バルブ
1c 管状部
1e 支持部
1f 凹部
2 誘導コイル
3 フェライトコア
4 点灯装置
4a 高周波電源
5 アマルガム収納容器
6 弾性体
7 棒状部材(支持部)
100 無電極放電灯装置
1c 管状部
1e 支持部
1f 凹部
2 誘導コイル
3 フェライトコア
4 点灯装置
4a 高周波電源
5 アマルガム収納容器
6 弾性体
7 棒状部材(支持部)
100 無電極放電灯装置
Claims (6)
- 透光性材料で形成され且つ内部に放電ガスおよび水銀蒸気が封入されたループ形状のバルブと、磁性材料で形成され且つバルブの一部を覆う形で配置されたフェライトコアと、フェライトコアに巻回された誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を通電して電磁誘導により放電ガスを励起して発光させる高周波電源と、水銀蒸気を供給するための水銀アマルガムが内側に収納され且つ水銀蒸気が通過できる蒸気通過部が設けられたアマルガム収納容器とを備え、バルブから外方へ突出する形で設けられバルブ側とは反対側の一端部が封止されるとともに他端部でバルブの内部の放電空間に連通してなる管状部の内側にアマルガム収納容器が配置される無電極放電灯装置であって、アマルガム収納容器の一部が前記放電空間に突出する形でアマルガム収納容器を支持可能な支持部と、管状部の内側にアマルガム収納容器を支持部に押し当てる弾性体とを設けてなることを特徴とする無電極放電灯装置。
- 前記支持部は、前記管状部と同一の材料からなり且つ前記管状部と連続一体に形成されるものであって、前記管状部の前記他端部から前記放電空間に突出する形で設けられていることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯装置。
- 前記支持部は、前記バルブにおける前記バルブの管軸方向に直交する方向で前記管状部の前記他端部とは前記バルブの管軸を挟んで対向する部位と、前記アマルガム収納容器のうち前記放電空間に突出した部位とに接する形で前記アマルガム収納容器を支持してなることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯装置。
- 前記弾性体は、前記管状部の内側に配置されるとともに、前記管状部の管軸方向において前記アマルガム収納容器よりも前記放電空間から遠い側に配置されてなることを特徴とする請求項1記載の無電極放電灯装置。
- 前記弾性体は、非金属の材料からなる繊維状部材の集合体あるいは紐状部材の集合体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無電極放電灯装置。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無電極放電灯装置を備えることを特徴とする照明器具。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008263189A JP2010092774A (ja) | 2008-10-09 | 2008-10-09 | 無電極放電灯装置および照明器具 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012223732A (ja) * | 2011-04-21 | 2012-11-15 | Photoscience Japan Corp | 液体処理装置 |
JP2019514158A (ja) * | 2016-03-21 | 2019-05-30 | テスロ ピーティーワイ リミテッド | 複数の構成要素設計および構造を含むランプ |
-
2008
- 2008-10-09 JP JP2008263189A patent/JP2010092774A/ja not_active Withdrawn
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