JP2010090103A - 新規オリゴヌクレオチド誘導体及びそれから成るNF−κBデコイ - Google Patents
新規オリゴヌクレオチド誘導体及びそれから成るNF−κBデコイ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】特定の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、その相補鎖が、特定のリンカーで結合されたヘアピン型の二本鎖オリゴヌクレオチドが、公知のNF-κBデコイよりも高いNF-κB結合親和性を発揮する。
【選択図】図3
Description
Nn1-X1-Nn2-L-X2 (I)
X2-L-Nn1-X1-Nn2 (II)
(これらの式中、
Nはa、c、g又はtを表わし、
n1は1ないし5の整数を表わし、
n2は、1ないし3の整数を表わし、
X1は5'-ggrhtyyh-3'の塩基配列(ここでrはa又はg、hはc、a又はt、yはc又はtを表わす)を表わし、
X2は、Lをループ部として二つ折りにした際にNn1-X1-Nn2に対し相補的である塩基配列を表し、
Lは-OPO2-(OCH2CH2)n3-OPO2O-、-OPO2-(OCH2CH2CH2)n3-OPO2O-又は-OPO2O-(CH2)n4-OPO2O-を表わし、
n3は4ないし8の整数を表わし、
n4は3ないし12の整数を表わす)。
(1) 18-O-ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール,1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト{18-O-Dimethoxytritylhexaethyleneglycol,1-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite}
(商品名:Spacer Phosphoramidite 18、米国Glen Research社)
(エチレングリコール単位6個から成るリンカー部を結合)
(2) 9-O-ジメトキシトリチルトリエチレングリコール,1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト
{9-O-Dimethoxytrityl-triethylene glycol,1-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite}
(商品名:Spacer Phosphoramidite 9、米国Glen Research社)
(エチレングリコール単位3個から成るリンカー部を結合)
(3) DMT-ドデカン-ジオール ホスホロアミダイト
DMT-dodecane-Diol phosphoramidite
(商品名:Spacer 12、米国ChemGenes社)
(エチレングリコール単位4個から成るリンカー部を結合)
(1) 3-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)プロピル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト
{3-(4,4'-Dimethoxytrityloxy)propyl-1-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite}
(商品名:Spacer Phosphoramidite C3、米国Glen Research社)
(プロピレン鎖から成るリンカー部を結合)
(2) DMT-ブタン-ジオール ホスホロアミダイト
(DMT-butane-Diol phosphoramidite)
(商品名:C-4 Spacer、米国ChemGenes社)
(ブチレン鎖から成るリンカー部を結合)
(3) DMT-ヘキサン-ジオール ホスホロアミダイト
(DMT-hexane-Diol phosphoramidite)
(商品名:C-6 Spacer、米国ChemGenes社)
(ヘキシレン鎖から成るリンカー部を結合)
(4) DMT-ノナン-ジオール ホスホロアミダイト
(DMT-nonane-Diol phosphoramidite)
(商品名:C-9 Spacer、米国ChemGenes社)
(ノニレン鎖から成るリンカー部を結合)
(5) 12-(4,4'-ジメトキシトリチルオキシ)ドデシル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト
{12-(4,4'-Dimethoxytrityloxy)dodecyl-1-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite}
(商品名:Spacer C12 CE Phosphoramidite、米国Glen Research社)
(ドデシレン鎖から成るリンカー部を結合)
1.免疫系疾患
大動脈炎症候群(高安動脈炎)
バージャー病(ビュルガー病)
結節性動脈周囲炎
ウェゲナー肉芽腫症
アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグ・ストラウス症候群)
全身性エリテマトーデス
多発性筋炎・皮膚筋炎
シェーグレン症候群
成人スティル病
2.神経・筋疾患
パーキンソン病
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
多発性硬化症(MS)
3.呼吸器系疾患
特発性間質性肺炎
サルコイドーシス
原発性肺高血圧症
4.消化器系疾患
自己免疫性肝炎
劇症肝炎
重症急性膵炎
5.皮膚・結合組織疾患
強皮症
6.骨・関節系疾患
広範脊柱管狭窄症
7.腎・泌尿器系疾患
IgA腎症
急速進行性糸球体腎炎
Tm解析システム(UV-1650PC/TMSPC-8:SHIMADZU社製)を使用して、PBS溶液中における各デコイの吸光度を1℃〜99℃の範囲で、複数回測定し、各温度における二本鎖の解離をモニターした。温度−吸光度曲線から、微分法で各Tm値(℃)を算出した。
各デコイ溶液にマウス血漿を添加し(核酸の終濃度10μmol/L、マウス血漿90%)、37℃で0〜24時間反応させた。反応後、市販の転写因子アッセイキット(TransAM(商品名)NF-κB p65:Cat.No.40096:Active Motif, Inc社)を用い、NF-κBコンセンサス配列が固相化されているプレートへ上記核酸反応液と、Jurkat 細胞(ヒトTリンパ腫由来)核抽出液を添加し反応(室温、1時間)させた。洗浄後、一次抗体(抗NF-κB p65抗体)と二次抗体(HRP-抗IgG抗体)をキット説明書に従って添加、洗浄し、化学発光法を用いて測定した。
各デコイ溶液の濃度値を対数に変換し、横軸を対数に変換した濃度値(0.005〜167nmol/Lの濃度内で5〜10点)、縦軸に各群のパーセンテージ値をプロットし、近似曲線を作成し、各反応時間におけるIC50(inhibition concentration 50%)を算出した。
各デコイ溶液にマウス血漿を添加し(核酸の終濃度10μmol/L、マウス血漿90%)、37℃で0〜24時間反応させた。反応後、20%非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動で、100V、100分間分離した。2.5μg/mLエチジウムブロマイド水溶液で20分間染色した後、脱イオン水で15分間脱染色し、UVトランスイルミネーターで蛍光バンドとして可視化した。得られたゲルの画像を、画像解析装置(LAS-3000 UVmini:FUJI FILM社)で撮影すると共に、可視化された完全長のデコイ核酸化合物を装置付属のソウトウェアで定量した。
マウスマクロファージ由来RAW264.7細胞を播種(6ウェルプレート: 6.0〜9.0×105細胞/ウェル/2mL)し、37℃、5%CO2で24時間培養(10%FBS含有RPMI1640)した。各デコイ核酸(最終濃度は比較例1の二本鎖DNA:0.12〜4μmol/L、その他のデコイ:0.00012〜1.2μmol/L)を、DMRIE-C遺伝子導入用試薬(Invitrogen社)により細胞に導入した(4Hr、24Hrともに4時間導入)。24Hrの場合は4時間導入後に洗浄し、RPMI1640培養液で20時間培養した。その後細胞を洗浄し、LPS刺激(100ng/mL、1時間)を加えた。細胞洗浄の後、細胞の核抽出液を調製し、市販の転写因子アッセイキット(TransAM(商品名)NF-κB p65:Cat.No.40096:Active Motif, Inc社)を利用して、各核抽出サンプルにおける結合阻害活性を測定した。(上記結合活性試験参照)
演算はMicrosoft Excel 2002(商品名、Microsoft社)を使用した。平均値はExcelの関数AVERAGE、標準偏差(S.D.)は関数STDEVを用いて演算した。データは3例の平均値±標準偏差として表した。
HeLa細胞をTrypsin-EDTA処置により一度剥離させ、播種(96well plate: 1.0×104 細胞/ウェル/50μL、10%FBS含有RPMI1640)した。次に、10%FBS MEM培地で調製した6,20,60および200μmol/Lの各デコイを50μLずつ添加し、37℃、5%CO2で24時間培養した後、WST-1法より生細胞のミトコンドリア代謝活性を指標に、細胞増殖を測った。
横軸に各デコイの濃度値(3、10、30、100 μmol/L)、縦軸に各濃度における無処置群の測定値を100%にした時のパーセンテージ値をプロットし、50%を挟む二点より LC50(半数致死濃度)を算出し、各群のLC50値と比較例1のLC50値との比を求めた。
NanoDrop ND-1000 Spectrophotometer (商品名、NanoDrop Technologies, LLC)を用い、各サンプルのUV(水)λmaxを測定した。
7.HPLC保持時間
各サンプルを下記条件の逆相イオン対HPLCにて分析し、保持時間を測定した。
装置:SHIMADZU prominence(商品名、島津製作所)
カラム:Waters Xbridge C18(商品名、日本ウォーターズ、2.5μm、4.6×75mm)
カラム温度:50℃
A液:5%アセトニトリル, 0.1Mトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH7.0)
B液:90%アセトニトリル, 0.1Mトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH7.0)
グラジエントB液濃度:0%-30%(30min)
流速:1mL/min
検出波長:260nm
以下の構造を有する30種類のオリゴヌクレオチド誘導体を後記方法並びに合成例に従って調製した。
(1) 5'-agsggsgasttstcsccsc-(CH2CH2O)6-ggsggsaasatsccsccst-3'(実施例1)
(2) 5'-ggsggsaasatsccsccst-(CH2CH2O)6-agsggsgasttstcsccsc-3'(実施例2)
(3) 5'-agsggsgasttstcsccscs-(CH2CH2O)6-sggsggsaasatsccsccst-3'(実施例3)
(4) 5'-ggsggsaasatsccsccsts-(CH2CH2O)6-sagsggsgasttstcsccsc-3'(実施例4)
(5) 5'-agsgsggsasttstsccscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsaasastcscsccst-3'(実施例5)
(6) 5'-gggsgsaasastcscsccst-(CH2CH2O)6-agsgsggsasttstsccscsc-3'(実施例6)
(7) 5'-gggsgsaasastcscsccsts-(CH2CH2O)6-sagsgsggsasttstsccscsc-3'(実施例7)
(8) 5'-agsgsgsgastststcscscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsasaastscsccscst-3'(実施例8)
(9) 5'-gggsgsasaastscsccscst-(CH2CH2O)6-agsgsgsgastststcscscsc-3'(実施例9)
(10) 5'-agsgsgsgastststcscscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsasaastscsccscst-3'(実施例10)
(11) 5'-gggsgsasaastscsccscsts-(CH2CH2O)6-sagsgsgsgastststcscscsc-3'(実施例11)
(12) 5'-asgsgsgsgsastststscscscsc-(CH2CH2O)6-gsgsgsgsasasastscscscscst-3'(実施例12)
(13) 5'-asgsgsgsgsastststscscscscs-(CH2CH2O)6-sgsgsgsgsasasastscscscscst-3'(実施例13)
(14) 5'-gsgsgsgsasasastscscscscst-(CH2CH2O)6-asgsgsgsgsastststscscscsc-3'(実施例14)
(15) 5'-gsgsgsgsasasastscscscscsts-(CH2CH2O)6-sasgsgsgsgsastststscscscsc-3'(実施例15)
(16) 5'-agsgsggsasttstsccscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsaasastcscsccst-3' (実施例16)
(17) 5'-gsggsgasttstcsccsc-(CH2CH2O)6-ggsggsaasatsccscc-3' (実施例17)
(18) 5'-ggsggsaasatsccscc-(CH2CH2O)6-gsggsgasttstcsccsc-3' (実施例18)
(19) 5'-gsggsgasttstcsccscs-(CH2CH2O)6-sggsggsaasatsccscc-3' (実施例19)
(20) 5'-ggsggsaasatsccsccs-(CH2CH2O)6-sgsggsgasttstcsccsc-3' (実施例20)
(21) 5'-gsgsggsasttstsccscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsaasastcscscc-3' (実施例21)
(22) 5'-ggsggsasttstsccscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsaasastcscscsc-3' (実施例22)
(23) 5'-gggsgsaasastcscscc-(CH2CH2O)6-gsgsggsasttstsccscsc-3' (実施例23)
(24) 5'-gsgsggsasttstsccscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsaasastcscscc-3' (実施例24)
(25) 5'-gggsgsaasastcscsccs-(CH2CH2O)6-sgsgsggsasttstsccscsc-3' (実施例25)
(26) 5'-gsgsgsgastststcscscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsasaastscsccsc-3' (実施例26)
(27) 5'-gggsgsasaastscsccsc-(CH2CH2O)6-gsgsgsgastststcscscsc-3' (実施例27)
(28) 5'-gsgsgsgastststcscscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsasaastscsccsc-3' (実施例28)
(29) 5'-gggsgsasaastscsccscs-(CH2CH2O)6-sgsgsgsgastststcscscsc-3' (実施例29)
(30) 5'-gsggsasttstsccsc-(CH2CH2O)6-ggsgsaasastcscsc-3' (実施例30)
((1)〜(30)中、添え字sは、sの両隣のヌクレオチド同士又はsの両隣のヌクレオチドとエチレングリコール単位がホスホロチオエート結合していることを示す)。
DNA自動合成装置ABI394(Applied Biosystems社製)を用いて、ホスホロアミダイト法により、固相支持体上に所望のオリゴヌクレオチドを以下のように合成した。合成装置に、保護された3’末端ヌクレオチド(dT)を予め結合した多孔性ガラス(Controlled Pore Glass: CPG)を含む合成用カラムを装着し、脱保護溶液、活性化溶液および3'末端の隣に隣接するヌクレオチド(dC)のβ-シアノエチルホスホロアミダイト(アセトニトリル溶液)、酸化溶液、キャッピング溶液(CapA溶液とCapB溶液との1:1混合液)の順に反応溶液を合成用カラムに通し、ヌクレオチド間ホスホジエステル結合を形成させた。ヌクレオチド間連結がホスホロチオエートの場合、酸化溶液の代わりに無水アセトニトリルに溶解したS化試薬を使用した。各試薬の濃度および使用量は、製造元の指示書に従った。以下同様にして、3'→5'方向に順次1塩基ずつ延長合成した。Spacer 18 phosphoramidite(商品名)を、該商品に添付の指示書に従い、合成したオリゴヌクレオチドの5'末端に結合し、次いで、前記と同様に、Spacer 18 phosphoramidite(商品名)の他端側に結合するオリゴヌクレオチドを3'→5'方向に順次1塩基ずつ延長合成した。
28%アンモニア水溶液で室温、2時間処理し、オリゴヌクレオチド誘導体をCPGより切り出した。さらに、その溶液を65℃、6時間処理し、塩基部分の保護基およびリン酸部分の保護基を脱離させた。
Oligo R3担体(Applied Biosystems社製)を充填した固相抽出カラムに0.1Mトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH7.0)を加えて平衡化し、そこに精製前のオリゴヌクレオチドを入れて吸着させ、0.1Mトリエチルアミン酢酸緩衝液(pH7.0):アセトニトリル(9:1)を添加して不完全なオリゴヌクレオチドを洗い出した後、2%トリフルオロ酢酸水溶液の添加によって完全長のオリゴヌクレオチドから5'末端のジメトキシトリチル基を脱離させ、水を通して1回洗浄した。次に、20%アセトニトリルを添加してオリゴヌクレオチドを溶出させた。次いで、その溶出液から凍結乾燥により溶媒を蒸発させ、オリゴヌクレオチド誘導体を得た。
以下の構造を有する、S化された通常の二本鎖DNAを常法により合成した(塩基配列は配列番号2に示す。)
3'-GsGsAsAsCsTsTsCsCsCsTsAsAsAsGsGsGsAsGsG-5'
(添え字sは、sの両隣のヌクレオチド同士がホスホロチオエート結合していることを示す)。
上記新規オリゴヌクレオチド誘導体(実施例1〜30)及び比較例1の二本鎖DNAについて、上記した測定方法、又は測定方法を先に記載していない特性については常法により、各種特性を測定した。結果を下記表1−1及び表1−2に示す。
(i) 0Hr
無細胞系(セルフリー系)での、マウス血漿90%存在下で反応時間0Hr(0時間、以下同様)における、各化合物のNF-κB結合に対するIC50値である。実際には、各デコイ溶液にマウス血漿を添加後、3秒以内に測定した値を便宜上0Hrの値とした。
無細胞系での、マウス血漿90%存在下で反応時間24Hrにおける、各化合物のNF-κB結合に対するIC50値である。比較例1のIC50値が0Hrと24Hrの間で殆ど変わらないのに対し、実施例1〜16、21および23〜25の各化合物では24HrのIC50が増加している。これは各化合物がマウス血漿により分解されていることを示す。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は生体に適用するのが目的であり、血漿成分に対する耐性と同時に、副作用を考慮すると適度に代謝を受けることも望ましい。生体では、生理活性を有する天然の物質は、いずれも分解と生合成のバランスにより適切な濃度に維持され、生体の恒常性が保たれるようになっている。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、比較例1と比較し代謝されやすい特長を有することが明らかである。
同じく無細胞系における本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の核酸としての血漿に対する生化学的安定性を示すデータである。
(i) 4Hrs
培養細胞系でのNF-κB阻害作用を示すデータであり、各化合物の細胞内・外耐性、細胞膜透過性を含んだ値である。本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、比較例1の二本鎖DNAと比較し約20〜500倍のポテンシャルを有することが明らかである。
前述のように、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は比較例1の二本鎖DNAと比較し分解されやすい特長を有するが、24時間後においても、なお比較例1の二本鎖DNAより3〜14倍のポテンシャルを有することが明らかである。
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は、比較例1の二本鎖DNAと比較して、LC50が約1.5〜3.8倍高く優れていた。
本発明のオリゴヌクレオチド誘導体の物理学的(熱力学的)安定性を示すデータである。比較例1の二本鎖DNAは、ヒトを始めとするほ乳類の体温より若干高い程度の熱力学的安定性しか有さず、例えば軟膏等の製剤化工程においてほとんど加熱することができないが、本発明のオリゴヌクレオチド誘導体は一般的製剤工程における温度条件であれば安定である。
各化合物の物性値データである。
実施例5のオリゴヌクレオチド誘導体を生理食塩水に溶解して2.5μg/mLおよび5μg/mLに調整し、BALB/cマウス(7週令、雌、1群10匹)へ100μL/匹で経気管内投与した。投与3日後に、リポ多糖(LPS、500μg/mL)を100μL/匹で経気管内投与し、投与24時間後に生理食塩水2mL/匹で肺を洗浄した。この肺胞洗浄液を回収し、含まれるIL-6の濃度をELISA法により測定した。肺胞洗浄液を生理食塩水で希釈し、市販のマウスIL-6免疫測定用キット(Mouse IL-6 Immunoassay(商品名)(R&D systems社製))を用いて、添付書類にしたがって実験を行った。吸光度(450/650nm)の測定には、Wallac1420ARVOsx(商品名、株式会社パーキンエルマージャパン)を用いた。対照群には、オリゴヌクレオチド誘導体を含まない生理食塩水を投与した。
演算はMicrosoft Excel 2002(商品名、Microsoft)を使用した。平均値はExcel(商品名)の関数AVERAGEを,標準誤差(S.E.)は関数STDEV、SQRT、COUNTを用いて演算した。有意差検定は統計解析ソフトSAS前臨床パッケージver5.0(SAS Institute Japan)を用い、危険率5%未満を統計学的に有意であるとした。他群間の比較は、分散分析を実施し、等分散の場合はパラメトリックなDunnett検定、不等分散の場合はノンパラメトリックなDunnett検定を実施した。
(1)比較例1の二本鎖DNAの作用
比較例1の二本鎖DNAを生理食塩水に溶解して1,10,100および1000μg/mLに調整し、BALB/cマウス(7週齢、雌、1群6〜16匹)へ100μL/匹で気管内投与した。対照群には二本鎖DNAを含まない生理食塩水を投与した。翌日LPS 500μg/mLを100μL/匹で気管内投与した。LPS投与24時間後に生理食塩水2mL/匹で肺を洗浄し(肺胞洗浄液)、肺胞洗浄液中のIL-6産生量をELISA法により測定した。実施例32と同様の手法でデータ解析を行なった。
比較例1の二本鎖DNA及びオリゴヌクレオチド誘導体(実施例10及び16)を生理食塩水に溶解して5μg/mLに調整し、BALB/cマウス(7週齢、雌、1群9匹)へ100μL/匹で気管内投与した。対照群には生理食塩水を投与した。投与3日後にLPS 500μg/mLを100μL/匹で気管内投与した。LPS投与24時間後に生理食塩水2mL/匹で肺を洗浄し(肺胞洗浄液)、肺胞洗浄液中のIL-6産生量をELISA法により測定した。実施例32と同様の手法でデータ解析を行なった。
Claims (13)
- 下記一般式(I)又は(II)で表されるオリゴヌクレオチド誘導体。
Nn1-X1-Nn2-L-X2 (I)
X2-L-Nn1-X1-Nn2 (II)
(これらの式中、
Nはa、c、g又はtを表わし、
n1は1ないし5の整数を表わし、
n2は、1ないし3の整数を表わし、
X1は5'-ggrhtyyh-3'の塩基配列(ここでrはa又はg、hはc、a又はt、yはc又はtを表わす)を表わし、
X2は、Lをループ部として二つ折りにした際にNn1-X1-Nn2に対し相補的である塩基配列を表し、
Lは-OPO2-(OCH2CH2)n3-OPO2O-、-OPO2-(OCH2CH2CH2)n3-OPO2O-又は-OPO2O-(CH2)n4-OPO2O-を表わし、
n3は4ないし8の整数を表わし、
n4は3ないし12の整数を表わす)。 - 前記一般式(I)又は(II)中、X1がggatttcc又はggactttcである請求項1記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記一般式(I)又は(II)中、n1が2ないし4であり、n2が1又は2である請求項1又は2記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記一般式(I)又は(II)中、Lが式-OPO2-(OCH2CH2)n3-OPO2O-で表わされる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記一般式(I)又は(II)中、Lが式-OPO2O-(CH2)n4-OPO2O-で表わされる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記一般式(I)で表わされ、X2の5'-末端とNn2の3'-末端が、前記式-OPO2-(OCH2CH2)n3-OPO2O-又は前記式-OPO2O-(CH2)n4-OPO2O-で表わされる構造により結合されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記一般式(II)で表わされ、Nn1の5'-末端とX2の3'-末端が、前記式-OPO2-(OCH2CH2)n3-OPO2O-又は前記式-OPO2O-(CH2)n4-OPO2O-で表わされる構造により結合されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記一般式(I)又は(II)中、Nn1-X1-Nn2がaggggatttcccc、ggggatttcccc又はgggatttcccである請求項1ないし7のいずれか1項に記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 前記一般式(I)又は(II)中、Lが-(CH2CH2O)6-である請求項8記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
- 下記(1)〜(30)から成る群より選ばれる構造を有する請求項9記載のオリゴヌクレオチド誘導体。
(1) 5'-agsggsgasttstcsccsc-(CH2CH2O)6-ggsggsaasatsccsccst-3'
(2) 5'-ggsggsaasatsccsccst-(CH2CH2O)6-agsggsgasttstcsccsc-3'
(3) 5'-agsggsgasttstcsccscs-(CH2CH2O)6-sggsggsaasatsccsccst-3'
(4) 5'-ggsggsaasatsccsccsts-(CH2CH2O)6-sagsggsgasttstcsccsc-3'
(5) 5'-agsgsggsasttstsccscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsaasastcscsccst-3'
(6) 5'-gggsgsaasastcscsccst-(CH2CH2O)6-agsgsggsasttstsccscsc-3'
(7) 5'-gggsgsaasastcscsccsts-(CH2CH2O)6-sagsgsggsasttstsccscsc-3'
(8) 5'-agsgsgsgastststcscscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsasaastscsccscst-3'
(9) 5'-gggsgsasaastscsccscst-(CH2CH2O)6-agsgsgsgastststcscscsc-3'
(10) 5'-agsgsgsgastststcscscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsasaastscsccscst-3'
(11) 5'-gggsgsasaastscsccscsts-(CH2CH2O)6-sagsgsgsgastststcscscsc-3'
(12) 5'-asgsgsgsgsastststscscscsc-(CH2CH2O)6-gsgsgsgsasasastscscscscst-3'
(13) 5'-asgsgsgsgsastststscscscscs-(CH2CH2O)6-sgsgsgsgsasasastscscscscst-3'
(14) 5'-gsgsgsgsasasastscscscscst-(CH2CH2O)6-asgsgsgsgsastststscscscsc-3'
(15) 5'-gsgsgsgsasasastscscscscsts-(CH2CH2O)6-sasgsgsgsgsastststscscscsc-3'
(16) 5'-agsgsggsasttstsccscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsaasastcscsccst-3'
(17) 5'-gsggsgasttstcsccsc-(CH2CH2O)6-ggsggsaasatsccscc-3'
(18) 5'-ggsggsaasatsccscc-(CH2CH2O)6-gsggsgasttstcsccsc-3'
(19) 5'-gsggsgasttstcsccscs-(CH2CH2O)6-sggsggsaasatsccscc-3'
(20) 5'-ggsggsaasatsccsccs-(CH2CH2O)6-sgsggsgasttstcsccsc-3'
(21) 5'-gsgsggsasttstsccscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsaasastcscscc-3'
(22) 5'-ggsggsasttstsccscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsaasastcscscsc-3'
(23) 5'-gggsgsaasastcscscc-(CH2CH2O)6-gsgsggsasttstsccscsc-3'
(24) 5'-gsgsggsasttstsccscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsaasastcscscc-3'
(25) 5'-gggsgsaasastcscsccs-(CH2CH2O)6-sgsgsggsasttstsccscsc-3'
(26) 5'-gsgsgsgastststcscscsc-(CH2CH2O)6-gggsgsasaastscsccsc-3'
(27) 5'-gggsgsasaastscsccsc-(CH2CH2O)6-gsgsgsgastststcscscsc-3'
(28) 5'-gsgsgsgastststcscscscs-(CH2CH2O)6-sgggsgsasaastscsccsc-3'
(29) 5'-gggsgsasaastscsccscs-(CH2CH2O)6-sgsgsgsgastststcscscsc-3'
(30) 5'-gsggsasttstsccsc-(CH2CH2O)6-ggsgsaasastcscsc-3'
((1)〜(30)中、添え字sは、sの両隣のヌクレオチド同士又はsの両隣のヌクレオチドとエチレングリコール単位がホスホロチオエート結合していることを示す)。 - 請求項1ないし10のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体から成るNF-κBデコイ。
- 請求項1ないし10のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド誘導体を有効成分として含有する医薬。
- 静脈内投与用である、請求項12記載の医薬。
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