JP2010089267A - 発泡樹脂複合構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軽量でありながら、水漏れが発生しない発泡樹脂複合構造体を実現する。
【解決手段】 一の面から他の面に連通した連通孔が存在し、連通孔の平均径が10〜150μmの母材1の上面に、樹脂が溶媒に溶解または分散された粘度が2000mPa・s以下の流動性材料4を配置し、減圧装置3を作動して減圧室2dを減圧する。これにより、流動性材料4が母材1の連通孔に浸透し、連通孔が閉塞されるため、軽量でありながら、水漏れが発生しない発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
【選択図】 図2

Description

この発明は、発泡樹脂製の母材を利用した発泡樹脂複合構造体の製造方法に関する。
従来、発泡樹脂成型品の製造方法として、例えば特開平9−39018号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。図16は、係る特許公報に従来技術として記載された発泡樹脂成型機の模式図である。以下、その発泡樹脂成型機を用いた発泡樹脂成型品の成型工程について説明する。
最初に、型開閉用シリンダ300を作動させて雄型100を雌型200の方へ水平移動させて型締めを行う。続いて、雄型100と雌型200との合わせ面に形成されるキャビティ360に発泡ビーズなどの発泡樹脂成型原料310を充填する。続いて、加熱された水蒸気を流入管330から雄型100および雌型200の内部に流入して上記合わせ面を加熱し、キャビティ360内の発泡樹脂成型原料310を溶融させる。続いて、冷却水を流入管330から流入し、その流入した冷却水を雄型100および雌型200の内部に形成された複数の噴射ノズル350から噴射し、上記合わせ面を冷却する。続いて、型開閉用シリンダ300を作動させて雄型100を水平移動させて型開きする。続いて、エジェクター320を移動させてエジェクターピン370を雌型200の内部からキャビティ360内に突出させ、キャビティ360内で固化した発泡樹脂成型品を離型する。
特開平9−39018号公報(第2段落、図8)
発泡樹脂成型品の軽量化を優先し、発泡樹脂成型原料の発泡倍率を高くすると、隣接する発泡セル同士が融着して形成された独立気泡間が連通し、一の面から他の面に連通した連通孔が形成される。このため、発泡樹脂成型品をエアコンや冷蔵庫などのドレンパン、あるいは、建材などに用いると、連通孔から水が漏れるという問題がある。
そこでこの発明は、軽量でありながら、水漏れが発生しない発泡樹脂複合構造体を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項9に記載の発明では、隣接する発泡セル(1c)同士が融着することにより独立気泡構造が形成されており、前記独立気泡間が連通することにより一の面(1a)から他の面(1b)に連通した連通孔(1d)が存在し、かつ、前記連通孔の平均径が10〜150μmの母材(1)と、樹脂が溶媒に溶解または分散されており、かつ、粘度が2000mPa・s以下の流動性材料(4)と、前記一の面よりも前記他の面における圧力の方が低くなるように前記一の面と他の面との間に差圧を発生させる差圧発生装置(3)と、を用意し、前記流動性材料を前記一の面に配置する第1工程と、前記差圧発生装置によって前記一の面と他の面との間に差圧を発生させることにより、前記一の面に配置された前記流動性材料を前記連通孔に浸透させて前記連通孔を非連通状態にする第2工程と、を有し、前記樹脂の体積率は、前記連通孔の平均径に応じて18〜95vol%の中から選択するという技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記溶媒には粉末が分散されており、前記樹脂および粉末の前記溶媒に対する体積率は、前記連通孔の平均径に応じて18〜95vol%の中から選択するという技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記粉末が導電性粉末および磁性粉末の少なくとも一方であるという技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記導電性粉末が少なくとも銅からなる粉末であるという技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明では、請求項3または請求項4に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記磁性粉末が少なくともフェライトからなる粉末であるという技術的手段を用いる。
請求項6に記載の発明では、請求項3ないし請求項5のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記粉末が少なくともホウ酸からなる粉末であるという技術的手段を用いる。
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記第2工程は、前記流動性材料(4)が前記一の面(1a)に残留するように行うという技術的手段を用いる。
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記流動性材料(4)は、アクリル系、合成ゴム系、酢酸ビニル系およびエチレン系の少なくとも1つからなる溶剤型または分散型の樹脂であるという技術的手段を用いる。
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法において、前記流動性材料(4)は、樹脂水性エマルションであるという技術的手段を用いる。
なお、請求項1ないし請求項9に記載の母材とは、金型内に発泡ビーズなどの発泡樹脂原料を充填し、それを加熱発泡させて成型した金型の形状通りの発泡樹脂成型体そのもの、あるいは、その発泡樹脂成型体を、加熱したニクロム線などによって溶断して作成された発泡樹脂成型体のことである。
また、上記の発泡樹脂成型体には、上記の金型の形状通りの発泡樹脂成型体そのもの、または、上記の溶断により作成された発泡樹脂成型体の所定の表面を粗面化した発泡樹脂成型体などが含まれる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態との対応関係を示すものである。
(請求項1ないし請求項9に係る発明の効果)
樹脂が溶媒に溶解または分散された流動性材料を母材に形成された連通孔に浸透させることにより、連通孔を非連通状態にすることができるため、軽量でありながら、水漏れが発生しない発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
また、母材に形成された連通孔に浸透した流動性材料が乾燥し、流動性材料に含まれている樹脂が硬化することにより、強度の高い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
流動性材料として、請求項8に記載のアクリル系、合成ゴム系、酢酸ビニル系およびエチレン系の少なくとも1つからなる溶剤型または分散型の樹脂を用いることができる。また、そのような樹脂として請求項9に記載の樹脂水性エマルションを用いることができる。特に、樹脂水性エマルションを用いると、母材を溶解しない、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)の発生が少ない、水により容易に粘度調整ができるなどの効果がある。
(請求項2に係る発明の効果)
溶媒には粉末が分散されているため、粉末の有する性質を発泡樹脂複合構造体に持たせることができる。
また、溶媒には粉末が分散されており、樹脂および粉末の溶媒に対する体積率は、連通孔の平均径に応じて18〜95vol%の中から選択するため、粉末が分散されていない流動性材料と比較して、溶媒に溶解または分散する樹脂の割合を減らすことができる。
(請求項3に係る発明の効果)
導電性粉末および磁性粉末の少なくとも一方が溶媒に分散されているため、導電性および磁性の少なくとも一方の性質を発泡樹脂複合構造体に持たせることができる。
(請求項4に係る発明の効果)
少なくとも銅からなる粉末が溶媒に分散されてなるため、少なくとも導電性および生物忌避効果を発泡樹脂複合構造体に持たせることができる。
(請求項5に係る発明の効果)
少なくともフェライトからなる粉末が溶媒に分散されてなるため、少なくとも磁性を発泡樹脂複合構造体に持たせることができる。
(請求項6に係る発明の効果)
少なくともホウ酸からなる粉末が溶媒に分散されてなるため、少なくとも生物を忌避する性質などを発泡樹脂複合構造体に持たせることができる。
(請求項7に係る発明の効果)
流動性材料を母材の一の面に残留させることにより、母材の一の面を流動性材料に含まれる樹脂で覆うことができるため、第2工程を終えたときに非連通状態になっていない連通孔が存在する場合であっても、その連通孔の一の面における開口部を上記の残留した樹脂によって閉塞することができる。
したがって、水漏れ防止効果を高めることができる。
また、母材の一の面に粉末を残留させることにより、母材の一の面に粉末の性質を持たせることができる。
さらに、連通孔の内部に付着した粉末と、母材の一の面に付着した粉末とが連続することにより、一の面から連通孔の内部までの連続した範囲に対して粉末の性質を持たせることができる。
〈第1実施形態〉
この発明の実施形態に係る発泡樹脂複合構造体の製造方法ついて図を参照しながら説明する。
[母材の構造]
発泡樹脂複合構造体を製造するための母材の構造について図を参照しながら説明する。
図1は、母材の説明図であり、(a)は母材の斜視図、(b)は(a)に示す領域Dの拡大図である。図1(b)に示すように、母材1は、発泡ビーズなどの発泡樹脂成型原料が発泡して形成された発泡セル1cが多数集合して形成されている。各発泡セル1cは、加熱により相互に融着している。
各発泡セル1cの間には、空隙1dが形成されており、各空隙1dはそれぞれ独立している。つまり、母材1は独立気泡構造に形成されている。但し、一部の空隙1d同士は連通しており、それにより、母材1には、一の面1aから他の面1bに連通した連通孔が多数形成されている。連通孔は、母材1の表面および裏面間に存在するだけでなく、表面および側面間または裏面および側面間にも存在する。
[実験1]
本願発明者らは、母材1の連通孔に浸透可能な流動性材料の粘度の上限値を求めるための実験を行った。
(装置)
母材1に流動性材料を浸透させるための装置について図を参照して説明する。図2は、装置に母材1および流動性材料4がセットされた状態の縦断面図である。
装置は、容器2と、減圧装置3とを備える。容器2の上面は開口しており、その内部は中仕切り2aによって上下二つの空間に分かれている。上部空間2bは、母材1および流動性材料4を収容する空間に形成されており、下部空間2cは、減圧室2dになっている。中仕切り2aには、上部空間2bから減圧室2dに連通する通気口2eが複数箇所に貫通形成されている。減圧室2dは、減圧室2dの側壁に貫通形成された排気口2fに連通しており、排気口2fは、管3aを介して減圧装置3と接続されている。この実験では、減圧装置3として、減圧室2dの圧力を調整可能な真空ポンプを使用した。
(実験内容)
流動性材料4として、粘度が1mPa・sの水と、この水よりも粘度の高い酢酸ビニル溶液とを用いた。また、酢酸ビニル溶液を希釈して粘度の異なる複数種類の流動性材料を作った。酢酸ビニル溶液は、メタノールで希釈した。母材1として、材質がEPS(Expanded Poly-Styrene:ビーズ法ポリスチレンフォーム)で、発泡倍率が異なり、連通孔の平均径が異なるものを複数種類用意した。その用意した母材1のうち連通孔の平均径が最も小さいものは12μmであり、最も大きいものは130μmである。また、各母材1の厚さは、25mmである。なお、連通孔の平均径の算出方法については後述する。
そして、次の手順で実験を行った。まず、母材1を前述の装置の中仕切り2aの上に配置する。次に、その母材1の上に流動性材料4を配置する。次に、減圧装置3を作動させて減圧室2dを−80kPaに減圧し、真空引きを行った。そして、減圧開始から流動性材料4が母材1の連通孔を経て下面に到達するまでに要する時間を計測した。
(実験結果)
図3は、発泡倍率が60倍、連通孔の平均径が70μm、空隙率(母材の容積に占める空隙の割合)が3%の母材に対する実験1の結果を示す図表である。同図に示すように、粘度が1mPa・sの水の場合は、減圧開始から瞬時で母材1の下面に到達した。そして、粘度が500、1000、1500mPa・sの酢酸ビニル溶液の希釈品の場合は、それぞれ計測時間が10秒、30秒、5分であった。また、粘度が2000mPa・sの酢酸ビニル溶液の希釈品の場合は、計測時間が15分で、溶液が下面に僅かに到達した。
また、各粘度における計測時間は、連通孔の平均径が小さいほど僅かに長くなり、連通孔の平均径が大きいほど僅かに短くなる傾向があったが、12〜130μmの範囲における連通孔の平均径の違いによる計測時間の差は小さかった。
(結論)
上記の実験結果より、母材1に浸透可能な流動性材料の粘度の上限値は、2000mPa・sであることが分かった。
つまり、母材1の連通孔を閉塞するためには、樹脂が溶媒に溶解または分散されており、かつ、粘度が2000mPa・s以下の流動性材料を用いれば良いことが分かった。
[実験2]
次に、本願発明者らは、母材1に浸透させる流動性材料中の樹脂分の割合と、止水効果との関係を調べるための実験を行った。図4は、実験2,3の結果をまとめた図表である。
(実験内容)
この実験では、樹脂を含む流動性材料として、BASFジャパン(株)製のアクロナールS400(アクロナールは、BASF社の登録商標)を用いた。アクロナールS400は、アクリル酸エステル−スチレン共重合体樹脂の水性エマルションであり、その原液の樹脂分は、60vol%である。また、アクロナールS400を水によって希釈し、樹脂分が6、15、20、25、30、40、50vol%の流動性材料を作った。なお、樹脂分が6〜60vol%のいずれの流動性材料も粘度は2000mPa・s以下である。
また、母材1として発泡倍率が15倍、連通孔の平均径が28μm、空隙率2%の母材Aと、発泡倍率が60倍、連通孔の平均径が70μm、空隙率3%の母材Bとを用いた。いずれの母材も材質はEPSであり、厚さは20mmである。また、使用した装置は、前述の実験1と同じものである。
そして、次の手順で実験を行った。まず、母材を装置の中仕切り2aの上に配置する。次に、その母材の上に流動性材料4を配置する。次に、減圧装置3を作動させて減圧室2dを−80kPaに減圧し、真空引きを行った。そして、減圧開始から流動性材料4が母材の連通孔を経て下面に到達するまでに要する時間を計測した。
(実験結果)
その結果、図4に示すように、母材Aでは、樹脂分が6〜30vol%のいずれの流動性材料も1分で母材Aの下面に到達した。また、母材Bでは、樹脂分が30vol%の流動性材料は30秒で母材Bの下面に到達し、樹脂分が40〜60vol%の流動性材料はいずれも1分で母材Bの下面に到達した。
(結論)
上記の実験結果より、連通孔の平均径が28μmの母材Aには、樹脂分が6〜30vol%で粘度が2000mPa・s以下のエマルションを浸透させることができ、連通孔の平均径が70μmの母材Bには、樹脂分が30〜60vol%で粘度が2000mPa・s以下のエマルションを浸透させることができることが分かった。
[実験3]
次に、本願発明者らは、上記の実験2により製造された発泡樹脂複合構造体の止水効果を確かめる実験を行った。実験は、前述の実験2と同じ装置を使用して次の手順で行った。
(実験内容)
まず、発泡樹脂複合構造体を乾燥させ、母材に浸透した流動性材料に含まれる蒸発成分を蒸発させた。この乾燥は、自然放置でもよいし、温風を送って強制的に乾燥させる方法でもよい。そして、乾燥させた発泡樹脂複合構造体を装置の中仕切り2aの上に配置する。次に、その発泡樹脂複合構造体の上に水を配置する。次に、減圧装置3を作動させて減圧室2dを−80kPaに減圧し、真空引きを行った。そして、その減圧開始から水が発泡樹脂複合構造体の連通孔を経て下面に到達するまでに要する時間を計測した。また、発泡樹脂複合構造体内部の止水性を確認するために、各発泡樹脂複合構造体の表面に深さ5mmの傷を付けた。
(実験結果)
その結果、図4に示すように、5分間の真空引きを行ったとき、樹脂分が6〜25vol%のエマルションが浸透した各発泡樹脂複合構造体(母材A)では、水が発泡樹脂複合構造体の下面から僅かに染み出た。その一方、樹脂分が30vol%のエマルションが浸透した発泡樹脂複合構造体(母材A)では、水が発泡樹脂複合構造体の下面から染み出なかった。
また、樹脂分が30または40vol%のエマルションが浸透した各発泡樹脂複合構造体(母材B)では、それぞれ水が発泡樹脂複合構造体の下面から僅かに染み出たが、樹脂分が50または60%のエマルションが浸透した各発泡樹脂複合構造体(母材B)では、水が発泡樹脂複合構造体の下面から染み出なかった。
(結論)
上記の実験結果より、連通孔の平均径が28μmの母材Aに、樹脂分が30vol%以上で粘度が2000mPa・s以下のエマルションを浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。また、連通孔の平均径が70μmの母材Bに、樹脂分が50vol%以上で粘度が2000mPa・s以下のエマルションを浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。
[実験4]
次に、本願発明者らは、前述の実験2で用いたエマルションに無機粉末を分散した流動性材料の浸透性を調べる実験を行った。図5は、この実験4の結果をまとめた図表である。
(実験内容)
この実験では、無機粉末として三井金属鉱業(株)製の銅粉MA−C04Jを用いた。そして、樹脂分が25vol%のアクロナールS400に2.5、5.0、7.5vol%の銅粉をそれぞれ分散してなる3種類の流動性材料(粘度はいずれも2000mPa・s以下)を作った。また、使用した母材は、材質がEPSで、発泡倍率が15倍、連通孔の平均径が28μm、空隙率が2%、厚さが20mmである。
そして、前述の各実験で使用した装置と同じ装置を用い、前述の実験2,3と同じ手順で流動性材料の浸透性と、発泡樹脂複合構造体の止水性とを調べた。真空引きにおける減圧室2dの圧力は、−80kPaである。
(実験結果)
その結果、図5の浸透性に示すように、上記3種類の流動性材料は、いずれも3分間の真空引きにより、母材の下面に到達した。そして、図5の真空水張り結果に示すように、樹脂分が25vol%で銅粉を2.5または5.0vol%分散させた流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体では、水が下面に僅かに染み出た。その一方、樹脂分が25vol%で銅粉を7.5vol%分散させた流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体では、5分間の真空引きでも水が下面から染み出なかった。また、粒径の異なる銅粉を試した結果、銅粉の粒径は、連通孔の平均径の1/7以下、つまり4μm(=28μm/7)以下にすると、銅粉が母材の内部まで到達することが分かった。
(結論)
上記の実験結果より、連通孔の平均径が28μmの母材Aに対して、25vol%の樹脂分および7.5vol%の銅粉が含まれる粘度が2000mPa・s以下の流動性材料を浸透させて製造した発泡樹脂複合構造体は、止水効果を有することが分かった。
つまり、連通孔の平均径が28μmの母材に対して、樹脂分および銅粉の体積率が少なくとも32.5vol%≒30vol%以上の流動性材料を浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。
また、実験3,4の結果より、連通孔の平均径が28μmの母材に対して、樹脂分または(樹脂分+無機粉末)が少なくとも30vol%以上溶解または分散されており、かつ、粘度が2000mPa・s以下の流動性材料を浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。また、無機粉末を連通孔内部まで到達させるためには、連通孔の平均径の1/7以下の粒径を有する無機粉末を用いることが望ましいことが分かった。
[実験5]
次に、本願発明者らは、母材および流動性材料を変更して上記の実験4と同様の実験を行った。図6は、この実験5の結果をまとめた図表である。
(実験内容)
この実験では、樹脂分が45vol%のアクロナールS400に2.5、5.0、7.5vol%の銅粉をそれぞれ分散してなる3種類の流動性材料(粘度はいずれも2000mPa・s以下)を作った。また、使用した母材は、材質がEPSで、発泡倍率が60倍、連通孔の平均径が70μm、空隙率が3%、厚さが50mmである。
(実験結果)
その結果、図6の浸透性に示すように、樹脂分が45vol%で銅粉を2.5または5.0vol%分散した流動性材料は、いずれも5分間の真空引きにより、母材の上面から深さ25〜30mmまで浸透した。また、銅粉を7.5%分散した流動性材料は、5分間の真空引きにより、母材の上面から深さ20〜25mmまで浸透した。
そして、図6の真空水張り結果に示すように、樹脂分が45vol%で銅粉を2.5または5.0vol%分散させた流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体では、水が下面に僅かに染み出た。その一方、樹脂分が45vol%で銅粉を7.5vol%分散させた流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体では、5分間の真空引きでも水が下面から染み出なかった。また、粒径の異なる銅粉を試した結果、銅粉の粒径は、連通孔の平均径の1/7以下、つまり10μm(=70μm/7)以下にすると、銅粉が母材の内部まで到達することが分かった。
(結論)
上記の実験結果より、連通孔の平均径が70μmの母材に対して、45vol%の樹脂分および7.5vol%の銅粉が含まれる粘度が2000mPa・s以下の流動性材料を浸透させて製造した発泡樹脂複合構造体は、内部まで止水効果を有することが分かった。
つまり、連通孔の平均径が70μmの母材に対して、樹脂分および銅粉の体積率が少なくとも52.5vol%≒50vol%以上の流動性材料を浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。
また、実験3,5の結果より、連通孔の平均径が70μmの母材に対して、樹脂分または(樹脂分+無機粉末)が少なくとも50vol%以上溶解または分散されており、かつ、粘度が2000mPa・s以下の流動性材料を浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。また、無機粉末を連通孔内部まで到達させるためには、連通孔の平均径の1/7以下の粒径を有する無機粉末を用いることが望ましいことが分かった。
[実験6]
次に、本願発明者らは、上記の実験3で用いたエマルションに有機粉末を分散した流動性材料の浸透性を調べる実験を行った。図7は、この実験6の結果をまとめた図表である。
(実験内容)
この実験では、有機粉末としてポリメタクリル酸メチル樹脂粉末(粒径5μm)を用いた。そして、樹脂分が25vol%のアクロナールS400に2.5、5.0、7.5vol%のポリメタクリル酸メチル樹脂粉末をそれぞれ分散してなる3種類の流動性材料(粘度はいずれも2000mPa・s以下)を作った。また、使用した母材は、材質がEPSで、発泡倍率が15倍、連通孔の平均径が28μm、空隙率が2%、厚さが20mmである。そして、前述の各実験で使用した装置と同じ装置を用い、前述の実験4,5と同じ手順で流動性材料の浸透性と、発泡樹脂複合構造体の止水性とを調べた。真空引きにおける減圧室2dの圧力は、−80kPaである。
(実験結果)
その結果、図7の浸透性に示すように、上記3種類の流動性材料は、いずれも3分間の真空引きにより、母材の下面に到達した。そして、図7の真空水張り結果に示すように、樹脂分が25vol%でポリメタクリル酸メチル樹脂粉末を2.5または5.0vol%分散させた流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体では、水が下面に僅かに染み出た。その一方、樹脂分が25vol%でポリメタクリル酸メチル樹脂粉末を7.5vol%分散させた流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体では、5分間の真空引きでも水が下面から染み出なかった。また、粒径の異なるポリメタクリル酸メチル樹脂粉末を試した結果、ポリメタクリル酸メチル樹脂粉末の粒径は、連通孔の平均径の1/7以下、つまり4μm(=28μm/7)以下にすると、ポリメタクリル酸メチル樹脂粉末が母材の内部まで到達することが分かった。
(結論)
上記の実験結果より、連通孔の平均径が28μmの母材に対して、25vol%の樹脂分および7.5vol%のポリメタクリル酸メチル樹脂粉末が含まれる粘度が2000mPa・s以下の流動性材料を浸透させて製造した発泡樹脂複合構造体は、内部まで止水効果を有することが分かった。
つまり、連通孔の平均径が28μmの母材に対して、樹脂分およびポリメタクリル酸メチル樹脂粉末の体積率が少なくとも32.5vol%≒30vol%以上の流動性材料を浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。また、有機粉末を連通孔内部まで到達させるためには、連通孔の平均径の1/7以下の粒径を有する有機粉末を用いることが望ましいことが分かった。
[その他の実験]
本願発明者らは、連通孔の平均径が12μmおよび130μmの母材についても、上記の各実験を行った。その結果、連通孔の平均径が12μmの母材に対して、樹脂分および粉末の体積率が少なくとも20vol%の流動性材料を浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。また、連通孔の平均径が130μmの母材に対して、樹脂分および粉末の体積率が少なくとも76vol%の流動性材料を浸透させることにより、内部まで止水効果を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。
(総合結果)
図8は、上記の実験1〜6の総合結果をまとめた図表であり、図9は、図8のデータをグラフ化したものである。図9に示すように、流動性材料が浸透する前の母材の連通孔の平均径が大きくなるに従って、止水効果を得るために必要な樹脂分および粉末の体積率が増加している。グラフによって区画された領域のうち、グラフよりも上の領域(グラフの線上を含む)が、止水性を有する領域であり、グラフよりも下の領域が、止水性の無い領域である。
止水性を有する領域の中でも、樹脂分および粉末の体積率が必要以上に大きくなると、流動性材料の粘度が2000mPa・sを超え、母材に浸透しなくなるため、粘度が2000mPa・sを超えないように樹脂分および粉末の体積率を選択する必要がある。
つまり、母材の12〜130μmの連通孔の平均径に応じて、止水性を有する領域に入るように樹脂分および粉末の体積率を20〜76vol%の中から選択し、粘度が2000mPa・s以下となるように流動性材料を作成すれば良い。
また、図9に示すグラフから、母材の10〜150μmの連通孔の平均径に応じて、止水性を有する領域に入るように樹脂分および粉末の体積率を18〜85vol%の中から選択し、粘度が2000mPa・s以下となるように流動性材料を作成すれば良いことが分かった。
さらに、止水効果を出すために必要な流動性材料を最小限にして費用対効果を最大にするためには、グラフの線上にある体積率を選択することが望ましい。なお、低分子量のアクリル酸などを分散的に用いた場合、樹脂分および粉末の体積率が95vol%を超えても粘度が2000mPa・s以下になることもあるが、止水効果を出すことのできる樹脂の範囲では、上記の体積率を18〜95vol%の中から選択することにより、粘度を2000mPa・s以下に設定することができる。望ましくは、上記の体積率を18〜85vol%の中から選択すると、粘度を2000mPa・s以下に設定し易い。
図10は、流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体の説明図であり、(a)は発泡樹脂複合構造体の斜視図、(b)は(a)においてDで示す領域の拡大図である。同図(b)に示すように、発泡セル1c間に形成された連通孔は、樹脂層4aによって閉塞されている。また、連通孔を形成していない空隙にも樹脂層4aが形成されている。この樹脂層は、主として毛管現象によって空隙に浸透した流動性材料が乾燥し、流動性材料に含まれる樹脂が乾燥することにより形成されたものである。このように、連通孔を形成していない空隙にも樹脂層が形成されるため、発泡樹脂複合構造体の強度を高めることができる。
[実験7]
本願発明者らは、真空引きを行う時間と、流動性材料の浸透深さとの関係を調べる実験を行った。図11は、実験7の結果を示す図表である。
(実験内容)
この実験で使用した母材は、材質がEPSで、発泡倍率が60倍、連通孔の平均径が70μm、空隙率が3%、厚さが50mmである。また、流動性材料として、樹脂分20vol%のアクロナールS400にカーボンを10vol%分散したものを使用した。また、前述の各実験で使用した装置と同じ装置を用い、減圧室2dの圧力を−80kPaに設定した。そして、減圧室2dの圧力が−80kPaに達してから1分経過したときに母材を縦に切断してその断面を観察し、カーボンで黒色に変化している領域の深さを計測した。その後、真空引きの時間を2.5分および5分に変更して同様の計測を行った。
(実験結果)
図11に示すように、真空引きの時間が1分、2.5分および5分における流動性材料の浸透深さは、それぞれ5mm、10〜20mm、25〜30mmであった。つまり、真空引きの時間が長くなるに従って流動性材料の浸透深さが増加した。
(結論)
真空引きを行っている時間を変更することにより、母材における流動性材料の浸透深さを制御できることが分かった。
[連通孔の平均径の算出方法]
次に、母材に形成されている連通孔の平均径の算出方法について説明する。ここでは、連通孔を毛細管とみなして説明する。
まず、発泡前の予備発泡ビースの半径と、予備発泡ビーズによって囲まれて形成された空隙の半径との比率を求める。図12は、予備発泡ビースの模式図である。ここでは、予備発泡ビースを真球と仮定する。図示のように、予備発泡ビース6は相互に接触しており、3つの予備発泡ビース6によって囲まれた領域には空隙7が形成されている。ここで、その空隙7を、3つの予備発泡ビース6と接する毛細管8と仮定する。予備発泡ビース6の半径をA、毛細管8の半径をr、予備発泡ビース6および毛細管8の各中心を結んだ線L1と予備発泡ビース6の中心間を結んだ線L2とが成す角度をθとすると、θ=30°であるから、次の式(1)が成立する。
cos30°=A/(A+r) ・・・(1)
ここで、cos30°≒0.866を式(1)に代入し、rを求めると、
r=0.155A ・・・(2)
つまり、毛細管8の半径rと予備発泡ビース6の半径Aとの比率が求まった。ここで、発泡ビーズは真球の状態を維持しながら膨張すると仮定すると、上記の式(2)は、予備発泡ビーズを加熱発泡融着して製造される母材の連通孔の半径と発泡セルの半径との関係にも適用することができる。また、予備発泡ビーズ6によって囲まれた毛細管8は、予備発泡ビーズ6の発泡によって半径が大きくなるため、発泡の前後における毛細管の関係にも上記の式(2)を適用することができる。
次に、実際に予備発泡ビース6を加熱発泡融着させて製造した母材に形成されている連通孔の平均径を求める。
液体の毛細管圧力Fcは、次の式(3)で与えられることが知られている(引用文献:室井宗一著、(株)工文社発行の「ビギナーのための高分子ラテックス」)。
Fc=12.9γ/C ・・・(3)
ここで、γは液体の表面張力(N/m)、Cは毛細管を形成する発泡セルの半径(m)を示す。
図13は、発泡倍率15倍の母材に対して行った水漏れ実験の結果を示す図表であり、図14は、発泡倍率60倍の母材に対して行った水漏れ実験の結果を示す図表である。両母材の材質は共にEPSであり、厚さは20mmである。図13より、発泡倍率15倍の母材では、真空圧が−10kPaで水が浸透している。また、図14より、発泡倍率60倍の母材では、真空圧が−4kPaで水が浸透している。
まず、発泡倍率15倍の母材に形成された連通孔の平均径を求める。−10kPaで水が浸透(水漏れ発生)しているため、母材の1cm当りの毛細管圧力は、0.1kPaとなる。また、水の表面張力を70mN/mとする。そして、Fc=0.1kPaおよびγ=70mN/mを上記の式(3)に代入すると、
0.1=(12.9×70)/(C×10) ・・・(4)
上記の式(4)からCを求めると、C=90.3μmとなる。そして、C=90.3μmを前述の式(2)に代入すると、
r=0.155×90.3μm≒14μm ・・・(5)
となる。したがって、連通孔の平均径は、r×2=14μm×2=28μmになる。
次に、発泡倍率60倍の母材に形成された連通孔の平均径を求めると、−4kPaで浸透(水漏れ発生)しているため、母材の1cm当りの毛細管圧力は、0.04kPaとなる。また、水の表面張力を70mN/mとする。そして、Fc=0.01kPaおよびγ=70mN/mを上記の式(3)に代入すると、
0.04=(12.9×70)/(C×10) ・・・(6)
上記の式(6)からCを求めると、C=225.75μmとなる。そして、C=225.75μmを前述の式(2)に代入すると、
r=0.155×225.75μm≒35μm ・・・(7)
となる。したがって、連通孔の平均径は、r×2=35μm×2=70μmになる。
(実施形態の効果)
(1)上述の実施形態に係る発泡樹脂複合構造体の製造方法を実施すれば、樹脂が溶媒に溶解または分散された流動性材料を母材に形成された連通孔に浸透させることにより、連通孔を非連通状態にすることができるため、軽量でありながら、水漏れが発生しない発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
例えば、上記実施形態の発泡樹脂複合構造体を冷蔵庫やエアコンなどの水受皿として使用すれば、軽量でありながら、水漏れが発生しない水受皿を実現することができる。
(2)また、流動性材料を母材の内部まで浸透させることにより、上面が傷付いても水漏れ効果が低下しない発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
例えば、水受皿の運搬中に水受皿が傷付いたり、水受皿の取付け作業中にドライバーなどの工具が水受皿に落下してひび割れたり、陥没したりした場合であっても、それらが原因で水が漏れるおそれがない。
(3)さらに、発泡セル同士の融着が不完全で母材に隙間が形成されている場合であっても、その隙間にも流動性材料が浸透するため、融着が不完全なことに起因する水漏れをなくすことができる。
(4)母材に形成された連通孔に浸透した流動性材料が乾燥し、流動性材料に含まれている樹脂が硬化することにより、強度の高い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(5)粉末が溶媒に分散された流動性材料を母材の連通孔に浸透させることにより、粉末の有する性質を発泡樹脂複合構造体に持たせることができる。
(6)樹脂および粉末の溶媒に対する体積率は、母材に形成された連通孔の平均径10〜150μmに応じて18〜95vol%の中から選択するため、粉末が分散されていない流動性材料と比較して、溶媒に溶解または分散する樹脂の割合を減らすことができる。
したがって、樹脂よりも粉末の材料費の方が低い場合は、粉末を増量することにより、発泡樹脂複合構造体の製造費用を低減することができる。
〈第2実施形態〉
次に、この発明の第2実施形態について説明する。この実施形態は、導電性を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることを特徴とする。
[実験8]
本願発明者らは、流動性材料に導電性を持たせる実験を行った。図15は、実験8の結果を示す図表である。
(実験内容)
この実験で使用した流動性材料は、酢酸ビニル溶液(樹脂分60vol%)をメタノールで希釈したものに銅粉(MA−C04J)を分散したものである。また、銅粉と樹脂との比率(vol%)が異なる4種類の流動性材料を作成した。各流動性材料の粘度は2000mPa・s以下である。そして、作成した流動性材料を母材の上面に塗布し、母材を乾燥させて流動性材料に含まれる蒸発成分を蒸発させ、銅粉が分散された樹脂分によって母材の上面に膜を形成した。そして、その発泡樹脂複合構造体の上面に形成された膜表面の電気抵抗を測定した。
また、1種類の流動性材料に付き、上記の測定をA,B,Cの3つの同じ母材に対して行い、その平均値を求めた。
(実験結果)
図15に示すように、発泡樹脂複合構造体の上面の電気抵抗は、7.31×10Ω〜2.11×1010Ωであり、発泡樹脂複合構造体の上面が導電性を有することが分かった。また、銅粉および樹脂の比率が変化しても、膜の電気抵抗に大差がないことが分かった。
(結論)
上記の実験結果より、酢酸ビニルの希釈溶液に銅粉を分散してなる粘度2000mPa・s以下の流動性材料を母材に塗布することにより、その塗布面に導電性を有する発泡樹脂複合構造体を製造できることが分かった。また、母材の上面に上記の流動性材料が残留するように流動性材料を母材に浸透させ、乾燥させることにより、母材の上面に導電性膜を形成し、その導電性膜から母材の内部まで導通した発泡樹脂複合構造体を製造できると考えた。さらに、上記の流動性材料を母材の上面から下面まで浸透させることにより、母材の上下面が導通した発泡樹脂複合構造体を製造できると考えた。
上記の導電性を有する発泡樹脂複合構造体は、様々な用途がある。例えば、帯電防止の必要な用途である。例えば、電気製品などを組立てる工場において電気部品を載置する皿や容器に用いることができる。この場合、電気部品を載置する面に上記の導電性膜を形成し、その導電性膜またはそれと導通する他の部位をグランドに接続する(接地する)。これにより、電気部品の静電気を導電性膜を介してグランドに逃がすことができる。
例えば、ロボットによって電気製品を組み立てるラインにおいて、ロボットハンドが掴むICチップなどの電子部品を載置する皿や容器に上記の発泡樹脂複合構造体を使用し、その導電性膜の上に電子部品を載置する。これによれば、電子部品に帯電している静電気を導電性膜からグランドに逃がすことができるため、ロボットハンドが電子部品を掴んだときに静電気の放電により、その電子部品が破壊されるおそれがない。
[他の実施形態]
(1)流動性材料を母材に浸透させる際に、流動性材料が母材の上面に残留するように行い、その残留した流動性材料を乾燥させることもできる。
この製造方法によれば、母材の一の面を流動性材料に含まれる樹脂で覆うことができるため、非連通状態になっていない連通孔が存在する場合であっても、その連通孔の上面における開口部を上記の残留した樹脂によって閉塞することができる。
したがって、水漏れ防止効果を高めることができる。
また、粉末が分散された流動性材料が母材の上面に残留するようにすれば、母材の上面に粉末が残留するため、母材の上面に粉末の性質を持たせることができる。
さらに、連通孔の内部に付着した粉末と、母材の上面に付着した粉末とが連続することにより、上面から連通孔の内部までの連続した範囲に対して粉末の性質を持たせることができる。
例えば、実験7のように、銅粉などの導電性の粉末を分散した流動性材料を母材に浸透させれば、その浸透面に導電性を有し、かつ、水漏れ防止効果の高い発泡樹脂複合構造体を製造することができる。
(2)母材の上面に配置した流動性材料の上面を加圧する加圧装置を併用することもできる。例えば、図2に示す装置の上部空間2bに蓋を配置し、その蓋と流動性材料との間に形成される空間をエアポンプによって空気を送出して加圧する。この方法によれば、母材1の一の面および他の面間の差圧を効率良く増大させることができるため、母材1に対する流動性材料の浸透速度を速くすることができるので、発泡樹脂複合構造体の製造効率を高めることができる。
(3)流動性材料を浸透させたくない母材の領域をフィルムなどで予めマスキングしておいても良い。この方法によれば、母材の所望の領域に流動性材料を浸透させることができる。
(4)加熱により蒸発成分の蒸発が促進される流動性材料を用いる場合は、流動性材料が浸透した母材1を加熱して乾燥を促進させ、製造時間を短縮することもできる。
(5)導電性の粉末として金、銀、銅、ニッケル、パラヂウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛などの金属を粉末にしたもの、それら金属の合金を粉末にしたもの、酸化錫などの金属酸化物を粉末にしたもの、カーボンなどの導電性炭素同素体を粉末にしたも、ガラス、カーボン、マイカ、プラスチックなどの粒子の表面に導電の金属をコートしたものなどを用いることができる。
(6)導電性の粉末に代えて、フェライトからなる磁性粉末を用いることもできる。これによれば、磁性を帯びた発泡樹脂複合構造体を製造することができる。また、フェライトに代えて、コバルトフェライト系磁性体、メタル磁性体、CrO、γ−Fe、FeN、Baフェライトなどの粉末を用いることもできる。さらに、導電性粉末および磁性粉末を混合したものを用いることにより、導電性および磁性を有する発泡樹脂複合構造体を製造することもできる。
(7)ホウ酸からなる粉末を分散した流動性材料を母材に浸透させることもできる。これによれば、少なくとも生物を忌避する性質を有する発泡樹脂複合構造体を製造することができる。例えば、その発泡樹脂複合構造体を建築物の断熱材などに使用すれば、シロアリやゴキブリなどの害虫を除虫または殺虫することができる。また、その発泡樹脂複合構造体を海上構造物のフロートなどに使用すれば、フジツボなどの貝類がフロートに付着しないようにすることができる。また、ホウ酸を母材の内部まで浸透させることができるため、断熱材やフロートなどの表面が剥がれたり、欠けたりした場合であっても、生物忌避の効果を持続することができる。なお、銅粉にも生物忌避効果があるため、銅粉を母材に浸透させた発泡樹脂複合構造体を断熱材やフロートなどに適用した場合も、ホウ酸の場合と同様の効果を奏することができる。
また、ホウ酸または銅粉をマイクロカプセルに収容し、そのマイクロカプセルが多数集合してなる粉末を分散した流動性材料を母材に浸透させることもできる。例えば、マイクロカプセルの外殻を構成するシェル(壁材)として、外気温度が所定温度を超えると亀裂の入る性質のシェルを使用し、そのシェルにホウ酸をコア(芯物質)として内包する。そして、そのマイクロカプセルを粉末として分散した流動性材料を母材に浸透させることにより、外気温度が所定温度を超えると連通孔内のマイクロカプセルに亀裂が入り、ホウ酸の成分を外気中に放出することができる。例えば、その発泡樹脂複合構造体を建築物の断熱材などに使用すれば、シロアリやゴキブリなどの害虫を除虫または殺虫することができる。
また、時間の経過により自然分解するシェルを用いることもできる。なお、「マイクロカプセル」とは、直径がナノメートルからミリメートルの間の微小な容器のことをいう。また、マイクロカプセルには、密閉型および多孔型のものを含む。
(8)粉末として、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化ケイ素、酸化チタン、ガラス粉、中空ガラスバルーン、珪藻土、カオリン、パーライト、蛍石、ベントナイトなどを用いることができる。
(9)流動性材料として、アクリル系、合成ゴム系、酢酸ビニル系、エチレン系、エポキシ系およびウレタン系の少なくとも1つからなる溶剤型または分散型の樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系の溶剤型または分散型の樹脂として、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合物、アクリル酸エチル-スチレン-アクリルアミド共重合物、アクリル酸2エチルヘキシル-メタクリル酸-アクリル酸共重合物などを用いることができる。また、合成ゴム系の溶剤型または分散型の樹脂として、スチレン-ブタジエンラテックス、スチレン-アクリルニトリル-ブタジエンラテックス、ポリブタジエンラテックスなどを用いることができる。また、酢酸ビニル系の溶剤型または分散型の樹脂として、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル-アクリル酸エチル共重合物、酢酸ビニル-メタクリル酸メチル共重合物、酢酸ビニル-べオバ共重合物、ポリビニールアルコールなどを用いることができる。また、エチレン系の溶剤型または分散型の樹脂として、ポリエチレンエマルジョン、エチレン-酢酸ビニル共重合物、エチレン-酢酸ビニル-アクリル酸共重合物、エチレン-アクリルニトリル-酢酸ビニル共重合物などを用いることができる。また、エポキシ系の溶剤型または分散型の樹脂として、エポキシ、アクリル酸ブチル-グリシジルメタクリレート-アクリルアミド共重合物などを用いることができる。また、ウレタン系の溶剤型または分散型の樹脂として、ポリウレタン、ウレタン変性アクリル酸-メタクリル酸共重合物などを用いることができる。
さらに、上記の各樹脂を水に分散してなる各種の樹脂水性エマルションを用いることができる。例えば、エポキシ樹脂水性エマルション 、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂水性エマルション 、変性脂肪族ポリアミン樹脂水性エマルション、生分解性樹脂水性エマルションなどの樹脂水性エマルションを用いることができる。
(10)流動性材料を着色することもできる。その着色剤には、一般的な顔料または染料を用いることができる。顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、ドロマイト、桂砂、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクドリン系顔料など、色材および充填剤として使用されるものがある。染料では、アゾ系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチルベン系染料などがある。
さらに、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀粉、銅粉、酸化チタンなどの金属粉を着色剤として用いても良い。
これらの着色剤によってエポキシ樹脂を着色することにより、発泡樹脂複合構造体の色や模様を変えることができる。
(11)母材1を形成するための発泡樹脂原料としては、、特定の発泡温度において発泡するものである限り特に限定されないが、熱可塑性物質を主材とし、気体もしくは液体を発泡剤として含浸させたもの、あるいは、熱分解性の発泡剤を含有するものを好適に用いるが、両者を含有するものでも良い。また、熱可塑性物質は架橋されていても良い。
熱可塑性物質を主材とし、気体もしくは液体を発泡剤として含浸させたものとしては、市販のポリスチレン発泡性ビーズ、ポリエチレン発泡性ビーズ、ポリプロピレン発泡性ビーズなどを用いても良いし、ブタン、ペンタン、フロン等の炭化水素、水、CO、Nを含浸させたものでも良い。また、熱分解性の発泡剤を含有するものとしては、下記に示す熱分解性の発泡剤および熱可塑性物質から適宜調製して用いても良い。この熱分解性の発泡剤と熱可塑性物質は、発泡剤の分解温度が熱可塑性物質の可塑化温度よりも高いことが好ましく、発泡剤の分解温度と熱可塑性物質の可塑化温度がほぼ等しくなるように選ばれることが、発泡材料を綺麗に発泡できることから更に好ましい。
発泡材料の主材としては、加熱により軟化する物質である限り特に制限を受けず、熱可塑性樹脂として知られる一群の合成プラスチック材料が好適に用いられる。例えば、ポリ(スチレン);ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)等のオレフィン系樹脂;ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリ(フシ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)体、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ(テトラフルオロエチレン)、塩素化ポリ(塩化ビニル)、塩素化ポリ(エチレン)、塩素化ポリ(プロピレン)等のハロゲン化樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610 、ナイロン612 、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン46、N−メトキシメチル化ポリ(アミド)、アミノポリ(アクリルアミド)等のポリアミド;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体、ポリプロピレン−EPDM、ポリエチレン−EPDM、イソブチレン−無水レイン酸共重合体、アクリルニトリル−アクリレート−スチレン共重合体、アクリルニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエンースチレン共重合体、アクリルニトリル−塩化ビニル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の共重合体;さらに、アイオノマー、ケトン樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(アセタール)、ポリ(アミドイミド)、ポリ(アリレート)、熱可塑性ポリ(イミド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルエ−テルヶトン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(サルホン)、ポリ(エーテルサルホン)、ポリ(アミノサルホン)、ポリ(パラメチルスチレン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(フェニレンオキサイド)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(メチルペンテン)、ポリ(メチルメタクリレート)、液晶ポリマー、ポリ(ウレタン)等を挙げることができる。また、ポリ乳酸樹脂を用いることもできる。また、適宜、上記重合体の変成体、架橋体を用いても良いし、これらを組み合わせて成る共重合体を用いても良い。さらに、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
発泡樹脂原料に混練する熱分解性の発泡剤としては、一般的に使用されている熱分解性発泡剤である限り特に限定されず、発泡樹脂原料の主材の可塑化温度に適合させて選ばれる。
このような熱分解性発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、アゾジカルボンアミドエステル等のアゾ化合物;ジニトロソベンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3´−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;4,4´−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホアジド等のアジド化合物;p−トルエンスルホセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモン、亜硝酸アンモン等を挙げることができる。さらに、これらの熱分解性発泡剤は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
発泡樹脂原料には、これら発泡剤と共に、成形特性を改良する目的で各種の添加剤を配合してもよい。添加助剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、亜鉛華硝酸亜鉛などの無機塩があげられる。
発泡助剤は、使用する樹脂、発泡剤、助剤の種類によって異なるが、通常熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜2.0重量部程度の割合で添加されることが好ましい。これは、添加量が0.1重量部以下では効果が小さく、2.0重量部以上では効果が飽和する傾向があるためである。
発泡性ビーズの大きさは、0.3ミリから5ミリが好適に用いられる。ここで発泡性ビーズの大きさとは、発泡性ビーズがほぼ球形の場合には平均直径とする。また、平らなものやストランド状のものの場合に発泡性ビーズの大きさといえば、最も幅が小さいサイズをさすものとし、以下、発泡性ビーズの大きさといえばこの例に倣うものとする。発泡性ビーズの大きさが0.3ミリから5ミリのものが好適に用いられるのは、発泡性ビーズの製造し易さと発泡性ビーズの表面積、そして伝熱遅れによる軟化ムラが出にくいということの兼ね合いの結果である。0.3ミリより小さいビーズの使用も可能であるが、しかしこの場合、ビーズの表面積の総和が大きくなるので最終的な発泡セルの接触する界面の面積が大きくなり、薄膜状剛性セル壁を構成する材料がずっと多く必要となる。したがって、圧縮強度は増すものの、軽量化の効果は小さくなる。
また、発泡性ビーズ内部からの発熱をひきおこす仕組みを併用すれば、直径5ミリより大きな発泡性ビーズを用いることもできる。発泡性ビーズ内部からの発熱をひき起こす仕組みとしては、例えば、発泡性ビーズに金属粉を混ぜ込み高周波電磁場環境下での電磁誘導を利用することができる。
均質な発泡セル構造を持つ発泡樹脂複合構造体を得るためには、発泡性ビーズの大きさは、概略揃っているのが望ましい。しかし、厳密に揃っている必要はない。また、あえて発泡性ビーズの大きさに分布を持たせることで、発泡セル膜に特異な3次元構造を持たせることができるので、異なる大きさの発泡性ビーズを混ぜて用いることもある。
さらに、発泡材料は、例えば予備発泡ビーズや発泡体の破砕品のような既に発泡している材料に高圧下でガスを含浸させたものでも良い。さらに、既に発泡成型されたチップ状、ストロー状などの形状の材料や発泡体の破砕品でも良く、その材料を凝縮して成型型内で加熱融着させて母材1を形成しても良い。
母材の説明図であり、(a)は母材の斜視図、(b)は(a)に示す領域Dの拡大図である。 装置に母材1および流動性材料4がセットされた状態の縦断面図である。 発泡倍率が60倍、連通孔の平均径が70μm、空隙率が3%の母材に対する実験1の結果を示す図表である。 実験2,3の結果をまとめた図表である。 実験4の結果をまとめた図表である。 実験5の結果をまとめた図表である。 実験6の結果をまとめた図表である。 実験1〜6の総合結果をまとめた図表である。 図8のデータをグラフ化したものである。 流動性材料が浸透した発泡樹脂複合構造体の説明図であり、(a)は発泡樹脂複合構造体の斜視図、(b)は(a)においてDで示す領域の拡大図である。 実験7の結果を示す図表である。 予備発泡ビースの模式図である。 発泡倍率15倍の母材に対して行った水漏れ実験の結果を示す図表である。 発泡倍率60倍の母材に対して行った水漏れ実験の結果を示す図表である。 実験8の結果を示す図表である。 特許公報に従来技術として記載された発泡樹脂成型機の模式図である。
符号の説明
1・・母材、1a・・一の面、1b・・他の面、1c・・発泡セル、1d・・連通孔、
2・・容器、2d・・減圧室、2e・・通気口、3・・減圧装置、4・・流動性材料、 4a・・樹脂層、5・・発泡樹脂複合構造体。

Claims (9)

  1. 隣接する発泡セル同士が融着することにより独立気泡構造が形成されており、前記独立気泡間が連通することにより一の面から他の面に連通した連通孔が存在し、かつ、前記連通孔の平均径が10〜150μmの母材と、
    樹脂が溶媒に溶解または分散されており、かつ、粘度が2000mPa・s以下の流動性材料と、
    前記一の面よりも前記他の面における圧力の方が低くなるように前記一の面と他の面との間に差圧を発生させる差圧発生装置と、を用意し、
    前記流動性材料を前記一の面に配置する第1工程と、
    前記差圧発生装置によって前記一の面と他の面との間に差圧を発生させることにより、前記一の面に配置された前記流動性材料を前記連通孔に浸透させて前記連通孔を非連通状態にする第2工程と、を有し、
    前記樹脂の体積率は、前記連通孔の平均径に応じて18〜95vol%の中から選択することを特徴とする発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  2. 前記溶媒には粉末が分散されており、
    前記樹脂および粉末の前記溶媒に対する体積率は、前記連通孔の平均径に応じて18〜95vol%の中から選択することを特徴とする請求項1に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  3. 前記粉末が導電性粉末および磁性粉末の少なくとも一方であることを特徴とする請求項2に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  4. 前記導電性粉末が少なくとも銅からなる粉末であることを特徴とする請求項3に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  5. 前記磁性粉末が少なくともフェライトからなる粉末であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  6. 前記粉末が少なくともホウ酸からなる粉末であることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  7. 前記第2工程は、
    前記流動性材料が前記一の面に残留するように行うことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  8. 前記流動性材料は、アクリル系、合成ゴム系、酢酸ビニル系、エチレン系、エポキシ系およびウレタン系の少なくとも1つからなる溶剤型または分散型の樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
  9. 前記流動性材料は、樹脂水性エマルションであることを特徴とする請求項8に記載の発泡樹脂複合構造体の製造方法。
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JP2023505919A (ja) * 2019-07-18 2023-02-14 ワルツウィーン テウバート ジービーア 粒子発泡体から成形部品を製造する方法

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