JP2010083720A - 複層ガラス - Google Patents

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Haruhiko Osawa
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Abstract

【課題】枠体の内側に乾燥剤を配設することなく、ガラス内面の結露発生を防止できる、複層ガラスを提供する。
【解決手段】2枚の板ガラス11,12と、2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう2枚の板ガラスの間で板ガラスの周縁部に沿って設けたスペーサー20と、2枚の板ガラスを支持する枠体30と、を備えた複層ガラス1において、ガラス11,12同士が対向する内面の一方又は両方に、フィルム40が貼着されており、フィルム40が吸湿樹脂で成る。ガラス11,12の内面の一部又は内面全域を覆うようにフィルム40を貼着する。2枚のガラス11,12間の湿気は、フィルム40の乾燥剤に吸着されるため、結露が生じない。
【選択図】図1

Description

本発明は複層ガラスに係り、特に、2枚のガラスの間の領域に湿気を吸収する吸湿材を配設した複層ガラスに関する。
従来、複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気層を挟んで断熱性能を高めるための建具として利用されており、部屋の内外の温度差が原因で生じる結露などの発生を減少させることができる。
この複層ガラス100は、例えば図6に示すように、2枚の板ガラス111,112と、これらの2枚の板ガラス111,112が所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラス111,112の間で板ガラス周縁部に沿って設けられたスペーサー120と、2枚の板ガラス111,112を支持する枠体150と、から構成されている。さらに、複層ガラス100には、乾燥剤160が枠体150の内側に配設されて、中間の空気層における湿気を除去してガラス内面の結露を防止している。この種の複層ガラスが特許文献1に開示されている。
特開平7−17748号公報
しかしながら、特許文献1や図6に示す従来の複層ガラス100では、ガラス内面における結露防止用の乾燥剤160を配設するためのスペースを枠体領域に確保する必要があり、その乾燥剤スペースを配設する分、枠体150が大きくなり、その結果、ガラス111,112の面積が小さくなってしまう。
これでは、採光量が低下し、また、意匠性も低減する虞がある。
そこで、本発明は、枠体の内側に乾燥剤を配設することなく、ガラス内面の結露発生を防止できる複層ガラスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、2枚の板ガラスと、当該2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラスの間で上記板ガラスの周縁部に沿って設けられたスペーサーと、2枚の板ガラスを支持する枠体と、を備えた複層ガラスにおいて、ガラス板同士が対向するガラス内面の一方又は両方に、吸着樹脂で成るフィルムが貼着されていることを特徴とする。本実施形態において、フィルムのうち特に厚みの薄いものを被膜という。
本発明の複層ガラスにおいて、上記フィルムは板ガラスの内面の一部又は内面全域を覆うように貼着される。
本発明によれば、2枚の板ガラス間の空間に存在する湿気は、ガラスの内面に貼着した乾燥剤入りフィルムに吸収される。したがって、複層ガラスの空間側が低い温度になったとしても、2枚のガラス間の湿気はフィルムの乾燥剤に吸着されるため、結露が生じることを防止することができる。
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1(A)は本発明の第1実施形態に係る複層ガラス1の正面図であり、(B)は(A)のA−A線に沿った概略断面図である。図2は図1(B)のB−B線に沿った概略断面図である。
複層ガラス1は、2枚の板ガラス11,12と、スペーサー20と、枠体30と、を備えている。
スペーサー20は、2枚の板ガラス11,12が所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラス11,12の間で板ガラス周縁部に沿って設けられている。このスペーサー20によって2枚の板ガラス11,12の間に空間Sが画成される。
枠体30は、2枚の板ガラス11,12を支持するものであり、上枠部31と下枠部32と左枠部33と右枠部34とから構成されている。これらの上枠部31,下枠部32,左枠部33及び右枠部34は、図1(B)に示すように断面コ字型のフレームとして構成されている。
さらに、本実施形態の複層ガラス1では、図1(B)に示すように、2枚のガラス11,12間において一方のガラス11の内面に乾燥剤入りフィルム40が貼着されていることを特徴とする。板ガラス11,12の内面に湿気が生じないよう、複層ガラス1の製作に当たっては気密性を保つように工夫されてはいるが、板ガラス11,12の間の空間Sに空気の水分が入り込んだまま製作されることになるので、この湿気により結露を生じることがあり得る。そこで、板ガラス間の空間Sに生じ得る結露が発生するのを防止することが必要となる。
本発明で使用する上記乾燥剤入りフィルム40は、図2に示すように、樹脂フィルム41に乾燥剤42を混入させて構成されている。乾燥剤42は、シリカゲル、活性アルミナ又はモレキュラーシーブであり、好ましくは、モレキュラーシーブを使用する。より具体的には、モレキュラーシーブの細孔径として、3Å,4Å,5Å,10Åのものが知られているが、本実施形態では、細孔径が3Å,4Åのモレキュラーシーブを使用する。
本実施形態では、前述の物理吸着剤に限らず、化学吸着剤、例えばCaO,MgO,BaO,CaSO4,MgSO4, Na2SO4, CoSO4, GaSO4, Li2SO4, CaCl2などを乾燥剤として利用してもよい。
樹脂フィルム41は、高いメルトフローレートであり、かつ低融点(低軟化点)、低温ドローダウン性に良好な樹脂で成り、例えば低密度ポリエチレン(low-density polyethylene:LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene:LLDPE)、ポリプロピレン(polypropylene:PP)、各種共重合体(コポリマー)として、アイオノマー、EAA、EMAA、EVA、EEA、EMA、EMMAが用いられる。このような樹脂の中から高メルトフローレート、好ましくはメルトフローレートが10以上のものを適宜選択する。なお、本実施形態においては、例えば、特許第3919503号などに開示の乾燥剤混入フィルムを使用する。この乾燥剤混入フィルムは、粉末状の乾燥剤を樹脂に混練して成形したものであり、乾燥剤の含有量が樹脂と乾燥剤との混合物の1重量%から50重量%であり、乾燥剤を3Å又は4Åの細孔径を有するモレキュラーシーブとし、樹脂の少なくとも1種にメルトフローレートが10以上の樹脂を含有する。
このような乾燥剤混入フィルム40は、押出成形機によって製造することができる。例えば、乾燥剤42が混練された粒状の樹脂材料を押出成形機のホッパーに投入すると、投入された樹脂材料は、押出成形機のスクリューの回転につれて前方に搬送され、押出成形機のヒータによる加熱によって溶融し、溶融した樹脂はスクリューによって外にフィルム状に押し出される。フィルム状に押し出された溶融樹脂フィルムは、冷却ロールによって強制的に冷却されて固化し、引張ローラや平切ローラ等の処理を施されて、乾燥剤入りフィルムとして巻取装置に巻き取られて完成する。なお、本実施形態においては、例えば、特許第3919503号などに開示の乾燥剤混入フィルムの製造方法を利用でき、乾燥剤と樹脂とを混練した粒状樹脂を押出成形機に投入し、押出温度240℃以下として、粒状樹脂を押し出して当該フィルムを成形することができる。
本実施形態において、乾燥剤入りフィルム40は、図1(B)に示すように、一方のガラス11の内面の全域に貼り付けられている。なお、取付面はガラス内面の全域に限らず、図3(A)に示すように上側領域のみでも、図3(B)に示すように下側領域のみでも、図3(C)に示すように高さ方向の中間領域だけでもよい。
乾燥剤入りフィルム40とガラス11との接合は、例えば、熱接合によって成される。また、乾燥剤入りフィルム40のガラス11への貼着は、溶剤や接着剤を用いてもよい。接着剤としては、特開2002−87849号公報の段落〔0030〕等に開示されている、「ガラス板等の透明基板と有機樹脂フィルムとを接着する接着樹脂」を利用することができる。例えば、EVA、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等を利用できる。
本発明の実施形態に係る複層ガラス1は以上のように構成され、2枚のガラス11,12間の空気層に存在する湿気は、一方のガラス11に貼り付けた乾燥剤入りフィルム40に吸収される。したがって、複層ガラス内部の空気層側が低い温度になったとしても、2枚のガラス11,12間の湿気は、フィルムの乾燥剤42(図2参照)に吸着されるため、2枚のガラス11,12間で結露が生じることがない。
特に、特許文献1に示すような、従来の複層ガラス100において、枠体150の内側に配設した乾燥剤160に比べて、本実施形態の複層ガラス1では、一方のガラス内面全域に乾燥剤入りフィルム40が貼り付けられていることから、湿気を吸収するための表面積を広くすることができるので、特許文献1や従来の複層ガラス100に比べて曇り防止効果が高い。
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係る複層ガラス1Aを示す断面図である。第1実施形態の複層ガラス1と同じ構成部材については、同じ符号を付してその説明を省略する。第2実施形態に係る複層ガラス1Aでは、図4に示すように、両方のガラスの内面に乾燥剤入りフィルム40が貼着されている。
このように構成される、本発明の第2実施形態に係る複層ガラス1Aによれば、第1実施形態に比べて湿気を吸収する領域面積が広がるため、2枚のガラス11,12間における結露の発生をより一層防止できる。
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係る複層ガラス1Bを示す断面図である。第1実施形態の複層ガラス1と同じ構成部材については、同じ符号を付してその説明を省略する。第3実施形態に係る複層ガラス1Bでは、図5に示すように、板ガラス11と乾燥剤入りフィルム40との間に紫外線吸収シート50が配設されていることを特徴としている。
紫外線吸収シートは、基材となる樹脂に紫外線吸収剤を混入して成る。
このように構成される、本発明の第3実施形態に係る複層ガラス1Bによれば、第1実施形態と同様の効果が得られることに加え、紫外線を吸収することができる。
なお、上記紫外線吸収シート50の代わりに、赤外線吸収シートを板ガラス11と乾燥剤入りフィルム40との間に設けてもよい。この場合の赤外線吸収シートは、基材となる樹脂に赤外線吸収剤を混入して成る。
さらに、板ガラス11と乾燥剤入りフィルム40との間に、紫外線吸収シートだけでなく、赤外線吸収シートを配設してもよい。
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。
本発明は、図示例の寸法に限定されるものではなく、厚みも0.01〜3.0mm程度、好ましくは0.025〜0.5mmの被膜として構成したものでもよい。
第3実施形態のように板ガラスと乾燥剤入りフィルム40との間に紫外線吸収シート50や赤外線吸収シートを配設する代わりに、紫外線吸収剤及び/又は赤外線吸剤を混入した乾燥剤入りフィルムを用いても良い。
また、乾燥剤入りフィルムは、特開2005−280188号公報の段落〔0028〕等に開示のように、乾燥剤を混入したフィルムに熱可塑性樹脂で成る補強フィルムを重ね合わせた積層構造として構成されたものを用いても良い。
また、上記実施形態では、樹脂と乾燥剤との混合比(含有量)、メルトフローレート、成形温度などを例示したが、その数値に限定されるものではない。
また、前述の実施形態では、2枚の板ガラス11,12間の空間Sが空気層である場合を前提にしたが、当該空間は真空又は外気より低圧或いは高圧であってもよい。
本発明は、ブラインド内蔵型の複層ガラスにも適用できることは言うまでもない。
(A)は本発明の第1実施形態に係る複層ガラスの正面図であり、(B)は(A)のA−A線に沿った断面図である。 図1(B)のB−B線に沿った乾燥剤入りフィルムの断面図である。 (A)〜(C)は、乾燥剤入りフィルムのガラスへの貼着例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る複層ガラスの断面図である。 本発明の第3実施形態に係る複層ガラスの断面図である。 従来の複層ガラスの断面図である。
1,1A,1B 複層ガラス
11 板ガラス
20 スペーサー
30 枠体
31 枠体の上枠部
32 枠体の下枠部
33 枠体の左枠部
34 枠体の右枠部
40 乾燥剤混入フィルム
41 樹脂フィルム
42 乾燥剤
50 紫外線吸収シート
S 空間

Claims (4)

  1. 2枚の板ガラスと、当該2枚の板ガラスが所定の間隔を置いて対向するよう当該2枚の板ガラスの間で上記板ガラスの周縁部に沿って設けられたスペーサーと、上記2枚の板ガラスを支持する枠体と、を備えた複層ガラスにおいて、
    上記板ガラス同士が対向するガラス内面の一方又は両方に、フィルムが貼着されており、該フィルムが吸湿樹脂で成る、複層ガラス。
  2. 前記フィルムは、前記板ガラスの内面の一部又は内面全域を覆うように貼着されていることを特徴とする、請求項1に記載の複層ガラス。
  3. 前記板ガラスと前記フィルムとの間に、紫外線吸収シート及び/又は赤外線吸収シートが配設されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複層ガラス。
  4. 前記フィルムに、紫外線吸収剤及び/又は赤外線吸収剤が混入されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複層ガラス。
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