JP2010091205A - 石灰焼成プラントの縦型熱交換器 - Google Patents

石灰焼成プラントの縦型熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】石灰焼成プラントから安定的に排熱を回収するため、伝熱管のダストを効果的に除去できる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器本体10Aの上端にグレートプレヒーターの排ガス集合室に接続されるガス流入口があり、下部に集合ダクトに接続されるガス流出口があり、蛇管型伝熱管14が垂直面内にあって直管部14aが水平でガス流れに対して直角であり、熱交換器本体の側壁の外側に外壁10Bがあって二重壁構造になっており、側壁に開口があり、蛇管型伝熱管の直管部の左右両端が熱交換器本体の側壁の開口を貫通してその外側に突出しており、第1吊り下げ手段H1、第2吊り下げ手段H2が熱交換器本体の側壁と外壁の間にあり、蛇管型伝熱管の直管部の左右の端部14e1,14e2が、第1吊り下げ手段、第2吊り下げ手段によって支持されており、第1の吊り下げ手段はリンク部材とヒンジピンによる屈曲部を備えている。
【選択図】図3

Description

この発明は石灰焼成プラントの縦型熱交換器に関するものであり、石灰焼成プラントまわりの小さいスペースに設置することが可能で、微粉ダストを効率的に除去し、これによって効率よく安定的に排熱を回収することができるものである。
グレートプレヒーターを備えた石灰焼成プラントは従来公知のものであり(特開2001−342044号公報)、そのガス系フローは図1に示すようなものである。ロータリーキルン1からの排ガスが石灰石wを予加熱するためのグレートプレヒーター2に導入される。そしてこの排ガスは、上記グレートプレヒーター2の排ガス集合室3を経て左右のスタビライザー4,4に流入し、集合ダクト5、ガスクーラー7、バグフィルター8、送風機9を経て煙突100から排出される。グレートプレヒーター2の出口温度は300〜500℃であり、スタビライザーで水噴霧によって所定温度まで下げられ、さらに、ガスクーラー7を経てからバグフィルター8で除塵され、送風機9を経て煙突100に送風される。煙突100から排出されるときの排ガス温度は200℃程度である。
従来は、上記グレートプレヒーター2からの排熱は回収されずに廃棄されるか、飽和蒸気を発生させるための小型ボイラーで一部が熱回収されているにすぎない。それは、石灰焼成プラントのグレートプレヒーターからの排ガス温度はあまり高くなく、また排ガス量は比較的少ないためである(通常の場合は50,000〜100,000N/H)。
しかし、近年、エネルギーコストを低減する必要が一段と強くなっていることから、上記グレートプレヒーターの排熱についてもこれを効率的に回収できるようにすることが求められている。
他方、グレートプレヒーターに廃熱ボイラー(熱交換器)を設置してその排熱を有効利用できるようにするには、その設置コストを可及的に低くし、また、効率よく安定的に回収できるようにしなければならず、また、石灰焼成プラントの全体レイアウトの関係からグレートプレヒーターの両側のスタビライザーの設置スペースに熱交換器を設置するのが最も好ましく、そのためには、ガスの流れが垂直で縦長の縦型熱交換器(以下、これを単に「縦型熱交換器」という)を利用するが有利である。なおかつ、伝熱管に付着した微粉ダストを効果的に除去して、それにより伝熱管の熱貫流率(伝熱効率)が安定するように工夫をしなければならない。
ところで、微粉ダストを多量に含んだ排ガスを多量に排出するプラントとしてセメントプラントがあり、このセメントプラントのサスペンションプレヒーターの排熱を廃熱ボイラーで熱回収して、これを発電に供することは周知である。セメントプラントの排ガス量は多大(一般的には200,000〜500,000Nm/H)で、排熱量が多大であるので、その廃熱回収発電プラントは極めて大規模であり、横型廃熱ボイラーが利用されている。因みにこの横型廃熱ボイラーは、垂直平面内において上下方向に蛇行した蛇管型伝熱管を備えていて、排ガスが水平方向(横方向)に流れる型式になっているものである。
セメントプラントのサスペンションプレヒーターの排ガスには微細な微粉ダストが多量に含まれており(通常の場合は約100gr/Nm)、これがその廃熱ボイラーの蛇管型伝熱管に多量に付着してその熱貫流率(伝熱効率)を低下させてしまうので、微粉ダストを除去して伝熱効率の低下を防止する必要があり、そのためのダスト除去装置が設けられている。このダスト除去装置はいわゆるハンマリング装置を備えているもので、吊り下げられている蛇管型伝熱管の個々の直管部に槌打式ハンマーによる打撃を加えて伝熱管を強力に振動させ、これによって付着したダストを振り落とすものである。
セメントプラントの廃熱ボイラーは横型廃熱ボイラー(排ガスが横方向に流れる廃熱ボイラー)であるので、上記ハンマリング装置によって効率的に微粉ダストを除去することができる。この上記ハンマリング装置は槌打式ハンマーなどで外端を打撃されるハンマリング連結軸を備えており、蛇行型伝熱管の直管部(縦方向の直管)に上記ハンマリング連結軸(以下単に「連結軸」という)が固着されているものであり、多数の連結軸をハンマーで順次強打して、上記直管部に衝撃を順次加えるものである。これによって微粉ダストの付着による伝熱管の熱貫流率低下が十分防止される(特公昭59−28813号公報)。
横型ボイラー(横型廃熱ボイラー)におけるダスト除去装置の上記従来例について、図1−1から図1−4に基づいて説明する。
この従来例は横型廃熱ボイラーであるので、直管部74aを垂直にして蛇管型伝熱管(以下「伝熱管」ともいう)74を吊り下げて配置しており、吊り下げられた伝熱管74に付着した微粉ダストをハンマリング装置による衝撃で剥離させて落下させるものである。
ハンマリング装置の連結軸75が伝熱管74の縦方向の直管部74aの間に一定間隔(この例では直管部74aの2つおき)で多数配置されており(図1−1)、また、各連結軸75に一定間隔で多数の支持板(アーム)76が固着されていて、これが連結軸75の左右に突出している(図1−2、図1−3、図1−4)。そして、支持板76の先端に当て板78が溶接されており、当該当て板78が伝熱管74の直管部74aに溶接されている(図1−3、図1−4)。連結軸75の一端が廃熱ボイラーのボイラー本体73の外側に突出しており、その外端に中間軸79がある。そして上記中間軸79にハンマー80によって周期的(例えば2.5回/1分)に打撃が加えられる。
各連結軸75の中間軸79にハンマー80によって所要の衝撃が別々に加えられ、この衝撃が連結軸75から多数の支持板76,76,・・に伝わり、支持板76を経て多数の当て板78に伝わり、さらに当て板78から直管部74aに伝わる構造になっており、この衝撃で直管部74aが強く振動されて付着した微粉ダストが剥離され、落下する。
なお、一つの連結軸75の衝撃を多数の直管部に伝達する構造では、各直管部に必要な衝撃力が分配されず、ハンマリング装置の衝撃を強くすると設備の耐久性の問題があり、また、騒音や振動などの環境問題が大きくなる。上記従来例は、個々の連結軸75に隣接する2つの直管部74a,74aだけに衝撃力を伝達するものであるが、この構造でも、設備の耐久性の問題、騒音や振動による環境問題が大きくなるので、ハンマリング装置による衝撃をあまり強くすることはできないという事情がある。
中間軸79はハンマー80による打撃力を緩和しつつ、その衝撃を連結軸75に確実に伝達するものであり、これによって直管部74aに加わる衝撃の強さを緩和して当該衝撃力から伝熱管74やその支持構造部を保護するとともに、ハンマー80による衝撃を直管部74aに短時間継続して伝達させ、これで直管部74aが振動する時間を延長させて、付着ダスト(伝熱管に付着したダスト)の剥離、離脱させる能力を一層向上させるものである。剥離されたダストは廃熱ボイラーのホッパーに落下して、その下部のコンベアで排出される。
なお、上記従来例では上記ハンマー80は機械式のものであるが、最近はエアーノッカーが一般的である(例えば、特開2004−36792号公報)。
また、めがね形間隔片77で隣接する直管部74a,74aを連結していて、これによってガス流れ方向の伝熱管の配管列の乱れを防止するようになっているが、このような流路内金物にも微粉ダストが付着して、排ガスの流れに対する流路抵抗となる。
ところで、上記従来技術における横型廃熱ボイラーの場合は、伝熱管が垂直であり(排ガスの流れ方向と平行な垂直平面内において上下に蛇行している伝熱管)であって、上端の曲り部74bがボイラー本体73内のハンガーHで吊り下げられていて(図1−1)、隣接する一対の直管部74a,74aがそれぞれのハンガーHで吊り下げられる支持構造になっている。そして上記のようにして吊り下げられた多数の伝熱管74が所定間隔で多数配置されており、その両端が外のヘッダー72に接続されている(図1−2)。そして、多数の伝熱管74を横に貫くように連結軸75が配置されていて、これに多数の支持板76が所定間隔で溶接されており、当該支持板76と受け板78を介して各伝熱管74の直管部74aが上記連結軸75にそれぞれ固着されている。
上記のように、伝熱管74の上端の曲り部74bがハンガーHでそれぞれ吊り下げられているので、ハンマリング装置の連結軸75から直管部74aに衝撃が加えられたとき、各直管部74aはハンガーHの支持点を支点にして打撃方向にそれぞれ別個に自由に振動することができる。したがって、隣接する連結軸75がハンマーで順次打撃され、これによって隣接する直管部74aに大きな衝撃が順次加えられても、そのことによって伝熱管やその支持機構に局部的に集中して過大な力がかかることはない。したがって、ハンマーによる衝撃が繰り返し加えられても、伝熱管やその支持機構が損傷してしまう可能性は小さい。
そして、直管部74aは縦方向になっているので、微粉ダストが比較的付着しにくく、またハンマリング装置による大きな衝撃で、付着した微粉ダストは比較的容易に剥離され、落下する。
以上が、横型廃熱ボイラー(熱交換器の一つの形態)におけるハンマリング装置の具体例の概要である。
ところで、石灰焼成プラントのグレートプレヒーターの熱交換器としては、設置スペースやレイアウトの関係からか縦型が好ましい。しかし、従来の熱交換器は、例えば図1−5に例示するような簡便な支持機構を備えていて、蛇管型伝熱管14が熱交換器本体90に安定的に支持されるようになっている。すなわち、熱交換器本体90内に水平の直管部14aによる蛇管型伝熱管14が垂直平面内に配置されていて、これが小間隔をおいて配列されており、その支持構造は、上から下まで伸びた左右の吊り棒81,81に伝熱管の両端部が単純に固着されているなど、簡便な支持機構で安定的に直管部14aが支持されるように工夫されている。このような縦型熱交換器において特定の直管部14aに衝撃力を加えられると、その衝撃はその支持機構を介して、他の連結軸に固着されている他の直管部にまで広く伝播してしまうことになる。したがって、連結軸によって特定の直管部だけに集中的に衝撃力を伝達させることで、直管部の強力な振動で付着した微粉ダストを剥離させて除去するようにはできず、また、伝熱管に対する支持がリジッドであるので上記衝撃で吊り棒81等による支持機構にかかる荷重が過大であり、このために支持機構が破損してしまうことになる。
以上のように、従来の縦型熱交換器の場合は、伝熱管14の構造及びその支持構造が横型熱交換器とは全く異なるなど、独特の構造になっているので、横型廃熱ボイラーにおけるハンマリング装置をこれに単純に適用することはできない。
また、縦型熱交換器について微粉ダストを効率的に除去できるようにするには上記のハンマリング装置の基本技術を利用する他はないが、そのためには、その伝熱管の支持機構、当該支持機構とハンマリング装置との関連構造を特別に工夫しなければならない。
本願発明の特徴は排熱ボイラー以外の熱交換器(例えば空気余熱器等)にも適用できるものであり、したがって、熱交換器一般に共通の技術的特徴であるから、次の「発明が解決しようとする課題」の項、「課題を解決するための手段」の項の説明においては、ボイラーを含む熱交換器一般として本願発明の説明をする。
特開2001−3422044号公報 特開2004−36792号公報 特公昭59−28813号公報
本願発明は、石灰焼成プラントに縦型熱交換器を付設して安定的に排熱を回収できるようにすることを目的とし、伝熱管に付着したダストを能率的に除去できるように、蛇管型伝熱管の支持機構、当該支持機構とハンマリング装置の連結軸との関連構造を工夫することをその課題とするものである。
〔手段1〕
上記課題を解決するための手段1は、石灰焼成プラントのグレートプレヒーターの縦型熱交換器について、次の(イ)〜(ハ)によるものである。
(イ)熱交換器本体の上端にグレートプレヒーターの排ガス集合室に接続されるガス流入口があり、下部に集合ダクトに接続されるガス流出口があり、
(ロ)熱交換器の蛇管型伝熱管が垂直面内にあって直管部が水平でガス流れに対して直角であり、
(ハ)熱交換器本体の側壁の外側に外壁があって二重壁構造になっており、上記側壁に開口があり、上記蛇管型伝熱管の直管部の左右両端が熱交換器本体の側壁の上記開口を貫通してその外側に突出しており、
(ニ)第1吊り下げ手段、第2吊り下げ手段が熱交換器本体の側壁と上記外壁の間にあり、上記蛇管型伝熱管の直管部の左右の端部が上記第1吊り下げ手段、第2吊り下げ手段によって支持されており、
(ホ)上記第1吊り下げ手段はリンク部材とヒンジピンによる屈曲部を備えていること。
〔手段2〕
手段2は上記手段1に加えて、次の(ホ)〜(ト)によるものである。
(ホ)上記屈曲部のリンク部材にハンマリング装置の連結軸がヒンジピンを介して連結されており、
(ヘ)上記屈曲部が上記連結軸の衝撃方向に屈曲可能であり、
(ト)上記連結軸が上記直管部の一方の端部に固着されており、上記第2吊り下げ手段の吊り棒によって上記直管部の他方の端部が摺動自在に支承されていること。
なお、連結軸と第1吊り下げ手段のリンク部材との連結構造、連結軸と伝熱管の直管部の一方の端部との連結構造、第2吊り下げ手段による直管部の他方の端部の支持構造は、その所期の機能を実現できるものであればよく、種々の構造を採用することができる。
〔手段3〕
手段3は熱交換器の蛇管型伝熱管の配列に関する実施態様であり、伝熱管を上下3段に設け、最上段を過熱器とし、中段蒸発器とし、下段を節炭器としたことである。
〔作用〕
直管部を水平にして熱交換器本体に装着された蛇管型伝熱管が熱交換器本体の側壁(内壁)と外壁の間において上記第1吊り下げ手段、第2吊り下げ手段によって吊り下げられており、上下方向に所定間隔で配置された連結軸が伝熱管の直管部を支持している。そして上下に隣り合う連結軸はヒンジピンを介して第1吊り下げ手段のヒンジ部材に連結されていて、ヒンジ部材とヒンジピンによる屈曲部が屈曲するので、連結軸がその軸心方向において互いに自由である。そして、伝熱管の直管部の一方の端部が連結軸に連結され、他方の端部が第2吊り下げ手段によって摺動自在に支持されている。したがって、ハンマーによる打撃時に連結軸や伝熱管の直管部の軸方向振動が互いに干渉することはないが、その衝撃は特定の直管部だけに集中的に作用してこれを強力に振動させる。そしてまた、伝熱管やその支持機構に過大な負荷がかかることもない。
また、上下に隣り合う連結軸の間にある一群の直管部は一つの連結軸に拘束されているが、隣接する一群の直管部は、連結軸の軸心方向において互いに自由であるから、これらの直管部の振動が互いに干渉し合うことはなく、したがって、連結軸からの衝撃力による振動が短時間持続する。それゆえ、微粉ダストが伝熱管から能率的に剥離されて落下する。
なお、上記の吊り棒、ヒンジ部材は上下の部材間の繋ぎであるから、単一の部材である必要はなく、縦方向に連結された複数の部材によるものでもよい。
また、連結軸をヒンジピンを介して上記ヒンジ部材に連結するには、そのための構造が必要であり、連結部材から吊り金を突設するのが一例であるが、この場合の吊り金は連結軸と溶接されて一体である必要はなく、要するに、連結軸に結合され、リンク部材と連結されて上下の連結軸の間に屈伸自在の屈曲部を構成するものであればよい。
また、第2吊り下げ手段で直管部の他方の端部を摺動自在に支持するには、第2吊り下げ手段の吊り棒がそれに適した構造を備えなければならず、吊り棒から横方向に支持板を突設して、当該支持板で直管部を支承させるのがその一例である。ただし、この場合の支持板は必ずしも板状部材である必要はなく、棒状でもブロック状でもよい。
さらに、この縦長の熱交換器は、廃熱ボイラーとして利用できるし、また空気予熱器としても利用することができる。
この発明によって縦型熱交換器にハンマリング装置を設けることにより、隣接して配置された多数の蛇管型伝熱管に強い衝撃を集中的に作用させて、付着した微粉ダストを容易に除去することができる。また、ハンマリング装置の打撃によって上記伝熱管に局部的に過大な力がかかることはないので伝熱管やその支持装置の耐久性が損なわれることはない。
したがって、この縦型熱交換器によって微粉ダストが多量に含まれている石灰焼成プラントの排ガスの排熱を効率よく安定的に回収することができる。
また、伝熱管に対する左右の支持機構は熱交換器本体の側壁(内壁)の外側にあるので、これに微粉ダストが付着して堆積することはなく、また、この支持機構が高温排ガスに晒されることはなく、さらにこの支持機構が排ガスの流れに対する抵抗になることはない。さらに、これらが排ガスで高温に過熱されることはないので、その耐久性を向上させ、また性能を向上させることができる。
石灰焼成プラントのグレートプレヒーターの左右に縦長のスタビライザーがあるので、これに替えて本発明の縦型熱交換器を配置することで、小スペースでも、石灰焼成プラントに熱交換器を付設することができる。
以上のとおりであるから、この発明により、耐久性が高くメンテナンス頻度が大幅に低下され、廃熱回収率が高くて安定な熱交換器を石灰焼成プラントに容易に付設することができ、これによれば、その排熱を長期間に亘って効率よく安定して回収することができるようになる。
次いで図面を参照して、この発明による熱交換器を廃熱ボイラーとした場合について石灰焼成プラントの廃熱回収発電プラントに設置した例について説明する。
この実施例の石灰焼成プラントの全体システムは図1の従来例と違いはなく、上記従来の石灰焼成プラントのグレートプレヒーター2の左右の排ガス集合室3の下方に縦型熱交換器10がそれぞれ配置された構成になっている。そして、その上部の排ガス流入口11aが上記排ガス集合室3に接続され、下部の排ガス流出口11bが集合ダクト5に接続されている。
縦型廃熱ボイラー10はスタビライザー4(図1参照)とほぼ同じ大きさの縦長のボイラ本体10Aに蛇管型伝熱管が上下3段に配置されているものであり、その最上段は過熱器51であり、中段は蒸発器52、下段は節炭器53である。
上記蒸発器52、節炭器53は汽水胴55に接続されており、過熱器51は蒸気タービン57に接続されている。その他は通常の発電システムと違いはない。
蒸気タービン57の下流の復水器59の復水は復水ポンプ60、脱気器61からボイラー給水ポンプ62を経て節炭器53に流入し、節炭器53で加熱されてから汽水胴55に流入し、その後、蒸発器52を経て再び汽水胴55に戻り、その後、過熱器51に流入し、過熱器51で過熱されてからタービン57に供給される。過熱器51からの過熱蒸気でタービン57が駆動され、発電機Gが駆動される。
〔縦型廃熱ボイラーの構造〕
ボイラー本体10Aは断面四角形の縦長筐体であり、左右の側壁(内壁)の外側に外壁10Bがあって、この部分が二重壁構造になっている。そして、ボイラー本体10Aの上端に流入口11aがあり、下端に流出口11bがある。ボイラー本体10Aに配置されている過熱器51、蒸発器52、節炭器53は、垂直平面内で水平方向(図3において左右方向)に蛇行した伝熱管14によるものであり、この伝熱管(蛇管型伝熱管ともいう)14を所定の間隔で多数配置して構成されている。
なお、ボイラー本体10Aの側壁(内壁)に開口があり(図示略)、伝熱管14の直管部の左右の端部14e1,14e2が上記開口を貫通して側壁(内壁)の外に突出しており(図3参照)、この突出部はボイラー本体10Aの外側にある外壁10Bでカバーされている。なお、上記開口は伝熱管14の左右の端部が余裕をもって貫通する程度に大きな開口である。
上記伝熱管14はその一方(左方)の端部14e1、他方(右方)の端部14e2がボイラー本体10Aの側壁(内壁)の外側に突出しており、他方、ボイラー本体10Aと外壁10Bとの間に第1吊り下げ手段H1、第2吊り下げ手段H2があり、伝熱管14の左右の端部14e1,14e2が上記第1吊り下げ手段H1、上記第2吊り下げ手段H2で吊り下げられていて、これによって全ての伝熱管(蛇管型伝熱管)が吊り下げられた状態になっている。
なお、両吊り下げ手段H1,H2は支持構造物Fに支持されている。
上記第1吊り下げ手段H1、第2吊り下げ手段H2はボイラー本体10Aの側壁の外側にあるので、本体内を流れる高温の排ガスには晒されず、また排ガスに含まれている微粉ダストが付着することもない。したがって、これらの吊り下げ手段H1,H2は高温排ガス、微粉ダストから防護されている。
この実施例では排ガス温度がほぼ350℃で、定格排ガス量が80,000Nm/Hのグレートプレヒーターに縦型廃熱ボイラーが接続されている。なお、この排ガスには微粉ダスト(粒径150μm以下が60%)が30gr/Nm程度含まれている。
〔伝熱管の支持構造とハンマリング装置〕
まず、蛇管型伝熱管14の右側の端部を支持する第2吊り下げ手段H2を説明し、その後に左側の端部を支持する第1吊り下げ手段H1について説明する。
第2吊り下げ手段H2は単純な棒材によるもので、密に配置された伝熱管14の2つおきに配置されており、その長い第2吊り棒(直径16mmの鋼製)31でその前後の伝熱管14,14を支持している。第2吊り棒31には前後方向(図3の前後方向、図5の左右方向)に支持板32が突設されており(図5)、当該支持板32によって伝熱管14の直管部14aの他方の端部14e2が摺動自在に支承されている。この実施例では熱交換器が3段に設けられているので、これら熱交換器の伝熱管を第2吊り棒31が貫いて支持している。
なお、第2吊り棒31は縦型廃熱ボイラーの支持構造物Fから吊り下げられている。
次いで、第1吊り下げ手段H1について説明する。
左側(図3において左側)の第1吊り下げ手段H1は上端の第1吊り棒(直径21mmの鋼製)21と連結軸(断面四角形の鋼製パイプ材によるもの)25の上下の吊り金(連結軸25に溶接したもの)26、ヒンジ部材27をヒンジピン28で順次連結したものである(図3、図4)。
連結軸25は伝熱管14の直管部14aの4つを一管群として各管群の間に配置されていて、前後(図3で前後、図4で左右)の2つの第1吊り下げ手段H1,H1によって吊り下げられて、水平状態に支持されている(図4)。
縦型廃熱ボイラーの支持構造物にエアーノッカー42が固定されている。このエアーノッカー42は打撃力約4kgの空気圧式ハンマーであり、例えば2.5回/1分で打撃がなされるなど、適宜の間隔で繰り返し打撃される。このエアーノッカー42の運転制御は種々であり、ボイラー出力の変化等をみながら経験的に制御することもでき、また例えば、ボイラー本体10A内のガス温度分布等を基準にして所定のプログラムによって自動的に制御することもできる。
また上記のエアーノッカー42は、横型ボイラーの微粉ダスト除去装置(ハンマリング装置)において従来周知慣用のものであり、連結軸25の外端を打撃してその衝撃を伝熱管14の直管部14aに伝達し、これを衝撃的に振動させる。
連結軸25には上記吊り金26の他に多数のアーム29が所定間隔で溶接されており、各アーム29に伝熱管の直管部14aが溶接されている(図4)。
第1吊り下げ手段H1の途中に上下に一定間隔で連結軸25が吊り下げられており、そして、上記第1吊り下げ手段H1は、ヒンジ部材27、ヒンジピン28による屈曲部で連結軸25の軸心方向(図4において左右方向)に自由に屈曲することができるので、多数の連結軸25は、その軸心方向に相対的に移動可能であり、個々の連結軸25に固着されている直管群(この実施例では連結軸25の上下各2つ、合計4つの直管部)が一体となって、この直管群だけが振動する。このように、上下に隣接する直管群が同方向において互いに自由に相対的に振動(又は移動)することができるから、隣接する連結軸25,25が時間差をもって打撃されたときに、その打撃のために第1吊り下げ手段H1に無理な力がかかることはない。したがって、伝熱管14及びその支持機構に局部的に過大負荷がかかって過大歪みが生じることもない。
また、連結軸25の衝撃が直管部14aの一方の端部14e1に伝達されると、この振動が他方の端部14e2まで伝達されて直管部14a全体が振動する。そして一つの連結軸25が打撃されるとき、その打撃はこれに固着された直管部14aだけに集中的に伝達されて当該直管部14aが強力に振動され、これに付着した微粉ダストが能率よく除去される。
なお、直管部14aの他方の端部14e2が第2吊り下げ棒31の支持板32に摺動自在に支承されている(図5)ので、ここでこの強力な衝撃が逃がされることになる。したがって、連結軸による強力な衝撃で第2吊り下げ手段H2に過大な力がかかることはなく、強力な衝撃を繰り返し受けることで第2吊り下げ手段の耐久性が損なわれることはない。
は、グレートプレヒーターを備えた従来の石灰焼成プラントのガスフローを示す全体図 は、従来の横型廃熱ボイラーの断面図 は、従来の横型廃熱ボイラーの図1−1に対して直角方向の断面図 は、図1−1の従来例におけるハンマリング装置の連結軸と蛇管型伝熱管との関係を示す断面図 は、図1−1の従来例におけるハンマリング装置の連結軸と蛇管型伝熱管との関係を示す他の断面図 は、従来の縦型廃熱ボイラーの蛇管型伝熱管の支持構造についての模式的な説明図 は、この発明の実施例の廃熱回収発電プラントを備えた石灰焼成プラントのガスフローを示す全体図 は、この発明による縦型廃熱ボイラーの一部断面図 は、図3の左側面図 は、図3の右側面図 は、図3の上面図
符号の説明
1:ロータリーキルン
2:グレートプレヒーター
3:排ガス集合室
4:スタビライザー
5:集合ダクト
7:ガスクーラー
8:バグフィルター
10:縦型廃熱ボイラー(縦型熱交換器)
10A:ボイラー本体
10B:外壁
11a:排ガス流入口
11b:排ガス流出口
14:伝熱管(蛇管型伝熱管)
14a:直管部
14e1:直管部の一方の端部
14e2:直管部の他方の端部
21:第1吊り棒
25:連結軸(ハンマリング装置の連結軸)
26:吊り金
27:ヒンジ部材
28:ヒンジピン
29:アーム
31:第2吊り棒
32:支持板
42:エアーノッカー
51:過熱器
52:蒸発器
53:節炭器
55:汽水胴
57:タービン
59:復水器
60:復水ポンプ
61:脱気器
62:ボイラー給水ポンプ
100:煙突
H1:第1吊り下げ手段
H2:第2吊り下げ手段
F:廃熱ボイラーの支持構造物

Claims (5)

  1. 石灰焼成プラントの縦型熱交換器であって、
    熱交換器本体の上端にグレートプレヒーターの排ガス集合室に接続されるガス流入口があり、下部に集合ダクトに接続されるガス流出口があり、
    熱交換器の蛇管型伝熱管が垂直平面内にあって直管部が水平でガス流れに対して直角であり、
    熱交換器本体の側壁の外側に外壁があって二重壁構造になっており、上記側壁に開口があり、上記蛇管型伝熱管の直管部の左右の端部が熱交換器本体の側壁の上記開口を貫通してその外側に突出しており、
    第1吊り下げ手段、第2吊り下げ手段が熱交換器本体の側壁と外壁の間にあり、上記蛇管型伝熱管の直管部の左右の端部が上記第1吊り下げ手段、第2吊り下げ手段によって支持されており、
    上記第1吊り下げ手段はリンク部材とヒンジピンによる屈曲部を備えていることを特徴とする石灰焼成プラントの縦型熱交換器。
  2. 上記屈曲部のリンク部材にハンマリング装置の連結軸がヒンジピンを介して連結されており、
    上記屈曲部が上記連結軸の衝撃方向に屈曲可能であり、
    上記連結軸が上記直管部の一方の端部に固着されており、上記第2吊り下げ手段の吊り棒によって上記直管部の他方の端部が摺動自在に支承されていることを特徴とする請求項1の石灰焼成プラントの縦型熱交換器。
  3. 上記ハンマリング装置の連結軸から上下両方向に吊り金を突設し、当該吊り金をヒンジピンを介して上記リンク部材に連結していることを特徴とする請求項2の石灰焼成プラントの縦型熱交換器。
  4. 上記連結軸に所定間隔で上下方向に多数のアームが突設されていて、当該アームに上記直管部が固着されていることを特徴とする請求項2の石灰焼成プラントの縦型熱交換器。
  5. 上記熱交換器本体に蛇管型伝熱管が3段に設けられており、最上段が過熱器、中段が蒸発器、下段が節炭器であることを特徴とする請求項1の石灰焼成プラントの縦型熱交換器。
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