JP2010085832A - 電子写真感光体用塗料の製造方法 - Google Patents

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善久 斉藤
Tatsuya Ikesue
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Abstract

【課題】常に安定した電子写真特性、非常に優れた耐久性を有する電子写真感光体用塗料の製造方法を提供する。
【解決手段】重合性モノマーを吸着処理により精製する精製工程Aと、該精製工程Aを経た重合性モノマーとアルコール可溶な重合禁止剤とアルコール系溶剤とを少なくとも混合する混合工程Bと、この混合液を静置する静置工程Cと、この混合液を精製する精製工程Dと、を有し、該静置工程Cによりオリゴマーを凝集させ、かつ該精製工程Dにより該凝集したオリゴマーを除去することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体用塗料の製造方法に関する。
従来、電子写真感光体に用いられる光導電材料としては、セレン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛等の無機材料を使用した無機電子写真感光体が主に使用されている。他方、有機材料を用いた有機電子写真感光体は、高生産性や無公害性等の利点が注目され研究開発が活発に行われており、光導電性特性が無機電子写真感光体並みのものが数多く見出され、無機電子写真感光体に代わり近年主力で用いられるようになってきている。これらの電子写真感光体は、電気的及び機械的特性の双方を満足するために、電荷発生層と電荷輸送層を積層した機能分離型の感光体として利用される場合が多い。
機能分離型の感光体において、初期は勿論、長時間使用した場合においても常に安定し高感度な電気的特性を発現するには、電荷輸送層に用いられる電荷輸送化合物の構造及び純度が極めて重要である。そこで、電荷輸送化合物は高純度な材料が要求され、各種精製法が検討されている。電荷輸送化合物の精製法としては、粗製品の再結晶法;シリカ若しくはアルミナカラムを使用したカラム分離精製法;活性炭処理法;又は活性白土処理法(例えば、特許文献1〜5参照);等が挙げられる。また、必要に応じて上記の各方法を数回繰り返し行う、又は組み合わせて処理を行う等している。
一方、当然のことながら、繰り返し使用される感光体においては、その感光体表面には帯電、画像露光、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理といった電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生に対する耐久性、帯電による表面劣化(例えば転写効率や滑り性の低下)、更には感度低下、電位低下等の電気特性の劣化に対する耐久性も要求される。
一般に、感光体の表面は薄い樹脂層で構成されており、樹脂の特性が感光体の特性において非常に重要である。上述の諸条件をある程度満足する樹脂として、近年アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等が実用化されている。しかし、前述したような特性のすべてがこれらの樹脂で満足されるわけではなく、特に感光体の高耐久化を図る上では、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂では被膜硬度は十分高いとは言い難い。これらの樹脂を表面層形成用の樹脂として用いた場合でも、繰り返し使用時において表面層の磨耗が起こり、さらに傷が発生するという問題点がある。
更に、近年の有機電子写真感光体の高感度化に対する要求から、電荷輸送化合物等の低分子量化合物が比較的大量に添加される場合が多い。この場合、それら低分子量化合物の可塑剤的な作用により膜強度が著しく低下し、繰り返し使用時の表面層の磨耗や傷発生が一層問題となっている。また、電子写真感光体を長期にわたって保存する際に前述の低分子量化合物が析出してしまい、層分離するといった問題も発生している。
これらの問題点を解決する手段として、硬化性樹脂を電荷輸送層用樹脂として用いる試みが提案されている(例えば、特許文献6参照)。電荷輸送層用樹脂に硬化性樹脂を用い、電荷輸送層を硬化、架橋することによって、機械的強度が増し、繰り返し使用時の耐摩耗性及び耐傷性は大きく向上する。しかしながら、硬化性樹脂を用いても、電荷輸送物質等の低分子量化合物成分は結着樹脂中において可塑剤として作用するため、先に述べたような析出や層分離の問題は根本的な解決になっていない。
また、電荷輸送物質と結着樹脂とで構成される電荷輸送層においては、電荷輸送能は樹脂に対する依存度が大きい。例えば硬度が十分に高いといわれるフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の硬化性樹脂は誘電率が高いものが多い。このことが、電荷輸送能に悪影響を及ぼしその特性が十分ではない場合がほとんどで、繰り返し使用時に残留電位の上昇が見られることがあり、電荷輸送能と耐久性の両者を満足させるまでには至っていない。
また、電荷移動層に炭素−炭素二重結合を有するモノマーを含有させ、電荷移動材の炭素−炭素二重結合と熱又は光エネルギーによって反応させて、電荷移動層硬化膜を形成した電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献7及び8参照)。しかし、電荷輸送材はポリマー主骨格にペンダント状に固定化されているだけであり、先の可塑的な作用を十分に排除できないため機械的強度が十分ではない。また、電荷輸送能の向上のために電荷輸送材の濃度を高くすると、架橋密度が低くなり、十分な機械的強度を確保することができない。さらには重合時に必要とされる開始剤類の電子写真特性への影響も懸念される。
別の解決手段として、主鎖中に電荷輸送能を有する基を導入した熱可塑性高分子を用いて、電荷輸送層を形成させた電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献9参照)。従来の分子分散型の電荷輸送層と比較して、析出や層分離に対しては効果があり、機械的強度も向上するが、あくまでも熱可塑性樹脂であることから、その機械的強度には限界があり、樹脂の溶解性等を含めたハンドリングや、生産性の面で十分であるとは言い難い。
高い機械的強度と電荷輸送能の両立を達成する目的で、本発明者等は、連鎖重合性官能基を有する化合物を電子線照射、紫外線又は熱により架橋/硬化する提案をし(例えば、特許文献10〜15)、このことにより上記課題が大幅に改善されることを見出した。そのなかでも、電荷輸送性化合物に連鎖重合性官能基を有する化合物を使用して電子線や紫外線照射又は熱により、重合/架橋して硬化した膜を最表面層に使用した場合が特に上記課題を大幅に改善することがわかった。しかし、この連鎖重合性官能基を有する化合物を硬化した膜は、通常の膜より大幅に削れなくなる。このため、硬化膜の表面が耐久により削れてリフレッシュされることが大幅に減り、そこに含まれている不純物の影響をかなり長期にわたって影響を受けてしまい、これまでに問題とならなかった新たな問題が生じてきている。
上記に述べたように、連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合又は架橋することにより硬化した化合物を最表面層に含有した電子写真感光体は、電気特性はもちろん、耐久性においても極めて優れている。この感光体は従来の表面層に比べ大幅に削れないこともあり、電気特性は連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物の純度に極めて大きく影響される。精製具合により初期の電気的特性(感度や残電等)が変わるのは言うまでもない。しかし、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー等の分析上では同様の純度の化合物であっても、これらの分析法では検出されない不純物が残存することにより、硬化性が変わったり、塗工欠陥の原因となる問題がある。
特開昭60−233156号公報 特開平4−310962号公報 特開平7−056365号公報 特開平7−261423号公報 特開2002−014478号公報 特開平2−127652号公報 特開平5−216249号公報 特開平7−072640号公報 特開平8−248649号公報 特開平11−265085号公報 特開2000−066424号公報 特開2000−066425号公報 特開2000−206715号公報 特開2000−206716号公報 特開2001−166519号公報 技報堂出版 三羽忠広著、「基礎 合成樹脂の化学(新版)」1995年7月25日(1版8刷)、P.24
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、常に安定した電子写真特性、非常に優れた耐久性を有する電子写真感光体用塗料の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、塗料製造工程で発生するオリゴマーを除去し、塗工欠陥を改良した電子写真感光体用塗料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法は、重合性モノマーを吸着処理により精製する精製工程Aと、該精製工程Aを経た重合性モノマーとアルコール可溶な重合禁止剤とアルコール系溶剤とを少なくとも混合する混合工程Bと、この混合液を静置する静置工程Cと、この混合液を精製する精製工程Dと、を有し、該静置工程Cによりオリゴマーを凝集させ、かつ該精製工程Dにより該凝集したオリゴマーを除去することを特徴とする。
本発明によれば、塗料製造工程で発生するオリゴマーを除去し、塗工欠陥を改良した電子写真感光体用塗料の製造方法を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法は、下記の精製工程A、混合工程B、静置工程C及び精製工程Dの各工程を有する。
精製工程A:吸着処理により、重合性モノマーの精製を行う。
混合工程B:精製工程Aで得られた重合性モノマーとアルコール可溶な重合禁止剤とアルコール系溶剤とを混合、撹拌する。
静置工程C:混合工程Bで製造された混合液を静置することにより、発生したオリゴマーを凝集させる。
精製工程D:静置工程Cで凝集させたオリゴマーを除去する。
本発明の電子写真感光体用塗料は、下記の精製工程A、混合工程B、静置工程C及び精製工程Dを順に行うことで得られる。これにより、塗料製造工程で発生したオリゴマーの除去を行い、不純物の取り除かれた、精製強化された塗料を得ることが可能である。
本発明の電子写真感光体用塗料は、電子写真感光体の表面層用の塗料である。
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法において、精製工程A終了直後、混合工程Bにおいて、塗料中での重合を抑制するために重合禁止剤を添加している。しかし、反応熱や撹拌不足或いは重合禁止剤を添加するタイムラグのために、塗料完成までの間にオリゴマーの生成が避けられず、これまではオリゴマーの除去が困難だった。この、オリゴマーが混入したままの塗料を使用し、電子写真感光体を製造すると、ブツ等の塗工欠陥の原因となるため、オリゴマーを極力排除した塗料を作製することが望まれていた。
本発明では、従来の工程に、静置工程C及び精製工程Dを追加して行うことで、オリゴマーの除去が可能であることを見出した。また、本発明の電子写真感光体用塗料は、表面層用の塗料であるため、下の感光層を溶解してしまう溶剤は使用できない。このため、本発明の重合性モノマーは、下の感光層を溶解しないアルコール系溶剤に可溶であることが必要である。そこで、混合工程Bでは精製工程Aで得られた精製済み重合性モノマーと、アルコール可溶な重合禁止剤と、アルコール系溶剤を使用することが必須である。ここで、アルコール可溶な重合禁止剤を使用しない場合、生成、凝集したオリゴマーの除去をすることが不可能であり、本特許の目的を達成することが不可能である。
[精製工程A]
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法において、精製工程Aは、重合性モノマーを吸着処理により精製する工程である。
この吸着処理により精製する方法としては、重合性モノマーを溶解可能な溶媒に溶解し、この重合性モノマー溶液を、シリカ又はアルミナを充填したカラムにアプライし、目的とする重合性モノマーの画分を分離精製する方法が挙げられる。精製工程Aにおいて、精製に用いる溶媒としては、精製の対象物である重合性モノマーを溶解し得るものであれば、特に制約はない。例えば、この溶媒としては、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、ヘキサン、テトラヒドロフランが挙げられ、単独でも混合して使用してもよい。また、精製工程Aにおいて、重合性モノマーを分離精製する担体としては、重合性モノマーを適当な条件で吸着し、且つ適当な条件で脱吸着し得るものであれば特に制約はなく、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、活性白土、酸性白土が挙げられる。
[混合工程B]
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法において、混合工程Bは、精製工程Aで得た精製済みの重合性モノマーと、アルコール可溶な重合禁止剤と、アルコール系溶剤とを混合する工程である。
混合工程Bにおいて、混合する方法としては、本技術分野公知の方法により、行えばよい。例えば、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、撹拌処理を行えれば何でもよく、これらに限定されるものではない。
混合工程Bでは、精製工程Aで得られた重合性モノマーとアルコール可溶な重合禁止剤とアルコール系溶剤を混合、撹拌するが、この時白濁成分が発生する。この白濁成分のH−NMRスペクトルを分析したところ、重合性モノマーの基本ピークのショルダーにブロードなピークを有したものということがわかった。このことより、白濁成分は重合性モノマーの軽微重合物であり、そして、H−NMRの積分値より、白濁成分は重合性モノマーの4量体〜5量体程度の軽微重合物であると推定される。従って、本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法において、「オリゴマー」とは、混合工程Bにおいて生成される、重合性モノマーの軽微重合物のことである。
H−NMRで分析を行った、重合モノマーの基本NMRスペクトルの1例を図1に、オリゴマーのNMRスペクトルの1例を図2に示した。なお、このH−NMRの測定方法は、下記の通りである。
H−NMR測定方法>
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子(株)製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μS
データポイント:32768
周波数範囲:10500Hz
積算回数:100回
測定温度:25℃
測定用サンプル:測定試料50mgを直径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒としてCDCl(TMS0.05%)を添加することによって調製した。
[静置工程C]
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法において、静置工程Cは、混合工程Bで得た重合性モノマーとアルコール可溶な重合禁止剤とアルコール系溶剤とを混合して得た混合物を静置する工程である。
静置工程Cを行う温度としては、対象物である重合性モノマーの特性に影響を及ぼさない範囲であれば、特に制約はなく、例えば、10〜40℃が好ましく、より好ましくは、20〜30℃である。10℃未満であると、生成したオリゴマーは凝集せず、40℃を超えると、オリゴマーが再度上記混合物に溶解してしまう。静置工程Cを行う時間としては、例えば、1日以上であってもよい。1日未満であると、オリゴマーを十分に凝集させ得ない。なお、1日以上静置することにより、白濁成分が透明粒状凝集物となり、混合物を貯蔵した容器の壁面に付着するのが確認できた。
[精製工程D]
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法において、精製工程Dは、静置工程Cにおいて凝集したオリゴマーを、濾過法などの適当な分離精製手段により、除去して、対象物である重合性モノマーを得る工程である。
このオリゴマーを除去する方法としては、本発明において取得対象物である重合性モノマーの特性に影響を及ぼすことなく、静置工程Cにおいて凝集したオリゴマーを重合性モノマーと分離し得る方法であれば、特に制約はない。例えば、凝集したオリゴマーの径に応じて、適当なポアを有するフィルターを介して、混合物を濾過する方法であってもよい。
このようにして、精製工程Dにおいて、静置工程Cで凝集したオリゴマーを取り除き、対象物である重合性モノマーを有する電子写真感光体用塗料を得ることが可能である。
[重合性モノマー]
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法に用い得る重合性モノマーとしては、重合性を有する単量体であれば、特に制約はない。例えば、下記一般式(1)で示されるトリフェニルアミン構造を有し、かつアクリロイルオキシ基を少なくとも2つ以上有する電荷輸送性化合物であってもよい。
(式(1)中、Ar、Ar及びArはフェニル基を示し、いずれのフェニル基も式(1)に表記した該Nに対してパラ位に置換基を有する。)
上記のアクリロイルオキシ基は、連鎖重合官能基の一種である。
本発明において連鎖重合とは、高分子物の生成反応を大きく連鎖重合と逐次重合に分けた場合の前者の重合反応形態を示す。詳しくは例えば非特許文献1に説明されている。このなかで連鎖重合とは、その形態が主にラジカルあるいはイオンなどの中間体を経由して反応が進行する不飽和重合、開環重合そして異性化重合などのことをいう。本発明で連鎖重合性官能基とは、上述の反応形態が可能な官能基を意味する。なかでも、特に不飽和重合が好ましい。
ここで、不飽和重合とは、ラジカル、イオンなどによって不飽和基、例えばC=C、C≡C、C=O、C=N、C≡Nなどが重合する反応をいう。主にはC=Cによる場合が大部分である。
本発明の連鎖重合性官能基(なかでも不飽和重合性官能基)の好ましい例としては、下記一般式(3)で示される基が挙げられる。
上記式(3)中、Eは、下記のものを示す。
水素原子、フッ素、塩素及び臭素のようなハロゲン原子;
置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基のようなアルキル基;
置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基のようなアラルキル基;
置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、チオフェニル基及びフリル基のようなアリール基;
メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基のようなアルコキシ基;
CN基;
ニトロ基;
−COOR
CONR
式(3)中、Wは、下記のものを示す。
置換基を有してもよい2価のフェニレン、ナフチレン、アントラセニレンのようなアリーレン基;
置換基を有してもよいメチレン、エチレン、ブチレンのような2価のアルキレン基;
−COO−;
−CH−;
−O−;
−OO−;
−S−;
−CONR
上記R、R、R及びRは、下記のものを示す。
水素原子;
フッ素、塩素、臭素及びヨウ素のようなハロゲン原子;
置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基のようなアルキル基;
置換基を有してもよいベンジル基及びフェネチル基のようなアラルキル基;
置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基のようなアリール基
とRは、互いに同一であっても異なってもよい。また、fは、0または1を示す。
上記E及びWにおいて、有してもよい置換基としては、下記のものが挙げられる。
フッ素、塩素、臭素及びヨウ素のようなハロゲン原子;
ニトロ基;
シアノ基;
水酸基;
メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基のようなアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基のようなアルコキシ基;
フェノキシ基及びナフトキシ基のようなアリールオキシ基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基、チエニル基のようなアラルキル基;
フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基のようなアリール基
上記一般式(3)で示される不飽和重合性官能基の具体例を以下の表1に示す。但しこれらに限定されるものではない。
尚、上記表1中、Rは、下記のものを示す。
水素原子
置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基のようなアルキル基;
置換基を有してもよいベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基及びチエニル基のようなアラルキル基;
置換基を有してもよいフェニル基、ナフチル基及びアンスリル基のようなアリール基;
また、本発明では、より好ましい不飽和重合性官能基である連鎖重合性官能基として、下記一般式(4)〜(8)で示されるものが挙げられる。さらにまた、最終的に硬化させ感光体の表面層として使用する場合まで考慮すると、特に好ましい連鎖重合性官能基は、なかでも一般式(4)のアクリロイルオキシ基である。
尚、上記一般式(1)における連鎖重合性官能基は、より好ましくは2以上であるとよい。
また、上記一般式(1)において、Ar、Ar及びArのフェニル基が有してもよい置換基としては、下記のものが挙げられる。
フッ素、塩素、臭素及びヨウ素のようなハロゲン原子;
水酸基;
メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基のようなアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基のようなアルコキシ基;
フェノキシ基及びナフトキシ基のようなアリールオキシ基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、フルフリル基、チエニル基のようなアラルキル基;
フェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びピレニル基のようなアリール基
また、上記一般式(1)の中でも、下記一般式(2)で示される電荷輸送性化合物が、電荷輸送特性等の電気特性や重合速度等の観点から特に好ましい。
上記式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、下記のものを示す。
置換基を有してもよいメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基のようなアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基のようなアルコキシ基;
フェニル基またはナフチル基のようなアリール基
x、y及びzは、それぞれ独立に0〜3の整数を示す。P、P及びPは、それぞれ連鎖重合性官能基を示す。特に上記一般式(4)〜(8)で示される連鎖重合性官能基であるとよい。a、b及びcは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。n、m及びlは、0〜2の整数を示し、n+m+lは、少なくとも1以上の整数を示し、nとy、mとx及びlとzの積はそれぞれ0ではない。また、トリフェニルアミンのいずれのフェニル基も、式(2)に表記した該Nに対してパラ位に置換基を有する。
本発明で使用される連鎖重合性官能基を少なくとも1つ以上有する一般式(1)で表されるトリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物の具体例を下記の表2及び表3に示す。但し、これらに限定されるものではない。
本発明のアルコール可溶な重合禁止剤としては、下記のものが挙げられる。
p−ベンゾキノン、ナフトキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノンのようなキノン類;
ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノンのような多価フェノール類;
ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチルパラクレゾール、α−ナフトール、p−メトキシフェノールのようなフェノール類
本発明による電子写真感光体用塗料の製造方法において、混合工程Bに用いるアルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが挙げられる。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例において配合量の「部」とあるのは、「質量部」を意味する。
<実施例1>
下記の表4に示す工程により、表2に記載の化合物例No.13の電荷輸送性化合物の粗製品を合成した。
表4に示す工程において、下記の成分を、1,2−ジクロロベンゼン(1.0kg)と共に180〜190℃で24時間加熱撹拌した。
E−1の化合物 84g
(0.41モル)
E−2の化合物 360g
(1.24モル)
無水炭酸カリウム 180g
銅紛 400g
反応液を濾過後、減圧下で溶剤を除去した。残留物中の過剰のE−2の化合物を減圧蒸留により除去後、エタノール1.5kgに加え室温で撹拌しながら苛性ソーダ(100g)をゆっくり添加した。添加終了後そのまま室温で1時間撹拌後更に70〜80℃で10時間加熱撹拌を行った。反応液を水にあけ希塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶剤を除去した。残留物をトルエン/メチルエチルケトン混合溶剤を用い、E−4の化合物を96g得た。
E−4の化合物(95g、0.21モル)、アクリル酸(38g、0.53モル)及びp−メトキシフェノール(260mg)をトルエン(400g)に溶解後p−トルエンスルホン酸(1水和物)(2.0g)を室温で添加した。その後油浴で加熱し脱水還流を7時間行った。反応液を氷水にあけ10%苛性ソーダで中和後酢酸エチルを用いて抽出し、更に有機層を水洗して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶剤を減圧下で留去して、E−5に示す上記化合物例No.13の化合物の粗製品を112.5g得た。
次に、このようにして得た化合物例No.13の粗製品を、下記の精製工程A、混合工程B、静置工程C及び精製工程Dの各工程を順に行い、精製した。
精製工程A:
粗製品E−5の化合物50gをトルエン200mLに溶解した。これを、展開溶媒としてトルエンを使用し、シリカゲルカラム(富士シリシア化学(株)製、商品名BW−200、400gを直径200mmカラムに充填)にて分離精製を行い、38gの精製品を得た。
混合工程B:
精製工程Aで得た38gの精製品、及びp−メトキシフェノール(80mg)を1−プロパノール100gに混合し、塗料容器中にスターラーを入れ、1時間撹拌を行い、混合溶液を作成した。
静置工程C:
混合工程Bで作成した混合溶液を、20℃の環境で1日静置し、生成したオリゴマーを凝集させ、塗料容器の壁面へ付着させた。
精製工程D:
静置工程Cで得られた溶液を1μmの濾紙(ADVANTEC:5C)を使用し濾過後更に1.0μmのメンブランフィルター(ADVANTEC:T100A)を用いて濾過した。この濾液を減圧下で除去し化合物例No.13の精製品32gを得た。
次に、得られた化合物例No.13の精製品を用いて以下のように感光体を作製し、作製した感光体を評価した。
直径30mm、長さ370mmのアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、下記の成分を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子 55部
(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)
レゾール型フェノール樹脂 36.5部
(商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分60%)
2−メトキシ−1−プロパノール 35部
この分散液に、下記の成分を添加して撹拌し導電層用塗料を調製した。
シリコーンオイル 0.015部
(商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製)
シリコーン樹脂 3.9部
(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、平均粒径2μm)
このようにして調製した導電層用塗料をアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、140℃のオーブンで1時間加熱硬化することにより、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、下記の成分をメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した溶液を、上記のとおり形成した樹脂層の上に浸漬塗布し、100℃のオーブンで30分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.45μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
次に、下記の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.4°及び28.2°(ブラッグ角(2θ±0.2°))に強いピークを有するもの)
下記構造式(9)のカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
これを浸漬コーティング法で塗布し、80℃のオーブンで15分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.170μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記の成分をモノクロルベンゼン600部及びメチラール200部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗料を調製した。
下記構造式(10)の正孔輸送性化合物 120部
ポリカーボネート樹脂 100部
(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)
この電荷輸送層用塗料を用いて、上記の電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、90℃のオーブンで1時間加熱乾燥することにより、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
次に、精製処理された化合物例No.13の重合性モノマー30部を、下記の成分からなる混合溶媒に溶解させ表面層用塗布液を調製した。
1−プロパノール 35部
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン 35部
(商品名:ゼオローラーH、日本ゼオン(株)製)
この表面層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布した後、100℃の条件下5分間保持して溶媒を風乾させた。
これに、窒素雰囲気(酸素濃度10ppm)下で加速電圧80kV、線量1.5×10Gyの条件で電子線を照射し、その後、同雰囲気下で電子写真感光体(=電子線の被照射体)の温度が120℃になる条件で90秒間加熱処理を行った。さらに大気中で100℃に調整された熱風乾燥機中で20分間加熱乾燥処理を行うことによって、膜厚が5μmの硬化性の表面層を形成した。
作製した電子写真感光体を図3に示したレーザー式欠陥検出装置を用いて、下記の要領で表面の観察を行った。その結果、塗工欠陥はなかった。
<レーザー式欠陥検出装置による感光体の表面観察>
装置条件
光源:波長660nm赤色半導体レーザー
ビーム径:約40μm
検査条件
検知方式:乱反射受光方式
設置条件:感光体に対して投光角30°
走査速度:50mm/秒
感光体を回転治具にのせ、感光体表面にレーザービームを30°の角度で照射し、その散乱光を受光器により捉え、感光体表面の塗工欠陥を検出した。
次に、キヤノン製デジタル複写機iR4570(電子写真感光体に接触配置された帯電部材から直流に交流電圧を重畳した電圧を印加して電子写真感光体を帯電させるAC/DC帯電方式、プロセススピード230mm/秒)を使用した。これに本発明の感光体を装着し、常温低湿下(温度25℃、相対湿度20%)において暗部電位が−700V、明部電位が−200Vになるよう電位の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
上記条件において、大きさがA4の普通紙を用い、画像評価を行った。画像評価はA4ベタ黒、べた白コピーを行い、画像欠陥の有無の観察を行った結果、画像欠陥はなく良好な結果となった。結果を表7に示した。
<実施例2>
静置工程Cを25℃の環境で行った以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した。その結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例3>
静置工程Cの静置時間を2日とした以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した。その結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例4>
静置工程Cの静置時間を2日とした以外は実施例2と同様に感光体を作成し、評価した。その結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例5>
混合工程Bで用いた1−プロパノールに代えてエタノールを用いた以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した。その結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例6>
混合工程Bで用いた1−プロパノールに代えてエタノールを用いた以外は実施例2と同様に感光体を作成し、評価した。その結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例7>
下記の表5に示す工程により、表3に記載の化合物例No.36の電荷輸送性化合物の粗製品を合成した。
表5に示す工程において、F−1の化合物(500g、1.7モル)、F−2の化合物(80g、0.86モル)、無水炭酸カリウム(478g)及び銅粉(550g)を1,2−ジクロロベンゼン2kgと共に180〜190℃で18時間加熱撹拌した。反応液を濾過後、減圧下で溶剤を除去し、残留物をアセトン/メタノール混合溶剤で2回再結晶を行い、F−3の化合物を510g得た。
DMF35gを0〜5℃に冷却後、オキシ塩化リン(184g、1.2モル)を、10℃を越えないようにゆっくり滴下した。滴下終了後、15分間、そのまま撹拌した後、F−3の化合物(500g、1.2モル)/DMF500g溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、そのまま30分間、撹拌した後、室温に戻し1時間撹拌後、更に80〜85℃に加熱し4時間撹拌を行った。反応液を約15%の酢酸ナトリウム水溶液5kgにあけ12時間撹拌を行った。それを中和後、トルエンを用い抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶剤を除去し、残留物をシリカゲルカラムで精製を行い、F−4の化合物を378g得た。
F−4の化合物(300g、0.67モル)及び1,1−ジフェニルメチルジエチルフォスフェート(205g、0.67ミリモル)を乾燥テトラヒドロフラン2kgに溶解した。これに、室温で油性水素化ナトリウム(約60%、29.7g、約0.74モル)をゆっくり添加した。添加終了後室温で30分間撹拌後、3時間加熱撹拌を行った。反応液を冷却後、水にあけトルエンで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶剤を除去した。残留物をシリカゲルカラムで精製を行い、F−5の化合物を211g得た。
F−5の化合物(200g、0.34モル)をメチルセルソルブ2kgに加え室温で撹拌しながらナトリウムメチラート(70g)をゆっくり添加した。添加終了後そのまま室温で1時間撹拌し、更に70〜80℃で12時間加熱撹拌を行った。反応液を水にあけ希塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶剤を除去した。残留物をシリカゲルカラムでカラム精製を行い、F−6の化合物を151g得た。
F−6の化合物(150g、0.29モル)及びトリエチルアミン(88g、0.88モル)を、乾燥テトラヒドロフラン1kgに加え0〜5℃に冷却後、塩化アクリロイル(80g、0.88モル)をゆっくり滴下した。滴下終了後ゆっくり室温に戻し室温でそのまま6時間撹拌を行った。反応液を水にあけ中和後、酢酸エチルで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後溶剤を減圧下で留去して粗製品のF−7の化合物(化合物例No.36)を172g得た。
次に、得られた化合物例No.36の粗製品を使用した以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例8>
表3の化合物例No.36の連鎖重合性官能基を有する粗製品を使用した以外は実施例2と同様に感光体を作成し、評価した結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例9>
以下の(G)工程により、表2に記載の化合物例No.12の電荷輸送性化合物の粗製品を合成した。
表6に示す工程において、下記成分を、1,2−ジクロロベンゼン(1.0kg)と共に180〜190℃で24時間加熱撹拌した。
G−1の化合物 50g
(0.41モル)
G−2の化合物 376g
(1.24モル)
無水炭酸カリウム 180g
銅粉 400g
反応液を濾過後、減圧下で溶剤を除去した。残留物中の過剰のG−2の化合物を減圧蒸留により除去後、エタノール1.5kgに加え室温で撹拌しながら苛性ソーダ(100g)をゆっくり添加した。添加終了後そのまま室温で1時間撹拌後更に70〜80℃で10時間加熱撹拌を行った。反応液を水にあけ希塩酸で中和後、酢酸エチルで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶剤を除去した。残留物をトルエン/メチルエチルケトン混合溶剤を用いて再結晶を行い、G−4の化合物を85g得た。
G−4の化合物(82g、0.21モル)、アクリル酸(38g、0.53モル)及びp−メトキシフェノール(260mg)をトルエン(400g)に溶解後、p−トルエンスルホン酸(1水和物)(2.0g)を室温で添加した。その後油浴で加熱し脱水還流を7時間行った。反応液を氷水にあけ10%苛性ソーダで中和後酢酸エチルを用い抽出し、更に有機層を水洗して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後溶剤を減圧下で留去して粗製品のG−5の化合物(化合物例No.12)を98.5g得た。
次に、得られた化合物例No.12の粗製品を使用した以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例10>
表2の化合物例No.12の連鎖重合性官能基を有する粗製品を使用した以外は実施例2と同様に感光体を作成し、評価した結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例11>
混合工程Bのp−メトキシフェノールの代わりに、ハイドロキノンを使用した以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<実施例12>
混合工程Bのp−メトキシフェノールの代わりに、ハイドロキノンを使用した以外は実施例2と同様に感光体を作成し、評価した結果、塗工欠陥及び画像欠陥はなく良好な結果となった。結果は表7に示した。
<比較例1>
静置工程Cを5℃の環境で行った以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した結果、感光体の表面にφ20μm程度のブツが観察され、画像にはポチが観察された。これは、静置工程Cの温度が低いために、生成したオリゴマーが凝集せず、静置工程では十分取り除くことができなかったために、塗料中にオリゴマーが混入されたままのため、塗工欠陥、画像欠陥が発生してしまったためであると推測される。結果は表7に示した。
<比較例2>
静置工程Cを50℃の環境で行った以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した結果、感光体の表面にφ20μm程度のブツが観察され、画像にはポチが観察された。これは、静置工程Cの温度が高いために、生成したオリゴマーが凝集せず、静置工程では十分取り除くことができなかったために、塗料中にオリゴマーが混入されたままのため、塗工欠陥、画像欠陥が発生してしまったためであると推測される。結果は表7に示した。
<比較例3>
静置工程Cの静置時間を1時間とした以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した結果、感光体の表面にφ20μm程度のブツが観察され、画像にはポチが観察された。これは、静置工程Cの時間が短いために生成したオリゴマーを十分凝集されず、静置工程では十分取り除くことができなかったために、塗料中にオリゴマーが混入されたままのため、塗工欠陥、画像欠陥が発生してしまったためであると推測される。結果は表7に示した。
<比較例4>
静置工程C及び精製工程Dを行わない以外は実施例1と同様に感光体を作成し、評価した結果、感光体の表面にφ20μm程度のブツが観察され、画像にはポチが観察された。これは、静置工程C及び精製工程Dを行わないために生成したオリゴマーを十分取り除くことができなかったために、塗料中にオリゴマーが混入されたままのため、塗工欠陥、画像欠陥が発生してしまったためであると推測される。結果は表7に示した。
本発明の重合性モノマーのNMRスペクトルの1例を示す図である。 本発明のオリゴマーのNMRスペクトルの1例を示す図である。 本発明のレーザー式欠陥検出装置を示す図である。

Claims (3)

  1. 重合性モノマーを吸着処理により精製する精製工程Aと、
    該精製工程Aを経た重合性モノマーとアルコール可溶な重合禁止剤とアルコール系溶剤とを少なくとも混合する混合工程Bと、
    この混合液を静置する静置工程Cと、
    この混合液を精製する精製工程Dと、
    を有し、
    該静置工程Cによりオリゴマーを凝集させ、かつ
    該精製工程Dにより該凝集したオリゴマーを除去することを特徴とする電子写真感光体用塗料の製造方法。
  2. 前記重合性モノマーは、下記一般式(1)

    (式(1)中、Ar、Ar及びArは、フェニル基を示し、いずれのフェニル基も該Nに対してパラ位に置換基を有する。)
    で示されるトリフェニルアミン構造を有し、かつアクリロイルオキシ基を少なくとも2つ以上有する電荷輸送性化合物である請求項1に記載の電子写真感光体用塗料の製造方法。
  3. 前記重合性モノマーは、下記一般式(2)

    (式(2)中、R、R及びRは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、それぞれ同じでも異なってもよく、
    x、y及びzは、それぞれ独立に0〜3の整数を示し、
    、P及びPは、それぞれ連鎖重合性官能基を示し、
    a、b及びcは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、
    n、m及びlは、0〜2の整数を示し、
    n+m+lは、少なくとも1以上の整数を示し、
    nとy、mとx及びlとzの積は、それぞれ0ではなく、
    また、トリフェニルアミンのいずれのフェニル基も、該Nに対してパラ位に置換基を有する。)
    で示される化合物であり、
    前記アルコール系溶剤は、1−プロパノールである請求項1又は2に記載の電子写真感光体用塗料の製造方法。
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