JP2010086679A - 電源システム、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池の停止時間における温度上昇や水蒸気排出を回避するとともに、不安全状態を回避する電源システムおよび電子機器を提供する。
【解決手段】起電部2と、燃料収容部4と、燃料収容部4に収容された燃料を起電部2に供給する燃料供給手段3とを備えた燃料電池1と、燃料電池1の出力により充電可能な蓄電素子BTと、燃料電池1および蓄電素子BTの動作を制御する制御部CTRと、を備え、制御手段CTRは、燃料電池1の稼動時刻および稼動時間、又は、停止時間を設定可能なタイマTMと、燃料電池1を停止するように設定された時間において起電部1への燃料供給を停止あるいは抑制する手段を有する電源システムPS。
【選択図】図1
【解決手段】起電部2と、燃料収容部4と、燃料収容部4に収容された燃料を起電部2に供給する燃料供給手段3とを備えた燃料電池1と、燃料電池1の出力により充電可能な蓄電素子BTと、燃料電池1および蓄電素子BTの動作を制御する制御部CTRと、を備え、制御手段CTRは、燃料電池1の稼動時刻および稼動時間、又は、停止時間を設定可能なタイマTMと、燃料電池1を停止するように設定された時間において起電部1への燃料供給を停止あるいは抑制する手段を有する電源システムPS。
【選択図】図1
Description
本発明は、液体燃料を用いた燃料電池を備えた電源システム、および、その電源システムを搭載した電子機器に関し、特に、持ち運び可能な携帯用電子機器の技術に関する。
近年、ノートパソコンや携帯電話等の各種携帯用電子機器を長時間充電なしで使用可能とするために、これら携帯用電子機器の電源に燃料電池を用いる試みがなされている。燃料電池は燃料と空気とを供給するだけで発電することができ、燃料を補給すれば連続して長時間発電することが可能である。このため、燃料電池を小型化できれば、携帯用電子機器の電源として極めて有利なシステムといえる。
例えば、メタノールを燃料として用いた直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は小型化が可能であり、さらに燃料の取り扱いも容易であるため、携帯用電子機器の電源として有望視されている。DMFCにおける液体燃料の供給方式としては、気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式、また燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させて燃料極に供給する内部気化型等のパッシブ方式が知られている。
これらのうち、内部気化型等のパッシブ方式はDMFCの小型化に対して有利である。パッシブ型DMFCにおいては、例えば燃料極、電解質膜および空気極を有する膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を、箱状容器からなる燃料収容部上に配置した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、DMFCの燃料電池セルと燃料収容部とを流路を介して接続することも検討されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
燃料収容部から直接もしくは流路を介して導入された高濃度のメタノール燃料等を気化させて燃料極に供給する場合、MEAの燃料極側では気化した燃料を閉じ込めつつ、燃料極側の発電反応に基づいて生成された二酸化炭素ガスや水蒸気等のガス成分を系外に放出する必要がある。
このよう燃料電池は、稼動時に水蒸気などの排出ガスを生じるとともに熱を放出し、機器自体の温度が上昇することが確認されている。
携帯機器用の電源として上記燃料電池を使用する場合、二次電池と組み合わせ、燃料電池で発電した電力を、一旦、二次電池に充電し、二次電池から携帯電子機器に電力を供給する“ハイブリッド”方式を採用することがある。これは燃料電池が発電機であるために燃料の供給状態によっては、安定した電力を常時供給することが困難な場合が考えられることによる。
このようなハイブリッド方式の燃料電池の電源システムでは、二次電池の充電容量によって自動的に燃料電池が作動し、発電して二次電池を充電する方式が考案されている。このようにすると、常に二次電池を充電しておくことができるので、電子機器はいつでも二次電池から電力の供給を受けることができるようになる。
しかしながら、その一方で、燃料電池は場所や時間を問わず、稼動することになる。このようになると、外部環境の温度や湿度、密閉性、振動、機器の向き、置いた場所などによって燃料電池は影響を受けるとともに、時間や場所を問わず温度上昇したり、水蒸気を排出する場合が考えられ、使用者にとって必ずしも利便性の良いものでは無い場合もあった。
このような状態を解決するために、燃料電池組み込み機器にセンサーを複数取り付け、そのセンサーの信号を確認することで燃料電池の稼動可否を判断させるという発明がなされている(特許文献4参照)。
国際公開第2005/112172号パンフレット
特表2005−518646号公報
特開2006−085952号公報
特開2007−14068号公報
上記特許文献4に記載された発明では、決められた時間内における燃料電池の稼動判断を行うことも記載されているが、決められた時間内で燃料電池の稼動可否を判断して稼動可であれば燃料電池を発電させるものであり、判断を行うための多くのセンサーを必要とし、複雑な機器構成となることを回避することが困難であった。このため、小型機器への搭載が困難であった。
さらに、燃料電池の発電に不適当な環境において、燃料電池を停止することが記載されているが、燃料電池の停止中であっても、例えば燃料電池にとって有害となる有機溶剤の蒸気やタバコの煙、さらには飲料などの液体等の浸入、浸透により、燃料電池の動作が不安定になる場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、燃料電池の停止時間における温度上昇や水蒸気排出を回避するとともに、不安全状態を回避する電源システムおよびこの電源システムを備えた携帯電子機器を提供することを目的とする。
本発明の第1態様による電源システムは、起電部と、燃料収容部と、前記燃料収容部に収容された燃料を前記起電部に供給する燃料供給手段とを備えた燃料電池と、前記燃料電池の出力により充電可能な蓄電素子と、前記燃料電池および蓄電素子の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御手段は、前記燃料電池の稼動時刻および稼動時間、又は、停止時間を設定可能なタイマと、前記燃料電池を停止するように設定された時間において前記起電部への燃料供給を停止あるいは抑制する手段を有する。
本発明の第2態様による電子機器は、起電部と、燃料収容部と、前記燃料収容部に収容された燃料を前記起電部に供給する燃料供給手段とを備えた燃料電池と、前記燃料電池の出力により充電可能な蓄電素子と、前記燃料電池および蓄電素子の動作を制御する制御部と、前記燃料電池および前記蓄電素子に接続された負荷と、を備え、前記制御手段は、前記負荷への電源供給を前記燃料電池あるいは前記蓄電素子に切換える手段と、前記燃料電池の稼動時刻および稼動時間、又は、停止時間を設定可能なタイマと、前記燃料電池を停止するように設定された時間において前記起電部への燃料供給を停止あるいは抑制する手段を有する。
本発明によれば、燃料電池の停止時間における温度上昇や水蒸気排出を回避するとともに、不安全状態を回避する電源システムおよびこの電源システムを備えた携帯電子機器を提供することができる。
以下、この発明の一実施形態に係る電源システムおよびこの電源システムを搭載した電子機器100について図面を参照して説明する。本実施形態に係る電子機器100は携帯可能な携帯電子機器であって、図1に示すように、電源システムPSと電源システムPSに接続された負荷LDとを有している。
電源システムPSは、燃料電池1を備える燃料電池ユニット1Uと、蓄電素子としての二次電池BTと、燃料電池1の動作を制御する制御部CTRを有している。制御部CTRは、燃料電池1の稼動時刻、稼動時間、停止時刻および停止時間を設定可能なタイマTMを有している。
二次電池BTの出力信号はDC/DCコンバータCNV2に供給され、DC/DCコンバータCNV2から負荷LDの電源電圧として出力される。また、二次電池BTの出力電圧は、DC/DCコンバータCNV2を介して制御部CTRに供給され、タイマTMの電源電圧として用いられる。また、二次電池BTの出力信号は、燃料電池1が起動する際に、燃料電池1の起動電圧として用いられる。
燃料電池1は、膜電極接合体(MEA)を備える起電部2、液体燃料が収容される燃料収容部4、および燃料収容部4に収容された液体燃料を起電部2へ供給する燃料供給機構3を有している。燃料電池1の出力電圧は、DC/DCコンバータCNV1に供給され、DC/DCコンバータから二次電池BTまたは負荷LDに供給される。二次電池BTは、外部電源に接続されることによって充電可能であるとともに、燃料電池1から供給される電圧信号によっても充電可能である。
なお、負荷LDの電源供給は、制御部CTRによって、二次電池BTあるいは燃料電池1のいずれかに切換られる。
図2に示すように、起電部2は、アノード触媒層5とアノードガス拡散層6とを有するアノード(燃料極)7と、カソード触媒層8とカソードガス拡散層9とを有するカソード(空気極/酸化剤極)10と、アノード触媒層5とカソード触媒層8とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜11とから構成される膜電極接合体(MEA)12を有している。
アノード触媒層5やカソード触媒層8に含有される触媒としては、例えば白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)等の白金族元素の単体、白金族元素を含有する合金等が挙げられる。アノード触媒層5には、メタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Mo等を用いることが好ましい。カソード触媒層8には、PtやPt−Ni等を用いることが好ましい。
ただし、触媒は、これらに限定されるものではなく、触媒活性を有する各種の物質を使用することができる。また、触媒は、炭素材料のような導電性担持体を使用した担持触媒、あるいは無担持触媒のいずれであってもよい。
電解質膜11を構成するプロトン伝導性材料としては、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名、デュポン社製)やフレミオン(商品名、旭硝子社製)等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料、あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし、プロトン伝導性の電解質膜11はこれらに限られるものではない。
アノード触媒層5は、電解質膜11上に配置されている。アノードガス拡散層6は、アノード触媒層5に積層されている。このアノードガス拡散層6は、アノード触媒層5に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層5の集電機能を有するものである。
カソード触媒層8は、電解質膜11上に配置されている。カソードガス拡散層9は、カソード触媒層8に積層されている。このカソードガス拡散層9は、カソード触媒層8に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層8の集電機能を有するものである。
アノードガス拡散層6やカソードガス拡散層9は、例えばカーボンペーパーのような導電性を有する多孔質基材で構成されている。なお、図3及び図4に示した例においては、膜電極接合体12は、単一の電解質膜11を複数のアノード7と、アノード7と同数のカソード10とによってそれぞれ挟持し、これらのアノード7とカソード10との各組み合わせが単セル16をなす構造のものを示している。ここでは、単セル16のそれぞれは、電解質膜11の平面内において、分離して配置されている。なお、膜電極接合体12の構造は、この例に限らず他の構造であっても良い。
起電部2は、上述したような膜電極接合体12をアノード集電体13とカソード集電体14とで挟持することによって構成されている。このような集電体は、特に、図3及び図4に示したような複数の単セル16を有する膜電極接合体12において、各単セル16を直列に電気的に接続するものである。
アノード集電体13は、アノードガス拡散層6に積層されている。また、カソード集電体14は、カソードガス拡散層9に積層されている。アノード集電体13及びカソード集電体14としては、例えば金(Au)、ニッケル(Ni)のような導電性金属材料からなる多孔質層(例えば、メッシュ)、薄膜または箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材等が用いられる。アノード集電体13及びカソード集電体14は、燃料や酸化剤(空気)等を流通させる貫通孔を有している。
起電部2は、電解質膜11のアノード7側及びカソード10側にそれぞれ配置されたゴム製のOリング等のシール部材15によってシールされている。これにより、膜電極接合体12からの燃料漏れや酸化剤漏れが防止されている。
上述した起電部2は、燃料供給機構3とカバープレート22との間に配置されている。カバープレート22は、外観が略箱状のものであり、例えばステンレス鋼(SUS)によって形成されている。
カバープレート22は、酸化剤である空気を取入れるための複数の開口部(空気導入孔)22Aを有している。図示を省略したが、カバープレート22とカソード10との間には、必要に応じて保湿層や表面層として機能する板状体が配置される。
保湿層は、カソード触媒層8で生成された水の一部が含浸されて水の蒸散を抑制するとともに、カソード触媒層8への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は、空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有する。このような板状体としては、たとえば多孔質構造の部材で構成され、具体的な構成材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンの多孔質体などが挙げられる。
燃料供給機構3は、上部が開口された箱状に形成された容器19を備え、燃料収容部4と流路24を介して接続されている。すなわち、容器19は、燃料導入口23を有しており、この燃料導入口23と流路24とが接続されている。
この容器19は、例えば樹脂製容器によって構成される。容器19を形成する材料としては、耐メタノール性などを有していることが好ましい。容器19を形成する樹脂材料としては、例えばポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、ポリフェニルサルホンなどが挙げられる。ただし、一般的なポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂などで構成した容器19を除外するものではない。
燃料供給機構3は、膜電極接合体12のアノード7の面方向に燃料を分散並びに拡散させつつ供給する燃料供給部21を備えている。この実施の形態においては、燃料供給部21は、燃料分配板34を備えた構成であるが、他の構成であっても良い。
すなわち、図5及び図6に示すように、燃料分配板34は、少なくとも1つの燃料注入口31と、複数の燃料排出口32とを有しており、細管33のような燃料通路を介して燃料注入口31と燃料排出口32とを接続した構成である。燃料通路は、燃料分配板34内に形成した細管33に代えて燃料流通溝等で構成してもよい。この場合、燃料流通溝を有する流路板を複数の燃料排出口を有する拡散板で覆うことによって、燃料分配板34を構成することも可能である。
図5及び図6に示した例では、燃料注入口31は、1箇所にあり、容器19の燃料導入口23と連通している。これにより、燃料分配板34の燃料注入口31が流路24を介して燃料収容部4に接続される。燃料排出口32は、128箇所にあり、液体燃料もしくはその気化成分を排出する。
細管33の一端(始端部)には、燃料注入口31が設けられている。細管33は、途中で複数に分岐しており、これらの分岐した細管33の各終端部に燃料排出口32がそれぞれ設けられている。細管33は、例えば内径が0.05〜5mmの貫通孔であることが好ましい。
燃料注入口31から注入された液体燃料は、複数に分岐した細管33を介して複数の燃料排出口32にそれぞれ導かれる。このような燃料分配板34を使用することによって、燃料注入口31から注入された液体燃料を方向や位置に係わりなく、複数の燃料排出口32に均等に分配することができる。従って、膜電極接合体12の面内における発電反応の均一性をより一層高めることが可能となる。
さらに、細管33で燃料注入口31と複数の燃料排出口32とを接続することによって、燃料電池の特定箇所により多くの燃料を供給するような設計も可能となる。これは、膜電極接合体12の発電度合いの均一性の向上等に寄与する。
膜電極接合体12は、そのアノード7が上述したような燃料分配板34の燃料排出口32に対向するように容器19に配置されている。カバープレート22は、燃料供給機構3との間に膜電極接合体12を保持した状態で容器19に対してカシメあるいはネジ止めなどの手法により固定されている。これにより、燃料電池(DMFC)1の発電ユニットが構成されている。
燃料供給部21は、燃料分配板34と膜電極接合体12との間に燃料拡散室18として機能する空間を形成するような構成であることが望ましい。この燃料拡散室18は、燃料排出口32から液体燃料が排出されたとしても気化を促進するとともに、面方向への拡散を促進する機能を有している。
膜電極接合体12と燃料供給部21との間には、膜電極接合体12をアノード7側から支持する支持部材を配置しても良い。また、膜電極接合体12と燃料供給部21との間には、少なくとも1つの多孔体を配置しても良い。
燃料収容部4には、膜電極接合体12に応じた液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。本実施形態に係る電源システムPSの燃料電池1では、濃度80wt%以上のメタノール水溶液または純メタノールを用いている。
なお、液体燃料は、必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えば、エタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部4には、膜電極接合体12に応じた液体燃料が収容される。
さらに、流路24には、ポンプ25が介在していても良い。ポンプ25は、燃料を循環させる循環ポンプではなく、あくまでも燃料収容部4から燃料供給部21に液体燃料を送液する燃料供給ポンプである。燃料供給部21から膜電極接合体12に供給された燃料は、発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部4に戻されることはない。
本実施形態に係る電源システムの燃料電池1は、燃料を循環しないことから、従来のアクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、液体燃料の供給にポンプ25を使用しており、従来の内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。図2に示す燃料電池1は、例えばセミパッシブ型と呼称される方式を適用したものである。
ポンプ25の種類は、特に限定されるものではないが、少量の液体燃料を制御性よく送液することができ、さらに小型軽量化が可能という観点から、ロータリーベーンポンプ、電気浸透流ポンプ、ダイアフラムポンプ、しごきポンプ等を使用することが好ましい。
ロータリーベーンポンプは、モータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは、電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアフラムポンプは、電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは、柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し、燃料をしごき送るものである。これらのうち、駆動電力や大きさ等の観点から、電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアフラムポンプを使用することがより好ましい。なお、ポンプ25と燃料供給部21との間にリザーバを設けてもよい。
また、燃料電池1の安定性や信頼性を高めるために、ポンプ25と直列に燃料遮断バルブを配置してもよい。燃料遮断バルブには、電磁石、モータ、形状記憶合金、圧電セラミックス、バイメタル等をアクチュエータとして、開閉動作を電気信号で制御することが可能な電気駆動バルブが適用される。燃料遮断バルブは、状態保持機能を有するラッチタイプのバルブであることが好ましい。
また、燃料収容部4や流路24には、燃料収容部4内の圧力を外気とバランスさせるバランスバルブを装着してもよい。燃料収容部4から燃料供給機構3で膜電極接合体12に燃料を供給する場合、ポンプ25に代えて燃料遮断バルブのみを配置した構成とすることも可能である。この際の燃料遮断バルブは、流路24による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。
この実施の形態の燃料電池1においては、ポンプ25を用いて燃料収容部4から燃料供給部21に液体燃料が間欠的に送液される。ポンプ25で送液された液体燃料は、燃料供給部21を経て膜電極接合体12のアノード7の全面に対して均一に供給される。
すなわち、複数の単セル16の各アノード7の平面方向に対して均一に燃料が供給され、これにより発電反応が生起される。燃料供給用(送液用)のポンプ25の運転動作は、燃料電池1の出力、温度情報、電力供給先である電子機器の運転情報等に基づいて制御することが好ましい。
上述したように、燃料供給部21から放出された燃料は、膜電極接合体12のアノード7に供給される。膜電極接合体12内において、燃料は、アノードガス拡散層6を拡散してアノード触媒層5に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層5で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層8で生成した水や電解質膜11中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは、水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- …(1)
この反応で生成した電子(e-)は、アノード集電体13を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード集電体14を経由してカソード10に導かれる。(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は、電解質膜11を経てカソード10に導かれる。カソード10には、酸化剤として空気が供給される。カソード10に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層8で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
この反応で生成した電子(e-)は、アノード集電体13を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード集電体14を経由してカソード10に導かれる。(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は、電解質膜11を経てカソード10に導かれる。カソード10には、酸化剤として空気が供給される。カソード10に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層8で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O …(2)
上述した燃料電池1の発電反応において、発電する電力を増大させるためには触媒反応を円滑に行わせるとともに、膜電極接合体12の電極全体に均一に燃料を供給し、電極全体をより有効に発電に寄与させることが重要となる。
上述した燃料電池1の発電反応において、発電する電力を増大させるためには触媒反応を円滑に行わせるとともに、膜電極接合体12の電極全体に均一に燃料を供給し、電極全体をより有効に発電に寄与させることが重要となる。
複数の単セル16を有する膜電極接合体12に対して燃料を均一に供給するためには、ポンプ25の供給量自体が適量に制御されていること、供給する燃料の面内拡散が均一であること、および、発電反応により生成される二酸化炭素ガスや水蒸気等のガス成分を速やかに除去し、供給された燃料を均一に反応部に到達させること、などが肝要である。
ポンプ25の流量は、ポンプ入り口にかかる背圧に影響されるため、ポンプ25と流路24を介して接続された燃料拡散室18の内部圧力が増加すると、ポンプ25の流量が減少する。
二酸化炭素ガスや水蒸気等のガス成分は、膜電極接合体12のアノード7側で発生するため、発電反応により生じるガス成分は、燃料拡散室18の内部圧力の増加要因となる。さらに、ガス成分自体は、供給された燃料が反応部に到達することを阻害する要因となる。
すなわち、膜電極接合体12に対する燃料の均一供給性や供給量を高めるためには、発電反応によりアノード7側で発生したガス成分を速やかに系外、つまり燃料電池の外側に放出する必要がある。
そこで、この実施の形態に係る燃料電池1は、ガス排出部40を備えている。図1に示した例の燃料電池1においては、ガス排出部40は、容器19に形成されたガス抜き孔17により構成されている。なお、ガス排出部40は、図1に示した例に限らず、膜電極接合体12をアノード7側からカソード10側まで貫通するように形成したガス抜き孔によって構成されても良い。
これにより、アノード7側で生成した反応性生物、特にガス成分を速やかに除去することが可能になる。すなわち、アノード7側に発生したガス成分は、ガス排出部から燃料電池1の外に放出される。ガス排出部は、任意の位置に任意の数で設けられる。
このように、膜電極接合体12の各部で発生する反応生成物としてのガス成分は、膜電極接合体12の面内で均一に除去することが可能となり、アノード7側に供給された燃料を膜電極接合体12の全体に均一に到達させることができる。また、ガス成分の除去と同時に燃料拡散室18の内部圧力が低下し、低圧状態を保つことができるため、ポンプ入り口にかかる背圧が低減される。このため、ポンプ25による液体燃料の流量を十分に保つことができる。
これにより、膜電極接合体12の各単セル16に対して燃料が安定して均一かつ十分に供給されるため、膜電極接合体12全体で効率的にかつ継続的に発電反応を生起させることが可能となる。
図1に示すように、燃料電池ユニット1Uは閉鎖蓋(蓋体)CVを有している。閉鎖蓋CVは、起電部2のカソード10側に配置され、本実施形態に係る電源システムおよび電子機器では、燃料電池1のカバープレート22近傍に配置されている。閉鎖蓋CVは、制御部CTRからの制御信号によって、燃料電池1の停止時間に、起電部2への空気の供給を抑制するように動作する。
本実施形態に係る電源システムPSおよび電子機器100では、上記燃料電池1の稼動時刻、稼動時間、および停止時間は、制御部CTRによって制御される。制御部CTRは、設定された稼動時刻になると、燃料電池1を起動するために二次電池BTの出力信号を燃料電池1に供給させる。制御部CTRは、設定された稼動時間の間は、起電部2へと燃料を供給させる。設定された停止時間の間は、制御部CTRは、起電部2への燃料供給を停止あるいは抑制させる。
ここで、燃料電池1の燃料とは燃料収容部4に収容された燃料および空気である。したがって、制御部CTRは、燃料電池1を稼動するように設定された時間では、燃料供給機構3を制御して、燃料収容部4に収容された燃料を起電部2へ供給するとともに、閉鎖蓋CVを制御して、起電部2へ空気を供給する。
制御部CTRは、燃料電池1を停止するように設定された時間では、燃料供給機構3を制御して、起電部2へ燃料収容部4に収容された燃料の供給することを停止させるとともに、閉鎖蓋CVを制御して、起電部2への空気の供給を抑制させ、燃料電池1での発電を停止させる。
例えば、図7Aおよび図7Bに示すように、燃料電池1および二次電池BTを収容する筐体FRは、燃料電池1のカバープレート22側に設けられた空気取り入れ口WINを有している。図7Aおよび図7Bに示すように、閉鎖蓋CVは、例えば、この筐体FRとの一部として外部に露出して構成されていてもよい。
図7Aに示すように、空気取り入れ口WINを開放する際には、閉鎖蓋CVは、筐体FRに設けられた誘導溝GRに沿ってスライドし、空気取り入れ口WINを外部空間に開放する。図7Bに示すように、空気取り入れ口WINを閉鎖する際には、閉鎖蓋CVは、筐体FRと一体となるように、筐体FRに設けられた誘導溝GRに沿ってスライドし、空気取り入れ口WINを閉鎖する。
また、図8Aおよび図8Bに示すように、閉鎖蓋CVは、閉鎖時には燃料電池1および二次電池BTを収容する筐体FRの内側に収容され、誘導溝(図示せず)に沿ってスライドすることにより開閉するように構成されていてもよい。
図8Bに示すように、空気取り入れ口WINが閉鎖されている状態では、閉鎖蓋CVは、筐体内部に収容されている。図8Aに示すように、筐体FRには開口部が設けられ、空気取り入れ口WINを開放する際には、閉鎖蓋CVが筐体の開口部OPからスライドし、空気取り入れ口WINを外部空間に開放する。
さらに、制御部CTRは、燃料電池1の稼動時間において、燃料電池1が発電可能であるか否かを判断する判断手段(図示せず)と、判断手段によって燃料電池1が発電可能ではないと判断された場合に、起電部2への燃料供給を停止する手段(図示せず)と、を有している。
この判断手段は、例えば、燃料電池1の出力電圧を検出し、この出力電圧に異常があるか否かを判断する手段であってもよい。この場合には、制御部CTRは、燃料電池1の出力電圧に異常がある場合に、燃料電池1は発電可能でないとして起電部2への燃料供給を停止あるいは抑制させる。
また、判断手段は、燃料電池1近傍の温度を検出し、検出した値が所定の値以上であるか否かを判断する手段であってもよい。この場合には、制御部CTRは、燃料電池1近傍の温度が所定の値以上である場合に、燃料電池1は発電可能でないとして起電部2への燃料供給を停止あるいは抑制させる。
さらに、本実施形態に係る電源システムPSおよび電子機器100では、燃料収容部4に収容された燃料の残量を表示する表示手段(図示せず)を備えている。この表示手段は、例えば、燃料収容部4の燃料残量を視認可能とする燃料窓(図示せず)を有している。燃料窓を設けることによって、燃料電池1の燃料の残量が一目で分かり、燃料切れが近いか否かを事前に予測することができる。
なお、燃料の残量を表示する手段は燃料窓に限らず、燃料の残量をユーザに知らせるために、出力された電流によって燃料残量を測定する測定手段を備え、この測定手段によって測定された燃料残量が一定の値以下となったときに、制御部CTRが、例えば、電子機器100の備えるディスプレイ等に警告表示をさせるようにしてもよい。また、電子機器100は、燃料電池1の燃料残量が一定の値以下となったときに点灯する発光ダイオード等のランプを有していても良い。
また、制御部CTRは、ディスプレイ等に燃料残量を、常に表示させるようにしても良い。例えば、燃料収容部4に十分供給されている際に一定の長さのバーを表示させ、燃料残量に合わせてバーの長さを短くする等の表示によって燃料残量をユーザに警告してもよい。
また、測定手段によって測定された燃料残量が一定の値以下となったときに、制御部CTRが、例えば電子機器100の音声出力手段から警告音又は警告音声を出力してユーザに知らせても良く、ユーザの注意を惹くために電子機器100を振動させる振動手段を備えていても良い。
さらに、電源システムPSおよび電子機器100は、燃料注入部分(図示せず)の構造が共通化されている。従って、複数の電子機器100で電源システムPSを用いる場合、いずれかの電子機器100の燃料が切れたときに、共通の燃料注入機材を用いて燃料を供給することが可能である。
すなわち、上記のように燃料注入部分の構造を共通化することによって、一つの電子機器100の燃料が切れた場合であっても、他の電子機器100のユーザが燃料注入機材を持っていれば、燃料が切れた燃料電池1に燃料を注入して使用することが可能となる。
上記のように、本実施形態に係る電子機器は、燃料電池1を搭載した電子機器100であって、燃料電池1で発電された電力を蓄える二次電池BTを搭載し、制御部CTRに燃料電池1の稼動時刻および稼働時間あるいは停止時間を設定できる時計機能(タイマTM)が搭載されているとともに、設定された時間で稼動する時以外は、燃料電池1に対する燃料供給を自動的に停止あるいは抑制する機構を有する。
このように、燃料電池1への燃料供給を停止することで、発電時以外で触媒とメタノールとの反応による電子機器100の温度上昇や水蒸気排出を回避することができる。さらに、発電時以外は燃料電池1への燃料供給を停止されるため、燃料漏れ等が抑制され、燃料電池1の不安全状態も回避することができる。
また、燃料電池1にとって、空気も燃料の一部と考えられるため、燃料電池1が稼動しない時間を設定し、停止時間中は空気取り入れ口WINを閉鎖する機構を持つことで、発電時以外での電子機器100の温度上昇や水蒸気排出を回避することができる。
さらに、燃料電池1の停止時間において空気取り入れ口WINを閉鎖することによって、外気から燃料電池1に有害な物質、たとえば有機溶剤の蒸気、タバコの煙、さらには飲料などの液体などの浸入や浸透を回避し、燃料電池1の不安定状態を回避することができる。
すなわち、本実施形態に係る電源システムPSおよび電子機器100によれば、燃料電池の停止時間における温度上昇や水蒸気排出を回避するとともに、不安全状態を回避する電源システムおよびこの電源システムを備えた携帯電子機器を提供することができる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、電源システムPSに接続される負荷は、音楽再生手段、画像再生手段、ディスプレイ、通信手段等を備えていてもよく、電子機器100は、携帯可能なパーソナルコンピュータや、携帯音楽プレイヤー、携帯電話等であっても良い。
上記の電源システムPSを、携帯可能な電子機器に搭載することによって、二次電池BTを充電する設備が無い場所であっても、燃料を補給すれば連続して長時間使用することが可能となる。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
PS…電源システム、LD…負荷、BT…二次電池(蓄電素子)、CTR…制御部、TM…タイマ、1…燃料電池、2…起電部、3…燃料供給機構(燃料供給手段)、4…燃料収容部、100…電子機器
Claims (9)
- 起電部と、燃料収容部と、前記燃料収容部に収容された燃料を前記起電部に供給する燃料供給手段とを備えた燃料電池と、
前記燃料電池の出力により充電可能な蓄電素子と、
前記燃料電池および蓄電素子の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御手段は、前記燃料電池の稼動時刻および稼動時間、又は、停止時間を設定可能なタイマと、前記燃料電池を停止するように設定された時間において前記起電部への燃料供給を停止あるいは抑制する手段を有する電源システム。 - 前記制御部は、前記燃料電池を停止するように設定された時間において、前記起電部へ、前記燃料収容部に収容された燃料の供給を停止あるいは抑制する手段を備える請求項1記載の電源システム。
- 前記制御手段は、前記燃料電池を稼動するように設定された時間内に、前記燃料電池が発電可能か否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって、前記燃料電池が発電可能ではないと判断された場合に、前記燃料収容部から前記起電部への燃料供給を停止あるいは抑制する手段を備える請求項1または請求項2記載の電源システム。
- 前記制御部は、前記燃料電池を停止するように設定された時間において、前記起電部へ空気の供給を抑制する手段を備える請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電源システム。
- 前記燃料電池を収容した筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記起電部の空気極近傍に設けられた空気取り入れ口と、前記空気取り入れ口を開閉する蓋体と、を有し、
前記制御手段は、前記燃料電池を停止させるように設定された時間で、前記蓋体によって空気取り入れ口を閉鎖させる手段を備える請求項1乃至請求項4記載の電源システム。 - 前記燃料電池は、前記燃料収容部に収容された燃料の残量を表示する表示手段を備える請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電源システム。
- 前記燃料収容部に収容された燃料は、メタノールである請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の電源システム。
- 前記燃料収容部に収容された燃料は、濃度80wt%以上のメタノール水溶液または純メタノールである請求項7記載の電源システム。
- 起電部と、燃料収容部と、前記燃料収容部に収容された燃料を前記起電部に供給する燃料供給手段とを備えた燃料電池と、
前記燃料電池の出力により充電可能な蓄電素子と、
前記燃料電池および蓄電素子の動作を制御する制御部と、
前記燃料電池および前記蓄電素子に接続された負荷と、を備え、
前記制御手段は、前記負荷への電源供給を前記燃料電池あるいは前記蓄電素子に切換える手段と、前記燃料電池の稼動時刻および稼動時間、又は、停止時間を設定可能なタイマと、前記燃料電池を停止するように設定された時間において前記起電部への燃料供給を停止あるいは抑制する手段を有する電子機器。
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JP2008251732A JP2010086679A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 電源システム、および電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP2008251732A Withdrawn JP2010086679A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 電源システム、および電子機器 |
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2008
- 2008-09-29 JP JP2008251732A patent/JP2010086679A/ja not_active Withdrawn
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