JP2010084493A - 合流式のポンプ場での排水運転支援装置及びその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 雨水流入量と相関のある抽出して、相関が高い計器からのデータを選別する相関データ抽出部(131)と、雨水がポンプ場へ流入するまでの流達時間を演算する流達時間演算部(132)と、排水ポンプが管渠内の貯留量を排出するのに要する排出時間を演算する排水時間演算部(15)と、ポンプの起動タイミングを決定する運転方法判定部(17’)を備える。
【選択図】 図1
Description
図6において、1-1は雨量計で、地上雨量計、レーダ雨量計などから収集した降雨量を測定する。1-2は、降雨強度計で、1時間当たりの雨量の強度を計測する。2は管渠水位計で合流管、増補管に設置し、汚水、雨水が混合した下水が流入する合流管の水位を測定する。3-1は流入流量計で、管渠からポンプ場へ流れ込んだ汚水、雨水の量を測定する。3-2はバイパス流量計で、合流ポンプ場から排水ポンプ場へ流れ込んだ流量を計測する。4はポンプ井水位計で、合流ポンプ場、排水ポンプ場のポンプ井の水位を測定する。5は送水流量計で、ポンプ場から処理場へ送水する流量、河川へ排水する流量を測定する。7は処理場送水ポンプで、合流ポンプ場へ流入した下水を下水処理場へ送水するポンプである。9は排水ポンプ場排水ポンプで、大降雨時に合流管の分水堰から越流した下水を河川へ排水するポンプである。10はポンプ場送水ポンプであり、降雨後、増補管内貯留した下水を合流ポンプ場へ送水する。11はデータ収集部で、雨量計、降雨強度計、合流管水位計、増補管水位計、ポンプ井水位計、流量計から収集したデータを蓄積する。16は排水判定部であり、流入量予測部161、管渠水位予測部162、合流管水位判定部163のいずれかで構成される。
このように作成されたデータ列を用いて自己回帰モデルを作成し、作成された自己回帰モデルと直近のデータから、合流ポンプ場へ流入する流入量の予測値を演算し、自己回帰モデルの更新は、直近データを使用して1日1回行っている。
163は合流管水位判定部で、合流管を越流して増補管へ下水が流入したかどうかを判定し、その結果は運転方法判定部17に出力される。水位が管径の高さになると、増補管への流入があると判定する。
18は排水ポンプ場ポンプ井水位判定部で、管内貯留量を確認するため排水ポンプ場のポンプ井水位が判定基準値を超えた場合、排水制御部202へこれ以上の管内貯留はできないという結果(排水指令)を出力し、超えていなければ、管内貯留制御部201へ管内貯留は可能という結果(貯留指令)を出力する。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、雨水流入量と相関の高い計器を抽出し、抽出した計器のデータを用いてポンプ場までの流達時間を求め、管内貯留判定の精度を向上させ、さらに、抽出した計器データの積算値を用いて、管内貯留運転から排水運転への切り替えることで、管内貯留量が上限値に達する前に管内貯留を中止し、浸水の危険性を回避可能な運転支援装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
なお、管内貯留とは、雨水・汚水を未処理のまま河川へ放流しないように下水管渠内に一時的に貯留することをいい、管内貯留量継続の判定とは、雨量が多いときに町の浸水の心配及び管内貯留可能量を考慮して、管内での貯留量をいくらにし、放流量をいくらにするかを決定し判定することをいう。
請求項1に記載の発明は、排水ポンプ及び送水ポンプを備え、流入した雨水を河川へ排水する合流式ポンプ場であって、設置された複数の計器で測定される雨量、水位及び流量を収集するデータ収集部と、前記収集したデータを用いて管内貯留を排水運転かを判定する排水判定部と、前記排水判定部の結果で前記各ポンプの運転方法を判定する運転方法判定部と、ポンプ井水位を用いて管内貯留か排水運転かを判断する排水ポンプ場ポンプ井水位判定部と、前記各ポンプの運転を制御するポンプ制御部と、前記ポンプ制御部からの出力で前記各ポンプへ運転指令を与えるポンプ運転指令部を備えた合流式ポンプ場の合流改善運転支援装置において、前記複数の計器のうち、少なくとも雨量計、降雨強度計のいずれかを含む計器及び管渠水位計から前記ポンプ場への流入量と相関が高い計器を抽出する相関データ抽出部と、前記相関データ抽出部が選別した計器のデータを用いて、雨水が前記ポンプ場へ流入するまでの流達時間を演算する流達時間演算部と、前記排水ポンプが管渠内の貯留量を排出するのに要する排出時間を演算する排水時間演算部と、を備え、前記運転方法判定部は、前記流達時間と前記排出時間に基づき、各ポンプの待機時間を求め、各ポンプの起動タイミングを決定するようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、安定的にポンプを起動させるため、前記合流改善支援装置にポンプ井水位運転を追加したことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、排水ポンプ及び送水ポンプを備え、流入した雨水を河川へ排水する合流式ポンプ場であって、設置された複数の計器で測定される雨量、水位及び流量を収集するデータ収集部と、前記収集したデータを用いて管内貯留を排水運転かを判定する排水判定部と、前記排水判定部の結果で前記各ポンプの運転方法を判定する運転方法判定部と、管内貯留か排水運転かを判断する排水ポンプ場ポンプ井水位判定部と、前記各ポンプの運転を制御するポンプ制御部と、前記ポンプ制御部からの出力で前記各ポンプへ運転指令を与えるポンプ運転指令部を備えた合流式ポンプ場の排水運転方法において、前記複数の計器のうち、少なくとも雨量計、降雨強度計のいずれかを含む計器及び管渠水位計から前記ポンプ場への流入量と間の相関が高い計器を抽出して、相関が高い計器からのデータを選別し、選別した相関ある計器のデータを用いて、雨水が前記ポンプ場へ流入するまでの流達時間を演算し、前記ポンプの管渠内の貯留量を排出するのに要する排出時間を演算し、前記流達時間と前記排出時間に基づき、各ポンプの待機時間を求め、各ポンプの起動タイミングを決定するという手順をとったのである。
また、請求項2及び6に記載の発明によると、ポンプ場への雨水の流入量に相関のある計器のデータの積算値により、管渠内の貯留量の限界に達する前に貯留解除運転できるので浸水の危険性を回避することができる。
合流モード選択部12は、盤面やパソコン画面で選択できるようになっていて、雨天時の運転モードとして合流改善運転モードに選択できるようになっている。この選択は降雨状況、例えば合流ポンプ場の堰を雨水が越流した場合などに、自動で切り替えられても、オペレータによって切り替えられてもよい。なお、定常運転時は、ポンプ井の水位運転モードとされている。
雨量計1-1、降雨強度計1-2、管渠水位計2はポンプ場の収集地域(各点)に複数あり、上記計器からのデータは、所定時間毎に抽出され計測値(時系列データ)yn(i)となる。
降雨強度計、管渠水位計、流量計の計器でそれぞれ計測された値は、下流に設置された計器の値は上流の計器での値の影響を受けていると考えることができる。
図3(a)は、雨天時にポンプ場へ雨水が流れ込んだ時の、降雨強度、管渠水位、流入量を横軸を時間軸にして示したグラフである。図において、taは降雨強度計で計測された雨が管渠水位計に到達するまでの時間(ラグ×計測周期)、tbは降雨強度で計測された雨が流量計に到達するまでの時間(ラグ×計測周期)、tcは管渠水位で計測された雨が流量計に到達するまでの時間(ラグ×計測周期)であり、taは雨水が管渠に設置した水位計まで流れ込む時間、tbには雨水がポンプ場に設置した流量計まで流れ込む時間、tcは管渠に流れ込んだ雨水が水位計からポンプ場に設置した流量計まで流れ込む時間に基づいて決められる。
以上の関係を求めるため、計測値(時系列データ)yn(i)間の相互相関係数Rk(i,j)は(3)式に従い算出することができる。
流入量と降雨強度a、及び流入量と降雨強度bの相互相関は(3)式で演算され、図3(b)に示すように、各相互相関係数Rk(i,j)を判定基準値cと比較し、cを超えていれば、その項目は相関が高いとして抽出する。
なお、流入量と降雨強度aの相互相関係数はc以下で、流入量と降雨強度bの相互相関係数はc以上の時は、流入量に対する降雨強度bは相関があるとし、この場合に降雨強度bを相関があると項目として抽出する。
流入量と管渠水位計、管渠水位計と降雨強度計についても同様にして、相関の高い項目を抽出する。
なお、相互相関係数は、雨量、土地利用形態(雨の浸透率)の変化によって自動的に変更するため、降雨量の計測値0が1〜5時間程度継続した時に、再度相互相関係数を計算する。なお、この時間は雨量、土地利用形態(雨の浸透率)で変化するものであるので、上記時間に限定されない。
相関のある抽出された計器データは、排水判定部16と運転方法判定部17’へ出力される。
なお、相関データ抽出部13で抽出されたデータそれぞれに対して、流達時間tinを求めるが、ここでは、項目1として雨量を示すi=1、項目2として流入量を示すj=2として説明する。
(ステップ1)
相互相関係数a及びラグ数kを初期化(a=0及びk=0)し、i=1、j=2に設定する。
(ステップ2)
次に、相互相関係数Rk(i,j)を演算し、演算結果が前回の相互相関係数aより大きければ、ステップ3へ進み、小さければステップ4へ進む。
(ステップ3)
前回の相互相関係数aに相互相関係数Rk(i,j)の演算結果を代入してaを更新し、ラグ数kと計器の計測周期の積で求められる流達時間をtinに設定し、ステップ4へ進む。
なお、計器の計測周期は、例えば1分から5分程度とされている。
(ステップ4)
ラグ数kをインクリメントする。
(ステップ5)
ラグ数kが、規定のラグ数まで進んだかをチェックし、進んでいなければ、ステップ2に戻り、進んでいれば終了する。
なお、規定のラグ数は、通常、相関データ抽出部13で抽出された項目のデータ数の1/3以上、あるいは20以上の値が設定されている。
このようにして、抽出されたデータに対する流達時間tinを求める。
(tin-tout)>0であれば、排水時間に余裕があるため、(tin-tout)経過後に排水ポンプを起動させるが、(tin-tout)>0であっても、特別に危険を回避する必要がある場合には分水堰(合流管から増補管へ越流する堰)越流後に排水ポンプを起動させるようにしても構わない。
(tin-tout)<0であれば、浸水の危険性があるため、即座に排水ポンプを起動させる。さらに、分水堰から越流する前に合流管の管渠水位計の上限値を設定し排水ポンプを起動させるようにしてもよい。
上記のように流達時間tin、排出時間toutを元に、分水堰における越流情報を適宜用いながら排水ポンプの起動を判定するようになっている。
データ積算部164は、雨量計1-1、降雨強度計1-2が計測した雨量信号を受けると、入力される管渠水位の信号およびポンプ場への流量計の流量信号を用いて下記(5)式に従い、雨量、管渠水位、バイパス流量の積算値を演算する。この演算は1分から5分周期で行われ、雨量計、降雨強度計からの出力信号により雨が止んだと判断後、1時間から5時間後に、次回の雨に対応するため積算値をリセットされる。
なお、バイパス流量は、合流ポンプ場から排水ポンプ場へ流れ込む流量であり、この流量が管内に貯留される。
データ積算部164で行われる積算は、図5に示す積算演算例のように、雨量計の値が0以上を示した時点、つまり雨量が計測され始めた直後からその積算をスタートする。そして管渠水位は、雨量計で雨量が計測されてから水位計が設置されている地点まで雨が流れ込む時間経過後に始めて上昇する。さらに、流量も同様に、雨量計で雨量が計測されてから流量計が設置されている地点まで雨が流れ込む時間経過後に始めて上昇するように積算される。なお、図5中のta、tb、tcは、図3(a)で説明した時間(ラグ×計測周期)である。
この積算値判定部165にデータ積算部164で積算演算された雨量、管渠水位、バイパス流量、バイパス流量積算値Vadd((5)式のXj=3addに相当)が入力されると、次の処理が行われる。
従来であれば、VH<Vaddつまり、貯留量制限一杯まで管内貯留運転して、はじめて貯留解除運転(排水運転)を開始するところ、雨量積算がRH[mm]になるか、管渠水位がWLH[m]になるタイミングで管内貯留を中止し、排水を開始する。
これにより、雨量積算を用いた場合ではtb時間前、管渠水位を用いた場合ではtc時間前に排水を開始タイミングを見つけることができるので、貯留量制限一杯まで管内貯留運転を継続すること無しで浸水の危険性を回避することができる。
また、複数ポンプからなる排水運転では、例えば排水ポンプが3台あるとすると、ポンプ井の水位が1mになると1台目を起動、2mになると2台目も起動、3mになると3台目も起動するといったように運転台数を制御するが、このような排水運転を行うポンプ場に本発明を適用しても、浸水の危険性を回避可能な運転支援装置を構成することができる。
雨量積算値や管渠水位積算値は、実施例1で説明したように全計器からのデータから、ポンプ場への流入量や管渠水位に対して相関の高いデータを抽出するようにしているので、貯留解除運転(排水運転)の開始タイミングを、運転台数も含め精度よく決定できるようになる。
1−2 降雨強度計
2 管渠水位計
3−1 流入流量計
3−2 バイパス流量計
4 ポンプ井水位計
5 送水流量計
7 処理場送水ポンプ
9 排水ポンプ場排水ポンプ
10 ポンプ場送水ポンプ
11 データ収集部
12 合流モード選択部
13 データ抽出部
15 排水時間演算部
16、16’ 排水判定部
17、17’ 運転方法判定部
18 排水ポンプ場ポンプ井水位判定部
20 ボンプ制御部
21 ポンプ運転指令部
131 相関データ抽出部
132 流達時間演算部
161 流入量予測部
162 管渠水位予測部
163 合流管水位判定部
164 データ積算部
165 積算値判定部
171 待機時間判定部
201 管内貯留制御部
202 排水制御部
203 送水制御部
211 ポンプ場送水ポンプ指令部
212 処理場送水ポンプ指令部
213 排水ポンプ場排水ポンプ指令部
Claims (6)
- 排水ポンプ及び送水ポンプを備え、流入した雨水を河川へ排水する合流式ポンプ場であって、設置された複数の計器で測定される雨量、水位及び流量を収集するデータ収集部と、前記収集したデータを用いて管内貯留か排水運転かを判定する排水判定部と、前記排水判定部の結果で前記各ポンプの運転方法を判定する運転方法判定部と、ポンプ井水位を用いて管内貯留か排水運転かを判断する排水ポンプ場ポンプ井水位判定部と、前記各ポンプの運転を制御するポンプ制御部と、前記ポンプ制御部からの出力で前記各ポンプへ運転指令を与えるポンプ運転指令部を備えた合流式ポンプ場の合流改善運転支援装置において、
前記複数の計器のうち、少なくとも雨量計、降雨強度計のいずれかを含む計器及び管渠水位計から前記ポンプ場への流入量と相関が高い計器を抽出する相関データ抽出部と、
前記相関データ抽出部が選別した計器のデータを用いて、雨水が前記ポンプ場へ流入するまでの流達時間を演算する流達時間演算部と、
前記排水ポンプが管渠内の貯留量を排出するのに要する排出時間を演算する排水時間演算部と、を備え、
前記運転方法判定部は、前記流達時間と前記排出時間に基づき、各ポンプの待機時間を求め、各ポンプの起動タイミングを決定するようにしたことを特徴とする合流改善運転支援装置。 - 前記排水判定部は、前記相関データ抽出部が選別した相関のある計器のデータ及び前記ポンプ場への流入量を、個別に積算するデータ積算部と、
前記データ積算部での積算値が、項目毎に決められた所定値を超えたかを判定する積算値判定部と、を備え、
前記積算値判定部でいずれかの積算値が前記所定値を超えると、管内貯留運転から排水運転へ切り替える判定をすることを特徴とする請求項1に記載の合流改善運転支援装置。 - 前記相関データ抽出部は、前記ポンプ場流入量と各計器からの所定時間毎に収集される計測値との相互相関分析を行い、相互相関係数が判定基準値より高い値の計器を相関が高い計器として抽出し、
少なくとも雨量がゼロになると前記相互相関係数の値を更新することを特徴とする請求項1に記載の合流改善運転支援装置。 - 前記合流改善支援装置の排水運転をポンプ井の水位に応じた台数運転を行うポンプ井水位運転を追加したことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の合流改善運転支援装置。
- 排水ポンプ及び送水ポンプを備え、流入した雨水を河川へ排水する合流式ポンプ場であって、設置された複数の計器で測定される雨量、水位及び流量を収集するデータ収集部と、前記収集したデータを用いて管内貯留を排水運転かを判定する排水判定部と、前記排水判定部の結果で前記各ポンプの運転方法を判定する運転方法判定部と、管内貯留か排水運転かを判断する排水ポンプ場ポンプ井水位判定部と、前記各ポンプの運転を制御するポンプ制御部と、前記ポンプ制御部からの出力で前記各ポンプへ運転指令を与えるポンプ運転指令部を備えた合流式ポンプ場の排水運転方法において、
前記複数の計器のうち、少なくとも雨量計、降雨強度計のいずれかを含む計器及び管渠水位計から前記ポンプ場への流入量と間の相関が高い計器を抽出して、相関が高い計器からのデータを選別し、
選別した相関ある計器のデータを用いて、雨水が前記ポンプ場へ流入するまでの流達時間を演算し、
前記排水ポンプが管渠内の貯留量を排出するのに要する排出時間を演算し、
前記流達時間と前記排出時間に基づき、各ポンプの待機時間を求め、各ポンプの起動タイミングを決定するようにしたことを特徴とする合流式ポンプ場での排水運転方法。 - 前記排水判定部での運転は、前記選別した相関あるデータ及び前記ポンプ場への流入量を個別に積算し、
前記積算値が、その積算値毎にデータ毎に決められた所定値を超えたかを判定し、
いずれかの積算値が前記所定値を超えると、管内貯留運転から排水運転へ切り替えて運転するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の合流式ポンプ場での排水運転方法。
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