JP2010089861A - フォークリフトの転倒警告装置 - Google Patents

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Kazunari Okabe
一成 岡部
Satoshi Matsuda
諭 松田
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【課題】空気入りタイヤがパンクしていない場合であっても、フォークリフトの傾きによる転倒を警告することができるフォークリフトの転倒警告装置を提供することにある。
【解決手段】空気入りタイヤで走行するフォークリフトの転倒を警告するフォークリフトの転倒警告装置であって、フォークリフトの転倒の警告を出す警告装置31と、空気入りタイヤ11,12の空気圧を検出する圧力センサ21,22と、圧力センサで検出された検出信号に基づき空気入りタイヤ11,12のたわみ量を演算し、この空気入りタイヤのたわみ量に基づきフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告装置31を制御する制御装置30とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フォークリフトの転倒警告装置に関し、詳細には空気入りタイヤで走行するフォークリフトに適用して好適なフォークリフトの転倒警告装置に関する。
フォークリフトの安定性は、積み荷をしている場合には、車両と積み荷の合成重心位置に依存している。そのため、フォークリフトでは、図12に示すように、合成重心位置Gが左右の前側タイヤ101,102(駆動輪)の設置点101a,102aと、左右の後側タイヤ103,104(操舵輪)の車軸106の支点106aの3点からなる安定領域ST内にあるように、積み荷の許容荷重や、走行可能な傾斜面の傾斜角度など設計されている。ところが、フォークリフトに装着される空気入りタイヤがパンクなどした場合には、合成重心位置が安定領域の外側に出て、フォークリフトが転倒してしまう可能性がある。そのため、フォークリフトの傾きによる転倒を防止する装置として種々開発されている。
例えば、特許文献1に記載の産業車両の転倒防止装置では、車体の下方へ突出動自在なシリンダロッドが設けられ、このシリンダロッドの下方端に地面と摺動するそり板部材が取付けられている。そして、各空気タイヤに設けられた圧力センサから入力される検出信号に基づき求められた各空気タイヤの空気圧が最低空気圧より低い場合、または圧力センサからの検出信号に基づき求められた、所定時期の各タイヤの空気圧減少率が初期の各タイヤの空気圧減少率より大きい場合には、何れかの空気タイヤにパンクが発生したとして判断し、ピストンロッドの突出動によってそり板部材を接地させている。これにより、産業車両の転倒防止装置は、車両の著しい傾きの発生をなくして車両の転倒を防止している。
特開平7−144899号公報(明細書の実施例1、[図1],[図2],[図3]など参照)
しかしながら、上述した産業車両の転倒防止装置では、車両の著しい傾きの発生をなくして車両の転倒を防止するものの、空気タイヤからの空気の抜けにより、フォークリフトが傾き、この状態で積み荷を積載した場合や傾斜面を走行した場合にフォークリフトの転倒を招いてしまう可能性があった。すなわち、空気入りタイヤで走行するフォークリフトにて当該空気入りタイヤがパンクしていない場合であっても、空気入りタイヤから空気が抜けて当該空気入りタイヤがたわんで、その空気入りタイヤ側へフォークリフトが傾く。この傾きが大きいときに、積み荷を積載したり傾斜面を走行したりする場合にはフォークリフトの合成重心位置が上述した安定領域から外れて、フォークリフトの転倒を招いてしまう可能性があった。
そこで、本発明は、前述した問題に鑑み提案されたもので、空気入りタイヤがパンクしていない場合であっても、フォークリフトの傾きによる転倒を警告することができるフォークリフトの転倒警告装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決する第1の発明に係るフォークリフトの転倒警告装置は、
空気入りタイヤで走行するフォークリフトの転倒を警告するフォークリフトの転倒警告装置であって、
フォークリフトの転倒の警告を出す警告手段と、
前記空気入りタイヤの空気圧を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段で検出された検出信号に基づき前記空気入りタイヤのたわみ量を演算するたわみ量演算手段と、
前記たわみ量演算手段で演算された空気入りタイヤのたわみ量に基づきフォークリフトの転倒を予測する転倒予測手段と、
前記転倒予測手段でフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告手段を制御する警告制御手段とを具備する
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第2の発明に係るフォークリフトの転倒警告装置は、
第1の発明に係るフォークリフトの転倒警告装置であって、
前記フォークリフトの前側に設けられた左右の前側空気入りタイヤを具備し、
前記転倒予測手段が、左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を演算し、当該左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差に基づきフォークリフトの転倒を予測する
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第3の発明に係るフォークリフトの転倒警告装置は、
第1の発明に係るフォークリフトの転倒警告装置であって、
前記フォークリフトの前側および後側に設けられた左右の前側および後側空気入りタイヤを具備し、
前記転倒予測手段が、前側空気入りタイヤのたわみ量の平均値および後側空気入りタイヤのたわみ量の平均値を演算すると共に、前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差を演算し、当該前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差に基づきフォークリフトの転倒を予測する
ことを特徴とする。
上述した課題を解決する第4の発明に係るフォークリフトの転倒警告装置は、
第1の発明に係るフォークリフトの転倒警告装置であって、
前記フォークリフトの前側に設けられた左右の前側空気入りタイヤと、
時間を計測する時間計測手段と、
前記時間計測手段で計測された時間が所定時間を経過したか判定する経過時間判定手段と、
前記経過時間判定手段が前記所定時間を経過していないと判定した場合に、前記圧力検出手段を制御して前記空気入りタイヤの空気圧の検出を行うと共に、前記たわみ量演算手段を制御して前記空気入りタイヤのたわみ量の演算を行う作業制御手段とを具備し、
前記転倒予測手段が、各時間における左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を演算し、当該各時間における左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を近似式で演算して、得られた近似データに基づきフォークリフトの転倒を予測する
ことを特徴とする。
本発明に係るフォークリフトの転倒警告装置によれば、空気入りタイヤがパンクしていない場合であっても、フォークリフトの傾きによる転倒を警告することができる。
本発明に係るフォークリフトの転倒警告装置の最良の形態について、各実施形態にて具体的に説明する。
[第一の実施形態]
本発明に係るフォークリフトの転倒警告装置の第一の実施形態について、図1、図2、図3、図4を参照して説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置の模式図であり、図2は、本発明の第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置のフローチャートであり、図3は、空気入りタイヤの空気圧と空気入りタイヤのたわみ量との関係を示すグラフであり、図4は、左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差とフォークリフトの左右の傾きとの関係を説明するための図である。図1にて、矢線FRがフォークリフトの前方向を示す。
本実施形態では、空気入りタイヤで走行するフォークリフトの左右の転倒を防止する場合について説明する。
本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置は、図1に示すように、空気圧センサ(圧力検出手段)21,22、制御装置30、警告装置(警告手段)31などを具備する。なお、符号11がフォークリフトの左前側空気入りタイヤ(駆動輪)を示し、符号12がフォークリフトの右前側空気入りタイヤ(駆動輪)を示し、符号13がフォークリフトの左後側空気入りタイヤを示し、符号14がフォークリフトの右後側空気入りタイヤを示し、符号16が左右の後側空気入りタイヤ13,14(操舵輪)の車軸を示す。符号Gが、フォークリフトの合成重心位置を示し、符号STが安定領域を示す。なお、フォークリフトの前側には、積荷を支持するフォーク(図示せず)と、前記フォークを上下動に駆動する駆動装置(図示せず)などが設けられている。
空気圧センサ21,22は、フォークリフトの左前側空気入りタイヤ11およびフォークリフトの右前側空気入りタイヤ12のそれぞれに設けられ、それぞれに対応する空気入りタイヤ11,12の空気圧を計測し、この計測データを制御装置30へ無線で送信する機器である。
制御装置30は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAMなど)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどを備えたマイクロコンピュータからなる。制御装置30には、警告装置31が接続されている。警告装置31は、空気入りタイヤ11,12の異常をフォークリフトの作業者に報せる装置であり、警報ブザーや警報ランプなどが挙げられる。
そして、制御装置30は、空気圧センサ21,22で検出された左右の前側空気入りタイヤ11,12の空気圧から各空気入りタイヤ11,12のたわみ量を演算するたわみ量演算手段と、これら空気入りタイヤ11,12のたわみ量に基づきフォークリフトの転倒を予測する転倒予測手段と、転倒予測手段でフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告装置31を制御する警告制御手段とを具備する。具体的には、制御装置30は、空気圧センサ21,22で検出された左右の前側空気入りタイヤ11,12の空気圧から各空気入りタイヤ11,12のたわみ量を演算し、これら空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差を演算する。さらに、制御装置30は、左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差からフォークリフトの左右の傾きθWを演算する。そして、制御装置30は、フォークリフトの左右の傾きθWと予め決められた所定の傾きθS1とを対比して、演算して得られた傾きθWが所定の傾きθS1と同じまたは大きい場合には、警告装置31を制御してフォークリフトの転倒の警告を出している。
このような制御装置30の制御について、図2〜4を用いて説明する。
最初に、制御装置30は、図2に示すように、空気圧センサ21,22からのデータ(左前側空気入りタイヤ11の空気圧および右前側空気入りタイヤ12の空気圧)を受信する(ステップS11)。
続いて、ステップS12に進み、このステップS12にて、左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量を演算する。すなわち、予め与えられた所定のマップ、例えば、空気入りタイヤの空気圧と空気入りタイヤのたわみ量との関係を示すマップ(図3参照)を用いて、ステップS11で得られた左右の前側空気入りタイヤ11,12の空気圧から左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量をそれぞれ演算する。
続いて、ステップS13に進み、このステップS13にて、左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差を演算する。すなわち、ステップS12で得られた左前側空気入りタイヤ11のたわみ量からステップS12で得られた右前側空気入りタイヤ12のたわみ量を減算して左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差ΔδWを演算する。
続いて、ステップS14に進み、このステップS14にて、フォークリフトの左右の傾きθWを演算する。すなわち、図4に示すように、左前側空気入りタイヤ11と右前側空気入りタイヤ12の距離(トレッド)WとステップS13で得られた左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差ΔδWから、下記の(1)式を用いて、フォークリフトの左右の傾きθWを演算する。
Figure 2010089861
続いて、ステップS15に進み、このステップS15にて、予め決められた、フォークリフトが転倒しない所定の傾きθS1と比較して、フォークリフトが転倒する可能性の有無を判定する。すなわち、ステップS14で得られたフォークリフトの左右の傾きθWが所定の傾きθS1よりも小さい場合には、フォークリフトが転倒する可能性が無いと判定し警告装置31の作動を禁止して終了となる。他方、ステップS14で得られたフォークリフトの左右の傾きθWが所定の傾きθS1と同じである、またはそれよりも大きい場合には、フォークリフトが転倒する可能性があると判定して警告装置31を作動させて(ステップS16)、終了となる。これにより、フォークリフトの作業者などにフォークリフトが転倒する可能性があることを警告することができる。
したがって、本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置によれば、フォークリフトの左右の前側空気入りタイヤ11,12に空気圧センサ21,22をそれぞれ設け、制御装置30が、左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差を演算し、当該左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差に基づきフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告装置31を制御することにより、左右の前側空気入りタイヤ11,12がパンクしていない場合であっても、フォークリフトの傾きによる転倒を警告することができる。
[第二の実施形態]
本発明に係るフォークリフトの転倒警告装置の第二の実施形態について、図5および図6ならびに図7を参照して説明する。
図5は、本発明の第二の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置の模式図であり、図6は、本発明の第二の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置のフローチャートであり、図7は、前後の空気入りタイヤのたわみ量の差とフォークリフトの前後の傾きとの関係を説明するための図である。図5にて、矢線FRがフォークリフトの前方向を示す。
本実施形態では、空気入りタイヤで走行するフォークリフトの前後の転倒を防止する場合について説明する。
本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置は、上述した第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置を変更し、左右の後側空気入りタイヤの空気圧センサを追加したものであり、それ以外は同一の機器を具備する。
本実施形態では、上述した第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置と同一機器には同一符号を付記しその説明を省略する。
本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置は、図5に示すように、空気圧センサ23,24、制御装置40などを具備する。
空気圧センサ23,24は、フォークリフトの左後側空気入りタイヤ13およびフォークリフトの右後側空気入りタイヤ14のそれぞれに設けられ、それぞれに対応する空気入りタイヤ13,14の空気圧を計測し、この計測データを制御装置40へ無線で送信する機器である。
制御装置40は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAMなど)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどを備えたマイクロコンピュータからなる。制御装置40には、警告装置31が接続されている。警告装置31は、空気入りタイヤ11,12,13,14の異常をフォークリフトの作業者に報せる装置であり、警報ブザーや警報ランプなどが挙げられる。
そして、制御装置40は、空気圧センサ21,22,23,24で検出された各空気入りタイヤ11,12,13,14の空気圧から各空気入りタイヤ11,12,13,14のたわみ量を演算するたわみ量演算手段と、これら空気入りタイヤ11,12,13,14のたわみ量に基づきフォークリフトの転倒を予測する転倒予測手段と、転倒予測手段でフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告装置31を制御する警告制御手段とを具備する。具体的には、制御装置40は、空気圧センサ21,22,23,24で検出された各空気入りタイヤ11,12,13,14の空気圧から各空気入りタイヤ11,12,13,14のたわみ量を演算し、左前側空気入りタイヤ11のたわみ量と右前側空気入りタイヤ12のたわみ量から前側空気入りタイヤのたわみ量の平均値を演算すると共に、左後側空気入りタイヤ13のたわみ量と右後側空気入りタイヤ14のたわみ量から後側空気入りタイヤのたわみ量の平均値を演算する。さらに、制御装置40は、前側空気入りタイヤのたわみ量の平均値と後側空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差を演算し、前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差からフォークリフトの前後の傾きθLを演算する。そして、制御装置40は、フォークリフトの前後の傾きθLと予め決められた所定の傾きθS2とを対比して、演算して得られた傾きθLが所定の傾きθS2と同じまたは大きい場合には、警告装置31を制御してフォークリフトの転倒の警告を出している。
このような制御装置40の制御について、図6および図7を用いて説明する。
最初に、制御装置40は、図6に示すように、空気圧センサ21,22、23,24からのデータ(左前側空気入りタイヤ11の空気圧、右前側空気入りタイヤ12の空気圧、左後側空気入りタイヤ13の空気圧、右後側空気入りタイヤ14の空気圧)を受信する(ステップS21)。
続いて、ステップS22に進み、このステップS22にて、各空気入りタイヤ11,12,13,14のたわみ量を演算する。すなわち、上述した第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置30のステップS12と同様に、予め与えられた所定のマップ、例えば、空気入りタイヤの空気圧と空気入りタイヤのたわみ量との関係を示すマップ(図3参照)を用いて、ステップS21で得られた各空気入りタイヤ11,12、13,14の空気圧から各空気入りタイヤ11,12,13,14のたわみ量をそれぞれ演算する。
続いて、ステップS23に進み、このステップS23にて、前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の平均値を演算する。すなわち、ステップS22で得られた左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量からその平均値を演算する。
続いて、ステップS24に進み、このステップS24にて、後側空気入りタイヤ13,14のたわみ量の平均値を演算する。すなわち、ステップS22で得られた左右の後側空気入りタイヤ13,14のたわみ量からその平均値を演算する。
続いて、ステップS25に進み、このステップS25にて、前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差を演算する。すなわち、ステップS23で得られた前側空気入りタイヤのたわみ量の平均値からステップS24で得られた後側空気入りタイヤのたわみ量の平均値を減算して前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差ΔδLを演算する。
続いて、ステップS26に進み、このステップS26にて、フォークリフトの前後の傾きθLを演算する。すなわち、図7に示すように、前側空気入りタイヤ11(12)と後側空気入りタイヤ13(14)の距離LとステップS25で得られた前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差ΔδLから、下記の(2)式を用いて、フォークリフトの左右の傾きθLを演算する。
Figure 2010089861
続いて、ステップS27に進み、このステップS27にて、予め決められた、フォークリフトが転倒しない所定の傾きθS2と比較して、フォークリフトが転倒する可能性の有無を判定する。すなわち、ステップS26で得られたフォークリフトの前後の傾きθLが所定の傾きθS2よりも小さい場合には、フォークリフトが転倒する可能性が無いと判定して警告装置31の作動を禁止して終了となる。他方、ステップS26で得られたフォークリフトの前後の傾きθLが所定の傾きθS2と同じである、またはそれよりも大きい場合には、フォークリフトが転倒する可能性があると判定して警告装置31を作動させて(ステップS28)、終了となる。これにより、フォークリフトの作業者などにフォークリフトが転倒する可能性があることを警告することができる。
したがって、本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置によれば、フォークリフトの前側および後側の左右の空気入りタイヤ11,12,13,14に空気圧センサ21,22,23,24をそれぞれ設け、制御装置40が、各空気入りタイヤ11,12,13,14の空気圧から各空気入りタイヤ11,12,13,14のたわみ量を演算し、左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の平均値および左右の後側空気入りタイヤ13,14のたわみ量の平均値を演算すると共に、前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差を演算し、前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差に基づきフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告装置31を制御することにより、空気入りタイヤ11,12,13,14がパンクしていない場合であっても、フォークリフトの傾きによる転倒を警告することができる。
[第三の実施形態]
本発明に係るフォークリフトの転倒警告装置の第三の実施形態について、図8、図9、図10、図11を参照して説明する。
図8は、本発明の第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置の模式図であり、図9は、本発明の第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置のフローチャートである。図10は、空気入りタイヤの空気圧と空気入りタイヤのたわみ量との関係を示すグラフであり、図10(a)に左前側空気入りタイヤの場合を示し、図10(b)に右前側空気入りタイヤの場合を示す。図11は、本発明の第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置で予測した、経過時間とフォークリフトの傾きとの関係を示すグラフである。図8にて、矢線FRがフォークリフトの前方向を示す。
本実施形態では、空気入りタイヤで走行するフォークリフトの左右の転倒を防止する場合について説明する。
本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置は、上述した第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置を変更したものであり、それ以外は同一の機器を具備する。
本実施形態では、上述した第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置と同一機器には同一符号を付記しその説明を省略する。
本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置は、図8に示すように、制御装置50などを具備する。
制御装置50は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAMなど)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ(時間計測手段)などを備えたマイクロコンピュータからなる。制御装置50には、警告装置31が接続されている。警告装置31は、空気入りタイヤ11,12の異常をフォークリフトの作業者に報せる装置であり、警報ブザーや警報ランプなどが挙げられる。
そして、制御装置50は、空気圧センサ21,22で検出された左右の前側空気入りタイヤ11,12の空気圧から各空気入りタイヤ11,12のたわみ量を演算するたわみ量演算手段と、カウンタで計測された時間が所定時間TNを経過したか(越えたか)を判定する経過時間判定手段と、この経過時間判定手段が所定時間TNを経過していないと判定した場合に、各空気圧センサ21,22を制御して各空気入りタイヤ11,12の空気圧の検出を行うと共に、前記たわみ量演算手段を制御して左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の演算を行う作業制御手段と、各時間における左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を演算し、当該各時間における左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を近似式で演算して、得られた近似データに基づきフォークリフトの転倒(転倒時期)を予測する転倒予測手段(転倒時期予測手段)と、転倒予測手段で予測された時期が経過した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告装置31を制御する警告制御手段とを具備する。具体的には、制御装置50は、空気圧センサ21,22による左右の前側空気入りタイヤ11,12の空気圧の検出および、各空気入りタイヤ11,12の空気圧からの各空気入りタイヤ11,12のたわみ量の演算を所定時間TNまで繰り返し行い、各時間Tn(n=1,2、・・・)における左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差を演算し、得られたデータ(各時間Tnにおける左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差)からフォークリフトの左右の傾きθn´(n=1,2、・・・)を演算する。さらに、制御装置50は、フォークリフトの左右の傾きθn´(n=1,2、・・・)から近似式で近似してフォークリフトの転倒時期(転倒開始時期)TFを演算する。そして、制御装置50は、フォークリフトの転倒時期TFと経過時間とを対比して、演算して得られたフォークリフトの転倒時期TFが経過時間Tと同じである、または超えた場合には、警告装置31を制御してフォークリフトの転倒の警告を出している。
このような制御装置50の制御について、図9〜11を用いて説明する。
最初に、制御装置50は、図9に示すように、空気圧センサ21,22からのデータ(左前側空気入りタイヤ11の空気圧および右前側空気入りタイヤ12の空気圧)を受信する(ステップS31)。
続いて、ステップS32に進み、このステップS32にて、左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量を演算する。すなわち、予め与えられた所定のマップ、例えば、空気入りタイヤの空気圧と空気入りタイヤのたわみ量との関係を示すマップ(図10(a)および図10(b)参照)を用いて、ステップS31で得られた左右の側空気入りタイヤ11,12の空気圧から左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量δLn,δRnをそれぞれ演算する。
続いて、ステップS33に進み、このステップS33にて、現在の時間Tが所定時間TNを経過したか判定する。すなわち、現在の時間Tが所定時間TNを経過していな場合には、ステップS31に戻り、再びステップS31の処理、ステップS32の処理が行われる。他方、現在の時間Tが所定時間TNを経過した場合には、ステップS34に進む。
続いて、ステップS34にて、各時間Tn(n=1,2、・・・)における左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差を演算する。すなわち、ステップS12で得られた左前側空気入りタイヤ11のたわみ量δLnからステップS12で得られた右前側空気入りタイヤ12のたわみ量δRnを減算して左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差を演算する。
続いて、ステップS35に進み、このステップS35にて、得られたデータ(各時間Tnにおける左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差)からフォークリフトの左右の傾きθn´(n=1,2、・・・)を演算する。すなわち、左前側空気入りタイヤ11と右前側空気入りタイヤの距離(トレッド)WとステップS34で得られた各時間Tnにおける左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差から、下記の(3)式を用いて、フォークリフトの左右の傾きθn´を演算する。
続いて、ステップS36に進み、このステップS36にて、得られたデータ(フォークリフトの左右の傾きθn´)に基づき近似式より転倒時期TFを演算する。すなわち、図11に示すように、得られたデータ(フォークリフトの左右の傾きθn´)から経過時間とフォークリフトの傾きとの相関を示すグラフを作成し、このデータから近似式Aにより転倒時期TFを演算する。近似式Aとしては、最小二乗法などによる近似式が挙げられる。
Figure 2010089861
続いて、ステップS37に進み、このステップS37にて、ステップS36で得られた転倒時期TFと経過時間Tとを対比して、フォークリフトが転倒する可能性の有無を判定する。すなわち、経過時間Tが転倒時期TFを経過していない場合には、フォークリフトが転倒する可能性が無いと判定して警告装置31の作動を禁止して終了となる。他方、経過時間Tが転倒時期TFと同じである、または転倒時期TFを経過している場合には、フォークリフトが転倒する可能性があると判定して警告装置31を作動させて(ステップS38)、終了となる。これにより、フォークリフトの作業者などにフォークリフトが転倒する可能性があることを警告することができる。
したがって、本実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置によれば、フォークリフトの左右の前側空気入りタイヤ11,12に空気圧センサ21,22を設け、制御装置50が、左右の前側空気入りタイヤ11,12の空気圧の計測および各空気入りタイヤ11,12のたわみ量の演算を所定時間TNまで繰り返し行い、各時間Tn(n=1,2、・・・)における左右の前側空気入りタイヤ11,12のたわみ量の差、および、得られたデータ(各時間Tnにおける左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差)からフォークリフトの左右の傾きθn´(n=1,2、・・・)を演算すると共に、フォークリフトの左右の傾きθn´(n=1,2、・・・)から近似式で近似してフォークリフトの転倒時期TFを演算し、このフォークリフトの転倒時期TFに基づきフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように警告装置31を制御することにより、空気入りタイヤ11,12がパンクしていない場合であっても、フォークリフトの傾きによる転倒を警告することができる。
[他の実施形態]
上述した第一,第二の実施形態では、フォークリフトの前後または左右への転倒を防止する場合について説明したが、フォークリフトの前後および左右への転倒を防止するフォークリフトの転倒警告装置とすることも可能である。すなわち、第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置と第二の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置とを組み合わせることも可能である。このようなフォークリフトの転倒警告装置であっても、上述した第一,第二の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置と同様な作用効果を奏する。
上述した第三の実施形態では、フォークリフトの左右の転倒を予測するようにしたが、フォークリフトの前後の転倒やフォークリフトの左右および前後の転倒を予測するようにすることも可能である。このようなフォークリフトの転倒警告装置であっても、上述した第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置と同様な作用効果を奏する。
上述した第一,第二,第三の実施形態では、4輪の空気入りタイヤで走行するフォークリフトに適用した場合について説明したが、3輪の空気入りタイヤで走行するフォークリフトに適用することも可能である。このようなフォークリフトの転倒警告装置であっても、上述した第一,第二,第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置と同様な作用効果を奏する。
本発明は、空気入りタイヤがパンクしていない場合であっても、フォークリフトの傾きによる転倒を警告することができるフォークリフトの転倒警告装置に適用できる。
本発明の第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置の模式図である。 本発明の第一の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置のフローチャートである。 空気入りタイヤの空気圧と空気入りタイヤのたわみ量との関係を示すグラフである。 左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差とフォークリフトの左右の傾きの関係を説明するための図である。 本発明の第二の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置の模式図である。 本発明の第二の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置のフローチャートである。 前後の空気入りタイヤのたわみ量の差とフォークリフトの前後の傾きとの関係を説明するための図である。 本発明の第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置の模式図である。 本発明の第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置のフローチャートである。 空気入りタイヤの空気圧と空気入りタイヤのたわみ量との関係を示すグラフであり、図10(a)に左前側空気入りタイヤの場合を示し、図10(b)に右前側空気入りタイヤの場合を示す。 本発明の第三の実施形態に係るフォークリフトの転倒警告装置が具備する制御装置で予測した、経過時間とフォークリフトの傾きとの関係を示すグラフである。 フォークリフトの安定領域と重心位置との関係を説明するための図である。
符号の説明
11〜14 空気入りタイヤ
21〜24 空気圧センサ
30,40,50 制御装置
31 警告装置
W トレッド
L 前側空気入りタイヤと後側空気入りタイヤの距離

Claims (4)

  1. 空気入りタイヤで走行するフォークリフトの転倒を警告するフォークリフトの転倒警告装置であって、
    フォークリフトの転倒の警告を出す警告手段と、
    前記空気入りタイヤの空気圧を検出する圧力検出手段と、
    前記圧力検出手段で検出された検出信号に基づき前記空気入りタイヤのたわみ量を演算するたわみ量演算手段と、
    前記たわみ量演算手段で演算された空気入りタイヤのたわみ量に基づきフォークリフトの転倒を予測する転倒予測手段と、
    前記転倒予測手段でフォークリフトが転倒すると予測した場合に、フォークリフトの転倒の警告を出すように前記警告手段を制御する警告制御手段とを具備する
    ことを特徴とするフォークリフトの転倒警告装置。
  2. 請求項1に記載されたフォークリフトの転倒警告装置であって、
    前記フォークリフトの前側に設けられた左右の前側空気入りタイヤを具備し、
    前記転倒予測手段が、左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を演算し、当該左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差に基づきフォークリフトの転倒を予測する
    ことを特徴とするフォークリフトの転倒警告装置。
  3. 請求項1に記載されたフォークリフトの転倒警告装置であって、
    前記フォークリフトの前側および後側に設けられた左右の前側および後側空気入りタイヤを具備し、
    前記転倒予測手段が、前側空気入りタイヤのたわみ量の平均値および後側空気入りタイヤのたわみ量の平均値を演算すると共に、前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差を演算し、当該前後の空気入りタイヤのたわみ量の平均値の差に基づきフォークリフトの転倒を予測する
    ことを特徴とするフォークリフトの転倒警告装置。
  4. 請求項1に記載されたフォークリフトの転倒警告装置であって、
    前記フォークリフトの前側に設けられた左右の前側空気入りタイヤと、
    時間を計測する時間計測手段と、
    前記時間計測手段で計測された時間が所定時間を経過したか判定する経過時間判定手段と、
    前記経過時間判定手段が前記所定時間を経過していないと判定した場合に、前記圧力検出手段を制御して前記空気入りタイヤの空気圧の検出を行うと共に、前記たわみ量演算手段を制御して前記空気入りタイヤのたわみ量の演算を行う作業制御手段とを具備し、
    前記転倒予測手段が、各時間における左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を演算し、当該各時間における左右の前側空気入りタイヤのたわみ量の差を近似式で演算して、得られた近似データに基づきフォークリフトの転倒を予測する
    ことを特徴とするフォークリフトの転倒警告装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012002558A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Yamato Scale Co Ltd 重心位置測定方法およびその装置
CN105174139A (zh) * 2015-09-17 2015-12-23 国网山东省电力公司日照供电公司 一种叉车不平衡报警装置及方法
CN113651268A (zh) * 2021-08-06 2021-11-16 诸城市大路机械有限公司 一种电动叉车倾覆预警装置

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