JP2010088384A - 大豆エキス入り焼酎の製造方法。 - Google Patents

大豆エキス入り焼酎の製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、穀類を主原料として発酵させた焼酎もろみを蒸留して得た焼酎により、大豆を麹菌・酵母で発酵させた大豆発酵もろみから大豆エキス分を抽出することで大豆エキス入り焼酎が得られる製造方法を提供する
【解決手段】 穀類の麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで穀類からなる主原料に前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて焼酎もろみを得、次いで、前記焼酎もろみを蒸留して焼酎を作る第1工程と、大豆からなる麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて大豆発酵もろみを得る第2工程と、前記焼酎に前記大豆発酵もろみを混合した後、ろ過して大豆エキス入り焼酎を得る第3工程と、からなる大豆エキス入り焼酎の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、健康食品である大豆の有する栄養素を発酵加工して付加した焼酎の製造方法に関するものである。
大豆には、主な成分として、たんぱく質35%前後、脂質20%前後、炭水化物28%前後を含み、カルシウムも多く、ビタミンB,B,Eが含まれている。このように、たんぱく質を多く含むのが特徴で、人体に不可欠な8種類の必須アミノ酸をも含む。また、脂質は、20%前後を占め、大部分が不飽和脂肪酸であって、血中コレステロールを下げるリノール酸が多い。また、肝臓への脂肪蓄積を抑制するレシチンなどのリン脂質も含む。また、ビタミンEは,抗酸化作用を有し、老化防止、動脈硬化防止に貢献する。また、大豆サポニンは、配糖体の一種で煮たときに出る泡に含まれる苦味や渋味であり、強い抗酸化作用があり、また、大豆イソフラボンは、ポリフェノールの一種で、更年期障害や骨粗鬆症に効くといわれる。このように大豆は機能性成分が多く含まれている。
上述のように、人体にとって、有効なたんぱく質成分を多く含むことから、動物性食品を補完し得るので「畑の肉」と言われている。このように大豆は栄養価が高いが、かたくて消化が悪いので、大豆の栄養素を容易に摂取するための加工食品として、黄な粉、豆腐、油揚げ、凍り豆腐、納豆、味噌、醤油などがあって、多くの料理に用いられており、動物性たんぱく質の過剰摂取が心配される現代人のよい植物性たんぱく質源となっている。
他方、嗜好飲料であるアルコール飲料は、一般に食欲の増進や疲労回復や精神的ストレスの解消に役立つ作用がある。アルコール飲料としての焼酎は、日本酒に比べ糖質を含まなず、すっきりとした飲み口から好まれ、また、乙類焼酎では、原料の違いによる多くの種類の焼酎があり、米焼酎、芋焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎などがあって、夫々原料に由来する独特の香気や風味があって、多くの人々に嗜好されている。焼酎の製造は、通常、これらの原料に多く含まれるデンプンを糖化酵素により分解してグルコースを生成した後、このグルコースを発酵させてアルコールに転化し、このアルコールを含んだもろみを蒸留することにより焼酎を得ることができる。
また、この嗜好品である焼酎の多様化の一環として、香気成分を付加した焼酎が開発されてきている。例えば、梅風味の焼酎を含む蒸留酒やハーブ由来の香気成分を含有させた焼酎を含むアルコール飲料などがある。(特許文献1,2)
特開2006−109799公報(〔0008〜0010〕) 特開2005−126616公報(〔0008〕、〔0011〜0012〕)
前述の先行技術は、焼酎に別途香気成分を付加することにより嗜好の多様化を図る点において優れている。これに対して、本発明は、従来では考えられなかった、嗜好も兼ねた健康増進成分又は健康維持成分を付加した焼酎を得ることを目的とするもので、特に大豆が含有するたんぱく質や脂質などの特有な栄養素を、発酵反応により人体に摂取可能な大豆エキスに転化して焼酎に付加することを目的とし、穀類を主原料として発酵させた焼酎もろみを蒸留して得た焼酎により、大豆を麹菌・酵母で発酵させた大豆発酵もろみから大豆エキス分を抽出することで大豆エキス入り焼酎が得られる製造方法を提供するものである。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法は、穀類の麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで穀類からなる主原料に前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて焼酎もろみを得、次いで、前記焼酎もろみを蒸留して焼酎を作る第1工程と、大豆からなる麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて大豆発酵もろみを得る第2工程と、前記焼酎に前記大豆発酵もろみを混合した後、ろ過して大豆エキス入り焼酎を得る第3工程と、からなることを特徴とする。
本発明の製造方法に係る第1工程では、用いる麹は、アミラーゼ活性を有した麹菌を用いて、蒸した米又は麦の麹原料に種付けし、製麹して得る。次いで、焼酎の原料である米、麦又はさつまいも等の穀類を蒸煮したものに前記麹と酵母と水とを加えて仕込、発酵させて焼酎もろみを得、次いで、もろみを蒸留して焼酎を作る。また、第2工程では、大豆からなる麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで、前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させた後、大豆発酵もろみを得る。この第2工程において、原料としての大豆を一部分割して仕込み発酵時に加えることも可能である。
この大豆発酵により、大豆は麹のプロテアーゼ等によりたんぱく質を低分子のペプチドやグルタミン酸を含むアミノ酸類に転化して可溶化し、また脂質は麹のリパーゼにより脂肪酸類に転化する。また、でんぷん質は麹菌により糖化されてグルコース類を生じる。そして添加された酵母により、前記グルコース類はアルコール類に転化されると共に、大豆由来の脂肪酸類は一部アルコール類と結合してエステル化してフレバーを生ずる。次いで、これらの大豆エキス分を含む大豆発酵もろみを、前記第1工程で作った焼酎に混合して、大豆エキス分を焼酎中に抽出した後、ろ過して大豆エキス入り焼酎を製造することができる。ここにいう大豆エキスとは、大豆由来であって、主としてアルコールと水に可溶化するアミノ酸類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類とビタミンE、サボニン、イソフラボン、レシチン等をいう。
また、請求項2に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法は、前記第3工程において、前記焼酎に前記大豆発酵もろみを混合した後、1〜7日間静置熟成した後、ろ過して大豆エキス入り焼酎を得ることを特徴とする。
この構成を採用することにより、焼酎と、大豆発酵もろみとを混合した後、1〜7日間静置することにより、焼酎に含まれるアルコール類と大豆発酵もろみ中の残存酵母により大豆発酵もろみ中の大豆エキスとしての有効成分を更に抽出する。例えば、もろみ中の不溶の脂肪酸と反応させることにより可溶な脂肪酸エステルとして抽出することが可能となる。すなわち、焼酎と大豆発酵もろみとの混合熟成期間を取ることで、大豆発酵もろみから大豆エキスとして有効な成分を更に生成させて抽出することにある。
また、請求項3に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法は、穀類の麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで穀類からなる主原料に前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて焼酎もろみを得、次いで、前記焼酎もろみを蒸留して焼酎を作る第1工程と、大豆からなる麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて大豆発酵もろみを得る第2工程と、前記大豆発酵もろみをろ過して大豆エキス液を得、次いで前記大豆エキス液を濃縮した後、前記焼酎に添加して大豆エキス入り焼酎を得る第3工程と、からなることを特徴とする。
この構成を採用することにより、前記大豆発酵もろみから単に水分のみを除去して、例えば、過度の加熱を伴わない減圧蒸発や浸透膜ろ過等により、大豆エキス液を濃縮して前記焼酎に添加することにより、大豆エキス入り焼酎の風味を良くすることや、アルコール濃度を必要以上に下げないことが可能となる。
また、請求項4に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法は、請求項1から3いずれかの記載において、前記第1工程の種麹が白麹菌又は黒麹菌のどちらかであり、また、前記第2工程の種麹が黄麹菌であることを特徴とする。
これらの構成を採用することにより、第1工程において、アミラーゼ活性を主体とした白麹菌又は黒麹菌により穀類のでんぷん質をグルコースに糖化する。また、第2工程では、プロテアーゼ活性とアミラーゼ活性のある黄麹菌が、大豆のたんぱく質、脂質、でんぷん質を分解し、アミノ酸類、脂肪酸類、グルコース類に転化させることが可能となる。
また、請求項5に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法は、請求項1から4のいずれかの記載において、前記第1工程の酵母が焼酎酵母であり、また、前記第2工程の酵母が味噌酵母であることを特徴とする。
これらの構成を採用することにより、第1工程で、焼酎酵母により穀類由来のグルコース類を発酵作用によりアルコール類に転化する。また、第2工程で、味噌酵母はたんぱく質、脂質、でんぷん質を分解する酵母であり、大豆由来のたんぱく質をアミノ酸類、グルタミン酸類に、脂質を脂肪酸類に変え、更に一部は脂肪酸エステル類に転化することができる。こうして、醸造アルコール類を含む焼酎もろみと、大豆エキス分を含む大豆発酵もろみと、を生成させることができる。
また、請求項6に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法は、請求項1から4のいずれかの記載において、前記焼酎に対する前記大豆発酵もろみの配合比が5〜25wt%の範囲であることを特徴とする。
これらの構成によると、大豆発酵もろみが5wt%以下であれば、大豆エキス入り焼酎に対する大豆エキス分が少なく、また25wt%を超えると大豆エキス分の含有は多くなるが、焼酎としての風味が変わりすぎるので好ましくない。
本発明に係る請求項1から6まで記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法によれば、大豆発酵もろみから大豆エキス分を成分的、量的に効率よく抽出できる焼酎を作り込むことが可能であり、他方焼酎により抽出される大豆エキス分を成分的、量的に含有する大豆発酵もろみの作り込みが可能であって、夫々の工程が独立して直接相互に影響されない利点を有する。また、この方法によれば、従来にない大豆エキス入り焼酎を製造することができる。こうして得られた大豆エキス入り焼酎は、食欲の増進や疲労回復や精神的ストレスの解消に役立つ嗜好品であると共に、大豆に含有される人体の活力維持に必須な大豆エキス分を含有するものである。
また、請求項2に記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法によれば、焼酎と大豆発酵もろみとの混合熟成期間を取ることで、大豆発酵もろみから大豆エキスとして有効な成分を更に生成させ、かつ、抽出することが可能となる。また、請求項3に記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法によれば、大豆発酵もろみから大豆エキス液を濃縮して焼酎に添加するので、過度に焼酎を希釈することなく、焼酎の風味を維持し易くすることが可能となる。また、請求項4に記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法によれば、原料の大豆及び穀類の夫々に適した麹菌の採用により、麹菌による分解を確実に効率的に行うことができるので、醸造アルコールや大豆エキスの生成歩留をあげることが可能となる。また、請求項5に記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法によれば、大豆及び穀類の夫々の仕込み発酵後のもろみ中に、好適な醸造アルコールや大豆エキスの生成を確実に効率よく行うことができる。ひいては、目標品質の焼酎と有効な大豆エキス分を含有する大豆発酵もろみを製造できる。また、請求項6に記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法によれば、大豆エキス入り焼酎の風味と栄養素のバランスを好適にすることができる。
本発明に係わる大豆エキス入り焼酎の製造方法を実施するための最良の形態について図1を用いて説明する。図1は、本発明の方法の工程を表わす図であって、穀類の麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで穀類からなる主原料に前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて焼酎もろみを得、次いで、前記焼酎もろみを蒸留して焼酎を作る第1工程と、大豆からなる麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて大豆発酵もろみを得る第2工程と、前記焼酎に前記大豆発酵もろみを混合した後、ろ過して大豆エキス入り焼酎を得る第3工程に大別される。また、第3工程は、前記大豆発酵もろみをろ過して大豆エキス液を得、次いで前記大豆エキス液を濃縮した後、前記焼酎に添加して大豆エキス入り焼酎を得る工程とすることもできる。
第1工程である焼酎もろみの製造工程について説明すると、製麹工程では、麹原料として、米又は麦を用い、麹菌である種麹を種付けして繁殖し易くするために麹原料に蒸きょうを施す。この蒸きょうにより、米、麦のでんぷん質をアルファ化して、麹の酵素による糖化され易い状況を作るのと麹菌の繁殖を容易にする。麹菌としては、でんぷん質をグルコース類に糖化し、かつ、クエン酸を生じる黒麹菌(Aspergillus awamori)又は白麹菌(Aspergillus shirousami)を用いる。この麹菌を麹原料に種付けして、40〜25℃の培養温度範囲で、麹菌が繁殖し易い条件で製麹を行う。通常は初めは高温で、終わりに低温で製麹を行う。また、増殖後に培養温度を下げるとクエン酸を作り、酵素類の生成と雑菌による汚染防止に寄与する。
仕込み発酵工程においては、前記製麹工程で製造した麹と、焼酎の原料である米、麦、さつまいも等の少なくともいずれか一つで構成される主原料と、酵母と、水とを仕込んで発酵させてもろみを製造する。主原料は、製麹工程と同じく蒸きょうを施し発酵し易い条件を整える。 酵母としては、焼酎酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いる。前記仕込み発酵の期間は25〜40日の範囲である。この仕込み発酵により、米、麦、さつまいも等の主原料に含まれるでんぷん質は、麹の糖化酵素によって分解されてグルコースになった後、グルコースは酵母の発酵作用によりエタノールを主とするアルコール類に転化される。これらは、麹の酵素による糖化作用と、酵母による発酵作用が並行して行われる並行複発酵である。
また、仕込み発酵工程におけるもろみの製造では、麹と水を原料として酵母を加えて発酵させて、酵母を健全に多量に増殖させるとともに、麹から酵素を予め滲出させておく1次もろみの製造工程と、1次もろみに主原料と水を加えて発酵させる2次もろみの製造工程に分けることが通常行われている。
前記仕込み発酵工程で製造したもろみからアルコール分を回収する蒸留工程は、バッチ式である単式蒸留か連続式蒸留が採用できるが、本発明に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法では、香気成分などが蒸留回収し易い点で、乙類焼酎で用いられる単式蒸留の方がアルコール以外の蒸留成分を調節し易いので適している。単式常圧蒸留においては、アルコール分は初期で高く、以後は減少する。一方、単式減圧蒸留の場合は、常圧で、もろみ温度が90℃前後で蒸留されるのに対し、減圧蒸留では、例えば、減圧度マイナス660mmHgで43〜50℃で蒸留できる。このように、減圧蒸留はもろみの加熱による焦げ臭い成分が少なく、高沸点成分が少ないという特徴がある。
本発明に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法において、焼酎の品質を決める蒸留工程は重要な工程である。即ち、焼酎により大豆発酵もろみ中に随伴するアミノ酸類、乳酸や酢酸などの有機酸類、脂肪酸エステル類を抽出して適切に回収して、嗜好品として優れ、かつ栄養素として優れた大豆エキス入り焼酎の品質を決めるために、単式蒸留で、常圧蒸留か、又は減圧蒸留を用いて、所定品質の抽出性能に優れた焼酎を作ることができる。また、大豆エキス分を濃縮して焼酎に添加して大豆エキス入り焼酎を製造する場合も、ベースとなる焼酎の品質は風味の点で、同じく重要である。
第2工程である大豆発酵もろみの製造工程について説明すると、製麹工程では、麹原料として、大豆を用い、麹菌である種麹を種付けして繁殖し易くするために麹原料を蒸す又は煮るための蒸煮を施す。この蒸煮により、大豆は、大豆たんぱく質の主体を成す大豆グロブリンの分子そのままでは麹菌のプロテアーゼ作用を受けにくいので、蒸煮により変性させて酵素作用を受け易くし、また、大豆細胞壁の破壊をも行う。
麹菌としては、大豆たんぱく質を分解するプロテアーゼ活性と、でんぷん質をグルコース類に糖化するアミラーゼ活性に富んだ黄麹菌(Aspergillus oryzae)を用いる。この麹菌を麹原料に種付けして、40〜25℃の培養温度範囲で、麹菌が繁殖し易い条件で製麹を行う。製麹温度は、黄麹菌の場合、40〜35℃の高温ではアミラーゼ活性が高く、30℃以下の低温ではプロテアーゼ活性が高くなるので、通常は初めは高温で、終わりに低温で製麹を行う。
仕込み発酵工程においては、前記製麹工程で製造した麹と、酵母と、水とを仕込んで発酵させて大豆発酵もろみを製造する。酵母としては、味噌酵母(Zygosaccharomyces rouxii)を用いる。前記仕込み発酵の期間は25〜40日の範囲である。原料の大豆は、麹原料にのみ配合するのが、効率的に発酵させるのでよいが、一部の大豆を仕込み発酵の原料にすることも可能である。また、大豆発酵もろみは長期保存する必要性が少ないので、塩分濃度に制約されることはない。
大豆に対する麹の酵素群による分解作用と、酵母の発酵作用と、により、大豆たんぱく質は麹菌由来のプロテアーゼの作用で低分子のペプチドとアミノ酸に分解され、一部は旨味のグルタミン酸が生ずる。また、大豆脂質(トリグリセリド)は麹菌由来のリパーゼの作用で遊離脂肪酸とグリセリンに分解し、遊離脂肪酸の一部は脂肪酸エチルにエステル化される。この脂肪酸エチルは香気成分だけでなく、コレステロール制御、抗腫瘍性、抗変位原性、抗酸化性など機能性成分であるサポニン、イソフラボン、レシチン、ビタミンE等にも関与する。また、酵母による発酵作用で、でんぷん質由来のグルコースは発酵してエタノール、グリセリンなどのアルコール類を生じ、一部のエタノールは有機酸や脂肪酸とエチルエステルを生成する。このように酵素によって、たんぱく質の約60%が可溶化され、約25%がアミノ酸である。また、生成したエタノールは有害微生物の活動を阻害する抗菌作用があるので、味噌の製造時には必要とする食塩濃度を高くすることについて、余り考慮しなくてもよい。また、アルコール濃度が高過ぎると酵母も死滅させるので、発酵に当たっては、エタノール濃度と酵母数の管理が必要となる
前述の第1工程で製造して焼酎と、第2工程で製造した大豆発酵もろみと、を混合して静置熟成期間焼酎によりた大豆発酵もろみから大豆エキス分を回収する第3工程は、焼酎と、大豆発酵もろみとを混合した後、1〜7日間静置することにより、焼酎に含まれるアルコール類と大豆発酵もろみ中の残存酵母により大豆発酵もろみ中の大豆エキスとしての有効成分を更に抽出する。例えば、もろみ中の不溶の脂肪酸と反応させることにより可溶な脂肪酸エステルとして抽出することが可能となる。すなわち、焼酎と大豆発酵もろみとの混合熟成期間を取ることで、大豆発酵もろみから大豆エキスとして有効な成分を更に生成させて抽出することにある。
また、第3工程は、前記大豆発酵もろみをろ過して大豆エキス液を得、次いで前記大豆エキス液を濃縮した後、前記焼酎に添加して大豆エキス入り焼酎を得る工程であって、前記大豆発酵もろみから単に水分のみを除去して、例えば、過度の加熱を伴わない減圧蒸発や浸透膜ろ過等により、大豆エキス液を濃縮して前記焼酎に添加することにより、過度に焼酎を希釈することなく、焼酎の風味を維持し易くすることが可能となる。また、大豆発酵もろみと焼酎の混合物をろ過する場合に比べて、ろ過する対象物の量が少ないので、ろ過の分離精度が良くなり、ろ過装置も規模が小さくなる利点もある。
また、本発明に係る大豆エキス入り焼酎の製造方法は、前記焼酎に対する前記大豆発酵もろみの配合比が5〜25wt%の範囲であることが良く、大豆発酵もろみが5wt%以下であれば、大豆エキス入り焼酎に対する大豆エキス分が少なく、また25wt%を超えると大豆エキス分の含有は多くなるが、焼酎としての風味が変わりすぎるので好ましくない。
アルコール飲料の発酵・蒸留による製造において、人体に必要な栄養素等を発酵生成を利用することによりアルコール飲料に付加する分野に利用できる。
本発明に係わる大豆エキス入り焼酎の製造方法を実施するための概略工程図である。

Claims (6)

  1. 穀類の麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで穀類からなる主原料に前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて焼酎もろみを得、次いで、前記焼酎もろみを蒸留して焼酎を作る第1工程と、大豆からなる麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて大豆発酵もろみを得る第2工程と、前記焼酎に前記大豆発酵もろみを混合した後、ろ過して大豆エキス入り焼酎を得る第3工程と、からなることを特徴とする大豆エキス入り焼酎の製造方法。
  2. 前記第3工程において、前記焼酎に前記大豆発酵もろみを混合した後、1〜7日間静置熟成した後、ろ過して大豆エキス入り焼酎を得ることを特徴とする請求項1に記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法。
  3. 穀類の麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで穀類からなる主原料に前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて焼酎もろみを得、次いで、前記焼酎もろみを蒸留して焼酎を作る第1工程と、大豆からなる麹原料に種麹を添加して製麹し、次いで前記麹と酵母と水とを仕込んで発酵させて大豆発酵もろみを得る第2工程と、前記大豆発酵もろみをろ過して大豆エキス液を得、次いで前記大豆エキス液を濃縮した後、前記焼酎に添加して大豆エキス入り焼酎を得る第3工程と、からなることを特徴とする大豆エキス入り焼酎の製造方法。
  4. 前記第1工程の種麹が白麹菌又は黒麹菌のどちらかであり、また、前記第2工程の種麹が黄麹菌であることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法。
  5. 前記第1工程の酵母が焼酎酵母であり、また、前記第2工程の酵母が味噌酵母であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法。
  6. 前記焼酎に対する前記大豆発酵もろみの配合比が5〜25wt%の範囲であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の大豆エキス入り焼酎の製造方法。
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