JP2010091928A - フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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英昭 新田
Atsushi Sasaki
敦史 佐々木
Yukinori Ikeda
幸紀 池田
Shoichi Maekawa
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Abstract

【課題】位相差フィルムとして好適な熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いて、ロール幅方向に遅相軸を有しかつNzが低いフィルムを工業的に経済性よく提供する。
【解決手段】熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなり、波長589nmにおけるフィルム面内の位相差R(589)および下記式(I)で定義されるNzが下記式(a)および(b)の範囲を満足し、かつフィルム厚みが25〜100μmの範囲にあることを特徴とするフィルム。
50nm<R(589)<120nm ・・・(a)
1.05<Nz<1.35 ・・・(b)
Nz=(n−n)/(n−n) ・・・(I)
(上記式(I)中、n、n、nはそれぞれフィルムの3次元屈折率であり、nは面内遅相軸(x軸)の屈折率、nは面内方向においてx軸と直交する方向(y軸)の屈折率、nはx軸およびy軸を含む面に垂直な厚み方向(z軸)の屈折率を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルム、特に溶融押し出しした後、延伸することにより特定の複屈折率を有するフィルムに関するものである。本発明のフィルムは、生産性よく偏光板と貼合することが可能であり、例えば液晶表示装置用の位相差フィルムとして好適に用いられる。
昨今、液晶表示装置の進歩は著しく、携帯電話、パソコンモニターといった小型、中型のものだけでなく、テレビ向けの大型サイズまで進出著しい。液晶表示装置には、液晶の色補償、視野角の拡大、コントラストの向上といった表示品位の改善のためポリマーフィルム内に複屈折が発現した位相差フィルムが通常用いられる。その素材として近年注目されているのが、熱可塑性ノルボルネン系樹脂、いわゆるAPOと呼ばれている樹脂である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂とは、脂環族構造を入れて耐熱性を高め非晶性にしたポリオレフィンであり、透明性が高くまた吸水率が低いため寸法安定性に優れるという特徴がある。さらに芳香族成分を含まないため光弾性定数が極めて低いという特徴があり、かかる特徴が液晶表示装置用途に好ましい。
従来、厚み、複屈折が精密に制御された光学フィルムの製造には、溶媒を用いた溶液流延法が主として用いられてきたが、近年コスト、生産性等の観点から溶融押し出し法が盛んに検討されている。
液晶表示装置の位相差フィルムには、液晶モードの種類により様々な種類のものが用いられるが、近年主流となっているのは液晶の垂直配向性を利用するVA(バーティカルアライメント)モードと言われるものである。かかるモードでは垂直配向した液晶の斜め方向の視野角補正に、厚み方向の屈折率が面内方向の屈折率より低い、いわゆる面配向した位相差フィルムが有効に用いられるが、その中でも面内の位相差をR、厚み方向の位相差をRthとすると位相差値が、(i)R/Rth=50nm/120nm程度のものを液晶の上下それぞれに2枚用いるタイプ、(ii)R/Rth=60nm/230nm程度のものを液晶のどちらか一方の側に1枚だけ用いるタイプ、(iii)液晶の一方の側には、面内位相差がほぼ0でかつRthが高いいわゆる完全C−プレートを用い、反対側には一軸性フィルムすなわち、n>n=nとなるいわゆるA−プレートを用いるもの、の3種類に大きく分けられる。
なおここでn、n、nはそれぞれフィルムの3次元屈折率であり、nは面内遅相軸(x軸)の屈折率、nは面内方向においてx軸と直交する方向(y軸)の屈折率、nはx軸およびy軸を含む面に垂直な厚み方向(z軸)の屈折率である。またフィルム厚みをdとして、R=(n−n)×d、Rth={(n+n)/2−n}×dで定義される。
これらのうち上記(iii)の完全C−プレートおよびA−プレートを用いるものは視野角特性に優れているとされているが、A−プレートを効率よく工業的に生産するのが困難であるという問題があった。A−プレートは公知の縦延伸により得ることが可能であるが、この方法では一般にフィルム幅が狭くなり近年大型化が進んでいる液晶テレビ用途に対応するのが困難である。
また(iii)の構成では偏光板と貼合する際、A−プレートの遅相軸と偏光板の透過軸が平行となるように貼合するが、縦延伸で製造した場合は偏光板といわゆるロールtoロールで貼り合わせることが出来ず、バッチ式に貼合することになり生産性に劣ることになってしまう。横延伸であればフィルム幅を広くすることが可能であり、また偏光板とロールtoロールで貼合することが可能となり工業的な面からは好ましいが、一般にA−プレートを製造することは困難である。ロール間で延伸する縦延伸では延伸方向に直交するフィルム幅方向は自由に収縮できるが、横延伸ではフィルムの流れ方向が規制されているため自由に収縮することが出来ず、延伸方向(この場合は幅方向)だけでなく流れ方向にも応力が発生し、屈折率がnx>ny>nzとなるフィルムになりやすい。言い換えればフィルムの複屈折の3次元特性を示すものとして一般に下記式(I)で表されるNzが用いられるが、Nz=1であるA−プレートよりもNz>1になりやすい傾向にある。
Nz=(n−n)/(n−n) ・・・(I)
横延伸にてA−プレートに近い特性を有するフィルムを得る方法はこれまでいくつか検討されている。例えば特許文献1ではポリサルフォン系フィルムを横延伸した後、フィルムの縦方向に熱収縮させる方法が記載されている。また特許文献2では特殊な構造のポリカーボネート系樹脂からなるフィルムを横延伸することによりNzが1に近いフィルムが得られることが報告されている。
しかしながら位相差フィルムとして好適に用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いた場合は、経済性も含めてかかる横延伸フィルムを工業的規模で生産することはこれまで知られていなかった。例えば特許文献1の方法では、特殊な装置が必要であり設備コスト、プロセスコストが大きくなることに加え、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のように位相差が出にくく所定の複屈折を発現させるのに必要な延伸倍率が高い場合には、全幅で熱収縮を均一に行うことが困難である。また従来公知の熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いて通常の横延伸を行った場合は、Nzの高いフィルムとなることが知られている(特許文献2の比較例2、特許文献3の比較例2参照)
特開平06−051116号公報 特開2004−309617号公報 特開2007−223242号公報
本発明は上記のような状況を顧みてなされたものであり、位相差フィルムとして好適な熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いて、ロール幅方向に遅相軸を有しかつNzが低いフィルムを工業的に経済性よく提供することを目的とする。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、構造上大きく2つに分類することが出来る。一つはノルボルネン誘導体等の環状オレフィンをモノマーとして開環重合した後、生成する主鎖の二重結合を水素添加することにより得られるもので、日本ゼオン(株)製の商品名ZEONEX、ZEONOR、JSR(株)製の商品名ARTON等の樹脂がすでに上市されている。もう一つは環状オレフィンをエチレンとビニル型共重合させて得られるものであり、商業化されているものとして三井化学(株)製の商品名APEL、ポリプラスチックス(株)製の商品名TOPAS等がある。本発明者らは、先に従来位相差フィルム用途として知られていなかったエチレンと環状オレフィンとのビニル型共重合体ではある特定の構造を有する場合に位相差発現性に優れ位相差フィルムとして相応しいことを報告している(国際公開第2006/030797号パンフレット参照)。
本発明者らはさらに検討を進め、特定の構造を有するエチレン−環状オレフィン共重合体を用いて、特定の条件にて横延伸を行うことにより、従来では困難と見られていたフィルム幅方向に遅相軸を有する横配向性フィルムでありかつNzが低いフィルムが得られることを見出した。位相差フィルムとして液晶表示装置に用いた場合、偏光フィルムロールとのロールtoロールによる直接貼合が可能であり、また視野角特性が良好である該フィルムを工業的にロール状フィルムとして提供できることを見出し本発明に達した。
すなわち本発明によれば、
1.熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなり、波長589nmにおけるフィルム面内の位相差R(589)および下記式(I)で定義されるNzが下記式(a)および(b)の範囲を満足し、かつフィルム厚みが25〜100μmの範囲にあることを特徴とするフィルム、
50nm<R(589)<120nm ・・・(a)
1.05<Nz<1.35 ・・・(b)
Nz=(n−n)/(n−n) ・・・(I)
(上記式(I)中、n、n、nはそれぞれフィルムの3次元屈折率であり、nは面内遅相軸(x軸)の屈折率、nは面内方向においてx軸と直交する方向(y軸)の屈折率、nはx軸およびy軸を含む面に垂直な厚み方向(z軸)の屈折率を示す。)
2.熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、(i)エチレン単位とノルボルネン単位からなり、(ii)該ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が[メソ型]/[ラセモ型]>4であり、(iii)ガラス転移温度が100℃〜180℃の範囲にある非晶性ポリオレフィン共重合体である前項1記載のフィルム、
3.前項1記載のフィルムをロール状に巻き取ったロール状フィルムであって、かつロール幅方向に面内遅相軸を有するロール状フィルム、
4.ロール状フィルムのフィルム幅が、1000mm〜2000mmの範囲であり、かつロール幅方向にある遅相軸の軸精度がフィルム幅方向に対して、フィルム全幅で±0.7度の範囲内にある前項3記載のロール状フィルム、
5.熱可塑性ノルボルネン系樹脂の溶融押出しフィルムを、連続的にフィルムの幅方向に2.5〜4倍の範囲の倍率で、かつ熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して(Tg+15)℃〜(Tg+30)℃の温度範囲で延伸することを特徴とする前項1記載のフィルムの製造方法、
6.前項1記載のフィルムを、偏光子の少なくとも片面に貼付して得られる偏光板、および
7.前項1記載のフィルムまたは前項6記載の偏光板を用いた液晶表示装置、
が提供される。
以下、本発明について詳述する。
本発明で用いる熱可塑性ノルボルネン系樹脂とは、主鎖が炭素骨格からなるポリオレフィン系樹脂であり、例えばノルボルネン誘導体等の環状オレフィンをモノマーとして開環重合した後、生成する主鎖の二重結合を水素添加することにより得られるものや、エチレンと環状オレフィンとがビニル型重合したものを挙げることが出来る。中でも好ましいものとしてはエチレンとノルボルネンとがビニル型重合した共重合体であり、以下の繰り返し単位(A)および(B)からなるものである。
Figure 2010091928
Figure 2010091928
さらに本発明ではかかるエチレン−ノルボルネン共重合体のガラス転移温度(Tg)が100℃〜180℃の範囲であることが好ましい。Tgが100℃より低いと耐熱安定性に乏しくなるため好ましくなく、一方でTgが180℃より高いとフィルムの靭性の低下する傾向にあり、また樹脂の溶融粘度が高くなりすぎてフィルムの溶融製膜が困難になるため好ましくない。エチレン−ノルボルネン共重合体では繰り返し単位(A)、(B)の組成とガラス転移温度がほぼ相関しており、そのモル比が(A)/(B)=61/39〜40/60の範囲にあることが好ましい。より好ましいガラス転移温度の範囲は120℃〜160℃の範囲であり、モル比(A)/(B)=57/43〜46/54の範囲である。かかる組成は13C−NMR測定により求めることが出来る。
また、本発明で好ましいエチレン−ノルボルネン共重合体には、上記(A)、(B)以外にも本発明の目的を損なわない範囲で他の共重合可能なビニルモノマーからなる繰り返し単位を少量含有していてもよい。かかる他のビニルモノマーとして具体的には、下記構造式(C)で表される環状オレフィン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜18のα−オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテン等のシクロオレフィン等を挙げることが出来る。
Figure 2010091928
[式(c)中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、pは0または1であり、R〜R20は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜12の飽和あるいは不飽和脂肪族炭化水素基であり、また、R17とR18とで、あるいはR19とR20とでアルキリデン基を形成していてもよく、また、R17またはR18と、R19またはR20とが環を形成していてもよく、かつ該環が二重結合を有していてもよい。]
この中で炭素数3〜18のα−オレフィンは共重合の際の分子量調節剤として用いることが出来、中でも1−ヘキセンが好適に用いられる。かかるその他のビニルモノマーは単独であるいは2種類以上組み合わせて用いてもよく、またその繰り返し単位が全体の10モル%以下が好ましく、より好ましくは5モル%以下である。
またかかるエチレン−ノルボルネン共重合体の分子量は、温度30℃、濃度0.5g/dLのシクロヘキサン溶液にて測定した還元粘度ηsp/cで、0.1〜10dL/gの範囲内が好ましく、0.3〜3dL/gであることがより好ましい。還元粘度ηsp/cが0.1より小さいとフィルムが脆くなり好ましくなく、10より大きいと溶融粘度が高くなりすぎてフィルムの溶融製膜が困難となる。
本発明では、かかるエチレン−ノルボルネン共重合体1種類をそのまま用いても良いし、その組成や分子量が異なる共重合体2種類以上をブレンドして用いても良い。ブレンド体の場合には上記の好ましい組成や分子量とは、ブレンド体全体でのことを示す。かかるブレンド体を用いる場合は、相溶性の観点から共重合組成が近いものを用いることが好ましい。組成があまり離れている場合はブレンドにより相分離を起こす可能性があり、製膜時または延伸配向時にフィルムが白化する恐れがある。
一般にエチレン−ノルボルネン共重合体は、重合方法、用いる触媒、組成等によるが、いずれの場合においてもノルボルネン成分の連鎖部位がある程度存在している。ビニル重合タイプのノルボルネン成分の2連鎖部位(以下、NNダイアド)における立体規則性については下記式(D)のメソ型と(E)のラセモ型の2通りの立体異性体があることが知られている。
Figure 2010091928
Figure 2010091928
本発明ではかかる立体規則性に関して、メソ型とラセモ型の存在比率が[メソ型]/[ラセモ型]>4であることが好ましい。より好ましくは[メソ型]/[ラセモ型]>6である。比率の上限については特に制限はなく、高いほど複屈折の発現性には好適であり好ましい。なおここでいうNNダイアド立体異性体の存在比率は、エチレン−ノルボルネン共重合体の立体規則性を解析した報告(Macromol.Rapid Commun.20,279(1999))から13C−NMRで求めることが可能であり、本発明では重オルトジクロロベンゼン溶媒で測定した13C−NMRにおいて、[メソ型]/[ラセモ型]=[13C−NMRスペクトルの28.3ppmのピーク面積]/[13C−NMRスペクトルの29.7ppmのピーク面積]で計算したものを指す。該比率が4以下と小さくなるほど、すなわちラセモ型の割合が多くなるほど複屈折の発現性に劣る樹脂となり、もちろん膜厚を厚くする、延伸倍率を高くする、延伸温度を低くして延伸する等の手段により所望の位相差値を得られる場合もあるが、薄膜化、生産性等の観点から好ましくない。
また13C−NMRによる解析では、全ノルボルネン成分量に対するNNダイアドの存在比率(モル分率)、すなわちノルボルネン成分がどのくらい連鎖構造を形成しているかを求めることも出来、本発明ではおよそ0.1〜0.6の範囲にある。ここでいうモル分率とは、[13C−NMRスペクトルの28.3ppmのピーク面積+13C−NMRスペクトルの29.7ppmのピーク面積]/[全ノルボルネン成分の炭素原子1個分のピーク面積]で計算されるものである。
本発明において好ましいエチレン−ノルボルネン共重合体の合成方法としては、ガラス転移温度およびNNダイアドの立体規則性が上記の好ましい範囲を満足するものならば特に制限されないが、具体的にはメタロセン触媒を用いてエチレンとノルボルネンを共重合する方法を好ましく挙げることが出来る。かかる際に用いるメタロセンは下記式(F)で表される。
Figure 2010091928
[式(F)中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムよりなる群より選ばれる金属であり、R24とR25は同一もしくは異なり、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の飽和あるいは不飽和炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、または炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、R22とR23は同一もしくは異なっていて、中心金属Mと共にサンドイッチ構造を形成することのできる単環状あるいは多環状炭化水素基であり、R21はR22基とR23基を連結するブリッジであって、下記式群から選択される。]
Figure 2010091928
[上記式群中、R26〜R29は同一または異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の飽和あるいは不飽和炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、または炭素数6〜12のアリールオキシ基であるか、あるいはR26とR27またはR28とR29とが環を形成していていもよい。]
配位子であるR22とR23が、同一の場合は中心金属Mに対してC対称性を有し、異なる場合にはC対称性を有するものが好ましい。R22とR23はシクロペンタジエニル基、インデニル基、そのアルキルまたはアリール置換体が好ましく、中心金属Mはジルコニウムであることが触媒活性の面で最も好ましい。R24及びR25は同一または異なっても良いが、炭素数1〜6のアルキル基またはハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。R26〜R29は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基が好ましく、R21としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの低級アルキレン基、イソプロピリデンなどのアルキリデン基、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン、ジフェニルシリレンなどの置換シリレン基を好ましく例示することが出来る。
好ましいメタロセンとして具体的には、イソプロピリデン−(シクロペンタジエニル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン−[(3−メチル)シクロペンタジエニル](1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−(シクロペンタジエニル)(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン−ビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド等を挙げることが出来る。これらは単独で用いても、また2種類以上組み合わせて用いても良い。またメタロセンの助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物であるメチルアルミノキサン、あるいはイオン性ホウ素化合物とアルキルアルミニウム化合物の組み合わせ等、公知のものを用いることが出来る。
かかるメタロセン触媒を使用して、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒を用いた公知の重合方法により目的の共重合体を重合することが出来、得られた共重合体をアルコール等の貧溶媒に再沈して洗浄する、あるいは触媒を吸着剤に吸着させる、なんらかの添加剤を加えて凝集させ析出させる等により溶液から濾別した後溶媒を留去する、等の方法により溶媒から樹脂を単離することが出来る。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂には必要に応じて、イルガノックス1010、1076(チバガイギー製)等の公知の酸化防止剤、滑剤、可塑剤、界面活性化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤を加えてもよい。特に好ましく用いられるエチレン−ノルボルネン共重合体は、溶融押出し時にゲルを生じやすくゲル化防止のため各種添加剤を加えることが好ましい。かかる添加剤としては亜りん酸エステル系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、高級脂肪酸エステル等に代表される滑剤等が好ましく挙げられる。
本発明のフィルムは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂から未延伸フィルムを製造後、延伸することにより得られる。未延伸フィルムは、溶液キャスト法、溶融押し出し法、熱プレス法、カレンダー法等公知の方法にて製膜することが出来る。なかでも溶融押出し法が生産性、経済性の面、また溶媒フリーという環境面からも好ましい。溶融押出し法では、Tダイを用いて樹脂を押し出し冷却ロールに送る方法が好ましく用いられる。押し出し時の樹脂温度としては、該樹脂の流動性、熱安定性等を勘案して決められるが、本発明で好ましいエチレン−ノルボルネン共重合体では220℃〜300℃の範囲で行うことが好ましい。220℃未満では樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ、また300℃を超えると樹脂の分解劣化、ゲル化によりフィルムの透明性、均質性が損なわれる懸念が生じる。より好ましくは230℃〜290℃の範囲である。
本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶液キャスト方法で製膜する場合は、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素系溶媒が好適に用いられる。これらの方法による未延伸フィルムの製膜においては出来るだけ膜厚むらを小さくすることが好ましい。この時点で膜厚むらが大きいとこの後の延伸工程にて得られる位相差フィルムの位相差むらも大きくなってしまう可能性が高いためである。膜厚むらは平均膜厚に対して±5%以下であることが好ましく、より好ましくは±3%以下、さらに好ましくは±2%以下である。未延伸フィルム段階での膜厚は、延伸後の位相差フィルムにおける所望の位相差値、膜厚を勘案して決められるが、好ましくは40〜400μmの範囲であり、より好ましくは60〜300μmの範囲である。
本発明ではかくして得られた未延伸フィルムを横延伸することにより目的のフィルムを得ることが出来る。かかる横延伸の製法としては、ガイドレールに装着されたガイドチェーンに取り付けられたクリップによりフィルム両端を掴み、フィルム送り方向に対して連続的に次第に幅を広げて延伸を行う、いわゆるテンターを用いた通常の横一軸延伸方法を好ましく用いることが出来る。
本発明ではかかる横延伸の際、連続的にフィルムの幅方向に2.5〜4倍の範囲の倍率で、かつ熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して(Tg+15)℃〜(Tg+30)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。
延伸倍率が2.5倍未満では、Nzを下げるのが難しく、一方延伸倍率4倍を超えると延伸フィルムの光軸の制御が難しくまた設備上の制約が大きくなる。またTg+15℃未満の通常フィルムの延伸に用いられる温度条件では目的の位相差値を得るのに延伸倍率を2.5倍以上に上げることが難しく従ってNzを下げにくくなり、またTg+30℃を超えると温度が高すぎて延伸中にフィルムが垂れる傾向が強くなり安定した搬送が難しくなり、また目的の位相差を出しにくくなる。延伸倍率としてより好ましくは2.8〜3.5倍の範囲であり、延伸温度としてより好ましくは(Tg+18)℃〜(Tg+28)℃の範囲である。
本発明のフィルムは、波長589nmにおけるフィルム面内の位相差R(589)、及びNzが下記式(a)および(b)の範囲を満足し、かつフィルム厚みが25〜100μmの範囲にあることを特徴とする。
50nm<R(589)<120nm ・・・(a)
1.05<Nz<1.35 ・・・(b)
Nz=(n−n)/(n−n) ・・・(I)
(上記式(I)中、のn、n、nはそれぞれフィルムの3次元屈折率であり、nは面内遅相軸(x軸)の屈折率、nは面内方向においてx軸と直交する方向(y軸)の屈折率、nはx軸およびy軸を含む面に垂直な厚み方向(z軸)の屈折率である。)
ここでR(589)として、好ましくは70nm<R(589)<120nm、より好ましくは、75nm<R(589)<110nmであり、Nzとして、好ましくは1.05<Nz<1.30、より好ましくは1.05<Nz<1.28である。またフィルム厚みは目的とする位相差特性、取り扱い性、製品厚み等を勘案して決められ、好ましくは35〜85μmである。延伸フィルムの厚みは、延伸前のフィルムの厚みを適時選択することによりコントロールすることが出来る。
フィルムは横延伸後、ロール状に巻き取りフィルム巻層体として得ることが工業的な面からは好ましく、そのフィルム幅が1000mm〜2000mmの範囲にあることが、偏光フィルムとのロールtoロールでの貼合を考慮すると好ましい。より好ましくはフィルム幅が1300mm〜2000mmの範囲である。また巻き長は取り扱い面、生産性の面で決めればよく特に制限はないが、通常10m〜4000mの範囲である。
ロール状に巻き上げる方法としては、(i)広幅フィルムの両端部に狭い幅で機械的または熱的などの方法で凹凸をつけて、それより内部のフィルム面を離間させて擦過を防ぎ巻き取るいわゆるナーリング付与巻き取り、(ii)他の材料の狭幅フィルムと両端部のみを重ね巻きしてそれより内部のフィルム面を擦過から保護する共巻き(または重ね巻き)、(iii)他の高分子フィルムと本発明のフィルムとを全面重ね巻きする方法、(iv)表面に弱粘着層を持ったプロテクトフィルムと本発明のフィルムとを重ね巻きして使用に供する方法等を採用することができる。かかるフィルム表面の保護方法は使用する条件によって好ましい方法を選択することが出来るが、プロテクトフィルムを用いる方法が取り扱い面、生産性、フィルム物性への影響の面から好ましく挙げられる。一般的にはプロテクトフィルムはヤング率の低い、比較的やわらかいフィルムを基材として、表面が弱粘着性を持つように加工されたものが多用されているが、本発明ではこれら汎用的なプロテクトフィルムを用いることが出来る。
本発明におけるロール状フィルムは、その面内の遅相軸(フィルムの屈折率が最も高い方向)が出来る限りロール幅方向、すなわちフィルム幅方向を中心に揃っていることが好ましい。その遅相軸の光軸範囲としてはフィルム全幅でロール幅方向に±0.7度以下であることが好ましく、より好ましくは±0.5度以下、さらに好ましくは±0.3度以下である。該フィルムの遅相軸は横延伸時における各ゾーンの温度、速度、延伸パターン等を厳密に制御することにより揃えることが可能である。
さらに本発明のロール状フィルムは、位相差斑が小さいことが好ましい。フィルム幅方向およびフィルム送り方向それぞれの方向で測定した面内位相差Rの最大値と最小値の差で表される位相差斑が、10nm以下であることが好ましく、より好ましくは6nm以下である。かかる位相差斑は原反である未延伸フィルムの厚み斑をできる限り小さくすること、また横延伸時の温度斑を厳密に制御することにより小さくすることが可能である。
かくして得られた軸及び位相差の揃った本発明のロール状フィルムは、例えば液晶表示装置の位相差フィルムとして用いる場合は、その遅相軸を通常ロール状である偏光板の透過軸、すなわち偏光板ロールの幅方向と合わせていわゆるロールtoロール貼合して積層させることが可能であり、コントラスト、色味等視野角特性に優れたロール状積層偏光板を経済性よく製造することが出来る。
偏光板との積層においては、アクリル酸エステル系の粘着剤や、ポリビニルアルコール系、アクリル系、イソシアネート系、ウレタン系等の接着剤等公知のものを用いて偏光板に粘着する、あるいは保護フィルムを兼ねて偏光子であるヨウ素含有ポリビニルアルコール系フィルムと直接接着することも可能である。また本発明のフィルム上にコーティング等にて液晶等の低分子化合物を塗布して新たな位相差フィルムとして用いることも出来る。
これらの位相差フィルムや偏光板を組み込んだ垂直配向モードの液晶表示素子では、正面からだけでなく斜めから見たコントラストや色調が良好であり、広い視野角が得られる。
本発明により、横配向しかつNzの低い熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルムをロール状で提供することが出来る。該フィルムは、例えば偏光板ロールとの直接貼合が可能な位相差フィルムとして液晶表示装置用部材に好適に用いることが出来る。
以下に実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例で行った物性測定は以下の方法で行った。
(1)ガラス転移温度(Tg):TAInstruments製 2920型DSCを使用し、昇温速度20℃/分で測定し、変曲点を求めた。
(2)樹脂の分子量:濃度1.2g/dLのシクロヘキサン溶液での、30℃における還元粘度ηsp/c(dL/g)を測定した。
(3)樹脂の13C−NMR測定:日本電子製JNM−α400型のNMR装置を使用した。重オルトジクロロベンゼン溶媒に溶解し、温度100℃で測定した。化学シフトの基準としてテトラメチルシランを用いた。定量のため、150MHz 13C−NMRスペクトルを逆ゲーテッドデカップリングモードで測定した。
(4)フィルムの全光線透過率およびヘイズ値:日本電色工業(株)製濁度計NDH−2000型を用いて測定した。
(5)フィルムの位相差:王子計測機器(株)製位相差測定装置KOBRA−WFDを使用し、光線波長589nmで測定した。
面内位相差値Rおよび厚み方向の位相差値Rthは、フィルム幅方向に対する中央部(センター)を測定した。その際フィルムの平均屈折率が必要となるが、別にアッベ屈折計((株)アタゴ社製商品名「アッベ屈折計2−T」を用いて測定した。
フィルム全幅方向の特性は、フィルム幅方向に測定間隔10mmピッチで連続的に測定し、位相差の最大値−最小値を位相差斑、全幅における遅相軸のフィルム幅方向からのずれの最大角度αを、遅相軸範囲±αとした。
(6)フィルムの厚み:アンリツ社製の電子マイクロ膜厚計で測定した。
(7)フィルムの光弾性定数:日本分光(株)製分光エリプソメーターM220にて測定した。測定波長550nmにてフィルムに応力を与えたときの位相差値の変化から算出した。
[実施例1]
ポリプラスチックス(株)社製の商品名TOPASはメタロセン触媒でエチレンとノルボルネンを共重合したシクロオレフィンコポリマーである。そのグレード6013の樹脂ペレットのガラス転位温度(Tg)は138℃であった。また13C−NMR測定から、ノルボルネン成分の連鎖部位の立体構造について、[メソ型]/[ラセモ型]=0.36/0.04=9と求められ、また全ノルボルネン成分量に対するNNダイアドの存在比率(モル分率)は0.40であった。またエチレン成分(A)とノルボルネン成分(B)のモル比は(A)/(B)=50/50であった。分子量は還元粘度ηsp/cで0.80dL/gであった。
該ペレットを100℃で4時間乾燥後、粉末のトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.1重量%添加してドライブレンドした。このブレンド物を直径40mmの単軸押し出し機、公称径10μmのメタルファイバーからなるリーフディスクフィルターを用い、スクリュー温度280℃で幅650mmのTダイから溶融押し出しして、製膜速度3.2m/分で温度130℃の冷却ドラムを経て片面にポリエチレン製のプロテクトフィルムをつけてエッジカット後、連続的に巻き取ることにより幅560mmの溶融押し出しフィルムの巻層体を得た。該フィルムは透明性に優れ、また外観ではゆず肌、異物等も観察されず表面性、均質性も良好であった。厚みはフィルム幅方向、フィルム送り方向とも210±2μmの範囲内であり厚み斑の小さいフィルムであった。フィルムのTgは137℃、全光線透過率は91.6%、ヘイズは0.2%であった。このフィルムの光弾性定数を求めたところ−6.1×10−12Pa−1であった。
かくして得られた未延伸フィルムの巻層体を、予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンの3ゾーンからなり、合計12mの長さのテンター横延伸機を用いて横延伸を行った。延伸速度10m/分、予熱ゾーンおよび延伸ゾーンの温度160℃、熱固定ゾーンの温度145℃で3.0倍横延伸し、片面にポリエチレン製のプロテクトフィルムをつけてエッジカット後、連続的に巻き取ることにより幅1330mmのフィルム巻層体を得た。フィルムの厚み、位相差および幅方向の光学特性を表1に示した。フィルム全幅にわたって遅相軸がフィルムの幅方向に揃い、また位相差斑の小さいフィルムが得られた。
[実施例2]
実施例1で得られた厚み210μmの未延伸フィルムの巻層体を用い、延伸速度を8mに変更した他は実施例1と同様にして横延伸を行い、幅1330mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。フィルム全幅にわたって遅相軸がフィルムの幅方向に揃い、また位相差斑の小さいフィルムが得られた。
[実施例3]
実施例1で得られた厚み210μmの未延伸フィルムの巻層体を用い、横延伸倍率を3.2倍に変更した他は実施例1と同様にして横延伸を行い、幅1500mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。フィルム全幅にわたって遅相軸がフィルムの幅方向に揃い、また位相差斑の小さいフィルムが得られた。
[実施例4]
実施例1の製膜において製膜速度を5.2mに変更した他は実施例1と同様にして製膜し、厚みがフィルム幅方向、フィルム送り方向とも130±2μmの範囲内であるフィルム幅560mmのフィルム巻層体を得た。かかる厚み130μmの未延伸フィルムの巻層体を用い、延伸温度、倍率、延伸速度を実施例1と同様にして横延伸を行い、幅1330mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。フィルム全幅にわたって遅相軸がフィルムの幅方向に揃い、また位相差斑の小さいフィルムが得られた。
[実施例5]
実施例4で得られた厚み130μmの未延伸フィルムの巻層体を用い、横延伸倍率を2.8倍に変更した他は実施例4と同様にして横延伸を行い、幅1250mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。フィルム全幅にわたって遅相軸がフィルムの幅方向に揃い、また位相差斑の小さいフィルムが得られた。
[実施例6]
実施例4で得られた厚み130μmの未延伸フィルムの巻層体を用い、予熱ゾーンおよび延伸ゾーンの温度を157℃、横延伸倍率を3.1倍に変更した他は実施例4と同様にして横延伸を行い、幅1330mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。フィルム全幅にわたって遅相軸がフィルムの幅方向に揃い、また位相差斑の小さいフィルムが得られた。
[比較例1]
実施例4で得られた厚み130μm、幅560mmの未延伸フィルムの巻層体を用い、延伸速度10m/分、予熱ゾーンおよび延伸ゾーンの温度145℃、熱固定ゾーンの温度135℃で1.5倍横延伸し、片面にポリエチレン製のプロテクトフィルムをつけてエッジカット後、連続的に巻き取ることにより幅500mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。実施例で得られたフィルムに比べてRthの値が高い、すなわちNzの高いフィルムであった。
[比較例2]
実施例4で得られた厚み130μm、幅560mmの未延伸フィルムの巻層体を用い、予熱ゾーンおよび延伸ゾーンの温度150℃、熱固定ゾーンの温度140℃で2.0倍横延伸する他は比較例1と同様にして横延伸を行い、幅750mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。実施例で得られたフィルムに比べてRthの値が高い、すなわちNzの高いフィルムであった。
[比較例3]
実施例4で得られた厚み130μm、幅560mmの未延伸フィルムの巻層体を用い、延伸倍率を2.5倍とした他は比較例1と同様にして横延伸を行い、幅1000mmのフィルム巻層体を得た。フィルム特性を表1に示した。実施例で得られたフィルムに比べてNzは同様に低いものの、面内位相差Rが高いフィルムであった。
[実施例7および比較例4]
実施例3および比較例1で得られた延伸フィルムについて、市販のVA型液晶テレビを用いて視野角特性を比較した。片面をTACで保護された偏光子のTAC層のない反対側面に、延伸フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸が重なるようにウレタン系接着剤を用いて延伸フィルムを積層させた。一方、両面をTACで保護された偏光子の片面のTAC上に、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルから合成されたポリイミド溶液をコーティングすることにより厚み5μmのポリイミド複屈折層を作成した。かかる偏光板を市販のVA型液晶テレビから取り出した液晶セルの上下にそれぞれ偏光板の複屈折層または延伸フィルムがあるほうをセル側に向けて配置し、目視にて観察したところ、実施例3のフィルムを用いた場合は、比較例1のフィルムの場合と比べて斜め方向から見たコントラストが高く、明らかに視野角特性に優れていた。
Figure 2010091928

Claims (7)

  1. 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなり、波長589nmにおけるフィルム面内の位相差R(589)および下記式(I)で定義されるNzが下記式(a)および(b)の範囲を満足し、かつフィルム厚みが25〜100μmの範囲にあることを特徴とするフィルム。
    50nm<R(589)<120nm ・・・(a)
    1.05<Nz<1.35 ・・・(b)
    Nz=(n−n)/(n−n) ・・・(I)
    (上記式(I)中、n、n、nはそれぞれフィルムの3次元屈折率であり、nは面内遅相軸(x軸)の屈折率、nは面内方向においてx軸と直交する方向(y軸)の屈折率、nはx軸およびy軸を含む面に垂直な厚み方向(z軸)の屈折率を示す。)
  2. 熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、(i)エチレン単位とノルボルネン単位からなり、(ii)該ノルボルネン単位の2連鎖部位(ダイアド)の立体規則性に関してメソ型とラセモ型の存在比率が[メソ型]/[ラセモ型]>4であり、(iii)ガラス転移温度が100℃〜180℃の範囲にある非晶性ポリオレフィン共重合体である請求項1記載のフィルム。
  3. 請求項1記載のフィルムをロール状に巻き取ったロール状フィルムであって、かつロール幅方向に面内遅相軸を有するロール状フィルム。
  4. ロール状フィルムのフィルム幅が、1000mm〜2000mmの範囲であり、かつロール幅方向にある遅相軸の軸精度がフィルム幅方向に対して、フィルム全幅で±0.7度の範囲内にある請求項3記載のロール状フィルム。
  5. 熱可塑性ノルボルネン系樹脂の溶融押出しフィルムを、連続的にフィルムの幅方向に2.5〜4倍の範囲の倍率で、かつ熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して(Tg+15)℃〜(Tg+30)℃の温度範囲で延伸することを特徴とする請求項1記載のフィルムの製造方法。
  6. 請求項1記載のフィルムを、偏光子の少なくとも片面に貼付して得られる偏光板。
  7. 請求項1記載のフィルムまたは請求項6記載の偏光板を用いた液晶表示装置。
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