JP6735890B1 - ボイラ管群付着灰除去システム - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、付着灰の管群への堆積量が少ない場合、スートブロワを起動しても除去される付着灰の量が少ないため、スートブロワで消費または利用する電力、蒸気、またはガスの費用に対する付着灰除去の効果が少ない。一方、付着灰の管群への堆積量が多い場合、上記一定周期ごとのスートブロワの起動では十分に付着灰除去ができず、除去されずに管群に残置された付着灰が、次回のスートブロワの起動までに固化してしまい、スートブロワによる付着灰除去が困難となる恐れがある。
そこで、スートブロワを用いて管群の付着灰を適切に除去すべく、種々のボイラ管群付着灰除去システムが開発されてきた。
蒸気式スートブロワは、起動されると、所定時間だけ蒸気を噴射し続け、当該所定時間が経過すると蒸気の噴射を停止する。
一方、ショックパルス式スートブロワは、圧力波式または衝撃波式スートブロワや、ショックパルスジェネレータ(SPG:Shock Pulse Generator)とも呼ばれ、起動されると、スートブロワ内部に充填した可燃性ガスが爆発し、ショックパルス(「衝撃波」または「圧力波」ともいう)が発射される。なお、ショックパルス式スートブロワは、一度起動した後、次回の起動のために当該ガスを再度充填する必要がある。当該充填には、一般的に1分間から10分間程度の時間を要する。
しかし、上述のように、付着灰の堆積量によっては、スートブロワを1回起動しただけで十分に付着灰除去ができるとは限らない。このため、スートブロワを起動したにもかかわらず効果的に付着灰が除去されない場合、特許文献1乃至3に開示の技術では、次回の周期の到来など、改めて所定条件が成立した後のスートブロワの再度の起動を待つ必要がある。従って、これらの技術では、1回のスートブロワの起動で付着灰除去が十分になされない場合、ボイラの熱交換性能を早期に回復することができない。
そこで、スートブロワを起動する際に、1回だけではなく連続的に複数回起動することが考えられる。
しかしながら、1回のスートブロワの起動で付着灰除去が十分になされる場合があるにもかかわらず、上記所定条件が成立した際、毎回、スートブロワを複数回起動することは不経済である。
一方、演算した交換熱量が所定値未満となる場合、制御装置は、付着灰判定処理を行って、管群に堆積した付着灰の量が多いことが原因で演算した交換熱量が所定値未満となったのか否か、判定する。
そして、制御装置は、付着灰の量が多い確度が高く、スートブロワの起動を必要とする第一判定結果が得られた場合に、連続的に複数回、スートブロワを起動して効果的に付着灰除去を行い、当該確度が低く、スートブロワの起動を必要としない第二判定結果が得られた場合には、スートブロワを起動しない。
従って、本発明のボイラ管群付着灰除去システムは、経済性を担保しつつ、早期かつ適切に付着灰除去を行うことができる。
図1は、実施形態であるボイラ管群付着灰除去システム1の概略構成図である。ここでは、一例として、ボイラ管群付着灰除去システム1は、発電を行うためにボイラを備えたごみ焼却炉のプラントであるとして説明する。ボイラは、蒸気ドラムと水ドラムを備えた2ドラム式(two drum type)と、蒸気ドラムを備えた1ドラム式(one drum type)に大別されるが、ボイラ管群付着灰除去システム1は、いずれのボイラを用いてもよい。図1では、蒸気ドラムを省略して図示しないが、1ドラム式のボイラを備えたごみ焼却炉のプラントを例示する。
ボイラ管群付着灰除去システム1は、排ガスから熱回収するボイラの複数の管群2の付着灰を除去するシステムであって、複数の管群2の間に配置されたスートブロワ3と、スートブロワ3の起動を制御する制御装置4を、少なくとも有する。
そして、制御装置4は、ボイラの交換熱量を演算し、交換熱量が所定値以上の場合、当該演算から所定時間経過後にスートブロワ3を1回起動して交換熱量を再演算する。また、演算した交換熱量が当該所定値未満の場合、付着灰判定処理(後述)を実行し、付着灰判定処理でスートブロワ3の起動を必要とすると判定された場合、スートブロワ3を連続的に複数回起動した後に交換熱量を再演算し、付着灰判定処理でスートブロワ3の起動を必要としないと判定された場合、スートブロワ3を起動しないで交換熱量を再演算する。
以下、ボイラ管群付着灰除去システム1が少なくとも有する構成に加え、図1の実施形態に示すその他の構成について説明する。まず、構成につき概要を説明した後、ボイラ管群付着灰除去システム1がスートブロワ3を起動する制御につき、詳述する。
なお、以下、「複数の管群」という場合には、後述の2つの圧力測定装置14(14a、14b)の間に配置された複数の管群2であって、且つ、後述の2つの温度測定装置15(15a、15b)の間に配置された複数の管群2をいうものとする。言い換えれば、「複数の管群」は、付着灰除去の対象となる複数の管群であって、後述の「入口」と「出口」の間に配置された複数の管群2をいう。
ボイラ管群付着灰除去システム1は、ごみ等の被焼却物を貯留するホッパ5と、ホッパ5の下方(Y軸方向且つ下方)からホッパ5が貯留した被焼却物を押し出すフィーダ6と、フィーダ6に押し出された被焼却物を搬送しながら焼却するストーカ7と、ストーカ7で焼却された残渣が排出される灰シュート8を備える。
また、ボイラ管群付着灰除去システム1は、ストーカ7で被焼却物を焼却することで発生する飛灰を含んだ排ガスの熱を、管群2及びその後流に配置されたエコノマイザ9(「節炭器」ともいわれる)で熱交換する。そして、ボイラ管群付着灰除去システム1は、当該熱交換された排ガスを冷却する減温塔10、さらに、当該冷却された排ガスの煤塵を除塵する除塵装置11(例えば、バグフィルタ)を経由して、当該除塵された排ガスを煙突12から大気へ排出する。
ストーカ7から煙突12の開口までの排ガスの経路は、水冷壁やダクトなどで形成されて、実質的に密閉される。当該経路のうち、ストーカ7の直上からY軸方向且つ上方に延びる経路は「1パス」(「パス」は英語で「path」を意味する)、1パスの上方の端部で折れ曲がり、1パスに隣接してY軸方向且つ下方に延びる経路は「2パス」、2パスの下方の端部で折れ曲がり、2パスに隣接してY軸方向且つ上方に延びる経路は「3パス」と呼ばれる。ストーカ7で発生した排ガスは、図1に矢印で流れを示す通り、1パスを上昇し、2パスを下降し、3パスを上昇するように流れる。なお、排ガスの流れを1パスから煙突12に向けて誘引するため、除塵装置11と煙突12の間の当該経路には、誘引送風機13が配置される。
排ガスの流れにおいて、最も上流(Y軸方向で最も下方)に配置される管群2は、吊下管(スクリーン管)21で構成された管群である。そして、当該管群から下流(Y軸方向で上方)に向かって、順次、過熱管(スーパーヒータ)22a、22b、並びに22cの各々で構成された管群がそれぞれ配置される。
なお、圧力測定装置14aと圧力測定装置14bの配置は、これに限定されるものではない。プラントの設計に応じて、圧力測定装置14aは、「複数の管群」のうち、最も上流に配置された管群の上流、すなわち「入口」に配置されればよく、また、圧力測定装置14bは、「複数の管群」のうち、最も下流に配置された管群の下流、すなわち「出口」に配置されればよい。
なお、温度測定装置15aと温度測定装置15bの配置は、これに限定されるものではない。プラントの設計に応じて、温度測定装置15aは、「複数の管群」のうち、最も上流に配置された管群の上流、すなわち「入口」に配置されればよく、また、温度測定装置15bは、「複数の管群」のうち、最も下流に配置された管群の下流、すなわち「出口」に配置されればよい。
それに加え、ボイラ管群付着灰除去システム1は、管群2のうち、過熱管で構成される管群の管内を通過する蒸気を、適宜、冷却するために、当該管内に水を噴霧する過熱低減器(デスーパーヒータ)17を備える。図1では、3パスに配置される管群のうち、最も下流に配置される過熱管22cで構成された管群2に過熱低減器17が配置される。過熱低減器17が噴霧する水の量は、噴霧水量測定装置18で測定される。
まず、オペレータが、起動スイッチや制御盤など(図示せず)により、ボイラ管群付着灰除去システム1を起動することで、焼却炉などのプラントの運転が開始され、図2の「開始」以降の処理が、制御装置4により実行される。以下、制御装置4が実行する各処理につき、説明する。
プラントの運転開始後、制御装置4は、ステップS1の処理を実行する。プラントは、運転を開始してから所定時間が経過しなければ、プラント内の環境に関する条件、例えば、温度、圧力など条件が安定しない。このため、ステップS1では、制御装置4は、プラント(本例では焼却炉)の運転開始後、当該所定時間が経過したかどうかを判定する。当該所定時間が経過した場合、制御装置4は、ステップS2の処理を実行する。一方、当該所定時間が経過していない場合、制御装置4は、ステップS1の処理を繰り返す。
交換熱量Q=(Tgout−Tgin)×Cpg×Wg・・・(1)
ここで、Tgin[℃]は、温度測定装置15aが測定した温度、すなわち複数の管群2の入口の温度である。Tgout[℃]は、温度測定装置15bが測定した温度、すなわち複数の管群2の出口の温度である。Cpg[J/(kg×℃)]は、排ガスの比熱であって、排ガスの成分に対応した定数である。Wg[kg/s]は、排ガス流量測定装置16が測定した排ガスの流量である。
制御装置4は、式(1)の演算を終了し、演算結果である交換熱量Qを得ると、ステップS3の処理を実行する。
以下では、ステップS4以降の処理をまず説明し、その後、ステップS7以降の処理を説明する。
ステップS4以降の処理は、複数の管群2への付着灰の量が少なく、排ガスとボイラの熱交換が十分かつ効果的に行われている場合の処理である。従って、従来技術と同様、実質的に一定の周期で、制御装置4は、スートブロワ3を1回だけ起動する。ただし、従来技術と異なり、バグフィルタが逆洗中である場合は、制御装置4はスートブロワ3を起動せず、当該逆洗が終了するのを待って、制御装置4はスートブロワ3を起動する。以下、詳述する。
ステップS4では、制御装置4は、タイマーを「0」(秒)からスタートする。時間が経過し、タイマーが所定の時間t1(例えば、2時間、すなわち7200秒間)をカウントすると、制御装置4は、ステップS5の処理を実行する。
ステップS5では、制御装置4は、除塵装置11であるバグフィルタが逆洗中か否かを判定する。制御装置4は、バグフィルタの「逆洗」の実行を制御するので、バグフィルタが逆洗中であるか否かを判定することができる。制御装置4が、バグフィルタは逆洗中であると判定した場合、制御装置4は、ステップS5の処理を繰り返す。一方、制御装置4が、バグフィルタは逆洗中でないと判定した場合、制御装置4は、ステップS6の処理を実行する。
ステップS6では、制御装置4は、スートブロワ3を1回だけ起動し、タイマーを停止するとともに「0」(秒)にリセットする。そして、制御装置4は、ステップS2の処理を実行する。
以上のステップS4以降の処理により、ボイラ管群付着灰除去システム1においては、排ガスとボイラの熱交換が十分かつ効果的に行われている場合においても、所定のタイミングで定期的にスートブロワ3が1回だけ起動されるので、付着灰の量が増加して当該熱交換に悪影響を及ぼす前に、管群2に堆積した微量の付着灰を除去することができる。
また、バグフィルタの逆洗は、通常、排ガスの流れを止めて行われる。従って、バグフィルタの逆洗中にスートブロワ3を起動すると、排ガスが流れる煙道となるダクトの内部の圧力が上昇し、プラントに故障が発生する恐れがある。しかしながら、ボイラ管群付着灰除去システム1においては、制御装置4は、バグフィルタの逆洗中にスートブロワ3を起動せず、逆洗の終了を待ってスートブロワ3を起動するので、上記故障の発生を防止することができる。
ステップS7では、制御装置4は、交換熱量Qが所定値α未満となったのは、以下の<1>、<2>の2つの場合のいずれの確度が高いかを判定する。すなわち、「<1>複数の管群2に堆積した付着灰の量が多く、排ガスとボイラの熱交換が十分に行われていない場合」、及び、「<2>当該付着灰の量は少なく、当該熱交換に悪影響を及ぼすものではないにもかかわらず、プラントの運転環境または運転の諸条件によって交換熱量Qが所定値α未満の値に算出された場合」の2つの場合である。
以降、ステップS7の処理を、「付着灰判定処理」という。付着灰判定処理の具体的な処理については、[0024]にて後ほど説明する。
ステップS8では、制御装置4は、除塵装置11であるバグフィルタが逆洗中か否かを判定する。制御装置4が、バグフィルタは逆洗中であると判定した場合、制御装置4は、ステップS8の処理を繰り返す。一方、制御装置4が、バグフィルタは逆洗中でないと判定した場合、制御装置4は、ステップS9の処理を実行する。
ステップS9では、制御装置4は、スートブロワ3を、連続的に複数回、起動する。そして、制御装置4は、ステップS2の処理を実行する。
一方、付着灰判定処理により、制御装置4が、上記<2>の確度が高いと判定した場合(第二判定結果を得た場合)、すなわち、複数の管群2に堆積している付着灰の量が多いからではなく、他の要因によって交換熱量Qが所定値α未満の値に算出された可能性が高い場合には、制御装置4は、ステップS10の処理を実行する。
ステップS10では、制御装置4は、オペレータによって、プラントの運転を停止するための作業(例えば、制御盤の操作)が開始されたか否かを判定する。制御装置4は、プラントに配置された種々の装置の動作を制御するので、オペレータが当該作業を開始したか否かを判定することができる。制御装置4が、当該作業は開始されていないと判定した場合、制御装置4は、ステップS2の処理を実行する。一方、制御装置4が、当該作業が開始されたと判定した場合、制御装置4は、その後、図2のいずれの処理も実行せず、別途の当該作業に必要な処理を実行する。その後、制御装置4を含むボイラ管群付着灰除去システム1全体の動作が終了、すなわちプラントの運転が休止する。
図2では、制御装置4による付着灰判定処理は、圧力測定装置14aと14bが測定したそれぞれの圧力の差圧、すなわち、複数の管群2の入口と出口における排ガスの圧力差(差圧)Pdと、温度測定装置15aと15bが測定したそれぞれの温度の差、すなわち、当該入口と当該出口における排ガスの温度差Tdと、噴霧水量測定装置18が測定した水の噴霧量(噴霧水量)Vの3つの要素(Pd、Td、V)の全てに基づいて実行される。
ここでは、制御装置4が、これら3つの要素の全てに基づいて付着灰判定処理を実行する例を示す。しかし、当該処理の判定の確度を高める必要がなく、当該処理の速度を高めたい場合には、制御装置4は、これら3要素のうち、いずれか1つ、または、いずれか2つに基づいて付着灰判定処理を実行してもよい。
ステップS7aでは、制御装置4は、圧力測定装置14a、14bから受信した圧力の情報に基づき差圧Pdを演算する。そして、制御装置4は、差圧Pdが所定値p(第一閾値)以上か否かを判定する。所定値pは、例えば、0.2〜0.4[kPa]である。
差圧Pdが所定値p以上の場合、付着灰の堆積が大きいため排ガスの流路である煙道が狭くなっている可能性がある。そこで、差圧Pdが所定値p以上の場合、制御装置4は、ステップS7bの処理を実行する。ステップS7bの処理は、付着灰判定処理における判定の確度を高めるための処理である。
一方、差圧Pdが所定値p未満の場合、排ガスが円滑に流れているため、付着灰の堆積により煙道が狭くなっている可能性は低く、付着灰の堆積とは異なる他の要因によって交換熱量Qが所定値α未満の値に算出された可能性が極めて高いといえる。そこで、差圧Pdが所定値p未満の場合、制御装置4は、後述のステップS7b及びステップS7cを実行することなく、付着灰判定処理において上記<2>の確度が高いと判定する。
温度差Tdが所定値T以下の場合、付着灰の堆積が大きいため排ガスとボイラの熱交換が十分になされていない可能性がある。そこで、温度差Tdが所定値T以下の場合、制御装置4は、ステップS7cの処理を実行する。ステップS7cの処理は、付着灰判定処理における判定の確度を高めるための処理である。
一方、温度差Tdが所定値Tより大きい場合、当該熱交換が効果的になされているので、付着灰の堆積とは異なる他の要因によって交換熱量Qが所定値α未満の値に算出された可能性が極めて高いといえる。そこで、温度差Tdが所定値Tより大きい場合、制御装置4は、後述のステップS7cを実行することなく、付着灰判定処理において上記<2>の確度が高いと判定する。
噴霧水量Vが所定値v以下の場合、過熱低減器17が配置された管群2と排ガスの熱交換が十分でないため、過熱低減器17が配置された管群2のみならず、他の管群2においても、付着灰の堆積が大きいため排ガスとボイラの熱交換が十分になされていない可能性がある。そこで、噴霧水量Vが所定値v以下の場合、制御装置4は、付着灰判定処理において上記<1>の確度が高いと判定する。
一方、噴霧水量Vが所定値vより大きい場合、過熱低減器17が配置された管群2において上記熱交換が効果的に行われているので、付着灰の堆積とは異なる他の要因によって交換熱量Qが所定値α未満の値に算出された可能性が極めて高いといえる。そこで、噴霧水量Vが所定値vより大きい場合、制御装置4は、付着灰判定処理において上記<2>の確度が高いと判定する。
従って、ボイラ管群付着灰除去システム1は、経済性を担保しつつ、早期かつ適切に付着灰除去を行うことができる。
以上の構成及び処理は、本願の請求項1、請求項2、請求項3に対応する。
なお、ステップS7の処理、すなわち付着灰判定処理は、3つの要素(Pd、Td、V)に基づいて実行される例を示したが、別の要素を加えてもよい。例えば、制御装置4は、撮像装置(サーモカメラ等)による画像の解析結果(例えば、管群2の温度分布)に基づいて付着灰判定処理を実行してもよい。
ただし、蒸気式スートブロワは、排ガスとボイラが熱交換して生成した蒸気を使用するため、ボイラが発電のためにタービンに供給する蒸気の量が減少し、結果として、プラントにおける発電量が減少する。このため、プラントの発電量を重視する場合には、蒸気を使用しないショックパルス式スートブロワを配置するのが望ましい。
スートブロワ3は、通常、排ガスの経路を形成するダクトなどの壁面に設置される。従って、図1において、スートブロワ3が蒸気式スートブロワ3の場合、スートブロワの噴射ノズルが伸縮する方向は、X軸を含み、Y軸に直交する平面上の方向であり、当該噴射ノズルからY軸方向へ蒸気を噴射する。また、スートブロワ3がショックパルス式スートブロワ3の場合、ショックパルスの射出方向は、X軸を含み、Y軸に直交する平面上の方向である。従って、スートブロワ3がショックパルス式スートブロワ3の場合、図1において、3パスと2パスの間の壁面に向けてショックパルスを射出すれば、当該壁面を振動させて、管群2の付着灰だけでなく、当該壁面に付着した灰も除去することができる。
スートブロワは、一般的に、それに近接して配置された管群の付着灰を効果的に除去する。このため、図1では、スートブロワ3aに近接して配置された管群22aと管群22bの付着灰が効果的に除去されることになる。
しかし、複数の管群の中で最も下流に配置された管群22cは、スートブロワ3aから距離的に離れて配置されるため、付着灰の除去が不十分となる可能性がある。
そこで、図1において、スートブロワ3aに加え、管群22cの後流の円形点線(大きい点線)で示す位置(管群22cの隣、且つ、Y軸方向直上)に、スートブロワを別個に配置することで、管群22cの付着灰を効果的に除去することができる。
なお、このとき、別個に配置するスートブロワがショックパルス式スートブロワである場合は、円形点線(大きい点線)とは別の円形点線(小さい点線)で示す位置に配置してもよい。図1の円形点線(小さい点線)は、3パスの天井の壁面近傍に設置されるスートブロワを示しており、Y軸方向かつ下方へショックパルスを射出するようスートブロワを配置すれば、管群22cのみならず、その上流に配置された管群22bの付着灰もより効果的に除去することが可能となる。
ただし、ステップS6およびステップS9の各々の処理において、制御装置4は、各スートブロワ3の配置に応じて、それぞれの起動のタイミングをずらし、1つづつ順番に起動する。すなわち、制御装置4は、当該複数のスートブロワ3を同時に起動しない。
蒸気式スートブロワが複数配置され、これらが同時に起動された場合、ボイラからタービンに供給される蒸気が大幅に減少するので、発電量が大幅に減少し、安定的な送電が困難となる。また、ショックパルス式スートブロワが複数配置され、これらが同時に起動された場合、炉内の圧力やダクト内部の圧力が上昇し、プラントに故障が発生する恐れがある。
そこで、ボイラ管群付着灰除去システム1では、複数のスートブロワ3を配置した場合には、これらのスートブロワ3の起動を時間的にずらして順次起動する。
以下の説明においては、それぞれの変形例ごとに、まずその構成について説明し、その後、当該変形例における複数のスートブロワ3の起動順序について説明する。なお、図1で説明した構成と同一構成または図2で説明した処理と同一処理については、説明を省略する。
第一変形例では、Y軸方向、すなわち鉛直方向に複数の管群2が配置され、且つ、複数のスートブロワ3が配置される。図3においては、図1で示したボイラ管群付着灰除去システム1の3パスに、(a)過熱管22で構成される管群2が4つ配置された例、(b)過熱管22で構成される管群2が5つ配置された例、(c)過熱管22で構成される管群2が6つ配置された例の、3つの例を示す。
図3(a)においては、図1の構成に加え、過熱管22cで構成される管群2の下流(Y軸方向かつ上方)にこれに隣り合って配置され、過熱管22dで構成される管群2が配置される。また、過熱管22cで構成される管群2と過熱管22dで構成される管群2の間にスートブロワ3bが配置される。
図3(c)においては、図3(a)の構成に加え、過熱管22dで構成される管群2の下流にこれに隣り合って配置され、過熱管22eで構成される管群2と、この下流(Y軸方向かつ上方)にこれに隣り合って配置され、過熱管22fで構成される管群2がさらに配置される。また、過熱管22eで構成される管群2と過熱管22fで構成される管群2の間にスートブロワ3dが配置される。
図3(a)と図3(c)に示すように、スートブロワ3で付着灰除去する管群(ここでは、過熱管22で構成された管群)の数が、複数かつ偶数の場合、当該対象の管群の間の全てにスートブロワ3を配置することはしない。付着灰除去の費用対効果を鑑みて、当該対象の管群2のうち、上流の管群2から順に2つの管群2で一組のユニットを構成し、1つのユニットに1つのスートブロワ3を配置する。従って、配置される複数のスートブロワ3の数は、当該対象の管群の数の半数となる。
しかしながら、過熱管22eで構成される管群2の付着灰も看過できない場合、当該管群2の下流にスートブロワ3cを配置する。
そこで、[1]の場合、制御装置4は、図2のステップS6およびステップS9の各々の処理において、最も下流に配置されたスートブロワ3から上流に配置されたスートブロワ3に向かって、タイミングをずらして順番に起動する。すなわち、図3(a)の場合には、スートブロワ3bを起動した後、スートブロワ3aを起動する。また、図3(b)の場合には、スートブロワ3cを起動した後、スートブロワ3bを起動し、スートブロワ3bを起動した後、スートブロワ3aを起動する。同様に、図3(c)の場合には、スートブロワ3dを起動した後、スートブロワ3bを起動し、スートブロワ3bを起動した後、スートブロワ3aを起動する。
この順序で各スートブロワ3を起動することにより、ある管群2においてスートブロワ3で除去された付着灰が重力で下方に落下しつつ、上流に配置された別の管群に再付着した場合においても、再付着した付着灰を含め、確実に除去することができる。
一方、[2]の場合、制御装置4は、図2のステップS6およびステップS9の各々の処理において、最も上流に配置されたスートブロワ3から下流に配置されたスートブロワ3に向かって、タイミングをずらして順番に起動する。すなわち、図3(a)の場合には、スートブロワ3aを起動した後、スートブロワ3bを起動する。また、図3(b)の場合には、スートブロワ3aを起動した後、スートブロワ3bを起動し、スートブロワ3bを起動した後、スートブロワ3cを起動する。同様に、図3(c)の場合には、スートブロワ3aを起動した後、スートブロワ3bを起動し、スートブロワ3bを起動した後、スートブロワ3dを起動する。
この順序で各スートブロワ3を起動することにより、ある管群2においてスートブロワ3で除去された付着灰が排ガスの流れに乗って下流に移動しつつ、下流に配置された別の管群に再付着した場合においても、再付着した付着灰も含め、確実に除去することができる。
すなわち、図3(a)および図3(b)では、過熱管22aで構成される管群2が第一管群、過熱管22bで構成される管群2が第二管群、過熱管22cで構成される管群2が第三管群、過熱管22dで構成される管群2が第四管群に相当する。また、スートブロワ3aが第一スートブロワ、スートブロワ3bが第二スートブロワに相当する。図3(c)では、図3(a)および図3(b)と同じ場合のほか、過熱管22cで構成される管群2が第一管群、過熱管22dで構成される管群2が第二管群、過熱管22eで構成される管群2が第三管群、過熱管22fで構成される管群2が第四管群、スートブロワ3bが第一スートブロワ、スートブロワ3dが第二スートブロワに相当する場合もある。
第二変形例では、図1の3パスとエコノマイザ9の間に、水平方向(X軸方向)に延びる排ガスの流路が追加され、当該水平方向の流路にも、複数の管群2が配置され、且つ、複数のスートブロワ3が配置される。第二変形例のプラントのボイラ構造は、テールエンド型といわれる。
第二変形例は、第一変形例の一つである図3(c)の構成において、過熱管22cで構成される管群2から過熱管22fで構成される管群2までを、スートブロワ3b、3dを含んで、これらの上流から下流までの順序を変更することなく、水平方向に配置した構成である。なお、ここでは、過熱管22bで構成される管群2と過熱管22cで構成される管群2は、第一変形例と同様に、互いに隣り合って配置されていると考える。
従って、第二変形例には、鉛直方向で上流(Y軸方向且つ下方)から下流(Y軸方向且つ上方)に向かって順次配置された複数の管群2と、水平方向で一方向(X軸方向)に向かって順次配置された複数の管群2が存在する。
そこで、制御装置4は、図2のステップS6およびステップS9の各々の処理において、最も上流に配置されたスートブロワ3から下流に配置されたスートブロワ3に向かって、タイミングをずらして順番に起動する。すなわち、制御装置4は、スートブロワ3bを起動した後、スートブロワ3dを起動する。
この順序で各スートブロワ3を起動することにより、ある管群2においてスートブロワ3で除去された付着灰が排ガスの流れに乗って下流に移動しつつ、下流に配置された別の管群に再付着した場合においても、再付着した付着灰も含め、確実に除去することができる。
この順序で各スートブロワ3を起動することにより、ある管群2においてスートブロワ3で除去された付着灰が排ガスの流れに乗って下流に移動しつつ、下流に配置された別の管群に再付着した場合においても、再付着した付着灰も含め、確実に除去することができる。
すなわち、水平方向に配置された複数の管群2に着目した場合は、過熱管22cで構成される管群2が第一管群、過熱管22dで構成される管群2が第二管群、過熱管22eで構成される管群2が第三管群、過熱管22fで構成される管群2が第四管群、スートブロワ3bが第一スートブロワ、スートブロワ3dが第二スートブロワに相当する。
また、水平方向に配置された複数の管群2と鉛直方向に配置された複数の管群2を総合的に鑑みた場合は、図4では、過熱管22aで構成される管群2が第一管群、過熱管22bで構成される管群2が第二管群、過熱管22cで構成される管群2が第三管群、過熱管22dで構成される管群2が第四管群、スートブロワ3aが第一スートブロワ、スートブロワ3bが第二スートブロワに相当する。
第三変形例は、第二変形例において、3パスとエコノマイザ9の間の水平方向に延びる排ガスの流路を取り除いた代わりに、3パスとエコノマイザ9の間に蒸気ドラム19と水ドラム20を備えた2ドラム式のボイラを設置した構成である。当該流路を取り除くので、第二変形例で当該流路内に配置された管群2(22c〜22f)及びスートブロワ3(3b、3d)も取り除かれる。
また、第三変形例では、第二変形例の吊下管21とスートブロワ3aを取り除き、過熱管22a、22bを3パスの天井に吊り下げて配置した上、過熱管22aの上流に過熱管22aと隣り合ってスートブロワ3(3e)を配置する。
さらに、図1では、エコノマイザ9の管群2を付着灰除去の対象となる管群として考慮していなかったが、第三変形例では、エコノマイザ9の複数の管群2も付着灰除去の対象とする。従って、エコノマイザ9の内部で鉛直方向(Y軸方向)に配置された複数の管群、すなわち、水管23aで構成された管群2と、当該管群に隣り合ってその下流に配置され且つ水管23bで構成された管群2との間にスートブロワ3fを設置している。図5では、付着灰除去の対象となる管群2は、異なる種類の管群、すなわち、過熱管22で構成される管群2と、水管23で構成される管群2を含む。なお、過熱管22(22b)で構成される管群2と水管23(23a)で構成される管群2の間には、排ガスの流れの抵抗となる別の管群2は配置されていない。
そして、図1と異なり、複数の管群2の「出口」の排ガスの温度を測定する温度測定装置15bは、付着灰除去の対象である複数の管群2の中で最も下流に配置された水管23bで構成された管群2の下流に配置される。図5では、温度測定装置15bは、図1の圧力測定装置14bと実質的に同一の位置に配置される。
エコノマイザ9に付着灰が堆積した場合、エコノマイザ9から過熱管22への水の供給量が減少する。このため、過熱管22では、一見、熱交換が良好に行われているように過熱低減器17が噴霧水量Vを増加させる。そこで、噴霧水量Vが所定値v以上の場合、制御装置4は、付着灰判定処理において上記<1>の確度が高いと判定する。
一方、噴霧水量Vが所定値vより小さい場合、制御装置4は、付着灰判定処理において上記<2>の確度が高いと判定する。
なお、第三変形例においても、エコノマイザ9への付着灰の影響が小さい場合には、制御装置4は、図2のステップS7cと同一の処理を実行してもよい。
この順序で各スートブロワ3を起動することにより、上流に配置された管群2においてスートブロワ3で除去された付着灰が排ガスの流れに乗って下流に移動しつつ、下流に配置された別の管群に再付着した場合においても、再付着した付着灰も含め、確実に除去することができる。
すなわち、過熱管22aで構成される管群2が第一管群、過熱管22bで構成される管群2が第二管群、水管23aで構成される管群2が第三管群、水管23bで構成される管群2が第四管群、スートブロワ3eが第一スートブロワ、スートブロワ3fが第二スートブロワに相当する。
また、実施形態およびいずれの変形例も、本願の請求項6に対応する。
2・・・管群
3(3a〜3f)・・・スートブロワ
4・・・制御装置
5・・・ホッパ
6・・・フィーダ
7・・・ストーカ
8・・・灰シュート
9・・・エコノマイザ(管群2の一種)
10・・・減温塔
11・・・除塵装置
12・・・煙突
13・・・誘引送風機
14(14a、14b)・・・圧力測定装置
15(15a、15b)・・・温度測定装置
16・・・排ガス流量測定装置
17・・・過熱低減器
18・・・噴霧水量測定装置
19・・・蒸気ドラム
20・・・水ドラム
21・・・吊下管(スクリーン管)
22(22a〜22f)・・・過熱管(スーパーヒータ)
23(23a、23b)・・・水管
Claims (5)
- 排ガスから熱回収するボイラの複数の管群の付着灰を除去するボイラ管群付着灰除去システムであって、
前記複数の管群の間に配置されたスートブロワと、
前記複数の管群のうち、所定の管群の管内部に水を噴霧する過熱低減器と、
前記スートブロワの起動を制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、
前記ボイラの交換熱量を演算し、
前記演算した交換熱量が所定値以上の場合、前記演算から所定時間経過後に前記スートブロワを1回起動して前記交換熱量を再演算し、
前記演算した交換熱量が前記所定値未満の場合、前記付着灰の量が多い第一の場合と前記付着灰の量は少ないがプラントの運転環境または運転の諸条件によって前記交換熱量が算出された第二の場合のいずれの確度が高いかを判定する付着灰判定処理を実行し、前記付着灰判定処理で、前記第一の場合の確度が高く前記スートブロワの起動を必要とする第一判定結果が得られた場合、前記スートブロワを連続的に複数回起動した後に前記交換熱量を再演算し、前記付着灰判定処理で、前記第二の場合の確度が高く前記スートブロワの起動を必要としない第二判定結果が得られた場合、前記スートブロワを起動しないで前記交換熱量を再演算し、
前記付着灰判定処理は、前記複数の管群の入口と出口における前記排ガスの圧力差、前記入口と前記出口における前記排ガスの温度差、または前記過熱低減器の前記水の噴霧量のいずれか1つ、または、いずれか2つ、または、全てに基づいて実行され、
前記制御装置は、
前記付着灰判定処理が前記いずれか1つに基づいて実行される場合には、前記圧力差が第一閾値以上、前記温度差が第二閾値以下、または、前記噴霧量が第三閾値以下の場合に、前記第一判定結果を得て、前記スートブロワを連続的に複数回起動し、
前記付着灰判定処理が前記いずれか2つに基づいて実行される場合には、前記圧力差が前記第一閾値以上かつ前記温度差が前記第二閾値以下、前記圧力差が前記第一閾値以上かつ前記噴霧量が前記第三閾値以下、または、前記温度差が前記第二閾値以下かつ前記噴霧量が前記第三閾値以下の場合に、前記第一判定結果を得て、前記スートブロワを連続的に複数回起動し、
前記付着灰判定処理が前記圧力差かつ前記温度差かつ前記噴霧量に基づいて実行される場合には、前記圧力差が前記第一閾値以上、前記温度差が前記第二閾値以下、かつ、前記噴霧量が前記第三閾値以下の場合に、前記第一判定結果を得て、前記スートブロワを連続的に複数回起動すること
を特徴とするボイラ管群付着灰除去システム。 - 前記複数の管群の下流に配置されて前記排ガスの煤塵を除去するバグフィルタをさらに有し、
前記制御装置は、前記バグフィルタの逆洗が実行されている間は、前記スートブロワを起動せず、前記逆洗の終了を待って前記スートブロワを起動すること
を特徴とする請求項1に記載のボイラ管群付着灰除去システム。 - 前記複数の管群は、第一管群と、前記第一管群の下流に前記第一管群と隣り合って配置された第二管群と、前記第二管群の下流に前記第二管群と隣り合って配置された第三管群と、前記第三管群の下流に前記第三管群と隣り合って配置された第四管群とを備え、
前記スートブロワは、前記第一管群と前記第二管群との間に配置された第一スートブロワと、前記第三管群と前記第四管群との間に配置された第二スートブロワとを備え、
前記制御装置は、前記第一及び第二スートブロワを前記1回起動または前記複数回起動する際、
鉛直方向で下方から上方に向かって前記第一管群乃至前記第四管群が順次配置される場合、前記第二スートブロワを起動した後、前記第一スートブロワを起動し、または、前記第一スートブロワを起動した後、前記第二スートブロワを起動し、
水平方向で一方向に向かって前記第一管群乃至前記第四管群が順次配置される場合、前記第一スートブロワを起動した後、前記第二スートブロワを起動し、
鉛直方向で下方から上方に向かって前記第一管群及び前記第二管群が順次配置され、かつ、水平方向で一方向に向かって前記第三管群及び前記第四管群が順次配置される場合、前記第一スートブロワを起動した後、前記第二スートブロワを起動すること
を特徴とする請求項2に記載のボイラ管群付着灰除去システム。 - 前記複数の管群は、第一管群と、前記第一管群の下流に前記第一管群と隣り合って配置された第二管群と、前記第二管群の下流に配置された第三管群と、前記第三管群の下流に前記第三管群と隣り合って配置された第四管群とを備え、
前記スートブロワは、前記第一管群の上流に前記第一管群と隣り合って配置された第一スートブロワと、前記第三管群と前記第四管群との間に配置された第二スートブロワとを備え、
前記制御装置は、前記第一及び第二スートブロワを前記1回起動または前記複数回起動する際、前記第一スートブロワを起動した後、前記第二スートブロワを起動すること
を特徴とする請求項2に記載のボイラ管群付着灰除去システム。 - 前記スートブロワは、ガスを爆発させることで衝撃波を発生するショックパルス式スートブロワであること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のボイラ管群付着灰除去システム。
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