JP2010083733A - 加工液およびガラス製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス製品の品種毎に加工液の調整や交換を必要とすることなく、加工後に傷の少ない均一な研磨面を得る。
【解決手段】ホルダー3に保持されたガラス製品としての光学素子2の被加工面2aに加工工具1の加工作用面1aを相対的に摺動させ、加工液5を供給しつつ研磨加工行うガラス製品の製造方法において、被加工面2aに選択的に吸着して保護する成分として、少なくとも1種類のエステル化合物を含有する加工液5用いることにより、光学素子2のガラスの種類に関係なく、加工中における被加工面2aにおける傷の発生を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】ホルダー3に保持されたガラス製品としての光学素子2の被加工面2aに加工工具1の加工作用面1aを相対的に摺動させ、加工液5を供給しつつ研磨加工行うガラス製品の製造方法において、被加工面2aに選択的に吸着して保護する成分として、少なくとも1種類のエステル化合物を含有する加工液5用いることにより、光学素子2のガラスの種類に関係なく、加工中における被加工面2aにおける傷の発生を防止する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、加工液およびガラス製品の製造技術に関する。
たとえば、ガラス基板、光学レンズ、光学フィルター等のガラス製品の製造工程においては、原料のガラスブロックから切り出した部材、または近似形状のプリフォームを所望の形状に研削・研磨することにより研磨面を仕上げ、その後、研磨剤、研磨液等を除去したのちに必要によりコーティングを施し、組み立て工程を得て光学機器等のガラス製品が製造される。
光学機器等は、現在では多くの製品に電子撮像系が採用されており、光学レンズ等のガラス部品に要求される、傷や汚れ等の欠陥規格は厳しくなってきている。
一方で、ガラスの研削・研磨加工は、砥石や研磨剤等により、ガラス表面を傷つけながら形状を整えるものである。
一方で、ガラスの研削・研磨加工は、砥石や研磨剤等により、ガラス表面を傷つけながら形状を整えるものである。
また、研磨工程においては、水や、酸化セリウム等の研磨材とガラス表面との反応を利用することにより、研磨面を形成していると言われている。ガラスと水との反応は、研磨剤により荒らされたガラス表面に対して起こるため、ミクロに表面を見ると、均一な反応が起きているとは言いがたい。
すなわち、ガラスの研磨されたことにより生じたマイクロクラック深さや分布は、不均一であるため、マイクロクラック内で起こるヒドロニウムイオン(H3O+)と、ガラス成分のアルカリ金属との交換反応も不均一となる。マイクロクラックの隙間には、ガラスから溶出したアルカリ金属イオンと水中のOH−イオンとが存在し、ガラス骨格を含む共有結合が切断されることにより、マイクロクラックが生長すると言われており、砥粒が擦れることによりガラス表面に生じたクラックは、水との反応により拡大されると考えられる。
また、クラックが生じていない場合にも、ガラス表面が研磨時にうける圧力履歴は、研磨砥粒の粒度のばらつきや、作業上の理由により表面の部位により均一ではない。ガラス表面に印加された圧力により、ガラス表面では、微視的にみると塑性変形や流動が生じるが、塑性変形部や流動部については、ガラスと水との反応速度が変化し、このことも、ガラス製品の加工上、傷を発生させる要因として考えている。
このように、ガラス製品の傷は、加工原理上、できて然るべきものであると言える。
ガラス製品の表面欠陥を少なくし、欠陥規格を満たすような平滑な研磨面を形成するための方法として、ガラス製品の研磨方法や研磨液には様々なものが提供されている。
ガラス製品の表面欠陥を少なくし、欠陥規格を満たすような平滑な研磨面を形成するための方法として、ガラス製品の研磨方法や研磨液には様々なものが提供されている。
その中で、研磨時の潜傷を抑制する研磨液としてpHをガラスのpHに近づけた研磨液で研磨する方法が特許文献1(特開平10−330132号公報)に開示されている。すなわち、この特許文献1では、研磨時に、研磨剤のpHをガラスのpHに近づけることにより、ガラスと研磨液との反応を遅くし、潜傷を抑制とようとする技術が開示されている。
しかしながら上述の従来技術での研磨方法は、光学レンズの加工に適用した場合、以下の技術的課題がある。
すなわち、光学レンズとして研磨されるガラス材料の種類は多く、製品群は優に100
種類を超える。ガラスを構成する成分毎に大まかに分類することは可能であるが、特に多種少量の生産工程においては工程が煩雑となり、研磨加工に供されるガラス材料が製品の品種毎に変化する都度、液調整、液交換等の手間がかかるため、特許文献1のように、個々のガラス材料毎に研磨剤のpHを調整する研磨法は実用的とは言い難い。
特開平10−330132号公報
すなわち、光学レンズとして研磨されるガラス材料の種類は多く、製品群は優に100
種類を超える。ガラスを構成する成分毎に大まかに分類することは可能であるが、特に多種少量の生産工程においては工程が煩雑となり、研磨加工に供されるガラス材料が製品の品種毎に変化する都度、液調整、液交換等の手間がかかるため、特許文献1のように、個々のガラス材料毎に研磨剤のpHを調整する研磨法は実用的とは言い難い。
本発明の目的は、ガラス製品の品種毎に加工液の調整や交換を必要とすることなく、加工後に傷の少ない均一な研磨面を得ることが出来る技術を提供することにある。
本発明の第1の観点は、ガラス製品の加工に用いられる加工液であって、加工中に前記ガラス製品の表面に選択的に吸着する成分を含有する加工液を提供する。
本発明の第2の観点は、ガラス製品の表面に選択的に吸着する成分を含有する加工液を準備する工程と、
前記加工液を供給して前記ガラス製品を加工する工程と、
を含むガラス製品の製造方法を提供する。
本発明の第2の観点は、ガラス製品の表面に選択的に吸着する成分を含有する加工液を準備する工程と、
前記加工液を供給して前記ガラス製品を加工する工程と、
を含むガラス製品の製造方法を提供する。
本発明によれば、ガラス製品の品種毎に加工液の調整や交換を必要とすることなく、加工後に傷の少ない均一な研磨面を得ることが出来る技術を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態の第1態様では、加工液を用いてガラスを研削・研磨することによりガラスを所望の形状のレンズに研磨加工する際に用いる加工液であって、加工中にレンズの表面に選択的に吸着することによりレンズ面を保護する成分を含有する光学レンズ加工液を提供する。
本実施の形態の第1態様では、加工液を用いてガラスを研削・研磨することによりガラスを所望の形状のレンズに研磨加工する際に用いる加工液であって、加工中にレンズの表面に選択的に吸着することによりレンズ面を保護する成分を含有する光学レンズ加工液を提供する。
また、第2態様では、上述の第1態様に記載の光学レンズ加工液において、上記レンズに選択的に吸着する成分を含有する加工液として、少なくとも1種類のエステル化合物を含有する光学レンズ加工液を提供する。
また、第3態様では、上述の第1態様に記載の光学レンズ加工液において、上記レンズに選択的に吸着する成分を含有する加工液として、少なくとも1種類のエステル化合物と他の成分として少なくとも1種類のケイ酸塩もしくはリン酸塩を含む光学レンズ加工液を提供する。
また、第4態様では、上述の第2態様または第3態様の光学レンズ加工液において、前記エステル化合物が、リン酸エステルもしくは硫酸エステルである光学レンズ加工液を提供する。
また、第5態様では、上述の第2態様、第3態様または第4態様に記載の光学レンズ加工液において、前記エステル化合物の濃度が0.03〜1重量%である光学レンズ加工液を提供する。
また、第6態様では、上述の第2態様、第3態様または第4態様に記載の光学レンズ加工液において、前記ケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度が0.03〜1重量%である光学レンズ加工液を提供する。
[第1態様の説明]
加工中のレンズ表面は、研磨剤や水により表面の薄い層を除去されることにより、活性な表面が現れている。この活性なレンズの表面に選択的に吸着する成分をあらかじめ加工液中に含有させておくことにより、レンズ表面での水中のヒドロニウムイオンとガラスとのイオン交換反応確率を下げ、意図しないガラスの侵食による傷規格を越える傷の発生を防ぐことができると考えられる。
加工中のレンズ表面は、研磨剤や水により表面の薄い層を除去されることにより、活性な表面が現れている。この活性なレンズの表面に選択的に吸着する成分をあらかじめ加工液中に含有させておくことにより、レンズ表面での水中のヒドロニウムイオンとガラスとのイオン交換反応確率を下げ、意図しないガラスの侵食による傷規格を越える傷の発生を防ぐことができると考えられる。
選択的に吸着する成分としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、ホスホン酸塩等の陰イオン活性剤、ポリエチレングリコール等の非イオン活性剤などが挙げられる。これらの活性剤は、ガラス表面の研磨液中に含まれる水中の水酸化物イオンとガラス骨格との加水分解反応が起こるよりも先にもしくは同時に添加成分中の親水基がガラス表面に到達し、さらに添加物中の疎水部分が集まり、ガラス表面でミセルを形成することにより、ガラス表面に添加物が整列する形となり、レンズを保護すると推測される。
[第2態様の説明]
また、加工液に添加しておくことで、ガラス表面に選択的に吸着する成分としては、検討の結果、特にエステル化合物が効果的であった。
また、加工液に添加しておくことで、ガラス表面に選択的に吸着する成分としては、検討の結果、特にエステル化合物が効果的であった。
[第3態様の説明]
活性剤の活性効果を高める成分として、ビルダーの添加が一般的であるが、加工液中でも陰イオン性活性剤の活性効果を高めるためにビルダーとして無機化合物の添加が効果的である。なかでもケイ酸塩、リン酸塩どちらかの添加が効果的であった。つまり、添加したビルダーが加工により溶け出したガラス成分をキレート化することによってガラスへの再付着を防止し、活性剤のガラス表面への吸着を促進し、保護効果を高める。
活性剤の活性効果を高める成分として、ビルダーの添加が一般的であるが、加工液中でも陰イオン性活性剤の活性効果を高めるためにビルダーとして無機化合物の添加が効果的である。なかでもケイ酸塩、リン酸塩どちらかの添加が効果的であった。つまり、添加したビルダーが加工により溶け出したガラス成分をキレート化することによってガラスへの再付着を防止し、活性剤のガラス表面への吸着を促進し、保護効果を高める。
[第4態様の説明]
また、検討の結果、エステル化合物の中でも特にリン酸エステル、もしくは硫酸エステルを使用した場合に、研磨加工時の傷の発生を防ぐことができた。
また、検討の結果、エステル化合物の中でも特にリン酸エステル、もしくは硫酸エステルを使用した場合に、研磨加工時の傷の発生を防ぐことができた。
[第5態様の説明]
本実施の形態で提供する加工液のエステル化合物の濃度は、たとえば、0.03〜1重量%含む保護液であるときに、特に傷発生を少なくする効果が得られる。エステル化合物の濃度が0.03重量%よりも少ないと傷発生を少なくする効果が不足することがあり、1重量%よりも多い場合にも傷発生を防ぐ効果は増大しない。
本実施の形態で提供する加工液のエステル化合物の濃度は、たとえば、0.03〜1重量%含む保護液であるときに、特に傷発生を少なくする効果が得られる。エステル化合物の濃度が0.03重量%よりも少ないと傷発生を少なくする効果が不足することがあり、1重量%よりも多い場合にも傷発生を防ぐ効果は増大しない。
[第6態様の説明]
本実施の形態で提供する加工液のケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度は、たとえば0.03〜1重量%であるときに、特に傷発生を少なくする効果が得られる。ケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度が0.03重量%よりも少ないと傷発生を少なくする効果が不足することがあり、1重量%よりも多い場合にも傷発生を防ぐ効果は増大しない。
(上述の各態様に共通する説明)
本実施の形態が提供するレンズ加工液の調整には、水性媒体を用いるのがのぞましい。水性媒体としては、例えば水や水溶性有機溶剤、具体的には低級アルコール類、ケトン類、エーテル類などがあげられるが、通常は水を用いるのが好ましい。また、研磨剤としては特に制限は無く、従来の研磨剤として使用されているものの中から、任意のものを選択して用いることが出来る。
本実施の形態で提供する加工液のケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度は、たとえば0.03〜1重量%であるときに、特に傷発生を少なくする効果が得られる。ケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度が0.03重量%よりも少ないと傷発生を少なくする効果が不足することがあり、1重量%よりも多い場合にも傷発生を防ぐ効果は増大しない。
(上述の各態様に共通する説明)
本実施の形態が提供するレンズ加工液の調整には、水性媒体を用いるのがのぞましい。水性媒体としては、例えば水や水溶性有機溶剤、具体的には低級アルコール類、ケトン類、エーテル類などがあげられるが、通常は水を用いるのが好ましい。また、研磨剤としては特に制限は無く、従来の研磨剤として使用されているものの中から、任意のものを選択して用いることが出来る。
この場合の研磨剤としては、例えば酸化セリウム、ジルコニア、コロイダルシリカ、超
微粒子ダイアモンドなどが好ましい。この研磨剤の粒度分布は5μmまでの範囲であり、特に0.5〜2μmが好ましい。これらの研磨剤は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、水に対する研磨剤の希釈濃度は5〜10重量%が望ましい。
微粒子ダイアモンドなどが好ましい。この研磨剤の粒度分布は5μmまでの範囲であり、特に0.5〜2μmが好ましい。これらの研磨剤は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、水に対する研磨剤の希釈濃度は5〜10重量%が望ましい。
本実施の形態の加工液は研磨・研削の加工過程に使用することができ、このうち特に最終品質への影響の大きい仕上げ工程である研磨工程に用いるとより効果的である。
図1は、本発明の一実施の形態である加工液を用いたガラス製品の製造方法が実施される研磨装置の構成例を示す概念図である。以下では、ガラス製品の一例として光学素子を仕上げ研磨加工する例について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である加工液を用いたガラス製品の製造方法が実施される研磨装置の構成例を示す概念図である。以下では、ガラス製品の一例として光学素子を仕上げ研磨加工する例について説明する。
本実施の形態の加工装置10は、一例として、加工品支持部11と、工具支持部12と、加工液供給部13とを備えている。
加工品支持部11は、例えば凹レンズ等の任意の形状の光学素子2(ガラス製品)の被加工面2aと反対側の背面側を保持して固定するホルダー3と、このホルダー3を傾動自在かつ回転自在に保持する保持部材4とを備えている。
加工品支持部11は、例えば凹レンズ等の任意の形状の光学素子2(ガラス製品)の被加工面2aと反対側の背面側を保持して固定するホルダー3と、このホルダー3を傾動自在かつ回転自在に保持する保持部材4とを備えている。
この保持部材4は、下端部に球状継手部8を備えており、この球状継手部8がホルダー3に形成された半球状凹部3aに挿入支持されることにより、ホルダー3は傾動自在かつ回転自在に保持されている。
工具支持部12は、不図示のモータにより回転自在な支持部材9と、この支持部材9に固定された加工工具1とを備えている。
そして、下向きの光学素子2の被加工面2aは、上向きの加工工具1の加工作用面1aに揺動自在に接触して支持されている。
そして、下向きの光学素子2の被加工面2aは、上向きの加工工具1の加工作用面1aに揺動自在に接触して支持されている。
そして、本実施の形態のガラス製品の加工方法では、後述の実施例のような調製方法によって加工液5を準備する。
その後、加工装置10では、この加工液5を加工液供給部13から光学素子2および加工工具1の被加工面2aおよび加工作用面1aに供給しながら光学素子2の研磨加工が行われる。
その後、加工装置10では、この加工液5を加工液供給部13から光学素子2および加工工具1の被加工面2aおよび加工作用面1aに供給しながら光学素子2の研磨加工が行われる。
本実施の形態の場合、この加工液5は、後述の実施例のように調製されることにより、光学素子2を構成するガラス材料の種類に関係なく、加工中に光学素子2の研磨面(被加工面2a)に効果的に吸着して保護し、被加工面2aにおける傷の発生を防止する機能を備えている。
以下に、本実施の形態のガラス製品の製造方法にて用いられる加工液5の調整方法の具体例を示す。
(実施例1)
以下、光学ガラスの表面保護効果を向上させた本実施の形態の光学レンズ加工液(加工液5)に関する実施例を示す。
以下、光学ガラスの表面保護効果を向上させた本実施の形態の光学レンズ加工液(加工液5)に関する実施例を示す。
本実施の形態の光学レンズ加工液として、エステル化合物としてポリエチレングリコールリン酸エステルを0.01重量%、0.03重量%、0.3重量%、1重量%、3重量%、5重量%含む液を調整した。
ここで使用したガラスのpHを特開平10−330132号公報に記載の下記の方法で
測定したところ約6.3であった。液のpHはNaOHでpH≒9になるように調整した。
測定したところ約6.3であった。液のpHはNaOHでpH≒9になるように調整した。
本実施例におけるガラスのpHは、以下の方法により測定した値である。すなわち、粒径が1.4mm〜850μmの研磨すべきガラスの粉末30gを、約50℃のイオン交換水100mlに加えたのち、約50℃の恒温槽中にて、イオン交換水のpHが一定になるまでスターラーで撹拌する。そして、この一定になったpH値をガラスのpH値とする。
上述のように調整した加工液を使用して研削または研磨加工を行い、有機系溶剤にて洗浄し実体顕微鏡で表面を観察した。
観察結果を表1に示す。判断基準は表面の観察で線幅3μ以上の傷は不可、線幅3μ未満の傷を合格とした。ポリエチレングリコールリン酸エステルの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、ポリエチレングリコールリン酸エステルの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は線幅3μm以上の傷が多く発生し、良好な研磨面を形成できなかった。
(比較例1)
ポリエチレングリコールリン酸エステルを含まないこと以外の条件は、実施例1と同様にして、研磨を行った。その結果、線幅3μ以上の傷が多く発生し、良好な研磨面を形成できなかった。
(実施例2)
加工液の成分構成としてエステル化合物にポリエチレングリコールリン酸エステルを0.2重量%、リン酸塩にリン酸水素ナトリウムを0.01重量%、0.03重量%、0.3重量%、1重量%、3重量%、5重量%含む液を調整した。ガラスはpHが約6.3のガラスを使用した。液のpHはNaOHでpH≒9になるように調整した。
観察結果を表1に示す。判断基準は表面の観察で線幅3μ以上の傷は不可、線幅3μ未満の傷を合格とした。ポリエチレングリコールリン酸エステルの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、ポリエチレングリコールリン酸エステルの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は線幅3μm以上の傷が多く発生し、良好な研磨面を形成できなかった。
(比較例1)
ポリエチレングリコールリン酸エステルを含まないこと以外の条件は、実施例1と同様にして、研磨を行った。その結果、線幅3μ以上の傷が多く発生し、良好な研磨面を形成できなかった。
(実施例2)
加工液の成分構成としてエステル化合物にポリエチレングリコールリン酸エステルを0.2重量%、リン酸塩にリン酸水素ナトリウムを0.01重量%、0.03重量%、0.3重量%、1重量%、3重量%、5重量%含む液を調整した。ガラスはpHが約6.3のガラスを使用した。液のpHはNaOHでpH≒9になるように調整した。
このように調整した加工液を使用して加工を行い、有機系溶剤にて洗浄し実体顕微鏡で表面を観察した。
観察結果を表1に示す。リン酸水素ナトリウムの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、リン酸水素ナトリウムの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は純水を使用したほど傷の数は多くないが結果は不可であった。
(実施例3)
加工液の成分構成として、エステル化合物にポリエチレングリコールリン酸エステルを0.2重量%、ケイ酸塩にケイ酸ナトリウムを0.01重量%、0.03重量%、0.3重量%、1重量%、3重量%、5重量%含む液を調整した。ガラスはpHが約6.3のガラスを使用した。液のpHはHClでpH≒9になるように調整した。
観察結果を表1に示す。リン酸水素ナトリウムの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、リン酸水素ナトリウムの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は純水を使用したほど傷の数は多くないが結果は不可であった。
(実施例3)
加工液の成分構成として、エステル化合物にポリエチレングリコールリン酸エステルを0.2重量%、ケイ酸塩にケイ酸ナトリウムを0.01重量%、0.03重量%、0.3重量%、1重量%、3重量%、5重量%含む液を調整した。ガラスはpHが約6.3のガラスを使用した。液のpHはHClでpH≒9になるように調整した。
上述のように調整した加工液を使用して加工を行い、有機系溶剤にて洗浄し実体顕微鏡
で表面を観察した。
観察結果を表1に示す。ケイ酸ナトリウムの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、ケイ酸ナトリウムの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は純水を使用したほど傷の数は多くないが不可であった。
(実施例4)
加工液の成分構成として、エステル化合物としてアルキルリン酸エステルを0.2重量%、アルカリ金属を含む無機塩としてケイ酸ナトリウムを0.01重量%、0.03重量%、0.3重量%、1重量%、3重量%、5重量%含む液を調整した。ガラスはリン酸ガラスで粉砕した場合のガラスのpHが約6.3のガラスを使用した。液のpHはHClでpH≒9になるように調整した。
で表面を観察した。
観察結果を表1に示す。ケイ酸ナトリウムの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、ケイ酸ナトリウムの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は純水を使用したほど傷の数は多くないが不可であった。
(実施例4)
加工液の成分構成として、エステル化合物としてアルキルリン酸エステルを0.2重量%、アルカリ金属を含む無機塩としてケイ酸ナトリウムを0.01重量%、0.03重量%、0.3重量%、1重量%、3重量%、5重量%含む液を調整した。ガラスはリン酸ガラスで粉砕した場合のガラスのpHが約6.3のガラスを使用した。液のpHはHClでpH≒9になるように調整した。
調整した保護液にガラスを1時間浸漬し、有機系溶剤にて洗浄し、実体顕微鏡で表面を観察した。
観察結果を表1に示す。ケイ酸ナトリウムの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、ケイ酸ナトリウムの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は純水を使用したほど傷の数は多くないが不可であった。
観察結果を表1に示す。ケイ酸ナトリウムの成分濃度が0.03重量%、0.3重量%、1重量%の場合は合格であったが、ケイ酸ナトリウムの濃度が0.01重量%、3重量%、5重量%の場合は純水を使用したほど傷の数は多くないが不可であった。
さらに、上述の実施例1〜4のように調整された加工液5を共通に使用して多種のガラスを研磨した場合にも同様の結果を得ることが出来た。
以上説明したように、本発明の実施の形態および実施例によれば、光学素子2等のガラス製品の種類毎に加工液5の煩雑な調整や交換作業を必要とすることなく、上述のように調整された加工液5を共通に用いて研磨加工を行うことで、加工後に光学素子2の被加工面2aに傷の少ない均一な研磨面を得ることが出来る。
以上説明したように、本発明の実施の形態および実施例によれば、光学素子2等のガラス製品の種類毎に加工液5の煩雑な調整や交換作業を必要とすることなく、上述のように調整された加工液5を共通に用いて研磨加工を行うことで、加工後に光学素子2の被加工面2aに傷の少ない均一な研磨面を得ることが出来る。
また、光学素子2の被加工面2aに、許容限度を超える大きな傷のない均一な研磨面を実現することで、光学素子2の不良削減も実現出来る。
さらに、光学素子2の研磨加工を行う加工装置10においては、複数種の光学素子2等のガラス製品に対して共通の加工液5を用いて研磨加工を実施できるので、加工液5の調整や交換等の煩雑な段取り作業や保守管理作業が不要となり、加工装置10の稼働率の向上による光学素子2の研磨工程での生産性の向上、コスト削減、光学素子2の被加工面2aにおける傷の発生防止による加工歩留り向上等を実現できる。
さらに、光学素子2の研磨加工を行う加工装置10においては、複数種の光学素子2等のガラス製品に対して共通の加工液5を用いて研磨加工を実施できるので、加工液5の調整や交換等の煩雑な段取り作業や保守管理作業が不要となり、加工装置10の稼働率の向上による光学素子2の研磨工程での生産性の向上、コスト削減、光学素子2の被加工面2aにおける傷の発生防止による加工歩留り向上等を実現できる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
たとえば、光学素子等のガラス製品としてはレンズに限らず、プリズム、フィルタ、その他の一般のガラス製品の加工に広く適用できる。
たとえば、光学素子等のガラス製品としてはレンズに限らず、プリズム、フィルタ、その他の一般のガラス製品の加工に広く適用できる。
また、上述の加工装置の構成は一例であり、加工液を用いる任意のガラス製品の加工装置に適用できる。
(付記1)
加工液を用いてガラスを研削・研磨することによりガラスを所望の形状に研磨加工する際に用いる加工液であり、加工中にレンズの表面に選択的に吸着することにより、レンズ面を保護する成分を含有することを特徴とする光学レンズ加工液。
(付記1)
加工液を用いてガラスを研削・研磨することによりガラスを所望の形状に研磨加工する際に用いる加工液であり、加工中にレンズの表面に選択的に吸着することにより、レンズ面を保護する成分を含有することを特徴とする光学レンズ加工液。
(付記2)
上記レンズに選択的に吸着する成分を含有する加工液として、少なくとも1種類のエステル化合物を含有することを特徴とする付記1記載の光学レンズ加工液。
上記レンズに選択的に吸着する成分を含有する加工液として、少なくとも1種類のエステル化合物を含有することを特徴とする付記1記載の光学レンズ加工液。
(付記3)
上記レンズに選択的に吸着する成分を含有する加工液として、少なくとも1種類のエス
テル化合物と、他の成分として少なくとも1種類のケイ酸塩、リン酸塩を含むことを特徴とする付記1記載の光学レンズ加工液。
上記レンズに選択的に吸着する成分を含有する加工液として、少なくとも1種類のエス
テル化合物と、他の成分として少なくとも1種類のケイ酸塩、リン酸塩を含むことを特徴とする付記1記載の光学レンズ加工液。
(付記4)
前記エステル化合物が、リン酸エステルもしくは硫酸エステルであることを特徴とする付記2または付記3の光学レンズ加工液。
前記エステル化合物が、リン酸エステルもしくは硫酸エステルであることを特徴とする付記2または付記3の光学レンズ加工液。
(付記5)
前記エステル化合物の濃度が0.03〜1重量%である付記2、付記3または付記4の光学レンズ加工液。
前記エステル化合物の濃度が0.03〜1重量%である付記2、付記3または付記4の光学レンズ加工液。
(付記6)
前記ケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度が0.03〜1重量%である付記3記載の光学レンズ加工液。
前記ケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度が0.03〜1重量%である付記3記載の光学レンズ加工液。
1 加工工具
1a 加工作用面
2 光学素子
2a 被加工面
3 ホルダー
3a 半球状凹部
4 保持部材
5 加工液
8 球状継手部
9 支持部材
10 加工装置
11 加工品支持部
12 工具支持部
13 加工液供給部
1a 加工作用面
2 光学素子
2a 被加工面
3 ホルダー
3a 半球状凹部
4 保持部材
5 加工液
8 球状継手部
9 支持部材
10 加工装置
11 加工品支持部
12 工具支持部
13 加工液供給部
Claims (12)
- ガラス製品の加工に用いられる加工液であって、加工中に前記ガラス製品の表面に選択的に吸着する成分を含有することを特徴とする加工液。
- 請求項1記載の加工液において、
前記ガラス製品に選択的に吸着する前記成分として、少なくとも1種類のエステル化合物を含有することを特徴とする加工液。 - 請求項1記載の加工液において、
前記ガラス製品に選択的に吸着する前記成分として、少なくとも1種類のエステル化合物と、少なくとも1種類のケイ酸塩もしくはリン酸塩と、を含むことを特徴とする加工液。 - 請求項2または請求項3記載の加工液において、
前記エステル化合物が、リン酸エステルもしくは硫酸エステルであることを特徴とする加工液。 - 請求項2、請求項3または請求項4記載の加工液において、
前記エステル化合物の濃度が0.03〜1重量%であることを特徴とする加工液。 - 請求項3記載の加工液において、
前記ケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度が0.03〜1重量%であることを特徴とする加工液。 - ガラス製品の表面に選択的に吸着する成分を含有する加工液を準備する工程と、
前記加工液を供給して前記ガラス製品を加工する工程と、
を含むことを特徴とするガラス製品の製造方法。 - 請求項7記載のガラス製品の製造方法において、
前記加工液は、前記ガラス製品に選択的に吸着する前記成分として、少なくとも1種類のエステル化合物を含有することを特徴とするガラス製品の製造方法。 - 請求項7記載のガラス製品の製造方法において、
前記加工液は、前記ガラス製品に選択的に吸着する前記成分として、少なくとも1種類のエステル化合物と、少なくとも1種類のケイ酸塩もしくはリン酸塩と、を含むことを特徴とするガラス製品の製造方法。 - 請求項8または請求項9記載のガラス製品の製造方法において、
前記エステル化合物が、リン酸エステルもしくは硫酸エステルであることを特徴とするガラス製品の製造方法。 - 請求項8、請求項9または請求項10記載のガラス製品の製造方法において、
前記エステル化合物の濃度が0.03〜1重量%であることを特徴とするガラス製品の製造方法。 - 請求項9記載のガラス製品の製造方法において、
前記ケイ酸塩もしくはリン酸塩の濃度が0.03〜1重量%であることを特徴とするガラス製品の製造方法。
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JP2008256988A JP2010083733A (ja) | 2008-10-02 | 2008-10-02 | 加工液およびガラス製品の製造方法 |
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-
2008
- 2008-10-02 JP JP2008256988A patent/JP2010083733A/ja not_active Withdrawn
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