過去、我々はトナーの球形度をコントロールする目的において、熱処理装置に関する研究を進めた結果、熱処理装置の生産性を上げる為には、トナー粒子間で発生する、固着や融着と言った合一現象を抑制することが重要である。更に、処理前のトナー自体を均一に分散すること、装置内の温度分布をコントロールすることが熱処理装置には重要であるとして、最適装置構成を提案してきた。
今回、我々は実際に装置がトナー製造ラインに導入された場合の稼動状況を想定し、実際に起こりうる稼動、停止の繰り返しが発生した場合の品質、装置の安定性に着目し次の結果を得た。
該熱処理システムは、原料定量供給手段から排出された原料を原料供給手段に搬送する搬送手段、熱処理装置内に原料を供給するための原料供給手段、及び熱処理装置を有し、
前記熱処理装置は、供給された原料を熱処理するための熱風を供給する熱風供給手段を有し、前記熱風供給手段は、前記原料供給手段の外周面の隣接あるいは水平方向に対して距離を隔てた位置に環状に設けられ、
前記原料供給手段の出口から排出される原料が、前記熱風供給手段から供給される熱風に向けて排出されるように、前記原料供給手段が構成されており、
前記搬送手段が、連続的に圧縮気体を導入する第一圧縮気体供給手段と、断続的に圧縮気体を導入する第二圧縮気体供給手段を少なくとも具備することが重要である。
次に、本発明においてその目的を達成するに好ましい装置の構成を以下に詳述する。
まず、本装置を導入した場合のフローに関して説明する。図1は本発明による、熱処理装置を導入した場合の1つの例を示したフロー図である。
原料ストッカー(1)にはその処理の目的に応じ、種々の製法で作製されたトナー粒子またはトナーが入れられ、定量供給機(2)により、搬送システム(3)を介して熱処理装置(4)へ導入する為、粉体導入管へ供給される。この時、搬送システム(3)には気流供給機(5)から導入された圧縮エアーがエジェクタ(6)から連続的に供給され、且つ、エジェクタ(7)から断続的に供給される。圧縮エアーにより加速されたトナー粒子またはトナーは粉体導入管出口より、装置内へ分散される。図2及び図3はエジェクタ(6)とエジェクタ(7)の配置を模式した図である。図2のように定量供給機(2)に近接する形でエジェクタ(6)とエジェクタ(7)を配置してもかまわないが、好ましくは図3のように定量供給機(2)に近接してエジェクタ(6)を配置し、搬送システムの移送管途中にエジェクタ(7)を配置することが良い。特に移送距離が長くなる時や装置レイアウト上、移送管を立ち上げたり、立ち下げたりする場合、方向転換する場合にはその部分に配置することで移送される粉体をスムーズに流す効果も生まれる。
導入される圧縮エアーの温度はトナーTg以下、好ましくはTgマイナス10℃以下、更に好ましくはTgマイナス20℃以下である。圧縮エアーの温度がトナーのTgよりも高いと、粉体導入管および出口、装置内等で熱による凝集や融着が起こり、装置の安定性に問題が生じる場合がある。
更に、必要に応じて、圧縮エアーはN2ガス等の不活性ガスへ変更することもできる。
分散されたトナー粒子またはトナーは気流供給機(8)から供給される熱風により熱処理される。
導入される熱風の温度は100℃以上450℃以下に調整可能であり、トナー処方に応じて随時、設定変更することが出来る。熱風の温度を100℃未満とすることは、装置的には可能であるが、熱処理の均一性や生産性の面で問題が発生する場合がある。また、熱風の温度を450℃超えとする場合には、熱風発生装置自体の大型化や、処理時のトナー粒子またはトナーが受ける熱エネルギーを調整することが困難となる。また、同様に装置内の温度コントロールが十分に行えず、融着現象が発生する場合がある。
熱風により加熱されたトナーまたはトナー粒子は気流供給機(9)から供給される冷風により任意の熱エネルギーを受けられるように調整された後、回収装置(10)へ吸引輸送される。
この時、冷風は熱風の外周に円環状に供給される。更に、必要に応じて、トナーの製造装置中央部の周方向から第二の冷風を供給しても良い。この時、冷風は除湿された圧縮エアーまたはN2ガスを用いることが出来る。また、冷風は他に装置内に導入される気流との相互作用により、最適な装置内温度分布を構成する目的から、温度は−100℃以上60℃以下であることが好ましく、更に好ましくは−20℃以上20℃以下である。温度自体が高すぎても、低すぎても、熱処理に過剰なエネルギーが必要な場合があり、更に、処理自体が不均一になる場合がある。
回収装置(9)では、目的とする粉体を製品ストッカー(10)へ回収装置(9)下部に設けた配管及び、またはダンパー、ダブルダンパー、ロータリーバルブ等を介して回収される。回収装置で回収されなかった粉体はバグ(11)に設けた濾布等により回収され、バグストッカー(12)へ集められる。集まられたバグ粉体は再利用が可能である。
更に、装置内における分散状態の改善を目的として、粉体供給管へ気流供給機(8)または気流供給機(15)から粉体導入管へ圧縮エアーまたはN2ガスを供給することもできる。
つぎに、本発明で用いた熱処理装置について説明する。図4は本発明による、熱処理装置の一例を示した断面図である。装置外周は最大径が500mm、下部移送配管底面から天板(粉体導入管出口)までの高さがおよそ1500mm、装置下部の排出管へ向かうコーン部角度70°で設計されている。
本体の外周及び粉体導入管は冷却ジャケット(104)が設けられている、図5及び図6は粉体導入管の一例である。図5の粉体導入管は、搬送システムから送られたトナー粒子またはトナーを受け取り側開口径Φ45mm、出口側(装置内噴射側)開口径Φ15mm、長さ450mmで設計されている。図6の粉体導入管は受け取り側開口径Φ45mm、出口側(装置内噴射側)開口径Φ45mm、長さ450mmで設計され、内部に拡散エアー導入管Φ18mmを具備し、下部にΦ1mmの穴を複数持つ円錐板が取り付けられている。また、冷却ジャケットを含む粉体導入管は外径Φ100mmで設計されている。該粉体導入管は、本体天板上に設けられた断熱層を有するフォルダーに上部から挿入され、Oリング等のパッキンやネジにより所定の位置に固定される。
定量供給機(2)により、搬送システム(3)を介して熱処理装置(4)へ導入する為、粉体導入管(100)へ供給されたトナー粒子またはトナーはエジェクタ(6)から連続的に供給され、且つ、エジェクタ(7)から断続的に供給される圧縮エアーにより加速され粉体導入管(100)出口より、装置内へ分散される。
その後、前記粉体導入管(100)出口の外周面の隣接あるいは水平方向に対して距離を隔てた位置に環状に設けられた熱風導入部(101)から供給される熱風により熱処理される。
図4からもわかる通り、本装置においては粉体導入管(100)出口と熱風導入部(101)の間に冷却ジャケット(104)と断熱材(105)を設けることにより距離を設けている。これは、処理量が増大することで、出口近傍の被処理粉体の濃度が上昇することで合一(粗大粒子の増加)や熱処理自体の不均一化に対して効果がある。
つまり、出口から圧縮エアーで押し出されて粒子が装置内で分散する為の距離と熱処理に必要なエネルギー(熱量)を与える上でバランスが取り易い為である。処理量が少ない場合には分散の為に与える圧縮エアー量も少なく、また、処理に必要な熱風も低温、少量で所望の円形度にコントロールすることが可能である。この為、導入部の位置関係はさほど問題にならない。
しかし、処理量を増加させた場合、同一条件下では出口近傍の粉塵濃度が上昇し、処理に対して不都合が生じる。この対応として圧縮エアー量を増加させ、粉塵濃度を下げた場合、出口近傍に熱風導入部を設けた場合、熱風自体が圧縮エアーの影響を受け、想定した処理位置、温度での球形化処理がなされないこととなる。
この対策として、本装置では供給部出口(100)と熱風導入部(101)の間に、少なくとも20mm、好ましくは50mm以上の間隔を設けるようにしている。こうすることで、供給部出口から噴射されたトナー粒子またはトナーは出口部の高速状態から装置内の気流の流れに沿うように分散された後、熱風による処理が施されるようになる。
熱処理されたトナー粒子またはトナーは熱風導入部(101)の外周に円環状に設けられた冷風導入部(102)及び必要に応じて中央部の周方向に設けた第二の冷風導入部(102)から装置内に導入される冷風によって冷却される。
本装置によりトナー粒子またはトナーを球形化する場合、求める球形度に応じて、各気流(圧縮エアー、熱風、冷風等)の流量と温度をコントロールする。具体的には、例えば円形度を比較的低くしたい場合には、圧縮エアーを多くする。或は、熱風の温度を低くする。または冷風の温度を低くするか、流量を多くすることで調整できる。逆に高円形度、例えば、FPIA3000測定値で0.975以上を得たい場合には、圧縮エアーを少なくする。或は、熱風の温度を高くする。または冷風の温度を高くするか、流量を少なくすることで調整できる。
つぎに、本装置の特徴である搬送システム(3)について説明する。本システムの本来の目的は、定量供給機(2)から排出されたトナー粒子またはトナーを熱処理装置内へ移送する際、装置が稼動、停止を繰り返した場合でも安定した熱処理を達成させる為のものである。搬送に関しては、移送管内をトナー粒子またはトナーと圧縮エアー(場合によりN2ガス)が混ざりながら移動する。この時、装置出口での粉体速度を考慮して、配管径はある程度、小さく設計される。具体的には、供給部出口径同等か供給部入り口径同等である。
また、通常の装置の稼動に対しては、排気側装置(本件ではブロワ)から稼動し、順次他の付帯設備を稼動させた後、トナー粒子またはトナーの定量供給機を作動させる。
更に、停止時においては、トナー粒子またはトナーの定量供給機を停止した後、順次他の付帯設備を停止させ、最後に排気側装置(本件ではブロワ)を停止させる。
上述のように、定量供給機の稼動、停止順を考えた場合、再稼動時には、配管からブロワ吸引により出口側に引かれたトナー粒子またはトナーが蓄積している場合がある。更に、停止時間が長くなった場合には装置内の温度の影響を受け、熱凝集したり、融着したりすることも考えられる。この対策として、停止時の圧縮エアー断をブロワ停止直前まで遅らせる事で、配管内に残留する、トナー粒子またはトナーを強制的に排出方法が考えられる。しかし、この方法では稼動時には、初期に供給された、トナー粒子またはトナーが配管内に付着することで、装置内に供給される量は減少する。この為、想定している処理条件では過剰な球形化処理をされることとなる。また、停止後に強制的に配管内の残留する、トナー粒子またはトナーを装置内に供給した場合も同様である。
そこで、本搬送システム(3)では、トナー粒子またはトナーの搬送と分散を目的とした気流供給機(5)から連続的に導入される圧縮エアーと、配管内及び供給部出口近傍に残留するトナー粒子またはトナーを稼動中装置内に排出することを目的とした断続的に供給される圧縮エアーを具備する。
断続的に供給される圧縮エアーは、電磁弁等でON/OFFが任意に設定される。残留するトナー粒子またはトナーを稼動中装置内に排出することに効果的な設定としては、例えば、ONを0.1秒OFFを0.1秒やONを1秒OFFを1秒など、装置スケールや処理量に応じて調整する。
この時、断続供給される気体流量A(m3/min)と連続供給される気体流量B(m3/min)が以下の式(1)の関係である事が好ましい。
式(1) 0.1B≦A≦0.9B
断続供給される気体流量(圧縮エアー量)Aが0.1B未満となる場合、本来の目的である残留物の排出が不十分になる場合がある。また、断続供給される圧縮エアー量Aが0.9B超となる場合、本来の目的である残留物の排出に対しては問題は無いが、出口部での粉塵濃度の変動が大きくなることで処理が不均一化したり、円形度の調整が困難となる場合がある。
つぎに、本発明の効果をより発揮し易い熱処理装置の概略を図7を用いて説明する。
粉体導入管(201)に供給されたトナー粒子またはトナーは、圧縮エアーにより加速され、粉体導入管(201)出口部に設けられた、第1のノズル(202)と第2のノズル(203)とで形成される空間を通過して、装置内において径方向外側に向けて環状に噴射される。更に粉体導入管(201)内部には、管状部材1(204)及び管状部材2(205)が設けられ、各々の内部にも圧縮エアーが供給される。管状部材1(204)内を通過した圧縮エアーは、第1ノズル(202)と第2ノズル(203)とで形成される空間を通過する。管状部材2(205)は、第2ノズル(203)を貫通し、第2ノズル(203)内側において、管状部材2(205)出口部より第2ノズル(203)内面に向けて圧縮エアーが噴射される。
本装置において、粉体導入管(201)の外側には、環状に熱風導入部(206)が設けられ、更にその外側及び下流側には、熱処理されたトナー粒子またはトナーを冷却、更には装置内の温度上昇によりトナー粒子の合一、融着を防止するための冷風導入部1(207)、2(208)及び3(209)が設けられている。
更に、該冷風導入部1(207)、2(208)及び3(209)は個々に複数個に分割されている事が好ましい。本装置(図7)では、各々が4分割されて、装置内に冷風を導入するようになっている。こうすることにより、装置内の気流の流れや温度分布のズレを各導入量を調整することで微調整が可能となる。
熱風導入部(206)は、水平方向において粉体導入管(201)の外周部に対して距離を隔てた位置に環状に設けられている。これは第1及び第2ノズルの出口部分が、供給される熱風によって熱せられ、出口部分から噴射されるトナー粒子が溶融、付着するのを防ぐためである。
本発明の装置において粉体導入管(201)出口部に設けられた第1ノズル(202)の下流端は、熱風導入部(206)下流端よりも下方若しくは同じに位置するのがより望ましい。
これは装置内に噴射されたトナー粒子またはトナーが、第1ノズル(202)及び第2ノズル(203)出口部において乱流を発生し、装置上部へと巻き上がる流れとなり、熱風供給部(206)より供給される熱によりトナー粒子が溶融した際に装置上部に滞留しやすくなり、熱処理されたトナー粒子が長く存在し、合一しやすい状態をつくりだしてしまうためである。加えて巻き上がる流れにのった溶融したトナー粒子が装置上面に付着した場合、融着につながることも懸念される。
加えて第1ノズル(202)の下流端と第2ノズル(203)の下流端の位置においては、鉛直方向で同じ若しくは、第2ノズル(203)の方が下流側に位置することがより望ましい。
これは第1ノズル(202)の方が上流側に位置した場合、圧縮エアーにより搬送されたトナー粒子またはトナーが、第1ノズル(202)及び第2ノズル(203)により形成される空間を通過する際に熱風に向けて環状に噴射される状態が小さく、供給される熱風を通過するトナー粒子が減っていくことが挙げられる。逆に第2ノズル(203)が第1ノズル(202)よりも下方に位置すると、第1ノズル(202)及び第2ノズル(203)で形成される空間の出口部分は装置外側に向いており、熱風に向けてトナー粒子がより噴射されやすくなるため、十分に熱処理され円形度が高くなる傾向となる。
装置内に噴射されたトナー粒子またはトナーは、熱風供給部(206)より供給された熱風に向けて噴射され熱処理されることで球形化される。
また粉体導入管(201)と第1ノズル(202)とは一体的に構成され、かつジャケット化されることで冷却効率を高めることができる。粉体導入管(201)上流から第1ノズル(202)に至る経路において、粉体導入管(201)上流端の径よりも第1ノズル(202)に接続する部分の径の方が小さく設計されている。いわゆるテーパー形状となっていることがより好ましい。これは供給されたトナー粒子またはトナーが、一度第1ノズル(202)入り口において、流速が加速されるため、よりトナー粒子またはトナーの分散を補助することが可能となるためである。
熱処理されたトナー粒子またはトナーは、冷風供給部1(207)から導入される冷風によって冷却される。この時、装置内の温度管理、トナー粒子の表面状態をコントロールする目的で、装置の本体側面に設けた冷風供給部2(208)から冷風を導入しても良い。冷風供給手段2(208)の出口部はスリット形状、ルーバー形状、多孔板形状、メッシュ形状等を用いることができ、導入方向は中心方向へ水平、装置壁面に沿う方向か、目的に応じて選択可能である。
本発明の装置には、冷却されたトナー粒子またはトナーが回収手段(210)に移送されるのを補助するため及び回収手段を冷却するための気流導入部(209)が設けられている。
回収手段(210)の下流側にはブロワ(不図示)が設けられ、ブロワにより吸引搬送される構成となっている。
次に粉体導入管について、図8を用いて説明する。
図8は本発明による粉体導入部(201)及び各ノズル(202、203)の一例を示した部分断面斜視図である。
図8に示す通り、粉体導入部(201)は筒状であり、出口部において第1ノズル(202)を有する構造を取っている。粉体導入部(201)の上流側から第1ノズル(202)に至る経路は、原料供給方向の上流から下流に向かってテーパー状に絞られた形状となっている。更に粉体導入部(201)は全体がジャケット化されており、冷却機構も具備する。
第1ノズル(202)の内側には第2ノズル(203)が設けられている。
粉体導入部(201)軸中心部には、管状部材1(204)が設けられ、管状部材1(204)の下端は第2ノズル(203)の上端部より上方まで設けられた構成となっており、管状部材1(204)内には圧縮エアーが導入され、第2ノズル(203)の外面に向けて圧縮エアーが噴射される。噴射された圧縮エアーにより、第1ノズル(202)と第2ノズル(203)とで形成される空間を通過したトナー粒子は加速されかつより分散され装置内に噴射される。
更に管状部材1(204)の内側には管状部材2(205)が設けられ、管状部材2(205)は第2ノズル(203)と接続する。管状部材2(205)は第2ノズル(203)を貫通し、内面まで達しており、下流端において、第2ノズル(203)内面に向けて圧縮エアーを噴射するノズル(211)が具備される。第1ノズル(202)と第2ノズル(203)とからなる空間から噴射されたトナー粒子またはトナーが、その出口部において第2ノズル(203)内面に向かって巻き上がる流れに対して圧縮エアーを噴射することで、より外側へのトナー粒子またはトナーの流れを促す効果がある。該ノズルとしてはスピニングノズルやスプレーノズ(いずれもスプレーイングシステムジャパン(株)製)等が用いられる。
上述のような装置構成とした場合、装置内へトナー粒子またはトナーを分散して噴射することには優れるが、圧縮エアー量と処理量及び分散の効果をより発揮させる為には第1ノズル(202)と第2ノズル(203)の間隔を狭めたほうが良い場合がある。この場合、特に本発明で指摘している通り、装置の稼動、停止から再稼動時の安定性を高める効果が発揮される。
本発明の重量平均径(D4)が4μm以上12μm以下のトナーの製造方法としては、一般的な製造装置を用いて、微粉砕または分級、外添されたトナー粒子またはトナーを本熱処理システムにて処理し、所望の円形度及び粒子径が得られれば、特に限定するものではない。重量平均径(D4)が4μm未満のトナー粒子またはトナーを処理する場合、処理量と装置稼動条件のバランス取りが困難な場合がある。また、重量平均径(D4)が12μm超えのトナー粒子またはトナーを処理する場合も同様である。
具体的には、結着樹脂や着色剤、荷電制御剤、又はその他の添加剤として離型剤等を加えて、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーにより乾式混合し、加圧ニーダー、バンバリィミキサーや、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製二軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等を用いて溶融混練した後、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。冷却された固化物はクラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、得られた粗粉砕物をジェットミル、ミクロンジェット、IDS型ミル等の衝突式気流粉砕機又はクリプトロン、ターボミル、イノマイザー等の機械式粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕品を気流式分級機等を用いて所望の粒度分布を有する、トナー粒子を得た後、流動化剤や研磨剤等の微粉体を外添混合することで本発明のトナーを得ることが出来る。
尚、本発明の熱球形化装置を用いた球形化工程は上記粉砕後または分級後であっても良いし、外添後でも良い。但し、分級処理により微粉量を調整した後、熱処理装置により処理することで更に処理の均一化が図れるため、好ましくは、熱処理装置による処理前に微粉除去を目的とした分級をし、処理後に粗粒除去を目的とした分級(篩い分け等での対応も可)を行なう方が良い。
次に、本発明においてその目的を達成するに好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
本発明に用いられる結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもビニル系樹脂とポリエステル系樹脂が帯電性や定着性でより好ましい。特にポリエステル系樹脂を用いた場合には本装置の導入による効果は大きい。
本発明において、ビニル系モノマーの単重合体または共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、必要に応じて前述した結着樹脂に混合して用いることができる。
2種以上の樹脂を混合して、結着樹脂として用いる場合、より好ましい形態としては分子量の異なるものを適当な割合で混合するのが好ましい。
結着樹脂のガラス転移温度は好ましくは45乃至80℃、より好ましくは55乃至70℃であり、数平均分子量(Mn)は2,500乃至50,000、重量平均分子量(Mw)は10,000乃至1,000,000であることが好ましい。
結着樹脂としては以下に示すポリエステル樹脂も好ましい。
ポリエステル樹脂は、全成分中45乃至55mol%がアルコール成分であり、55乃至45mol%が酸成分である。
ポリエステル樹脂の酸価は好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下であり、OH価は好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下であることが良い。これは、分子鎖の末端基数が増えるとトナーの帯電特性において環境依存性が大きくなる為である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は好ましくは50乃至75℃、より好ましくは55乃至65℃であり、さらに数平均分子量(Mn)は好ましくは1,500乃至50,000、より好ましくは2,000乃至20,000であり、重量平均分子量(Mw)は好ましくは6,000乃至100,000、より好ましくは10,000乃至90,000であることが良い。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらは結着樹脂100質量部に対して、磁性体20乃至150質量部、好ましくは50乃至130質量部、更に好ましくは60乃至120質量部使用するのが良い。
本発明で使用される非磁性の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調整したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色顔料しては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
着色剤には、顔料単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点から好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの如きの塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチルを1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191;C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
また、上記トナーにおいて、結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることが出来る。
結着樹脂に着色剤を混合し、マスターバッチ化させる場合は、多量の着色剤を用いても着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における着色剤の分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることが出来る。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが可能となる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1乃至30質量部であり、より好ましくは0.5乃至20質量部であり、最も好ましくは3乃至15質量部である。
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.5乃至10質量部使用するのが好ましい。0.5質量部未満となる場合には、十分な帯電特性が得られない場合があり好ましくなく、10質量部を超える場合には、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりする場合があり好ましくない。
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤として、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御する正荷電性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのキレート顔料として、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等)、高級脂肪酸の金属塩として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキシド等のジオルガノスズオキサイドやジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが挙げられる。
本発明において、必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させてもかまわない。離型剤としては次のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1乃至20質量部、好ましくは0.5乃至10質量部が好ましい。
また、該離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、65乃至130℃であることが好ましい。より好ましくは80乃至125℃であることがよい。融点が65℃未満の場合は、トナーの粘度が低下し、感光体へのトナー付着が発生しやすくなり、融点が130℃超の場合は、低温定着性が悪化してしまう場合があり好ましくない。
本発明のトナーには、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得る微粉体を流動性向上剤として用いてもかまわない。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ等をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施し、疎水化処理したものであり、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30乃至80の範囲の値を示すように処理したものが特に好ましい。
流動化剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。
本発明のトナーには、研摩効果に加え、帯電性付与性及び流動性付与、クリーニング助剤として、上述以外の無機微粉体を添加しても良い。無機微粉体は、トナー粒子に外添することにより、添加前後を比較するとより効果が増加し得るものである。本発明に用いられる無機微粉体としては、マグネシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、ストロンチウム、セリウム、カルシウム、バリウム等のチタン酸塩及び/又はケイ酸塩が挙げられる。
本発明における無機微粒子は、トナー100質量部に対して、0.1乃至10質量部、好ましくは0.2乃至8質量部用いるのが良い。
本発明のトナーは、磁性一成分、非磁性一成分、キヤリアと混合使用する二成分に用いることが出来るが、より本発明の効果を発揮させる為には、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
次に、以下の実施例中で測定した各種物性データの測定方法に関して以下に説明する。
(1)粒度分布の測定
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールター・カウンターのマルチサイザーを用いて行った。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<微粉量の算出方法>
トナー中の個数基準の微粉量(個数%)は、以下のようにして算出する。
例えば、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%は、前記のMultisizer 3の測定を行なった後、(1)専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とし、(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「<」にチェック、その下の粒径入力部に「4」を入力する。そして、(3)分析/個数統計値(算術平均)画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
<粗粉量の算出方法>
トナー中の体積基準の粗粉量(体積%)は、以下のようにして算出する。
例えば、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%は、前記のMultisizer 3の測定を行なった後、
(1)専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とし、(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「>」にチェック、その下の粒径入力部に「10」を入力する。そして、(3)分析/体積統計値(算術平均)画面を表示したときの「>10μm」表示部の数値が、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%である。
(2)トナー粒子の平均円形度の測定
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.05ml加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
(3)ワックスの融点測定
示差熱分析測定装置(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。測定はASTM D3418−82に準じておこなう。測定試料2乃至10mgを精秤してアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度30乃至200℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。この吸熱メインピークの温度をもってワックスの融点とする。
(4)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は5乃至20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40乃至100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
(5)結着樹脂及の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料をTHFに溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05乃至0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50乃至200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
(6)樹脂の酸価の測定
結着樹脂の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
(1)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2乃至3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作 試料1乃至20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
[A:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g) ]
(7)結着樹脂の水酸基価の測定
結着樹脂の「水酸基価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS=K0070に準ずる。
試料1gを規定の方法によってアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価といい、つぎの試薬、操作および計算式によって試験を行う。
(1)試薬
(a)アセチル化試薬 無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる(場合によっては、ピリジンを追加しても良い)。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスおよび酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/2水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2乃至3日間放置後ろ過する。標定はJIS K 8006によって行う。
(2)操作
試料0.5乃至2.0gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95乃至100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱をうけて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬としてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定する。なお、本試験と並行して空試験を行う。場合によっては、指示薬としてKOH−THF溶液にしても構わない。
(3)計算式 つぎの式によって水酸基価を算出する。
[A:水酸基価
B:空試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
D:酸価 ]
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(トナーの製造例:T−1)
・結着樹脂(ポリエステル樹脂): 100質量部
(Tg55℃、酸価20mgKOH/g、水酸基価16mgKOH/g、分子量:Mp4 500、Mn2300、Mw38000)
・C.I.ピグメントブルー15:3: 5質量部
・1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物: 0.5質量部
・パラフィンワックス(最大吸熱ピーク温度78℃): 5質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−45型、池貝鉄鋼(株)製)にて60kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は約150℃)した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕した後、機械式粉砕機(T−250:ターボ工業(株)製)にて20kg/hrのFeed量で微粉砕した。
更に得られたトナー微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機により分級することで、テスト用トナー粒子(T−1)を得た。
得られたトナー粒子(T−1)は重量平均粒径(D4)が6.2μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が30.2個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が0.6体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.936、2μm以下粒子含有率が15.1%となった。
<実施例1>
次に、上記トナー粒子(T−1)を、トナーの製造装置である図1のフローにて、図3、図7の構成にて、気流供給機(5)から導入された圧縮エアーがエジェクタ(6)から連続的に1.5m3/min供給され、且つ、移送配管途中に取り付けられたエジェクタ(7)から0.5秒ON、1.0秒OFFの繰り返しで、ON時の流量として0.5m3/min供給するように設定した。この時の圧縮エアーは22℃とした。
第一ノズルの稜線角度α=50°、第二ノズルの稜線角度β=70°、第一ノズルの下端の最外径はΦ77mm、第ニノズルの下端の最外径はΦ71mmとし、第一ノズルの下端と第ニノズルの下端の鉛直距離H1=5mm、第一ノズルの下端と熱風導入部下端の距離H2=10mmとした。更に第二ノズルの内面にはスピニングノズルを装備した。
また、管状部材1の最外径はΦ15mm、管状部材2の最外径はΦ8mmとして、管状部材の下端位置は第二ノズル上部に対してH3=5mmとした。
装置の運転条件を熱風温度240℃、熱風流量4.5m3/min、冷風1、2、3温度3℃、冷風1流量3.0m3/min、冷風2流量1.5m3/min、冷風3流量3.0m3/min、ブロワ風量20.0m3/min、管状部材1内流量0.4m3/min、管状部材2内流量0.2m3/min、装置ジャケットには7℃の冷却水を通した。
上記条件にて、定量供給機をトナー粒子の供給量が15kg/hrとなるように調整後、12分間稼動させた後、供給機を停止した。
製品ストッカーから回収した処理品は2.6kgあり、重量平均粒径(D4)が6.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が28.7個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が3.6体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.976、2μm以下粒子含有率が3.1%だった。
更に、供給機を停止後、6分間の空運転を実施した結果、製品ストッカーから回収した処理品は0.3kgあり、重量平均粒径(D4)が6.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が28.4個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が3.8体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.976、2μm以下粒子含有率が2.9%だった。
次に供給機を再度稼動させ、3分間稼動させた後、供給機を停止した。
製品ストッカーから回収した処理品は0.7kgあり、重量平均粒径(D4)が6.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が28.9個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が3.5体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.976、2μm以下粒子含有率が3.0%だった。
更に、供給機を停止後、6分間の空運転を実施した結果、製品ストッカーから回収した処理品は0.1kgあり、重量平均粒径(D4)が6.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が28.3個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が3.9体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.976、2μm以下粒子含有率が3.0%だった。
結果から、供給システムに断続的に圧縮エアーを導入することで、供給管内等に残存するトナー粒子は減少し、且つ、装置の稼動前後での処理品自体の振れもおさえられる。
因みに、本テストにおいては、稼動中にストッカー回収された処理品と停止後にストッカー回収された処理品は約12%であった。先を本発明においては、装置内残存率とし、装置内残存率は下記式から算出される。
装置内残存率(%)=空運転時総回収量/(12分稼動時回収量+3分稼動時回収量)
(空運転時総回収量とは、12分稼動後の6分と3分稼動後の6分での回収量合計)
これは、供給機停止後に直ぐストッカーから処理品を回収している為、ストッカーへの搬送経路内トナーが未回収部分も含まれる為、実際には供給システム内に残存していたトナー粒子は殆ど無いと考えられる。
<比較例1>
気流供給機(5)から導入された圧縮エアーがエジェクタ(6)から連続的に2.0m3/min供給され、且つ、移送配管途中に取り付けられたエジェクタ(7)からの供給を停止した以外は実施例1と同様にして、トナー粒子(T−1)を、トナーの製造装置である図1のフローにて、図3、図7の構成にて処理した。
定量供給機をトナー粒子の供給量が15kg/hrとなるように調整後、12分間稼動させた後、供給機を停止した。
製品ストッカーから回収した処理品は2.4kgあり、重量平均粒径(D4)が6.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が29.3個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が3.4体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.976、2μm以下粒子含有率が2.7%だった。
更に、供給機を停止後、6分間の空運転を実施した結果、製品ストッカーから回収した処理品は0.5kgあり、重量平均粒径(D4)が6.4μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が27.4個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が4.2体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.974、2μm以下粒子含有率が2.9%だった。
次に供給機を再度稼動させ、3分間稼動させた後、供給機を停止した。
製品ストッカーから回収した処理品は0.5kgあり、重量平均粒径(D4)が6.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が29.9個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が3.5体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.977、2μm以下粒子含有率が2.5%だった。
更に、供給機を停止後、6分間の空運転を実施した結果、製品ストッカーから回収した処理品は0.3kgあり、重量平均粒径(D4)が6.3μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が29.3個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子が4.3体積%であった。
また、FPIA3000にて測定した平均円形度は0.976、2μm以下粒子含有率が2.3%だった。
結果から、供給システムに断続的に圧縮エアーを導入しない場合、供給管内等に残存するトナー粒子の存在により、装置の稼動前後での処理品に差が生じることが判る。因みに、本テストにおいては、装置内残存率は約30%であった。
更に、本テストでは供給量を15kg/hrにて実施しているが、処理量が増加すれば、残存量も増加すると予測される。
<実施例2乃至8及び比較例2,3>
トナー粒子(T−1)を、トナーの製造装置である図1のフローにて、表1の通り、各構成及び圧縮エア−条件を変更した以外は実施例1と同様にして、表2の結果を得た。実施例2と5は、式(1)におけるAが0.9Bを超えている例である。
実施例2においては、連続と断続の圧縮エアー量を同じにすることにより装置内残存率は減少したが装置内の気流の乱れが若干発生した為、粗粒が増加している。
実施例3では、装置構成を変更してテストしている。装置内でのトナー粒子の分散状態が変化した為、円形度及び粗粒量に変化が認められるが、装置内残存率としては問題の無い範囲となった。
実施例4では、連続と断続の圧縮エアー量において、断続導入するエアー量を減少させた。これにより装置内残存率が許容範囲限界まで上昇した。
実施例5では、連続導入するエアー量よりも断続導入するエアー量を多くした。これにより装置内残存率は低下したが、常時分散するエアー量が減少したことにより、円形度が上がり、粗粒量が増加した。
実施例6では、処理量の影響を確認する為に、供給量を10kg/hrとした。処理量が少ない為、装置内残存率も低く、また、同一条件での処理により円形度も非常に高いものとなった。
実施例7,8では、断続エアーのONとOFFの時間を変更した。ON時間が短いと装置ない残存率は上昇し、逆に長いと残存率は減少する結果となった。
本実施例では、全て処理条件は同一でテストしている為、その状態によって処理品事態の円形度に差が出ている。前述の通り、円形度は導入する熱風、冷風等の調整で揃える事は可能であり、その場合には、粗粒量が変化してくると考えている。
比較例2では、比較例1に対して供給量を10kg/hrとした。これにより装置内残存率が許容範囲限界に収まる結果となった。これは、本発明の主旨でもある、処理量を増加した場合の安定性向上を裏付ける結果と言える。
比較例3では、装置構成を変更してテストしている。装置内でのトナー粒子の分散状態が変化した為、円形度及び粗粒量に変化が認められるが、装置内残存率としては比較例1同様に高い数値を示した。